JP5192935B2 - 柱梁接合部の取付け構造 - Google Patents
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Description
この技術では、柱に、筒部を有するソケット式の柱梁接合部を取り付ける場合に、前記柱に柱梁接合部の筒部を外挿したうえで、柱の外周面と筒部の内周面との間の環状の隙間にコンクリートまたはモルタル等からなる充填材を充填することによって、柱に柱梁接合部を取り付けている。そして、この柱梁接合部に梁を接合することによって、梁を柱に柱梁接合部を介して接合するようにしている。
このような柱梁接合部の取付け構造では、柱や梁の鉄骨建方における施工誤差を、柱梁接合部の筒部と柱との隙間を利用して吸収できること、梁を柱に現場で容易に接合できること、柱梁接合部を工場で製作することによって、現場での梁接合の継手箇所数を削減できるなどの利点がある。
このため、従来では必ず柱に水平支持部材を固定する必要があるので、その分柱梁接合部の取付けに手間がかかる。
また、柱に水平支持部材を固定しない場合、柱と筒部とを貫通するようにボルトを挿通して締め付けることが、実用上必要となってなっており、そのため、柱梁接合部の取付けに手間がかかる。
前記柱梁接合部2は筒部5を備えており、
前記筒部5が前記柱1に外挿されており、
前記筒部5の内周面5aと、この内周面5aに対向する前記柱1の外周面1aとのうちの少なくともいずれか一方に、突条10,11が周方向に連続して延在してリング状又はスパイラル状に設けられており、
前記筒部5の内周面5aと前記柱1の外周面1aとの間の空間に、充填材12が充填されることによって、前記柱1に前記柱梁接合部2が取り付けられていることを特徴とする。
また、突条は、筒部の内周面や柱の外周面にリング状に形成してもよいし、スパイラル状に形成してもよい。
突条をリング状に形成する場合、筒部や柱の軸方向に所定間隔で複数形成するのが望ましい。
さらに、突条を周方向に延在して設ける場合、周方向に連続して設ける。
前記筒部の内周面に形成された突条と、前記柱の外周面に形成された突条とを、前記筒部または柱の径方向に対向しないようにして、配置してもよい。
したがって、柱梁接合部に接合された梁からのせん断力に対する柱梁接合部の耐力向上を図ることができるとともに、従来のような水平支持部材や柱と筒部とを貫通するようなボルトを使用することなく、柱に柱梁接合部を容易に強固に取り付けることができる。
図1は本発明に係る柱梁接合部の取付け構造を示す斜視図、図2は同断面図、図3は図2におけるX円部の拡大図である。
柱1は、円筒状の鋼管3とこの鋼管3内に充填されたコンクリートとからなるコンクリート充填鋼管柱である。
柱梁接合部2は、鋼管で形成された円筒状の筒部5と、この筒部5の上下両端部に固定されたダイヤフラム6,6と、該ダイヤフラム6,6に接合された4つの梁接合部7・・・とを備えている。
そして、このような筒部5は柱1に外挿されており、その下端面は、下側のダイヤフラム6を介して水平支持部材8によって下方から支持されている。この水平支持部材8はリング状の鋼板によって形成されたものであり、柱1の高さ方向の所定の位置に、溶接によって水平に固定されている。
前記梁接合部7は、接合すべき梁(図示略)と同断面形状を有するH形鋼で形成されたたものであり、その上下のフランジはそれぞれ上下のダイヤフラム6,6に溶接によって接合されており、ウエブは筒部5の外周面に溶接によって接合されている。
フレア溶接する場合、図3に示すように、設計上必要な溶接量を確保し、溶接ビート10aには、アンダーカットが無いように施工する。鉄筋10や溶接ビート10aの表面はケレン等により表面の汚れを除去するとともに、コンクリートとの付着面には塗装を行わないようにする。また、鉄筋10の直径をAとした場合、鉄筋10aの上側と下側のそれぞれの溶接ビート10aの高さと幅はそれぞれA/2となるように、溶接を行う。
また、前記突条11は、柱1の軸方向にほぼ一定間隔で複数(図2では5本)配置されたうえで、筒部1aの外周面1aに溶接されている。
さらに、突条11は、前記突条10に対して、筒部5または柱1の径方向に対向しないようにして、配置されている。つまり、突条11と突条10とは、図2に示すような断面において、千鳥状に配置されるとともに、突条11は上下に隣り合う突条10,10の中央部に位置するように配置されている。
また、突条10と突条11とは左右方向(筒部5または柱1の径方向)に所定の隙間Sを隔てて配置されている。
この隙間Sの、筒部5または柱1の径方向における隙間寸法eは、e≧25mm以上かつ、突条10(突条11)の、筒部5の内周面5a(柱1の外周面1a)からの突出寸法の1.5倍以上となるように設定されている。
まず、図4(a)に示すように、鉄道のプラットホーム上に、柱1を建て込む。柱1には、その外周面1aから横に突出する状態にこの柱1をほぼ取り巻く状態に、ほぼリング形状の鋼板からなる水平支持部材8が溶接によって固定されている。柱1を建て込む場合、水平部支持部材8が既存上家21とほぼ同高さに位置するようにして建て込む。
次に、各柱1の水平支持部材8より上方に、前記柱梁接合部2の筒部5(図1、図2参照)を、外挿したうえで、水平支持部材8より上方位置でかつ既存上家21より上方位置に仮支持しておく。
柱梁接合部2を仮支持する場合、例えば、柱1の上端部に図示しない水平材を固定し、この水平材の両端部に図示しない油圧ジャッキを連結し、油圧ジャッキのピストンロッドを前記柱梁接合部2に連結することにより行う。なお、ピストンロッドは縮小状態になっている。
梁23は、上方からクレーン等によって吊下げて、隣り合う柱1,1間の梁接合部7,7間に挿入し、梁23の両端部をそれぞれ梁接合部7,7に接合する。そして、梁23に支持されるようにして、建築物の床や人工地盤などを構築する。
そして、既存上家21を撤去した後、図4(c)に示すように、柱梁接合部2が柱1の水平支持部材8に接するまで、梁23をジャッキダウンにより、つまりピストンロッドを伸長することにより降下させることで、柱梁接合部2を水平支持部材8によって下方から支持しておく。
その後この状態で、柱1の外周面1aと筒部5の内周面5aと水平支持部材8によって囲まれる空間に、モルタル又はコンクリートからなる充填材12を上側のダイヤフラム6の上面と面一になるまで充填して施工を終了する。
したがって、梁23からのせん断力に対する柱梁接合部2の耐力向上を図ることができるとともに、従来のような柱と筒部とを貫通するようなボルトを使用することなく、柱1に柱梁接合部2を容易に強固に取り付けることができる。
さらに、突条10と突条11との間の隙間Sの、筒部5または柱1の径方向における隙間寸法eを、e≧25mm以上かつ、突条10(突条11)の、筒部5の内周面5a(柱1の外周面1a)からの突出寸法の1.5倍以上となるように設定したので、前記隙間寸法eをコンクリートの骨材の径より大きくできるとともに、コンクリートの上下方向における流動性を十分に確保できる。したがって、この点においても、筒部5の内周面5aと柱1の外周面1aとの間の空間にコンクリート等の充填材12を容易かつ確実に充填できる。
そして、柱梁接合部2の筒部5の下端開口を形枠等によって閉塞することによって、筒部5の内周面5aと柱1の外周面1aとの間の空間に充填材12を充填できる。
1a 外周面
2 柱梁接合部
5 筒部
5a 内周面
10,11 突条
12 充填材
Claims (2)
- 柱に、梁接合用の柱梁接合部を取り付けてなる柱梁接合部の取付け構造において、
前記柱梁接合部は筒部を備えており、
前記筒部が前記柱に外挿されており、
前記筒部の内周面と、この内周面に対向する前記柱の外周面とのうちの少なくともいずれか一方に、突条が周方向に連続して延在してリング状又はスパイラル状に設けられており、
前記筒部の内周面と前記柱の外周面との間の空間に、充填材が充填されることによって、前記柱に前記柱梁接合部が取り付けられていることを特徴とする柱梁接合部の取付け構造。 - 前記筒部の内周面とこの内周面に対向する前記柱の外周面との双方に、前記突条が形成されており、
前記筒部の内周面に形成された突条と、前記柱の外周面に形成された突条とは、前記筒部または柱の径方向に対向しないようにして、配置されていることを特徴とする請求項1に記載の柱梁接合部の取付け構造。
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