JP4007533B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、低温定着性、耐オフホット性、熱保存性、粉砕性に優れた新規静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境への配慮から省エネ機運が高まっており、低エネルギーで定着可能な低音定着タイプのトナーの開発が盛んに行なわれている。これに対応して、低音定着性が良く、しかも熱保存性が比較的良いポリエステル樹脂を用いることが試みられている。しかし、ポリエステル樹脂は樹脂自身の強度が高いため、トナーの粉砕工程において著しく生産性を落とすという欠点を有している。これを改善するために、特開平8−278658号公報、特開平11−52611号公報などでは樹脂成分として水添石油樹脂を含有させることにより、熱保存性・低音定着性を両立しながら、粉砕性に優れたトナーが得られることが記載されている。しかし、耐ホットオフセット性の両立という点では不十分であった。
【0003】
電子写真法における定着方式としては、そのエネルギー効率のよさから、加熱ヒートローラ方式が広く一般に用いられている。しかしこのような方式では、加熱ローラ表面と溶融状態のトナー像とが加圧下で接触するため、オフセット現象を生じやすい。これを防止するために、トナー中にワックスを添加して離型性を付与するという方法が一般的に行なわれている。
【0004】
離型性にはワックスの結着樹脂(メインレジン)中への分散状態が大きく影響している。ワックスは結着樹脂中に相溶してしまうとワックス本来の溶融性を示さなくなり離型性を発現できないため、ドメインとして存在することにより初めて、オフセット性を向上させることができる。従って、混練粉砕法により製造されるトナーの場合、結着樹脂と相溶性の悪いワックスを用いた方が有利である。ドメインの分散径は、ワックスが結着樹脂をはじめとするトナー組成物と共に溶融混練される段階で決定され、二者の相溶性が悪いほどワックスの分散性は悪くなり、分散径も大きくなる。ワックスの分散径が大きいと、トナー粒子表面近傍に存在するワックスの割合が相対的に増加し、定着時の加熱によりトナー表面にしみ出しやすくなるため、耐オフセット性という点では効果的であるが、同時に、粉砕の際にワックス部分がトナー表面に露出しやすくなり、ワックスがキャリアや感光体に移行してフィルミングを生じたり、凝集性を示して流動性が悪化したりして、良好な画質を得るのを妨げるという問題があった。
【0005】
こうした表面に露出するワックスによる悪影響を防止するため、カプセル型構造を有するトナーの提案が行なわれている。カプセルトナーは、結着樹脂からなるシェル層に、ワックスからなるコア層が内包されているため、ワックスが表面に露出することがない。従って、前記フィルミングや凝集性などの問題が少ないが、ワックスが強固なシェル層に覆われているため、定着時にワックスがトナー内部からしみ出すのにエネルギーと時間を必要とし、満足な離型性を得られないことがある。
【0006】
また、低エネルギーで定着可能な低温定着タイプのトナーの開発に対応して、トナーの結着樹脂の低粘度化が一般に行なわれている。しかし、結着樹脂の粘度が低いと、トナー製造時の混練工程において良好な混練のための強い剪断力が加わらず、ワックスをうまく分散できないという問題がある。
【0007】
以上のことより、フィルミングや凝集性を生じることなく、耐オフセット性と低温定着性を満足するトナーを提供するためには、ワックスのトナー粒子中での分散状態のコントロールが必要不可欠であるが、いまだ達成されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術における問題点を解決し、低温定着性と耐オフセット性を両立すると同時に粉砕性にも優れ、多数枚のプリントの後も良好な画質が得られる、静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記課題はトナーを構成する結着樹脂を少なくとも2種類用い、これらとワックスの相溶性をコントロールすることで達成されることを見出した。すなわち、2種類の結着樹脂A、Bを含有し、これらが互いに非相溶で海島構造を形成し、島を構成する樹脂B中にワックスが内包されていることを特徴とする静電荷像現像用トナーによって達成される。このような構成のトナーは、各種トナー組成物のSP値が下記一般式(1)を満たすときに形成される。
【0010】
【数2】
0.8≦|SP(B)−SP(ワックス)|<SP(A)−SP(B)…(1)
すなわち、結着樹脂BとワックスのΔSP値が0.8以上、より好ましくは1.0以上で、それよりもさらに結着樹脂Aと結着樹脂BのΔSP値が大きいときに、島部分にワックスが内包された上記海島構造のトナーが形成される。
【0011】
このときのワックスの最大分散径は1.0μm以上であることが望ましい。ここでの分散径とはワックスの長軸径の長さを指す。1.0μmより小さいと、トナー表面近傍にワックスの存在する確率が小さくなり、離型効果が充分に得られない。1.0μmより大きいと、トナー表面近傍にワックスの存在する確率が大きくなり、充分な離型効果が得られる。しかし、ワックスの分散径が大きすぎると流動性が低下したり、フィルミングが起きやすくなったりすることがしばしば懸念されるが、本発明のトナーの場合、ワックスがサブレジンに覆われていてトナー表面に直接露出することがないので、これらを防止できる。
【0012】
ここで、結着樹脂Aと結着樹脂Bの重量比A/Bは1〜50、好ましくは2〜20で、結着樹脂Aがメインレジンとして海の部分を構成し、結着樹脂Bがサブレジンとして島の部分を構成する。同様に、適度に強固かつ破壊可能なシェル中のワックスコア形成のための結着樹脂Bとワックスの重量比B/ワックスは1〜50、好ましくは2〜20で、上記島の中でさらに、結着樹脂Bが海の部分を構成し、ワックスがサブレジンとして島の部分を構成する。
【0013】
つまり、これらのトナー組成物が互いに相溶しないという条件下においては、ワックスは結着樹脂B中に選択的に取りこまれ、ドメインを形成する。さらに、結着樹脂A中に結着樹脂Bがドメインとして分散される。より大きなドメインとして存在させるために、一般式(1)の左辺は大きいほどよい。その結果、結着樹脂Aからなる海の部分と、ワックスを内包した結着樹脂Bからなる島の部分ができ、海島構造を形成する。ワックスは結着樹脂Bにより適度に覆われているため、トナー粒子中で部分的なカプセル構造を有しており、大きなドメインとしてトナー粒子の表面近傍に存在しながら、直接露出するのを防ぐことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体が挙げられる。
【0015】
また、下記の樹脂を混合して使用することができる。
ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
【0016】
また、特に圧力定着用に好適な結着樹脂としては下記のものを挙げることができ、混合して使用できる。ポリオレフィン(低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、酸化ポリエチレンポリ4弗化エチレンなど)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体(モノマー比5〜30:95〜70)、オレフィン共重合体(エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂)、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、マレイン酸変性フェノール樹脂、フェノール変性テルペン樹脂。これらの樹脂は単独使用に限らず、二種以上併用することもできる。また、これらの製造法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれも利用できる。ここで、メインレジンのガラス転位温度Tgは、熱保存性の関係から57℃以上が好ましい。より好ましくは60℃以上である。57℃より小さいと、保存時にトナーのブロッキングが起きやすくなる。
【0017】
さらに前記樹脂の中でも、特に低温定着性を有するポリエステル樹脂が好ましい。本発明で用いられるポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって得られる。使用されるアルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0018】
本発明において、サブレジンとして使用可能な樹脂としては、使用されるメインレジンとの溶解度パラメーター差(ΔSP値)がワックスとのΔSP値より大きく、互いに非相溶であれば、例えば次のようなものが使用できるが、これらに限定はされない。ΔSP値が0.8以下であると、サブレジンとメインレジンが互いに相溶してしまい、ワックスの部分のカプセル構造を形成できなくなる。
ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、スチレン/クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/塩化ビニル共重合体、スチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体(スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体(スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/α-クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単独重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン/酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン/エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等、石油系樹脂、水素添加された石油系樹脂。これらの樹脂は単独使用に限らず、二種以上併用することもできる。また、これらの製造法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれも利用できる。
【0019】
また、本発明においてトナーに使用される離型剤としては、使用されるサブレジンとの溶解度パラメーター差(ΔSP値)が0.8以上で互いに非相溶であれば、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等、従来公知の全ての離型剤を使用できる。特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。使用するワックスの融点は75℃以上であることが好ましい。75℃より小さいと、充分な耐オフセット性が得られない。これらの離型剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。
【0020】
本発明のトナーは、必要に応じて着色剤、帯電制御剤、流動性改良剤、磁性材料などを配合することも可能である。
着色剤としては、例えばカーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料等の染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用し得、ブラックトナーとしてもフルカラートナーとしても使用できる。これらの着色剤の使用量はトナー樹脂成分に対して、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。
【0021】
帯電制御剤としては、ニグロシン染料、金属錯塩型染料、第四級アンモニウム塩等の従来公知のいかなる極性制御剤をも、単独あるいは混合して使用できる。これらの極性制御剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0022】
流動性改良剤としては、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等、従来公知のいかなる流動性改良剤をも単独あるいは混合して使用できる。これらの流動性改良剤の使用量は、トナー重量に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0023】
磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物などが挙げられる。
【0024】
本発明のトナーは、一成分現像剤あるいは二成分現像剤のいずれにも使用できる。二成分現像剤として使用する場合に用いられるキャリアとしては、公知のものがすべて使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの表面を樹脂などで処理したものなどが挙げられる。
【0025】
本発明におけるキャリアにコーティングし得る樹脂粉末としては、スチレン−アクリル共重合体、シリコーン樹脂、マレイン酸樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等がある。スチレン−アクリル共重合体の場合は、30〜90重量%のスチレン分を有するものが好ましい。この場合スチレン分が30重量%未満だと現像特性が低く、90重量%を越えるとコーティング膜が硬くなって剥離しやすくなり、キャリアの寿命が短くなるからである。
また、本発明におけるキャリアの樹脂コーティングは、上記樹脂の他に接着付与剤、硬化剤、潤滑剤、導電剤、荷電制御剤等を含有してもよい。
【0026】
本発明でいう溶解度パラメータSP値(δ)は、以下の求め方により求められるが、これらに限定されない。
SP値は、凝集エネルギー密度の関数として次の式で定義されている。
【0027】
【数3】
δ=(△E/V)1/2 …(1)
△E:分子間凝集エネルギー(蒸発熱)
V:混合液の全体積
△E/V:凝集エネルギー密度
また、SP値を用いて、混合による熱量変化△Hmは次の式で示される。
【0028】
【数4】
△Hm=V(δ1−δ2)・Φ1・Φ2 …(2)
δ1:溶媒のSP値
δ2:溶質のSP値
Φ1:溶媒の体積分率
Φ2:溶質の体積分率
上記式(数2)より、δ1、δ2の値が近いほど、△Hmは小さくなり、Gibbsの自由エネルギーが小さくなるので、SP値の差が小さいもの同士は親和性が高くなるものと考えられる。実際にSP値を求める方法としては、SP値が既知の各種溶剤との樹脂の溶解性を比較することで、最も良く相溶する溶剤のSP値から未知の樹脂のSP値を設定した。
【0029】
また、その他SP値の求め方としては、樹脂のモノマー組成が判明している場合には、以下のFedorらの方法を用いて計算できる。
【0030】
【数5】
SP値=(Σ△ei/Σ△vi)1/2
△ei=原子または原子団の蒸発エネルギー
△vi=電子または原子団のモル体積
本発明では、主にモノマー組成から計算により求めた値を用いた。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。詳細な結果については表1、表2に示す。
なお、ポリエステル樹脂、スチレン/アクリル共重合体のSP値は、構成モノマーの成分の組成を変えることによって変化させた。
【0032】
(実施例1)
ポリエステル樹脂(1) 85部
(SP値:10.1、モノマー:ビスフェノールAのPO/EO付加物、テレフタル酸/トリメリット酸、Tg:64℃)
スチレン/アクリル共重合体(1) 15部
(SP値:9.1、モノマー:スチレン、アクリル酸メチル)
酸化ワックス(SP値:9.2、融点:78℃) 5部
カーボンブラック(三菱カーボン社製#44) 10部
サリチル酸金属塩化合物 2部
上記組成の混合物をヘンシェルミキサーで十分攪拌混合した後、ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後、得られた混練物をジェットミルで粉砕分級し、体積平均粒径7.5μmの粒径のトナーを得た。添加剤(R972日本アエロジル社製)をトナー100部に対して0.5部添加し、ヘンシェルミキサーで攪拌混合後、メッシュを通して大粒径の粒子を削除し最終トナーを得た。TEMによりトナー断面観察を行なったところ、ポリエステルの海部分に、スチレン/アクリルとワックスの島が分散しており、島の最大の分散径は1.1μmであった。このトナーを模式図で表わすと図1(a)のようであった。このときのポリエステルとスチレン/アクリルのΔSP値は1.0、スチレン/アクリルとワックスのΔSP値は0.1であった。
【0033】
(実施例2)
ポリエステル樹脂(1) 85部
(SP値:10.1、モノマー:ビスフェノールAのPO/EO付加物、テレフタル酸/トリメリット酸、Tg:64℃)
スチレン/アクリル共重合体(1) 15部
(SP値:9.1、モノマー:スチレン、アクリル酸メチル)
パラフィンワックス(1)(SP値:8.2、融点:77℃) 5部
カーボンブラック(三菱カーボン社製#44) 10部
サリチル酸金属塩化合物 2部
上記組成の混合物をヘンシェルミキサーで十分攪拌混合した後、ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後、得られた混練物をジェットミルで粉砕分級し、体積平均粒径7.5μmの粒径のトナーを得た。添加剤(R972日本アエロジル社製)をトナー100部に対して0.5部添加し、ヘンシェルミキサーで攪拌混合後、メッシュを通して大粒径の粒子を削除し最終トナーを得た。TEMによりトナー断面観察を行なったところ、ポリエステルの海部分に、ワックスを内包したスチレン/アクリルの島が分散しており、ワックスの最大の分散径は1.2μmであった。このトナーを模式図で表わすと図2(a)、TEM写真は図2(b)のようであった。このときのポリエステルとスチレン/アクリルのΔSP値は1.0、スチレンアクリルとワックスのΔSP値は0.9であった。
【0034】
(実施例3)
ポリエステル樹脂(2) 85部
(SP値:10.8、モノマー:ビスフェノールAのPO/EO付加物、フマル酸/トリメリット酸、Tg:62℃)
スチレン/アクリル共重合体(1) 15部
(SP値:9.1、モノマー:スチレン、アクリル酸メチル)
パラフィンワックス(1)(SP値:8.2、融点:77℃) 5部
カーボンブラック(三菱カーボン社製#44) 10部
サリチル酸金属塩化合物 2部
SP値の異なるポリエステル樹脂を用いたこと以外は、実施例2と同じトナーを得た。TEMによりトナー断面観察を行なったところ、ポリエステルの海部分に、ワックスを内包したスチレン/アクリルの島が分散してしており、最大のワックスの分散径は1.8μmであった。このトナーを模式図で表わすと図1(a)のようであった。このときのポリエステルとスチレン/アクリルのΔSP値は1.7、スチレン/アクリルとワックスのΔSP値は0.9であった。
【0035】
(実施例4)
ポリエステル樹脂(3) 85部
(SP値:11.0、モノマー:ビスフェノールAのPO/EO付加物、フマル酸/ トリメリット酸、Tg:56℃)
スチレン/アクリル共重合体(1) 15部
(SP値:9.1、モノマー:スチレン、アクリル酸メチル)
パラフィンワックス(2)(SP値:8.2、融点72℃) 5部
カーボンブラック(三菱カーボン社製#44) 10部
サリチル酸金属塩化合物 2部
構成は同じだが、Tgの異なるポリエステルとパラフィンワックスを用いたこと以外は、実施例3と同じトナーを得た。TEMによりトナー断面観察を行なったところ、ポリエステルの海部分に、ワックスを内包したスチレン/アクリルの島が分散しており、最大のワックスの分散径は2.0μmであった。このトナーを模式図で表わすと図2(a)のようであった。このときのポリエステルとスチレン/アクリルのΔSP値は1.9、スチレン/アクリルとワックスのΔSP値は0.9であった。
【0036】
(比較例1)
ポリエステル樹脂(1) 85部
(SP値:10.1、モノマー:ビスフェノールAのPO/EO付加物、テレフタル酸/トリメリット酸、Tg:64℃)
スチレン/アクリル共重合体(2) 15部
(SP値:9.4、モノマー:スチレン、アクリルニトリル)
パラフィンワックス(1)(SP値:8.2、融点:77℃) 5部
カーボンブラック(三菱カーボン社製#44) 10部
サリチル酸金属塩化合物 2部
SP値の異なるスチレン/アクリル共重合体を用いたこと以外は、実施例2と同じトナーを得た。TEMによりトナー断面観察を行なったところ、ポリエステルとスチレン/アクリルが互いに相溶して海部分を構成し、ワックス単独の島が分散しており、最大のワックスの分散径は1.4μmであった。このトナーを模式図で表わすと図3(a)、TEM写真は図3(b)のようであった。このときのポリエステルとスチレン/アクリルのΔSP値は0.7、スチレン/アクリルとワックスのΔSP値は1.2であった。
【0037】
(比較例2)
ポリエステル樹脂(1) 85部
(SP値:10.1、モノマー:ビスフェノールAのPO/EO付加物、テレフタル酸/トリメリット酸、Tg:64℃)
スチレン/アクリル共重合体(2) 15部
(SP値:9.4、モノマー:スチレン、アクリルニトリル)
カルナウバワックス(SP値:8.7、融点83℃) 5部
カーボンブラック(三菱カーボン社製#44) 10部
サリチル酸金属塩化合物 2部
SP値の異なるワックスを用いたこと以外は、比較例1と同じトナーを得た。TEMによりトナー断面観察を行なったところ、ポリエステル、スチレン/アクリル、ワックスのすべてが相溶して単一の相を形成しており、ワックスのドメインは観察されなかった。このトナーを模式図で表わすと図4(a)、TEM写真は図4(b)のようであった。このときのポリエステルとスチレン/アクリルのΔSP値は0.7、スチレン/アクリルとワックスのΔSP値は0.7であった。
【0038】
(比較例3)
ポリエステル樹脂(1) 40部
(SP値:10.1、モノマー:ビスフェノールAのPO/EO付加物、テレフタル酸/トリメリット酸、Tg:64℃)
スチレン/アクリル共重合体(1) 60部
(SP値:9.1、モノマー:スチレン、アクリル酸メチル)
パラフィンワックス(1)(SP値:8.2、融点77℃) 5部
カーボンブラック(三菱カーボン社製#44) 10部
サリチル酸金属塩化合物 2部
ポリエステル樹脂を40部、スチレン/アクリル共重合体を60部含有すること以外は、実施例2と同じトナーを得た。TEMによりトナー断面観察を行なったところ、メインレジンとサブレジンが逆転し、スチレン/アクリルの海部分に、ポリエステルの島とワックスの島がそれぞれ分散してしていた。最大のワックスの分散径は1.0μmであった。このトナーを模式図で表わすと図5(a)、TEM写真は図5(b)のようであった。このときのポリエステルとスチレン/アクリルのΔSP値は1.0、スチレン/アクリルとワックスのΔSP値は0.9であった。
【0039】
【表1】
Figure 0004007533
【0040】
【表2】
Figure 0004007533
【0041】
評価方法
(ワックスの分散状態の観察)
トナー粒子を約100μmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率10000倍で観察を行ない、写真撮影した。この写真を画像評価することにより、ワックスの分散状態を観察し分散径等を測定した。
【0042】
(定着性評価)
定着ローラーとしてテフロンローラーを使用した(株)リコー製複写機 MF−200の定着部を改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし、複写テストを行なった。定着温度を変えて高温オフセット発生温度を以下のように求めた。
Figure 0004007533
【0043】
(フィルミング評価)
感光体上に発生したフィルミングについて、感光体上を目視してその状況により、以下の3段階で評価した。
(良) ○:観察されない、△:わずかに観察される、×:観察される (悪)
【0044】
(耐熱保存性評価)
トナー試料20gを20mlのガラス瓶に入れ、50回程度ガラス瓶をタッピングし試料を密に固めた後、50℃の高温槽に24時間放置し、その後針入度試験機を用いて針入度を以下のように求めた。
Figure 0004007533
【0045】
(粉砕性)
平均粒径1mm以下に破砕されているトナーを、日本ニューマチック社製のIDS型粉砕器で一定条件下に粉砕した時の単位時間当たりの処理量により求め、判定基準により評価した。
(良)○:3kg以上、△:3〜2kg、×:2kg未満(悪)
【0046】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明のトナーを構成する結着樹脂を少なくとも2種類用い、これらとワックスの相溶性をコントロールすることにより、ワックスがトナー粒子中で樹脂に内包されて部分的なカプセル構造を形成する。よって、ワックスがトナー粒子の表面近傍に存在しながら、直接露出するのを防ぐことができる。これにより、低温定着性と耐オフセット性を両立し、多数枚のプリントの後も良好な画質が得られる、静電荷像現像用トナーを提供することができるという極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるトナーの模式図及びTEM写真による断面観察を示した図である。
【図2】本発明における別のトナーの模式図及び別のTEM写真による断面観察を示した図である。
【図3】本発明における別のトナーの模式図及び別のTEM写真による断面観察を示した図である。
【図4】本発明における別のトナーの模式図及び別のTEM写真による断面観察を示した図である。
【図5】本発明における別のトナーの模式図及び別のTEM写真による断面観察を示した図である。
【符号の説明】
1 結着樹脂A
2 結着樹脂B
3 ワックス

Claims (4)

  1. 2種類の結着樹脂ポリエステル樹脂Aとスチレン/アクリル共重合体Bとワックスを含有し、該ワックスの最大分散径が1μm以上2.0μm以下であり、前記ポリエステル樹脂Aとスチレン/アクリル共重合体BとワックスのSP値が下記一般式(1)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    【数1】
    0.8≦|SP(B)−SP(ワックス)|<SP(A)−SP(B)…(1)
  2. 前記ワックスを1〜10部含有し、上記結着樹脂Bとの重量比(B/ワックス)が1〜50で、前記結着樹脂Aと結着樹脂Bの重量比(A/B)が1〜50であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記結着樹脂Aのガラス転移温度が、57℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記ワックスの融点が75℃以上であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1に記載の静電荷像現像用トナー。
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