JP4011796B2 - ブラシレスモータの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電源電圧の変動による影響を回避して適切な速度制御を可能としたブラシレスモータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスモータでは、一般に、直流電源をスイッチング素子でオンオフさせて交流電流を生成し、この交流電流を電機子コイルへ供給する方式がとられる。
一方、回転数を指示するための外部からの回転指示信号は、マイクロコンピュータに入力され、マイクロコンピュータでは、この回転指示信号をパルス幅変調してゲート信号を生成し、これを電界効果トランジスタ等で構成されたスイッチング回路へ供給する。スイッチング回路は、供給されたゲート信号にタイミングを同期させて、ステータに設けられた電機子コイルを通電する。そして、電機子コイルから発生した磁力とロータに設けられた界磁用永久磁石の磁力との吸引力/反発力によって、ロータを回転させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のブラシレスモータの制御装置を、例えば、自動車のバッテリを電源とする空調装置のブロアモータ等の制御に使用した場合にあっては、バッテリの周囲温度あるいはヘッドライト等の他の負荷への電流供給状態により、バッテリ電圧(電源電圧)が変動するため、電機子コイルへの印加エネルギーが変動して、適切な速度制御の妨げになることがある。即ち、実際の回転数は、電源電圧が低下したときは、所望の回転数より低下し、逆に、電源電圧が上昇したときは上昇してしまう。
【0004】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的としては、直流電源電圧の変動による影響を回避して適切な速度制御を可能としたブラシレスモータの制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために、本発明の請求項1に係るブラシレスモータの制御装置は、ブラシレスモータの直流電源電圧の、所定の基準電圧に対する変動幅を検出する電圧変動検出回路と、この電圧変動検出回路から出力された前記変動幅の検出信号をパルス幅変調するパルス幅変調回路と、このパルス幅変調回路からのパルス幅変調信号と前記ブラシレスモータの回転数を指示する直流回転指示信号とを乗算する乗算回路と、この乗算回路から出力された信号を平滑する平滑回路と、この平滑回路から出力された信号を増幅し、増幅後の信号の電圧範囲が前記直流回転指示信号の電圧範囲になるようにする回路とを有することを要旨とする。
【0006】
この請求項1に係るブラシレスモータの制御装置では、ブラシレスモータの直流電源電圧の、所定の基準電圧に対する変動幅が電圧変動検出回路にて検出され、その検出信号はパルス幅変調回路にてパルス幅変調され、その後、乗算回路においては、ブラシレスモータの回転数を指示する直流回転指示信号とパルス幅変調信号とを乗算することにより、検出された変動幅に基づく直流回転指示信号の補正が行われ、平滑回路においては、パルス状となった補正後の直流回転指示信号が平滑され、この平滑回路から出力された信号が増幅され、増幅後の信号の電圧範囲が直流回転指示信号の電圧範囲になる。
【0007】
また、本発明の請求項2に係るブラシレスモータの制御装置は、前記電圧変動検出回路は集積回路内部に構成されたオペアンプを含み、当該オペアンプは前記所定の基準電圧あるいは前記直流電源電圧を外付の分圧回路を介して入力すること特徴とする。
【0008】
この本発明の請求項2に係るブラシレスモータの制御装置では、分圧回路は抵抗で構成されており、抵抗値がブラシレスモータの特性に応じて調整され、直流電源電圧の補正基準点、即ち補正を加えない電圧が設定される。
【0009】
本発明の請求項3に係るブラシレスモータの制御装置は、前記電圧変動検出回路は集積回路内部に構成されたオペアンプを含み、当該オペアンプには増幅度を設定するための抵抗が外付けされていることを特徴とする。
【0010】
この請求項3に係るブラシレスモータの制御装置では、増幅度を設定するための外付けされた抵抗がブラシレスモータの特性に応じて調整され、直流回転指示信号の補正量が設定される。
本発明の請求項4に係るブラシレスモータの制御装置は、前記パルス変調回路および乗算回路は、一定の振幅の鋸波信号を生成する鋸波生成回路と、この鋸波生成回路から出力された鋸波信号の電圧と前記変動幅の検出信号の電圧を比較するオープンコレクタ型出力のコンパレータと、このコンパレータの出力と前記直流回転指示信号が入力される端子との間に接続された抵抗とを有することを特徴とする。
この請求項4に係るブラシレスモータの制御装置では、鋸波生成回路が一定の振幅の鋸波信号を生成し、オープンコレクタ型出力のコンパレータが鋸波信号の電圧と変動幅の検出信号の電圧を比較し、直流回転指示信号は抵抗を介してコンパレータの出力信号に合成して乗算される。
【0011】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係るブラシレスモータの制御装置によれば、直流回転指示信号が直流電源電圧の変動に応じて補正されるため、電圧変動による影響を回避して適切な速度制御が可能となる。
【0012】
また、本発明の請求項2に係るブラシレスモータの制御装置によれば、集積回路を逐一変更しなくとも、直流電源電圧の補正基準点の調整が可能となる。
【0013】
また、本発明の請求項3に係るブラシレスモータの制御装置によれば、集積回路を逐一変更しなくとも、直流回転指示信号の補正量の調整が可能となる。
また、本発明の請求項4に係るブラシレスモータの制御装置によれば、鋸波生成回路が一定の振幅の鋸波信号を生成し、オープンコレクタ型出力のコンパレータが鋸波信号の電圧と変動幅の検出信号の電圧を比較し、直流回転指示信号は抵抗を介してコンパレータの出力信号に合成して乗算される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るブラシレスモータの制御装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るブラシレスモータの制御装置の第1の実施の形態を示す図であり、ブラシレスモータ100は、自動車の空調装置のブロアモータとして使用されるものである。このブラシレスモータ100は、モータ本体1、このモータ本体1に配設された電機子コイル(図示せず)を通電するスイッチング回路2、カスタムIC50およびカスタムIC50の周辺回路等から構成され、オートアンプからの回転指示信号Vinによる指示回転数でモータ本体1のロータ(図示せず)を回転させるものである。カスタムIC50は、ここでは、様々なモータに共用する回路を集積化して、専用パッケージに収納したものであり、専用パッケージには、周辺回路を接続するため端子T1〜T10が設けられている。
【0016】
スイッチング回路2は、電界効果トランジスタから構成され、カスタムIC50に構成された駆動制御回路8から供給されるゲート信号によって、モータ本体1の電機子コイルへ電流供給を行う。
【0017】
本図に示すカスタムIC50とその周辺回路は、電圧検出補正回路3、鋸波生成回路4、振幅パルス幅乗算回路5、平滑回路6、制御電圧調整回路7および駆動制御回路8を構成して、これら回路によって、回転指示信号Vinに対し、電源電圧の変動を相殺する補正を行うことで、ブラシレスモータ100の適切な速度制御を行う。
【0018】
電圧検出補正回路3は、ブラシレスモータ100に供給される電源電圧信号ACCの補正基準点に対する電位差(変動幅)を検出して増幅する回路である。この電圧検出補正回路3は、カスタムIC50内部にオペアンプ3aを備えており、その非反転入力端子に端子T2を介して与えられるバイアス電圧V2は、安定化された電圧VDDを抵抗R4と抵抗R5とで分圧して設定される。一方、反転入力端子に抵抗R3および端子T1を介して与えられる電圧信号V1は、図示しない電源回路やバッテリなどから供給される電源電圧信号ACCを抵抗R1および抵抗R2で分圧して設定される。例えば、バイアス電圧V2が3Vに設定されていて、補正基準点(補正を加えない電圧値)をACC=12Vにしたいときは、抵抗R2の抵抗値を、抵抗R2の抵抗値と抵抗R1の抵抗値の和で除した分圧比を0.25に設定すればよい。そして、オペアンプ3aの出力に接続された端子T3と端子T1の間に、オペアンプ3aの帰還用の抵抗R6を接続する。この電圧検出補正回路3では、上記抵抗R3と抵抗R6により、回転指示信号Vinに対する補正量を設定する。そして、オペアンプ3aの出力(電圧偏差検出信号V3という)は、カスタムIC50内部において、振幅パルス幅乗算回路5に供給される。
【0019】
鋸波生成回路4は、周波数20kHzの鋸波状の鋸波信号OSCを振幅パルス幅乗算回路5に対して出力するものであり、振幅パルス幅乗算回路5とともに電圧偏差検出信号V3に対するパルス幅変調を行う。カスタムIC50内部には、オープンコレクタ型出力のコンパレータ4aが設けられ、その非反転入力端子には、直流6Vの電源から抵抗R8、抵抗R9および抵抗R10を直列に接続して、抵抗R10を接地してなる分圧回路の抵抗R8と抵抗R9との接続点電圧が入力されている。一方、反転入力端子には、抵抗R9と抵抗R10の接続点電圧が入力されている。また、この反転入力端子は、コンパレータ4aの出力と接続されている。コンパレータ4aの出力には、さらに、端子T4に一方を接続し、他方を外部で接地した抵抗R7によって電流値を設定される定電流源IS1が接続される。さらに、コンパレータ4aの出力には、負極を外部で接地したコンデンサC2の正極が端子T5を介して接続される。上述の回路の充放電動作により鋸波信号OSCが生成される。尚、ブラシレスモータ100は3000rpm(50回転/秒に相当)以下で回転するものであり、この回転数に対し、鋸波信号OSCの周波数を高く設定することで、より応答性の良い制御が可能となる。
【0020】
振幅パルス幅乗算回路5は、電圧偏差検出信号V3をパルス幅変調し、そのパルス幅変調信号のパルス幅と、回転指示信号Vinの振幅とを乗算する回路である。振幅パルス幅乗算回路5は、オープンコレクタ型出力のコンパレータ5aと、その反転入力端子および非反転入力端子にそれぞれ接続された入力抵抗R11およびR12と、コンパレータ5aの出力に一端を接続された抵抗R13とを備えている。電圧検出補正回路3からの電圧偏差検出信号V3は、抵抗R12を介して、コンパレータ5aの非反転入力端子に入力される。一方、鋸波生成回路4からの鋸波信号OSCは、抵抗R11を介して、コンパレータ5aの反転入力端子に入力されている。そして、カスタムIC50の端子T6から入力される回転指示信号Vinは、抵抗R13を介して、コンパレータ5aの出力に接続され、このコンパレータ5aの出力は、端子T7に接続された、カスタムIC50外部の平滑回路6へと送出される。
【0021】
平滑回路6は、振幅パルス幅乗算回路5で乗算され補正後の回転指示信号Vinを平滑するための回路であり、端子T7に一端を接続された抵抗R14と、この抵抗R14の他端とグラウンド間に接続されたコンデンサC1とから構成される。そしてコンデンサC1の正極は、制御電圧調整回路7に対し、平滑後の電圧V5を与えている。
【0022】
制御電圧調整回路7は、振幅パルス幅乗算回路5および平滑回路6を通過して減衰した回転指示信号Vinを元の電圧範囲に戻すための増幅回路であり、オペアンプ7a、その増幅度を設定する抵抗R16および抵抗R17、そして入力抵抗R15から構成される。制御電圧調整回路7は、抵抗R15および端子T8を介して、電圧V5をオペアンプ7aの非反転入力端子へ入力する。一方、オペアンプ7aの反転入力端子を、端子T9を介して、抵抗R16の一端に接続し、抵抗R16の他端を接地する。また、端子T9と端子T10との間には、オペアンプ7aの帰還用の抵抗R17を接続する。そして、オペアンプ7aの出力Vin2を駆動制御回路8へと供給する。
【0023】
駆動制御回路8は、制御電圧調整回路7から与えられた補正後の回転指示信号Vin2に基づいてゲート信号を生成し、スイッチング回路2の電界効果トランジスタに対して供給する。
【0024】
図2は、ブラシレスモータ100のモータ本体1の回転軸方向に対する断面図である。ブラシレスモータ100は、三相の電機子コイルを有するアウタロータ形のブラシレスモータであり、本図に示す内周側のステータ1aには、放射状に6箇所の突出部a〜fが形成され、各突出部をコアとして電機子コイル1bが配置されている。ステータ1aの外側には、円周方向に90度間隔でメインマグネット1c1〜1c4(界磁用永久磁石)を備えた円筒状のロータ1cが配置されている。また、本図に示すセンサマグネット1dは、均等角度で交互に着磁されたN極とS極とが2極づつ形成され、ロータ1cと一体に回転するシャフト1eに取り付けられている。そして、このセンサマグネット1dの磁極を検出する磁気センサIC1〜IC3が、ステータの内周に互いに120度の角度をもって均等に配設されている。
【0025】
上記のように構成された電機子コイル1bに対し、スイッチング回路2から交流電流を供給して、電機子コイル1bから発生した磁力とメインマグネット1c1〜1c4との吸引力/反発力により、ロータ1cを回転駆動する。
【0026】
次に図3を参照して、本発明に係るブラシレスモータの制御装置の第1の実施の形態の作用を説明する。
【0027】
ブラシレスモータ100は、冒頭で述べた通り、自動車のバッテリを電源とするブロアモータに使用されるため、バッテリの周囲温度やヘッドライト等の電流供給状態により、電源電圧信号ACCは、本図(a)に示すように変動している。本実施の形態では、回転指示信号Vinを駆動制御回路8に直接供給するのではなく、直流電源の電圧変動の影響を回避すべく以下の補正を行っている。
【0028】
電圧検出補正回路3は、電圧V1と、バイアス電圧V2との電位差をオペアンプ3aで増幅することで、この電位差を、本図(b)に示すように、電圧VDD以下となるように変換する。しかもオペアンプ3aが反転増幅を行うため、電源電圧信号ACCが高いほど電圧偏差検出信号V3は低くなる。
【0029】
鋸波生成回路4は、本図(c)に示すような鋸波信号OSC(20kHz)を出力する。以下、この鋸波信号OSCの生成過程を説明する。
【0030】
図1に示す鋸波生成回路4において、コンパレータ4aの非反転入力端子電圧には、反転入力端子電圧に対して正電圧がかかっているため、出力は高インピーダンス状態となる。このため、定電流源IS1からコンデンサC2に対して、充電が行われ、鋸波信号OSCの電圧は徐々に上昇する。そして、コンパレータ4aの非反転入力端子電圧を越えたときに、コンパレータ4aが反転して、定電流源IS1からの電流およびコンデンサC2からの放電電流は、コンパレータ4aの出力に吸収される。この反転動作により、コンパレータ4aの非反転入力端子には、再び正電圧がかかるため、充電動作が再開する。従って、上記充放電動作によって、図3(c)に示すような鋸波信号OSCが得られる。
【0031】
尚、鋸波信号OSCは、抵抗R7の抵抗値またはコンデンサC2の容量を可変することで周波数を可変することができ、この実施の形態では、周波数を20kHzに設定することで、良好な応答性が得られている。また、抵抗R8〜抵抗R10を調整することで振幅の調整が可能となっている。
【0032】
振幅パルス幅乗算回路5のコンパレータ5aは、この鋸波信号OSCと電圧偏差検出信号V3とを比較して、本図(d)に示すようなパルス状の信号V4(OPEN)を出力する。即ち、鋸波信号OSCが電圧偏差検出信号V3より低くなる期間においてオン状態となる信号が得られる。尚、説明の便宜上、ここではコンパレータ5aの出力端子を開放にしたときの波形を示している。このように、ブラシレスモータの回転数に比べて、周波数の高い鋸波信号OSCを用いることで、補正の応答性が向上する効果が得られる。
【0033】
また、この波形に重ねて、本図(d)に回転指示信号Vinを例示する。この信号は、空調装置のオートアンプ等から入力されるものであり、車室内温度や空調装置の温度設定により、ブラシレスモータ100の回転数を調整する必要があるため、本図のように、所定の電圧範囲(この実施の形態では、0VからVDDの範囲)のなかで可変される。
【0034】
振幅パルス幅乗算回路5では、この回転指示信号Vinを抵抗R13を介してコンパレータ5aの出力信号に合成して乗算することにより、本図(e)に示すような、V4(OPEN)の波形のうちの回転指示信号Vinを越える部分がカットされた信号V4を出力する。即ち、振幅とパルス幅を乗算した結果が得られる。
【0035】
平滑回路6は、(e)に示す信号V4を平滑して、直線的な回転指示信号Vinの変化に対し、(f)に示すような、電源電圧信号ACCの低下した部分を補うように盛上がった信号V5を得て、制御電圧調整回路7へと供給する。
【0036】
図4(a)に示すように、通過前には0Vから電圧VDDの範囲での振幅可変が可能であった回転指示信号Vinは、振幅パルス幅乗算回路5および平滑回路6を通過することにより減衰し、振幅可変幅が減少している。制御電圧調整回路7では、減衰した信号(平滑後の信号V5)を抵抗R16およびR17の抵抗値で設定された増幅度で、図4(b)のように増幅して適正なレベルの信号Vin2を生成し、駆動制御回路8へと出力する。
【0037】
このように、本実施の形態では、回転指示信号Vinに対し、電源電圧信号ACCの変動を相殺するような補正を行うことによって、その電源電圧変動による影響を回避して適切な速度制御を行うことができる。
【0038】
しかも、カスタムIC50の外部に調整用端子を介して周辺回路を接続したため、その周辺回路の回路定数を変えることにより、カスタムICそのものを変更しなくとも、ブラシレスモータの特性に応じた補正が可能となっている。
【0039】
図5は、上述した回転指示信号Vinの補正量の調整方法を説明するための図である。
【0040】
本図(a)に示すように、鋸波生成回路3にて生成された鋸波信号OSCを振幅パルス幅乗算回路5の反転入力端子に入力し、非反転入力端子に電圧偏差検出信号V3を入力した場合、コンパレータ5aのオープン時出力V4(OPEN)は、本図(b)に示す波形となる。ここで、抵抗R3および抵抗R6の抵抗値を調整することによりオペアンプ3aの増幅度を高く設定したときの電圧偏差検出信号V3aを本図(c)に示すが、この電圧偏差検出信号V3aは鋸波信号OSCと比較して相対的に高い電圧となるため、コンパレータ5aのオープン出力時のパルス幅(本図(d)のt2で例示する)は、増幅度を高くする前のパルス幅(本図(b)のt1で例示する)に比較して長くなる。即ち、オペアンプ3aの増幅度を高く設定することにより、補正量を大きく調整することができる。
【0041】
尚、電圧偏差検出信号V3と鋸波信号OSCとの電位差を調整することによって、上記の補正量の調整が可能となるから、逆に、抵抗R8〜抵抗R10を可変して、鋸波信号OSCの振幅を調整しても同様の効果が得られる。
【0042】
図6は、補正基準点の設定方法を示す図である。
【0043】
先に述べたように、バイアス電圧V2が3Vに設定されているとき、電源電圧の補正基準点をACC=12Vにしたいときは、抵抗R2の抵抗値を抵抗R2の抵抗値と抵抗R1の抵抗値の和で除した分圧比を0.25に設定すればよい。また、補正基準点をACC=13Vに設定したいときは、分圧比を0.23とすればよい。このように、本実施の形態では、カスタムIC50を逐一変更しなくとも、抵抗値設定により補正基準点を自由に設定することができる。
【0044】
また、抵抗R4あるいは抵抗R5の抵抗値を調整してバイアス電圧V2を可変させることによっても、補正基準点を設定することができる。
【0045】
以上説明したように、この実施の形態のブラシレスモータの制御装置では、電源電圧の変動があっても、電圧検出補正回路3で基準電圧との電位差を検出して、鋸波生成回路4、振幅パルス幅乗算回路5、平滑回路6、制御電圧調整回路7等により、回転指示信号Vinを補正するため、直流電源電圧の変動による影響を回避して適切な速度制御が可能となる。また、ハードウェアで制御装置を構成したことにより、ソフトウェアを変更しなくとも補正、補正基準点および補正量の調整を行うことができる。その結果、開発コストの低減および開発期間の短縮が可能となる。
【0046】
尚、本発明に係るブラシレスモータの制御装置は、ブロアモータでの使用に限られるものではなく、ラジエータ用モータ等の様々なブラシレスモータに適応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブラシレスモータの制御装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】図1に示したブラシレスモータ100本体の構成を示す図である。
【図3】図1に示したブラシレスモータ100の各部の波形図である。
【図4】図1に示した制御電圧調整回路7での動作を説明した図である。
【図5】図1に示した形態における補正量の調整方法を説明した図である。
【図6】図1に示した形態における補正基準点の設定方法を説明した図である。
【符号の説明】
1 モータ本体
2 スイッチング回路
3 電圧検出補正回路
4 鋸波生成回路
5 振幅パルス幅乗算回路
6 平滑回路
7 制御電圧調整回路
8 駆動制御回路
50 カスタムIC
100 ブラシレスモータ
Claims (4)
- ブラシレスモータ(100)の直流電源電圧の、所定の基準電圧に対する変動幅を検出する電圧変動検出回路(3)と、
この電圧変動検出回路(3)から出力された前記変動幅の検出信号をパルス幅変調するパルス幅変調回路(4,5)と、
このパルス幅変調回路(4,5)からのパルス幅変調信号と前記ブラシレスモータ(100)の回転数を指示する直流回転指示信号とを乗算する乗算回路(5)と、
この乗算回路(5)から出力された信号を平滑する平滑回路(6)と、
この平滑回路(6)から出力された信号を増幅し、増幅後の信号の電圧範囲が前記直流回転指示信号の電圧範囲になるようにする回路(7)と
を有するブラシレスモータの制御装置。 - 前記電圧変動検出回路(3)は集積回路(50)内部に構成されたオペアンプ(3a)を含み、当該オペアンプ(3a)は前記所定の基準電圧あるいは前記直流電源電圧を外付の分圧回路(R1,R2,R4,R5)を介して入力すること特徴とする請求項1記載のブラシレスモータの制御装置。
- 前記電圧変動検出回路(3)は集積回路(50)内部に構成されたオペアンプ(3a)を含み、当該オペアンプ(3a)には増幅度を設定するための抵抗(R3,R6)が外付けされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスモータの制御装置。
- 前記パルス変調回路(4,5)および乗算回路(5)は、
一定の振幅の鋸波信号(OSC)を生成する鋸波生成回路(4)と、
この鋸波生成回路(4)から出力された鋸波信号(OSC)の電圧と前記変動幅の検出信号の電圧を比較するオープンコレクタ型出力のコンパレータ(5a)と、
このコンパレータ(5a)の出力と前記直流回転指示信号が入力される端子との間に接続された抵抗(R13)とを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のブラシレスモータの制御装置。
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