JP4009093B2 - 排版回収装置・印刷装置 - Google Patents

排版回収装置・印刷装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用済みマスタを回収する排版回収装置、該排版回収装置を有する孔版印刷装置等の印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転圧縮方式の排版回収装置は、例えば図6に示すように、円筒状の収容空間を有する排版ボックス74と、該排版ボックス74内に収容された使用済みマスタUMを回転動作により圧縮する圧縮板75と、該圧縮板75を回転させる図示しない駆動手段を有している。
排版ボックス74における圧縮板75の回転方向下流側には、圧縮板75が進入しない非圧縮空間部76が設けられており、初期段階の使用済みマスタUMが圧縮されない状態で収容されるようになっている。
図示しない印刷ドラムから剥離された使用済みマスタUMは、排版コロ対73a,73bによりホームポジション位置HPに設定された圧縮板75上に排版ボックス74の開口部74aから排出される。使用済みマスタUMの排出が完了すると、圧縮板75が反時計回りに駆動され、圧縮最大下限位置LLまで圧縮回転動作を行う。
【0003】
上述のように初期段階においては、非圧縮空間部76は使用済みマスタUMで満たされていないので、使用済みマスタUMは圧縮板75に押されてここへ入るだけで圧縮はなされない。
使用済みマスタUMの回収・圧縮動作が進行すると、非圧縮空間部76もやがて充填され、ホームポジションを基準とした圧縮板75の最大圧縮可能角度は徐々に小さくなっていく。一般に、ホームポジションからの最大圧縮可能角度が90°となった状態、すなわち、圧縮板75が垂直状に位置した状態を満杯として検知するようになっている。満杯はセンサ等により検知され、満杯が検知されるとオペレータによって排版ボックス74が印刷装置本体から引き出され、排版ボックス74内に収容された使用済みマスタUMが廃棄される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような回転圧縮方式では、その構成に起因した問題がある。図6に実線で示すように、使用済みマスタUM(以下単にマスタともいう)を圧縮し、その後圧縮を解除してホームポジションへ圧縮板75が戻る際、回転動作によって圧縮方向へ搬送した使用済みマスタUMが連れ戻されるいわゆる「マスタ持ち帰り現象」が発生する場合がある。
持ち帰ったマスタは排版ボックス74の入り口(開口部74a)付近に留まり、次に収容されてくる使用済みマスタUMの搬送を妨害し、ジャムを生じる原因となる。
【0005】
マスタ持ち帰り現象の原因は、使用済みマスタUMの後端部が圧縮板75の背面(非圧縮面)に少し回り込むことに因る。少し回り込んだ状態で圧縮板75の回転動作が進行すると、使用済みマスタUMは保持しているインキの粘着性によって排版ボックス74の内壁面に張り付くようになり、その後端部は圧縮板75の背面側にさらに回り込んでしまう。背面に回りこむ量は、圧縮板75の回転角(圧縮距離)が大きければ大きいほど大きくなる。回り込み量がマスタ長さの半分以上になると持ち帰り確率が上がってしまう。
すなわち、排版ボックス74内のマスタ量が少なければ少ないほど圧縮板75の回転角は大きくなるので、マスタ持ち帰り現象が起こりやすくなる。
また、排版ボックス74内のマスタが無いか少ない場合には、マスタが圧縮されないため、換言すれば、圧縮されない非圧縮空間部76に搬送されるため、さらに持ち帰り確率が上がってしまう。マスタが適正に圧縮されると、インキの粘着力によってマスタ同士及びマスタと排版ボックス74の内壁面とが張り付き、これが連れ戻し抵抗を上回ってマスタ持ち帰り現象は生じない。
【0006】
そこで、本発明は、マスタ持ち帰り現象を防止でき、排版ジャム等の問題を解消できる排版回収装置、該排版回収装置を有する印刷装置の提供を、その目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、円筒状の収容空間を有し印刷ドラムから剥離された使用済みマスタを収容する排版ボックスと、該排版ボックス内に収容された使用済みマスタを回転動作により圧縮する圧縮板と、該圧縮板を回転させる駆動手段を有する排版回収装置において、使用済みマスタの内訳情報の値が一定値になるまでは上記圧縮板の圧縮角度を最大圧縮可能角度よりも小さく設定し、その後最大圧縮可能角度で圧縮する動作に戻す、という構成を採っている。
【0008】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の排版回収装置において、上記使用済みマスタの内訳情報が、版数である、という構成を採っている。
【0009】
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の排版回収装置において、上記排版ボックス内における使用済みマスタの満杯が検知され且つ使用済みマスタの廃棄動作が確認されてから上記内訳情報の値のカウントを開始する、という構成を採っている。
【0010】
請求項4記載の発明では、請求項1又は2記載の排版回収装置において、上記排版ボックス内の使用済みマスタの廃棄動作が確認されてから上記内訳情報の値のカウントを開始する、という構成を採っている。
【0011】
請求項5記載の発明では、請求項1又は2に記載の排版回収装置において、上記排版ボックスが、上記圧縮板の回転方向下流側に該圧縮板が進入しない非圧縮空間部を有し、該非圧縮空間部の使用済みマスタを検知するマスタ検知手段を有し、該マスタ検知手段によって使用済みマスタが検知されなくなってから上記内訳情報の値のカウントを開始する、という構成を採っている。
【0012】
請求項6記載の発明では、請求項1乃至5の何れかに記載の排版回収装置において、小さく設定される圧縮角度を、使用済みマスタのサイズに応じて調整する、という構成を採っている。
【0013】
請求項7記載の発明では、印刷ドラム上の使用済マスタを排版回収装置により回収する印刷装置において、上記排版回収装置が請求項1乃至6の何れかに記載のものである、という構成を採っている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。なお、従来技術と同一部分は同一符号で示す。
まず、図1に基づいて、本実施形態における印刷装置としての孔版印刷装置の全体構成及び孔版印刷プロセスの概要を説明する。
装置本体50の上部には原稿読取部80が設けられており、その下方中央部には多孔性の印刷ドラム101を有する印刷ドラム部100が設けられている。印刷ドラム部100の上方右側には製版装置90が設けられ、印刷ドラム部100の上方左側には排版回収装置70が設けられている。また、製版装置90の下方には給紙装置110が、印刷ドラム部100の下方には印圧部120が、排版回収装置70の下方には排紙部130が、それぞれ設けられている。
【0019】
次に、上記構成に係る孔版印刷装置の印刷動作を説明する。
先ず、原稿読取部80の上部に配置された図示しない原稿載置台に、印刷すべき画像を持った原稿60を載置し、操作パネル122(図2)上の製版スタートキーを押す。この製版スタートキーの押下に伴い、先ず排版工程が実行される。すなわち、この状態においては、印刷ドラム部100の印刷ドラム101の外周面に前回の印刷で使用された使用済みマスタ61bが装着されたまま残っている。
【0020】
印刷ドラム101が反時計回りに回転し、印刷ドラム101の外周面の使用済みマスタ61bの後端部が排版剥離ローラ対71a,71bに近づくと、この排版剥離ローラ対71a,71bは回転しつつ一方の排版剥離ローラ対71aで使用済みマスタ61bの後端部をすくい上げる。
使用済みマスタ61bは、排版剥離ローラ対71a,71bの左側に配設された排版コロ対73a,73bと排版剥離ローラ対71a,71bとの間に掛け回された排版搬送ベルト対72a,72bで矢印Y1方向へ搬送されつつ排版ボックス74内へ排出され、印刷ドラム101の外周面から引き剥がされて排版工程が終了する。このとき、印刷ドラム101は反時計回り方向への回転を続けている。剥離・排出された使用済みマスタ61bは、その後、圧縮板75により排版ボックス74の内部で圧縮される。
【0021】
排版工程と並行して、原稿読取部80で原稿読み取りが行われる。すなわち、図示しない原稿載置台に載置された原稿60は、分離ローラ81、前方原稿搬送ローラ対82a,82b及び後方原稿搬送ローラ対83a,83bのそれぞれの回転により矢印Y2からY3方向に搬送されつつ露光読み取りに供される。このとき、原稿60が多数あるときは、分離ブレード84の作用でその最下部の原稿のみが搬送される。原稿60の画像読み取りは、コンタクトガラス85上を搬送されつつ、蛍光灯86により照明された原稿60の表面からの反射光を、ミラー87で反射させ、レンズ88を通してCCD(電荷結合素子)から成る画像センサ89に入射させることにより行われる。
すなわち、原稿60の読み取りは、周知である縮小式の原稿読取方式で行われ、その画像が読み取られた原稿60は原稿トレイ80A上に排出される。画像センサ89で光電変換された電気信号は、装置本体50内の図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換基板に入力され、デジタル画像信号に変換される。
【0022】
一方、この画像読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像情報に基づき製版及び給版工程が行われる。すなわち、製版装置90の所定部位にセットされたロール状の感熱性孔版マスタ61(以下単にマスタともいう)は、ロール状態から引き出され、サーマルヘッド91にマスタ61を介して押圧されているプラテンローラ92、及びテンションローラ対93a,93bの回転により搬送路の下流側に搬送される。
このように搬送されるマスタ61に対して、サーマルヘッド91にライン状に並んだ複数個の微小な発熱部が、図示しないA/D変換基板から送られてくるデジタル画像信号に応じて各々選択的に発熱し、発熱した発熱部に接触しているマスタ61の熱可塑性樹脂フィルム(後述)が溶融穿孔される。このように、画像情報に応じたマスタ61の位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとして書き込まれる。
【0023】
画像情報が書き込まれた製版済みマスタ61aの先端は、給版ローラ対94a,94bにより印刷ドラム101の外周部側へ向かって送り出され、図示しないガイド部材により進行方向を下方へ変えられ、図示する給版位置状態にある印刷ドラム101の拡開したマスタクランパ102(仮想線で示す)へ向かって垂れ下がる。このとき印刷ドラム101は、排版工程により使用済みマスタ61bを既に除去されている。
【0024】
製版済みマスタ61aの先端が、一定のタイミングでマスタクランパ102によりクランプされると、印刷ドラム101は図中A方向(時計回り方向)に回転しつつ外周面に製版済みマスタ61aを徐々に巻き付けていく。製版済みマスタ61aの後端部はカッタ95により一定の長さに切断される。
【0025】
一版の製版済みマスタ61aが印刷ドラム101の外周面に巻装されると製版及び給版工程が終了し、印刷工程が開始される。先ず、給紙台51上に積載された用紙としての印刷用紙62の内の最上位の1枚が、給紙ローラ112a及びピックアップローラ111によりレジストローラ対113a、113bに向けて矢印Y4方向に送り出され、さらにレジストローラ対113a、113bによりドラム部100の回転と同期した所定のタイミングで印圧部(画像転写部位)120に送られる。送り出された印刷用紙62が、印刷ドラム101とプレスローラ103との間にくると、印刷ドラム101の外周面下方に離間していたプレスローラ103が上方に移動されることにより、印刷ドラム101の外周面に巻装された製版済みマスタ61aに押圧される。こうして、印刷ドラム101の多孔部及び製版済みマスタ61aの穿孔パターン部(共に図示せず)からインキが滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙62の表面に転移されて、印刷画像が形成される。
【0026】
このとき、印刷ドラム101の内周側では、インキ供給管104からインキローラ105とドクターローラ106との間に形成されたインキ溜り107にインキが供給され、印刷ドラム101の回転方向と同一方向に、かつ、印刷ドラム101の回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキローラ105により、インキが印刷ドラム101の内周側に供給される。
【0027】
印圧部120において印刷画像が形成された印刷用紙62は、排紙剥離爪114により印刷ドラム101から剥がされ、吸着用ファン118に吸着されつつ、吸着排紙入口ローラ115及び吸着排紙出口ローラ116に掛け渡された搬送ベルト117の反時計回り方向の回転により、矢印Y5のように排紙部130へ向かって搬送され、排紙台52上に順次排出積載される。このようにして所謂試し刷りが終了する。
次に、図示しないテンキーで印刷枚数をセットし、図示しない印刷スタートキーを押下すると上記試し刷りと同様の工程で、給紙、印刷及び排紙の各工程がセットした印刷枚数分繰り返して行なわれ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0028】
次に、排版回収装置70について詳しく説明する。
排版回収装置70は、上述のように、排版剥離ローラ対71a,71bと、排版コロ対73a,73bと、排版剥離ローラ対71a,71bとの間に掛け回された排版搬送ベルト対72a,72bと、円筒状の収容空間を有する排版ボックス74と、圧縮板75と、該圧縮板75を支持する回転軸96と、非圧縮空間部76と、図2に示す圧縮板75の駆動源としてのステッピングモータ77と、該ステッピングモータ77からの伝達力を制限するトルクリミッタ78と、ステッピングモータ77の駆動力を回転軸96に伝える駆動部79と、ステッピングモータ77に設けられたエンコーダ97と、これらを制御する制御手段121を有している。
制御手段121は、CPU,ROM,RAM,I/Oインターフェース等を含むマイクロコンピュータである。制御手段121は孔版印刷装置のメインコントローラが兼ねることができる。
ステッピングモータ77から圧縮板75の回転軸96に伝達されるトルクは、トルクリミッタ78により制限されており、トルクが設定された臨界値を超えると回転軸96が駆動部79に対して滑るようになっている。従って、圧縮板75の使用済みマスタ61bに対する圧縮力は所定の圧縮力を超えることはない。
【0029】
次に、図3に基づいて本実施形態における排版回収装置70の動作を説明する。
本実施形態では、最初の10版までは圧縮板75の圧縮角度を最大圧縮可能角度(非圧縮空間部76が使用済みマスタ61bにより満たされない状態では圧縮板75が圧縮最大下限位置LLに位置する角度)より小さく設定する。
具体的には、図3に示すように、ホームポジションHPからの圧縮角度を約180°に設定している。図3では、排版コロ対73a,73b等は省略している。
最初の10版までは圧縮板75は1版毎にこの圧縮短縮位置SPまで回転し、ホームポジションHPに戻る圧縮動作を繰り返す。従って、初期段階では、使用済みマスタ61bは単に圧縮板75から放り出されるだけであり、圧縮はされない。
11版目からは最大圧縮可能角度まで圧縮する。最大圧縮可能角度とは、所定の圧縮力で圧縮する角度で、使用済みマスタ61bの回収が増えるにつれて変化する角度である。
【0030】
10版という版数(使用済みマスタの内訳情報)のカウントは、排版ボックス74内における使用済みマスタ61bの満杯が検知され且つ使用済みマスタ61bの廃棄動作が確認されてからなされる。
すなわち、エンコーダ97により満杯位置(例えばホームポジションHPからの回転角度が90°の位置)が検知され、且つ、使用済みマスタ61bが捨てられたことが確認されてからカウントする。使用済みマスタ61bが捨てられたことの確認は、図2に示す排版ボックス着脱センサ98の情報に基づいて判断される。
例えば、排版ボックス74が孔版印刷装置本体から外されて排版ボックス着脱センサ98がオン(又はオフ)になり、圧縮収容された使用済みマスタ61bが捨てられた後、再度排版ボックス74が孔版印刷装置本体に装着されて排版ボックス着脱センサ98がオフ(又はオン)になったら制御手段121は使用済みマスタ61bが捨てられたと判断し、圧縮角度を小さくするモード(圧縮短縮モード)を設定して版数のカウントを開始する。
【0031】
圧縮短縮モードにおける圧縮角度(圧縮短縮位置SP)は、実験的に決定されるものである。使用済みマスタ61bのサイズや種類によっては排版ボックス74内での嵩張りの度合いが異なるので、圧縮短縮位置SPは使用済みマスタ61bのサイズ又は種類に応じて調整するようにしてもよい(第2の実施形態)。
マスタのサイズに基づいた調整の場合、制御手段121は、操作パネル122により入力された用紙サイズ情報又は給紙台51に設けられた用紙サイズセンサ123(図2)からの検知情報に基づいてマスタサイズを判断し、予め実験等により求められて記憶されたサイズと適正な圧縮短縮位置SPとの関係データテーブルから対応する圧縮短縮位置SPを選択する。
マスタの種類に基づいた調整の場合、例えば操作パネル122に、マスタの種類を入力するためのマスタ種類入力手段を設ける。制御手段121は、入力された情報に基づいてマスタ種類を判断し、予め実験等により求められて記憶されたマスタ種類と適正な圧縮短縮位置SPとの関係データテーブルから対応する圧縮短縮位置SPを選択する。
圧縮角度に代えて、圧縮時間又は圧縮距離を基準にしてもよい。
【0032】
満杯検知及び使用済みマスタ61bが捨てられたことを、圧縮短縮モード実行の条件とした場合、満杯検知がなされないうちに使用済みマスタ61bが捨てられたときは、排版ボックス74内は空であるにも拘わらず、圧縮短縮モードは実行されないことになる。
そこで、図4に示すように、非圧縮空間部76に使用済みマスタ61bを検知するマスタ検知手段99を設け、該マスタ検知手段99によって使用済みマスタ61bが検知されなくなってから圧縮短縮モードを設定して版数のカウントを開始するようにしてもよい(第3の実施形態)。マスタ検知手段99としては、光反射型センサ、光透過型センサ、機械センサ等を用いることができる。
また、排版ボックス74内の使用済みマスタ61bの廃棄動作が確認されることのみを条件として圧縮短縮モードを設定し、版数のカウントを開始するようにしてもよい(第4の実施形態)。すなわち、排版ボックス着脱センサ98の検知情報のみに基づき、使用済みマスタ61bが捨てられたことが確認されたら圧縮短縮モードを設定し、版数のカウントを開始する。
【0033】
次に、図5に基づいて参考例を説明する。
参考例では、圧縮板75の圧縮角度を小さくすることによってマスタ持ち帰り現象を抑制するのではなく、使用済みマスタ61bが少ない段階でも圧縮力を与えて張り付かせ、これによって圧縮板75による連れ戻りを抑制するものである。
図5に示すように、圧縮板75の圧縮最大下限位置LLの近傍に、最初に収容された使用済みマスタ61bを圧縮し得る圧縮壁124が設けられ、該圧縮壁124は所定以上の圧力で非圧縮空間部76を移動可能に設けられている。ここでの所定以上の圧力は、圧縮板75の所定の圧縮力よりも小さい圧力である。なお、図5では排版コロ対73a,73b等は省略している。
圧縮壁124はバネ125で図中左側へ付勢されており、圧縮最大下限位置LLにおける圧縮板75に略平行な状態を保ちながら、すなわち面対向しながら非圧縮空間部76を移動する。
【0034】
圧縮壁124のマスタ接触面124aは、圧縮板75のマスタ圧縮面75a(マスタ接触面124aに対向する面)よりも使用済みマスタ61bが張り付きやすいように形成されている。
これを具体的に説明すると、圧縮壁124のマスタ接触面124aは平坦な平面状に形成されており、これに対して圧縮板75のマスタ圧縮面75aは凹凸状をなすように形成されている。すなわち、圧縮板75のマスタ圧縮面75aは使用済みマスタ61bに対する接触面積が少なくなるように形成されている。本参考例におけるマスタ圧縮面75aの凹凸状は、ディンプル加工(処理)によってなされている。圧縮板75の厚み方向に複数の貫通孔を形成して接触面積を少なくしてもよい。
圧縮板75のマスタ圧縮面75aの接触面積を少なくしたことにより、圧縮された使用済みマスタ61bはインキの粘着性によって圧縮壁124に張り付き、この張り付き力が圧縮板75の戻り動作における持ち帰りを抑制する。
【0035】
【発明の効果】
請求項1又は記載の発明によれば、円筒状の収容空間を有し印刷ドラムから剥離された使用済みマスタを収容する排版ボックスと、該排版ボックス内に収容された使用済みマスタを回転動作により圧縮する圧縮板と、該圧縮板を回転させる駆動手段を有する排版回収装置において、使用済みマスタの内訳情報の値が一定値になるまでは上記圧縮板の圧縮角度を最大圧縮可能角度よりも小さく設定し、その後最大圧縮可能角度で圧縮する動作に戻すこととしたので、マスタ持ち帰り現象を抑制でき、排版ジャム等を防止できる。
【0036】
請求項2又は記載の発明によれば、請求項1記載の排版回収装置において、上記使用済みマスタの内訳情報が、版数であることとしたので、簡単に得ることができる情報によりマスタ持ち帰り現象を抑制できる。
【0037】
請求項3又は記載の発明によれば、請求項1又は2記載の排版回収装置において、上記排版ボックス内における使用済みマスタの満杯が検知され且つ使用済みマスタの廃棄動作が確認されてから上記内訳情報の値のカウントを開始することとしたので、通常行われている満杯、廃棄工程後にマスタ持ち帰り現象の抑制機能を得ることができる。
【0038】
請求項4又は記載の発明によれば、請求項1又は2記載の排版回収装置において、上記排版ボックス内の使用済みマスタの廃棄動作が確認されてから上記内訳情報の値のカウントを開始することとしたので、満杯になる前にマスタ廃棄がなされても確実にマスタ持ち帰り現象の防止機能を得ることができる。
【0039】
請求項5又は記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の排版回収装置において、上記排版ボックスが、上記圧縮板の回転方向下流側に該圧縮板が進入しない非圧縮空間部を有し、該非圧縮空間部の使用済みマスタを検知するマスタ検知手段を有し、該マスタ検知手段によって使用済みマスタが検知されなくなってから上記内訳情報の値のカウントを開始することとしたので、満杯になる前にマスタ廃棄がなされても確実にマスタ持ち帰り現象の防止機能を得ることができる。
【0040】
請求項6又は記載の発明によれば、請求項1乃至5の何れかに記載の排版回収装置において、小さく設定される圧縮角度を、使用済みマスタのサイズに応じて調整することとしたので、マスタ持ち帰り現象の防止機能を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態における印刷装置としての孔版印刷装置の概要正面図である。
【図2】 制御ブロック図である。
【図3】 排版回収装置の要部断面図である。
【図4】 第3の実施形態における排版回収装置の要部断面図である。
【図5】 参考例における排版回収装置の要部断面図である。
【図6】 従来の排版回収装置の圧縮動作を示す要部断面図である。
【符号の説明】
61b 使用済みマスタ
74 排版ボックス
75 圧縮板
77 駆動手段としてのステッピングモータ
76 非圧縮空間部
99 マスタ検知手段
101 印刷ドラム
124 圧縮壁
125 バネ

Claims (7)

  1. 円筒状の収容空間を有し印刷ドラムから剥離された使用済みマスタを収容する排版ボックスと、該排版ボックス内に収容された使用済みマスタを回転動作により圧縮する圧縮板と、該圧縮板を回転させる駆動手段を有する排版回収装置において、
    使用済みマスタの内訳情報の値が一定値になるまでは上記圧縮板の圧縮角度を最大圧縮可能角度よりも小さく設定し、その後最大圧縮可能角度で圧縮する動作に戻すことを特徴とする排版回収装置。
  2. 請求項1記載の排版回収装置において、
    上記使用済みマスタの内訳情報が、版数であることを特徴とする排版回収装置。
  3. 請求項1又は2記載の排版回収装置において、
    上記排版ボックス内における使用済みマスタの満杯が検知され且つ使用済みマスタの廃棄動作が確認されてから上記内訳情報の値のカウントを開始することを特徴とする排版回収装置。
  4. 請求項1又は2記載の排版回収装置において、
    上記排版ボックス内の使用済みマスタの廃棄動作が確認されてから上記内訳情報の値のカウントを開始することを特徴とする排版回収装置。
  5. 請求項1又は2に記載の排版回収装置において、
    上記排版ボックスが、上記圧縮板の回転方向下流側に該圧縮板が進入しない非圧縮空間部を有し、該非圧縮空間部の使用済みマスタを検知するマスタ検知手段を有し、該マスタ検知手段によって使用済みマスタが検知されなくなってから上記内訳情報の値のカウントを開始することを特徴とする排版回収装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の排版回収装置において、
    小さく設定される圧縮角度を、使用済みマスタのサイズに応じて調整することを特徴とする排版回収装置。
  7. 印刷ドラム上の使用済マスタを排版回収装置により回収する印刷装置において、
    上記排版回収装置が請求項1乃至6の何れかに記載のものであることを特徴とする印刷装置
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