JP4010492B2 - 鉄骨建物のジャッキダウン工法における柱梁接合工法 - Google Patents
鉄骨建物のジャッキダウン工法における柱梁接合工法 Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は鉄骨建物のジャッキダウン工法において柱と梁間をグラウト充填して接合する工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、線路上の空きスペースを利用した駅舎等の建物駆体建方においては、線路階床梁がホーム上屋を支障してしまうので、上屋を撤去してからコンコース階の駆体を施工している。
【0003】
図4は計画建物と既設上屋との関係を説明する図である。
ホーム階1には列車3の運行の障害にならないように建築限界の外側位置に上屋2が建てられており、この上屋には列車の運行を制御するための信号線、照明や案内等のための電力ケーブル類が取り付けられている。
【0004】
上屋が建てられているホーム階上に新たに建物を施工する場合、その建物駆体4の2階部分の梁5が上屋2を支障してしまうので、従来は、仮上屋を施工して既設上屋に敷設されているケーブル類を仮上屋に移設した後、既設の上屋2を撤去して建物駆体を施工するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の線路上の空きスペースを利用した駅舎等の建物駆体建て方においては、既設の上屋を撤去してからコンコース階の駆体を施工しなければならなかった。そのため、上屋を撤去してからコンコース階の床版ができるまでの期間は仮上屋を作る必要があり、また既設の上屋に敷設されているケーブル類を仮上屋に移設せねばならず、多くの工期とコストを費やしてしまうという問題があった。
【0006】
また、従来は、鉄骨建物の柱と梁の接合部は梁端部(ブラケット)を事前に取り付けた柱を建て込み、その後、ブラケットに梁中央部を現地でボルト接合するブラケット形式が多かった。このブラケット形式において、既設の上屋を支障しないように梁を任意の高さの位置に仮設置し、梁設置終了後に梁全体を最終的な高さまで上下にスライドさせて据え付けることが考えられるが、ブラケット方式の接合部のままでは仮設置用部材が大型となり、上下にスライドさせるときの水平方向の精度が必要であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、梁を任意の高さの位置に仮設置し、その後梁全体を最終的な高さまでスライドさせて据えつける場合に、少ない仮設材で施工でき、柱と梁の一体化が可能で、一体化作業を短時間にできるようにすることを目的とする。
本発明は、柱に溶接された受け部材と嵌合するプレートが端部に溶接された梁を、建物施工に際して撤去される上屋上部に仮施工する段階、上屋撤去後に前記梁をジャッキダウンし、前記プレートを受け部材に嵌合させる段階、柱、受け部材、プレートで囲まれた空間にグラウトを充填する段階、前記グラウト充填した部分を前記プレートが貫通する孔を形成した鋼材で覆う段階からなることを特徴とする。
また、本発明は、鋼製リングに接合した梁を建物施工に際して撤去される上屋上部に仮施工する段階、上屋撤去後に前記梁をジャッキダウンし、鋼製リングを柱に溶接された支持プレートで受ける段階、鋼製リングと柱の間にグラウトを充填する段階、柱とリング間に鋼板を溶接する段階からなることを特徴とする。
また、本発明は、リングに接合された各梁相互をダイヤフラムプレートで連結する段階を含むことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は鉄骨建物の柱梁接合工法の1例を説明する概念図で、図1(a)は梁ジャッキダウン前を示す正面図、図1(b)は梁ジャッキダウン後を示す正面図、図1(c)は図1(b)のA−A′断面図である。
建物の基礎10に設置された柱11には梁を支持するための受け部材(L型鋼板)12が柱の対向面にそれぞれ(この例では一対)溶接され、梁13にはその端部に受け部材12に嵌合する嵌合プレート(鋼板)14が溶接されている。梁13は建物施工に際して撤去される上屋(図示省略)等を支障しないように、それよりも高い位置に油圧シリンダ(図示省略)等で仮設置される。上屋のケーブル類等を梁13側に移設した後、上屋を撤去し、その後、梁全体を図示しない油圧シリンダによりジャッキダウン(スライド)させ、嵌合プレート14を受け部材12に嵌合して支持する。
【0009】
次いで、図1(b)、図1(c)に示すように、柱11、受け部材12、嵌合プレート14で形成される空間(底面と側面は受け部材12で閉じられ、上面のみ開口)にモルタル等を充填して柱と梁とを接合することにより、柱と梁の応力伝達は充填されたモルタル等で行われる。このように、柱と梁の接合部をグラウト充填して接合するようにしたので、接合部の溶接やボルト締めが不要となり、短時間で施工でき、昼間作業も可能等の利点がある。
【0010】
図2は図1の概念図で示した工法をより具体化した例を示す図で、図2(a)は断面図、図2(b)は軸組詳細図、図2(c)は柱の1つの面のみ説明する斜視図である。なお、図1と同一参照数字は同一内容を示している。
本実施形態においては、H型鋼からなる梁13の端部に嵌合プレート(鋼板)14を現場溶接し、受け部材(L型鋼板)12に嵌合プレート14を噛み合わせた後グラウト充填し、その上面(開口面)をプレート(鋼板)16で蓋をしたものである。図示の例では嵌合プレート14が受け部材12より上まで延びているため、プレート16には嵌合プレート14が貫通する細長い孔が形成されている。なお、梁を最終的な高さに据え付ける調整を行う場合、接合部の柱を上下にスライドして調整することも可能である。柱と梁の応力伝達は充填材で行われる。
【0011】
図3は本発明の柱梁接合方法の他の例を説明する図で、図3(a)は断面図、図3(b)は軸組詳細図、図3(c)は斜視図である。
本実施形態においては、鋼材からなる角筒状のリング20の四方に仕口21を溶接し、各仕口に梁22を添接板23を通して取付けるようにしたものである。即ち、角筒状リングに取り付けた梁を上屋(図示せず)の高さよりも高い位置に仮設置し、上屋のケーブル類等を梁側に移設した後、上屋を撤去し、その後、角筒状リング20と共に梁全体をジャッキダウン(スライド)して、柱に溶接された支持プレート24で受け、この位置で角筒状リング20と柱間にモルタル等を充填して接合部を形成する。
【0012】
このようなリング方式による接合工法によれば、梁全体を一度に容易に柱に接合させることができる。なお、角筒状リング20と柱11の各面の間に鋼板26を溶接するようにしても良い。また、図示は省略するが、リングに溶接された各梁の間をダイヤフラムプレート26で連結し、筒状リングが歪むのを防ぐようにするようにしても良い。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば柱を任意の高さの位置に仮設置し、梁の設置終了後に梁全体を最終的な高さまでスライドさせて据え付け、少ない仮設材で施工ができ、また柱と梁の間はグラウト充填方式であるためスライド後の水平方向の誤差が大きくても、柱と梁の一体化が可能で、一体化作業を短時間に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鉄骨建物の柱梁接合工法の1例を説明する概念図である。
【図2】 図1の概念図で示した工法をより具体化した例を示す図である。
【図3】 本発明の柱梁接合方法の他の例を説明する図である。
【図4】 計画建物と既設上屋との関係を説明する図である。
【符号の説明】
10…建物の基礎、11…柱11、12…受け部材、13…梁、14…嵌合プレート、16…プレート、20…角筒状のリング、21…仕口、22…梁、23…添接板、24…支持プレート。
Claims (3)
- 柱に溶接された受け部材と嵌合するプレートが端部に溶接された梁を、建物施工に際して撤去される上屋上部に仮施工する段階、
上屋撤去後に前記梁をジャッキダウンし、前記プレートを受け部材に嵌合させる段階、
柱、受け部材、プレートで囲まれた空間にグラウトを充填する段階、
前記グラウト充填した部分を前記プレートが貫通する孔を形成した鋼材で覆う段階、
からなる鉄骨建物のジャッキダウン工法における柱梁接合工法。 - 鋼製リングに接合した梁を建物施工に際して撤去される上屋上部に仮施工する段階、
上屋撤去後に前記梁をジャッキダウンし、鋼製リングを柱に溶接された支持プレートで受ける段階、
鋼製リングと柱の間にグラウトを充填する段階、
柱とリング間に鋼板を溶接する段階、
からなる鉄骨建物のジャッキダウン工法における柱梁接合工法。 - リングに接合された各梁相互をダイヤフラムプレートで連結する段階を含むことを特徴とする請求項2記載の柱梁接合工法。
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