JP4007658B2 - 透湿フィルム及びそれを用いた吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品の裏面材として使用される、ポリオレフィン系樹脂組成物から形成される通気不透液性の透湿フィルム、及びこれを用いた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
通気性を有し且つ液不透性を有する通気性フィルム(又はシート)は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等における防漏シートとして近年広く使用されている。このような通気性フィルムは、一般に、ポリオレフィン系樹脂に充填剤微粒子を添加し、これらを混練した後、溶融成形してフィルム状となし、次いで一軸又は二軸の延伸加工で多孔化することにより製造されている。このように製造される通気性フィルムにおいては、延伸によりポリオレフィン系樹脂と充填剤微粒子との界面を起点として通気性微細孔(ミクロボイド)が生じ、それにより孔径0.04〜4μm程度の開孔部が形成されている。
しかし、このような通気性フィルムは、延伸したフィルム特有の剛性があるために、シャリシャリした紙のような感じを有し、ソフト感が要求される用途には適さない。
また、ポリオレフィン系樹脂に、無機充填剤微粒子とともに、同種の低融点ポリマー、ゴム状重合物、オレフィン系熱可塑性エラストマー等を添加することにより、柔軟な多孔質シートを製造する方法も提案されたが、得られた多孔質シートの通気性が十分でないのみならず、フィルム強度が劣るという問題がある。
【0003】
かかる問題を解決すべく、ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤微粒子とを用いて形成され、延伸処理された通気性フィルムに、柔軟性を付与するため、種々の提案がなされている。
例えば、特開昭60−257221号公報には、ポリオレフィン系樹脂100重量部、充填剤微粒子25〜400重量部、及び液状又はワックス状の炭化水素重合体あるいは該炭化水素重合体とエポキシ基含有有機化合物との混合物1〜100重量部からなる組成物を溶融押出成形して得られたフィルムを二軸延伸することにより、柔軟性に優れた多孔フィルムを製造する方法が開示されている。
【0004】
また、特開昭62−10141号公報には、ポリオレフィン系樹脂、充填剤微粒子及びトリグリセライドを含有する組成物を溶融成形して得られたフィルム又はシートを延伸加工することを特徴とする多孔性フィルム又はシートの製造方法が開示されている。
また、特開昭62−27438号公報には、ポリオレフィン系樹脂42〜87体積%と無機充填剤微粒子58〜13体積%との組成物から形成されるフィルムを少なくとも一軸方向に延伸して通気性フィルムを製造する方法において、前記ポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン50〜95重量%と分岐状低密度ポリエチレン50〜5重量%との混合物を用い、かつ、前記組成物として炭素数10〜22の脂肪酸と炭素数1〜12の脂肪族アルコールとから得られる脂肪族アルコール系脂肪酸エステルを用い、該エステルを前記組成物100重量部に対して3〜35重量部配合することを特徴とする通気性フィルムの製造方法が開示されている。
【0005】
また、特公昭63−35721号公報には、使い捨ておむつに用いられる、吸収体と重ねて一体成形する液不透過性の防漏シートとして、ポリオレフィン系樹脂100重量部、充填剤微粒子28〜200重量部、及び水酸基末端液状ポリブタジエンに水素添加することにより生成した液状又はワックス状のポリヒドロキシ飽和炭化水素10〜70重量部からなる組成物を混練し、フィルム化した後、少なくとも一方向に1.2倍以上延伸して微細孔を生じさせたフィルムが開示されている。
【0006】
また、特開平9−25372号公報には、線状低密度ポリエチレン55〜80重量部、エチレン−α−オレフィン共重合体5〜30重量部、及び分岐低密度ポリエチレン5〜20重量部からなる樹脂成分100重量部に対し80〜200重量部の炭酸カルシウムを含有する組成物を成形加工してなる透湿性フィルムであって、上記線状低密度ポリエチレンは、エチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合により得られ、その密度が0.905〜0.940g/cm3 、メルトフローレートが0.5〜10g/10min.であり、上記エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合により得られ、その密度が0.850〜0.900g/cm3 、メルトフローレートが0.5〜15g/10min.、DSCのピーク温度が100℃以下、200%伸張時の応力が10〜80kg/cm2 であり、上記分岐低密度ポリエチレンは、エチレンを高圧法で重合させることにより得られ、そのメルトフローレートが0.5〜10g/10min.であり、上記組成物の溶融張力が1.5〜4.0gであることを特徴とする透湿フィルムが開示されている。
【0007】
しかしながら、上述した通気性フィルムは、微細孔を得るために樹脂に微粒の充填剤を混合し、溶融成形して延伸処理したものであり、フィルムの表面は平滑で、外観はプラスチックフィルム特有の光反射があり、この光反射は一般に軽薄感を与え好まれないと共に、皮膚に接触するとべたつくという不快感があり、また、濡れた時に滑るという装着性、脱着性が悪いという問題がある。
【0008】
また、成膜性、延伸性良く得られ、汚染粒子の濾別性能、溶存汚染物質の除去能に優れる微多孔性膜を開発することを目的として、特開平8−117576号公報には、(a)ポリオレフィン15〜70重量%、(b)該ポリオレフィン中に分散されてなる平均粒子径が0.01〜5.0μmの充填剤粒子84〜20重量%、(c)繊維径が30μm以下であり、平均繊維長さが200〜2000μmであるイオン交換繊維1〜10重量%とからなる、特定形態の微多孔性膜が開示されている。
【0009】
しかし、上記微多孔性膜は、上述の通り、汚染粒子等の不純物を除去することが目的である。そして、該不純物の除去は濾過時のイオン交換による吸着により行うため、上記微多孔性膜は、透水性を有することが必須であり、更に通液孔がイオン交換繊維の表面になるべく多く形成していることが必要となる。このように繊維の表面に通液孔が多く存在する微多孔性膜は、気体通過性で且つ液不透過性の膜として用いることは困難であり、また、風合いが悪い。更に、上記微多孔性膜は、その空隙率が高い(20%以上)ため、機械強度が弱い。従って、このような微多孔性膜は、人体に接触するような用途には適さない。
【0010】
更にまた、上述したような従来技術では、単独素材で要求物性を満たすことができず、得られる通気性フィルムに他の素材を貼り合わせて使用することが必要となることが多く、このため必要な素材の種類が増えると共に、二次加工が必要となり、価格が高くなるという問題もある。
【0011】
従って、本発明の目的は、通気性、透湿性及び耐水性を有し、更には、良好な風合い、濡れたときも滑らない性能を有し、且つ、従来の製造工程で工業的に、安全に、且つ、高速で連続生産することのできる透湿フィルム及びそれを用いた吸収性物品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、充填剤微粒子を30〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂組成物から形成される透湿フィルムにおいて、該樹脂組成物に特定の繊維を配合させることにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0013】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、充填剤微粒子を30〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂組成物をフィルム状成形物となし、少なくとも延伸処理工程を含む開孔成形工程を経て通気性微細孔を形成してなる透湿フィルムにおいて、該樹脂組成物が、繊維径が50μm以下で、平均繊維長さが50〜2000μmの繊維を配合されてなることを特徴とする透湿フィルムを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、液透過性の表面材、液不透過性の裏面材、及び該表面材と該裏面材との間に介在する吸収体を備えた吸収性物品において、上記裏面材として上記透湿フィルムを用いたことを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の透湿フィルムについて詳細に説明する。
本発明の透湿フィルムは、充填剤微粒子を30〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂組成物をフィルム状成形物となし、少なくとも延伸処理工程を含む開孔成形工程を経て通気性微細孔を形成してなるものである。
而して、本発明の透湿フィルムは、上記樹脂組成物が、繊維径が50μm以下で、平均繊維長さが50〜2000μmの繊維(以下、「短繊維」という)を配合されてなることを特徴とするものである。かかる短繊維を配合することにより、流動性を呈しないがポリオレフィン系樹脂組成物と一体化して、得られるフィルム状成形物中に延伸され難い微小部分を点在させ、これを延伸して得られる透湿フィルムに一種のミクロな延伸むらをマクロ的には均一に生じさせる。このため、通気性、透湿性及び耐水性を有し、更には、良好な風合い、濡れたときも滑らない性能を有し、且つ、従来の製造工程で工業的に、安全に、且つ、高速で連続生産できる本発明の透湿フィルムを得ることができる。
尚、本明細書において、「ミクロ」とは概ね1〜1000μmの範囲のことを指し、「マクロ」とは概ね1〜20mmの範囲のことを指す。
【0016】
先ず、本発明の透湿フィルムの形成に用いられる上記ポリオレフィン系樹脂組成物について説明する。
上記樹脂組成物に用いられる短繊維は、溶融紡糸又はゲル紡糸等の通常の紡糸法により樹脂を紡糸してフィラメントを成形し、必要に応じ延伸処理して所定の長さにカットしたものが好適である。ここで、上記溶融紡糸により紡糸される樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン−6等のポリアミド、ポリプロピレン等が挙げられ、また、上記ゲル紡糸により紡糸される樹脂としては、レーヨン、超高分子量ポリエチレン等が挙げられる。
【0017】
上記短繊維は、上述の通り、繊維径が50μm以下で、平均繊維長さが50〜2000μmである。該繊維径及び平均繊維長さは、上記樹脂組成物の組成及び得ようとする透湿フィルムの厚さ等に応じ、上記範囲内で適宜選択される。
ここで、上記繊維径が50μmを超えると、フィルム成形時に細孔(ボイド)の起点となって亀裂が進行しフィルム状に成形できないことがある。該繊維径は、また、フィルムの厚さと関連し、得られる透湿フィルムの厚さの80%以下であることが好ましく、60%以下であることが更に好ましい。該繊維径の下限は特に制限されず、1μm以下の極細いのものでもその効果は発揮されるが、経済的に製造されるためには、2〜3μmが下限となる。
また、上記平均繊維長さが2000μmを超えると、フィルム成形性、特に溶融成形におけるフィルム成形性が悪くなり、延伸による微細孔化も不均一になることがある。一方、上記平均繊維長さが50μm未満では、フィルム成形性に悪い影響を及ぼさないが、風合い向上が少ない。上記平均繊維長さは、好ましくは100〜1500μm、更に好ましくは200〜1000μmである。
更に、上記平均繊維長は、上記繊維径と関連するため、上述した繊維径及び平均繊維長の範囲内において、上記短繊維のアスペクト比〔a/b;a=繊維長、b=繊維径〕が、2以上であることが好ましく、5以上であることが更に好ましい。
【0018】
また、上記短繊維としては、上述の樹脂単独(単独繊維)に限らず、サイドバイサイド型、コア−シェル型等の複合繊維も用いられる。充填剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物との親和性からかかる複合樹脂の方が好ましい場合もある。
【0019】
また、上記短繊維の形状は、断面が円形に限らず、楕円形、三角形、扇型等一般に成形されているフィラメント形状のものが好ましい。
【0020】
上記短繊維として特に好ましいものは、ポリエチレンテレフタレートの単独繊維、ナイロン−6の単独繊維、ポリプロピレン単独繊維、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレンのコア−シェル型等からなり、繊維径が3〜40μm、平均繊維長が100〜1500μmのものである。
【0021】
上記短繊維の配合量は、得られるフィルムの表面状態により決定されるが、フィルムの風合い向上の点から、上記樹脂組成物中、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.1〜6.0重量%、最も好ましくは0.5〜4.0重量%である。該短繊維の配合量が0.01重量%未満であると風合い向上の効果が少なく、10重量%を超えるとフィルム成形性が悪くなると共に、得られるフィルムのザラツキが強く風合いが悪くなることがある。
【0022】
本発明に係る上記樹脂組成物に用いられるポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−プロピレン)等が挙げられ、中でも、柔軟性の点から、低密度ポリエチレンが好ましく、更に機械強度の点から、線状低密度ポリエチレンがより好ましい。また、上記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.900〜0.934、メルトインデックスが0.5〜5.0g/10分(190℃、2.16kg荷重)の範囲内のものが、フィルム成形性、フィルム強度及び柔軟性が向上する点で好ましい。
【0023】
本発明に係る上記樹脂組成物に用いられる充填剤微粒子としては、従来の延伸処理による微多孔フィルム成形に用いられる無機充填剤微粒子(例えば、前述の公報及び特開平5−230252号公報等に記載の無機充填剤微粒子)等が用いられ、具体的には、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が好適に用いられる。
また、上記充填剤微粒子として、有機充填剤微粒子を用いることもでき、該有機充填剤微粒子としては、例えば、6−ナイロン等のポリアミド、フッ素樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、アクリル酸等とジビニルベンゼン等の架橋剤との共重合体である架橋樹脂、アクリル酸、メタクリル酸等とアルカリ金属とによる塩を重合したポリマー微粒子等が挙げられる。これらの有機充填剤微粒子は、架橋等により上記樹脂組成物の混練温度、フィルム成形温度で溶融軟化しないか又は軟化しても流動しないものが用いられる。
上記充填剤微粒子の中でも、特に無機充填剤微粒子が好ましく用いられる。
【0024】
上記充填剤微粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜4.0μm、更に好ましくは0.7〜2.0μmである。上記平均粒径が0.5μm未満の場合は、混練の際に均一分散させることが難しく、フィルム状成形物に充填剤微粒子の凝集物が生じやすくなると共に、均一な延伸が困難となり、延伸処理時に破断を起こしやすくなる。一方、上記平均粒径が4.0μmを超える場合は、細孔が大きくなるため、フィルムの耐水性、強度が低下することがある。
【0025】
また、上記充填剤微粒子は、樹脂組成物中での分散性を良くするため、その表面を脂肪酸等で処理したものを用いることが好ましい。尚、このような表面処理をしていない充填剤微粒子を用いる場合には、上記ポリオレフィン系樹脂と混練するときに、脂肪酸等を添加することにより、上記表面処理と同様の効果が得られる。
【0026】
上記充填剤微粒子の含有量は、上記樹脂組成物中、30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%、更に好ましくは45〜65重量%である。該充填剤微粒子の含有量が30重量%未満であると、得られるフィルムの通気性、透湿性が不十分となり、80重量%を超えると、フィルムの耐水性、強度及び成形性が低下する。
【0027】
本発明に係る上記樹脂組成物中においては、上記短繊維、上記ポリオレフィン系樹脂及び上記充填剤微粒子(以上、必須成分)を、80〜99.9重量%、特に90〜99重量%含有し、該必須成分以外の成分(後述する任意成分)を0.1〜20重量%、特に1.0〜10重量%含有していることが好ましい。
【0028】
また、本発明に係る上記樹脂組成物には、通常、可塑剤(柔軟化剤)が用いられる。上記可塑剤としては、例えば、前述の公報及び特開平5−230252号公報等に記載の可塑剤が用いられ、具体的には、脂肪酸とアルコールとのエステル類、脂肪酸アミド、ケトン樹脂、シリコーン油等が好適に用いられる。
また、これらの可塑剤の中には、樹脂に対する可塑化効果のみならず、上記充填剤微粒子を分散させる機能を有しているものもあり、このような可塑剤を用いると、別に分散剤を添加しなくても分散効果が得られるため好ましい。
上記可塑剤の配合量は、上記樹脂組成物中、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは1.0〜10重量%である。該可塑剤の配合量が0.1重量%よりも少ないと実質的に可塑化効果が見られず、20重量%より多くなると得られるフィルムの表面にブリードアウトが生じてべたつき、風合いが悪化し、接着性不良となることがある。
【0029】
また、本発明に係る上記樹脂組成物には、一般に用いられる添加剤、例えば、分散剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤等を必要に応じて用いることもできる。
【0030】
本発明の透湿フィルムは、上述した上記樹脂組成物を、フィルム状成形物となし、少なくとも延伸処理工程を含む開孔成形工程を経て通気性微細孔を形成してなるものである。
ここで、上記フィルム状成形物、上記延伸処理工程、上記開孔成形工程及び上記通気性微細孔については、後述する本発明の透湿フィルムの好ましい製造方法の項において詳述する。
【0031】
次に、本発明の透湿フィルムの好ましい製造方法について詳述する。
本発明の透湿フィルムは、ポリオレフィン系樹脂、充填剤微粒子、短繊維、及び可塑剤並びに必要に応じ他の添加剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を、押出機等により均一に溶融、混練してペレットを製造するペレット製造工程、該ペレットをフィルム状成形物にするフィルム状成形工程、及び該フィルムを一軸又は二軸に延伸処理する延伸処理工程を含む開孔形成工程を経ることによって得ることができる。
【0032】
上記ペレット製造工程においては、上記樹脂組成物を、コーンブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機で混合した後、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロール等の混練機を用いて混練し、ペレット化することにより、ペレットを製造する。
ここで、上記樹脂組成物における上記短繊維は、上記充填剤微粒子等の該短繊維以外の配合物と一緒に混合、混練してもよく、また、上記短繊維以外の配合物を混合、混練し、ペレット化して予備ペレットを得た後、該予備ペレットと該短繊維とを混合、混練してペレット化してペレットを製造してもよい。
特に、上記短繊維を混練するに際し、一次粒子に分散する程度の条件で行われ、該一次粒子が更に切断されて微粒子になるのを少なくする条件で行われることが望ましい。例えば、先ず該短繊維以外の配合物を混練するときには高剪断により行い、次いで該短繊維を添加し、混練するときには比較的低剪断により行うことが望ましい。
【0033】
また、上記フィルム状成形工程においては、上記ペレットを、インフレーション法又はTダイ法によりフィルム状に成形して、フィルム状成形物を得る。フィルム成形法としては、上記インフレーション法又はTダイ法の両成形法が可能であるが、均一な厚みのフィルム状成形物を得るためには、Tダイ法が優れており、一方、大量生産するためには、インフレーション法が優れている。
【0034】
また、上記延伸処理工程においては、上記フィルム状成形物を、通常のロール延伸機、テンター延伸機、マンドレル延伸機等の延伸機を用いて一軸又は二軸に延伸する。特に、ロール延伸機による一軸延伸が生産性の点から好ましい。該ロール延伸機を用いてロール延伸する場合には、予熱ロールでフィルム状成形物を予熱し、延伸ロールで縦方向(MD方向)に一軸延伸後、弛緩させて熱固定を行う。
このようにして上記フィルム状成形物を延伸することにより、充填剤微粒子と樹脂との間に、物理的な通気性微細孔が生じるため、フィルムに通気性及び透湿性が付与されるのである。
上記フィルム状成形物に上記通気性微細孔を生じさせるためには、使用用途にもよるが、少なくとも一方向の延伸倍率が1.2〜5倍の延伸を行うことが好適である。
【0035】
また、上記開孔成形工程には、上記延伸処理工程の前又は後に、必要に応じ薬剤による分解又は抽出処理、熱処理、放電処理等の工程を含むことができる。
【0036】
上記開孔処理工程を経て得られた本発明の透湿フィルムは、上記通気性微細孔を有しており、該通気性微細孔の大きさ(孔径)は、0.1〜5μm、特に0.3〜2μmであることが好ましい。該通気性微細孔の大きさが0.1μmより小さいと通気性、透湿性が悪くなることがあり、5μmより大きいと耐水性に悪影響を与えることがある。
【0037】
更に、本発明の透湿フィルムは、上記開孔成形工程後において、エンボス加工や印刷加工等の後加工を行うこともできる。
上記エンボス加工は、例えば、ゴム製ロール、鋼鉄製ロール、ペーパーロール及びコットンロール等の何れかと、模様が彫られた鋼鉄製ロールとの間にフィルムを通す方法や、一方のロールの凸部分がもう一方のロールの凹部分に対応するように模様が彫られているロール間にフィルムを通す方法等により行われる。また、該エンボス加工は、加熱して行うこともできる。
上記印刷加工は、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の通常フィルム、シートに印刷する方法により行われる。
【0038】
上述のようにして得られる本発明の透湿フィルムは、その厚さ(見かけ厚さ)が10〜100μm、特に20〜80μmとなるように形成されることが好ましい。
また、本発明の透湿フィルムは、その透湿度が0.4〜4.0g/100cm2 ・h、1.0〜3.0g/100cm2 ・hとなるように形成されることが好ましい。
また、本発明の透湿フィルムは、その耐水圧が1000mm・H2 O以上、特に2000〜4000mm・H2 Oとなるように形成されることが好ましい。
また、本発明の透湿フィルムは、MD方向とCD方向との引っ張り強度〔単位:cN/cm〕の比(MD方向/CD方向)が300/100〜1000/500、特に400/150〜800/400となるように形成されることが好ましい。
また、本発明の透湿フィルムは、その引き裂き強度が、10cN以上となるように形成されることが好ましく、更に該フィルムに要求される柔軟性から、10〜150cN、特に15〜100cNとなるように形成されることが一層好ましい。
尚、これらの物性の測定法は、後述の実施例において示す方法が採用される。
【0039】
本発明の透湿フィルムは、柔軟であり、ソフトでドライ感のある(べとつきの無い)良好な風合いを呈するものである。この理由は、以下に述べる通りであると推察される。
即ち、本発明の透湿フィルムに用いられる上記短繊維は、その好ましいアスペクト比が2以上である。上記ペレット製造工程においては、該短繊維を含む樹脂組成物を溶融混練する際には、該短繊維は均一に分散している。しかし、上記フィルム状成形工程においては、押出成形する際のダイリップでのドラフト比(フィルム状成形物の引き取り速度/ダイから押し出されるペレット化された樹脂組成物の線速度)がインフレーション法、Tダイ法共に5〜1000と大きいため、充填剤微粒子を分散した流動性を有する樹脂部分と、流動性を呈しない短繊維部分との間にズレが生じ、ミクロに短繊維(含量)の多い部分と少ない部分とができ、少ない部分はより流動して薄い部分となり、多い部分は流動し難いため、薄くなり難い部分となる。この薄い部分と薄くなり難い部分とがミクロに分散し、且つ、マクロ的には均一なフィルム状成形物が得られる。そして、上記延伸処理工程においては、上記フィルム状成形物を成形する際に生じた、ミクロな短繊維の少ない部分と多い部分とが、前者は延伸され易く、従って更に薄くなり、後者は延伸され難いため、薄くなり難く、微凹凸状を形成し、更にその表面は短繊維が樹脂被膜を覆ったまま盛り上がる。このように、短繊維の超微細な凹凸状と、延伸性の差による微細な凹凸状とが相俟って、柔軟なフィルムであるにも拘わらず、ソフトでドライ感のある(べとつきの無い)良好な風合いを呈する本発明の透湿フィルムが得られる。
【0040】
本発明の透湿フィルムは、上述の如く、充填剤微粒子を30〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂組成物をフィルム状成形物となし、少なくとも延伸処理工程を含む開孔成形工程を経て通気性微細孔を形成してなり、該樹脂組成物が上記短繊維を配合されてなるため、通気性、透湿性及び耐水性を有し、更には、良好な風合い、濡れたときも滑らない性能を有し、且つ、従来の製造工程で工業的に、安全に、且つ、高速で連続生産することのできるものである。
従って、本発明の透湿フィルムは、表面材と裏面材と両材間に介在する吸収体とを具備する使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品における該裏面材、介護用の使い捨てシーツ等の衛生材料や衣料用素材又は雨具や簡易ジャンパ等として有用である。
【0041】
次に、本発明の透湿シートを用いた本発明の吸収性物品の好ましい実施形態を図1を参照して説明する。ここで、図1は本発明の吸収性物品の好ましい一実施形態としての使い捨ておむつを示す斜視図である。
【0042】
図1に示す実施形態の使い捨ておむつ1は、液透過性の表面材2と、液不透過性の裏面材3と、これらの間に介在する吸収体(図示せず)とを備え、腹側ウエスト部5及び背側ウエスト部5’に、上記表面材2と上記裏面材3とこれらの間に介在する第1弾性部材6とから構成されるウエストギャザー7、7’が設けられてなる。上記腹側ウエスト部5及び背側ウエスト部5’は、上記吸収体の前後端部の周囲に位置するように配置されている。
【0043】
上記おむつ1の長手方向両側のレッグ部には、それぞれ上記表面材2と上記裏面材3とこれらの間に介在された第2弾性部材8とからなるレッグギャザー9、9’が形成されている。
【0044】
上記おむつ1の背側ウエスト部5’の幅方向両側部には、該おむつ1の装着時に上記腹側ウエスト部5と背側ウエスト部5’とを止着するためのファスニングテープ10、10’が配設されている。また、上記おむつ1の腹側ウエスト部5における上記裏面材3の表面には、上記ファスニングテープ10、10’の被貼着部としてのランディングテープ11が配設されており、上記ファスニングテープ10、10’が、上記ランディングテープ11に止着するように構成されている。
【0045】
上記吸収体は、おむつの股下部に対応する部分が縊れており、砂時計状に湾曲して形成されている。そして、上記吸収体の周囲に位置する腹側ウエスト部5及び背側ウエスト部5’並びに左右のレッグ部においては、それぞれ第1弾性部材6及び第2弾性部材8が上記表面材2と上記裏面材3との間に張設されており、上記第1弾性部材6及び第2弾性部材8が自由状態で収縮して図4に示すように、ウエストギャザー7、7’及びレッグギャザー9、9’を形成して、着用者のウエスト部及び股下部にフィットし得るように構成されている。
【0046】
上記おむつ1を構成する各部材について説明すると、上記表面材2としては、排泄物を上記吸収体へ透過させる液透過性シートであって、肌着に近い感触を有したものが好ましい。このような液透過性シートとしては、例えば、織布、不織布及び多孔性フィルム等が好ましく挙げられる。また、上記表面材2の周縁にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎水性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エステルのような親水性化合物を全体に塗布し、周縁を温水で洗浄する方法等により、上記表面材2の周縁部に撥水処理を施し、該周縁部における尿等の滲みによる漏れを防止したものも好ましく用いることができる。
【0047】
上記表面材2と上記裏面材3との間に介在する上記吸収体としては、解繊パルプを主材として、更に高分子吸水ポリマーを併用したものや、熱可塑性樹脂、セルロース繊維及び高分子吸水ポリマーの混合物に熱処理を施したもの等を用いることが好ましい。また、高分子吸水ポリマーとパルプとを混合したものを用いてもよい。この場合、上記高分子吸水ポリマーは、吸収体の上層、中層及び下層の何れの位置に存在していてもよい。上記高分子吸水ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収して保持し得る保持性能を有し、ゲル化する性能を有する粒子状のものが好ましい。このような高分子吸水ポリマーとしては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロールの架橋物、アクリル酸(塩)重合体等が好ましく挙げられる。
【0048】
上記ウエストギャザー7、7’用の第1弾性部材6及び上記レッグギャザー9、9’用の第2弾性部材8としては、糸ゴム、平ゴム、フィルムタイプのゴムあるいはフィルム状の発泡ポリウレタン等が好ましく用いられる。
【0049】
而して、図1に示す実施形態の使い捨ておむつ1においては、上記裏面材として上述した本発明の透湿フィルムが用いられている。
上記使い捨ておむつ1は、このように上記裏面材として上述した本発明の透湿フィルムが用いられているため、光反射が全くなく、濡れても滑らず、優れた装着性、脱着性を呈するものである。
【0050】
図1に示す実施形態の使い捨ておむつの製造方法は特に制限されず、従来の使い捨ておむつの製造方法が適宜適用される。
【0051】
以上、本発明の吸収性物品をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく、種々の変更態様を包含するものである。
図1に示す実施形態は展開型の使い捨ておむつであるが、本発明の吸収性物品は、パンツ型の使い捨ておむつにも同様に適用できる。また、本発明の吸収性物品は、使い捨ておむつに限られず、生理用ナプキン及び失禁パッド等にも同様に適用できる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
【0053】
〔実施例1〕
下記の樹脂組成物の調製、フィルム状成形、及び延伸処理に従って得られた透湿フィルムについて、下記の評価基準に従い、(1)〜(8)の各物性を評価した。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0054】
樹脂組成物の調製:
線状低密度ポリエチレン(三井石油化学工業(株)製、ウルトゼックス2520F、MFR2.3g/10分、密度0.925)37.3重量%、表面処理炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、ライトン22S、平均粒径1.0μm)58.4重量%、ポリエステル(トリメチロールプロパン/アジピン酸/ステアリン酸=3.5モル/2.5モル/5.5モルからなるポリエステル、SV=265、AV=1.2、OHV=8.6)4.05重量%、及び短繊維(1)(PET繊維、繊維径7μm、平均繊維長さ800μm)0.25重量%を100Lのヘンシェルミキサーで混合し、次いで径45mmの二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−45−33.5)により、設定温度160℃、スクリュー回転数150rpmの条件で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
【0055】
フィルム状成形:
径50mmの単軸押出機(L/D=28)と径100mmのサーキュラーダイ(ダイリップクリアランス1.0mm)とからなるインフレーション成形設備を用いて、上記樹脂組成物を、フィルム厚さ60μm、折幅380mmの筒状フィルムに成形し、坪量(目付け)80g/m2 のフィルム状成形物を得た。(本発明においては、ミクロな凹凸を有することが狙いであり、フィルム状成形物の厚さでは測定し難い為、以降全て同坪量に調製しながらフィルム状に成形した。)尚、フィルム状成形条件は、設定温度160℃、吐出量25kg/h、ブロー比2.5である。
【0056】
延伸処理:
予熱ロール、延伸ロール、アニーリングロール(ロール径は各々600mm、100mm、600mm、幅は1000mm)からなるロール延伸設備を用い、ロール設定温度を予熱ロール80℃、延伸ロール50℃、アニーリングロール80℃とし、延伸倍率を2.3倍とし、アニーリングで2.1倍に戻すようにして、上記フィルム状成形物に一軸延伸処理を施し、坪量40g/m2 の透湿フィルムを得た。
【0057】
評価基準:
(1)フィルム成形性
目視により次の基準で判定した。
◎:バブルが安定で非常に良好。
○:バブルが安定で良好。
△:バブルが変動するがフィルム成形可能。
×:バブルが裂けてフィルム成形不可。
(2)延伸性
目視により次の基準で判定した。
◎:ミクロな延伸ムラが有り、マクロには均一な延伸。
○:ミクロな延伸ムラが有り、マクロにはやや不均一な延伸。
△:マクロな延伸ムラが有り、不均一な延伸。
×:切断して延伸できず。
(3)透湿度;JIS Z 0208に準拠して測定した。
(4)耐水圧;JIS L 1092Bに準拠して測定した。
(5)引っ張り強度;JIS P 8113に準拠して測定した。MD方向(フィルム成形方向)、CD方向(MD方向と直角方向)の幅1cm当たりの強度である。
(6)引き裂き強度;延伸方向(MD方向)において、JIS P 8116に準拠して測定した。
(7)風合い
指触感触により下記基準に従って評価した。
◎:柔軟でべたつかず、風合いが非常に良好。
○:柔軟でべたつかず、風合いが良好。
△:ややべたつきがあり、風合いがやや悪い。
×:べたつきが大で、風合いが悪い。
(8)外観
肉眼観察により下記基準に従って評価した。
◎:光反射が全くなく、外観は非常に良好。
○:光反射がなく、外観は良好。
△:やや光反射があり、外観はやや悪い。
×:光反射が大いにあり、外観は悪い。
【0058】
〔実施例2〕
実施例1で用いた短繊維(1)に代えて短繊維(2)(PET繊維、繊維径15μm、平均繊維長さ500μm)を0.5重量%用い、また実施例1で用いた表面処理炭酸カルシウムの配合量を58.2重量%、及びポリエステルの配合量を4.0重量%とする以外は、実施例1と同様にして、ペレット化した樹脂組成物を調製し、フィルム状成形、延伸処理して、透湿フィルムを得た。得られた透湿フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0059】
〔実施例3〕
実施例1で用いた短繊維(1)に代えて短繊維(3)〔PET/PE(重量比)=70/30のコア−シェル型、繊維径20μm、平均繊維長さ500μm〕を1.0重量%用い、また実施例1で用いた線状低密度ポリエチレンの配合量を37.0重量%、表面処理炭酸カルシウムの配合量を58.0重量%、及びポリエステルの配合量を4.0重量%とする以外は、実施例1と同様にして、ペレット化した樹脂組成物を調製し、フィルム状成形、延伸処理して、透湿フィルムを得た。得られた透湿フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0060】
〔実施例4〕
実施例1で用いた短繊維(1)に代えて短繊維(4)〔PET繊維、繊維径10μm、平均繊維長さ1500μm〕を0.02重量%用い、また実施例1で用いた線状低密度ポリエチレンの配合量を37.38重量%、表面処理炭酸カルシウムの配合量を58.6重量%、及びポリエステルの配合量を4.0重量%とする以外は、実施例1と同様にして、ペレット化した樹脂組成物を調製し、フィルム状成形、延伸処理して、透湿フィルムを得た。得られた透湿フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0061】
〔比較例1〕
実施例1で用いた線状低密度ポリエチレンの配合量を37.4重量%、表面処理炭酸カルシウムの配合量を58.6重量%、及びポリエステルの配合量を4.0重量%とし、且つ短繊維を用いない以外は、実施例1と同様にして、ペレット化した樹脂組成物を調製し、フィルム状成形、延伸処理して、透湿フィルムを得た。得られた透湿フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0062】
〔比較例2〕
実施例1で用いた線状低密度ポリエチレンの配合量を63.0重量%、表面処理炭酸カルシウムの配合量を22.5重量%、ポリエステルの配合量を2.5重量%、短繊維(1)の配合量を12.0重量%とする以外は、実施例1と同様にして、ペレット化した樹脂組成物を調製し、フィルム状成形、延伸処理して、透湿フィルムを得た。得られた透湿フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
〔実施例5及び比較例3〕
液透過性の表面材、液不透過性の裏面材、該表面材と該裏面材との間に介在する吸収体、及び止着テープ等を備えた図1に示す使い捨ておむつにおいて、該裏面材として、実施例1及び比較例1で得られた透湿フィルムを用いた使い捨ておむつをそれぞれ製造した。(順に実施例5及び比較例3とする)。
その結果、実施例5の使い捨ておむつは、裏面材として従来の透湿フィルムを用いた使い捨ておむつ(比較例3)に比して、ソフトでべたつきが無く、ドライ感を呈し、透湿性と共に優れた感触を有し、着用者に快適な装着感を与えるものであった。また、実施例5の使い捨ておむつは、光反射が全く無く、濡れても滑らず、優れた装着性、脱着性を呈するものであった。これに対し、比較例3の使い捨ておむつは、使用者が好まないプラスチックフィルム特有の光反射があり、また、濡れたときに滑りを生じるものであった。
【0065】
【発明の効果】
本発明の透湿フィルムは、通気性、透湿性、及び耐水性を有し、しかも、良好な風合いを有し、工業的に安全且つ生産性に優れ、高速で連続生産することのできるものである。
また、本発明の吸収性物品は、濡れても滑らない装着性、脱着性に優れると共に、経済的にも有利なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収性物品の好ましい一実施形態としての使い捨ておむつを示す斜視図である。
Claims (5)
- 充填剤微粒子を30〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂組成物をフィルム状成形物となし、少なくとも延伸処理工程を含む開孔成形工程を経て通気性微細孔を形成してなる透湿フィルムにおいて、該樹脂組成物が、繊維径が50μm以下で、平均繊維長さが50〜2000μmの繊維を配合されてなり、該繊維が、ポリエチレンテレフタレートの単独繊維、ナイロン−6の単独繊維、ポリプロピレンの単独繊維、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンのコア−シェル型複合繊維及びポリプロピレン/ポリエチレンのコア−シェル型複合繊維からなる群から選択されることを特徴とする透湿フィルム。
- ポリオレフィン系樹脂が、線状低密度ポリエチレンである、請求項1記載の透湿フィルム。
- 上記繊維の配合量が、0.01〜10重量%である、請求項1又は2記載の透湿フィルム。
- 厚さが10〜100μm、透湿度が0.4〜4.0g/100cm2・h、耐水圧が1000mm・H2O以上である、請求項1〜3の何れかに記載の透湿フィルム。
- 液透過性の表面材、液不透過性の裏面材、及び該表面材と該裏面材との間に介在する吸収体を備えた吸収性物品において、上記裏面材として請求項1〜4の何れかに記載の透湿フィルムを用いたことを特徴とする吸収性物品。
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