JP4007923B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱したローラ対のニップに、未定着トナー画像を担持した用紙を挿入して、未定着トナーを加熱、溶融し、用紙に定着する定着装置に関する。特に、誘電加熱方式により加熱する定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置においては、ニップを形成するローラ対の少なくとも一方のローラに熱源を内蔵し、この熱源によって加熱されたローラ対のニップに未定着トナー画像を担持した用紙を挿通することによって用紙にトナーを定着する熱ローラ定着方式が広く用いられている。
【0003】
熱ローラ定着方式には、定着ローラに内蔵された励磁コイルによって、定着ローラ自体を発熱させる誘電加熱方式という加熱方法がある。誘電加熱方式では、励磁コイルを内蔵した定着ローラの内側は、加熱された定着ローラからの輻射熱により、非常に高温となる。これにより、励磁コイルの線抵抗が上昇し、励磁コイルの自己損失が大きくなる。また、励磁コイルを構成する巻線の被覆が焼け、短絡が発生するなどの悪影響を及ぼす。さらに、磁界を強めるため、励磁コイルとともに広く用いられているフェライトは、温度により特性が変化するものであり、200°Cを超えると、その高い透磁性能を喪失してしまう。
【0004】
このような定着ローラの内側の温度上昇を改善するために、定着ローラの内周面に断熱塗料を塗布した定着装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−275996号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の定着装置は、断熱塗料を塗布していても、長時間加熱すれば断熱塗料自体が高温となり、断熱塗料からの輻射が発生する。つまり、断熱特性が高い材料を塗布又は貼付等する構造は、輻射対策としては効果が低い。また、断熱塗料の色を白色等とすることによって、この輻射を抑制しようとしているものの、輻射は空気に接する定着ローラ内面の物質の輻射率が大きく関与しているので、その効果が十分であるとは言えない。したがって、定着ローラの内側の温度上昇を十分に改善しているとは言えない。
【0007】
また、断熱塗料の塗膜厚を0.38mmと設定しているが、これでは定着ローラの肉厚が非常に厚くなるため、定着ローラの熱容量が大きく増加してしまう。その結果、加熱効率が悪いために消費電力が多く、ローラ表面が定着可能な温度に達するまでのウォームアップ時間に幾分も必要となるなどといった問題が発生する。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、誘電加熱方式により加熱する定着装置において、定着部材の内側への輻射を低減させて高い加熱効率が得られる構造を提案し、ウォームアップ時間の短縮及び消費電力の低減が可能な定着装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材に当接して用紙を挿通させるニップを形成する加圧部材とを備えた定着装置において、前記定着部材は磁性金属層から構成される定着ローラと、前記定着部材の内部に、前記定着部材の曲率に基づいて形成された断面円弧状の湾曲部と、前記湾曲部の中央部に形成された高透磁部材収納部とを有する支持部材と、前記高透磁部材収納部を囲み、かつ、前記湾曲部に沿うように配置された前記磁性金属層を発熱させる励磁コイルと、前記高透磁部材収納部に配置された高透磁部材とから構成される電磁誘導部とを備え、前記励磁コイルに駆動電流が供給され、磁界が発生することにより、前記励磁コイルが、前記ニップが形成される領域および用紙進入方向側の所定領域のみの前記磁性金属層を加熱するように、前記電磁誘導部を、前記定着部材と前記加圧部材とが当接する箇所の近傍に配置し、前記定着部材の内面に銅またはアルミニウムから構成される低輻射部材層を設けることとした。
【0010】
ここで、「低輻射」とは、「熱輻射率が低い」という意味である。上記の構成によれば、誘電加熱によって加熱された定着部材の、定着部材の内側への輻射を抑制することができる。その結果、定着部材からの不必要な放熱を低減させることができるので、定着装置としての高い加熱効率が得られる。また、定着部材の内側の温度上昇を抑制することができるので、励磁コイルの自己損失等の問題を解消することができる。その結果、高い加熱効率で、安定した定着性を得ることが可能となる。さらに、励磁コイルの巻線の耐熱特性を下げることができ、コイルのコストを低減することが可能となる。
【0011】
また、前記電磁誘導部を、前記定着部材と前記加圧部材とが当接する箇所の近傍に配置することにより、ニップが形成される領域および用紙進入方向側の所定領域のみに磁束が集中することになるので、ニップおよび用紙の進入方向に対するニップの上流側の近傍を加熱することができる。その結果、ニップを通過する磁性金属層は、用紙進入方向側の所定領域において、予備加熱されることとなるので、装置の定着性能をより高めることが可能となる。また、前記低輻射部材層を非磁性金属で構成する場合、この低輻射部材層の発熱と磁性金属層の発熱とが同時に生じる。その結果、一つの励磁コイルで二つの部材を同時に発熱させることができるので、高い加熱効率が得られる。
【0012】
また、支持部材の高透磁部材収納部に高透磁部材を配置することにより、励磁コイルから発生する磁束のほとんどが高透磁部材を通過するようになるので、磁界を強めることができるとともに、磁束の通る場所を限定し易くなる。その結果、定着部材及び加圧部材における発熱箇所をコントロールすることが可能である。また、高透磁部材によってインダクタンスを向上させることができるので、励磁コイルを小型化することができる。
【0013】
また、低輻射部材を銅とすることによって、定着部材の内側への輻射をさらに低減することが可能で、より高い加熱効率が得られる。
【0014】
また、低輻射部材をアルミニウムとすることによって、定着部材の内側への輻射をさらに低減することが可能で、より高い加熱効率が得られる。
【0015】
また、前記低輻射部材層を、前記磁性金属層の内面に密着して設けることとした。
【0016】
この構成によれば、メッキ等によって容易に低輻射部材層を形成することができる。その結果、定着部材の内側への輻射を抑制できる構造を、より簡単に製作することが可能となる。
【0017】
また、前記高透磁部材が、フェライトであることとした。
【0018】
この構成によれば、高透磁部材として広く用いられているフェライトを採用し、簡単な構成で、加熱効率を高めることが可能である。
【0019】
また、前記定着部材の低輻射部材層の内面が平滑であることとした。
【0020】
この構成によれば、定着部材の内面の表面積が小さくなり、定着部材の内面からの輻射をさらに抑制することができる。その結果、定着部材の内側の温度上昇をさらに抑制することが可能であり、定着装置としてより高い加熱効率を得ることが可能である。
【0021】
また、前記低輻射部材層が銅から構成されている場合において、前記銅の層の厚さが、2.0μmから6.0μmの範囲であることとした。
【0022】
このように、銅の層の厚さを限定することによって、さらに高い加熱効率が得られる。その結果、さらに加熱性能が高い定着装置を提供することが可能である。
【0023】
また、前記低輻射部材層がアルミニウムから構成されている場合において、前記アルミニウムの層の厚さが、3.3μmから9.5μmの範囲であることとした。
【0024】
このように、アルミニウムの層の厚さを限定することによって、さらに高い加熱効率が得られる。その結果、さらに加熱性能が高い定着装置を提供することが可能である。
【0025】
また、前記定着部材の内側に設けられた前記低輻射部材層の内面と前記励磁コイルが配置されている前記支持部材との間に、そのいずれからも間隔をあけて、断熱部材を配置することとした。
【0026】
この構成によれば、定着部材の内面からの輻射熱だけでなく、空気対流による熱伝達も防止することができる。その結果、定着部材の内側の温度上昇を抑制する効果、及び定着装置の加熱効率をさらに高めることが可能となる。
【0027】
また、前記定着部材及び加圧部材の両方がローラで構成されることとした。
【0028】
この構成によれば、定着装置を構成する主な部品が、定着ローラ及び加圧ローラのみになるので、構造の簡素化を図ることができ、装置をよりコンパクトにすることが可能である。さらに、部品点数の削減によるコストダウンが可能である。
【0029】
また、前記定着部材及び加圧部材のうち、一方がローラ、他方がベルトで構成されることとした。
【0030】
この構成によれば、定着部材及び加圧部材の両方がローラである場合と比較して、一方にベルトを使用することにより、低熱容量化を図ることができる。また、適切なニップ時間を設定することができる。その結果、定着部材の表面が定着可能な温度に達するまでの時間を、より短くすることが可能である。また、安定した定着性を得ることが可能である。
【0031】
また、前記定着部材及び加圧部材の両方がベルトで構成されることとした。
【0032】
この構成によれば、定着部材及び加圧部材を、さらに低熱容量化させることができる。その結果、定着部材の表面が定着可能な温度に達するまでの時間を、さらに短くすることが可能である。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。
【0038】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る定着装置を示す模型的断面図である。図2は、電磁誘導部を示す部分斜視図である。定着装置1には、定着部10と加圧部20が備えられ、定着部10の定着部材である定着ローラ11内には電磁誘導部30が配置されている。また、用紙が進入してくる箇所には、用紙進入ガイド40が設けられている。
【0039】
定着部10は、定着部材である定着ローラ11で構成される。定着ローラ11は直径が40mmで、厚さ0.5mmの鉄管(STKM:日本工業規格による鋼管の品種)により構成される磁性金属層12がその主体をなす。定着ローラ11の内側には、磁性金属層12の内面に密着する形で低輻射部材層13が設けられている。なお、前述のように、「低輻射」とは、「熱輻射率が低い」ということを意味する。低輻射部材層13が、例えば銅である場合、5μmの厚さのメッキで形成されている。磁性金属層12の外側には、厚さ20μmの離型層14を設け、トナーの離型性を高める。離型層14は、PFA(テトラフルオロエチレン−パー−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素系樹脂が用いられ、吹き付けによるコーティングやチューブを被せることによって設けられる。また、弾性層として、シリコンゴム層を離型層14のすぐ内側に設けてもよい。
【0040】
ここで、低輻射部材層13の内面は、例えば研磨により、鏡面仕上げのように平滑に仕上げられている。これにより、上記のように、低輻射部材層13が銅である場合、その研磨面の輻射率は0.02、また、アルミニウムの場合は0.04となり、非常に小さい輻射率とすることが可能である。ちなみに、断熱効果のある塗料として使用されるアルミペイントの輻射率は0.27であり、銅の約14倍、アルミニウムの約7倍である。このように、低輻射部材層13を銅又はアルミニウムとすることによって、定着ローラ11の内側への輻射をより低減することが可能である。
【0041】
加圧部20は、加圧部材である加圧ローラ21で構成される。定着ローラ11と当接する加圧ローラ21は直径が30mmで、芯金22の外側に、弾性層23を構成するスポンジシリコンゴムが設けられている。その外側には、50μmの厚さのPFAチューブが離型層24として被せられている。この加圧ローラ21が定着ローラ11と当接することで用紙を挿通させるニップを形成する。
【0042】
定着部10及び加圧部20の構成は、定着ローラ11或いは加圧ローラ21の一方をベルトに代えるといった構成でも良い。また、両方ともベルトであるといった構成でも良い。いずれの場合においても、定着部材を、その外側から離型層14、磁性金属層12、低輻射部材層13の順で構成し、後述する励磁コイル31を、定着部材内の、定着部材と加圧部材とが当接する箇所の近傍に配置する。
【0043】
電磁誘電部30は、励磁コイル31、フェライト32、支持部材33で構成される。励磁コイル31は、直径0.1mmのエナメル線300本を寄り合わせたリッツ線が、定着ローラ11の軸線に沿う方向に巻かれたものである。このようにして巻かれた励磁コイル31の内側に、磁界を強めるためのフェライト32が備えられている。支持部材33は、耐熱性樹脂で構成され、フェライト収納部33aと、定着ローラ11の曲率に基づいて形成された湾曲部33bとを備えている。励磁コイル31は、このフェライト収納部33aを囲み、湾曲部33bに沿うように巻かれている。励磁コイル31には、定格電力1500W、周波数20〜50kHzの高周波電源34が接続されている。
【0044】
なお、励磁コイル31を構成するリッツ線は、定着ローラ11の円周に沿う方向に巻いても良い。また、フェライト32は、高い透磁率を有する部材であれば、フェライト以外の部材で代替することが可能である。
【0045】
この電磁誘電部30は、定着ローラ11と加圧ローラ21が当接する箇所に磁束が通るように、その当接箇所に励磁コイル31を近づけて定着ローラ11内に配置されている。
【0046】
また、定着ローラ11の外側で、励磁コイル31の近傍にはサーミスタ15が備えられている。このサーミスタ15により加熱部の温度を検知し、高周波電源34の出力を制御して温度制御を行う。
【0047】
なお、これまでに登場した寸法等の数値は、一つの好適例の例示であり、発明の範囲を限定するものではない。
【0048】
図3は、定着装置による加熱状態を示す模型的断面図である。定着装置1は、次のように加熱動作を行う。
【0049】
励磁コイル31に高周波電流を流すと磁界が発生する。発生した磁界の磁束Mは、そのほとんどが高透磁部材であるフェライト32を通過するので、磁界を強くすることができる。発生した磁束Mが、定着ローラ11の磁性金属層12及び低輻射部材層13を通過する時に、通過領域A及びBにおいて金属に渦電流が流れ、金属の電気抵抗により発熱する。
【0050】
このように、磁束Mが通過して発熱する磁性金属層12の内側に低輻射部材層13を設けてあるので、定着ローラ11の内側への輻射を低減することができる。これにより、定着ローラ11の内側の温度上昇を抑制することができるので、励磁コイル31の自己損失等の問題を解消することが可能である。
【0051】
さらに、低輻射部材層13が銅やアルミニウムのような非磁性金属である場合、通常、誘電加熱方式による加熱が困難な非磁性金属であっても、層の厚さを限定することによって容易に加熱可能となる。したがって、定着部材である定着ローラ11に設けられた磁性金属層12の発熱と低輻射部材層13の発熱とが同時に生じる。その結果、一つの励磁コイル31で二つの金属層を同時に発熱させることができるので、高い加熱効率が得られる。
【0052】
図4は、定着ローラの低輻射部材層を構成する銅の厚さが発熱量に及ぼす影響を示すグラフである。グラフの横軸は、低輻射部材層13を構成する銅の厚さを示し、縦軸は発熱量を示す。磁性金属層12のみを加熱した時の発熱量を1とし、低輻射部材層13単独、磁性金属層12単独、及び双方を総合した発熱量がグラフ化されている。ここでは磁性金属層12に、SUS430を用いている。
【0053】
図4によると、銅の厚さが7.0μm以下である時に、総発熱量が1.0を超えているのが分かる。また、特に、銅の厚さが2.0μmから6.0μmの範囲で総発熱量がピークに近い値に達しているのが分かる。したがって、磁性金属のみを用いて定着ローラ11を製作するよりも、磁性金属層12の内側に、低輻射部材層13を非磁性金属で構成し、これらを組み合わせて用いるほうが加熱効率は向上する。そして、銅の厚さを上記の範囲に設定することによって、加熱効率が10%向上する。このことを考慮に入れ、前記図1に示す定着装置1では、定着ローラ11の低輻射部材層13である銅の厚さを5μmとしている。
【0054】
図5は、低輻射部材層の渦電流負荷と厚さとの関係、及び発熱量への影響を示す表である。表の左側の低輻射部材層条件の欄は、銅の渦電流負荷と層の厚さの関係を示している。表の右側は、磁性金属層のみを加熱した時を1とした場合の、低輻射部材層13、磁性金属層12、及び双方を総合した発熱量を示している。発熱量は、前記図4のグラフを数値化したものである。
【0055】
図5から、総発熱量が1.0以上である高い加熱効率が得られる条件を判断すると、低輻射部材層13の渦電流負荷Rは、2.4×10-3Ω以上、特に2.8×10-3Ωから8.0×10-3Ωの範囲であることが好ましいことが分かる。したがって、低輻射部材層13を構成する非磁性金属の渦電流負荷Rがこの範囲であれば、前述の銅以外の金属でも高い加熱効率が得られることになる。
【0056】
すなわち、低輻射部材層13としてアルミニウムを用いた場合、アルミニウムの電気抵抗率が2.66×10-8Ω・mであるので、これを上記渦電流負荷Rの値で割ると、高い加熱効率が得られる層の厚さは、11.0μm以下、特に3.3μmから9.5μmの範囲であることが好ましいことになる。
【0057】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る定着装置を示す模型的断面図である。定着装置1の基本的な構成は、前記図1に示す第1の実施形態と同じである。定着装置1には、定着部10と加圧部20が備えられ、定着部10の定着部材である定着ローラ11内には電磁誘導部30が配置されている。また、用紙が進入してくる箇所には、用紙進入ガイド40が設けられている。
【0058】
定着部10は、定着部材である定着ローラ11で構成される。定着ローラ11は直径が40mmで、厚さ0.5mmの鉄管により構成される磁性金属層12がその主体をなす。定着ローラ11の内側には、磁性金属層12の内面に密着する形で低輻射部材層13が設けられている。低輻射部材層13が、例えば銅である場合、その厚さは5μmとする。磁性金属層12の外側にはPFAによる離型層14を設け、トナーの離型性を高める。また、弾性層として、シリコンゴム層を離型層14のすぐ内側に設けてもよい。
【0059】
この定着ローラ11の内側であって、定着ローラ11と、後述する励磁コイル31が組み込まれた電磁誘導部30との間に、そのいずれからも間隔をあけて、断熱部材16を配置する。断熱部材16には、耐熱温度が高いフェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)等が使用される。さらに断熱効果を向上させるためには、耐熱性フェルトを使用する。なお、断熱部材16は、電磁誘導部30の支持部材33と一体化して形成しても構わない。
【0060】
加圧部20は、加圧部材である加圧ローラ21で構成される。加圧ローラ21は直径が30mmで、芯金22の外側に、弾性層23を構成するスポンジシリコンゴムが設けられている。その外側には、50μmの厚さのPFAチューブが離型層24として被せられている。
【0061】
ここで、前記第1の実施形態と同様に、上記定着部10及び加圧部20の構成は、両方ともローラ、一方がローラで他方がベルト、両方ともベルト、のいずれの構成であっても良い。
【0062】
電磁誘電部30は、励磁コイル31、フェライト32、支持部材33で構成される。励磁コイル31は、支持部材33に設けられたフェライト収納部33aを囲むように巻かれ、高周波電源34と接続されている。なお、励磁コイル31を構成するリッツ線は、定着ローラ11の円周に沿う方向に巻いても良い。また、フェライト32は、高い透磁率を有する部材であれば、フェライト以外の部材で代替することが可能である。そして、この電磁誘電部30は、定着ローラ11と加圧ローラ21が当接する箇所に磁束が通るように、その当接箇所に励磁コイル31を近づけて定着ローラ11内に配置されている。
【0063】
また、定着ローラ11の外側で、励磁コイル31の近傍にはサーミスタ15が備えられている。このサーミスタ15により加熱部の温度を検知し、高周波電源34の出力を制御して温度制御を行う。
【0064】
このように、定着ローラ11の内側に断熱部材16を配置することによって、定着ローラ11の内面からの輻射熱だけでなく、空気対流による熱伝達も防止することができる。その結果、定着ローラ11の内側の温度上昇を抑制する効果、及び定着装置1の加熱効率をさらに高めることが可能である。
【0065】
上記のように本発明の実施形態を示したが、この他、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明の上記構成によれば、定着部材に、磁性金属層と、この磁性金属層の内面に密着する低輻射部材層とを設けているので、誘電加熱によって加熱された定着部材の、定着部材の内側への輻射を抑制することができる。その結果、定着部材からの不必要な放熱を低減させることができるので、定着装置としての高い加熱効率が得られる。また、定着部材の内側の温度上昇を抑制することができるので、励磁コイルの自己損失等の問題を解消することができる。その結果、高い加熱効率で、安定した定着性を得ることが可能となる。さらに、励磁コイルの巻線の耐熱特性を下げることができ、コイルのコストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る定着装置を示す模型的断面図
【図2】 電磁誘導部を示す部分斜視図
【図3】 定着装置による加熱状態を示す模型的断面図
【図4】 銅の厚さが発熱量に及ぼす影響を示すグラフ
【図5】 低輻射部材層の渦電流負荷と厚さとの関係、及び発熱量への影響を示す表
【図6】 本発明の第2の実施形態に係る定着装置を示す模型的断面図
【符号の説明】
1 定着装置
10 定着部
11 定着ローラ
12 磁性金属層
13 低輻射部材層
16 断熱部材
20 加圧部
21 加圧ローラ
30 電磁誘導部
31 励磁コイル
32 フェライト
Claims (10)
- 用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材に当接して用紙を挿通させるニップを形成する加圧部材とを備えた定着装置において、
前記定着部材は磁性金属層から構成される定着ローラと、
前記定着部材の内部に、前記定着部材の曲率に基づいて形成された断面円弧状の湾曲部と、前記湾曲部の中央部に形成された高透磁部材収納部とを有する支持部材と、前記高透磁部材収納部を囲み、かつ、前記湾曲部に沿うように配置された前記磁性金属層を発熱させる励磁コイルと、前記高透磁部材収納部に配置された高透磁部材とから構成される電磁誘導部とを備え、
前記励磁コイルに駆動電流が供給され、磁界が発生することにより、前記励磁コイルが、前記ニップが形成される領域および用紙進入方向側の所定領域のみの前記磁性金属層を加熱するように、前記電磁誘導部を、前記定着部材と前記加圧部材とが当接する箇所の近傍に配置し、
前記定着部材の内面に銅またはアルミニウムから構成される低輻射部材層を設けることを特徴とする定着装置。 - 前記低輻射部材層を、前記磁性金属層の内面に密着して設けることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記高透磁部材が、フェライトであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 前記定着部材の低輻射部材層の内面が平滑であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記低輻射部材層が銅から構成されている場合において、前記銅の層の厚さが、2.0μmから6.0μmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の定着装置。
- 前記低輻射部材層がアルミニウムから構成されている場合において、前記アルミニウムの層の厚さが、3.3μmから9.5μmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材の内側に設けられた前記低輻射部材層の内面と前記励磁コイルが配置されている前記支持部材との間に、そのいずれからも間隔をあけて、断熱部材を配置することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材及び加圧部材の両方がローラで構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材及び加圧部材のうち、一方がローラ、他方がベルトで構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材及び加圧部材の両方がベルトで構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の定着装置。
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