JP4012183B2 - 圧縮成形木材およびその製造方法 - Google Patents

圧縮成形木材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4012183B2
JP4012183B2 JP2004256063A JP2004256063A JP4012183B2 JP 4012183 B2 JP4012183 B2 JP 4012183B2 JP 2004256063 A JP2004256063 A JP 2004256063A JP 2004256063 A JP2004256063 A JP 2004256063A JP 4012183 B2 JP4012183 B2 JP 4012183B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wood
compression
bent portion
dimensional
density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004256063A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006069071A (ja
Inventor
達哉 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Corp filed Critical Olympus Corp
Priority to JP2004256063A priority Critical patent/JP4012183B2/ja
Publication of JP2006069071A publication Critical patent/JP2006069071A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4012183B2 publication Critical patent/JP4012183B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Dry Formation Of Fiberboard And The Like (AREA)

Description

本発明は、圧縮成形木材およびその製造方法に関する。
従来、板状の木材を高温水蒸気雰囲気で金型によりプレス成形することで、3次元形状の圧縮成形木材を製造することが行われている。
一般に木材は、細胞壁が木の伸長方向に延びた木質繊維の集合体であるため、繊維方向と繊維方向と直交する方向では、強度に著しい異方性を有している。例えば木材を繊維方向と直交する軸回りに曲げると木質繊維には主として引張力が作用するため比較的高強度となっているが、繊維方向に平行な軸回りに曲げると木質繊維間が引き裂かれやすいので割れなどが生じやすい。
そこで、成形時に木質繊維間に働く引張力により木質繊維が引き裂かれないようにするために、予め木質繊維間を圧縮したブランク板材を用いて圧縮成形を行うことが知られている。
例えば、特許文献1には、角棒状の製材を繊維方向と直交する方向に圧縮してからスライスすることで板状の一次固定品を形成し、その外周を拘束した状態で成型金型に取り付けて、加熱・吸水処理、成型処理を行い、3次元形状を有する二次固定品を得る木材の加工方法が記載されている。
特許文献2には、同じく繊維方向に直交する方向に圧縮してからスライスした板材を繊維方向と平行な軸回りに曲げて、その状態に仮固定し、曲げの凸方向をプレス型の凸方向に合わせて三次元成形を行う木質材の三次元加工方法が記載されている。
特開平8−25301号公報(第2−4頁、図2、3、6、7、11) 特開平11−77619号公報(第3−5頁、図3、4、6)
しかしながら、上記のような従来の圧縮成形木材およびその製造方法には以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、3次元形状に曲げられた外周側において予め横圧縮された木質繊維間が引張力により圧縮解除されることで伸長するので、繊維間の引き裂きは起こらない。一方、3次元形状に曲げられた内周側では、圧縮された状態からさらに圧縮される。ところが、木材は細胞壁が破壊されるまで圧縮されるとそれ以上圧縮できなくなるため、過剰に圧縮されてこのような領域が生じた場合には、その裏面側の引張応力が過大になってしまう。そのため、引張り側の表面が破壊され、ささくれ立ったり、割れが生じたりするという問題がある。
また、破壊に至らない場合でも、肉厚方向に著しい密度差が生じ、表面がいびつになったり、密度差による変色が発生したりするという問題がある。
特許文献2に記載の技術では、特許文献1と同様な作用を有するとともに、曲げた状態で仮固定してから3次元成形を行うことで、成形中の形状変化を低減することができるため、成形時の歪み変化を低減できるものの、板材から3次元形状を得るための絶対的な歪み量が変るわけではない。そのため、成形形状により、木質材の一部が過大に圧縮される場合には、特許文献1と同様の問題が発生するものである。
また、特許文献1、2のいずれの製造方法においても、繊維方向と直交する方向回りの曲げに対しては、特に考慮されていない。したがって、3次元形状の外周側では、木質繊維が引張力を受け、内周側では圧縮力を受けるが、木質繊維がそのような外力に合わせて伸縮できないために、例えば、表面がささくれ立ったり、割れたり、あるいはいびつになることを防止できないという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、板状のブランク木材を圧縮成形して、2次元または3次元の屈曲部を形成する際、外表面の表面性を向上することができる圧縮成形木材およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、2次元または3次元の屈曲部を有し、少なくとも該屈曲部近傍が略均一肉厚を有する圧縮成形木材であって、前記屈曲部の凸面側表面が、木材を略平面状に切り出して得られる面からなり、前記木材の肉厚方向に圧縮されてなるとともに、前記屈曲部の凸面側と凹面側との肉厚方向の密度が略等しい構成とする。
この発明によれば、屈曲部の肉厚方向で凸面側と凹面側との密度が略等しいので、圧縮されるので、肉厚方向の密度分布が略均一となる。そのため、表面がいびつになったり、圧縮率変化によって変色したりしないようにすることができる。
また、屈曲部の凸面側と凹面側との密度が略等しくなるように圧縮されるため、圧縮しても密度変化が起こらないような過大な圧縮が起こらないから、そのような過大な圧縮により、木材の一部が破損して、表面がささくれ立ったり、割れたりすることを防止することができる。
凸面側表面が木材を略平面状に切り出して得られる面であって、肉厚方向の密度を略等しくするには、木材を凸面側表面となる側を略平面状に切り出した板部材をブランク木材とし、圧縮成形により屈曲部を形成することで密度の増大することになる凹面側の木材を、必要量だけ圧縮前のブランク木材から除去加工しておけばよい。
請求項2に記載の発明では、略平板状のブランク木材を金型で圧縮して2次元または3次元の屈曲部を有し、該屈曲部近傍が略均一肉厚を有する形状に成形する圧縮成形木材の製造方法であって、前記ブランク木材の一方の面を切削して、前記屈曲部の凹面の位置に対応した圧縮逃げ部を形成し、前記屈曲部の凹面を形成する前記金型部位と前記圧縮逃げ部とが対向するように、前記金型に前記ブランク木材を配置して該ブランク木材の肉厚方向に圧縮成形する方法とする。
この発明によれば、屈曲部の凹面が形成される金型部位には圧縮逃げ部を有するようにブランク木材が配置されるから、圧縮成形に際し、圧縮逃げ部の大きさの範囲で、凹面側での木材の集中量が補正され、屈曲部において、肉厚方向に密度の不均衡が形成されないようにすることができる。
また、一部に過大な圧縮応力が生じて、密度変化が生じないような領域が形成されないようにすることができるので、そのような過大な圧縮により、木材の一部が破損して、表面がささくれ立ったり、割れたりすることを防止することができる。
なお、本明細書に言う切削とは、刃物工具を用いた除去加工を意味するものであって、刃物を固定した切削加工に限定されるものではなく、例えば刃物が移動するフライスなどの切削であってもよい。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の圧縮成形木材の製造方法において、前記圧縮成形木材が2次元および3次元の屈曲部を有するものであって、前記3次元の屈曲部の凹面の位置に対応した前記圧縮逃げ部の切削量を前記2次元の屈曲部の凹面の位置に対応した前記圧縮逃げ部の切削量よりも大きくするようにした方法とする
この発明によれば、圧縮逃げ部の切削量を調整することで、木材の屈曲部の密度を制御するので、種々の屈曲部における密度分布を、肉厚方向の密度を略等しくすることを含めて適切な範囲に容易に調整することができる。
本発明の圧縮成形木材およびその製造方法によれば、2次元または3次元の屈曲部において、木材を略平面状に切り出される面を外表面として圧縮成形しても、肉厚方向の密度の不均衡を低減することができるから、外表面の表面性を向上することができるという効果を奏する。
以下では、本発明の実施の形態の詳細について添付図面を参照して説明する。
本発明の実施形態に係る圧縮成形木材およびその製造方法について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る圧縮成形木材の一例について説明するための斜視説明図およびA−A断面図である。
本実施形態の圧縮成形木材1は、図1(a)、(b)に示すように、繊維方向に沿って製材した板状の木材を用いて、一方に開口を有する函状に圧縮成形された部材であり、矩形状の底面部1Aと、その端部から立設された4つの側面部1Bとからなる。
つまり、底面部1Aと側面部1Bとにより、L字状の2次元的な屈曲部が形成されている。すなわち、函の外側、内側にそれぞれ、凸側屈曲部1b、凹側屈曲部2bが形成されている。
また側面部1B、1B同士により、L字状の2次元的な屈曲部が形成されている。すなわち、函の外側、内側にそれぞれ、凸側屈曲部1a、凹側屈曲部(不図示)が形成されている。
また、底面部1A、側面部1B、1Bにより、三角錐状の3次元的な屈曲部が形成されている。すなわち、函の外側、内側にそれぞれ凸側屈曲部1c、凹側屈曲部(不図示)が形成されている。
函の外側の表面は、木材を切り出した平面を折り曲げて形成されている。そのため、外表面に凹凸を設けてから圧縮した場合のように、部分的に木質繊維の破断面が露出したり、表面の木目模様が不自然に屈曲されたりすることがない。
また、圧縮成形木材1の肉厚は、厚さtとされている(図1(b)参照)。そして、肉厚方向の平均的な密度は、屈曲部を含めて略均一とされている。ここで、平均的な密度というのは、自然木材には、もともと年輪や節などの密度ばらつきがあるためである。
したがって、凸側屈曲部1b、1a、1cの近傍の密度と、それぞれに対応する凹側屈曲部2b、および不図示の凹側屈曲部近傍の密度は、平均的に略等しくなっている。
本実施形態の圧縮成形木材1の製造方法について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る圧縮成形木材を形成するためのブランク木材の形状を説明するための平面図、右側面図、裏面図、およびB−B断面図である。図3、4は、本発明の実施形態に係る圧縮成形木材の製造工程について説明するための工程説明図である。
まず木材からブランク板材10(ブランク木材)を製作するために、厚さt(ただし、t>t)の平板を切り出す。平板の大きさは、本実施形態では、圧縮成形木材1の展開寸法より大きくする。このとき、切り出す木材は未圧縮でも、すでに圧縮してあってもよい。
そして、図2に示すように、この平板の一面を、圧縮成形木材1の函の外面を形成する外表面10aとし、その裏面である内表面10bに、切削により、逃げ溝11b…(圧縮逃げ部)、逃げ溝11a…(圧縮逃げ部)、逃げ穴11c…(圧縮逃げ部)を設ける。これら圧縮逃げ部は、圧縮過程で木材が屈曲部の凹面側に集中することで、凹面側が屈曲部の凸面側と比べて高密度になるのを防止するために設けられるものである。
逃げ溝11b…は、圧縮成形木材1の底面部1Aと側面部1Bとで形成される屈曲部の曲げ位置に沿って、平面視矩形状に配置された溝である。
なお、逃げ溝11bの幅、深さなどの形状は、ブランク板材10の繊維方向に平行な場合と、繊維方向に直交する場合とで変えてもよい。そうすることで、より適正な密度の調整を図ることができる場合がある。
逃げ溝11a…は、逃げ溝11b…により形成される矩形の角部から、逃げ溝11b、11bに対して略45°で交差する方向に向けて矩形の外側に延された溝である。この場合、木材の除去量は、側面部1Bの開口側となる方向に除去量が増加するようにすることが好ましい。図示では模式図のため溝幅を略一定に描いているが、溝幅を広げたり、溝深さを深くしたりすることで、木材の除去量を調整できる。
逃げ穴11c…は、逃げ溝11b…により形成される矩形の角部に形成された部分球面状の穴である。逃げ穴11cの大きさは、凸側屈曲部1cの裏面側の凹側屈曲部(不図示)に集中する木材の量により適宜に設定することができる。
ただし、本実施形態のような3次元的な屈曲部では、凸側屈曲部1cの裏面側の凹側屈曲部の方が、2次元的な屈曲部である凹側屈曲部2bおよび凸側屈曲部1aの裏面側の凹部屈曲部(不図示)に比べてより多くの木材が集中する傾向があるので、逃げ穴11cの深さは、逃げ溝11a、11bの深さと同等、もしくはやや深いことが好ましく、逃げ穴11cの平面視の開口径は、逃げ溝11a、11bの幅よりも大きいことが好ましい。
次に、このような圧縮逃げ部が形成されたブランク板材10を、キャビティ側金型3、コア側金型4に対してセットする(図3(a)参照)。
このとき、逃げ溝11b…、逃げ穴11c…は、コア側金型4において、圧縮成形木材1の凹側屈曲部2b…、凸側屈曲部1c…の裏面側の凹側屈曲部の位置に対応する金型凸部6と略対向するように配置する。
そして、図3(b)に示すように、キャビティ側金型3、コア側金型4をスライドし、ブランク板材10を図示上下方向に圧縮する。
このとき、ブランク板材10を軟化させるために、高温高圧水蒸気を噴射しつつ圧縮を行う。例えば、180℃〜200℃程度の高温水蒸気を噴射しつつ圧縮を行う。また、キャビティ側金型3、コア側金型4も同等の温度に加温することが好ましい。このような圧縮工程は、例えば、キャビティ側金型3、コア側金型4を高圧容器内に設置するとより効率的に行うことができる。
このような圧縮工程では、高温水蒸気が木質繊維に膨潤されて木質繊維の柔軟性が増すために、ブランク板材10が金型面に沿って変形しやすくなり、割れなどを起こすことなく金型面の形状を転写することが可能となる。
そして、肉厚がtとなるまで圧縮し、形状が固定されるまで、型締めを保持する(図4(c)参照)。このまま所定時間、型締めを保持し、水分を乾燥させてから脱型する。
そして、ブランク板材10を圧縮成形木材1の展開寸法より大きくとることで、側面部1Bの先端側に形成された縁部7を除去加工する(図4(d)参照)。
このようにして、図1に示すような形状を有する圧縮成形木材1が製造される。
次に、本実施形態の圧縮成形木材の製造方法の作用について説明する。
一般に、2次元または3次元の屈曲部を形成するには、肉厚方向の中央を曲げの中立面として、それより屈曲部の凸側では引張応力、屈曲部の凹側では圧縮応力となる曲げ応力が作用する。一方、本圧縮工程ではさらに全体に圧縮応力が作用するから、屈曲部の凸側では比較的低い圧縮応力、屈曲部の凹側では比較的高い圧縮応力が作用する。
そのため、屈曲部の凹面側では木材の密度が相対的に大きくなる傾向があるが、本実施形態では、屈曲部の凹面に逃げ溝11a、11b、逃げ穴11cなどを設けて木材を除去しておくので、例えば、図3(b)に示すように、逃げ溝11bを設けることで、曲げ圧縮により木材が金型凸部6の近傍に回り込む分を吸収することができる。したがって、屈曲部の凹面側での密度増加を低減することができる。
つまり、圧縮逃げ部の容積を適宜に設定することにより、圧縮後の屈曲部の凹面近傍の密度を制御することができる。例えば、屈曲部の凹面側に集中する木材の量をブランク板材10の体積に換算して圧縮逃げ部の容積を設定することで、屈曲部の凸面近傍および凹面近傍の平均的密度が同等となるようにすることができる。
所望の密度に制御するための圧縮逃げ部の容積は、圧縮率と圧縮成形木材1の形状とから、幾何学的な計算により算出することができる。ただし、より精度よく算出するには、例えば、屈曲部の形状、木材の種類、繊維方向などの要因による木材の変形時の挙動を実験しておき、その実験結果に基づいて適宜補正することが好ましい。
例えば、逃げ溝11bは、繊維方向と平行に設けられる場合と、繊維方向と直交する方向に設けられる場合では、木材の除去量という点では同一の作用効果を有するが、繊維方向により、引張強度、圧縮強度が大きく異なるものである。
そのため、例えば、屈曲部の凸面側が引張りに弱い前者では圧縮逃げ部の深さを比較的浅くし、屈曲部の凹面側での圧縮率があまり期待できない後者では圧縮逃げ部の深さを比較的深くして、それぞれ同量の木材を除去するような形状とする、といったような差を設けることが考えられる。
また例えば、ブランク板材10が予め繊維方向に直交する方向に圧縮されているような場合には、そのような繊維方向に係る圧縮率差に配慮して、圧縮逃げ部の形状を変えるのが好ましいことは言うまでもない。
本実施形態によれば、圧縮逃げ部を設けることで、屈曲部での木材の密度を制御できるので、圧縮成形木材1の外表面の外観を向上することができる。この点について、図5を参照して説明する。
図5は、木材の横圧縮変形時の応力歪み曲線の一例を模式的に示すグラフである。
木材の横圧縮、すなわち木材の繊維方向に直交する方向での圧縮、を行うと、図5に示す曲線20のような応力歪み曲線が得られる。
曲線20は、原点Oから直線的に立ち上がり(a部参照)、b部からより緩やかな傾斜で単調増加し、c部から傾斜が急激に増加するような曲線である。
曲線20のような応力歪み曲線では、圧縮開始からしばらくの間(a部)では、歪みと応力とが略比例する弾性的な変形を示す。
そして、b部から勾配が緩やかな変形が開始される。これは、圧縮荷重方向に配置された細胞壁が圧縮の軸外に曲げ変形を起こすことで、細胞内腔が縮小されるために起こる変化である。
さらに変形が進むと、c部から応力が急激に上昇する。これは、細胞内腔がつぶれることで、圧縮荷重方向の細胞壁同士が接触し始めることが原因である。細胞内腔がつぶれると、変形の余地が少なくなり、細胞壁を厚み方向に圧縮することになる。そして、順次細胞内腔がつぶれていき、d部では、略すべての細胞内腔がつぶれる。
そして、必要に応じて、熱処理や高温水蒸気処理などを行うことにより、その歪み状態が永久固定される。
一方、d部を超えた領域は、デンシフィケーション領域と呼ばれている。この領域では、すべての細胞内腔がつぶれるので、歪みや密度の変化がほとんどなくなる。また、圧縮方向に変形する余地がほとんど無くなるために、圧縮方向と直交する方向への著しい伸長が起こる。このとき木質繊維を構成する細胞壁が破壊される。
このような領域が一部に発生して、さらに圧縮が続けられると、他の領域での歪み量が増大する。例えば、屈曲部の凹側にデンシフィケーション領域に達した高圧縮部が生じると、屈曲部の凸側の歪み量が増大し、表面での引張応力が過大となって、引張り強度を超えて部分的な破壊が生じる。そのため、表面がささくれ立ったり、割れたりして、表面性が劣化するものである。
したがって、強度上の健全性を保つためには、少なくとも、屈曲部の凹面側の密度がデンシフィケーション領域より低密度であることが必要である。
例えば、密度が0.3g/mmのスギ材の場合、デンシフィケーション領域となる変形量は約76%と言われており、この場合、密度1.25g/mmに到達するとデンシフィケーション領域に入ることになる。
デンシフィケーション領域に至らない密度であっても、図5のc部を超える密度では、歪み増加量に対して応力が急激に増大する。この場合、金型凸部6の近傍に変形する余地の少ない木材が集中することで、屈曲部の凸面側の歪みが増大することになる。
したがって、屈曲部の凸面側での引張応力により、凸側屈曲部1a、1b、1cの表面性が劣化する。具体的には、繊維間に細かな割れが発生してけばだったり、引張応力のため比較的低密度の部分で表面が凹んだり、金型面との擦れにより変色したり、といった外観上の不良が発生する恐れがある。
本実施形態では、屈曲部の凹面側の密度を低減することができ、c部を超えない密度範囲に収めることができるので、このような屈曲部の凸面での外観不良を防止することができる。
また、本実施形態の圧縮成形木材の製造方法によれば、略均一肉厚であって、屈曲部であっても肉厚方向の密度の差を低減できるので、密度の相違、すなわち圧縮率の相違による変色を低減することができる。また、一部に過大な圧縮力が作用することもないので、木材の一部が破損して、表面がささくれ立ったり、割れたりすることもない。したがって、圧縮成形による部分的な変色を抑制することができ、圧縮成形木材の外観を向上することができる。
また、本実施形態の圧縮成形木材によれば、圧縮成形により木材の強度が向上され、略均一肉厚、略均一密度の3次元的な形状とされる。そして、木材の持つ強度の異方性が格段に改善される。したがって、例えば、筐体用材料などとして、合成樹脂成形品や金属などの代替部材として好適に用いることができる。
なお、上記の説明では、説明の簡単のために、2次元または3次元の屈曲部を有する形状の例として、一方が開口する函状の形状の例で説明したが、本発明の圧縮成形木材の形状はそのような形状に限定されるものではない。必要に応じて、適宜に変形した形状を採用することができる。
例えば、キャビティ側金型の一部に凸部が形成され、外表面の一部に凹面を有する形状であってもよい。この場合、凹面となる部位のブランク木材の裏面側に圧縮逃げ部を設けることにより、凹面側に集中する木材の密度を裏面側に逃がすことができるから、同様にして圧縮逃げ部の形状を調整することで密度の不均衡を補正することができるものである。
また、上記の説明では、圧縮成形木材として、屈曲部、屈曲部以外がいずれも略均一な肉厚を有する場合で説明したが、屈曲部以外の部位では、肉厚が変化していてもよい。
これは、屈曲部以外の板状部は、一般に圧縮を受けても略一様に圧縮されるため、肉厚が変っても、表面側と裏面側との間で密度が変ることはなく、肉厚方向には圧縮逃げ部を設けて密度分布の不均衡を制御する必要がないからである。
また、上記の説明では、圧縮逃げ部を、溝、穴などの形状により、所定範囲を一様に除去する例で説明したが、圧縮逃げ部は、圧縮後に密度が調整できるように除去加工すればよく、溝や穴を形成する除去加工には限定されない。
例えば、屈曲部の凹面に年輪や節などの局部的な高密度が存在するのが明らかな場合、一様に切削するのではなく、そのような高密度部を選択的に除去加工してもよい。
また例えば、屈曲部の凹面側を、断面がV字状の複数の切込みを、線状またはメッシュ状に設けるような除去加工してもよい。
本発明の実施形態に係る圧縮成形木材の一例について説明するための斜視説明図およびA−A断面図である。 本発明の実施形態に係る圧縮成形木材を形成するためのブランク木材の形状を説明するための平面図、右側面図、裏面図、およびB−B断面図である。 本発明の実施形態に係る圧縮成形木材の製造工程について説明するための工程説明図である。 同じく図3に続く製造工程について説明するための工程説明図である。 木材の横圧縮変形時の応力歪み曲線の一例を模式的に示すグラフである。
符号の説明
1 圧縮成形木材
1a、1b、1c 凸側屈曲部(屈曲部の凸面)
2b 凹側屈曲部(屈曲部の凹面)
3 キャビティ側金型(金型)
4 コア側金型(金型)
10 ブランク板材(ブランク木材)
10a 外表面
10b 内表面(ブランク木材の一方の面)
11a、11b 逃げ溝(圧縮逃げ部)
11c 逃げ穴(圧縮逃げ部)

Claims (3)

  1. 2次元または3次元の屈曲部を有し、少なくとも該屈曲部近傍が略均一肉厚を有する圧縮成形木材であって、
    前記屈曲部の凸面側表面が、木材を略平面状に切り出して得られる面からなり、
    前記木材の肉厚方向に圧縮されてなるとともに、前記屈曲部の凸面側と凹面側との肉厚方向の密度が略等しいことを特徴とする圧縮成形木材。
  2. 略平板状のブランク木材を金型で圧縮して、2次元または3次元の屈曲部を有し、該屈曲部近傍が略均一肉厚を有する形状に成形する圧縮成形木材の製造方法であって、
    前記ブランク木材の一方の面を切削して、前記屈曲部の凹面の位置に対応した圧縮逃げ部を形成し、
    前記屈曲部の凹面を形成する前記金型部位と前記圧縮逃げ部とが対向するように、前記金型に前記ブランク木材を配置して該ブランク木材の肉厚方向に圧縮成形することを特徴とする圧縮成形木材の製造方法。
  3. 前記圧縮成形木材が2次元および3次元の屈曲部を有するものであって、前記3次元の屈曲部の凹面の位置に対応した前記圧縮逃げ部の切削量を前記2次元の屈曲部の凹面の位置に対応した前記圧縮逃げ部の切削量よりも大きくすることを特徴とする請求項2に記載の圧縮成形木材の製造方法。
JP2004256063A 2004-09-02 2004-09-02 圧縮成形木材およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4012183B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004256063A JP4012183B2 (ja) 2004-09-02 2004-09-02 圧縮成形木材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004256063A JP4012183B2 (ja) 2004-09-02 2004-09-02 圧縮成形木材およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006069071A JP2006069071A (ja) 2006-03-16
JP4012183B2 true JP4012183B2 (ja) 2007-11-21

Family

ID=36150182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004256063A Expired - Fee Related JP4012183B2 (ja) 2004-09-02 2004-09-02 圧縮成形木材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4012183B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103568094A (zh) * 2013-10-15 2014-02-12 陈君 实木与多层板结合的家具及其成型工艺

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4847261B2 (ja) * 2005-09-28 2011-12-28 オリンパス株式会社 木材の加工方法
JP5935032B2 (ja) * 2009-11-02 2016-06-15 国立研究開発法人森林総合研究所 木製単板容器の製造方法とこれにより製造した木製単板容器ならびに木製単板容器製造ホットプレス装置
WO2024062462A2 (en) * 2022-09-23 2024-03-28 Sacmi Cooperativa Meccanici Imola Societa' Cooperativa Method and dose for forming an object with a natural fibre-based material

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103568094A (zh) * 2013-10-15 2014-02-12 陈君 实木与多层板结合的家具及其成型工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006069071A (ja) 2006-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3078452B2 (ja) 木材の加工方法
JPH1177619A (ja) 木質材の三次元加工方法
RU2401194C1 (ru) Плоская бамбуковая панель
KR101854198B1 (ko) 프리 크랙킹 과정을 포함한 글래스기판 분단방법
JP2009166397A (ja) 竹長維管束集合体およびその製造方法、並びにこれを用いたブロック材
JP4598797B2 (ja) 木材の加工方法
US7670531B2 (en) Method for producing formed wooden article
JP4012183B2 (ja) 圧縮成形木材およびその製造方法
EP2529906A1 (en) Method for producing compressed wood product
KR102293622B1 (ko) 차량용 판재의 제조방법
JP4176087B2 (ja) 木材成形品の製造方法
JP2011189571A (ja) 圧縮木製品の製造方法
JP2877962B2 (ja) アクスルケース側板の製法
CN110064692B (zh) 一种应用于屏蔽罩凸包的制造方法
JPH11291207A (ja) 木目板及びその製造方法
JP2000153510A (ja) 圧縮木材及びその製造方法
JP5248949B2 (ja) 木材の成形方法
JP4176086B2 (ja) 木材成形品の製造方法
Penneru et al. Strain analysis in bulk forming of wood
JP2007261041A (ja) 木材の割れ発生防止方法
JP4328331B2 (ja) コア金型、キャビティ金型、および木材加工装置
JP2004058350A (ja) 無機質外装材及びその製造方法
JP4020901B2 (ja) 圧縮成形木材、その製造方法、およびそれを用いた電子機器の外装材
JP2011148275A (ja) 圧縮木製品の製造方法、および圧縮木製品
JPH0252125A (ja) ディンプルプレートの成形方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070116

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070314

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070612

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070828

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070906

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110914

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120914

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130914

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees