JP4012538B2 - 自動車用の変形部材 - Google Patents

Description

本発明は、自動車用の変形部材であって、車体前部又は車体後部において車両ボディ構造のトランクルームフロアに配置されている形式のものに関する。

ドイツ連邦共和国特許出願公開第１００６２６８９号明細書に基づいて、補強ストラット及びウェブが長手方向及び横方向で設けられた、円形横断面を有する管部材を備えた自動車のための変形部材が公知である。更に、ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７３３１９１号明細書に基づいて、横方向及び長手方向で延在する、ウェブによって分割された中空室を有する車両用の横方向支持体が公知である。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第１００６２６８９号明細書 ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７３３１９１号明細書

本発明の課題は、衝突時のエネルギ吸収作用を有する、自動車の車体前部又は後部に設けられた変形部材を提供することである。

この課題を解決するために本発明では、変形部材が、三角形のつながった１構成部材から成っており、該構成部材が、車両に対して横方向に向けられた、車両の走行方向で見て前方の成形支持体と、該成形支持体に接続された、車両の走行方向に関して後方に延びる別の成形支持体とを有しており、これらの別の成形支持体の後方の自由端部が、それぞれ横方向で延在する支持板を介して互いに結合されており、該支持板が車両ボディ構造に支持されているようにした。

本発明の別の有利な構成は請求項２以下に記載されている。

本発明によって得られる利点は、車両のトランクルームフロアに挿入された複数の成形支持体から成る１つの「挿入部材」によって、前記成形支持体が変形可能であることに基づいて衝突時にエネルギが吸収されるという点にある。特に本発明では、変形部材がつながっている三角形の１構成部材から成っており、この構成部材は、車両に対して横方向に向けられて、車両の走行方向Ｆで見て前方に位置する１成形支持体と、この成形支持体に接続された、車両の走行方向Ｆに関して後方に延びる別の複数の成形支持体とを有している。これらの別の複数の成形支持体の後方の自由端部は、それぞれ横方向で延在する支持板を介して互いに結合されており、この支持板は車両ボディに支持されている。

これにより本発明では、前方に位置する成形支持体と、車両内で斜めに延在する別の成形支持体とによって、衝突時にこれらの成形支持体の圧縮ひずみによってエネルギが吸収されるということが有利な形式で達成される。複数の成形支持体から成る前記構成ユニット若しくは挿入部材の支持は、車両内で横方向に延在する車両ボディ壁面若しくは車両成形部材において行われる。

成形支持体相互の結合は、前方に位置する成形支持体の端面端部に、後方に向かって延びる各１つの成形支持体が固定されるように行われ、この場合、この成形支持体の内側の壁面はそれぞれ前方に位置する成形支持体の端面端部に接触しており且つ別の成形支持体の前方の端面端部は露出している。前方の成形支持体は、成形支持体長手方向で延び且つ内部のウェブ壁を介して分割された少なくとも２つの中空室を有しており、これらの中空室は横断面が四角形に構成されている。後方に向かって斜めに延びる成形支持体は、それぞれ２つの内部のウェブ壁を介して分割された、成形支持体長手方向で延びる少なくとも３つの中空室を有しており、これらの中空室は横断面が四角形に構成されている。トランクルームフロアにおける個々の成形支持体のこのような配置形式によって、車両の中央域における衝撃が、車両内で横方向に延びるように配置された成形支持体によって吸収され且つ側面若しくは外面からの衝撃は、成形支持体によってその都度前方から、即ちほぼ端面から吸収される。

配置された成形支持体は、それぞれ前方で横方向に延びる成形支持体から、車両の走行方向で見て後方に向かって共に延び且つ当該の成形支持体と前方の成形支持体との間に三角形の空間を形成している。これにより、衝突時の成形支持体の圧縮ひずみが妨害されない。

車両ボディに対する変形部材の確実な支持を行うことができるようにするためには、端部の支持板が、板平面から突出した支持成形部材を有しており、この支持成形部材は、横方向壁又は横方向で延在する車両ボディ構造のボディ成形部材の加工成形部に支持されるように埋設されている。支持板の支持成形部材は、横向きの壁又は車両ボディの成形部材に、これらの壁又は成形部材の後方にまだスペースがあり、これにより、衝突時に変形が前記成形部材によって妨害されないように埋め込まれている。

変形部材の車両ボディとの固定は、ねじ部材を介してトランクルームフロアの底部に固定可能な成形支持体の「格納部」を介して行われる。

トランクルームフロアにおける変形部材のスペース節約型の配置及びとりわけトランクルームフロアの底部に対する正確な適合に基づく最適な衝撃吸収を行えるようにするためには、本発明では、成形支持体の下面が車両ボディ構造におけるトランクルームフロアの支持面に、成形支持体の前方下部域が傾斜して、次いで面取りされた、成形支持体の平らな表面の端面縁部に移行する支持面を有するように、ほぼ適合されている。

以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。

車体前部だけが示された自動車のトランクルームフロア１には、少なくとも３つの組み合わされた成形支持体４，５，６から成る１つの変形部材３が配置されており、前記成形支持体４，５，６は１つの構成ユニットを形成する。この構成ユニットは、トランクルームフロア１の底部８にねじ部材１０を介して結合されている。

変形部材３は、車両に対して横方向に向けられた、車両の走行方向Ｆで見て前方に位置する成形支持体４を有しており、この成形支持体４には車両長手方向で延びる２つの別の成形支持体５，６が接続されている。これらの成形支持体５，６は斜めに又は別の形式で方向付けられていてよい。

斜めに方向付けられた成形支持体５，６は、これらの成形支持体５，６間の前方で、横方向に向けられた成形支持体４を、当該の成形支持体５，６の内側の側面１１，１２が溶接部１４，１４ａによって成形支持体４の端面縁部Ｅ３，Ｅ４と互いに結合されているように包囲している。別の成形支持体５，６の成形支持体４とは反対の側の自由端部Ｅ１，Ｅ２は、支持板１５を介して互いに固定的に結合されている。この支持板１５は、図４に詳しく示したように、横方向で延在する成形部材１６又は車両ボディの壁に支持されている。

成形支持体４，５，６はアルミニウム押出し成形部材から成っており且つウェブ壁によって互いに分離された中空室を有している。即ち、車両内で横方向に向けられた成形支持体４は、成形支持体長手方向Ａ−Ａで延びる中空室４ａ，４ｂを有しており、これらの中空室４ａ，４ｂは内部のウェブ壁２０を介して分離されている。斜めに配置された、つまり成形支持体４に対して角度αで取り付けられた別の成形支持体５，６は、それぞれ成形支持体長手方向Ｂ−Ｂで延びる中空室５ａ，５ｂ，５ｃ；６ａ，６ｂ，６ｃを有しており、これらの中空室５ａ，５ｂ，５ｃ；６ａ，６ｂ，６ｃは内部のウェブ壁Ｓ１，Ｓ２を介して互いに分離されている。

成形支持体４，５，６は、トランクルームフロア１の支持面２２にほぼ適合された、全ての成形支持体４，５，６の合わせて１つの下面２１が得られるように、互いに１つの構成ユニットを成すように結合されている。これにより、横方向で配置された成形支持体４はやや面取りされた、中空室４ａの前方の端面縁部２４で終わる下面２３を有している。

斜めに配置された成形支持体５，６は、共に車両内で横方向に向けられた前方の成形支持体４から車両の走行方向に関して後方に向かって延びており且つ成形支持体５，６相互間に成形支持体４と相俟って三角形の空間Ｌを形成している。

３つの成形支持体４，５，６から成る構成ユニットの支持は、車両ボディの横方向成形部材１６若しくはボディ壁面において行われる。このためには、成形支持体５，６の自由端部Ｅ１，Ｅ２が、成形支持体５，６の全幅ｂにわたって延びている支持板１５と固定的に結合されている。この支持板１５の成形支持体５，６との結合は溶接部を介して行われ、この場合、成形支持体５，６の自由端部Ｅ１，Ｅ２は、図４に詳しく示したように支持板１５の脚部２６，２７によって上方から係合される。

支持板１５は、横方向成形部材１６における支持のために位置決め式の「突出した」支持成形部材１５ａを有しており、この支持成形部材１５ａは、横方向成形部材１６又はボディ壁面に設けられた収容部２５に埋め込まれて配置されている。この収容部２５の後ろにはスペースが設けられている。

車両の正面衝突に際して、成形支持体４，５，６はエネルギを吸収しつつ折り畳まれる。この場合、成形支持体４，５，６は前記空間Ｌに基づいてブロック状になる恐れはない。

自動車の車体前部に設けられたトランクルームフロアを、変形部材の分解図と一緒に示した図である。

変形部材を示した図である。

変形部材の部分平面図である。

図３に示したＩＶ−ＩＶ線に沿った断面図である。

図３に示した矢印方向Ｚで見た変形部材の側面図である。

図３に示したＶＩ−ＶＩ線に沿った断面図である。

符号の説明

１ トランクルームフロア、 ２ 変形部材、 ４，５，６ 成形支持体、 ４ａ，５ａ，５ｂ，６ａ，６ｂ，６ｃ 中空室、 ８ トランクルームフロアの底部、 ９ ねじ部材、 ９ ねじ部材、 １１，１２ 内側の側面、 １４，１４ａ 溶接部、 １５ 支持板、 １５ａ 支持成形部材、 １６ 横方向で延在する成形部材、 ２０ ウェブ壁、 ２１，２３ 下面（支持面） ２４ 端面端部、 ２５ 収容部、 ２６，２７ 脚部、 Ｅ１，Ｅ２ 端部、 Ｅ３，Ｅ４ 端面縁部、 Ｓ１，Ｓ２ 内部のウェブ壁

Claims (9)

1. 自動車用の変形部材であって、車体前部又は車体後部において車両ボディ構造のトランクルームフロアに配置されている形式のものにおいて、
   変形部材（３）が、三角形のつながった１構成部材から成っており、該構成部材が、車両に対して横方向に向けられた、車両の走行方向（Ｆ）で見て前方の成形支持体（４）と、該成形支持体（４）に接続された、車両の走行方向（Ｆ）に関して後方に延びる別の成形支持体（５，６）とを有しており、これらの別の成形支持体の後方の自由端部（Ｅ１，Ｅ２）が、それぞれ横方向で延在する支持板（１５）を介して互いに結合されており、該支持板が車両ボディ構造に支持されていることを特徴とする、自動車用の変形部材。
2. 前方の成形支持体（４）の端面端部（Ｅ３，Ｅ４）に、斜め後方に延びる各１つの成形支持体（５，６）が固定されており、これらの成形支持体（５，６）の内側の対向位置する側面（１１，１２）が、成形支持体（４）の端面端部（Ｅ３，Ｅ４）に接触しており、成形支持体（５，６）の前方の端面端部（Ｅ５，Ｅ６）が露出している、請求項１記載の変形部材。
3. 前方の成形支持体（４）が、成形支持体長手方向（Ａ−Ａ）で延び且つ内部のウェブ壁（２０）によって分割された少なくとも２つの中空室（４ａ，４ｂ）を有しており、これらの中空室の横断面が四角形で構成されている、請求項１又は２記載の変形部材。
4. 斜め後ろに向かって延びる成形支持体（５，６）が、それぞれ２つの内部のウェブ壁（Ｓ１，Ｓ２）を介して分離された、成形支持体長手方向（Ｂ−Ｂ）で延びる少なくとも３つの中空室（５ａ，５ｂ，５ｃ；６ａ，６ｂ，６ｃ）を有しており、これらの中空室の横断面が四角形で構成されている、請求項１又は２記載の変形部材。
5. 端部の支持板（１５）が、板平面から突出した支持成形部材（１５ａ）を有しており、該支持成形部材が、車両ボディ構造の横方向壁又は横方向成形部材（１６）の収容部（２５）に支持されるように埋め込まれている、請求項１から４までのいずれか１項記載の変形部材。
6. 端部の支持板（１５）が、成形支持体（５，６）の端面に脚部（２６，２７）を以て上方から係合している、請求項１から５までのいずれか１項記載の変形部材。
7. 変形部材（３）の成形支持体（４，５，６）が、少なくとも片面において車両ボディ構造のトランクルームフロア（８）の底部にねじ部材（１０）を介して固定するための格納部（３０，３１，３２）を有している、請求項１から６までのいずれか１項記載の変形部材。
8. 全ての成形支持体（４，５，６）によって形成される１つの下面（２１）が、成形支持体（４）の前方下部域が傾斜して、続いてやや面取りされた、成形支持体（４）の前方の端面縁部（２４）に移行する下面（２３）を有するように、トランクルームフロア（８）の支持面（２２）に適合されている、請求項１から７までのいずれか１項記載の変形部材。
9. ２つの成形支持体（５，６）が、横方向で延在する前方の成形支持体（４）から車両の走行方向（Ｆ）で見て後方に向かって延びており且つ当該の成形支持体（５，６）間に前方の成形支持体（４）が角度（α）で取り付けられて、三角形の空間（Ｌ）を形成している、請求項１から８までのいずれか１項記載の変形部材。

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