JP4176087B2 - 木材成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
一般に木材は、細胞壁が木の伸長方向に延びた木質繊維の集合体であるため、繊維方向と繊維方向に直交する方向とでは、強度に著しい異方性が存在する。例えば木材を繊維方向と直交する軸回りに曲げると、木質繊維には主として引張力が作用するため比較的高強度となっているが、繊維方向に平行な軸回りに曲げると、木質繊維間が容易に引き裂かれるために割れが生じる。
そのため、成形時に木質繊維間に働く引張力により、木質繊維が引き裂かれないようにするために予め木質繊維間を1次圧縮したブランク板材を形成してから、さらに2次圧縮を行って成形することが知られている。
例えば、特許文献1には、角棒状の製材を繊維方向と直交する方向に圧縮してからスライスすることで板状の一次固定品を形成し、その外周を拘束した状態で成形金型に取り付けて、加熱・吸水処理、成形処理を行い、3次元形状を有する二次固定品を得る木材の加工方法が記載されている。
また特許文献2には、同じく繊維方向に直交する方向に圧縮してからスライスした板材を繊維方向と平行な軸回りに曲げて、その状態に仮固定し、曲げの凸方向をプレス型の凸方向に合わせて三次元成形を行う木質材の三次元加工方法が記載されている。
特許文献1に記載の技術では、3次元形状に曲げられた外周側では、金型に沿って予め圧縮された木質繊維間が圧縮を解除されることにより伸びることができるため、二次固定品を成形する2回目の圧縮成形で繊維間の引き裂きが起こらないものの、脱型後の製品の圧縮率が不均一となり、強度の異方性や圧縮率の相違による変色などが生じるという問題がある。
また、木材は、樹脂とは異なり収縮変形は比較的容易であるが、流動体でないため、引張り力に対する伸び変形が難しく、圧縮力と交差する方向への滑り変形も木質繊維の方向により著しい異方性を示す。つまり変形しやすい方向が制約されてしまう。
そのため、平面状のブランク木材に外側に凸の形状を形成する外表面に強い引張り力が作用し木質繊維が切断され、木質繊維が連続する場合に比べて木材の外観が著しく劣化するという問題がある。
また、3次元形状に成形する際、変形しにくい方向に圧縮される部位での圧縮抵抗が大きくなる。例えば、特許文献1の技術でも予め圧縮されていない方向であって、木質繊維を折り曲げる方向の成形では圧縮抵抗が大きくなってしまう。
また、例えば函状の圧縮成形では、函の側面部を金型のスライド方向と直交する方向に圧縮する必要があるが、一方向にスライドする金型ではそのような圧縮力成分は小さくなってしまうので、函の側面部からの圧縮抵抗が大きくなるという問題がある。そのため、大きなプレス力を必要としたり、そのような方向の圧縮面に激しい擦れが生じて外観を損なわれたりするといった問題がある。
この場合、函の底部だけでなく函の側面部の法線方向にもスライドする多方向のスライド金型を用いることも考えられるが、その場合、金型の製造コストが増大するとともに成形工程が複雑化するという問題がある。
特許文献2に記載の技術では、特許文献1と同様な作用を有するとともに、曲げた状態で仮固定してから3次元成形を行うことで、成形中の折り曲げに伴う形状変化を低減することができるため、成形時の歪み変化を比較的低減できるものの、脱型後の製品に強度の異方性が残存する点、引張り力により外観が劣化しやすい点、2次圧縮において、スライド方向に略直交する方向に厚みを有する板面の圧縮抵抗が大きい点は、特許文献1の場合と同様である。
この発明によれば、1次ブランク形成工程において、最終的な3次元形状と略同形状が形成される部位に略対応する裏面側の部位に1次圧縮の逃げ部を切削加工し、1次圧縮工程において1次ブランク部材の一部に3次元形状を転写してその近傍に高圧縮部を形成した1次圧縮品を加工するので、逃げ部が形成された分だけ1次圧縮工程の成形負荷が軽減され、逃げ部の裏面側で引張り力による木質繊維の断裂などを防止することができる。そして比較的圧縮抵抗が少ない状態で1次圧縮品に3次元形状を転写することができる。そして、2次ブランク加工工程では、その3次元形状を表面に残し、それ以外の部分を切削加工して2次ブランク部材を形成する。その際、1次ブランク形成工程で加工され1次圧縮工程で圧縮された凹部は除去加工される。そして2次ブランク部材を2次金型により圧縮して最終的な3次元形状を転写する。したがって、2次ブランク部材の形状を適宜調整することにより、2次圧縮工程で成形する3次元形状の圧縮抵抗、圧縮量を低減することができる。そのため、2次圧縮工程におけるプレス力や木材成形品への成形負荷を低減することができる。また、1次ブランク形成工程による逃げ部の切削跡が最終的な成形品に残らない。
また、1次圧縮品に形成され2次ブランク部材に残された3次元形状は、1次圧縮工程において比較的圧縮抵抗が少ない状態で成形されるため表面の外観に優れており、2次圧縮工程において2次金型の3次元形状に略沿って圧縮されるために、例えば2次圧縮による金型との擦れなどにより外観が劣化することなく再圧縮される。
この発明によれば、1次ブランク部材の1次圧縮の逃げ部が、1次金型の金型面の3次元形状の屈曲部に当接する部位の略裏面側に設けられるので、1次金型の屈曲部から圧縮力を受ける際に逃げ部により圧縮率が軽減される。そのため、屈曲部に当接する部位で引張り力が低減されるので、成形負荷が軽減されるとともに木質繊維の断裂を防止することができる。
この発明によれば、2次ブランク加工工程において、1次圧縮品に形成された高圧縮部が相対的に厚い(薄い)部分では、2次ブランク部材の板厚を薄く(厚く)なるように切削加工するので、2次ブランク部材を2次圧縮工程で圧縮する際、予め形成された高圧縮部近傍の2次圧縮の圧縮率は相対的に小さく、それ以外の部分の2次圧縮の圧縮率は相対的に大きくなる。そのため、全体として、圧縮率の均一性が良好な木材成形品を製造することができる。
この発明によれば、2次ブランク部材を、2次金型のスライド方向に厚みを有する部分で肉厚が厚く、スライド方向に交差する方向に厚みを有する部分で薄くなるように切削加工するので、2次圧縮時の圧縮抵抗を低減することができる。
この発明によれば、スライド方向に略直交する方向の底部の周辺からスライド方向に向かって屈曲された側面部の形状と略同形状を、1次圧縮工程において高圧縮部として転写するので、一方向へのスライドにより圧縮成形を行う金型構造の場合に木材の成形性が悪化しやすい側面部の形状が1次圧縮工程で精度よく形成され、2次圧縮工程で劣化されることなく再圧縮される。
本発明の実施形態に係る木材成形品の製造方法について説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る木材成形品の製造方法で製造された木材成形品について説明するための斜視説明図である。図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。図2(a)、(b)は、本発明の実施形態に係る木材成形品の1次ブランク形成工程で形成される1次ブランク部材のそれぞれ成形面裏面側、成形面表面側から見た斜視説明図である。図3(a)、(b)は、本発明の実施形態に係る木材成形品の製造方法の1次圧縮工程について説明するための断面説明図である。図4(c)は、同じく2次ブランク加工工程について説明するための断面説明図である。図4(d)、同じく2次圧縮工程について説明するための断面説明図である。図5は、同じく2次圧縮工程が完了した状態について説明するための断面説明図である。図3〜5の各断面説明図の断面方向は、いずれも図1(a)のA−A線に沿う断面に相当する。
以下、図1(a)、(b)に示すような木材成形品1を例にとって説明する。
すなわち、底部1aと側面部1b、1c、1d、1eとで形成される稜線部の外面側には、R状をなして金型に沿って折り曲げられた屈曲部1B、1C、1D、1Eが形成されている。
このような木材成形品1の形状を以下では、最終的な3次元形状と称する。
底部1a、側面部1b、1c、1d、1eは、それぞれの板厚が異なっていてもよいが、本実施形態では、一定厚さtであるとして説明する。また、木材成形品1の底部1aから上側開口部1fまでの高さはHである。ここで、H>tである。また、図1(b)に示すように、図1(a)のA−A線に沿う側面部1c、底部1a、側面部1eの外面側の長さをLsと表す。
なお、木材は、空孔を有する木質繊維からなり、またそれらの粗密により木目、節などが形成されており、微視的に不均一な構成を有する。したがって、密度とは、巨視的な意味で用いており、乾燥時における見かけ上の平均的な密度のことを意味する(以下も同様)。
木材の種類としては特に限定されない。例えば檜、檜葉、桐、チーク、マホガニー、杉、松、桜、竹などを好適に採用することができる。
なお、以下の説明では、図1のA−A線に沿う断面で説明するため、断面図に現われない側面部1b、1dなどには言及しないが、特に断らない限り、例えば側面部1c、1eについて成り立つことは側面部1b、1dについても成立する。これらの間には、幅形状の違いと、木材からの切り出し方向による繊維方向に対する向きの違いがあるだけである。
長辺L0は、それぞれ木材成形品1の側面部1c、底部1a、側面部1eの外側面の長さと略同等または長い設定とされ、短辺W0は、側面部1b、底部1a、側面部1d、の外側面の長さと略同等または長い設定とされる。例えば、長辺L0の長さは、図1(b)の長さLsと略同等またはLsより長く設定されている。
ここで、略同等または長いとは、表面2aにより略木材成形品1の外面を形成できる程度の長さであることを意味する。例えば、長辺L0などの方が短くても吸水時の伸びや引張り力の伸びにより同等以上の長さとなる場合や、後で余分の長さを切断できるように、長辺L0などの方がLsよりもわずかに長い場合などを含む。
逃げ部2cは、後述する1次金型による1次圧縮の際、成形面が引っ張られ過ぎないような大きさ・部位に形成される。本実施形態では、1次金型により、最終的な3次元形状と略同形状を有する形状として、屈曲部1B、1C、1D、1Eと略同形状を形成するので、それらに対応する屈曲形成部2d(図2(b)参照)の裏面側に設けられる。
すなわち、1次ブランク部材2を、最終的な3次元形状の一部に略沿う形状の金型面が少なくともいずれかに形成された1次金型10A、10Bに対してセットする。
このとき、1次ブランク部材2を軟化させるために、例えば120℃〜200℃程度の高温高圧水蒸気を噴射しつつ圧縮を行う。または、40℃以上の熱湯で所定時間煮沸した後、120℃〜200℃程度の高温高圧環境下で圧縮を行ってもよい。また、1次金型10A、10Bも同等の温度に加温することが好ましい。
また、1次金型10Bは、金型ベースから平面視矩形状の突起部10cが突出され、その中央に最終的な3次元形状の外面側に略沿う3次元形状が形成された金型面10bを備えている。金型面10bには、木材成形品1の屈曲部1B、1C、1D、1Eに対応して、それらの断面方向のRと略同じR形状が形成された内R部10dが形成され、屈曲形成部2dを内R部10dに沿って湾曲させることができるようになっている。
そのため、1次ブランク部材2は、金型面10bおよび突起部10cの形状に応じて、部位により不均一な圧縮力を受ける。
一方、逃げ部2cは、周囲から圧縮されてより容積が収縮された溝部20cへと変形される。このため、逃げ部2cがない場合に比べて近傍での圧縮率が緩和される。すなわち、突起部10cにより過大な圧縮力が発生して、高圧縮部20aの圧縮率が木材の空孔が完全につぶれて圧縮不可能となるいわゆる限界圧縮率を超えることを防止することができる。
このように、突起部10cから遠ざかるにつれて相対的に密度が低い低圧縮部20bが形成される。したがって、図3(b)に示すように、木材成形品1の底部1aの外面形状に相当する金型面10bにおいては、突起部10cの近傍を除いての高圧縮部20aは発生しない。
そして、突起部10cから離れた部位では、図3(b)に示すように、厚さH0の1次ブランク部材2が略厚さH1(ただし、H1<H0)となる略一定の圧縮率での圧縮が進行する。ここで、厚さH1は、厚さH0の2/3程度であることが好ましい。つまり相対的な低圧縮率の一例としては、33%程度とすることが好ましい。
木材成形品1に必要とされる密度を超えそうな場合には、例えば、逃げ部2cの大きさや形状を適宜に設定したり、そのような部位に対応する金型面10aに適宜の逃げ形状を設けたりするなどしておくとよい。
また、突起部10cの近傍に高圧縮部20aが形成されるものの、隣接する大部分の領域には低圧縮部20bが形成されるので、一様な圧縮を受けて高圧縮部20aのみが1次金型10A、10Bに挟持されて形成される場合に比べて、高圧縮部20aに対する変形負荷が低減され、木質繊維の割れや金型面に対する擦れの発生を防止できる。
特に、内R部10dでは、1次ブランク部材2が屈曲されることにより高密度となりやすいが、屈曲形成部2dの裏面側に逃げ部2cを設けるので、逃げ部2cがない場合に比べて高圧縮部20aの密度を低減することができる。それにより屈曲形成部2dの引張り力が低減され、成形面の引張り変形やそれによる木質繊維の断裂などを防止することができる。
また、1次金型10A、10Bは、スライド方向が一方向のもっとも簡素な金型であり、高精度で複雑な形状を有する金型面も一部に限られるため、簡素な金型となっている。
2次ブランク部材21は、1次圧縮品20を金型面10aに当接した(図示上面)側から平面切削して開口側端面21gを形成し、その内側に凹穴状の切削加工面21fを形成したものである。図4(c)において、切除部などは二点鎖線により示している。
すなわち、木材成形品1と同様なタイプの開口を有する函状の構造体であり、その外面が木材成形品1の最終的な3次元形状と略同一とされ、内面が切削加工面21fにより形成されている。
例えば、図4(c)に示すように、2次ブランク部材21の底部では、高圧縮部20aが形成されないので、底部1次成形面21aからの厚さを、例えば最も厚い厚さt3(ただし、t3>t)とする。
このとき2次ブランク部材21の側面部では、高圧縮部20aの厚さが、底部1次成形面21a側から開口側端面21g側に向けて漸増しているので、例えば、開口側端面21gで厚さt1(ただし、t3>t1≧t)、切削加工面21fの底部近傍では、厚さt2(ただし、t3≧t2>t1)となるように切削加工する。本実施形態では、開口側端面21g近傍でほとんど高圧縮部20aとされているので、厚さt1は、t1=tとするか、またはt1>tとする場合でも2次圧縮時にいわゆる限界圧縮率を超えない程度の値とする。
このように、切削加工面21fの側部は、開口側端面21gから底部に向かって側面部1次成形面21c、21eなどよりも緩やかに傾斜した傾斜面とされている。
そして、2次ブランク部材21の側面部では、高圧縮部20aは開口側端面21gに向けて漸増するのに対して、低圧縮部20bは同方向に向けて漸減する形状となっている。
厚さt1、t2、t3などの寸法、すなわち切削加工面21fを形成するための加工形状は、1次圧縮工程で形成される高圧縮部20aと低圧縮部20bとの密度分布を、例えば実験、数値シミュレーションなどにより調べておき、2次圧縮工程後に木材成形品1に必要とされる密度が得られるように設定することができる。
つまり、必要な板厚tおよび密度ρに対して、高圧縮部20aの厚さおよび密度が不足する量を調べ、それらを補う低圧縮部20bが残されるように切削加工面21fの形状を設定する。
したがって、切削加工面21fの形状設定により、木材成形品1の密度を一定にしたり、可変したりすることができる。木材の圧縮後の密度分布は、表面の着色分布となって現われるので、外観を重視する用途では、密度のバラツキが少ないようにすることが好ましい。
このとき、2次ブランク部材21を軟化させるために、例えば120℃〜200℃程度の高温高圧水蒸気を噴射しつつ圧縮を行う。または、40℃以上の熱湯で所定時間煮沸した後、120℃〜200℃程度の高温高圧環境下で圧縮を行ってもよい。また、コア金型30A、キャビティ金型30Bも同等の温度に加温することが好ましい。
図6は、本発明の実施形態に係る2次圧縮工程の作用について説明するための図1(a)のA−A断面視の動作説明図である。図7(a)、(b)は、従来の木材成形品の製造方法に係る圧縮工程の作用について説明するための図1(a)のA−A断面に相当する断面視の動作説明図である。
そして、さらにスライドされるにつれ、切削加工面21fの側部では、金型面30aの側面が金型面30aの先端側、すなわち切削加工面21fの側部の底部側から徐々に2次ブランク部材21を圧縮していき、最後に開口側端面21g近傍が圧縮される。
また、切削加工面21fの底部では、金型面30bから高さt3以下となってから底部全体で圧縮が進行する。
まず、図7(a)に示すように、木材を圧縮成形後の形状よりもやや大きい3次元形状に切削加工した3次元ブランク6を用いる場合について説明する。3次元ブランク6は、1次圧縮されていない場合でも、均一に1次圧縮された部材から切削する場合でも、本実施形態と比べて、3次元ブランク6の肉厚が厚くなる。例えば、底部の厚さT0はT0≧t3であり、側面部の厚さt6〜t7は、それぞれt6>t1、t7≧t2である。
また、3次元ブランク6を、コア金型30A、キャビティ金型30Bで圧縮する圧縮率が、本実施形態より大きくなり、それだけ大きなプレス力が必要となってしまう。
その結果、側面部での金型との擦れが大きくなるとともに、底部の圧縮率が不均一になり、いずれも木材成形品の外観を劣化させる原因となる。
図7(b)に示すように、ブランク平板5をコア金型30A、キャビティ金型30Bで圧縮成形する場合、まず金型面30aの先端でブランク平板5に当接しながら屈曲させる。このとき、屈曲部で割れなどが発生しやすい。
さらにスライドすると、略均一肉厚の成形を行う金型では、スライド方向に対して傾斜する金型面間では、スライド方向に直交する場合に比べてより急速に距離が狭まるから、底部に比べて側面部での圧縮が先行する。例えば、図7(a)において側面部の厚さt5、底面部の厚さT0とすると、圧縮過程でt5<T0である。
このため、底面部が十分圧縮される前に側面部で大きな圧縮抵抗が発生し、側面部が先行して圧縮される。そして、周辺部が拘束された状態で、底部が圧縮され、側面部および底部が著しく引っ張られながら圧縮される。
その結果、側面部での金型との擦れが大きくなるとともに、底部の圧縮率が不均一になり、いずれも木材成形品の外観を劣化させる原因となる。
また、1次ブランク部材を、1次圧縮工程において最終的な3次元形状の少なくとも一部が形成された1次金型の金型面に当接して屈曲部が形成される部位の裏面側に凹部が設けられた形状とするので、裏面側の圧縮力が軽減され、金型面に当接する面に過大な引張り力が生じないので、1次圧縮品の成形面が過大に延ばされることで断裂したり、金型面と擦れたりしないので、優れた外観を有する成形面が得られるという利点がある。
また、1次圧縮工程で、未圧縮の状態から圧縮抵抗が少ない状態で木材を圧縮して一部の3次元形状を略形成しておくので、2次ブランク部材に高品質の圧縮面を形成することができるとともに、2次ブランク部材の切削量を低減できるので、2次ブランク部材の製造が容易となるという利点がある。
本変形例は、上記実施形態における1次ブランク部材に形成する逃げ部の形状を変えた変形例である。以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
図8(a)、(b)は、本発明の実施形態の変形例に係る木材成形品の製造方法の1次圧縮工程について説明するための断面説明図である。
1次ブランク部材25は、1次ブランク部材2の逃げ部2cに代えて、傾斜切削部25c(1次圧縮の逃げ部)を設けたものである。
傾斜切削部25cは、長辺×短辺×高さが、L0×W0×H0の平面視略矩形状のブロック部材の裏面2b側の稜線部を切削して、緩やかな傾斜面を形成したものである。それにより、図8(b)に示すように、突起部10cの近傍の高圧縮部20aの大きさや、その圧縮率を適宜に設定できるようにするものである。
図示では、傾斜面は曲面としているが、平面による面取りとしてもよいし、例えば断面が波形などの適宜の曲面としてもよい。傾斜切削部25cの大きさの設定の仕方については、逃げ部2cの場合と同様である。
また上記の説明では、1次圧縮工程に用いる1次金型10Bと2次圧縮工程に用いるキャビティ金型30Bとを別部材としたが、1次金型10Bの金型面10bの形状が木材成形品1の最終的な3次元形状と全く同形状である場合は、2次圧縮工程に用いるキャビティ金型として1次金型10Bを流用してもよい。
またその場合、1次ブランク部材の凹部は、内面側の3次元形状の凹凸に応じてその屈曲部に対応する外面側に設ける。それにより、例えば内面側に成形品として凹形状が形成される場合、外面側に形成された凹部が1次圧縮時に引張り力を受けて拡がるため、内面側への圧縮力が軽減される。また、凹部がつぶされても凹部がない場合に比べて密度が低減される。
例えば、上記の説明の1次ブランク部材に形成された平面視の角R形状は、本実施形態の木材成形品の平面視形状の角の丸みに対応して設けられたものである。
1a 底部
1b、1c、1d、1e 側面部
1f 上側開口部
1B、1C、1D、1E 屈曲部
2、25 1次ブランク部材
2a 表面
2b 裏面
2c 逃げ部(1次圧縮の逃げ部)
2d 屈曲形成部
10A、10B 1次金型
10a、10b 金型面
10c 突起部
10d 内R部
20、26 1次圧縮品
20a 高圧縮部
20b 低圧縮部
20c 溝部
21 2次ブランク部材
21a 底部1次成形面
21c、21e 側面部1次成形面
21f 切削加工面
21g 開口側端面
25c 傾斜切削部(1次圧縮の逃げ部)
30A コア金型(2次金型)
30B キャビティ金型(2次金型)
30a、30b 金型面
Claims (5)
- 木材を切り出して1次ブランク部材を形成し、1次圧縮時に少なくとも一部に成形品の最終的な3次元形状と略同形状を形成し、その後2次圧縮を行って、前記1次ブランク部材を、最終的に略一定肉厚を有する3次元形状に成形する木材成形品の製造方法であって、
前記1次ブランク部材を形成する際に、前記最終的な3次元形状と略同形状が形成される部位に略対応する裏面側の部位に前記1次圧縮の逃げ部を切削加工する1次ブランク形成工程と、
前記1次ブランク部材を、一部に前記最終的な3次元形状と略同形状の金型面を有する1次金型により圧縮成形して、前記金型面近傍に相対的な高圧縮部を形成した1次圧縮品に加工する1次圧縮工程と、
前記1次圧縮品を切削加工して、前記高圧縮部に転写された3次元形状を表面に残した2次ブランク部材を形成する2次ブランク加工工程と、
前記2次ブランク部材を、前記最終的な3次元形状を転写するための2次金型により圧縮成形する2次圧縮工程とを設けたことを特徴とする木材成形品の製造方法。 - 前記1次ブランク形成工程で形成される前記1次ブランク部材の前記逃げ部が、前記1次圧縮工程で圧縮成形される際に前記1次金型の金型面の3次元形状の屈曲部に当接する部位の略裏面側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の木材成形品の製造方法。
- 前記2次ブランク部材は、その肉厚が、前記高圧縮部が相対的に厚く形成された部位では薄く、相対的に薄く形成された部位では厚くなるように切削加工されることを特徴とする請求項1また2に記載の木材成形品の製造方法。
- 前記2次ブランク部材は、その肉厚が、前記2次金型のスライド方向に厚みを有する部分に比べて、前記2次金型のスライド方向に交差する方向に厚みを有する部分で相対的に薄くなるように切削加工されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の木材成形品の製造方法。
- 前記略一定肉厚を有する3次元形状が、前記2次金型のスライド方向に略直交する方向に延びる底部と、該底部の周辺から前記2次金型のスライド方向に向かって屈曲する側面部とを有する形状であって、
前記1次圧縮工程において前記側面部の形状と略同形状が転写された高圧縮部が形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の木材成形品の製造方法。
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