JP4306398B2 - 電子写真用トナー、その製造方法、画像形成方法及び電子写真用現像剤 - Google Patents
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Description
すなわち小型化のために消費電力を低下させると、トナーを溶融させる熱量は下がらざるをえないため、高速化は困難である。現在トナーを紙に定着させる手段としては、少なくとも一方を加熱した一対のロール間を未定着画像を通過させる熱ロール定着法が最も一般的に用いられている。しかしながら、前述の高速化と小型化の両立は十分とはいえない。
この理由は、カラートナーの中でとりわけシアン、イエロー、マゼンタトナーを用い、鮮明なカラーの多色像を得る必要があるフルカラーのシステムでは、それぞれのトナー層を充分に熱溶融させることで混色性、発色性、透明性等モノクロにない特性付与する必要があり、このため熱ロールの定着温度を、モノクロトナーを紙に定着させる温度以上に充分に上昇させ、トナーの粘度を下げなければならず、その場合高温領域において、オフセットが発生しやすくなるためである。
そのため定着ロールに巻きつきを起こさないように定着像支持体を強制的に剥離させるための剥離フィンガー等を設けることが必要で、十分な発色性を得るために定着温度を上げると、定着像が該剥離フィンガーと接触し画質が低下しやすくなり、逆に定着温度を下げると、たとえば低画像濃度部(以下、「ハーフトーン部」ともいう。)の孤立したトナーに定着ロールからの伝熱が不十分になるため、トナーの溶融性が低下し、十分な定着強度を発現できず、定着像を軽く擦っただけで画像周辺を汚してしまう欠点がある。
また例えば特許文献2には、記載の無機微粒子をトナー中に添加し凝集力を増強することで、定着性を向上することができる旨の記載あるが、その場合トナーの溶融粘度が高くなり、該ハーフトーン部のトナーの定着性が低下するという問題が生じている。
すなわち本発明の目的は、フルカラートナーの定着ロールからの剥離性向上、ハーフトーン部を含めたトナーの紙への定着強度向上、OHPシートでの発色性及び透明性向上等の定着性全般と、トナー粒子の長期保存性、定着像同士の長期保存での融着防止に対し優れた効果との両立である。
すなわち、本発明の上記課題は以下の手段により達成された。
(1)少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含有してなる電子写真用トナーであって、該離型剤は酸価が5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、けん化価が10mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であり、かつ融点が60℃以上130℃以下のワックス成分A及び酸価が0mgKOH/g以上3mgKOH/g以下であり、けん化価が0mgKOH/g以上5mgKOH/g以下であり、かつ融点60℃以上130℃以下のワックス成分Bを含有し、かつトナー中の該ワックス成分Aの含有量をWA、該ワックス成分Bの含有量をWBとしたとき、4≦WB/WA≦7であり、かつ該トナーが無機微粒子を含有することを特徴とする電子写真用トナー、
(2)結着樹脂を溶解可能な有機溶媒中に結着樹脂、着色剤、無機微粒子及び離型剤を混合して油性成分を調製する工程、水性媒体中に該油性成分を懸濁させ微粒化する工程、及び該懸濁物から溶剤を除去する工程を有するトナーの製造方法であって、該離型剤として、酸価が5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、けん化価が10mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であり、かつ融点が60℃以上130℃以下のワックス成分A及び酸価が0mgKOH/g以上3mgKOH/g以下であり、けん化価が0mgKOH/g以上5mgKOH/g以下であり、かつ融点60℃以上130℃以下のワックス成分Bが混合され、該ワックス成分Aの添加量をWA、該ワックス成分Bの添加量をWBとしたとき、4≦WB/WA≦7であることを特徴とするトナーの製造方法、
(3)(1)記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法、
(4)(1)記載のトナー及びキャリアーを含有することを特徴とする電子写真用現像剤。
本発明のトナーは、カラートナーが本来有する高温における耐ホットオフセット性の低下を無機微粒子を添加することによって、トナーの粘度を上げ、同時にワックスを添加することにより改善し、同時に性質の異なる2種のワックスを添加することで、定着画像内に残留するワックスドメインによるOHPの透明性及び発色性の悪化と、ワックスによる溶融むらを防止することを特徴とする。
(ワックス)
本発明に離型剤としてワックス成分A及びワックス成分Bを併用する。ワックス成分Aとしては、酸価が5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、けん化価が10mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であり、かつ融点が60℃以上130℃以下のものを用いることができる。
ワックスの酸価およびけん化価は、JIS K0070に記載した方法を用いて測定した。ワックスの融点は、示差走査熱量計を用いて測定した。具体的な測定条件は、実施例に説明する。
上記のような特性を有するワックス成分Aは、極性基を有するために結着樹脂に分散しやすく、また一般に分子量がそろっているために融点付近での溶解が早い。そのため、定着時に定着画像表面に浸み出しやすく、定着画像内には残留しにくい。一方で極性基を有するために結着樹脂と相溶しやすく、樹脂の粘度を低下させやすい。また定着画像表面に浸み出したワックスが溶融むらを生じさせやすい。
ワックス成分Aとしてはカルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、シュガーワックス、パーム蝋等の植物系ワックス、蜜蝋等の動物系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックスなどが挙げられる。この中でも適度な分散性を持ち、定着画像の透明性と、相溶性とのバランスがよいという点でカルナウバワックスが好ましく用いられる。
ワックス成分Bとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、酸価パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、ポリオレフィンワックス、酸価ポリオレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックスなどがあげられる。
WB/WAが4未満の場合、ワックス成分Aが多くなることを意味し、ワックスと結着樹脂との相溶化の効果が大きく、トナーの保存性を悪化させ、定着画像のワックス溶融むらを生じやすくなる。
またWB/WAが7を超える場合、ワックス成分Bが多くなることを意味し、ワックスのドメインが大きくなり、定着時に定着画像内部にワックスが残留し、OHPの透明性等を悪化させる。
WB/WAのより好ましい範囲としては、3.5≦WB/WA≦6.5、さらに好ましい範囲としては、4≦WB/WA≦6である。これらの範囲は、トナー内におけるワックスの適度な分散と、トナーの保存性を制御できる点で好ましい。
ワックス成分A及びBの総量のトナーへの添加量は、トナー100重量部に対し、好ましくは3重量部以上20重量部以下であり、より好ましくは、5重量部以上10重量部以下である。
結着樹脂としては、公知の定着用樹脂を用いることができ、具体的にはアルコール成分とカルボン酸成分との縮合重合によって得られるポリエステルが好ましい。
前記ポリエステルのアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド、ビスフェノールAプロピレンオキサイド、ソルビトール、グリセリンなどの2価以上のアルコールおよびアルコール誘導体を挙げることができる。
前記ポリエステルのカルボン酸成分としては、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンジカルボン酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水マレイン、酸ドデセニル無水コハク酸などの2価以上のカルボン酸、カルボン酸誘導体や無水カルボン酸などが挙げられる。
アルコール成分およびカルボン酸成分をそれぞれ2種類以上、組み合せて重合縮合してもかまわない。
本発明に使用する着色剤としては、公知の有機、又は、無機の顔料を使用することができる。たとえば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン、ベンズイミダゾロン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料、カーミンレーキ顔料などが挙げられる。
なお、本発明においては、磁性一成分トナーとして、黒色着色剤の全部又は一部を磁性粉で置き換えることができる。磁性粉としては、マグネタイト、フェライト、又はコバルト、鉄、ニッケル等の金属単体又はその合金を用いることができる。これらの着色剤は、樹脂100重量部に対して1〜50重量部程度の割合で加え、好ましくは2〜20重量部が適切である。
顔料の分散状態を安定に保つため、着色剤分散媒、ないし顔料分散剤を添加することが好ましい。顔料分散剤としては、具体的には、EFKA47、EFKA4009、EFKA4010(変性ポリウレタン:EFKA CHEMICALS社製)、アジスパーPB711、アジスパーPB411、アジスパーPA111(味の素(株)製)、ディスパロンDA−703−50、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725、ディスパロンDA−400N(ポリエステル:楠本化成(株)製)などが挙げられる。
また顔料と顔料分散剤をより強固な結合としてより安定に分散するために、顔料誘導体等を添加したり、顔料の表面処理を行ったものを分散することが好ましい。顔料誘導体としては具体的には、ジメチルアミノエチルキナクリドン、ジヒドロキナクリドン、アントラキノンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのカルボン酸誘導体、ソルスパース5000、ソルスパース12000、ソルスパース22000(ゼネカ社製)、EFKA−745、LP6750(EFKA Chemicals社製)などが挙げられる。また顔料の表面処理剤としては、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジン等の天然ロジン、アビエチン酸、レボピマル酸、デキストロピマル酸等のアビエチン酸誘導体とそれらのカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などの金属塩、ロジン・マレイン酸樹脂、ロジン・フェノール樹脂等が挙げられる。顔料誘導体及び/又は顔料表面処理剤の添加量は、顔料に対して0.1〜100重量%が好ましく、0.1〜10重量%の範囲が特に好ましい。
本発明における無機微粒子は、結着樹脂中において分散することで、特に高温度側の粘度を増加させることにより高温度側のオフセットを防止することができる。結着樹脂中に分散させることにより、結着樹脂分子間に擬似的な配列を生じることができるため、この配列を破壊するためにはより高温で、結着樹脂分子の運動を増加させる必要があり、結果的に粘度が上昇するためと考えられる。
前記無機微粒子の具体例としては、例えば炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、硫酸バリウムなどの金属塩、酸化けい素、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、などの金属酸化物、セラミック等が挙げられ、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。無機酸化物微粒子は本発明で好ましく使用できる。
なかでも発色性、OHP透過性を良好にするため、酸化けい素などの結着樹脂との屈折率差が小さい無機微粒子が好ましい。疎水性酸化けい素微粒子は極性ワックス(ワックス成分A)との親和性が高く、少量のワックス成分Aの添加により凝集が防止できる。
これらは1種単独で用いても2種以上を同時に用いても良い。
本発明においては帯電制御剤を用いてもよく、従来現像剤に用いられたものが使用できるが、ゼログラフィー用粉体トナーに於いて使用されている安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩からなる群より選ばれる化合物、極性基を含有したレジンタイプの帯電制御剤、さらにこれらの適宣組合せたものが好ましく使用できる。トナー固形分に対するこれら帯電制御剤の添加量は、一般に10重量%以下の範囲である。
これらの無機微粒子(外添剤)は導電性、帯電性等を制御するためにカップリング剤等で表面処理することが好ましい。カップリング剤としては、具体的には、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、N,N−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプリピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプリピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、等のシランカップリング剤やチタンカップリング剤等が例示できる。
本発明のトナーは平均粒径が好ましくは3μm以上10μm以下であり、より好ましくは4μm以上9μm以下、さらに好ましくは5μm以上9μm以下である。3μm未満の場合、前述のハーフトーン画像にあるトナーが用紙凹部に落ち込み、加熱時に熱が伝わりにくくなるため、低温定着性が悪化し、10μmを超える場合は、トナー粒子の溶融に時間がかかるため、加熱ロールとの接触時間では足りず、結果的にオフセットを生じやすくなる。
トナーの形状係数が110未満の場合は前述のごとくハーフトーン部の定着性が悪化しやすく、130を超えるとトナー粒子の保存性が悪化する傾向がある。
測定は、まずスライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じて画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについてSFを計算し、平均値を求めた。詳細な測定条件は実施例で説明する。
本発明のトナー粒子の製造方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤、ワックス、無機微粒子、その他の材料を有機溶媒に溶解分散させてなる油性成分溶液を調製する工程(1)に続いて造粒する工程(2)を採る。造粒する工程(2)には、(2−1)水性媒体中に油性成分を懸濁分散して懸濁物を調製する工程、及びその後前記懸濁物から前記溶媒を除去する工程を含む方法、又は(2−2)前記油性成分溶液に貧溶媒を加えることによりトナー粒子を析出させる方法が挙げられる。貧溶媒としては、メタノール、エタノール等が挙げられる。
(2−1)の溶液懸濁法が本発明において好ましく使用される。
以下に上記の製造方法を説明する。
本工程は、結着樹脂を溶解可能な有機溶媒中に結着樹脂、着色剤、無機微粒子及び離型剤を混合し、これらの成分を溶解及び/又は分散して油性成分を調製する工程である。
結着樹脂を溶解可能な有機溶媒としては、一般の有機溶媒が用いられる。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類があげられる。これらは単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。
本発明のトナー製造方法では、ワックスはあらかじめより小さく分散させておくのが好ましく、ワックス粒子径を小さくするワックスの分散方法としては、メディア式ミルでワックスを有機溶媒中で湿式粉砕する方法、ワックスを有機溶媒中に溶解させた後、冷却析出させて微分散させる方法あるいはワックスを気相中で蒸発させて、微粒子化させる方法が挙げられる。もちいられる有機溶媒は、結着樹脂を溶解する際に用いる溶媒と必ずしも同一である必要はない。溶媒の量は、ワックス1重量部に対して、溶媒0.1〜20重量部が望ましい。
ワックスの溶解方法としては、加熱、加圧などしておこなうことができる。ワックスを気相中で蒸発させて、微粒子化させる方法において、気相としては、ヘリウム、アルゴン、窒素の不活性ガスを用い、ワックスを100℃〜400℃の温度に加熱し、0.01〜10torr(1.33〜1.33×103Pa)の減圧下で蒸発させて、蒸発したワックス微粒子を冷却した基体に付着させた後、かきとるあるいは溶剤に分散させるなどして微粒子化することができる。トナー造粒の際には、ワックス微粒子粉末をそのまま加えても、溶媒中に分散させても構わない。本方法では、温度および減圧度を調整することで、分子量分布の狭い留分を分離することも可能である。
この着色剤分散液調製工程では、前記の結着樹脂を溶解可能な有機溶媒中に、着色剤と着色剤分散剤を溶解及び/又は分散する。このような有機溶媒としては、前記の有機溶媒が用いられる。
溶解及び/又は分散の時間は適宜選択できる。分散温度も通常は室温で良く、必要に応じて、加熱又は冷却することが望ましい。
顔料の分散状態を安定に保つため、前述の着色剤分散媒、ないし顔料分散剤を添加することが好ましい。
懸濁工程においては、上記油性成分調製工程により得られた油性成分を、水性媒体中に懸濁させ、粒子化して懸濁液を調製する。該油性成分を懸濁させる前記水性媒体は、主として水が用いられるが、水溶性溶媒を混合しても構わない。この水溶性溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられ、これらは、水に溶解する範囲内で用いることができる。
油性成分を水性媒体中に分散安定化させるために無機微粒子および/または水溶性高分子を添加することが好ましく、添加される無機微粒子としては、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化珪素等があげられる。無機微粒子分散剤の量は、水性媒体100重量部に対して、1〜30重量部が好ましい。さらに無機分散剤の平均粒径は1μm以下が好ましい。水溶性高分子としては具体的には、セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられる。
溶剤除去工程においては、該懸濁液から有機溶媒を除去することで、粒子化したトナーを得ることができる。
本発明の画像形成方法は、上記発明のトナーを用いることを特徴とする。本発明の代表的な画像形成方法は、少なくとも、潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、潜像担持体に対向して配置された現像剤担持体の表面にトナーを含む現像剤層を形成せしめる現像剤層形成工程と、該現像剤層により潜像担持体上の静電潜像をトナー画像に現像する現像工程と、現像されたトナー画像を転写材上に転写する転写工程とを有する画像形成方法において、前記トナー画像が上記発明の電子写真用トナーにより形成される。特に、転写工程が、現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写する一次転写工程と、中間転写体上に一次転写されたトナー画像を転写材上に二次転写する二次転写工程とを有することが好ましい。また、本発明の画像形成方法は、転写材上に、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のトナー画像を積層させてフルカラー画像を形成する画像形成方法であり、前記4色のうち少なくとも1色のトナー画像が前記本発明の電子写真用トナーにより形成されることが好ましい。
本発明の電子写真用現像剤は、上記発明の電子写真用トナーとキャリアとを含有してなる。このキャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂コーテイングを施したものが使用できる。また、電子写真用トナーとキャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
なお、以下において、「部」は重量部を意味する。
本発明のトナーの平均粒径はベックマンコールター社製粒度測定機Multisizer(アパーチャー径100μm、体積平均径)を用いて測定した。
またワックスの酸価およびけん化価はJIS K0070に記載した方法を用いて測定した。
測定には、まずスライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じて画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについてSFを計算し、平均値を求めた。今回の画像解析には、ルーゼックス画像解析装置(ルーゼックス社製)を用いて測定を行なった。
・イエロー顔料(クラリアントジャパン社製:PY180) 75部
・溶媒除去したディスパロンDA−703−50(ポリエステル酸アマイドアミン塩、楠本化成(株)製) 5.4部
・酢酸エチル(和光純薬(株)製:特級) 412.4部
・カーボンブラック(キャボット社製:リーガル330) 125部
・溶媒除去したディスパロンDA−703−50(ポリエステル酸アマイドアミン塩、楠本化成(株)製) 18.8部
・酢酸エチル(和光純薬(株)製:特級) 356.2部
・フタロシアニン顔料(大日精化(株)製:PV FAST BLUE) 100部
・溶媒除去したディスパロンDA−703−50(ポリエステル酸アマイドアミン塩、楠本化成(株)製) 20.0部
・酢酸エチル(和光純薬(株)製:特級) 380部
−離型剤分散液(1)(ワックス成分A)の調製−
・カルナウバワックス(融点:83℃、酸価8mgKOH/g、けん化価80mgKOH/g) 30部
・酢酸エチル(和光純薬(株)製:特級) 270部
パラフィンワックス(融点:75℃、酸価0mgKOH/g、けん化価0mgKOH/g) 30部
・酢酸エチル(和光純薬(株)製:特級) 270部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸誘導体からなるポリエステル樹脂(Mw50,000 Mn3,000 酸価15mgKOH/g 水酸基価27mgKOH/g Tg55℃ 軟化点112℃) 350部、
・着色剤分散液(1) 237部、
・離型剤分散液(1) 72部、
・離型剤分散液(2) 304部、
・疎水性酸化けい素微粒子(アエロジル社製R972) 17.8部
以上を混合し均一になるまでよく撹拌した(この液をA液とした)。
一方、炭酸カルシウム微粒子40部を水60部に分散した炭酸カルシウム分散液100部とセロゲンBS−H(第一工業製薬(株)製)の2%水溶液99部と水157部をホモジナイザー(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて3分間撹拌した(この液をB液とした)。
さらにホモジナイザー(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて前記B液345部と前記A液250部を10,000rpmで1分間攪拌し混合液を懸濁した後、0.3%アンモニア水110部を加え、室温、常圧で48時間プロペラ型攪拌機で撹拌し溶媒を除去した。次に塩酸を加えて、炭酸カルシウムを除去した後、水洗、乾燥、分級してトナーを得た。トナーの平均粒径は7.5μmであった。
次にこのトナー100部に平均粒径40nmのシリコンオイル処理酸化珪素微粒子(RY50:日本エアロジル社製)1.3部、平均粒径140nmの酸化珪素微粒子(X24−9163A:信越化学(株)製)2部、平均粒径20nmの酸化チタン(MT150AW:テイカ(株)製)をデシルトリメトキシシラン20%で処理した微粒子1.5部をサンプルミルで混合しトナーを作製した。トナー中のワックス含有重量比WB/WAは4.2であった。またトナーの形状係数は127であった。
トナーのOHP透過性評価は、定着機のオイル供給器を除去したA−color935(富士ゼロックス(株)製)改造機を用い、OHPシート(富士ゼロックス(株)製:V516)に定着ロールとの接触時間0.1秒、設定温度180℃でトナー定着画像を作製し、透過性を目視で観察した。
ハーフトーン部の定着強度評価方法は、用紙(富士ゼロックス(株)製:J紙)に画像濃度0.3のソリッド画像を作製した後、紙でこすり色移りを確認した。
トナーの定着ロールへの剥離性評価は、剥離フィンガーを取り付けない状態にし、定着ロールとの接触時間0.03秒、設定温度150℃で、用紙上の未定着トナーが10g/m2になるように設定し、定着ロールへの用紙の巻き付きの有無を調べた。
またトナー定着像の保存性については、前述のJ紙上に未定着トナーが5g/m2になるように設定し、定着ロールとの接触時間0.03秒、設定温度180℃で定着させた定着画像を2枚作成し、画像面同士が接触するように合わせ、さらに40g/cm2になるように加重し、60℃の条件下に7日間保管した後、剥がし、定着画像の欠損を目視で評価した。
以上の評価結果を表1に示す。
実施例1において離型剤分散液(1)を61部、離型剤分散液(2)を315部にした以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製し評価を行った。このときのトナー粒径は7.2μm、トナー中のワックス含有重量比WB/WAは5.2であった。またトナーの形状係数は123であった。評価結果を表1に示す。
実施例1において離型剤分散液(1)を49部、離型剤分散液(2)を331部にした以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製し評価を行った。このときのトナー粒径は7.7μm、トナー中のワックス含有重量比WB/WAは6.8であった。またトナーの形状係数は118であった。評価結果を表1に示す。
実施例2において着色剤分散液(2)を100部にした以外は実施例2と同様の方法でトナーを作製し評価を行った。このときのトナー粒径は6.0μm、トナー中のワックス含有重量比WB/WAは5.2であった。またトナーの形状係数は114であった。評価結果を表1に示す。
実施例2において着色剤分散液(3)を100部にした以外は実施例2と同様の方法でトナーを作製し評価を行った。このときのトナー粒径は6.1μm、トナー中のワックス含有重量比WB/WAは5.2であった。またトナーの形状係数は126であった。評価結果を表1に示す。
実施例1において離型剤分散液(1)を188部、離型剤分散液(2)を188部にした以外は実施例2と同様の方法でトナーを作製し評価を行った。このときのトナー粒径は7.6μm、トナー中のワックス含有重量比WB/WAは1.0であった。またトナーの形状係数は108であった。評価結果を表1に示す。
実施例1において離型剤分散液(1)を92部、離型剤分散液(2)を284部にした以外は実施例2と同様の方法でトナーを作製し評価を行った。このときのトナー粒径は7.1μm、トナー中のワックス含有重量比WB/WAは3.1であった。またトナーの形状係数は119であった。評価結果を表1に示す。
実施例1において離型剤分散液(1)を43部、離型剤分散液(2)を333部にした以外は実施例2と同様の方法でトナーを作製し評価を行った。このときのトナー粒径は7.9μm、トナー中のワックス含有重量比WB/WAは7.7であった。またトナーの形状係数は136であった。評価結果を表1に示す。
実施例2において疎水性酸化けい素微粒子(アエロジル社製R972)を除いた以外は実施例2と同様の方法でトナーを作製し評価を行った。このときのトナー粒径は7.1μm、トナー中のワックス含有重量比WB/WAは5.2であった。またトナーの形状係数は122であった。評価結果を表1に示す。
これに対し、比較例1〜3のトナーは、本発明のワックス成分AとBとのバランスが崩れているために、WB/WA<4の範囲ではトナーの保存性が、WB/WA>7の範囲ではトナーの定着性がそれぞれ悪化する。
また比較例4のトナーは無機微粒子を含有していないために、剥離性が悪い。
Claims (4)
- 少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含有してなる電子写真用トナーであって、
該離型剤は酸価が5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、けん化価が10mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であり、かつ融点が60℃以上130℃以下のワックス成分A及び
酸価が0mgKOH/g以上3mgKOH/g以下であり、けん化価が0mgKOH/g以上5mgKOH/g以下であり、かつ融点60℃以上130℃以下のワックス成分Bを含有し、
かつトナー中の該ワックス成分Aの含有量をWA、該ワックス成分Bの含有量をWBとしたとき、4≦WB/WA≦7であり、
ワックス成分Aがカルナウバワックスであり、
ワックス成分Bがパラフィンワックスであり、
かつ該トナーが無機微粒子をトナー粒子内部に含有することを特徴とする
電子写真用トナー。 - 結着樹脂を溶解可能な有機溶媒中に結着樹脂、着色剤、無機微粒子及び離型剤を混合して油性成分を調製する工程、
水性媒体中に該油性成分を懸濁させ微粒化する工程、及び
該懸濁物から溶剤を除去する工程を有するトナーの製造方法であって、
該離型剤として、酸価が5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、けん化価が10mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であり、かつ融点が60℃以上130℃以下のワックス成分A及び酸価が0mgKOH/g以上3mgKOH/g以下であり、けん化価が0mgKOH/g以上5mgKOH/g以下であり、かつ融点60℃以上130℃以下のワックス成分Bが混合され、該ワックス成分Aの添加量をWA、該ワックス成分Bの添加量をWBとしたとき、4≦WB/WA≦7であり、ワックス成分Aがカルナウバワックスであり、ワックス成分Bがパラフィンワックスであり、かつ該トナーが無機微粒子をトナー粒子内部に含有することを特徴とするトナーの製造方法。 - 請求項1記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1記載のトナー及びキャリアーを含有することを特徴とする電子写真用現像剤。
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