JP4012005B2 - セメント添加剤用共重合体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカルボン酸系共重合体及びセメント添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカルボン酸系共重合体は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等のセメント添加剤成分として広く用いられており、セメント組成物から土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。このようなポリカルボン酸系共重合体を含むセメント添加剤は減水剤として用いられ、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、硬化物の強度や耐久性等を向上させる作用を有することになる。このような減水剤は、従来のナフタレン系等の減水剤に比べて高い減水性能を発揮するため、高性能AE減水剤として多くの実績がある。
【0003】
高性能AE減水剤として、メタクリル酸とメタクリル酸ポリエチレンオキシドエステルとの共重合体等が用いられているが、従来のポリカルボン酸系のセメント添加剤は、充分な減水性を確保した場合、粘性が高いコンクリートになっていた。このため、コンクリートを取扱った場合、「コンクリートへスコップが入りにくい」、「スコップからコンクリートが離れにくい」、「コンクリートの瑞々しさがない」、「ポンプ圧送時に、ポンプへの負荷が大きい」などの問題点があり、作業性・取扱い性を改善する必要があった。
特開2000−191356号公報には、化合物Aとして特定のポリアミン系単量体と、化合物Bとして特定の不飽和カルボン酸系単量体と、化合物Cとして特定のポリオキシアルキレン系単量体とを、一定割合で共重合させた水溶性両性型共重合体を主成分とするセメント分散剤に関し、超高強度コンクリートのための分散剤として用いることができ、現場作業性に優れることが開示されている。しかしながら、この分散剤を水セメント比が60〜30重量%のコンクリートに応用した場合、スランプ保持性が不足する、粘性が高く作業性・取扱い性が悪いコンクリートになるなどの問題点があり、幅広い水セメント比のコンクリートに対して、作業性を向上し、かつ、高い性能や品質を発揮させることができる共重合体を研究する余地があった
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、幅広い水セメント比のセメント組成物等の減水性や作業性を優れたものとし、流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすく、しかも、経時的に流動性、取扱い易さの変化を少なくすることができるポリカルボン酸系共重合体、それを含んでなるセメント添加剤及びセメント組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、超高強度用減水剤に用いることができるポリカルボン酸系共重合体について鋭意研究を進めた結果、不飽和カルボン酸系単量体(A)、モノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)及び不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)を含む単量体成分を共重合してなることを特徴とするポリカルボン酸系共重合体に着目し、このような共重合体が幅広い水セメント比のセメント組成物等の減水性や作業性を優れたものとし、流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすく、しかも、経時的に流動性、取扱い易さの変化の少なくいセメントセメント組成物を提供する事ができることを見いだした。
【0006】
また、不飽和カルボン酸系単量体(A)を1〜50重量%、モノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)を20〜99重量%、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)を0.1〜60重量%、不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)を0.1〜30重量%含む単量体成分を共重合したポリカルボン酸系共重合体がより好適である事を見いだした。
【0007】
更に、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)がオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系不飽和単量体が好適であることを見いだした。
【0008】
すなわち本発明は、不飽和カルボン酸系単量体(A)、モノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)及び不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)を含む単量体成分を共重合して得られるポリカルボン酸系共重合体を含んでなるセメント添加剤であって、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)が不飽和基と2つ以上ポリオキシアルキレン基とを有するポリアルキレンイミン系単量体であり、不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)が不飽和カルボン酸エステル化物であることを特徴とするセメント添加剤である。
また、本発明は、少なくとも水、セメント、セメント添加剤を含んでなるセメント組成物において、該セメント添加剤は、上記のセメント添加剤を用いることを特徴とするセメント組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、不飽和カルボン酸系単量体(A)、モノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)及び
不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)により形成される繰返し単位が有する機能と相まって幅広い水セメント比率のセメント組成物等の減水性や作業性を優れたものとし、流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすく、しかも、経時的に流動性、取扱い易さの変化を少なくすることができる。
【0011】
不飽和カルボン酸系単量体(A)により形成される繰返し単位が、本発明のポリカルボン酸系共重合体をセメント粒子に吸着させる機能を発揮させることになると考えられる。
モノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)により形成される繰返し単位が、オキシアルキレン基の親水性と立体反発とによりセメント組成物の分散性を向上させる機能を発揮させることになると考えられる。
【0012】
ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)により形成される繰返し単位、つまり、分岐型のオキシアルキレン基が、強すぎるオキシアルキレン基の親水性を緩和し、セメント組成物等の作業性を優れたものとし、流動性・減水性が同一の場合、より取り扱いやすくする機能を発揮させることになると考えられる。
【0013】
不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)によりにより形成される繰返し単位が、アルキル基の疎水性と、カルボン酸基の経時的な発生及び、強すぎるオキシアルキレン基の親水性を緩和することにより、経時的に流動性、取扱い易さの変化を少なくさせる機能を発揮させることになると考えられる。
【0014】
次の、本発明の各単量体の重量割合について説明する。下記に示す重量割合の範囲を外れると、前述したように各単量体により形成される繰返し単位が有する機能を充分に発揮する事ができなくなり、本発明の作用効果を充分に発現する事ができなくなる。
【0015】
不飽和カルボン酸系単量体(A)を1〜50重量%、モノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)を20〜99重量%、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)を0.1〜60重量%、不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)を0.1〜30重量%含む単量体成分を共重合して得られたポリカルボン酸系共重合体が好適である。
不飽和カルボン酸系単量体(A)の重量割合はとしては0.1重量%以上、好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上であり、また50重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは35重量%以下、特に好ましくは30重量%以下であることが好ましい。
モノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)の重量割合はとしては20重量%以上、好ましくは25重量%以上、更に好ましくは35重量%以上、特に好ましくは45重量%以上であり、また99重量%以下、好ましくは90重量%以下、更に好ましくは80重量%以下、特に好ましくは70重量%以下であることが好ましい。
【0016】
ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)の重量割合はとしては0.1重量%以上、好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上であり、また60重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは30重量%以下であることが好ましい。
不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)の重量割合はとしては0.1重量%以上、好ましくは2重量%以上、更に好ましくは3重量%以上、特に好ましくは5重量%以上であり、また30重量%以下、好ましくは25重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下であることが好ましい。
【0017】
上記にしめした単量体の重量割合は共重合させる単量体成分全体に対する重量%を示すものである。
上記単量体(A)〜(D)以外にも単量体(A)〜(D)と共重合可能な単量体(E)を併用してもよい。単量体(E)を使用する場合、単量体(A)〜(D)の合計/単量体(E)=100〜60/40〜0重量%がよく、好ましくは単量体(A)〜(D)の合計/単量体(E)=100〜65/35〜0重量%、更に好ましくは単量体(A)〜(D)の合計/単量体(E)=100〜75/25〜0重量%、特に好ましくは単量体(A)〜(D)の合計/単量体(E)=100〜85/15〜0重量%である。
【0018】
次に、本発明のポリカルボン酸系共重合体を形成する事になる単量体成分成分を構成する各単量体について以下に説明する
本発明における不飽和カルボン酸系単量体(A)は、不飽和基とカルボニル基を形成しうる基とを有する単量体であれば特に限定されない。不飽和モノカルボン酸系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;これらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。
【0019】
不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基を1つとカルボアニオンを形成しうる基を2つとを有する単量体であれば特に限定されず、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等、又は、それらの無水物が挙げられる。
【0020】
これらの他にも、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのハーフエステル、不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル、マレアミン酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフアミド等が挙げられる。
これら不飽和カルボン酸系単量体(A)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるモノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)は、単量体中に不飽和基と1つのポリオキシアルキレン基とを有すれば特に限定されず、例えば、ポリアルキレングリコールエステル系単量体やポリアルキレングリコールエーテル系単量体等が挙げられる。
【0021】
上記ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する単量体であれば特に限定されず、例えば、不飽和カルボン酸ポリアルキレングリコールエステル系化合物が挙げられ、中でも、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルが好適である。
【0022】
上記ポリアルキレングリコールエーテル系単量体としては、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アリルアルコールアルキレンオキシド付加物、3−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、イソプレンアルコール(3−メチル−3−ブテン−1−オール)アルキレンオキシド付加物、3−メチル−2−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。これらモノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このようなポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体は、例えば、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0023】
【化1】
Figure 0004012005
【0024】
上記一般式(1)中、R1 、R2 及びR3 は、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。R4 は、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。RX は、同一又は異なって、炭素数2〜18のアルキレン基を表す。mは、RX Oで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。Yは、炭素数0〜5のアルキル基又−CO−を表す。Y=−CO−の場合、一般式(1)はポリアルキレングリコールエステル系単量体を表わし、Y=炭素数0〜5のアルキル基の場合、一般式(1)はポリアルキレングリコールエーテル系単量体を表わす。
【0025】
上記一般式(1)における−(RxO)−で表されるオキシアルキレン基は、炭素数2〜18のアルキレンオキシド付加物であるが、このようなアルキレンオキシド付加物の構造は、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、等のアルキレンオキシドの1種又は2種以上により形成される構造であり、2種類以上により形成される場合、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
【0026】
上記RxOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であるmは、1〜300の数である。mが300を超えると、単量体の重合性が低下することになる。mの好ましい範囲としては、2以上であり、好ましくは、2〜200であり、より好ましくは、2〜150であり、さらに好ましくは4〜95であり、特に好ましくは4〜45である。なお、平均付加モル数とは、単量体1モル中において付加している当該有機基のモル数の平均値を意味する。
【0027】
上記R4は、炭素数が20を超えると、ポリカルボン酸系共重合体の疎水性が強くなりすぎるために、良好な分散性を得ることができないことになる。R4の好ましい形態としては、分散性の点から、炭素数1〜20の炭化水素基又は水素である。より好ましくは、炭素数1〜10、更に好ましくは、炭素数1〜3、特に好ましくは、炭素数1〜2の炭化水素基である。
【0028】
上記ポリアルキレングリコールエーテル系単量体としては、上述した物であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(1,1−ジメチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノアリルエーテル、等が挙げられる。
【0029】
上記エステル化物としては、例えば、以下に示す(アルコキシ)ポリエチレングリコール(ポリ)(炭素数2〜4のアルキレングリコール)(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
本発明におけるポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)としては、単量体中に不飽和基と2つ以上ポリオキシアルキレン基とを有するポリアルキレンイミン系単量体が使用される。
【0032】
これらポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系単量体としては、例えば、ポリアルキレンイミンが有するアミノ基やイミノ基の窒素原子にアルキレンオキシドを付加した化合物に、該化合物が有する水酸基やアミノ基、イミノ基と反応する官能基をもつ不飽和化合物とを反応させて得ることができる。なお、アルキレンオキシドが付加するアミノ基やイミノ基の窒素原子は、活性水素原子をもつものである。
【0033】
上記不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系単量体を得る場合、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加した化合物に不飽和基を導入する方法としては、例えば、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加した化合物が有する水酸基を(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の不飽和化合物でエステル交換して不飽和基を導入する方法、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加した化合物が有するアミノ基を(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の不飽和化合物でアミド化して不飽和基を導入する方法、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加した化合物が有する水酸基を(メタ)アクリル酸グリシジルや(メタ)アリルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物を反応させて不飽和基を導入する方法等が挙げられるが、本発明では特に限定されるものではない。
【0034】
上記ポリアルキレンイミンとしては、例えば、エチレンイミン、プロピレンイミン、ブチレンイミン等の炭素数2〜8アルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる、共重合体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このようなポリアルキレンイミンは、直鎖状の構造、分枝状の構造、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。さらに、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等であってもよい。このようなポリアルキレンイミンでは、通常、構造中に第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有することになる。
【0035】
上記不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸無水物、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物;(メタ)アクリル酸クロライド等の不飽和カルボン酸ハロゲン化物;炭素数1〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、炭素数1〜30のマレイン酸モノエステル、炭素数1〜30のマレイン酸ジエステル等の不飽和カルボン酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記ポリアルキレンイミンに付加させるアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、オクチレンオキシド等の炭素数2〜8のアルキレンオキシドの他、スチレンオキシド等の芳香族エポキシド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
上記不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系単量体を得る反応式の一例として、開始剤とエチレンイミンによりポリエチレンイミンを合成した後、ポリエチレンイミンが有する活性水素原子をもつ窒素原子にエチレンオキシドを付加してポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物とし、次いで、メタクリル酸によりエステル交換反応を行う反応式を下記に示す。また、ポリエチレンイミンを合成した後、ポリエチレンイミンが有する活性水素原子をもつ窒素原子にエチレンオキシドを付加してポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物とし、次いで、メタクリル酸グリシジルを反応させる方法もある。
【0038】
【化2】
Figure 0004012005
【0039】
上記反応式中、Ra は、開始剤を表し、EOは、エチレンオキシドを表し、−(EO)n−Hは、ポリエチレンイミンにおいて活性水素原子をもつ窒素原子にエチレンオキシドn個が付加していることを表し、MAAは、メタクリル酸を表す。なお、化学式中の「・・・」の記号は、重合鎖が同様に続いていくことを表している。
【0040】
上記不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系単量体では、ポリアルキレンイミン鎖を有するが、このようなポリアルキレンイミン鎖は、エチレンイミンを主体として形成されるものであることが好ましい。この場合、「主体」とは、ポリアルキレンイミン鎖が2種以上のアルキレンイミンにより形成されるときに、全アルキレンイミンのモル数において、大半を占めるものであることを意味する。本発明においては、ポリアルキレンイミン鎖を形成するアルキレンイミンにおいて、大半を占めるものがエチレンイミンであることにより、ポリカルボン酸系共重合体の親水性が向上して作用効果が充分に発揮されるので、上記作用効果が充分に発揮される程度に、ポリアルキレンイミン鎖を形成するアルキレンイミンとしてエチレンイミンを用いることをもって、上記にいう「大半を占める」こととなるので、上記「主体」となりうることとなる。
【0041】
上記ポリアルキレンイミン鎖を形成するアルキレンイミンにおいて、上記「大半を占める」ことを全アルキレンイミン100モル%中のエチレンイミンのモル%で表すとき、例えば、50〜100モル%が好ましい。50モル%未満であると、ポリアルキレンイミン鎖の親水性が低下するおそれがある。より好ましくは、60〜100モル%であり、更に好ましくは、70〜100モル%であり、特に好ましくは、80〜100モル%であり、最も好ましくは、90〜100モル%である。
【0042】
上記不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系単量体ではまた、ポリアルキレンイミン鎖1つあたりのアルキレンイミンの平均重合数としては、例えば、2〜300であることが好ましい。2未満であると、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A)の機能が充分に発揮されないおそれがあり、300を超えると、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A)の重合性が低下するおそれがある。より好ましくは、2〜100であり、更に好ましくは、3〜100、より更に好ましくは、5〜100でり、特に好ましくは、5〜75であり、最も好ましくは、5〜50である。この場合、ジエチレントリアミンの平均重合数は2、トリエチレンテトラミンの平均重合数は3となる。
【0043】
上記不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系単量体では、オキシアルキレン基が1つにより形成される基又はオキシアルキレン基が2つ以上付加して形成される基を有することになる。オキシアルキレン基が2つ以上付加して形成される基では、1種又は2種以上のオキシアルキレン基により形成されることになり、2種以上のオキシアルキレン基により形成される場合には、2種以上のオキシアルキレン基がランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。なお、上記オキシアルキレン基により形成される基が1分子内に複数存在する場合には、これらは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0044】
上記オキシアルキレン基により形成される基は、オキシエチレン基を主体とするものであることが好ましい。この場合、「主体」とは、上述したのと同様に、オキシエチレン基が単量体中に2種以上存在するときに、全オキシアルキレン基の存在数において、大半を占めるものであることを意味する。これにより、ポリカルボン酸系共重合体の親水性が向上して作用効果が充分に発揮されることになる。
【0045】
上記オキシアルキレン基において、上記「大半を占める」ことを全オキシアルキレン基オキシアルキレン100モル%中のオキシエチレン基のモル%で表すとき、例えば、50〜100モル%が好ましい。50モル%未満であると、オキシアルキレン基から形成される基の親水性が低下するおそれがある。より好ましくは、60〜100モル%であり、更に好ましくは、70〜100モル%であり、特に好ましくは、80〜100モル%であり、最も好ましくは、90〜100モル%である。
【0046】
上記不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系単量体では更に、オキシアルキレン基の平均付加モル数としては、例えば、0〜300とすることが好ましい。300を超えると、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A)の重合性が低下するおそれがある。より好ましくは、0.3〜270であり、更に好ましくは、0.5〜250でり、特に好ましくは、1〜220であり、最も好ましくは、2〜200である。ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A)におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数がこのような範囲を外れると、セメント組成物等の流動性を優れたものとするポリカルボン酸系共重合体の作用効果が充分に発揮されないおそれがある。なお、上記平均付加モル数とは、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A)が有するオキシアルキレン基により形成される基1モル中において付加している当該オキシアルキレン基のモル数の平均値、又は、ポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A)を形成することになるポリアルキレンイミンが有する活性水素原子をもつ窒素原子1モルに対して付加している当該オキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。また、上記平均付加モル数が0であるポリアルキレンイミン系不飽和単量体(A)は、オキシアルキレン基を有しないものとなる。
【0047】
上記不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系単量体の重量平均分子量としては、例えば、1000〜500000であることが好ましい。より好ましくは、3000〜300000、更に好ましくは、8000〜200000、より更に好ましくは、10000〜100000、特に好ましくは、15000〜80000である。
【0054】
本発明における不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)としては、例えば不飽和カルボン酸アルキルエステル等の不飽和カルボン酸エステル化物が使用される。
これら不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
上記不飽和カルボン酸アルキルエステルのアルキル基としては、特に限定される物ではないが、炭素数1〜22個のアルキル基が好ましい。
上記エステル化物としては、例えば、以下に示す(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステル類; ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、等の二官能(メタ)アクリレート類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチルエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物類が挙げられる。
【0059】
本発明のポリカルボン酸系共重合体を形成する単量体は、更に、必要に応じて、上記単量体(A)、(B)、(C)及び(D)以外のその他の単量体(E)を含んでもよい。その他の単量体(E)としては特に限定されず、例えば、以下のもの等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、メチルスチレン等のスチレン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のジエン類;ヘキセン、ヘプテン、デセン等のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類等。ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩。アリルアルコール等のアリル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和アミノ化合物類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル類。
【0061】
次に、本発明のポリカルボン酸系共重合体の製造方法について単量体成分の共重合方法を以下に説明する。
【0062】
上記ポリカルボン酸系共重合体を得るには、重合開始剤を用いて前記単量体成分を重合させれば良い。重合は、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行なうことができる。溶媒中での重合は回分式でも連続式でも行なうことができ、その際使用される溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;等が挙げられる。原料単量体及び得られるポリカルボン酸系共重合体の溶解性並びにこのポリカルボン酸系共重合体の使用時の便からは、水及びメチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール等が特に有効である。
【0063】
水媒体中で重合を行なう時は、重合開始剤としてアンモニウム又はアルカリ金属の過硫酸塩、あるいは過酸化水素等の水溶性の重合開始剤が使用される。この際、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩、アスコルビン酸(塩)、ロンガリット等の促進剤を併用することもできる。又、低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物あるいはケトン化合物を溶媒とする重合には、ベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が重合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコール混合溶剤を用いる場合には、上記の種々の重合開始剤あるいは重合開始剤と促進剤との組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。重合温度は、用いる溶媒や重合開始剤により適宜定められるが、通常0〜120℃の範囲内で行なわれる。
【0064】
塊状重合は、重合開始剤としてベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用い、50〜200℃の温度範囲内で行なわれる。
【0065】
また、得られるポリカルボン酸系共重合体の分子量調節のために、次亜リン酸(塩)やチオール系連鎖移動剤を併用することもできる。この際に用いられるチオール系連鎖移動剤とは、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。さらに、ポリカルボン酸系共重合体の分子量調整のためには、単量体(d)として(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
【0066】
このようにして得られたポリカルボン酸系共重合体は、そのままでもセメント添加剤として用いられるが、水に対する溶解性が不足する様な場合には、水に対する溶解性を向上させて有機溶媒を含まない水溶液の形で取り扱う為に、さらに一価金属及び二価金属の水酸化物、塩化物及び炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等(好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一価金属の水酸化物)のアルカリ性物質で中和して得られる重合体塩をセメント添加剤として用いるのが好ましい。
【0067】
ポリカルボン酸系共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と呼ぶ)によるポリエチレングリコール換算で1,000〜500,000の範囲が適当であるが、3,000〜300,000の範囲が好ましく、5,000〜100,000の範囲がより好ましく、7,000〜80,000の範囲がさらに好ましい。重量平均分子量が1,000未満、および、500,000を越える分子量では、分散性能が低下するために好ましくない。
<重量平均分子量測定条件>
機種 :WatersLCM1
カラム:種類 東ソー(株)製、TSK−GEL G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL+GUARD COLUMN 各 7.8×300mm、6.0×40mm
検出器:日本Waters社製 示差屈折検出器
溶離液:水100999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に30%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整した溶離液を用いる。
流量:0.8ml/分
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470。
カラム温度:35℃
解析ソフト:日本Waters社製 MILLENNIUM Ver.2.18
本発明の添加剤について以下に説明する。
【0068】
本発明のセメント添加剤は、各種水硬性材料、即ち、セメント及び石膏等のセメント以外の水硬性材料に添加剤として用いることができる。そして、本発明のセメント添加剤と水硬性材料と水とを含有し、さらに必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物の具体例としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスター等が挙げられる。上記の水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用し、本発明のセメント添加剤とセメント及び水を少なくとも含有するセメント組成物が最も一般的であるが、使用するセメントには特に限定はない。たとえば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)等が挙げられ、さらに、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加しても良い。又、骨材として、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。
【0069】
本発明のセメント組成物において、その1m3あたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比にはとりたてて制限はなく、単位水量100〜185kg/m3、使用セメント量250〜800kg/m3、水/セメント比(重量比)=0.1〜0.7、好ましくは単位水量120〜175kg/m3、使用セメント量270〜800kg/m3、水/セメント比(重量比)=0.2〜0.65が推奨され、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m3以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
【0070】
本発明のセメント組成物における本発明のセメント添加剤の配合割合については、特に限定はないが、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、セメント重量の0.01〜5.0%、好ましくは0.02〜2.0%、より好ましくは0.05〜1.0%となる比率の量を添加すれば良い。この添加により、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記配合割合が0.01%未満では性能的に不十分であり、逆に5.0%を超える多量を使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となる。又、本発明のセメント添加剤は、コンクリート2次製品用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり、さらに、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
【0071】
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、水溶液の形態でそのままセメント添加剤の主成分として使用することができるが、カルシウム、マグネシウム等の二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥させたりすることにより粉体化して使用しても良い。
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、これらそれぞれの単独または混合物を水溶液の形態でそのままセメント分散剤の主成分として使用することができるし、他の公知のセメント添加剤と組み合わせて使用しても良い。このような公知のセメント添加剤としては、例えば従来のセメント分散剤、空気連行剤、セメント湿潤剤、膨張材、防水剤、遅延剤、急結剤、水溶性高分子物質、分離低減剤、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤、硬化促進剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0072】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、%は、重量%を意味するものとする。
【0073】
実施例1
ポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物マクロマーの合成
温度計、攪拌機、滴下装置及び還流冷却管を備えたガラス製反応装置にポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物(分子量600のポリエチレンイミンの活性水素にエチレンオキシドを平均付加モル数3で付加した化合物)1200部、メトキノン0.25部、酢酸37.5部を仕込み攪拌、還流冷却下で90度まで昇温した。90度で30分間の保持した後に、グリシジルメタクリレート94.7部を90度で1時間かけて滴下した。滴下終了後1時間90度で熟成した後、降温しポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物マクロマーを得た。
【0074】
実施例2
ポリカルボン酸系共重合体の合成
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却管を備えたガラス製反応装置に水299部を仕込み攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で70度まで昇温した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数6)400部、メタクリル酸106部、実施例1のポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物マクロマー145部、メチルメタクリレート28.部、30%水酸化ナトリウム水溶液20部、メルカプトプロピオン酸15.5部、水341部を混合したモノマー水溶液並びに、4.9%過酸化水素水溶液60部、6.4%L−アスコルビン酸水溶液60部をそれぞれ4時間で滴下した。滴下終了後さらに4.9%過酸化水素水溶液15部、6.4%L−アスコルビン酸水溶液15部をそれぞれ1時間で滴下した。その後1時間引き続いて70度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量10600のポリカルボン酸系共重合体を得た。
【0075】
比較例1
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却管を備えたガラス製反応装置に、水
294部を仕込み攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で50度まで昇温した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)561部、メタクリル酸112部、30%水酸化ナトリウム水溶液17部、メルカプトプロピオン酸7.2部、水211部を混合したモノマー水溶液並びに、3.2%過酸化水素水溶液120部、4.1%L−アスコルビン酸水溶液120部をそれぞろ4時間で滴下した。滴下終了後さらに3.2%過酸化水素水溶液30部、4.1%L−アスコルビン酸水溶液30部を1時間で滴下した。その後1時間引き続いて50度を維持し、重合反応を完結させ、重量平均分子量22000のポリカルボン酸系共重合体を得た。
(1)モルタル調製方法
太平洋普通ポルトランドセメント(商品名、太平洋セメント社製)800g、豊浦標準砂400gをモルタルミキサー(商品名:N−50、テスコ社製)により低速回転で30秒間空練りした。次いで、実施例で製造したポリカルボン酸系共重合体又は比較例で製造した共重合体を配合した水250gを空練りしたセメントと砂との混合物に投入して、高速回転で3分間混練してモルタルを調製した。(2)フロー値の測定
調製したモルタルを注水後5分後に、ステンレス板上に置いた直径55mm、高さ50mmの中空円筒の容器に詰めた。次いで、この中空円筒の容器を垂直に持ち上げた後、ステンレス板上に広がったモルタルの直径を縦横2方向について測定し、この平均値をフロー値(mm)とした。
フロー値が100mmになるように実施例2、比較例1の共重合体の配合量を調整し、初期のモルタルの状態、フロー値の経時変化、モルタルの状態の経時変化を比較した。
【0076】
【表1】
Figure 0004012005
【0077】
ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)に該当するポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物マクロマーと不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)に該当するメチルメタクリレートを共重合させた実施例2の共重合体は比較例1の共重合体と比較して、初期のモルタルの状態が良いだけでなく、モルタルフロー値の経時変化及びモルタルの状態変化も小さくなっていることがわかった。
【0078】
実施例3
本発明の実施例2の共重合体に下記ポリマーA,B,Cを混合したポリマー混合物でコンクリート試験を行った。
ポリマーA:共重合体 PGM6/メタクリル酸ナトリウム=75/25重量%、 重量平均分子量12,000
ポリマーB:共重合体 PGM10/メタクリル酸ナトリウム=75/25重量%、 重量平均分子量17,000
ポリマーC:分子量600のポリエチレンイミンの活性水素にエチレンオキシドを平均付加モル数20で付加した化合物
PGM6:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数6)
PGM10:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数10)
(1)ポリマー混合物の配合割合
実施例2共重合体:ポリマーA:ポリマーB:ポリマーC=20:25:50:5 重量%
添加量:0.35重量%(セメントに対して固形分換算)
(2)コンクリート試験条件
単位量(Kg/m3): W172 C382 S892 G948
使用材料
W:水 上記ポリマー混合物を所定の割合で含んだ水道水
C:セメント 普通ポルトランドセメント
S:細骨材 小笠山産山砂(比重2.62 租粒率2.75)
G:粗骨材 青梅産硬質砂岩砕石(比重2.66)
(3)試験方法
50Lの強制練りミキサーに30Lのコンクリート材料を投入し、60秒間練り混ぜた。その後、練り舟に排出し、所定の回数練り返しを行った後、スランプ及び空気量の測定をJISの方法に従って行った。
(4)結果
練り混ぜ直後 スランプ20.0cm、 空気量4.4体積%
60分後 スランプ20.0cm、 空気量4.6体積%
【0079】
【発明の効果】
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上述の構成よりなるので、セメント添加剤の成分として用いることにより、流動性が同一であるセメント組成物等の初期の作業性を優れたものとし、しかも、しかも、経時的に流動性、取扱い易さの変化を少なくすることができる。

Claims (4)

  1. 不飽和カルボン酸系単量体(A)、モノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)及び不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)を含む単量体成分を共重合して得られるポリカルボン酸系共重合体を含んでなるセメント添加剤であって、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)が不飽和基と2つ以上ポリオキシアルキレン基とを有するポリアルキレンイミン系単量体であり、不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)が不飽和カルボン酸エステル化物であることを特徴とするセメント添加剤。
  2. 不飽和カルボン酸系単量体(A)が不飽和モノカルボン酸又はその塩であり、モノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)が(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルであり、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)がオキシエチレン基を主体とするポリアルキレンイミンアルキレンオキシド付加物に不飽和基を導入して得られる単量体であり、不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)が(メタ)アクリル酸アルキルエステルである、請求項1記載のセメント添加剤。
  3. 不飽和カルボン酸系単量体(A)が(メタ)アクリル酸又はその塩であり、モノ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(B)がメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルであり、ポリ(ポリオキシアルキレン)系不飽和単量体(C)がポリエチレンイミンエチレンオキシド付加物マクロマーであり、不飽和カルボン酸誘導体系単量体(D)が(メタ)アクリル酸メチルエステルである、請求項1記載のセメント添加剤。
  4. 少なくとも水、セメント、セメント添加剤を含んでなるセメント組成物において、該セメント添加剤は、請求項1〜3のいずれかに記載のセメント添加剤を用いることを特徴とするセメント組成物。
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