JP4008709B2 - ポリオレフィン用導電性水性塗料 - Google Patents

ポリオレフィン用導電性水性塗料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車車体の内外装などに使用されているプラスチック素材、特に近年、リサイクルに有利なことから多用されているポリオレフィン系プラスチック素材に導電性を付与せしめるための導電性水性塗料及びその導電性水性塗料を用いたポリオレフィンの塗装方法に関し、ポリオレフィン系素材への静電塗装性及びその塗膜との付着性や耐水性などを改良することに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
自動車車体の内外装などに使用されているポリオレフィン系プラスチック素材の体積固有電基抵抗値は通常1010Ω・cm以上であるために、このものに静電塗装法により塗料を直接に塗装することは困難である。したがって、これらの素材に塗料を静電塗装するにあたり、あらかじめ導電性塗膜を形成する導電性プライマーを塗装することが行われている。
【0003】
従来、導電性プライマーとして、導電性カーボン含有塗料、チタン白、マイカ、チタン酸カリウイスカーなどの顔料粒子表面にSnOやSbなどをコーティングしてなる導電性フィラーを含有させた塗料及び4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた官能基を有するイオン導電性重合体を含有する塗料などが提案されている。
【0004】
しかしながら、導電性カーボン含有塗料は安価で安定した導電性塗膜を形成するが、塗色が黒色乃至灰色に制限されるために、自動車外板部の色として増加しているホワイト系、高彩度の赤、黄色系のパールマイカ色の仕上げ用のプライマーに適用することは困難である。また、導電性フィラーを含有させた塗料は塗色的には上記のような制限はないが、高価であり、しかもSbの毒性、ウイスカータイプは人体への安全性などが問題視されている。イオン導電性重合体を含有する塗料は、無色透明の塗膜を形成し比較的安価であるが、塗膜の耐水性が十分でないという致命的な欠陥を有している。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は上記した種々の欠陥を解消することであり、特に、イオン導電性重合体を含有する塗料における塗膜の耐水性を向上させることであり、鋭意研究の結果、4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基を有するイオン導電性重合体に、重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物で変性されたオレフィン系又はジエン系重合体を混合してなる水性塗料が、毒性がなく安全で、導電性がすぐれ、比較的安価で、無色透明の塗膜を形成し、しかも塗膜の耐水性が改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明によれば、(A)4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基を有する重合性単量体を5〜50重量%含有する単量体成分を共重合してなるイオン導電性重合体及び(B)重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物により変性されたオレフィン系又はジエン系重合体を含有し、かつ(A)、(B)両成分の比率が該両成分の合計固形分重量を基準に(A)成分が10〜80%、(B)成分が90〜20重量%であることを特徴とするポリオレフィン用導電性水性塗料(以下、「本塗料1」という)が提供される。
【0007】
さらに、本発明は、(A)4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基を有する重合性単量体を5〜50重量%含有する単量体成分を共重合してなるイオン導電性重合体、(B)重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物で変性されたオレフィン系又はジエン系重合体及び(C)ポリウレタン樹脂を含有し、かつ(A)、(B)両成分の比率が該両成分の合計固形分重量を基準に(A)成分が10〜80%、(B)成分が90〜20重量%であり、(C)成分の比率が(A)成分と(B)成分との合計固形分100重量部あたり1〜100重量部であることを特徴とするポリオレフィン用導電性水性塗料(以下、「本塗料2」という)が提供される。
【0008】
さらに本発明は、上記の本塗料1又は本塗料2にさらに(D)硬化剤を含有せしめたことを特徴とするポリオレフィン用導電性水性塗料(以下、「本塗料3」という)を包含する。
【0009】
さらに本発明は、ポリオレフィン系プラスチック素材に上記の本塗料1、2又は3を塗装し、次いで上塗り塗料を塗装することを特徴とするポリオレフィンの塗装方法(以下、「本方法」という)も包含する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、「本塗料1、2及び3」、「本方法」について詳細に説明する。
【0011】
本塗料1:(A)4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基を有する重合性単量体を5〜50重量%含有する単量体成分を共重合してなるイオン導電性重合体及び(B)重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物により変性されたオレフィン系又はジエン系重合体を含有し、かつ(A)、(B)両成分の比率が該両成分の合計固形分重量を基準に(A)成分が10〜80%、(B)成分が90〜20重量%であることを特徴とするポリオレフィン用導電性水性塗料である。この(A)成分と(B)成分とを併用することにより、(A)成分単独に比べて、塗膜の導電性を低下させることなく、耐水性を顕著に向上させることができた。
【0012】
(A)成分は、4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基を有する重合性単量体を5〜50重量%含有する単量体成分を共重合してなるイオン導電性重合体である。
【0013】
具体的には、同一分子中に4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基と重合性二重結合を有する単量体(以下、「官能性単量体」という)と重合性二重結合を有するその他の単量体を共重合させることにより得ることができる。
【0014】
官能性単量体は、同一分子中に4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基と重合性二重結合とをそれぞれ1個づつ有する単量体であり、これらの官能基及び重合性二重結合はそれぞれその分子の両末端に結合していることが好ましい。
【0015】
4級アンモニウム塩基含有単量体として下記式(1)で示される化合物があげられ、具体的には、ジメチルアミノエチルアクリレートの4級化物、ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物、ジエチルアミノエチルアクリレートの4級化物、ジエチルアミノエチルメタクリレートの4級化物、ジメチルアミノスチレンの4級化物などがあげられる。
【0016】
式(1):
CH=CH(又はCH)C(O)O−R(R)(R)R-(式中、R、R、R及びRは炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、X-はスルホナートイオン、ホスホナートイオン、BF -、AsF -、SbF -、PF -、Br-、I-、Cl-、RCOO-(Rは炭素数1〜20のアルキル基)、C-、ClO -である)
【0017】
3級スルホニウム塩基含有単量体として下記式(2)で示される化合物があげられ、具体的には、4−(ジメチルスルホニオ)フェニルメタクリレートの3級塩化物などがあげられる。
【0018】
式(2):
CH=CH(又はCH)C(O)O−R(R)(R) X-
(式中、R及びRは炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、X-は上記と同じ)
【0019】
4級ホスホニウム塩基含有単量体として下記式(3)で示される化合物があげられ、具体的には、オルトリン酸ヒドロキシエチルメタクリレートモノエステルの4級塩化物、トリフェニルホスホニオエチルメタクリレートの4級塩化物などがあげられる。
【0020】
式(3):
CH=CH(又はCH)C(O)O−R(R)(R)R10-(式中、R、R、R及びR10は炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、
-は上記と同じである)
【0021】
その他の単量体は、上記官能性単量体と共重合が可能な1分子中に1個以上の重合性二重結合を有する化合物であり、下記に例示する化合物があげられる。
【0022】
1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル:(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチルなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル。
【0023】
2)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のC2〜C8ヒドロキシアルキルエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルポリオールとアクリル酸又はメタクリル酸などの不飽和カルボン酸とのモノエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルポリオールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有不飽和モノマーとのモノエーテル;α,β−不飽和カルボン酸と、カージュラE10(シェル化学社製)、α−オレフィンエポキシドなどのモノエポキシ化合物との付加物;グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p−t−ブチル安息香酸、脂肪酸類などの一塩基酸との付加物;無水マレイン酸や無水イタコン酸などの酸無水基含有不飽和化合物と、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類とのモノエステル化物又はジエステル化物;ヒドロキシエチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル類、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの塩素を含んだ水酸基含有単量体、アリルアルコ−ルなどの水酸基含有重合性単量体。
【0024】
3)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有重合性単量体。
【0025】
4)グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有重合性単量体。
【0026】
5)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、グリセロールアリロキシジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ペンタエリスリトルジアリルエ−テル、ジビニルベンゼンなどの1分子中に2個以上の重合性不飽和結合を有する多ビニル重合性単量体。
【0027】
6)スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレンなどの芳香族系重合性単量体。
【0028】
7)N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド類;2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジンなどの芳香族含窒素モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性ニトリル;アリルアミンなどの含窒素系重合性単量体。
【0029】
(A)成分は、上記した「官能性単量体」とその他の単量体とを共重合させることにより得ることができ、この共重合反応は既知の溶液重合法などにより行なうことが好ましい。共重合反応における官能性単量体とその他の単量体との比率は、この両単量体の合計重量に基づいて、官能性単量体は5〜50重量%、特に20〜40重量%、その他の単量体との比率は95〜50重量%、特に80〜60重量%の範囲内が好ましい。また、この共重合反応により得られる(A)成分の重量平均分子量は2000〜100000、特に5000〜50000の範囲内が好ましい。官能性単量体の含有率が5重量%より少なくなると本塗料1による塗膜の導電性が低下し、一方50重量%より多くなると塗膜の耐水性などが低下するので好ましくない。
【0030】
(B)成分は、重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物で変性されたオレフィン系又はジエン系重合体である。具体的には、この(B)成分は、オレフィン系又はジエン系重合体に重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物を既知の方法によりグラフト重合することにより調製することができる。
【0031】
グラフト重合前のオレフィン系又はジエン系重合体として、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、ブタジエンから選ばれた1種以上のオレフィン系又はジエン系単量体を(共)重合してなる重合体、又はこれらのオレフィン系又はジエン系単量体とその他の単量体(例えば、スチレン、アクリロニトリルなど)とを共重合してなる重合体などがあげられる。具体的には、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエンブロック共重合体及びその水素添加物、ポリイソプレン、イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物などがあげられる。これらのオレフィン系又はジエン系重合体の重量平均分子量は30000〜150000、特に50000〜120000の範囲内が好ましい。
【0032】
オレフィン系又はジエン系重合体の変性に使用する重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物は1分子中に1個の重合性不飽和結合と2個以上のカルボキシル基又はその酸無水基を有する化合物であり、例えば、マレイン酸及びその無水物、イタコン酸及びその無水物、シトラコン酸及びその無水物などがあげられ、これらから選ばれた1種以上が好適に使用することができる。
【0033】
オレフィン系又はジエン系重合体への重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物のグラフト重合反応は既知の方法により行なうことができる。重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物の比率は、得られる変性されたオレフィン系又はジエン系重合体のケン化価が10〜60mgKOH/g、特に20〜50mgKOH/gの範囲内に包含される程度が好ましい。
【0034】
また、(B)成分に含まれるオレフィン系又はジエン系重合体は塩素化されていてもよく、この塩素化はグラフト重合の前又は後に行なうことができる。塩素化度は、グラフト重合前のオレフィン系又はジエン系重合体を基準に0〜30重量%、特に15〜25重量%の範囲内が好ましい。
【0035】
さらに、(B)成分の水溶化又は水分散化を容易にするために、その分子中に含まれるカルボキシルの一部もしくは全部をアミン化合物で中和することが好ましい。アミン化合物として、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの3級アミン;ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、モルホリンなどの2級アミン;プロピルアミン、エタノールアミンなどの1級アミンなどがあげられる。水溶化又は水分散化のために、これらのアミン化合物と共に界面活性剤を併用することも可能である。
【0036】
本塗料1は、上記した(A)成分及び(B)成分を水に混合せしめることにより得ることができ、両成分の比率は、両成分の合計固形分重量に基づいて、(A)成分が10〜80%、特に好ましくは20〜70重量%、(B)成分が90〜20重量%、特に好ましくは80〜30重量%である。
【0037】
本塗料1には、これらの(A)成分及び(B)成分に加えて、さらにソリッドカラー顔料、メタリック顔料、光干渉性顔料、体質顔料、沈降防止剤、有機溶剤、塗料添加剤などを適宜配合することができる。
【0038】
本塗料2:(A)4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基を有する重合性単量体を5〜50重量%含有する単量体成分を共重合してなるイオン導電性重合体、(B)重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物で変性されたオレフィン系又はジエン系重合体及び(C)ポリウレタン樹脂を含有し、かつ(A)、(B)両成分の比率が該両成分の合計固形分重量を基準に(A)成分が10〜80%、(B)成分が90〜20重量%であり、(C)成分の比率が(A)成分と(B)成分との合計固形分100重量部あたり1〜100重量部であることを特徴とするポリオレフィン用導電性水性塗料である。
【0039】
(A)成分及び(B)成分に加え、さらに(C)ポリウレタン樹脂を含有せしめることにより、形成される塗膜の被塗面及び上塗り塗膜との付着性などの性能を改良することができる。
【0040】
本塗料2で使用する(A)4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基を有する重合性単量体を5〜50重量%含有する単量体成分を共重合してなるイオン導電性重合体及び(B)重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物で変性されたオレフィン系又はジエン系重合体としては、上記の本塗料1で説明した(A)成分及び(B)成分が同様に使用することができるので、再度の説明は省略する。
【0041】
(C)成分はポリウレタン樹脂であり、特に水に溶解又は分散しうる親水性ポリウレタン樹脂が好適に使用できる。
【0042】
かかる親水性のポリウレタン樹脂は、例えば、(i)脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート、(ii)数平均分子量が500〜5000のジオール、(iii)低分子量ポリヒドロキシル化合物及び(iv)ジメチロールアルカン酸をワンショット又は多段法により反応させて得られるウレタンプレポリマーを中和後又は中和しながら伸長、乳化することにより得ることができ、特に、製造工程で使用された有機溶剤の一部もしくは全部を留去してなる平均粒子径0.001〜1.0μm程度の自己乳化型ウレタン樹脂の水分散体が好ましい。
【0043】
(i)脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート;炭素数4〜18の脂環式ジイソシアネート、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4´−ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミンなど)などがあげられる。
【0044】
(ii)数平均分子量500〜5000、好ましくは1000〜3000のジオールとしては、例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等)及び/又は複素環式エーテル(テトラヒドロフラン等)を重合又は共重合(ブロック又はランダム)させて得られるポリエーテルジオール、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコールなど;ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等)との縮重合させたポリエステルジオール、具体的には、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートなどがあげられる。さらに、ポリラクトンジオール、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオール;ポリカーボネートジオールなど適用できる。
【0045】
(iii)低分子量ポリヒドロキシル化合物としては、数平均分子量が500未満の化合物であって、例えば、上記ポリエステルジオールの原料として挙げたグリコール及びそのアルキレンオキシド低モル付加物(分子量500未満);3価アルコール例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等及びそのアルキレンオキシド低モル付加物(分子量500未満);及びこれらの二種以上の混合物が挙げられる。低分子量ポリヒドロキシル化合物の量は前記(ii)ジオールに対し、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
【0046】
(iv)ジメチロールアルカン酸としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等が挙げられる。ジメチロールアルカン酸の量は、カルボキシル基(−COOH)としての含有率が、(i)〜(iv)を反応させてなるウレタンプレポリマー中0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%になる量が適している。
【0047】
これらの(i)〜(iv)は既知の方法により、ワンショット又は多段法により反応させて得られるウレタンプレポリマー中に含まれるジメチロールアルカン酸により導入されるカルボキシル基の一部又はすべてを、(C)成分の水溶化又は水分散化を容易にするためにアミン化合物で中和することが好ましい。アミン化合物として、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの3級アミン;ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、モルホリンなどの2級アミン;プロピルアミン、エタノールアミンなどの1級アミンなどがあげられる。アミンの中和量は、ジメチロールアルカン酸のカルボキシル基1当量に対し、通常0.5〜1当量好ましくは0.7〜1当量である。
【0048】
本塗料2で使用する(C)成分として、特定の物理的性質を有しているものを使用することが好ましい。すなわち、この(C)成分の単独塗膜を酢酸でpH4.0に調整された水(温度80℃)に2時間浸漬し、130℃で1時間乾燥させてから、温度70℃、湿度95%の湿熱オーブン中で200時間放置した後の試料の抗張力、伸度の変化率が、これらの試験前に比べて減少率25%以内であって、目視による白化減少が認められないものを使用することが好ましい。このような特性を有するポリウレタン樹脂の市販品として、例えば、「タケラックw610」(武田薬品工業(株)製、商品名)、「ネオレッツR960」(ゼネカレジン(株)製、商品名)、「ユーコートUWS−145」(三洋化成工業(株)製、商品名)などがあげられる。
【0049】
本塗料2は、上記した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するポリオレフィン用導電性水性塗料であり、これらを水に混合せしめることにより得ることができる。これらの各成分の構成比率は、(A)成分と(B)成分との合計固形分重量を基準に(A)成分が10〜80%、特に好ましくは20〜70重量%、(B)成分が90〜20重量%、特に好ましくは80〜30重量%であり、(C)成分が(A)成分と(B)成分との合計固形分100重量部あたり1〜100重量部、特に好ましくは20〜90重量部である。
【0050】
本塗料2には、これらの成分に加えて、さらにソリッドカラー顔料、メタリック顔料、光干渉性顔料、体質顔料、沈降防止剤、有機溶剤、塗料添加剤などを適宜配合することができる。
【0051】
本塗料3は、(A)4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基を有する重合性単量体を5〜50重量%含有する単量体成分を共重合してなるイオン導電性重合体及び(B)重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物で変性されたオレフィン系又はジエン系重合体を含有する本塗料1、又はこれらの(A)成分及び(B)成分に(C)ポリウレタン樹脂を含有せしめてなる本塗料2に、(D)硬化剤を含有せしめたことを特徴とするポリオレフィン用導電性水性塗料である。
【0052】
(D)成分は、これらの(A)成分、(B)成分及び(C)成分から選ばれた1種又は2種以上と架橋反応して、本塗料1及び本塗料2による塗膜を3次元に架橋硬化せしめるために使用される硬化剤である。かくして架橋硬化した本塗料3による塗膜は、導電性及び耐水性がすぐれ、しかも耐水性、耐薬品性なども向上させることができる。
【0053】
(A)成分には水酸基及びカルボキシル基などの架橋性官能基を導入することができ、(B)成分及び(C)成分はその分子中カルボキシル基を有しており、これらの官能基と反応し得る化合物が(D)成分として使用することができる。
【0054】
(D)成分として、例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及びカルボジイミド樹脂などから選ばれた1種以上が好適に使用できる。
【0055】
メラミン樹脂は水酸基を含有せしめた(A)成分を架橋硬化させるのに有効であり、具体的には、メラミンにホルムアルデヒドを反応してなるメチロール化メラミン樹脂、さらに炭素数1〜10のモノアルコールを反応させてなる部分又はフルエーテル化メラミン樹脂などが使用できる。これらのメラミン樹脂はイミノ基が併存しているものも使用できる。これらは疎水性及び親水性のいずれでも差し支えないが、特に、メタノールでエーテル化した縮合度の小さい、数平均分子量3000以下、特に100〜1500の親水性メラミン樹脂が適している。かかる親水性のメラミン樹脂の市販品として、「サイメル303」及び「サイメル325」(いずれも、サイテック(株)製、商品名)などがあげられる。
【0056】
エポキシ樹脂は1分子中に2個以上のエポキシ基を有する樹脂であり、カルボキシル基を含有する(A)成分、(B)成分及び(C)成分を架橋硬化させるのに有効である。具体的には、エポキシ基含有重合性単量体とビニル重合性単量体との共重合体があげられる。エポキシ基含有重合性単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレートなどがあげられる。ビニル系重合性単量体は、エポキシ基含有重合性単量体以外であって、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどがあげられる。これらの単量体による共重合反応は既知の方法で行なうことができ、得られる重合体のエポキシ当量は20〜2800、特に30〜700、数平均分子量は3000〜100000 、特に4000〜50000の範囲内が好ましい。さらに、ビスフェノールのグリシジルエーテル化エポキシ樹脂、その水素添加物、脂肪族多価アルコールのグリシジルエーテル化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂なども架橋剤として使用できる。これらのエポキシ樹脂の分子量は500〜20000、特に800〜5000の範囲内が好ましい。
【0057】
カルボジイミド樹脂は、例えば、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基どうしを脱二酸化炭素反応せしめることにより得ることができ、該当する市販品としては、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」(日清紡(株)製、商品名)などがあげられる。
【0058】
本塗料3は、上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)硬化剤を含有するポリオレフィン用導電性水性塗料であり、これらを水に混合せしめることにより得ることができる。
【0059】
本塗料3におけるこれらの成分の構成比率は目的に応じて任意に選択できる。例えば、(A)成分と(B)成分との比率は、これらの両成分の合計固形分重量を基準に(A)成分が10〜80%、特に好ましくは20〜70重量%、(B)成分が90〜20重量%、特に好ましくは80〜30重量%であり、(C)成分の比率は(A)成分と(B)成分との合計固形分100重量部あたり1〜100重量部、特に好ましくは20〜90重量部である。また、(D)成分は(A)成分と(B)成分との合計固形分100重量部あたり1〜100重量部、特に好ましくは20〜90重量部である。
【0060】
本塗料3には、これらの成分に加えて、さらにソリッドカラー顔料、メタリック顔料、光干渉性顔料、体質顔料、沈降防止剤、有機溶剤、塗料添加剤などを適宜配合することができる。
【0061】
本塗料1、2及び3は、自動車車体の内外装などに使用されているプラスチック素材、特にリサイクル性にすぐれていることから多用されているポリオレフィン系プラスチック素材、例えば、ポリプロピレン樹脂、エチレン・プロピレン系樹脂、エチレン・プロピレン・ジエン系樹脂、エチレン・オレフィン系樹脂などを成型加工して形成されたバンパー、フェンダー、ドア下回り部分などの自動車部品の表面に導電性を付与せしめるための導電性水性塗料(プライマー)として有効である。
【0062】
本塗料1、2及び3の粘度を10〜30秒/フォードカップ#4/20℃に調整し、上記のプラスチック製自動車部品に、スプレー塗装、エアレススプレー塗装、刷毛塗装、浸漬塗装などの方法により塗装することができる。塗装膜厚は硬化塗膜に基づいて1〜30μm、特に5〜20μmが好ましい。このように塗装された塗膜に関し、本塗料1及び2の塗膜は室温及び加熱(室温乃至約140℃)することにより揮発成分が揮散して乾燥塗膜を形成し、本塗料3の塗膜は硬化剤が含まれているために60〜140℃に加熱すると3次元に架橋反応した硬化塗膜を形成する。
【0063】
本方法は、ポリオレフィン系プラスチック素材に上記の本塗料1、2又は3を塗装し、次いで上塗り塗料を塗装することを特徴とするポリオレフィンの塗装方法に関する。
【0064】
本方法におけるポリオレフィン系プラスチック素材及び本塗料1、2又は3については、すでに上記したとおりであり、これらから選ばれたものが本法において好適に使用することができる。すなわち、上記のように本塗料1、2及び3が塗装されたポリオレフィン系プラスチック素材の表面は導電性が付与されているので、その表面に上塗り塗料を静電方式により塗装することができる。
【0065】
上塗り塗料としてそれ自体既知のものが使用できる。具体的には、アクリル樹脂・メラミン樹脂系、アクリル樹脂・(ブロック)ポリイソシアネート化合物系などのクリヤ塗料、ソリッドカラー塗料、メタリック塗料、光干渉性塗料などがあげられる。これらの上塗り塗料の形態は特に制限されず、有機溶剤型、水溶液型、水分散液型、ハイソリッド型などがあげられ、その塗膜は室温、加熱、活性エネルギー線照射などにより乾燥、硬化させることができる。上塗り塗膜は単層又は2層以上の複層塗膜である。
【0066】
本方法により、本塗料1、2又は3及び上塗り塗料が塗装されたポリオレフィン系プラスチック素材において、上塗り塗料の静電塗装性が良好で、上塗り塗面の平滑性などの仕上り外観がすぐれており、しかもポリオレフィン系プラスチック素材と本塗料1、2又は3の塗膜と上塗り塗膜との付着性が良好で耐水性もすぐれている。
【0067】
【発明の効果】
本塗料1、2及び3は、(A)4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基を有する重合性単量体を5〜50重量%含有する単量体成分を共重合してなるイオン導電性重合体及び(B)重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物により変性されたオレフィン系又はジエン系重合体を含有し(本塗料1)、さらに必要に応じて(C)ポリウレタン樹脂(本塗料2)、(D)硬化剤(本塗料3)を含有せしめたことを特徴とするポリオレフィン用導電性水性塗料である。これらの本塗料によって形成される塗膜の表面抵抗値は湿度60%で、10Ω/□又はそれ以下の導電性を有しているので、その塗面に上塗り塗料を静電方式により容易に塗装することができ、しかも耐水性が良好で、上塗り塗装後の塗面の平滑性などがすぐれている。
【0068】
さらに本塗料1、2及び3により形成される塗膜は無色透明であるので、目的とする色調に着色することが可能であり、任意の色調の上塗り塗料を使用することが可能になった。
【0069】
また、本塗料1、2及び3による塗膜は被塗物のポリオレフィン及び上塗り塗膜などとの付着性が良好であるという効果も有している。さらに、酸化錫、Sbコーティングした導電剤などを含有させた従来の塗料と比べて安価、安全性で、毒性がないので、工業的使用における商品性、経済性の点で有利である。
【0070】
【実施例】
以下に、本発明に関する実施例及び比較例について説明をする。部及び%はいずれも重量を基準にしており、塗膜の膜厚は乾燥、硬化した塗膜についてである。
【0071】
1.試料の調製
(A)成分
(A−1):メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級塩化物=40/20/15/25(重量比)からなる単量体成分を共重合してなるイオン導電性樹脂(重量平均分子量23000)。
【0072】
(A−2):メチルメタクリレート/エチルアクリレート/4−(ジメチルスルホニオ)フェニルメタクリレートの3級塩化物=40/25/35(重量比)からなる単量体成分を共重合してなるイオン導電性樹脂(重量平均分子量18000)。
【0073】
(A−3):メチルメタクリレート/エチルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート/トリフェニルホスホニオエチルメタクリレートの4級塩化物=40/20/10/30(重量比)からなる単量体成分を共重合してなるイオン導電性樹脂(重量平均分子量21000)。
【0074】
(A−4):(比較用)メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級塩化物=5/20/15/60(重量比)からなる単量体成分を共重合してなるイオン導電性樹脂(重量平均分子量23000)。
【0075】
(A−5):(比較用)「アクアパス5%水溶液」(三菱レーヨン(株)製、商品名、ポリアニリン系の導電性樹脂の水溶液)。
【0076】
(B)成分
(B−1):重量平均分子量80000のマレイン化塩素化ポリプロピレン(塩素含有率22%、マレイン酸変性量2.0%、ケン価30mgKOH/g)500部、n−ヘプタン150部、N−メチルービニルピロリドン50部からなる混合物(50℃)に、ジメチルエタノールアミン12部及びノイゲンEA−140(ノニオン系界面活性剤、第1工業薬品(株)製、商品名)5部を仕込み、同温度で1時間攪拌した後、脱イオン水2000部を徐々に仕込み、さらに1時間攪拌を行なった。つぎに、70℃の温度で減圧してn−ヘプタン及び水の合計600部を溜去して、固形分含有率23.6%のポリオレフィンエマルジョンを得た。樹脂粒子の平均粒径は1.8μmであった。
【0077】
(C)成分
(C−1):「タケラックW610」(武田薬品工業(株)製、商品名、水性ポリウレタン樹脂)。
【0078】
(D)成分
(D−1):「サイメル325」(サイテック(株)製、商品名、水溶性メラミン樹脂)。
【0079】
(D−2):「カルボジライトE−01」(日清紡(株)製、商品名、水性カルボジイミド樹脂)。
【0080】
その他
(E−1):メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート/アクリル酸=40/20/20/5/5(重量比)からなる単量体成分を共重合してなる水溶性アクリル樹脂(重量平均分子量12000)。
【0081】
チタン白顔料:「タイペークCR−93」(石原産業(株)製、商品名)
2.実施例及び比較例
上記の成分を用いて、表1に示した比率(重量、固形分比)で各成分を混合して本塗料1、2、3及び比較用塗料を得た。
【0082】
これらの導電性水性塗料をポリオレフィン素材(「TX−933」日本ポリケム(株)製、商品名)面にエアスプレー塗装により塗装を行なった。塗装膜厚は10〜15μmであり、塗膜は室温で3分間放置してから80℃で10分間強制乾燥を行なった。
【0083】
その塗面に、上塗り塗料として、「ソフレックス#420シルバー」(関西ペイント(株)製、商品名、ポリエステルウレタン系1液型有機溶剤系メタリック塗料)を膜厚15〜20μmになるように静電塗装し、室温で3分間放置してから、「ソフレックス#520クリヤ」(関西ペイント(株)製、商品名、アクリルウレタン系2液型有機溶剤系クリヤ塗料)を膜厚25〜30μmになるように静電塗装し、室温で5分間放置してから、100℃で30分間加熱して塗膜を硬化した。
【0084】
このようにして形成された複層塗膜の性能試験を行ない、その結果も併せて表1に記載した。試験方法は下記のとおりである。
【0085】
外観:塗面のブツ、ヘコミ、フクレ、着色などの異常発生の有無を目視で評価した。○はこれらの異常発生が全く認められない、△はこれらの異常発生が少し認められた、×はこれらの異常発生が顕著に認められたことを示す。
【0086】
表面電気抵抗値:本塗料を塗装しその塗膜を80℃で10分間乾燥したのち、塗面の表面電気抵抗値をTREK社製、商品名「MODEL150」で測定した結果である。測定値が10Ω/□未満であれば静電塗装適正がある。
【0087】
付着性:素地に達するようにカッターで切りこみ2mm巾のゴバン目100個作り、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃において急激に剥離した跡のゴバン目塗膜の残存数を観察した。
【0088】
耐水試験:40℃の温水に10日間浸漬した後、引き上げ直後の外観(白化、フクレなどの発生の有無)及び付着性(上記と同じ)を評価した。外観の○は白化、フクレなどの発生がない、△は白化、フクレなどの発生が少し認められる、×は白化、フクレなどの発生が多く認められることを示す。付着性の評価は上記と同じである。
【0089】
【表1】
Figure 0004008709

Claims (4)

  1. (A)4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基及び4級ホスホニウム塩基から選ばれた1種以上の官能基を有する重合性単量体を5〜50重量%含有する単量体成分を共重合してなるイオン導電性重合体、(B)重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物で変性されたオレフィン系又はジエン系重合体及び(C)ポリウレタン樹脂を含有し、かつ(A)、(B)両成分の比率が該両成分の合計固形分重量を基準に(A)成分が10〜80%、(B)成分が90〜20重量%であり、(C)成分の比率が(A)成分と(B)成分との合計固形分100重量部あたり1〜100重量部であることを特徴とするポリオレフィン用導電性水性塗料。
  2. (B)成分が重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物で変性されたオレフィン系重合体である請求項1記載のポリオレフィン用導電性水性塗料。
  3. 請求項1又は2の水性塗料にさらに(D)硬化剤を含有せしめたことを特徴とするポリオレフィン用導電性水性塗料。
  4. ポリオレフィン系プラスチック素材に請求項1、2又は3の水性塗料を塗装し、次いで上塗り塗料を塗装することを特徴とするポリオレフィンの塗装方法。
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