JP4011293B2 - 耐胴切れ性に優れた缶ボディ用アルミニウム合金板材の製造方法 - Google Patents

耐胴切れ性に優れた缶ボディ用アルミニウム合金板材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001 】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐胴切れ性に優れた缶ボディ用アルミニウム合金板材の製造方法に関する。
【0002 】
【従来の技術】
缶入り飲料などの需要増大に伴い、最近ではその容器として好適なアルミニウム基合金製のいわゆるDI(Deep drawing & Ironing)缶が大量に生産されるようになっている。このアルミニウム基合金製DI缶の本体の一般的な製造方法としては、アルミニウム基合金板を多段に深絞り加工し、さらにしごき加工を行って缶本体を成形し、焼付け塗装後に、ネック加工などを行う。ここで使用するアルミニウム基合金板には、製缶後の十分な強度と、多段深絞りやしごき加工、ネック加工などに耐える成形性とが共に要求される。
【0003 】
一般に、深絞り用アルミニウム基合金としては、Al-Mn-Mg系の、例えば米国アルミニウム協会標準(A.A)3004合金などが広く用いられている。この合金から深絞り用アルミニウム基合金板を製造するには、(a)先ずこの合金の鋳塊を熱間圧延し、次に(b)冷間圧延して適度な板厚の板材とし、この冷間圧延後の板材に(c)中間焼鈍を施し、さらに要求される強度に応じて(d)冷間圧延による硬化処理が行われる。
【0004 】
この深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造工程において、板材の強度を向上させるためには前記(d)の冷間圧延における冷間圧延率を高くする必要がある。しかし冷間圧延度を上げると、いわゆる圧延集合組織が発達し、塑性変形に際して異方性が顕著に現れるようになり、深絞り成形したときの板材の圧延方向に応じて成形した缶本体の上縁の高さが山谷状に変化する現象が起こる。
この山谷状に変形した部分は通常、「耳」と呼ばれている。深絞り成形後の缶体は、次いでしごき加工を行った後に、蓋部材を取付けるために開口部を水平に切断し缶高を揃えるトリム加工が行われる。このトリム加工の際には耳も除去されるので、耳の高さが高いと、除去するべき板材の量割合(以下「耳率」という)が増大し、歩留まりが低下して製造コストが上昇するという問題があった。そこで、低耳率となる板材が求められている。
【0005 】
一般にアルミニウム基合金板を冷間圧延すると、圧延方向に対して45〜60゜の方向に耳(以下、45°耳と略称する。)の山となる圧延集合組織が発達する傾向がある。そこで、耳率を低下させるためには圧延集合組織の発達を抑制する必要がある。これは冷間圧延前の板材における再結晶集合組織の生成状態を制御することによって達成できることがわかっている。即ち、一般的には冷間圧延以前に、0-90゜の方向に深絞り耳を生じるような「立方体方位」と呼ばれる再結晶集合組織を発達させる方法が用いられる。
立方体方位組織が発達すると0-90゜方向の耳を生じることになるが、その後の冷間圧延によってこの方向の耳はあまり発達せず、一方、45゜耳を生成する圧延集合組織の発達も抑制され、結果として開口部周縁における耳の山が均一化されることになる。この方法によって、圧延度80%以上の冷間圧延の後に僅かな0-90゜耳と45゜耳とが混在する低耳性板材が得られるようになった。
【0006 】
前記の立方体方位の再結晶集合組織を発達させる具体的な方法としては、熱間圧延時の諸条件を調節し、熱間圧延後に巻き取ったコイルが冷却するまでの間、あるいは巻き取ったコイルを焼鈍する際に生じる再結晶を制御する方法(特開平5−125500号公報)が知られている。
この方法では、前記(b)の冷間圧延、または(b)の冷間圧延と(c)の中間焼鈍とを行わず、再結晶した熱間圧延板に前記(d)の冷間圧延を施す。現在、DI缶用として主に用いられている板材の厚さは約0.3mm程度であるので、この方法を適用して最終の冷間圧延率を80〜90%とする場合には、熱間圧延により板厚が1.5〜3mmとなるように圧延する必要がある。
そこで、普通、リバース式熱間圧延機を用いて圧延した後にさらにタンデム式の仕上用熱間圧延機または圧延機の両側にコイル巻取り装置を装備したリバース式熱間仕上圧延機を用いて圧延する方法が用いられる。しかしこれらの熱間仕上圧延機は大規模でかつ高価であり、これらを用いることによる製造コストの面で負担が大きい。
更に、缶用素材の薄肉化に伴い、圧延ロールやパス間での温度低下の影響が大きくなり、適切な熱間圧延条件を維持するためには設備能力を更に増大させる必要があって一層コストが嵩む傾向にあった。
【0007 】
そこで、熱間圧延の全工程にシングルミルのリバース式熱間粗圧延機のみを用いる方法が検討された。しかしこの粗圧延機を用いて薄肉の板材を製造しようとすると、パス間での温度低下が著しく、熱間圧延板の再結晶を制御するための熱間圧延条件を維持することがきわめて困難になる。この問題を解決する手段として、アルミニウム基合金に時効硬化性を与える元素を添加し、前記(b)の冷間圧延後、前記(c)の中間焼鈍を比較的高温で行うことにより溶体化し、前記(d)の冷間圧延の圧延度を小さくしても十分な強度が得られる方法が提案された(特公昭60−35424号公報)。
【0008 】
この方法によれば、DI缶本体を成形した後の焼付け塗装の加熱により析出硬化するので、焼付け時の加熱による軟化が抑制され、冷間圧延率を小さくしても十分な強度が得られるようになった。従って、前記(c)の中間焼鈍の後に立方体集合組織が十分発達していなくても冷間圧延の圧延率を小さくできるので圧延集合組織の発達も軽度となり、耳率が比較的低い実用レベルのDI缶が得られるようになった。この方法は、仕上用熱間圧延機を用いた場合よりも耳率が若干高く、従ってトリム量も多くなるのではあるが、設備費が高価な仕上用の熱間圧延機を用いずに適用できるので、結果的に有利な方法となっている。
【0009 】
しかし、最近、経済的およびデザイン的な要求からDI缶における蓋部材の直径を小さくする要求が高まり、このため缶ボディ材のネック部分の縮径率が増大するようになってきた。ところが、このネック部分の縮径率を増大させると、このネック部分の成形工程においても深絞り成形の場合と同様に素材の異方性により開口部において缶高が変化し耳が発生するという新たな問題が生じている。このネック成形によって生じる開口部の高さ変動部を以下に「ネック耳」と称することにする。
缶本体の開口部は、ネック成形を行った後にフランジ成形され、このフランジが蓋部材との巻き締めに使われるのであるが、ネック耳が大きいとフランジ幅が方向により異なったり、ネック部分の形状が方向により変化するなどの問題が起こり、加工工程が煩雑になると共に、外観上にも悪影響が現れるおそれがある。そこで、ネック成形時の縮径率を大きくしてもネック耳が生じにくい深絞り成形用アルミニウム基合金板が求められていた。
【0010 】
このような背景から本発明者らは、特開平10−330898号(特願平9−142791号)においてシングルミルの粗圧延・仕上圧延兼用のリバース式熱間圧延機を用い、深絞り成形時やネック成形時にネック耳が生じにくい深絞り成形用アルミニウム合金板の製造方法について特許出願している。
この特許出願に係る技術によれば、均熱工程と熱間圧延工程と第一冷間圧延工程と第一中間焼鈍工程と第二冷間圧延工程と第二中間焼鈍工程と第三中間焼鈍工程と最終冷間圧延工程とを順次施してアルミニウム基合金板を製造する際に、特に、
熱間圧延終了温度を280〜350℃の範囲内とし、引き続き60〜90%の第一冷間圧延を施し、250〜280℃の温度範囲において2〜24時間の第一中間焼鈍を施すことが要件とされていた。
【0011 】
【発明が解決しようとする課題】
前記熱間圧延終了温度を280〜350℃とするのは、熱間圧延後再結晶しないようにするためであるが、引き続き行われる第一冷間圧延での加工硬化が大きく、60%以上の高い圧延率の冷間圧延を行う過程で、アルミニウム基合金板の両サイドにクラックが発生しやすく、クラックを除去するために両サイドをトリム(除去)する必要があり、歩留まりが低下する問題があった。
そこで本発明者らは、前述の製造条件の見直しを行うことで熱間終了温度を280〜350℃の範囲より高温にしても、深絞り成形時やネック成形時に耳が生じ難い製造条件を見い出し、従って第一冷間圧延でのクラックの発生も抑制される条件を見い出し、先に特開2000−26946号(特願平10−197867号)あるいは特開2000−26945号(特願平10−197866号)として特許出願した。
【0012 】
また、前述の第一中間焼鈍は、第一冷間圧延加工して加工硬化したコイルを半軟化の状態まで焼鈍するための工程であるが、どの程度まで軟化させるかにより耳率が変化するため、耳率のばらつきを小さくするためには、加熱温度や時間を厳格に管理する必要があるので、この加熱温度や時間の管理を緩和できるような製造条件について研究し、その結果について先の特開2000−26946号あるいは特開2000−26945号として特許出願した。
更に、第一中間焼鈍は通常バッチ式と称される焼鈍炉で行ない、ここではアルミニウム基合金板をコイル状に巻き付けてコイルの状態で炉内に搬入して焼鈍を行うが、バッチ式焼鈍炉では、このコイルの幅や条件によって加熱速度が異なるために、即ち、コイル重量が異なると温度を一定に管理できないために、同一の加熱温度と時間にするためにはコイルの寸法に応じて炉の操業条件を変更する必要があり、コイルの寸法管理が繁雑な問題があった。即ち、多数のコイルを同時に同一炉に搬入して処理する場合に、大きさの異なるコイル毎に加熱、冷却条件が異なってしまう問題があるので、全てのコイルの寸法を同一にする必要があった。
【0013 】
このため、製造するコイルの寸法に応じて別々に焼鈍を行う必要があり、生産時期の調整のために中間製品の在庫量が増大してしまう問題があり、このような問題に対処する技術についても先の特開2000−26946号、特開2000−26945号において特許出願した。
これらの特許出願において提供した技術によって、先の耳率等の問題を解消することはできるようになったが、前述の特許出願に係る技術によって得られたアルミニウム合金板材について、DI缶への適用を更に詳細に検討したところ、しごき加工を受けた場合に胴切れ性の問題を生じやすい傾向を有することが判明した。
【0014 】
即ち、本発明者らの研究によれば、アルミニウム合金素材の製造プロセスと耐胴切れとの関係において、アルミニウム合金素材強度が高くなると、胴切れ性を生じ易くなる傾向にあるが、アルミニウム合金素材強度または製缶後の缶強度が同一な場合であっても、アルミニウム合金素材の最終冷間圧延率が高くなる程、耐胴切れ性が劣化するとの結論に至った。また、最終冷間圧延時に加工発熱によってアルミニウム合金素材が加熱され、素材温度が上昇するが、最終冷間圧延後に巻き取ったアルミニウム合金素材コイルの温度が高すぎると、耐胴切れ性が著しく劣化することが判明した。更に、通常、アルミニウム合金素材の異方性と耐胴切れ性についての直接的な相関関係はないと考えられるが、成形条件に異常がある場合、耳が高い素材は、耳の先端部が切れ易く、切れた破片が胴切れやボトム割れの原因となる場合が考えられる。
【0015 】
また、最近では、アルミニウム合金板材にポリエチレン・テレフタレートなどの樹脂フィルムをプレコートした積層材を用い、缶体を製造する方法がとられる場合があり、この場合、成形により表面が梨地状になるが、均一な梨地状表面が得られ難いという問題があるので、アルミニウム合金素材としては、均一で微細な結晶粒組織のものが望まれている。
以上の如き背景から本発明者らは、この種缶ボディ用アルミニウム合金素材において、均一で微細な結晶粒を有し、最終冷間圧延率が低く、かつ、低い異方性のものが得られ、耐胴切れ性に優れる製造方法について研究するとともに、アルミ缶のボトムしわ性などの問題も兼ね合わせた研究を行った結果として本願発明に到達した。
【0016 】
本発明は前記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、素材強度の高いものを歩留まり低下を引き起こす事なく製造することができ、耐胴切れ性に優れ、均一な梨地状表面を得ることができ、異方性も少なく、耳率の低減を実現できる上に、ボトムしわ性の問題も解消することができる耐胴切れ性に優れた缶ボディ用アルミニウム合金板材の製造方法を提供することにある。
【0017 】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために本発明は、Mg:0.9〜1.7重量%、Mn:0.8〜1.2重量%、Fe:0.30〜0.55重量%、Si:0.25〜0.45重量%、Cu:0.20〜0.4重量%、Zn:0.05〜0.4重量%、Ti:0.02〜0.2重量%含有し、残部が不可避不純物とAlからなるアルミニウム合金を溶製し、半連続鋳造して得た鋳塊を熱間圧延及び冷間圧延を施してアルミニウム合金板材を製造するに際し、順次、
▲1▼均熱工程において、前記アルミニウム合金鋳塊を、560〜610℃の範囲で、6〜24時間均質化処理し、
▲2▼熱間圧延工程において、前記の均質化されたアルミニウム合金鋳塊を熱間圧延して板材を形成するに際し、熱間圧延後、巻き取ったコイル状の板材の温度を400〜500℃とし、その後に冷却したコイル状の板材の再結晶率を70〜100%とし、
▲3▼第一冷間圧延工程において、前記熱間圧延終了後の板材を、圧下率が75〜95%の範囲内となるように冷間圧延し、
▲4▼第一中間焼鈍工程において、連続焼鈍装置を用いて10〜200℃/sの範囲の加熱速度で280〜380℃の温度範囲まで加熱し、この温度範囲で1〜30秒間保持し、次いで10〜200℃/sの範囲の冷却速度で冷却して焼鈍し、
▲5▼第二冷間圧延工程において、前記第一中間焼鈍後の板材を、圧下率が10〜25%の範囲内となるように冷間圧延し、
▲6▼第二中間焼鈍工程において、連続焼鈍装置を用いて10〜200℃/sの範囲の加熱速度で450〜610℃の温度範囲まで加熱し、この温度範囲で1〜30秒間保持し、次いで10〜200℃/sの範囲の冷却速度で冷却して焼鈍し、次いで、
▲7▼最終冷間圧延工程において、圧下率が45〜70%の範囲となり、冷間圧延後巻き取ったコイル状の板材の温度が90℃以上、140℃以下となる様に1パスの冷間圧延を施し、かつ、巻き取り完了後巻き取ったコイル状の板材が90℃未満になるまで1〜10時間保持することを特徴とする。
【0018 】
熱間圧延時の仕上温度を、本発明者らが先に提供した特許出願技術より高い400〜500℃とすることで、再結晶率を70〜100%の高い範囲とすることができ、このため、第一冷間圧延で75〜95%と高い圧下率の冷間圧延を行ってもサイドクラックの発生が防止できる。また、特に、第二中間焼鈍の加熱速度を高くし、保持温度を高くすることにより、再結晶粒の粗大化が防止でき、比較的微細な均一結晶粒が得られる。
【0019 】
熱間圧延の仕上温度が高いこと、および、第二中間焼鈍の加熱速度が高く、保持温度が高いことは、第二中間焼鈍時に生じる立方体方位粒の量を低下させる。しかし、第一冷間圧延率を75〜95%と高くし、第二冷間圧延率を10〜25%の最適な範囲に限定することにより、第二中間焼鈍後に必要かつ充分な立方体方位粒を生成させることができる。第二中間焼鈍後の板材を深絞り成形すると、わずかな0-90°耳を生じる。この状態の板材に、最終冷間圧延工程が施されると、最終冷間圧延工程の圧下率が45〜70%と比較的低いので、圧延集合組織の発達もそれほど大きくなく、結果的に45°耳と0-90°耳のバランスの取れた、換言すると、低耳率の板材が得られる。
更に、最終冷間圧延工程において、圧下率45〜70%と低い範囲とし、冷間圧延後のコイル状の板材の温度を90℃以上、140℃以下となるように1パスの冷間圧延を施し、かつ、巻取り完了後のコイル状の板材の温度を90℃以上で1〜10時間保持することにより、耐胴切れ性が優れた板材が得られる。
【0020 】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の耐胴切れ性に優れた缶ボディ用アルミニウム合金板材の製造方法は、基本的に、アルミニウム合金の鋳塊を基材とし、それぞれ後に説明する特定の条件に設定された次の各工程、
▲1▼均熱工程、▲2▼熱間圧延工程、▲3▼第一冷間圧延工程、▲4▼第一中間焼鈍工程、▲5▼第二冷間圧延工程、▲6▼第二中間焼鈍工程、▲7▼最終冷間圧延工程を順次経由することにより構成される。
【0021 】
本発明に係る製造方法によれば、熱間圧延工程の全工程にシングルミルのリバース式熱間粗圧延機のみを用いることが可能となる。そして、強度と成形性とが両立したアルミニウム合金板材が得られ、例えばDI缶などの深絞り缶を製造する板材として用いるとき耳率を従来の板材に比べて低減でき、ネック縮径率を大きくしたDI缶を成形する際にもネック耳が減少し、缶体の変形を防止し歩留りを向上させることができ、耐胴切れ性に優れた缶ボディ用アルミニウム合金板材を得ることが可能となる。
【0022 】
本発明に係る製造方法に用いるアルミニウム合金として、Alを基本成分とし、これに、Mg:0.9〜1.7重量%、Mn:0.8〜1.2重量%、Fe:0.30〜0.55重量%、Si:0.25〜0.45重量%、Cu:0.20〜0.4重量%、Zn:0.05〜0.4重量%、Ti:0.02〜0.2重量%を含み、他は不可避不純物を含有するアルミニウム合金を用いる必要がある。
なお、本発明において、元素の含有量を範囲で示す場合に用いる〜の記号は、以上、以下を示すものとする。よって、特に記載しない限り、0.9〜1.7重量%と標記したものは、その元素を0.9重量%以上、1.7重量%以下含有する組成であることを意味する。
また、先のアルミニウム合金の基本的な組成自体は特殊なものではなく、現在大量に用いられている種々のアルミニウム缶用合金の組成の範囲内のものであるから、本発明の製造方法はリサイクルされたアルミニウム缶を原料として経済的にかつ効率よく本発明のアルミニウム合金板材を製造するのに適している。
【0023 】
前記合金成分のうちのSiは、同時に含有するMgと化合物を形成し易く、固溶硬化作用、分散硬化作用および析出硬化作用を有する他、Al、Mn、Feなどと化合物を形成し、しごき成形時のダイスに対する焼付きを防止する効果がある。その含有量は、0.25重量%未満では所望の潤滑特性を確保することができず、また0.45重量%を越えると加工性が劣化して不都合である。
Feは、結晶の微細化およびしごき成形時のダイスに対する焼付きを防止する効果がある。その含有量は、0.3重量%未満では所望の効果が得られず、0.55重量%を越えると加工性を劣化させる。
【0024 】
Cuは、Mgと化合物を形成し易く、固溶硬化、分散硬化および析出硬化に寄与する。その含有量は、0.20重量%未満では所望の効果が得られず、0.4重量%を越えると加工性を劣化させる。
Mnは、Fe、Si、Alなどと化合物を形成し易く、晶出相および分散相となって分散硬化作用を現すと共にしごき成形時のダイスに対する焼付きを防止する効果がある。その含有量は、0.8重量%未満では所望の硬化特性が得られず、1.2重量%を越えると加工性が劣化する。
また、Mgは、固溶体強化作用を有し、圧延による加工硬化性を高めるとともに、前記Siや後記のCuと共存することによって分散硬化と析出硬化作用を現す。その含有量は、0.9重量%未満では所望の効果が得られず、1.7重量%を越えると加工性を劣化させるようになる。
【0025 】
ZnはMg、Si、Cuの析出物を微細化する作用を有する。その含有量は、0.05重量%未満では所望の効果が得られず、0.4重量%を越えると加工性と耐食性を劣化させる。
Tiは、結晶粒を微細化して加工性を改善する効果がある。ただし、その含有量は0.2重量%を越えると粗大な化合物を生成し、逆に加工性を劣化させ、0.02重量%未満では効果がほとんど得られない。
【0026 】
前記のアルミニウム合金から本発明のアルミニウム基合金板を製造するに際しては、先ず、常法に従って本発明組成のアルミニウム合金溶湯から鋳塊を鋳造するが、鋳造に先立ち、アルミニウム合金を溶製した際に、水素ガスや酸化物などの介在物を除去し、好ましくは半連続鋳造法により鋳塊を得る。
このときの凝固速度は通常、5〜20℃/秒とされる。鋳塊の寸法は、例えば1.5m×0.5m×4〜5mである。
次に面削を行い、鋳塊の表面を1〜25mm程度研削して、表面が平滑化された面削体を作成する。
【0027 】
この面削体は、次に本発明の▲1▼の均熱工程に送られる。この▲1▼の均熱工程は一般に、溶湯の凝固によって生じたミクロ偏析の均質化、過飽和固溶元素の析出、凝固によって形成された準安定相の平衡相への転移などのために行われる。
この▲1▼の均熱工程においては、均質化温度を560〜610℃の範囲内とすることが重要である。均質化温度が560℃未満では、▲5▼第二中間焼鈍の効果が得られず、熱間圧延工程や第一の冷間圧延工程においてクラックが発生し易く、最終板材の耳率が高くなる。また、均質化温度が610℃を越えると、鋳塊が溶融するおそれがある。
【0028 】
また、前記の▲1▼の均熱工程において、面削体は100℃/時以下の加熱速度で均質化温度まで加熱することが好ましい。加熱速度が100℃/時を越えると、部分的に溶融を生じる惧れがある。しかし加熱速度は、遅すぎると生産効率が低下する。以上の観点から均熱工程の好ましい加熱速度は、10〜100℃/時の範囲内である。
【0029 】
また前記の▲1▼の均熱工程において、均質化温度に保持する時間(均質化時間)は6時間以上とすることが好ましい。均質化時間が6時間未満では均質化が十分に進行しない場合がある。しかし長すぎても効果はなく生産効率が低下する。以上の観点から、好ましい均質化時間は6〜24時間の範囲内である。この▲1▼の均熱工程は均質化時間が比較的長いので、通常、バッチ方式で炉中に置くことで行われる。
【0030 】
▲2▼の熱間圧延工程は、前記の均質化されたアルミニウム基合金鋳塊を熱間圧延して板材を形成するために行われる。本発明は、この▲2▼の熱間圧延工程を、シングルミルのリバース式熱間粗圧延機のみを用いて行い得ることが1つの特長であり、効果である。このシングルミルのリバース式熱間粗圧延機は、単基式の熱圧延ロールの前後に受座が設けられ、この熱間圧延ロールの間に鋳塊を往復繰り返し通過させることで次第に薄板化することができ、従来から熱間粗圧延機として一般に用いられている装置である。この装置を用いて圧延できるということは、タンデム式の仕上用熱間圧延機または両側にコイル巻取装置を配したリバース式熱間仕上圧延機などの高価な熱間圧延機を用いなくとも圧延加工できることを意味し、設備の簡略化、製造コストの削減に寄与する。
【0031 】
この▲2▼の熱間圧延工程において、圧延終了後にコイルとして巻き取られて冷却されたアルミニウム板材の再結晶率として70〜100%の高い範囲とすることができる。再結晶率が70%未満であると、熱間圧延工程後のアルミニウム合金板材が硬質となり、引き続き行う冷間圧延時にクラックが生じ易くなる。再結晶率を70%以上にするためには、熱間圧延最終パスの圧下率および圧延速度を高くし、熱間圧延後、巻き取ったコイルの温度を高くする必要がある。圧下率および圧延速度が低いと、再結晶を生じるのに充分な駆動力、すなわち、加工エネルギーを蓄積させることができない。また、巻き取った後のコイル温度が低いと(例えば400℃未満であると)再結晶が充分に生じないので好ましくない。
【0032 】
例えば、本発明に係るプロセスにおいて、第一の冷間圧延の圧下率を85%、第二の冷間圧延の圧下率を20%、最終冷間圧延の圧下率を60%とする場合、最終冷間圧延後の板厚が0.3mmのアルミニウム合金板材を製造するためには、冷間圧延後の板厚を6.3mmとする必要がある。この場合、例えば、熱間圧延最終パスの圧下率を約60%以上、圧延速度を約150m/分以上とすることで、巻取後のコイル状のアルミニウム合金板材の温度を約400℃以上とすることができ、再結晶率が70%以上のアルミニウム合金板材が得られる。
【0033 】
この熱間圧延時の板材の温度低下の原因は、主としてクーラント(冷却材)により低温に維持された圧延ロールと板材との接触で熱を奪われたことによる。圧延時の圧延ロールとの接触部の接触面積と、接触部の板材体積との比率は、圧延時の板厚が薄い程大きくなるので、板材温度の低下が大きくなる。従って、最終パス後の板材の板厚が薄い場合ほど、最終パスの圧下率および圧延速度を高く設定し、加工蓄積エネルギーを高くすることにより、低温でも再結晶を生じるようにする必要がある。更に、圧延ロールとの接触時間を短くし、コイル温度の低下を防止する必要がある。
【0034 】
例えば、シングルミルのリバース式熱間粗圧延機を用いた一例では、熱間圧延最終パスの圧下率を50〜75%、圧延速度を150〜250m/分、熱間圧延後の板厚を5〜10mm、巻き取ったコイルの温度を400〜500℃とすることが可能であり、これにより70〜100%の再結晶率が得られる。ここで再結晶率をこのように高い範囲とすると、再結晶率が70%未満の場合と比べ、第二中間焼鈍時に再結晶した際に生じる立方体方位粒は少なくなる。しかし、最終冷間圧延工程において、圧下率を低い範囲(圧下率45〜70%)に設定しているので、最終冷間圧延での圧延集合組織の発達が少なく、最終的に得られる板材では0-90°耳と45°耳との発達がバランスした低耳化が達成される。なお、巻き取ったコイル温度を500℃超にしても第一冷間圧延時のクラックの発生はそれ以上改善されず、コイルが冷却されるまでの間に表面酸化が生じるので上限温度は500℃以下とすることが好ましい。
【0035 】
前記▲2▼の熱間圧延工程において、圧延開始温度は500℃以上とすることが好ましい。圧延開始温度が500℃未満では、圧延荷重が大となり所要パス数が増加し効率が低下すると共に、前記の熱間圧延終了直後の許容温度範囲を維持することが困難になる。
最終パスの開始温度は400℃以上とすることが好ましい。また、再結晶率は巻取後のコイルの冷却速度にも依存すると考えられるが、圧延後にコイル状に巻き取られたアルミニウム合金板材をファン空冷により強制的に冷却しても、充分な再結晶率(70〜100%)が得られる。
【0036 】
前記▲3▼の第一冷間圧延工程においては、前記の熱間圧延工程終了後の冷却した板材を、圧延率が75〜95%の範囲内となるように冷間圧延する。この工程における圧延率が75%未満では耳率が大となる。圧延率は、高いほど後述する▲5▼の第二中間焼鈍工程において0-90゜耳となる立方体方位組織が多く生成する。ただし圧延率が95%を越えると、板材端部に生じるクラックの防止が困難となり、圧延中に破断を生じるおそれがある。この破断を防止するために、端部をトリム加工すると、歩留まりが著しく低下し、生産コストが著しく増加する。以上の観点から、第一冷間圧延工程における圧延率を75〜95%の範囲内とすることが好ましい。
【0037 】
前記▲4▼の第一中間焼鈍工程は、前記冷間圧延後の板材に対し、図1に基本構成を示す連続焼鈍装置を用いて加熱速度10〜200℃/sの範囲(10℃/s以上、200℃/s以下の範囲)で加熱し、保持温度280〜380℃の範囲(280℃以上、380℃以下の範囲)に1〜30s(1s以上、30s以下)保持し、冷却速度10〜200℃/sの範囲(10℃以上、200℃以下の範囲)で冷却することが好ましい。
【0038 】
図1に連続焼鈍装置(Continuous Annealing Line:略称CAL)の基本構成例を示すが、この例の連続焼鈍装置Aは、供給ロール1から長尺のアルミニウム合金の板材2を引き出して緩衝装置3を介して数10m〜100m程度の長い炉本体4に供給し、この炉本体4内で移動中に前記の条件で焼鈍し、焼鈍後に炉本体4から引き出し、緩衝装置6を介して巻取ロール7に巻き取ることができる装置である。この連続焼鈍装置Aによれば、炉本体4を通過するアルミニウム合金の板材2を連続単体処理できるために、バッチ式の焼鈍炉よりもより正確な加熱条件と冷却条件で焼鈍処理を行うことができる。
そして、連続焼鈍装置Aならば、アルミニウム基合金の板材2を供給ロール1に巻き付けた状態のコイルの幅や径が異なっても、換言するとアルミニウム合金の板材2の幅や厚さ、処理するべき長さが異なっていても、製造したい順番に焼鈍処理できるために、同一の大きさのコイルのみを焼鈍炉に搬入して焼鈍していたバッチ式の焼鈍炉の場合に比べて中間在庫の増加を抑えることができる。
【0039 】
この焼鈍工程は、アルミニウム基合金板材を半軟化状態にもたらすものであって、焼鈍後の耐力;YS(Yield strength)を100〜250MPaの範囲、より好ましくは130〜200MPaの範囲とすることが好ましい。
この範囲の耐力は、焼鈍温度と時間を適切に組み合わせることによって達成できるが、焼鈍温度を高くし、短時間で焼鈍した方が、後述の第二中間焼鈍後に立方体方位粒がより多く得られる。このために、加熱速度を10℃/s以上と高くし、280℃以上の高温に急速に加熱し、30s以下の短時間で適切な範囲まで軟化させる。このような条件で、耐力がこの範囲になるように焼鈍するならば、後述の第二中間焼鈍後に0-90゜耳となる立方体方位組織が目的を満足するために適量生成する。
焼鈍温度が280℃未満または保持時間が1s未満では十分な軟化が得られず結果的に耳率が高くなる。焼鈍温度が380℃を越えまたは保持時間が30sを越えると軟化が過剰となって耳率が高くなる。
【0040 】
前記▲5▼の第二冷間圧延工程は、前記▲4▼の第一中間焼鈍後の板材に対し、圧下率10〜25%の範囲内となるように冷間圧延する工程である。実際上、圧下率を15%以上、22%未満の範囲とすることが好ましい。
【0041 】
前記▲6▼の第二中間焼鈍工程は、前記▲5▼の第二冷間圧延工程を経た板材を、焼鈍温度が450〜610℃の範囲内、焼鈍時間が1〜30秒間の範囲内で焼鈍する工程である。この工程は、前記▲1▼から▲5▼の工程を順次施した板材を十分に再結晶させ、適量の立方体方位組織を発達させ、0〜90゜耳が発生する軟質材を得る工程である。この工程は、焼鈍時間が短時間であるので、先に説明した連続焼鈍装置を用いて行うことが好ましい。
この第二中間焼鈍工程では、焼鈍温度を低くし、長時間かけて再結晶させた方が、再結晶で得られる立方体方位粒の量が多くなる。しかしながら、前記▲1▼〜▲5▼の工程を前述の条件で実施し、かつ、後述の様に▲7▼の最終冷間圧延工程の圧下率を45〜70%と低い値と設定しているので、低温で長時間かけて再結晶させると、立方体方位粒が過剰となり好ましくない。したがって、加熱速度を10℃/s以上とし、450℃以上に加熱して、短時間で再結晶を完了させる。また、450℃以上に加熱することで、Si、Cu、Mgなどが溶体化されるため、加工硬化性が増加し、析出硬化性が付与されるために、最終冷間圧延工程の圧下率を45〜70%と低い値としても、充分な材料強度が得られる。溶体化効果を高めるためには、加熱温度を高くし、保持時間を長くすることが好ましいが、加熱温度が高すぎると、板の破断が生じ易いので、加熱温度の上限は610℃とした。加熱時間を長くするためには、連続焼鈍炉の炉長を長くするか、板の通板スピードを遅くする必要があり、いずれも生産コストを増加する要因となる。そこで、上限は60秒とした。また、冷却速度が遅すぎても、生産性が低下するため、下限を10℃/sとした。また、加熱/冷却速度が200℃/sを超えると、板材に歪が発生し易くなる。
【0042 】
前記▲7▼の最終冷間圧延工程では、前記▲6▼の第二中間焼鈍後の板材を、所定の板厚となるように、圧延率が45〜70%の範囲内で1パスで冷間圧延し、かつ巻き取ったコイル温度が90〜140℃となるようにする。ここでの1パスとは、シングルスタンド冷間圧延機で1回で圧延することで行うこともでき、2スタンド以上の圧延機を並べたタンデム式圧延機にて1回で圧延することで行うこともできる。
更に、巻取り完了後、コイル温度が90℃未満になるまで1〜10時間保持されるようにする。この工程における圧下率が45%未満では、ネック成形時に座屈やしわが生じ易くなる。圧下率が70%を越えると、耳率が高くなり、耐胴切れ性が劣化する。また、巻き取ったコイル温度が90℃未満の場合や、90℃以上の場合でも巻取完了後1時間以内に、90℃未満まで冷却された場合には、板材の加工硬化性が低すぎるため、深絞りや再絞り成形時やボトム成形時にしわが発生し易い。一方、巻き取ったコイルの温度が140℃を越える場合、および90℃未満になるまでの時間が10時間を越える場合は、耐胴切れ性が著しく劣化することとなる。
【0043 】
一般に冷間圧延を行うと、加えられた加工仕事が熱に変換され、圧延加工中の材料温度が高くなる。一方、圧延加工中の材料は接触しているロールやクーラントに熱を奪われ、冷却される。通常、圧下率が高くなるほど、前者の発熱量が大きくなるが、発熱量は圧延速度に大きく依存しない。後者の冷却量は、圧延速度が高い程、小さくなる。従って、冷間圧延工程において圧下率が高く、圧延速度が速いほど圧延中の材料温度が高くなる。
圧下率45〜70%の最終冷間圧延は、シングルスタンドの冷間圧延機で行ってもタンデム式の多段圧延機で行っても良いが、上述した如く1パスで行う必要がある。冷却圧延を2パスで圧延する場合、1パス目の圧延でコイル温度が増加するが、通常は、ほぼ常温までコイル温度が低下した後に、2パス目の圧延を行う。この場合、1パス目の圧延後、コイルが冷却されるまでの間に時効硬化が生じ、2パス目の圧延の際に強度が著しく高くなる。更に、2パス目の圧下量が低くなるため、圧延後の温度を90℃以上にすることが困難になる。結果として、深絞りや再絞り成形時にしわが生じ易くなる。2パス目の圧延を1パス目の圧延直後に行う方法も考えられるが、コイルが長い場合、パス間の保持時間が数分以上になるために、前記の第一の問題が完全には回避できない。また、圧延後はコイル内の温度差が最も大きい状態であり、温度が高いままで均一な板厚にすることは困難である。
【0044 】
1パスで圧延する場合、巻取後のコイル温度を所定の範囲にするためには、圧延速度を適切な範囲に設定する必要がある。また、圧下率が低い場合は、発熱量が小さいので、圧延前のコイル温度を高くするとともに、圧延中の冷却を生じ難くする必要がある。一方、圧下率が高い場合は、発熱量が大きいので冷却を十分に行う必要がある。
以上の工程を経た後に板材は所定の板厚の本発明のアルミニウム合金板材としてコイルに巻き取られ製品化される。
【0045 】
以上説明の順に、▲1▼の均熱工程と▲2▼の熱間圧延工程と▲3▼の第一冷間圧延工程と▲4▼の第一中間焼鈍工程と▲5▼の第二冷間圧延工程と▲6▼の第二中間焼鈍工程、及び、▲7▼の最終冷間圧延工程を施してアルミニウム合金板材を製造することにより、図2に示すようにアルミ缶を製造するためにカップ8とした場合に、耳率の少ないものを得ることができる。
なお、図2においてカップ底のアルミニウム合金板の圧延方向を矢印で記載したが、この圧延方向を基準として、カップ8の周方向の位置を表す。このカップ8の上部(筒体を構成するアルミニウム基合金板ではサイド部)に〇印で示した箇所に生成されるものが0-90゜耳であり、前述の工程のうち、▲6▼の第二中間焼鈍後には0-90°位置にわずかな耳が生じるようにし、▲7▼の最終冷間圧延により0-90°位置に生じる耳が更に小さくなり、一方冷間圧延を行うことにより×印で示した45゜位置にも耳が生じるようになるが、0-90°と45°のいずれの位置にもバランスした小さな耳を生じる低耳材が得られる。本発明の製造方法によれば、このアルミニウム合金のサイド部、即ち、アルミニウ基合金板材を筒状に加工したものにあっては筒体開口部側に現れる0-90°耳と45°耳のバランスを取ることができる結果、耳率を低く抑えることができる。
【0046 】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づき更に詳しく説明する。
以下の実施例および比較例において、原料のアルミニウム合金として以下の表1に示す2種類の組成のものを、それぞれ合金A,Bとして用いた。
【0047 】
【表1】
Figure 0004011293
【0048 】
前記のそれぞれの合金の溶湯を、常法により、脱ガス、介在物除去を行い、それから半連続鋳造により重量6t、厚さ550mmの鋳塊を鋳造し、12.5mmの面削を行い面削鋳塊の試料を作製した。この試料のそれぞれについて、以下の表2に示す条件で、順次、▲1▼均熱工程、▲2▼熱間圧延工程、▲3▼第一冷間圧延工程、▲4▼第一中間焼鈍工程、▲5▼第二冷間圧延工程、▲6▼第二中間焼鈍工程、▲7▼最終冷間圧延工程を施し、缶ボディ用アルミニウム合金板材を製造した。表記以外の各工程の条件は全試料共通に下記の通りとした。
【0049 】
▲1▼均熱工程:加熱速度は平均50℃/時、均質化温度は570℃±3℃とし、この温度範囲に8〜10時間保持して均質化を行った。
▲2▼熱間圧延工程:実施例1〜3及び比較例1〜11については、前記の圧延最終パスの開始温度は450℃〜500℃、圧下量は62%とした。後述の表2に示す「熱延巻取後のコイル温度」は最終パス終了後のコイルに巻き取った直後のアルミニウム合金板材の温度であり、これは圧延速度により調節した(圧延速度が遅いほど仕上げ温度が低くなる。)なお、熱間圧延終了後、コイル状に巻き取る直前に板幅方向両端に発生したサイドクラックを除去するため、各20mm両端部をトリムした。比較例12〜15については、熱間粗圧延機を用いて、28mmまで圧延後、4タンデム式熱間圧延機で仕上圧延した。
【0050 】
▲4▼第一中間焼鈍工程:長さ15mの炉本体を備えたフローティング式連続焼鈍装置を用い、30℃〜280℃までの平均加熱速度約20℃/sで加熱した。材料の最高到達温度、及び280℃以上に保持された時間は、後述の表2に示す通りである。最高到達温度から、70℃になるまでの平均冷却速度は約30℃/sに設定した。ただし、比較例14、15ではバッチ式焼鈍炉を用い、(焼鈍温度−100)℃から(焼鈍温度−10)℃までの平均加熱速度を14〜17℃/時間(0.0039〜0.0047℃/s)とし、保持温度、保持時間を後述の表2に示す条件とし、冷却は実体温度(アルミニウム合金板材のコイル自体の温度)が250℃となるまでは炉冷とし、以降は大気中で冷却した。なお、この第一中間焼鈍工程の直前に試料のサイドクラックを除去するために、試料の幅方向両端部の各20mmの部分をトリムした。
【0051 】
▲6▼第二中間焼鈍工程:フローティング式連続焼鈍炉を用い、常温から(焼鈍温度−100℃)までの平均加熱速度は30〜100℃/秒とした。後述する表2、表3の「温度」は焼鈍最高到達温度を示し、「時間」は(最高到達温度−100)℃から焼鈍最高到達温度に達するまでの時間(秒)を示す。冷却速度は、焼鈍最高到達温度から70℃までの平均で、約100℃/秒とした。
ただし、比較例9では、バッチ式焼鈍炉を用い、(焼鈍温度−100)℃から焼鈍温度までの平均加熱速度を14〜17℃/時間(0.0039〜0.0047℃/s)とし、保持温度、保持時間を後述の表2に示す条件とし、冷却は実体温度(アルミニウム合金板材のコイル自体の温度)が250℃となるまでは炉冷とし、以降は大気中で冷却した。比較例9では、第二中間焼鈍を行った後、前記と同様の方法でフローティング式連続焼鈍炉を用いた第3中間焼鈍を行った。
また、比較例10、11では、バッチ式焼鈍炉を用い、(焼鈍温度−100)℃から焼鈍温度までの平均加熱速度を14〜17℃/時間(0.0039〜0.0047℃/s)とし、表2に示す温度まで加熱し、表2に示す時間保持後、さらに同一炉中で第3焼鈍温度まで、14〜17℃/時間の加熱速度で加熱し、同時間保持後、実体温度が250℃となるまでは炉冷し、以降は大気中で冷却した。
【0052 】
▲7▼最終冷間圧延工程:表2の「最終圧下率」によって、板厚0.30mmのアルミニウム合金板材を製造した。実施例及び比較例1〜8では、1パスで最終冷間圧延を行った。比較例9〜15では、最終冷間圧延を2パスで行った。
最終パス巻き取り完了直後のコイル温度を後述の表2に示す。また、巻き取り後、90℃以下まで冷却されるのに要した時間も表2に示す。コイルの冷却はファン空冷としたが、実施例2と比較例8では、最終冷間圧延終了後、表2の時間経過後、スリッターで巻き替えを行い、巻き替え時に強制空冷して90℃以下に冷却した。
また、比較例11、13、15は、それぞれ比較例10、12、14と同一の工程で製造した材料を、最終冷間圧延後に145℃で2時間、安定化焼鈍したものである。
【0053 】
以上の試験の結果得られたアルミニウム合金板材の断面結晶粒組織を観察した結果、以下の表2に、符号A、B、Cで分類して表示した。Aで示すものは、やや延伸した極微細粒組織であり、Bで示すものは、やや延伸した微結晶粒組織であり、Cで示すものは極めて延伸した粗大粒組織であることを示す。
次に、前記のアルミニウム合金板材を焼付け塗装時の焼付け条件に相当する210℃で10分間加熱を行った後、JIS5号引張試験片に加工し、JIS B7771に従って0.2%耐力を求め、表2に示した。
また、前記のアルミニウム合金板材を用いて、350cc飲料缶のDI加工を行った。DI加工後、缶の上端に生じた耳高さを測定した結果を表2に示す。更に、深絞り加工および再絞り加工のみを行い、しごき成形およびボトム成形を省いた再絞り缶を採取し、底部と缶壁との間の傾斜部分の凹凸の状況を調べ、ボトムしわ評価の代用とし、その測定結果を表2と表3に示した。
【0054 】
次に、DI加工時の第2しごき加工率を下げ、代りに第3しごき加工率を高めることにより胴切れを生じやすくして耐胴切れ性について評価した。しごき率の設定は、比較例11の素材を用いて予備試験を行い、胴切れ発生率が約1%になるように設定した。本試験では、20種類の材料を順次変更して胴切れ発生率を調べた。材料の変更は、同一材料で胴切れが3回生じるか、あるいは、成形数が約2000缶に達した時点で行った。この様なサイクルを3回実施し、胴切れ発生率が0%の試料では約6000缶の成形を行った。胴切れ発生率が最も高かった試料では総成形数は約1000缶である。
【0055 】
【表2】
Figure 0004011293
【0056 】
【表3】
Figure 0004011293
【0057 】
表2、3に示す結果から、熱間圧延工程における巻取後のコイル温度が400〜500℃であることが好ましく、冷却後の再結晶率は70〜100%の範囲であることが好ましく、最終冷間圧延後の圧下率が45〜70%の範囲であることが好ましく、その後に巻き取ったコイルの温度が90℃以上、140℃以下であることが好ましく、1パスの冷間圧延であることが好ましく、巻取直後のコイル温度が90℃以下になるまで1時間以上保持することが好ましいことが明らかになった。
即ち、比較例1の試料は、第一中間焼鈍の温度を本発明上限の380℃よりも高い520℃とし、第二冷間圧延工程と第二中間焼鈍工程を省略した試料、即ち本発明の第一中間焼鈍である半軟化焼鈍を行わず、直接、再結晶化焼鈍を行った場合であるが、微細な再結晶が得られ、ボトムしわ、胴切れを発生しないが、耳高さが高くなった。
【0058 】
比較例2の試料は、第一中間焼鈍の温度を本発明下限の280℃よりも低い270℃とし、第一中間焼鈍の時間を0にした試料であるが、微細な再結晶が得られ、ボトムしわ、胴切れを発生しないが、耳が高くなった。
比較例3の試料は、第一中間焼鈍の温度を本発明上限の380℃よりも高い390℃とし、第二中間焼鈍工程と第二中間焼鈍工程を行った試料であるが、微細な再結晶が得られ、ボトムしわ、胴切れを発生しないが、耳が高くなった。
比較例4の試料は、第二冷間圧延工程の圧下率を本発明上限の25%よりも大きい30%とした試料、即ち、圧下率が高すぎる試料であるが、微細な再結晶が得られ、ボトムしわ、胴切れを発生しないが、耳高さが高くなった。
比較例5の試料は、巻取後のコイル温度を400℃未満の380℃とし、熱間圧延後の再結晶率を70%未満の60%としたものであり、熱間圧延後巻取直後のコイル温度が低すぎ、冷却後の再結晶率が低すぎる場合であるが、第一冷間圧延途中に板材が破断し、圧延を継続できなかった。
【0059 】
比較例6の試料は、最終冷間圧延後の巻き取ったコイルの温度が低すぎる場合で、微細な再結晶粒が得られ、耳高さが低く、胴切れを発生しないが、ボトムしわを生じ易く、伸びも低かった。
比較例7の試料は、最終冷間圧延後の巻取直後のコイル温度を本発明の上限140℃よりも高くした試料であるが、微細な再結晶粒が得られ、ボトムしわを発生しにくく、耳高さが低いが、胴切れを発生した。
比較例8の試料は、最終冷間圧延後のコイル温度が90℃以下になるまでの時間が短すぎる場合で、微細な再結晶粒が得られ、耳高さが低く、胴切れを発生しないが、ボトムしわを生じた。
比較例9の試料は、本発明者らが先に特許出願している特開2000−26946号に開示の技術による製造方法において3段階の中間焼鈍を行う技術に沿うもの(第三中間焼鈍を施し、最終冷間圧延時の圧下率を本発明上限の70%を越える72.7%とした試料)であるが、耳高さは低いものの、結晶粒が粗大でボトムしわを生じ易く、胴切れが発生した。
【0060 】
比較例10の試料は、本発明者らが先に特許出願している特開2000−26946号に開示の技術による製造方法において3段階の中間焼鈍を行う技術に沿うもの(第一冷間圧延工程の圧下率を本発明下限の75%よりも低い66.2%とし、第三中間焼鈍工程を施し、圧下率を本発明上限の70%を越える85%とした試料)であるが、耳高さは低いものの、結晶粒が粗大で強度が低く、ボトムしわを生じ易く、胴切れが発生した。
比較例11の試料は比較例10で得た材料に安定化焼鈍(145℃×2時間)を施した試料であり、ボトムしわを生じないようにすることはできるものの、胴切れが発生した。
比較例12〜15の試料は、タンデム式熱間仕上圧延機を用いて、素材を製造した場合である。比較例12、13の試料は、熱間仕上圧延後に連続式焼鈍炉にて焼鈍した例、比較例14、15の試料は、バッチ式焼鈍炉で焼鈍した試料であり、その後に最終板厚まで冷間圧延した場合の例である。
【0061 】
比較例12、13は、巻取後のコイル温度を低く、第一冷間圧延の圧下率を0として第二中間圧延を略し、最終冷間圧延の圧下率を85%とした試料であるが、いずれも耳率は低いものの、結晶粒が粗大であり、一方でボトムしわが発生し、胴切れは両方で発生した。
比較例14、15は再結晶化率を0として、第一冷間圧延の圧下率を0とし、第二冷間圧延と第二中間焼鈍を略した試料であるが、一方でボトムしわが発生し両方で胴切れが発生した。
また、安定化焼鈍を行っていない場合、ボトムしわを生じやすく、安定化焼鈍を行うとボトムしわは改善されるが、胴切れを更に生じやすくなる傾向にある。更に、熱間圧延後にバッチ式の焼鈍を行ったものは、強度が低いことも明らかになった。
【0062 】
比較例16は、最終冷間圧延工程の圧下率が42.3%と本発明範囲の下限より低い場合である。微細な結晶粒が得られ、耳高さが低く、ボトムしわや胴切れを発生しない。表2に示した口辺ネック部耐力は、成形したDI缶の上端開口部をトリムして耳を除去後、印刷・塗装後の焼付け条件に相当する加熱条件(210℃で10分間)で加熱し、さらに、口辺部の径を3.4%縮径するネック成形を施し、ネック形成された部位から切り出した試験片を引張試験して求めた耐力値である。実施例1〜5では、口辺ネック部耐力が278〜283MPaであるのに対し、比較例16では、291MPaと高い値を示す。ネック部の耐力が高いとネックしわの発生率が高くなる。比較例17は最終冷間圧延巻取後、コイルが90℃未満になるまでの時間が15時間と本発明の上限を越える場合であるが、微細な結晶粒が得られ、耳高さが低く、ボトムしわを発生しないが、胴切れ発生率が高い。
【0063 】
次に、表3の伸びは、製造された板材を、JIS5号試験片に加工し、圧延方向に引張速度20mm/分で引張試験した場合の伸びを示す。
これら表3に示す伸びの値から、本発明に係る製造方法による試料であれば、5%未満、望ましくは4%未満になるが、比較例のものでは1.9〜5.2の範囲で大小の値にばらつくことが明らかである。
表3に示す本発明試料の特性から、最終冷間圧延後の伸びが20t%(tは板厚mm、今回の試験では0.3mmを示す)以下、好ましくは、15t%以下であると好ましいことが判明した。即ち、伸びが高すぎると、耐胴切れ性が悪化し、伸びが低いとカップ成形時にカップ口部にしわを生じやすいが、本発明試料では最終圧延加工率が低いので、しわは生じ難くなる。
【0064 】
【発明の効果】
本発明の耐胴切れ性に優れた缶ボディ用アルミニウム基合金板の製造方法は、アルミニウム基合金鋳塊を、▲1▼均熱工程において均質化処理し、▲2▼熱間圧延工程において熱間圧延終了時の板材の温度を400〜500℃となるように再結晶率70〜100%となるように熱間圧延し、▲3▼第一冷間圧延工程において圧延率が75〜95%となるように冷間圧延し、▲4▼第一中間焼鈍工程において連続焼鈍装置を用いて280〜380℃で1〜30sの範囲内で焼鈍し、▲5▼第二冷間圧延工程において圧延率が10〜25%となるように冷間圧延し、▲6▼第二中間焼鈍工程において450〜600℃、1〜30秒の範囲内で焼鈍し、▲7▼最終冷間圧延工程において圧延率45〜70%の範囲内となるように冷間圧延する製造方法であるので、
熱間圧延工程の全工程においてシングルミルのリバース式熱間粗圧延機のみを用いて、深絞り成形時に耳率を大幅に低減できるばかりでなく、製缶時にネックの縮径率を大きくしてもネック耳が生じにくい、胴切れ性にも優れたアルミニウム合金板材を製造することができ、DI缶などを製造する際の製造コストを低減しかつ歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0065 】
次に、熱間圧延時の仕上温度を400〜500℃と高い範囲とし、再結晶率を70〜100%の高い率とし、第二中間焼鈍時に450℃以上の高温に10℃/s以上の高速で加熱し、再結晶させることにより、第二中間焼鈍時に生じる立方体方位粒の量を抑制し、一方、第一冷間圧延率を75〜95%と高くし、第二冷間圧延率を10〜25%の最適な範囲に限定することにより、第二中間焼鈍時に生じる立方体方位粒を増加させ、結果として、第二中間焼鈍後に必要かつ充分な立方体方位粒の量を適量生成させ、最終冷間圧延の圧下率を45〜70%と低くすることにより、最終的に45°耳と0-90°耳のバランスがとれた低耳率の板材を提供できる。
【0066 】
さらに、最終冷間圧延工程において、圧下率を45〜70%の低い範囲とし、冷間圧延後のコイル状の板材の温度を90℃以上、140℃以下となるように1パスの冷間圧延を施し、かつ、巻き取り完了後のコイル状の板材を90℃以上で1〜10時間保持することにより、DI成形時にしわや破断を生じにくくできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明製造方法の実施に用いる連続焼鈍装置の一例を示す概略構成図。
【図2】 本発明製造方法で得られたアルミニウム基合金板を加工して得られるアルミ缶用筒体の斜視図。
【符号の説明】
A・・・連続焼鈍装置、1・・・供給ロール、2・・・アルミニウム基合金板材、3、6・・・緩衝装置、4・・・炉本体、7・・・巻取ロール、8・・・筒体。

Claims (1)

  1. Mg:0.9〜1.7重量%、Mn:0.8〜1.2重量%、Fe:0.30〜0.55重量%、Si:0.25〜0.45重量%、Cu:0.20〜0.4重量%、Zn:0.05〜0.4重量%、Ti:0.02〜0.2重量%含有し、残部が不可避不純物とAlからなるアルミニウム合金を溶製し、半連続鋳造して得た鋳塊を、熱間圧延及び冷間圧延を施してアルミニウム合金板材を製造するに際して、順次、
    ▲1▼均熱工程において、前記アルミニウム合金鋳塊を、560〜610℃の範囲で、6〜24時間均質化処理し、
    ▲2▼熱間圧延工程において、前記の均質化されたアルミニウム合金鋳塊を熱間圧延して板材を形成するに際し、熱間圧延後、巻き取ったコイル状の板材の温度を400〜500℃とし、その後に冷却したコイル状の板材の再結晶率を70〜100%とし、
    ▲3▼第一冷間圧延工程において、前記熱間圧延終了後の板材を、圧下率が75〜95%の範囲内となるように冷間圧延し、
    ▲4▼第一中間焼鈍工程において、連続焼鈍装置を用いて10〜200℃/sの範囲の加熱速度で280〜380℃の温度範囲まで加熱し、この温度範囲で1〜30秒間保持し、次いで10〜200℃/sの範囲の冷却速度で冷却して焼鈍し、
    ▲5▼第二冷間圧延工程において、前記第一中間焼鈍後の板材を、圧下率が10〜25%の範囲内となるように冷間圧延し、
    ▲6▼第二中間焼鈍工程において、連続焼鈍装置を用いて10〜200℃/sの範囲の加熱速度で450〜610℃の温度範囲まで加熱し、この温度範囲で1〜30秒間保持し、次いで10〜200℃/sの範囲の冷却速度で冷却して焼鈍し、次いで、
    ▲7▼最終冷間圧延工程において、圧下率が45〜70%の範囲となり、冷間圧延後巻き取ったコイル状の板材の温度が90℃以上、140℃以下となる様に1パスの冷間圧延を施し、かつ、巻き取り完了後巻き取ったコイル状の板材が90℃未満になるまで1〜10時間保持することを特徴とする耐胴切れ性に優れた缶ボディ用アルミニウム合金板材の製造方法。
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