JP4010168B2 - 建物の開口開閉機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、戸建住宅又は集合住宅等の建物において部屋上部等の換気口に取付けられる換気ダンパ又は建物における内倒し若しくは外倒し窓に用いて好適な開口開閉機構及び斯かる開口開閉機構の閉鎖部材に対するセルフロック機構に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、換気ダンパでは、開口を規定する枠(フレーム)内に閉鎖部材が回転自在に配され、閉鎖部材の回転により開口の開度を決定して、開口を介する通気の程度を制御するようにしている。
【0003】
斯かる換気ダンパにおいては、その閉鎖部材は、手動ハンドル又は電動モータ等でもって開口を開閉すべく回転されるのであるが、例えば、開口の閉鎖状態を維持する場合には、手動ハンドル又は電動モータ等に設けられた手動のロック機構でもって閉鎖部材を回転させないようになっている。
【0004】
ところで、手動のロック機構では、ロック及びロック解除において一々面倒な操作を必要とし、しかも、ロック又はロック解除を失念すると、意図しない閉鎖部材の回転でもって開口が開放されて強風の吹き込みが生じたり、電動モータの加熱でもって電動モータを破損させる等の事故が生じる虞がある。
【0005】
斯かる問題は、換気ダンパに限るものではなく、例えば建物における内倒し若しくは外倒し窓においても同様に生じ得る。
【0006】
また換気ダンパでは、開口を開放している場合に屋外で強風が生じると、この強風が開口を介して部屋内に吹き出す虞があり、この強風に基づく吹き出しは、部屋内の居住者等に不快感を与えると共に埃及び場合により吹き出しに伴った砂塵等を部屋内に舞い上げることになるので、屋外で吹く強風等が室内に吹き込まないように、風の強弱に応答して閉鎖部材を回転させて開口を開閉させることが好ましいのであるが、風の強弱による風圧を電気的に検出する風圧センサを屋外に設けて、この風圧センサからの検出電気信号でもって閉鎖部材を回転させるようにする場合には、風の強弱に対して即時に応答して閉鎖部材を回転させないと、屋外から部屋内への強風の完全な吹き込みを防止し難い。
【0007】
閉鎖部材の回転の速度応答性を向上させるためには、高速応答性の高出力の大型の電動モータ等の駆動装置を必要とする結果、高価になる上に大型となって部屋上部等の換気口にコンパクトに取付け難くなり、加えて、屋外に設ける風圧センサは直接に風雨等に曝されるためにそれの定期的な保守が必要となるために、この点からも風圧センサを用いた換気ダンパは必ずしも満足できるものではない。
【0008】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ロック及びロック解除の手動操作を不要とし得、而して、ロック又はロック解除の失念に起因する不都合、事故をなくし得て、しかも、風の強弱に直接に応答して閉鎖部材を回転させて開口を開閉させるようにする換気ダンパとして好適に用いることができる開口開閉機構及び斯かる開口開閉機構の閉鎖部材に対するセルフロック機構を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の建物の開口開閉機構は、建物内外を連通する開口を画成する枠手段と、開口に回転自在に配されていると共に開口を開閉する閉鎖部材を有した開口開閉手段と、開口開閉手段の閉鎖部材による開口の閉鎖を強制的に行わせるべく、開口開閉手段の閉鎖部材を回転させる回転手段とを具備しており、ここで、開口開閉手段は、閉鎖部材に固着された回転自在軸を具備しており、閉鎖部材は、開口を閉鎖する位置に配された際に、開口を開放する位置に向かって回転するように自重によって付勢されており、回転手段は、回転力を発生する発生手段と、発生手段で発生された回転力を開口開閉手段の回転自在軸に伝達する伝達手段とを具備しており、伝達手段は、発生手段で発生された回転力に基づく回転自在軸の回転で開口を閉鎖する位置に閉鎖部材が配された場合に、開口を開放する位置へ向かう閉鎖部材の回転に起因する回転自在軸の回転を禁止する禁止手段を有しており、禁止手段は、枠手段に固定された固定体と、固定体の円筒面に巻回されていると共に両端部が径方向に突出しているコイルばねとを具備しており、伝達手段は、回転力を発生する発生手段によって回転されると共に、回転においてコイルばねの一方の端部に当接する一方、当該コイルばねの他方の端部から離れるようになっている第一の突起を有した第一の回転体と、第一の回転体に対して相対的に回転自在に配されていると共に、回転においてコイルばねの一方の端部に当接する一方、他方の端部から離れるようになっている第二の突起を有した第二の回転体とを有しており、第二の回転体は、回転自在軸と一緒に回転されるように当該回転自在軸に取付けられており、第一の突起は、コイルばねの両端部間において一方の円弧領域に配されており、第二の突起は、コイルばねの両端部間において残りの他方の円弧領域に配されており、コイルばねは、第二の回転体の回転による第二の突起の移動で当該第二の突起に押されて当該コイルばねの端部が移動されようとする際にはコイルばねが固定体の円筒面にきつく巻回されるように縮径されて、当該コイルばねの端部の固定体に対する移動を禁止する一方、第一の回転体の回転による第一の突起の移動で当該第一の突起に押されて当該コイルばねの端部が移動されようとする際には拡径されて、当該端部の移動を許容するようになっており、第二の突起は、開口を開放する位置に閉鎖部材が配されている場合に、閉鎖部材が開口を開放する位置から開口を閉鎖する位置まで回転できるように、コイルばねの両端部間において残りの他方の円弧領域で自由回転可能となっている。
【0010】
本発明の建物の開口開閉機構では、伝達手段が回転自在軸の回転を禁止する禁止手段を有しているために、ロック及びロック解除の手動操作を不要とし得、而して、ロック又はロック解除の失念に起因する不都合、事故をなくし得る。また、本発明の建物の開口開閉機構によれば、開口を開放する位置に閉鎖部材が回転されている場合に、閉鎖部材が開口を開放する位置から開口を閉鎖する位置まで回転できるように、第二の突起がコイルばねの両端部間において残りの他方の円弧領域で自由移動可能となっているために、開口が開放されている場合に、風の強弱に直接に応答して閉鎖部材を回転させることができ、而して、突発的な強風が生じても強風による部屋内への風の吹き出しを防止できる結果、換気ダンパとして好適に用いることができる。
【0014】
回転自在軸と一緒に回転されるようになっている第二の回転体は、回転自在軸に一体的に形成されていてもよく、また、これに代えて回転自在軸と別体で当該回転自在軸に嵌着若しくは固着されていてもよい。
【0017】
閉鎖部材が開口を開放する位置に向かって回転するように付勢されるべく、閉鎖部材の重心を回転自在軸の軸心から偏心して当該閉鎖部材を回転自在軸に固着又は一体的に形成しても、閉鎖部材若しくは回転自在軸に重錘を取付け又はコイルばね等の弾性手段を回転自在軸に連結してもよい。
【0018】
本発明の建物の開口開閉機構においては、発生手段は、手動で回転される手動回転軸及び電動モータのうちの少なくとも一方を具備しており、伝達手段は、手動で回転される手動回転軸及び電動モータの出力回転軸の少なくとも一方の回転力を開口開閉手段の回転自在軸に伝達するようになっていると好ましい。
【0019】
上記の建物の開口開閉機構からなる本発明の換気ダンパは、上述の通り、閉鎖部材は、開口を閉鎖する位置に回転された際に、開口を開放する位置に向かって回転するように付勢されており、禁止手段は、発生手段で発生された回転力に基づく回転自在軸の回転で開口を閉鎖する位置に閉鎖部材が回転されている場合に、開口を開放する位置へ向かう閉鎖部材の回転に起因する回転自在軸の回転を禁止するようになっている。
【0020】
なお、本発明に係る建物の開口開閉機構は、換気ダンパに用いるものに限らず、内倒し若しくは外倒し窓に用いてもよい。
【0021】
本発明において、建物内外を連通する開口を開閉する閉鎖部材に対するセルフロック機構は、開口を画成する枠手段に取付けることができるようになっている固定体と、この固定体の円筒面に巻回されていると共に両端部が径方向で突出しているコイルばねと、回転においてコイルばねの一方の端部に当接する一方、当該コイルばねの他方の端部から離れるようになっている第一の突起を有した第一の回転体と、第一の回転体に対して相対的に回転自在に配されていると共に、回転においてコイルばねの一方の端部に当接する一方、他方の端部から離れるようになっている第二の突起を有した第二の回転体とを具備しており、第二の回転体は、開口を開閉する閉鎖部材に固着された回転自在軸に取付けることができるようになっており、第一の突起は、コイルばねの両端部間において一方の円弧領域に配されるようになっており、第二の突起は、コイルばねの両端部間において残りの他方の円弧領域に配されるようになっており、コイルばねは、第二の回転体の回転による第二の突起の移動で当該第二の突起に押されてその端部が移動されようとする際には縮径される一方、第一の回転体の回転による第一の突起の移動で当該第一の突起に押されてその端部が移動されようとする際には拡径されるように、固定体の円筒面に巻回されている。
【0022】
次に本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1及び図2において、本例の建物の開口開閉機構としての換気ダンパ1は、建物内外2及び3を連通する開口4を画成する枠手段5と、枠手段5の開口4にA及びB方向に回転自在に配されていると共に開口4を開閉する横長の中空の閉鎖部材6を有した開口開閉手段7と、開口開閉手段7の閉鎖部材6による開口4の閉鎖を強制的に行わせるべく、開口開閉手段7の閉鎖部材6をA及びB方向に回転させる回転手段8とを具備している。
【0024】
枠手段5は、開口4を画成すべく、一対の左右の側壁部材21及び22と、一対の側壁部材21及び22を橋絡した一対の中空の上下の横長部材23及び24とを具備している。
【0025】
一対の側壁部材21及び22並びに横長部材23及び24の夫々は、ねじ等に互いに連結、固着されて一体化されている。一対の横長部材23及び24の夫々にはゴム等の弾性材からなる横長のシール部材25及び26が当該一対の横長部材23及び24の夫々に嵌着されて設けられていると共に同じくゴム等の弾性材からなる縦長のシール部材27及び28が一対の側壁部材21及び22の夫々の段差面29及び30に接着剤等により接着されて設けられている。横長部材23は、シール部材25が嵌着された円弧部31を有しており、横長部材24は、シール部材26が嵌着された平坦部32を有している。
【0026】
開口開閉手段7は、開口4に配された閉鎖部材6に加えて、閉鎖部材6に固着された回転自在軸35と、閉鎖部材6の横方向の端部に一体的に形成された一対のフィン36及び37とを具備している。
【0027】
回転自在軸35は、側壁部材21及び22を貫通して配されており、側壁部材21及び22に軸受38を介してA及びB方向に回転自在に支持されている。
【0028】
閉鎖部材6は、回転自在軸35の軸心40に対して点対称に円弧面41及び42を有する円弧部43及び44と、軸心40の片側において円弧部43及び44間に配された連結部45とを一体的に具備しており、閉鎖部材6は、フィン36及び37を含めて、連結部45によりその重心Gが回転自在軸35の軸心40から偏心して回転自在軸35に固着されている。斯かる重心Gの軸心40からの偏心により、閉鎖部材6は、開口4を開放するべくその自重によりB方向の回転モーメントを生じさせるように回転自在軸35に固着されて、常時B方向に回転するように付勢されており、而して、閉鎖部材6は、開口4を閉鎖する位置(図13に示す位置)に回転された際にも、開口4を開放する位置(図2に示す位置)に向かって回転するように常時付勢されている。
【0029】
フィン36及び37は、閉鎖部材6によって開口4が開放される際(図2に示す状態の際)に、開口4に張り出して開口4における建物内2に向かう空気流Xを受容し、閉鎖部材6にA方向の回転モーメントを生じさせるようになっており、而して、フィン36及び37は、開口4に一定以上の速度の建物外3から建物内2に向かう空気流Xが生じる際に、開口4を閉鎖するように閉鎖部材6をA方向に回転させるようになっている。
【0030】
斯かるフィンは、本例のように一対でもよいが、これに代えて、一枚でも又は3枚以上でもよく、更に、フィンに代えて、開口4に一定以上の速度の建物外3から建物内2に向かう空気流Xが生じる際に、閉鎖部材6をA方向に回転させる揚力が当該空気流Xによって閉鎖部材6に生じるような外形形状をもった閉鎖部材6を用いてもよい。
【0031】
開口開閉手段7は、閉鎖部材6が開口を閉鎖する位置(図13に示す位置)に回転された際に、閉鎖部材6の先端部が、即ち本例では、円弧部43及び44の円弧面41及び42の夫々の先端部が横長のシール部材25及び26の夫々に当接し、閉鎖部材6の横方向の両端部が、即ち本例では、円弧部43及び44の円弧面41及び42の夫々の横方向の両端部が縦長のシール部材27及び28の夫々に当接するようになっている。
【0032】
回転手段8は、回転力を発生する発生手段としての電動モータ51と、電動モータ51により発生された回転力であって、当該電動モータ51の出力回転軸52の回転力を開口開閉手段7の回転自在軸35に伝達する伝達手段53とを具備している。
【0033】
電動モータ51は支持板54に支持されており、支持板54は基台55に溶接又はねじ等により取付けられており、基台55は側壁部材22に溶接又はねじ等により固着されており、電動モータ51の出力回転軸52は支持板54を貫通している。
【0034】
伝達手段53は、電動モータ51の出力回転軸52によってA及びB方向に回転されると共にA及びB方向の回転においてコイルばね61の各端部62及び63(図9及び図10参照)に当接するようになっている突起64を有した回転体65と、回転体65に対して相対的にA及びB方向に回転自在に配されていると共にA及びB方向の回転においてコイルばね61の各端部62及び63に当接するようになっている突起66を有した回転体67と、電動モータ51で発生された回転力であって電動モータ51の出力回転軸52の回転力に基づく回転自在軸35の回転で開口4を閉鎖する位置に閉鎖部材6が回転されている場合(図13に示す場合)に、開口4を開放する位置(図2に示す位置)へ向かう閉鎖部材6のB方向の回転に起因する回転自在軸35のB方向の回転を禁止する禁止手段68と、電動モータ51の出力回転軸52の回転を回転体65に伝達するように、一方では回転体65の筒部69に嵌合、連結されており、他方では電動モータ51の出力回転軸52にキー、キー溝等を介して連結されている継手70とを具備している。
【0035】
回転体65は、特に図3から図5に詳細に示すように、円弧状の突起64及び筒部69に加えて、一方の面に突起64が、他方の面に筒部69が夫々一体的に形成されていると共に中央に貫通円孔75を有した円環状板部76を具備しており、六角外面を有した筒部69は、貫通円孔75に連通した貫通円孔77を有している。回転体65は、筒部69において継手70に嵌合、連結されており、電動モータ51の出力回転軸52のA及びB方向の回転により継手70を介して同方向に回転されるようになっており、突起64は、コイルばね61の両端部62及び63間において一方の円弧領域78に配されている。
【0036】
回転体67は、特に図6から図8に詳細に示すように、円弧状の突起66に加えて、六角貫通孔81を有した円筒部82と、円筒部82の外周面に一体的に形成されていると共に外周面に突起66が一体的に形成されている円環状板部83と、円環状板部83の一方の面に一体的に形成されている位置決め用の環状突起84とを具備しており、円筒部82の一端部は、貫通円孔75及び77にA及びB方向に相対的に回転自在となるように挿入されており、六角貫通孔81に回転自在軸35の六角形状の一端部85が嵌入されて連結されて、これにより、回転体67は、回転自在軸35と一緒にA及びB方向に回転されるようになっている。突起66は、コイルばね61の両端部62及び63間において残りの他方の円弧領域86に配されている。
【0037】
禁止手段68は、特に図9及び図10に詳細に示すような径方向に突出している両端部62及び63を有したコイルばね61に加えて、枠手段5の側壁部材22に固定された固定体91を具備しており、固定体91は、円筒部92と、円筒部92に一体的に形成された鍔部93とを具備しており、鍔部93において溶接又はねじ等により側壁部材22に固定されており、円筒部92内に円筒部82の他端部がA及びB方向に相対的に回転自在となるように挿入されている。
【0038】
コイルばね61は、図11に示すように、回転体67のA又はB方向の回転による突起66のA又はB方向の移動で突起66に押されてコイルばね61の端部63又は62がA又はB方向に移動されようとする際には縮径される一方、回転体65のA又はB方向の回転による突起64のA又はB方向の移動で突起64に押されてコイルばね61の端部62又は63がA又はB方向に移動されようとする際には拡径されるべく、円筒部92の外周面の円筒面94に巻回されている。
【0039】
突起66は、電動モータ51で発生されたB方向の回転力に基づく回転自在軸35のB方向の回転で開口4を開放する位置に閉鎖部材6が回転されている場合(図2及び図11に示す場合)に、図11及び図12に示すように、閉鎖部材6が開口4を開放する位置から開口4を閉鎖する位置まで回転できるように、コイルばね61の両端部62及び63間において残りの他方の円弧領域86で自由移動可能となっている。
【0040】
禁止手段68は、電動モータ51で発生されたA方向の回転力に基づく回転自在軸35のA方向の回転で開口4を閉鎖する位置に閉鎖部材6が回転されている場合(図13及び図14に示す場合)に、開口4を開放する位置へ向かう閉鎖部材6のB方向の回転に起因する回転自在軸35のB方向の回転を禁止するように、回転自在軸35のB方向の回転と共に同じくB方向に移動されようとする突起66に押し付けられる端部62の同方向の移動でコイルばね61に縮径を生じさせて、コイルばね61を固定体91の円筒部92の円筒面94にきつく巻回させるようになっている。
【0041】
電動モータ51の作動、作動停止は、他に設けられた操作スイッチ、閉鎖部材6の回転角を検出する検出器等により行われる。
【0042】
以下、換気ダンパ1の動作を説明すると、図13及び図14に示すように開口4が閉鎖部材6で閉鎖されている状態で、全開を指示する操作スイッチの操作に基づく電動モータ51の作動でその出力回転軸52がB方向に回転されて、継手70を介して回転体65が同方向に回転されると、端部62に当接していた突起64が端部63に当接して突起64のB方向の移動と共に端部63を同方向に移動させようとする。端部63のB方向の移動ではコイルばね61が拡径される結果、コイルばね61は、突起64のB方向の移動と共に固定体91に対してB方向に回転され、コイルばね61のこのB方向の回転と共に端部62が同方向に移動されるために、突起66もB方向に回転可能となる。回転体67の突起66がB方向に回転可能となると、回転自在軸35を介して回転体67に連結されていると共に自重によって開口4を開放するように常時B方向に回転付勢されている閉鎖部材6はB方向に回転される。閉鎖部材6の回転角を検出する検出器からの開口全開信号で電動モータ51の作動が停止されると、閉鎖部材6は、図2に示すように開口4を開放する位置に配されていると共に、図11に示すように、突起64は端部63に、突起66は端部62に夫々当接した位置に配される。図2に示すように閉鎖部材6が開口4の開放位置(全開位置)に回転されている際には、図11に示すように突起66が端部62に当接している一方、端部63から離れているために、閉鎖部材6はA方向に回転できるようになる結果、本例の伝達手段53は、開口開閉手段7の閉鎖部材6が図2に示すように開口開放位置に回転された際に、図13に示すような開口閉鎖位置に向かう開口開閉手段7の閉鎖部材6の自由回転、即ちA方向の自由回転を許容するようになっている。
【0043】
図2に示すように閉鎖部材6が開口4の開放位置(全開位置)に回転されている際に、開口4に一定以上の速度の建物外3から建物内2に向かう空気流Xが生じると、フィン36及び37が閉鎖部材6をA方向に回転させて、図13に示すように開口4を閉鎖部材6により閉鎖する一方、当該空気流Xが開口4に生じなくなると、閉鎖部材6は、その自重によるB方向の回転モーメントでもって図2に示すように開口4の開放位置(全開位置)に自然と回転される。
【0044】
斯かる本例の換気ダンパ1では、枠手段5によって開口4を画成し、開口4にフィン36及び37を配し、開口4に一定以上の速度の空気流Xが生じる際に、開口4を閉鎖するように開口開閉手段7をA方向に回転させるようになっているために、風の強弱に直接に応答して閉鎖部材6を回転させて開口4を開閉させることができる結果、電気的なセンサを必要とすることなしに屋外で吹く風に迅速に応答して開口4を開閉できて、しかも、高出力の電動モータ等の駆動装置を必要としないので、それ程占有スペースを必要としなく小型に構成できる。
【0045】
また、図2及び図11に示すように閉鎖部材6が開口4の開放位置(全開位置)に回転されている際に、閉鎖部材6がその自重によるB方向の回転モーメントでもって更にB方向に回転されようとすると、端部62に当接した突起66が端部62をB方向に移動させようとする結果、コイルばね61は縮径されて円筒部92の円筒面94にきつく巻回されてB方向に移動できないようになるために、端部62も同じくB方向に移動できないようになるために、突起66のB方向の移動が阻止されて、図2に示す状態での閉鎖部材6の自重による当該閉鎖部材6の更なるB方向の回転が禁止されて、開口4に一定以上の速度の空気流Xが生じない際には、図2に示すような閉鎖部材6による開口4の開放状態が所望に維持、即ちロックされることになる。
【0046】
一方、図2及び図11に示す状態で、全閉を指示する操作スイッチの操作に基づく電動モータ51の作動でその出力回転軸52がA方向に回転されて、継手70を介して回転体65が同方向に回転されると、端部63に当接した突起64が端部62に当接して突起64のA方向の移動と共に端部62を同方向に移動させようとする。端部62のA方向の移動ではコイルばね61が拡径される結果、コイルばね61は、突起64のA方向の移動と共に固定体91に対してA方向に回転され、コイルばね61のこのA方向の回転と共に端部62が同方向に移動されるために、端部62に当接している突起66もA方向に回転される。閉鎖部材6の回転角を検出する検出器からの開口全閉信号で電動モータ51の作動が停止されると、閉鎖部材6は、図13に示すように開口4を開閉する位置に配されていると共に、図14に示すように、突起64及び66の夫々は端部62に当接した位置に配される。図13に示すように閉鎖部材6が開口4の閉鎖位置(全閉位置)に回転されている際には、図14に示すように突起66が端部62に当接しているために、閉鎖部材6のB方向の回転は、突起66の同方向の回転に基づく端部62のB方向の移動を生じさせてコイルばね61の縮径をもたらしてコイルばね61を円筒面94にきつく巻回させ、端部62のB方向の移動を禁止することになり、また、円弧部43及び44の円弧面41及び42の夫々の先端部が横長のシール部材25及び26の夫々に当接すると共に円弧部43及び44の円弧面41及び42の夫々の横方向の両端部が縦長のシール部材27及び28の夫々に当接しているために、閉鎖部材6のA方向の回転は禁止され、而して、閉鎖部材6は、図13に示すように開口4を閉鎖した状態に維持、即ちロックし得る。
【0047】
以上のように換気ダンパ1では、閉鎖部材6は、開口4を閉鎖する位置に回転された際に、開口4を開放する位置に向かって回転するように付勢されており、禁止手段68は、電動モータ51で発生された回転力に基づく回転自在軸35の回転で開口4を閉鎖する位置に閉鎖部材6が回転されている場合に、開口4を開放する位置へ向かう閉鎖部材6の回転に起因する回転自在軸35の回転を禁止するようになっている。
【0048】
また、以上のように建物内外2及び3を連通する開口4を開閉する閉鎖部材6に対するセルフロック機構であって、開口4を画成する枠手段5に取付けられた固定体91と、固定体91の円筒面94に巻回されているコイルばね61と、A及びB方向の回転においてコイルばね61の端部62及び63の夫々に当接するようになっている突起64を有した回転体65と、回転体65に対して相対的にA及びB方向に回転自在に配されていると共にA及びB方向の回転においてコイルばね61の端部62及び63の夫々に当接するようになっている突起66を有した回転体67とを具備しており、回転体67が、開口4を開閉する閉鎖部材6に固着された回転自在軸35に取付けられており、突起64が、コイルばね61の両端部62及び63間において一方の円弧領域78に配されるようになっており、突起66が、コイルばね61の両端部62及び63間において残りの他方の円弧領域86に配されるようになっており、コイルばね61が、回転体67のA及びB方向の回転による突起66のA及びB方向の移動で突起66に押されて端部62及び63がA及びB方向に移動されようとする際には縮径される一方、回転体65のA及びB方向の回転による突起64のA及びB方向の移動で突起64に押されて端部62及び63がA及びB方向に移動されようとする際には拡径されるべく、固定体91の円筒面94に巻回されているセルフロック機構を具備した伝達手段53を有した換気ダンパ1では、手動によるロック及びロック解除の操作を不要とし得、而して、ロック又はロック解除の失念に起因する不都合、事故をなくし得る。
【0049】
加えて換気ダンパ1では、回転手段8により開口4を半開状態、全開状態及び全閉状態にした位置に開口開閉手段7を回転でき、而して、換気を種々の開閉状態(開度)でできると共に適温にされた部屋の空気を逃がさないようにもできる上に、半開状態及び全開状態における強風に基づく部屋内への空気の吹き出しをも防止できる。
【0050】
また換気ダンパ1では、開口閉鎖位置に向かう開口開閉手段7の自由回転を許容する伝達手段53を具備しているために、半開状態及び全開状態における強風に基づく部屋内2への空気の吹き出しを効果的に防止できる。
【0051】
なお、回転手段8は、発生手段として電動モータ51に代えて手動で回転される手動回転軸を具備していてもよく、この場合、伝達手段53は、手動で回転される手動回転軸の回転力を開口開閉手段7の回転自在軸35に伝達するようになっているとよい。
【0052】
また上記では、電動モータ51の出力回転軸52の回転を継手70を介して直接回転体65に伝達したが、これに代えて、電動モータ51の出力回転軸52の回転を、継手70に加えて減速歯車機構等を介して回転体65に減速して伝達するようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、ロック及びロック解除の手動操作を不要とし得、而して、ロック又はロック解除の失念に起因する不都合、事故をなくし得て、しかも、風の強弱に直接に応答して閉鎖部材を回転させて開口を開閉させるようにする換気ダンパとして好適に用いることができる開口開閉機構及び斯かる開口開閉機構の閉鎖部材に対するセルフロック機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の好ましい一例の横断面説明図である。
【図2】図1に示す例のII−II線矢視断面図である。
【図3】図1に示す例の回転体の正面図である。
【図4】図3に示す回転体の左側面図である。
【図5】図3に示す回転体の右側面図である。
【図6】図1に示す例の回転体の正面図である。
【図7】図6に示す回転体の左側面図である。
【図8】図6に示す回転体の右側面図である。
【図9】図1に示す例のコイルばねの正面図である。
【図10】図9に示すコイルばねの右側面図である。
【図11】図1に示す例の動作説明図である。
【図12】図1に示す例の動作説明図である。
【図13】図1に示す例の動作説明図である。
【図14】図1に示す例の動作説明図である。
【符号の説明】
1 換気ダンパ
2 建物内
3 建物外
4 開口
5 枠手段
6 閉鎖部材
7 開口開閉手段
8 回転手段
35 回転自在軸
51 電動モータ
53 伝達手段
68 禁止手段

Claims (4)

  1. 建物内外を連通する開口を画成する枠手段と、開口に回転自在に配されていると共に開口を開閉する閉鎖部材を有した開口開閉手段と、開口開閉手段の閉鎖部材による開口の閉鎖を強制的に行わせるべく、開口開閉手段の閉鎖部材を回転させる回転手段とを具備しており、開口開閉手段は、閉鎖部材に固着された回転自在軸を具備しており、閉鎖部材は、開口を閉鎖する位置に配された際に、開口を開放する位置に向かって回転するように自重によって付勢されており、回転手段は、回転力を発生する発生手段と、発生手段で発生された回転力を開口開閉手段の回転自在軸に伝達する伝達手段とを具備しており、伝達手段は、発生手段で発生された回転力に基づく回転自在軸の回転で開口を閉鎖する位置に閉鎖部材が配された場合に、開口を開放する位置へ向かう閉鎖部材の回転に起因する回転自在軸の回転を禁止する禁止手段を有しており、禁止手段は、枠手段に固定された固定体と、固定体の円筒面に巻回されていると共に両端部が径方向に突出しているコイルばねとを具備しており、伝達手段は、回転力を発生する発生手段によって回転されると共に、回転においてコイルばねの一方の端部に当接する一方、当該コイルばねの他方の端部から離れるようになっている第一の突起を有した第一の回転体と、第一の回転体に対して相対的に回転自在に配されていると共に、回転においてコイルばねの一方の端部に当接する一方、他方の端部から離れるようになっている第二の突起を有した第二の回転体とを有しており、第二の回転体は、回転自在軸と一緒に回転されるように当該回転自在軸に取付けられており、第一の突起は、コイルばねの両端部間において一方の円弧領域に配されており、第二の突起は、コイルばねの両端部間において残りの他方の円弧領域に配されており、コイルばねは、第二の回転体の回転による第二の突起の移動で当該第二の突起に押されて当該コイルばねの端部が移動されようとする際にはコイルばねが固定体の円筒面にきつく巻回されるように縮径されて、当該コイルばねの端部の固定体に対する移動を禁止する一方、第一の回転体の回転による第一の突起の移動で当該第一の突起に押されて当該コイルばねの端部が移動されようとする際には拡径されて、当該端部の移動を許容するようになっており、第二の突起は、開口を開放する位置に閉鎖部材が配されている場合に、閉鎖部材が開口を開放する位置から開口を閉鎖する位置まで回転できるように、コイルばねの両端部間において残りの他方の円弧領域で自由回転可能となっている建物の開口開閉機構。
  2. 発生手段は、手動で回転される手動回転軸及び電動モータのうちの少なくとも一方を具備しており、伝達手段は、手動で回転される手動回転軸及び電動モータの出力回転軸の少なくとも一方の回転力を開口開閉手段の回転自在軸に伝達するようになっている請求項1に記載の建物の開口開閉機構。
  3. 請求項1又は2に記載の建物の開口開閉機構からなる換気ダンパ。
  4. 建物内外を連通する開口を開閉する閉鎖部材に対するセルフロック機構であって、開口を画成する枠手段に取付けることができるようになっている固定体と、この固定体の円筒面に巻回されていると共に両端部が径方向で突出しているコイルばねと、回転においてコイルばねの一方の端部に当接する一方、当該コイルばねの他方の端部から離れるようになっている第一の突起を有した第一の回転体と、第一の回転体に対して相対的に回転自在に配されていると共に、回転においてコイルばねの一方の端部に当接する一方、他方の端部から離れるようになっている第二の突起を有した第二の回転体とを具備しており、第二の回転体は、開口を開閉する閉鎖部材に固着された回転自在軸に取付けることができるようになっており、第一の突起は、コイルばねの両端部間において一方の円弧領域に配されるようになっており、第二の突起は、コイルばねの両端部間において残りの他方の円弧領域に配されるようになっており、コイルばねは、第二の回転体の回転による第二の突起の移動で当該第二の突起に押されてその端部が移動されようとする際には縮径される一方、第一の回転体の回転による第一の突起の移動で当該第一の突起に押されてその端部が移動されようとする際には拡径されるように、固定体の円筒面に巻回されているセルフロック機構。
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