JP4007943B2 - コンバイン用脱穀機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、刈取穀稈の穂先側が扱室に供給されて回動する扱胴と、受網によって扱き処理される脱穀部、この脱穀部から脱穀処理物が選別室に落下供給され、その脱穀処理物を揺動選別装置と、唐箕からの選別風によって選別処理し、一番処理物を1番コンベヤによって搬出し、二番処理物を2番コンベヤによって搬出する選別部、前記脱穀部の後方で脱穀排ワラを機体外に搬出する排ワラ搬出室を有するとともに前記選別部からの塵埃を排塵ファンによって機体外に排出する排出部を備えたコンバイン用脱穀機に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、2条刈りや3条刈り型のコンバインにおいて、刈取り可能な穀稈の植付け条数が同じであっても、高速で刈取り走行できる機種と、刈取り走行がさほど高速で行なえなくてもよい機種を必要とされることがある。
刈取り処理される植立穀稈の条数が同じであっても、刈取り走行される速度が速いコンバインにあっては、脱穀機に供給される刈取穀稈の量が多くなり、処理能力が比較的高い脱穀機を備えさせる必要がある。刈取り走行される速度が同一であるとかあまり相違しなくても、刈取り処理される植立穀稈の条数が少ないコンバインにあっては、脱穀機に供給される刈取穀稈の量が少なくなり、処理能力が比較的低い脱穀機を備えさせることが可能である。
3条刈りコンバインを構成するためのものとして製作した脱穀機を採用して、2条刈り高速型のコンバインを構成した場合、脱穀機のために重量化するとともにコスト高になる。2条刈りコンバインを構成するためのものとして製作した脱穀機を採用して、3条刈り低速型のコンバインを構成した場合、脱穀機に扱き不足などの処理不良が発生しやすくなる。
このため、従来、たとえば2条刈の低速型コンバインを構成するための脱穀機と、2条刈の高速型コンバインを構成するための脱穀機と、3条刈のコンバインを構成するための脱穀機を別々に製作するなど、構成するコンバインの機種毎に対応させた専用の脱穀機を製作することにより、コンバインの多機種化を可能にされていた。(この先行技術を明示する適切な文献情報が無く、記載せず。)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来にあっては、コンバインの機種数に等しい数の種類の製作型を準備し、コンバインの機種数に等しい数の種類の脱穀機側壁を製作して、処理能力がコンバイン機種に対応するものとなった各種の脱穀機を構成する必要があり、コスト面で不利になっていた。
【0004】
本発明の目的は、処理能力が異なる状態に重量面やコスト面などで有利にできるコンバイン用脱穀機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本第1発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0006】
〔構成〕
刈取穀稈の穂先側が扱室に供給されて回動する扱胴と、受網によって扱き処理される脱穀部、この脱穀部から脱穀処理物が選別室に落下供給され、その脱穀処理物を揺動選別装置と、唐箕からの選別風によって選別処理し、一番処理物を1番コンベヤによって搬出し、二番処理物を2番コンベヤによって搬出する選別部、前記脱穀部の後方で脱穀排ワラを機体外に搬出する排ワラ搬出室を有するとともに前記選別部からの塵埃を排塵ファンによって機体外に排出する排出部を備えたコンバイン用脱穀機において、前記扱室、扱胴、受網を有した脱穀部構造体の脱穀部機壁と、前記選別室、揺動選別装置、1番コンベヤ、2番コンベヤを有した選別部構造体の選別部機壁の間に、前記脱穀部構造体と前記選別部構造体を各別に作製して連結した脱穀選別連結線を備え、前記脱穀部機壁のうちの扱き口が位置する側とは反対側の横側壁の下端を、扱き口が位置する側の横側壁の下端より高レベルに配置してある。
【0007】
〔作用〕
たとえば脱穀部構造体、選別部構造体のそれぞれとして、2条刈り低速型のコンバインを構成するのに適した処理能力を備えた少量処理用のものと、3条刈り高速型のコンバインを構成するのに適した処理能力を備えた大量処理用のものの2種類を準備し、各構造体を適切に組み合わせて連結するという製作方法を採用して、2条刈り低速型のコンバインを構成するとか、2条刈り高速型や3条刈り低速型のコンバインを構成するとか、3条刈り高速型のコンバインを構成するのに適した脱穀機を得られるものである。
【0008】
すなわち、大量処理用に製作した脱穀部構造体および選別部構造体を組み合わせて脱穀選別連結線で連結する。すると、脱穀部および選別部が大処理能力を備えたものになることにより、3条の植立穀稈を高速で走行しながら刈取り処理されるコンバイン用機体に搭載されて多量の刈取穀稈が脱穀部に迅速に供給されることになっても、脱穀および選別処理が不足なく行なわれる脱穀機になる。すなわち、3条刈り高速型のコンバインを構成するのに適した処理能力を備えた脱穀機になる。
【0009】
大量処理用に製作した脱穀部構造体、少量処理用に製作した選別部構造体を組み合わせて脱穀選別連結線で連結する。すると、脱穀部が大処理能力を備え、選別部が小処理能力を備えた脱穀機になる。
3条の植立穀稈が低速で走行しながら刈取り処理されるとか、2条の植立穀稈が高速で走行しながら刈取り処理されるコンバインの場合、3条刈り高速型のコンバインに比して少ない量で、2条刈り低速型のコンバインに比して多い量で刈取穀稈が脱穀部に供給されるが、脱穀部が大処理能力を備えていて、脱穀処理を不足なく行い、かつ、脱穀処理物を選別部に次第に落下するように若干滞留させることが可能になる。これにより、3条刈り低速型であるとか、2条刈り高速型のコンバイン用機体に搭載されても、脱穀および選別処理が過不足なく行なわれる脱穀機になる。しかも、選別部構造体として大量処理用に製作したものを採用するに比して軽量かつ安価な脱穀機になる。すなわち、3条刈り低速型であるとか2条刈り高速型のコンバインを構成するのに、適した処理能力を備え、かつ重量および経費の面で過剰にならない脱穀機になる。
【0010】
小量処理用に製作した脱穀部構造体および選別部構造体を組み合わせて脱穀選別連結線で連結する。すると、脱穀部および選別部が小処理能力を備えたものになることにより、2条の植立穀稈が低速で走行しながら刈取り処理され、脱穀部に供給される穀稈量が比較的少なくなるコンバイン用機体に搭載されると、脱穀および選別処理が過不足なく行なわれるようになる。すなわち、2条刈の低速型コンバインを構成するのに適した処理能力を備えた脱穀機になる。
【0011】
脱穀部には、長さが異なる扱胴を備えさせることによって異なる処理能力を備えさせることから、処理能力が大である脱穀部構造体の扱胴回転軸芯に沿う方向視での横幅と、処理能力が小である脱穀部構造体のその横幅は同一になる。選別部では、扱胴回動軸芯に沿う方向視での横幅が大きい揺動選別装置を備えさせることによって処理能力が大になり、その横幅が小さい揺動選別装置を備えさせることによって処理能力が小になる。
このため、脱穀部機壁のうちの扱き口が位置する側とは反対側の横側壁の下端を、扱き口側の横側壁の下端と同一の配置レベルに配置すると、扱室の扱き口側とは反対側で受網から漏下した処理物を小横幅の揺動選別装置に落下するように案内する傾斜壁が下部に付いたものと、その傾斜壁が付いていない鉛直姿勢のものの2種の横側壁を、脱穀部構造体の扱き口側とは反対側の横側壁として準備して使い分けることにより、大横幅の揺動選別装置が付いた選別部構造体を脱穀部構造体に連結するとか、小横幅の揺動選別装置が付いた選別部構造体を、脱穀処理物が揺動選別装置に落下案内されるようにして脱穀部構造体に連結することになる。
これに対し、脱穀部機壁のうちの扱き口が位置する側とは反対側の横側壁の下端を、扱き口側の横側壁の下端より高レベルに配置してあるものだから、前記傾斜壁を小横幅の揺動選別装置が付いた選別部構造体に備えさせておき、脱穀部構造体の扱き口側とは反対側の横側壁としては鉛直姿勢の1種類だけを準備すれば、大横幅の揺動選別装置が付いた選別部構造体を脱穀部構造体に対して連結することも、小横幅の揺動選別装置が付いた選別部構造体を、これの揺動選別装置に脱穀処理物が落下案内されるようにして脱穀部構造体に対して連結することもできる。
【0012】
つまり、コンバイン用脱穀機を構成するのに、各別に製作するとともに異なる処理能力を備えた複数種類の脱穀部構造体と選別部構造体を適切に組み合わせて連結するという製作方法を採用し、たとえば同一種類の脱穀部構造体を採用して2条刈り高速型用の脱穀機も、3条刈り用の脱穀機も製作するという如く各構造体の共通化を図りながら、かつ、必要な部品数の低減を図りながら処理能力が異なった状態に構成できる。
【0013】
〔効果〕
従って、処理能力が異なるコンバインを構成するなどにあたり、脱穀および選別処理能力が異なった状態の脱穀機にするのに、たとえば同一種類の脱穀部構造体を採用して2条刈り高速型用の脱穀機も、3条刈り用の脱穀機も得るという如く脱穀部構造体、選別部構造体を共通化させて、かつ、脱穀部構造体の必要側壁数を少なく済ませて、部材の製作に必要な手間やコストを低減してすることができ、全体としてコストダウンできる。
また、処理能力が異なるコンバインを構成する場合には殊に、処理能力の割には重くなるとか高価にならないようにしながら、コンバインに対応した適切な処理能力を備えた状態に構成でき、処理能力が異なる各種のコンバインを、処理能力の割には重くなり過ぎるとか大きくなり過ぎないようにしてできる。
【0014】
本第2発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0015】
〔構成〕
本第1発明の構成において、前記脱穀部機壁のうちの扱き口が位置する側の横側壁の下端を前記扱胴の下端より低レベルに配置し、前記脱穀部機壁のうちの扱き口が位置する側とは反対側の横側壁の下端を、前記扱胴の下端より高レベルに配置してある。
【0016】
〔作用〕
扱き口側の横側壁の下端を高いレベルに配置するほど、扱き口側横側壁の下端から扱き口までの脱穀機体上下方向での大きさが小になっていき、その横側壁の強度が低下しやすくなる。本第2発明にあっては、扱き口が位置する側の横側壁の下端を扱胴の下端より低レベルに配置し、扱口が位置する側とは反対側の横側壁の下端を、扱胴の下端より高レベルに配置してあるものだから、扱き口側横側壁の下端から扱き口までの脱穀機体上下方向での大きさが極力大になるようにしながら、扱き口側とは反対側の横側壁としては鉛直姿勢の1種類だけを準備すれば、大横幅の揺動選別装置が付いた選別部構造体を脱穀部構造体に対して連結することも、小横幅の揺動選別装置が付いた選別部構造体を、これの揺動選別装置に脱穀処理物が落下案内されるようにして脱穀部構造体に対して連結することもできるようにできる。
【0017】
〔効果〕
従って、脱穀部構造体を処理能力が異なる複数の選別部構造体に対して共通させて連結できるものにできる割には、脱穀部構造体を扱き口側横側壁の強度面から優れた強度を備え、脱穀機の組み立てを行なう際、容易に取り扱って組み立て作業しやすいすいものにできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1,4に示すように、脱穀機体内の上部の前側に位置する扱室11、この扱室内に位置する扱胴12などを有した脱穀部10、前記扱胴12の下方に位置する揺動選別装置21などを有した選別部20、前記扱室11の後方に位置する排塵ファン31などを有した排出部30、前記排塵ファン31の後方に位置する排ワラ細断装置50を備えて、脱穀機D1を構成してある。
この脱穀機D1は、2条の植付け条の稲、麦などの穀稈を刈り取り処理する刈取り前処理部(図示せず)が備えられた自走機体に装着して、0.5〜0.8m/secの走行速度で刈取り走行しながら収穫作業できる低速型の2条刈りコンバインを構成するものであり、詳しくは次の如く構成してある。
【0019】
すなわち、脱穀部10は、前記扱室11、脱穀機体前後向きの軸芯12aまわりで回動駆動される前記扱胴12、この扱胴12の下方に位置する受網13などを備えて構成してあり、脱穀機体の横外側に駆動回動自在に設けるとともに扱室11の扱き口14に搬送側が沿っている脱穀フィードチェーン1によって刈取り前処理部からの刈取穀稈の株元側を脱穀機体後方向きに挟持搬送することによってその刈取穀稈の穂先側を扱室11に供給し、その穂先側を扱胴12と受網13によって扱き処理し、脱穀粒やワラ屑などの脱穀処理物を、受網13や扱室11の送塵口15から選別部20の選別室22に漏下させるとか落下させ、脱穀排ワラを脱穀フィードチェーン1によって扱室11の送塵口15から排出部30に搬出する。
【0020】
選別部20は、扱室11の下方に位置する選別室22、この選別室内の上部に脱穀機体前後方向に揺動するように駆動自在に位置する前記揺動選別装置21、この揺動選別装置21の前端側の下方に位置する唐箕40、揺動選別装置21の下方で選別室22の底部に位置する1番スクリューコンベヤ23及び2番スクリューコンベヤ24を備えて構成してある。
【0021】
図20,21などに示すように、唐箕40は、左右の選別部機壁25にわたって取り付けた唐箕ケース本体41と、前記左右の選別部機壁25それぞれの前端部25aと、左右の選別部機壁25にわたって取付けた送風体ケース部47で成る唐箕ケース42、この唐箕ケース42の内部に脱穀機体横向きの軸芯43aまわりで駆動回動されるように設けた回転自在な回転送風体43を備えて構成してあり、回動する回転送風体43により唐箕ケース本体41の左右の側板41aそれぞれに位置する吸気口44から脱穀機体外の空気を吸引して選別風を発生させ、この選別風を選別室22に脱穀機体後方向きに供給する。
【0022】
これにより、選別部20は、受網13から漏下するとか送塵口15から落下した脱穀粒やワラ屑などの脱穀処理物を揺動選別装置21によって受け止め、この揺動選別装置21による揺動選別と、唐箕40からの選別風によって穀粒と、ワラ屑などの塵埃に選別し、精粒を1番スクリューコンベヤ23に落下させてこの1番スクリューコンベヤ23によって脱穀機体の横外側に搬出し、未処理粒を2番スクリューコンベヤ24に落下させてこの2番スクリューコンベヤ24によって脱穀機体の横外側に搬送し、この2番スクリューコンベヤ24の搬送終端部に接続している揚送装置2によって脱穀機体前側の扱室下部のレベルまで揚送して脱穀機壁の投入口(図示せず)から脱穀機体内に投入して揺動選別装置21の前端部に還元し、塵埃を揺動選別装置21の後方に位置する選別室22の排出口26から脱穀機体外に排出するようになっている。
【0023】
排出部30は、扱室11の前記送塵口15に連通している排ワラ搬出室32、脱穀機体横向きの軸芯まわり回動するように駆動される前記排塵ファン31、この排塵ファン31の上方に位置する無端回動チェーンなどで成る排ワラ搬送装置33を備えて構成してあり、扱室11の送塵口15から搬出された脱穀排ワラを排ワラ搬送装置33によって脱穀フィードチェーン1から受け継いで脱穀機体に対して穂先側に寄せながら脱穀機体後方向きに排ワラ細断装置50の上方まで搬送し、排ワラ細断装置50の排ワラ受入れ口51を開閉する揺動蓋52が開いていると、その排ワラ受入れ口51に落下させ、前記揺動蓋52が閉じていると、排ワラ搬出室32の後部に位置する送出口34から排ワラ細断装置50の後方に落下させて長ワラ状態のままで圃場に落下させる。また、選別部20で発生した塵埃を排塵ファン31によって選別風と共に吸引し、ファンケースの吐出口35から脱穀機体の後方に排出するようになっている。
【0024】
排ワラ細断装置50は、排ワラ受入れ口51に落下された脱穀排ワラを、脱穀機体横向きの軸芯まわり回動駆動される切断軸53の長手方向での複数箇所に一体回動自在に付いている円板形の切断刃55と、脱穀機体横向きの軸芯まわりで回動駆動される供給軸54の長手方向での複数箇所に一体回動自在に付いている円板形の供給刃56とによって両刃55,56の間に取り込んで稈身方向に細断し、カッターケース57の下部に位置する放出口から圃場に落下させる。
【0025】
〔第2実施形態〕
図2,5に示すように、脱穀機体内の上部の前側に位置する扱室11、この扱室内に位置する扱胴12などを有した脱穀部10、前記扱胴12の下方に位置する揺動選別装置21などを有した選別部20、前記扱室11の後方に位置する排塵ファン31などを有した排出部30、前記排塵ファン31の後方に位置する排ワラ細断装置50を備えて、脱穀機D2を構成してある。
この脱穀機D2は、2条の植付け条の稲、麦などの穀稈を刈り取り処理する刈取り前処理部(図示せず)が装備された自走機体に装着して、0.9〜1.0m/secの走行速度で刈取り走行しながら収穫作業できる高速型の2条刈りコンバインを構成するとか、3条の稲、麦などの植立穀稈を刈り取り処理する刈取り前処理部(図示せず)が装備された自走機体に装着して、約0.7m/secの走行速度で刈取り走行しながら収穫作業できる低速型の3条刈りコンバインを構成するものである。
【0026】
すなわち、脱穀部10、選別部20、排出部30及び排ワラ細断装置50は、第1実施形態の脱穀機D1のそれと同様に構成してあり、脱穀フィードチェーン1によって刈取り前処理部からの刈取穀稈の株元側を脱穀機体後方向きに挟持搬送して穂先側を扱室11に供給し、その穂先側を扱胴11と受網13によって扱き処理し、脱穀処理物を扱室11の受網13や送塵口15から漏下あるいは落下させ、脱穀排ワラを脱穀フィードチェーン1によって扱室11の送塵口15から搬出する。扱室11から搬出された脱穀排ワラを排ワラ搬送装置33によって脱穀機体に対して穂先側に寄せながら脱穀機体後方向きに搬送して排ワラ細断装置50に供給したり、排ワラ細断装置50の後方に落下させて圃場に長ワラ状態で落下させる。受網13から漏下するとか送塵口15から選別室22に落下した脱穀処理物を揺動選別装置21によって受け止め、この揺動選別装置21による揺動選別と、唐箕40からの選別風によって穀粒と、ワラ屑などの塵埃に選別し、精粒を1番スクリューコンベヤ23によって脱穀機体の横外側に搬出し、未処理粒を2番スクリューコンベヤ24によって脱穀機体の横外側に搬送し、この2番スクリューコンベヤ24の搬送終端部に接続している揚送装置2によって揺動選別装置21の前端部に還元し、塵埃を揺動選別装置21の後方に位置する選別室22の排出口26から脱穀機体外に排出したり、排塵ファン31によって選別風と共に吸引させて吐出口35から脱穀機体の後方に排出する。
【0027】
〔第3実施形態〕
図3,6に示すように、脱穀機体内の上部の前側に位置する扱室11、この扱室内に位置する扱胴12などを有した脱穀部10、前記扱胴12の下方に位置する揺動選別装置21などを有した選別部20、前記扱室11の後方に位置する排塵ファン31などを有した排出部30、前記排塵ファン31の後方に位置する排ワラ細断装置50を備えて、脱穀機D3を構成してある。
この脱穀機D3は、3条の植付け条の稲、麦などの穀稈を刈り取り処理する刈取り前処理部(図示せず)が装備された自走機体に装着して、0.8〜1.0m/secの走行速度で刈取り走行しながら収穫作業できる高速型の3条刈りコンバインを構成するものである。
【0028】
すなわち、脱穀部10、選別部20、排出部30及び排ワラ細断装置50は、第1実施形態の脱穀機D1、および第2実施形態の脱穀機D2のそれと同様に構成してあり、脱穀フィードチェーン1によって刈取り前処理部からの刈取穀稈の株元側を脱穀機体後方向きに挟持搬送して穂先側を扱室11に供給し、その穂先側を扱胴11と受網13によって扱き処理し、脱穀処理物を扱室11の受網13や送塵口15から漏下あるいは落下させ、脱穀排ワラを脱穀フィードチェーン1によって扱室11の送塵口15から搬出する。扱室11から搬出された脱穀排ワラを排ワラ搬送装置33によって脱穀機体に対して穂先側に寄せながら脱穀機体後方向きに搬送して排ワラ細断装置50に供給したり、排ワラ細断装置50の後方に落下させて圃場に長ワラ状態で落下させる。受網13から漏下するとか送塵口15から選別室22に落下した脱穀処理物を揺動選別装置21によって受け止め、この揺動選別装置21による揺動選別と、唐箕40からの選別風によって穀粒と、ワラ屑などの塵埃に選別し、精粒を1番スクリューコンベヤ23によって脱穀機体の横外側に搬出し、未処理粒を2番スクリューコンベヤ24によって脱穀機体の横外側に搬送し、この2番スクリューコンベヤ24の搬送終端部に接続している揚送装置2によって揺動選別装置21の前端部に還元し、塵埃を揺動選別装置21の後方に位置する選別室22の排出口26から脱穀機体外に排出したり、排塵ファン31によって選別風と共に吸引させて吐出口35から脱穀機体の後方に排出する。
【0029】
第1実施形態の脱穀機D1においては図4に示し、第2実施形態の脱穀機D2においては図5,7に示し、第3実施形態の脱穀機D3においては図6,7に示すように、脱穀部10と選別部20の脱穀機体左側及び右側の機壁16a,16b,25どうしの間に設けた脱穀機体前後向きの脱穀選別連結線A1,A2、脱穀部10と排出部30の脱穀機体左側及び右側の機壁16a,16b,36どうしの間に設けた脱穀機体上下向きの脱穀排出連結線B1,B2、選別部20と排出部30の脱穀機体左側及び右側の機壁25,36どうしの間に設けた脱穀機体前後向きの選別排出連結線C、唐箕ケース本体41と選別部20の脱穀機体左側及び右側の側板41aと機壁27の間に設けた脱穀機体上下向きの唐箕連結線Dを備えてある。脱穀機D1の右側面図は省略しているが、脱穀機D1,D2,D3のいずれにおいても、後述する如く機体右側の脱穀選別連結線A2は、機体左側の脱穀選別連結線A1より高い配置レベルに位置している。脱穀機D1,D2,D3のいずれにおいても、機体左側の選別排出連結線Cと、機体右側の選別排出連結線Cは、同じ配置レベルに位置している。脱穀機D1にあっては、唐箕40が脱穀部10の前端より脱穀機体前方に大きく突出しており、脱穀機D2,D3にあっては、唐箕40が脱穀部10の前端より脱穀機体前方にあまり突出していないことから、脱穀機D1,D2,D3のうちのD2とD3にあっては、脱穀部10と唐箕ケース本体41の脱穀機体左側および右側の脱穀機壁16a,16b、側板41aどうしの間に設けた脱穀唐箕連結線Eを備えてある。
【0030】
各脱穀機D1,D2,D3の前記機体左側の脱穀選別連結線A1も、前記機体右側の脱穀選別連結線A2も、扱室11、扱胴12、受網13を有した脱穀部構造体17と、選別室22、揺動選別装置21、1番スクリューコンベヤ23、2番スクリューコンベヤ24を有した選別部構造体28を各別に作製して連結した部位を示している。各脱穀機D1,D2,D3の前記機体左側の脱穀排出連結線B1も、前記機体右側の脱穀排出連結線B2も、排ワラ搬出室32、排塵ファン31を有した排出部構造体37と、前記脱穀部構造体17を各別に作製して連結した部位を示している。各脱穀機D1,D2,D3の前記機体左右側の選別排出連結線Cは、前記選別部構造体28と前記排出部構造体37を各別に作製して連結した部位を示している。各脱穀機D1,D2,D3の前記機体左右側の唐箕連結線Dは、前記唐箕40の回転送風体43及び唐箕ケース本体41を有した唐箕本体構造体45と、前記選別部構造体28を各別に作製して連結した部位を示している。脱穀機D2,D3の前記機体左右側の脱穀唐箕連結線Eは、前記脱穀部構造体17と唐箕本体構造体45を各別に作製して連結した部位を示している。
【0031】
脱穀機D1,D2,D3のいずれにおいても、図9,12などに示すように、脱穀部構造体17は、左右の横側壁16a,16b、扱室11の前壁部分11aおよび後壁部分11bなどを有した脱穀部機壁を備えるとともに前記受網13が内部に装着された下部構造体18、この下部構造体18の扱き口14が位置する側とは反対側の横端部の上部に対して連結軸芯19aで横端部が回動自在に連結していて、扱胴12の回動軸芯12aと平行な前記連結軸芯19aのまわりで下部構造体18に対して上下に揺動して扱室11及び排ワラ搬出室32を開閉する上部構造体19を備えて構成してある。
【0032】
図13,15などに示すように、上部構造体19は、扱室11の前壁部分11eと後壁部分11dで扱胴12を回動自在に支持しており、上昇揺動されて扱室11を開放する際、扱胴12を持ち上げるようになっている。また、上部構造体19は、この上部構造体19の遊端部における内側に前端側が固定された脱穀機体前後向きの鋼管材で成る図4,5,6の如き上部構造体フレーム19bを備えており、上部構造体19が下降操作されて扱室11を閉じた際、上部構造体フレーム19bの後端部に固定された係止部材19cで、排出部構造体37の鋼管材で成る図1,2,3の如き排出部フレーム38の前端部に固定の連結ピン38aに対して係合して上部構造体19の位置決めを行なう。
【0033】
脱穀機D1,D2,D3のいずれにおいても、排出部構造体37は、左右の排出部機壁36、前記排ワラ搬出室32、前記送出口34を備えた構造体本体、この構造体本体の内部に取り付けた前記排塵ファン31及び前記排出部フレーム38を備えて構成してある。
【0034】
脱穀機D1,D2,D3のいずれにおいても、選別部構造体28は、左右の選別部機壁25、前記選別室22、前記排出口26を備えた構造体本体、この構造体本体の内部に取り付けた前記揺動選別装置21、1番スクリューコンベヤ23、2番スクリューコンベヤ24を備えて構成してある。
【0035】
脱穀機D1,D2,D3のいずれにおいても、唐箕本体構造体45は、前記唐箕ケース本体41、この唐箕ケース本体41の左右の横側板41aにわたって回動自在に支持させた前記回転送風体43を備えて構成してある。
【0036】
つまり、各脱穀機D1,D2,D3は、図8に示す製作方法に基づいて製作してある。
すなわち、脱穀部構造体17として、小型の脱穀部構造体17aと大型の脱穀部構造体17bを各別に製作しておく。小型の脱穀部構造体17aは、回転軸芯12aに沿う方向での長さがL1である短尺の扱胴12によって扱き処理するように構成したものであり、大型の脱穀部構造体17bは、回転軸芯12aに沿う方向での長さが前記L1より長いL2である長尺の扱胴12によって扱き処理するように構成したものである。
選別部構造体28として、小型の選別部構造体28aと、大型の選別部構造体28bを各別に作製しておく。小型の選別部構造体28aは、脱穀機体横幅方向に沿う方向での横幅がW1である小横幅の揺動選別装置21によって選別処理するように構成したものであり、大型の選別部構造体28bは、脱穀機体横幅方向に沿う方向での横幅が前記W1より大のW2である大横幅の揺動選別装置21によって選別処理するように構成したものである。
排出部構造体37として、小型の排出部構造体37aと、大型の排出部構造体37bを各別に作製しておく。小型の排出部構造体37aは、排塵ファン31として処理能力が比較的小さいものを採用し、かつ、排出部フレーム38の脱穀機体前後方向長さを小にしたものであり、大型の排出部構造体37bは、排塵ファン31として処理能力が大きいものを採用し、かつ、排出部フレーム38の脱穀機体前後方向長さを大にしたものである。
唐箕本体構造体45として、小型の唐箕本体構造体45aと、中型の唐箕本体構造体45bと、大型の唐箕本体構造体45cを各別に製作しておく。小型の唐箕本体構造体45aは、回転送風体43の羽根数であるとか大きさを適切なものに設定することによって小送風能力を備えさせ、かつ、唐箕ケース本体41を前記小型の選別部構造体28の左右の選別部機壁25にわたって取り付けられるように、唐箕ケース本体41の脱穀機体横幅方向での長さを小型の選別部構造体28の脱穀機体横幅方向での大きさに適応した大きさのF1にしたものである。中型の唐箕本体構造体45bは、回転送風体43の羽根数であるとか大きさを適切なものに設定することによって中送風能力を備えさせ、かつ、唐箕ケース本体41を前記小型の選別部構造体28aの左右の選別部機壁25にわたって取り付けられるように、唐箕ケース本体41の脱穀機体横幅方向での長さを小型の選別部構造体28aの脱穀機体横幅方向での大きさに適応した大きさのF1にしたものである。大型の唐箕本体構造体45cは、回転送風体43の羽根数であるとか大きさを適切なものに設定することによって大送風能力を備えさせ、かつ、唐箕ケース本体41を前記大型の選別部構造体28bの左右の選別部機壁25にわたって取り付けられるように、唐箕ケース本体41の脱穀機体横幅方向での長さを大型の選別部構造体28bの脱穀機体横幅方向での大きさに適応した大きさのF2にしたものである。
そして、適切な処理能力を備えた脱穀部構造体17、選別部構造体28、排出部構造体37、唐箕本体構造体45を組み合わせて前記左右の脱穀選別連結線A1,A2、脱穀排出連結線B1,B2、選別排出連結線C、脱穀唐箕連結線Eで連結し、排出部構造体37の後部に排ワラ細断装置50を連結することによって製作してある。
【0037】
さらに詳述すると、図4,9に示すように、第1実施形態の脱穀機D1、すなわち低速型の2条刈りコンバインを構成する脱穀機D1にあっては、前記小型の脱穀部構造体17aと前記小型の選別部構造体28aと前記小型の排出部構造体37aを前記左右の脱穀選別連結線A1,A2、脱穀排出連結線B1,B2、選別排出連結線Cで連結し、前記小型の唐箕本体構造体45aと前記小型の選別部構造体28aを前記左右の唐箕連結線Dで連結し、排出部構造体37aの後部に排ワラ細断装置50を連結することによって構成してある。
【0038】
図5,9に示すように、第2実施形態の脱穀機D2、すなわち高速型の2条刈りコンバインであるとか低速型の3条刈りコンバインを構成する脱穀機D2にあっては、前記大型の脱穀部構造体17bと前記小型の選別部構造体28aと前記小型の排出部構造体37aを前記左右の脱穀選別連結線A1,A2、脱穀排出連結線B1,B2、選別排出連結線Cで連結し、前記中型の唐箕本体構造体45bと前記小型の選別部構造体37aを前記左右の唐箕連結線Dで連結し、排出部構造体28aの後部に排ワラ細断装置50を連結することによって構成してある。尚、この脱穀機D2にあっては、揺動選別装置21は、脱穀機D1の揺動選別装置21と同一の横幅W1を備えているが、脱穀機D2の扱胴12の長さL2が、脱穀機D1の扱胴21の長さL1より長いことから、脱穀機D2の揺動選別装置21の始端部のグレンパン21bの扱胴回動軸芯方向での長さを、脱穀機D1の揺動選別装置21の始端部のグレンパン21のその長さより大にしてある。
【0039】
図6,10に示すように、第3実施形態の脱穀機D3、すなわち高速型の3条刈りコンバインを構成する脱穀機D3にあっては、前記大型の脱穀部構造体17bと前記大型の選別部構造体28bと前記大型の排出部構造体37bを前記左右の脱穀選別連結線A1,A2、脱穀排出連結線B1、B2、選別排出連結線Cで連結し、前記大型の唐箕本体構造体45cと前記大型の選別部構造体28bを前記左右の唐箕連結線Dで連結し、排出部構造体37bの後部に排ワラ細断装置50を連結することによって構成してある。
【0040】
脱穀機D1,D2,D3のいずれにおいても、脱穀部構造体17、選別部構造体28、排出部構造体37、唐箕本体構造体45の連結は、図12〜21に示す連結構造に基づいて行なうように構成してある。
【0041】
図12,13,14に示すように、脱穀部構造体17の左右の横側壁16a,16bのうち、扱き口14が位置する側の横側壁16aを、この横側壁16aの下端61が下降閉じ状態にある扱胴12の下端より低い配置レベルに位置するように構成し、脱穀部構造体17の左右の横側壁16a,16bのうち、扱き口14が位置する側とは反対側の横側壁16bを、この横側壁16bの下端62が下降閉じ状態にある扱胴12の下端より高い配置レベルに位置するように構成し、脱穀部構造体17の前記左右の横側壁16a,16bそれぞれの下端部に、脱穀機体下向きの連結面63aが付いた連結フランジ63を設け、選別部構造体28の前記左右の選別部機壁25それぞれの上端部に、脱穀機体上向き連結面64aが付いた連結フランジ64を設けてある。
【0042】
すなわち、図14(イ)に示すように、脱穀部構造体17の左側壁16aの下端部の連結フランジ63と、選別部構造体28の左側の選別部機壁25の上端部の連結フランジ64を、連結面63a,64aどうしで接合させて連結ボルトで締め付け連結し、図14(ロ)に示すように、脱穀部構造体17の右側壁16bの下端部の連結フランジ63と、選別部構造体28の右側の選別部機壁25の上端部の連結フランジ64を、連結面63a,64aどうしで接合させて連結ボルトで締め付け連結するようになっている。そして、扱室11の扱き口側とは反対側で受網12から漏下した処理物を小型の選別部構造体28aの揺動選別装置21に落下するように案内する傾斜壁65を小型の選別部構造体28aの右側の選別部機壁25に備えさせておき、脱穀部構造体17の扱き口側とは反対側の横側壁16bとしては鉛直姿勢の1種類だけを準備することにより、大型の選別部構造体28bを脱穀部構造体17に対して連結することも、小型の選別部構造体28aを、これの揺動選別装置21に脱穀処理物が落下案内されるようにして脱穀部構造体17に対して連結することもできるようになっている。
【0043】
図8,18などに示すように、脱穀部構造体17の前記左右の横側壁16a,16bのうちの扱き口14が位置する側とは反対側の横側壁16bの後端縁66を、鉛直又はほぼ鉛直な脱穀機体上下向き縁に形成し、前記左右の横側壁16a,16bのうちの扱き口14が位置する側の横側壁16aの後端縁67を、この横側壁16aの内面側に備えてある下唇板68のうちの扱き口後端部に沿っている部分68aの後側近くにこの下唇板部分68aに沿って位置するように上端側ほど脱穀機体後方側に位置した状態に傾斜した傾斜縁に形成してある。扱き口側の横側壁16aの前記後端縁67は、この後端縁67の上端67aが扱き口側とは反対側の横側壁16bの後端縁66の上端66aより脱穀機体後方側に位置した状態に形成してある。図19に示すように、前記左右の横側壁16a,16bそれぞれの後端部に、脱穀機体後方向きの連結面70aが付いた連結フランジ70を設け、排出部構造体37の左右の排出部機壁36それぞれの前端部に、脱穀機体前方向きの連結面71aが付いた連結フランジ71を設けてある。
【0044】
すなわち、図19(ロ)に示すように、脱穀部構造体17の左側壁16aの後端部の連結フランジ70と、排出部構造体37の左側の排出部機壁36の前端部の連結フランジ71を、連結面70a,71aどうしで接合させて連結ボルトで締め付け連結し、図19(イ)に示すように、脱穀部構造体17の右側壁16bの後端部の連結フランジ70と、排出部構造体37の右側の排出部機壁36の前端部の連結フランジ71を、連結面70a,71aどうしで接合させて連結ボルトで締め付け連結するようになっている。
【0045】
図16,17に示すように、排出部構造体37の前記左右の排出部機壁36それぞれの下端部に、脱穀機体下向きの連結面72aが付いた連結フランジ72を設け、排出部構造体37の左側の排出部機壁36の下端部の連結フランジ72と、選別部構造体28の左側の選別部機壁25の上端部の前記連結フランジ64を、連結面72a,64aどうしで接合させて連結ボルトで締め付け連結し、排出部構造体37の右側の排出部機壁36の下端部の連結フランジ72と、選別部構造体28の右側の選別部機壁25の上端部の前記連結フランジ64を、連結面72a,64aどうしで接合させて連結ボルトで締め付け連結するようになっている
【0046】
図20,21に示すように、唐箕ケース本体41の前記左右の横側板41aそれぞれの後端側に、脱穀機体後方向きの連結面が付いた連結フランジ73を設け、選別部構造体28の左右の選別部機壁25それぞれの前端側に、脱穀機体前方向きの連結面が付いた連結フランジ74を設け、唐箕ケース本体41および選別部構造体28の両横側で、唐箕ケース本体41の連結フランジ73と、選別部機壁25の連結フランジ74を、連結面どうしで接合させて連結ボルトで締め付け連結するようになっている。唐箕ケース本体41の前記左右の横側板41aそれぞれの上端側に、脱穀機体上方向きの連結面が付いた連結フランジを設け、唐箕ケース本体41および脱穀部構造体17の両横側で、唐箕ケース本体41の連結フランジと、脱穀部機壁16a,16bの連結フランジ63を、連結面63aどうしで接合させて連結ボルトで締め付け連結するようになっている。
【0047】
脱穀機D1,D2,D3のいずれにおいても、脱穀フィードチェーン1の取り付け、および脱穀フィードチェーン1、1番スクリューコンベヤ23、2番スクリューコンベヤ24、排ワラ細断装置50、排塵ファン31の駆動は、図11に示す取付け構造、駆動構造に基づいて行なうようになっている。
すなわち、脱穀部構造体17の左側壁16aの外面側と、排出部構造体37の左側の排出部機壁36の外面側とにわたって脱穀フィードチェーンガイド3を取付け、この脱穀フィードチェーンガイド3と、排ワラ細断装置50の前記供給軸54に一体回動自在に取り付けたフィードチェーン駆動スプロケット80と、脱穀部構造体17の左側壁16aの外面側に支持させたテンションローラ81にわたって脱穀フィードチェーン1を巻回してある。
【0048】
唐箕40の回転送風体43の回転支軸46に一体回転自在に取り付けた出力プーリ82、前記1番スクリューコンベア23の回転支軸の端部に一体回転自在に取り付けた1番スクリュー駆動プーリ23a、前記2番スクリューコンベヤ24の回転支軸の端部に一体回転自在に取り付けた2番スクリュー駆動プーリ24a、前記揺動選別装置21を揺動駆動する回転駆動軸の端部に一体回転自在に取り付けた選別装置駆動プーリ21a、排ワラ細断装置50の切断軸53の端部に一体回転自在に取り付けた細断装置駆動プーリ58、排塵ファン31の回転支軸に一体回転自在に取り付けた排塵ファン駆動プーリ31a、脱穀機体の外面側の複数箇所に支持させたガイドプーリ83にわたって一本の無端伝動ベルト84を巻回してある。
すなわち、自走機体のエンジンから唐箕40を駆動するように回転送風体43の回転支軸46に伝達された駆動力を、出力プーリ82によって取り出して伝動ベルト84によって1番スクリュー駆動プーリ23a、2番スクリュー駆動プーリ24a、選別装置駆動プーリ21a、排塵ファン駆動プーリ31aのそれぞれに伝達し、1番スクリュー駆動プーリ23aによって1番スクリューコンベヤ23を駆動し、2番スクリュー駆動プーリ24aによって2番スクリューコンベヤ24を駆動し、選別装置駆動プーリ21aによってクランク機構を介して揺動選別装置21を駆動し、排塵ファン駆動プーリ31aによって排塵ファン31を駆動するようになっている。また、回転送風体43の回転支軸46の駆動力を伝動ベルト84によって細断装置駆動プーリ58に伝達し、この細断装置駆動プーリ58によって排ワラ細断装置50の切断軸53を駆動し、切断軸53の駆動力を伝動ギヤ利用の減速伝動機構85によって減速して供給軸54の端部に伝達してこの供給軸54を駆動するようになっている。さらに、供給軸54によってフィードチェーン駆動スプロケット80を駆動し、このフィードチェーン駆動スプロケット80によって脱穀フィードチェーン1を駆動するようになっている。
【0049】
脱穀機D1,D2,D3のいずれにおいても、選別部構造体28の下部の前後2箇所に、選別部機壁25に切欠きを設けて形成した搭載用の連結部87,88を設け、この前後2箇所の連結部87,88で、コンバイン用の走行機体の機体フレーム90に搭載するようになっている。
【0050】
前記2箇所の連結部87,88のうちの前側の連結部87は、選別部機壁25のうちの唐箕ケース本体41が連結している部位より脱穀機体後方側で、かつ、脱穀部機壁の左右の横側壁16a,16bそれぞれの後端縁66,67、および排出部構造体37の左右の排出部機壁36の前端縁75それぞれの下端の直下より脱穀機体前方側に位置する部位に配置してあり、前側の連結部87に対して機体フレーム90から掛かる脱穀機体荷重の反力が唐箕ケース本体41と選別部機壁25が接合している部位や、脱穀部機壁の左右側壁16a,16bと排出部機壁36が接合している部位に掛かりにくくなっている。
前記2箇所の連結部87,88のうちの後側の連結部88は、選別部機壁25のうちの脱穀部機壁の左右側壁16a,16bの後端縁66,67および排出部機壁36の前端縁75それぞれの直下より機体前方側に位置する部位に配置してあり、後側の連結部88に対して機体フレーム90から掛かる脱穀機体荷重の反力が唐箕ケース本体41と選別部機壁25が接合している部位や、脱穀部機壁の左右側壁16a,16bと排出部機壁36が接合している部位に掛かりにくくなっている。
【0051】
〔別実施形態〕
図22は、別の実施形態を備えたコンバイン用の脱穀機を示し、この脱穀機にあっては、排ワラ細断装置50のカッターケースが排出部構造体37の排出部機壁36との一体部品になった状態にして、排ワラ細断装置50を排出部構造体37に備えてある。
【0052】
図23は、さらに別の実施形態を備えたコンバイン用の脱穀機を示し、この脱穀機にあっては、脱穀機体左側の脱穀排出連結線B1として、脱穀機体右側の脱穀排出連結線B2と同様に鉛直又はほぼ鉛直な連結線に設定した連結線を採用してある。ただし、脱穀機体右側の脱穀排出連結線B2が、扱室11の前記後壁部分11bに近接した部位に位置し、脱穀機体左側の脱穀排出連結線B1が前記下唇板68から脱穀機体後方側に離れた部位に位置するように、左側の脱穀排出連結線B1を右側の脱穀排出連結線B2より脱穀機体後方側に配置してある。
【0053】
また、各構造体における連結フランジどうしを連結するにあたり、上記実施形態の如く連結ボルトによって締め付け連結する他に、溶接によって連結する手段を採用して実施してもよい。
【0054】
図24〜27は、さらに別の実施形態を備えたコンバイン用脱穀機を示し、図24は、低速走行型の2条刈りコンバインを構成する脱穀機D1を示し、図25は、高速走行型の2条刈りコンバインを構成する脱穀機D2aを示し、図26は、低速走行型のコンバインを構成する脱穀機D2bを示し、図27は、高速走行型のコンバインを構成する脱穀機D3を示す。
【0055】
低速型の2条刈りコンバインを構成する脱穀機D1においても、高速型の3条刈りコンバインを構成する脱穀機D3と同様に、唐箕40が脱穀部10の前端より脱穀機体前方に突出しない配置にして各構造体を連結してある
【0056】
また、低速型の3条刈りコンバインを構成する脱穀機D2bと、高速型の2条刈りコンバインを構成する脱穀機D2aを別仕様に構成してある。
すなわち、低速型の3条刈りコンバインを構成する脱穀機D2bは、長さがL2の扱胴12を備えた大型の脱穀部構造体17bと、横幅がW1の揺動選別装置21を備えた小型の選別部構造体28aを組み合わせて連結することによって構成してある。高速型の2条刈りコンバインを構成する脱穀機D2aは、長さがL1の扱胴12を備えた小型の脱穀部構造体17aと、横幅がW2の揺動選別装置21を備えた大型の選別部構造体28bを組み合わせて連結することによって構成してある。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバイン用脱穀機D1の縦断側面図
【図2】コンバイン用脱穀機D2の縦断側面図
【図3】コンバイン用脱穀機D3の縦断側面図
【図4】コンバイン用脱穀機D1の各構造体の連結状態を示す左側面図
【図5】コンバイン用脱穀機D2の各構造体の連結状態を示す左側面図
【図6】コンバイン用脱穀機D3の各構造体の連結状態を示す左側面図
【図7】コンバイン用脱穀機D2,D3の各構造体の連結状態を示す右側面図
【図8】脱穀機の製作要領を示す側面図
【図9】コンバイン用脱穀機D1,D2の各構造体の連結状態を示す正面図
【図10】コンバイン用脱穀機D3の各構造体の連結状態を示す正面図
【図11】駆動構造を示す側面図
【図12】コンバイン用脱穀機D1,D2の脱穀部構造体と選別部構造体の連結構造を示す断面図
【図13】コンバイン用脱穀機D3の脱穀部構造体と選別部構造体の連結構造を示す断面図
【図14】脱穀部機壁と選別部機壁の連結構造を示す断面図
【図15】扱室の開き状態を示す断面図
【図16】排出部構造体と選別部構造体の連結構造を示す断面図
【図17】排出部機壁と選別部機壁の連結構造を示す断面図
【図18】脱穀部構造体と排出部構造体の連結構造を示す断面図
【図19】脱穀部機壁と排出部機壁の連結状態を示す断面図
【図20】唐箕の断面図
【図21】唐箕本体構造体と選別部構造体の連結構造を示す断面図
【図22】別の実施形態を備えた排出部構造体を有する脱穀機の側面図
【図23】別の実施形態の脱穀排出連結線を備えた脱穀機の側面図
【図24】(イ)は、別の実施形態を備えた脱穀機の側面図、(ロ)は、別の実施形態を備えた脱穀機の正面図
【図25】(イ)は、別の実施形態を備えた脱穀機の側面図、(ロ)は、別の実施形態を備えた脱穀機の正面図
【図26】(イ)は、別の実施形態を備えた脱穀機の側面図、(ロ)は、別の実施形態を備えた脱穀機の正面図
【図27】(イ)は、別の実施形態を備えた脱穀機の側面図、(ロ)は、別の実施形態を備えた脱穀機の正面図
【符号の説明】
3 脱穀フィードチェーンガイド
10 脱穀部
11 扱室
12 扱胴
13 受網
14 扱き口
16a,16b 脱穀部の側壁
17 脱穀部構造体
20 選別部
21 揺動選別装置
22 選別室
23 1番コンベヤ
24 2番コンベヤ
25 選別部機壁
28 選別部構造体
30 排出部
31 排塵ファン
32 排ワラ搬出室
36 排出部機壁
37 排出部構造体
40 唐箕
41 唐箕ケース本体
43 回転送風体
45 唐箕本体構造体
61 扱き口側の脱穀部側壁の下端
62 扱き口と反対側の脱穀部側壁の下端
63 脱穀部機壁の連結フランジ
64 選別部機壁の連結フランジ
67 脱穀部機壁の後端縁
75 排出部機壁の前端縁
87,88 連結部
90 機体フレーム
A1,A2 脱穀選別連結線
B1,B2 脱穀排出連結線
C 選別排出連結線
D 唐箕連結線

Claims (2)

  1. 刈取穀稈の穂先側が扱室に供給されて回動する扱胴と、受網によって扱き処理される脱穀部、この脱穀部から脱穀処理物が選別室に落下供給され、その脱穀処理物を揺動選別装置と、唐箕からの選別風によって選別処理し、一番処理物を1番コンベヤによって搬出し、二番処理物を2番コンベヤによって搬出する選別部、前記脱穀部の後方で脱穀排ワラを機体外に搬出する排ワラ搬出室を有するとともに前記選別部からの塵埃を排塵ファンによって機体外に排出する排出部を備えたコンバイン用脱穀機であって、
    前記扱室、扱胴、受網を有した脱穀部構造体の脱穀部機壁と、前記選別室、揺動選別装置、1番コンベヤ、2番コンベヤを有した選別部構造体の選別部機壁の間に、前記脱穀部構造体と前記選別部構造体を各別に作製して連結した脱穀選別連結線を備え、前記脱穀部機壁のうちの扱き口が位置する側とは反対側の横側壁の下端を、扱き口が位置する側の横側壁の下端より高レベルに配置してあるコンバイン用脱穀機。
  2. 前記脱穀部機壁のうちの扱き口が位置する側の横側壁の下端を前記扱胴の下端より低レベルに配置し、前記脱穀部機壁のうちの扱き口が位置する側とは反対側の横側壁の下端を、前記扱胴の下端より高レベルに配置してある請求項1記載のコンバイン用脱穀機。
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