JP4005853B2 - 車両の発進制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の発進制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
UP-DOWN方式のシフタ(変速指示手段)を備える車両の自動変速装置において、車両の積載量などに応じた最適な発進段を容易に選定しえるよう、シフタがシフトアップ信号を発生すると、その発生回数に応じて発進指定段を1段ずつアップさせる一方、同じくシフトダウン信号を発生すると、その発生回数に応じて発進指定段を1段ずつダウンさせる手段と、クラッチの切断時の発進指定段を目標段に変速機のギヤシフトを制御する手段と、車両の発進を車速から判定すると、そのときの発進段を発進指定段として記憶する手段と、を備えるものがある(特開平7-63252号、参照)。
【0003】
同じく車両の自動変速装置において、高速発進段をメモリに設定する手段と、低速発進段をメモリに設定する手段と、車両が停車状態かつ変速機がニュートラルのときにクラッチが切断すると発進条件の成立を判定する手段と、この発進条件の成立時にシフタがシフトアップ信号を発生すると高速発進段のメモリを目標段に変速機のギヤシフトを制御する一方、シフタがシフトダウン信号を発生すると低速発進段のメモリを目標段に変速機のギヤシフトを制御する手段と、車両が停止状態かつ条件付けスイッチがONのときにシフタが所定時間以上にシフトアップ信号またはシフトダウン信号の発生し続けると特定条件の成立を判定する手段と、その成立時のシフタの発生がシフトアップ信号のときに高速発進段のメモリの変更要求を発生する一方、シフタの発生がシフトダウン信号のときに低速発進段のメモリの変更要求を発生する手段と、これら変更要求に応じて高速発進段のメモリまたは低速発進段のメモリを変速機の現在段に書き換える手段と、を備えるものがある(特開平8-93910号、参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、このような従来技術を踏まえつつ、信号待ち停車時などにおいて、車両の簡便な再発進が可能な、とくに制動時に回生発電を行うハイブリッド車両に最適な発進制御装置の実現を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、車両の発進段をメモリに設定する手段と、運転者の人為操作に基づくシフト要求を発生する手段と、車両が停止状態のときにシフト要求が発生すると、その要求に応じた発進段で車両を発進させるべく変速機のギヤシフト制御を行うと共にメモリの設定をこの発進段に書き換える手段と、車両が減速からギヤ入れ停車へ至る際のギヤ入れ段がメモリの発進段と一致しないときはメモリの発進段で再発進させるべく変速機のギヤシフト制御を行う手段と、車両が減速から停車へ至る際のギヤ入れ段がメモリの発進段と異なる発進段のときはそのギヤ入れ段を停車時に保持するべく変速機のギヤシフト制御をキャンセルする手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、第1の発明に係る車両の発進制御装置において、車両が停止状態のときは、ブレーキが作動状態でない場合、変速機のギヤシフト制御を禁止する手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
第1の発明においては、車両が減速から停車へ至る際に変速機のギヤ入れ段がメモリの発進段と一致しないときは、メモリの発進段を目標段に変速機のギヤシフト制御が行われ、メモリの発進段でギヤ入れ停車に至るのである。同じく停車へ至る際のギヤ入れ段がメモリの発進段と一致するときは、変速機のギヤシフト制御が行われず、そのままメモリの発進段でギヤ入れ停車に至るのである。停車後は、運転者のアクスル操作により、車両は走り始めることになる。つまり、運転者は、メモリの発進段で車両を簡便に再発進させることができる。
【0009】
車両の停止状態において、シフト要求が発生すると、その要求段を目標段に変速機のギヤシフト制御が行われる。その後、運転者のアクスル操作により、車両は走り始めることになり、そのときの発進段にメモリの設定が書き換えられるのである。したがって、積載量など負荷条件に応じて車両の発進段を任意に選定可能であり、その発進段が停車へ至る際のギヤ入れ段となる。
【0010】
また、車両が減速から停車へ至る際のギヤ入れ段がメモリの設定と異なる発進段のときは、変速機のギヤシフト制御がキャンセルされる。このため、車両が減速から停車へ至る過程において、路面が登坂または降坂へ掛かるような場合、運転者のシフト操作に基づく変速機のギヤシフト制御により、発進段の範疇において、停車時のギヤ入れ段を最適な発進段に選定可能となる。
【0011】
第2の発明においては、変速機のギヤシフト制御は、車両が停止状態の場合、ブレーキが作動状態でないと許可(禁止が解除)されないので、車両の不用意な飛び出し(運転者のシフト操作に基づく、変速機のギヤシフト制御により、動力が車輪側へ伝達される)を防止できるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1において、1はエンジン、2は歯車式の変速機であり、これらの間に摩擦クラッチ3が介装される。エンジン1は、ディーゼルエンジン(または圧縮天然ガスを燃料とするCNGエンジン)が採用される。4は回転電機(モータジェネレータ)であり、その入出力軸4aは動力伝達機構5(ギヤボックス)を介して変速機2の入力軸2aに連結される。
【0013】
変速機2には、そのギヤシフトを制御するコントロールユニット6が備えられる。コントロールユニット6は、ハイブリッド電子制御ユニット10(ハイブリッドECU)に接続され、変速指示手段7(シフタ)の発生要求(シフトアップ信号,シフトダウン信号など)およびハイブリッドECU10の命令に基づいて変速機2のギヤシフトを制御する。
【0014】
クラッチ3には、これを断続するクラッチアクチュエータ8が備えられる。クラッチアクチュエータ8は、ハイブリッドECU10の要求に応じてエンジン1から変速機2およびギヤボックス5への動力の伝達を断続する。
【0015】
エンジン1の燃料噴射量を制御するのがエンジン電子制御ユニット15(エンジンECU)であり、エンジン1の回転速度(エンジン回転数)を検出するエンジン回転センサ16が備えられる。エンジンECU15は、エンジン回転センサ16の検出信号およびハイブリッドECU10の要求に応じてエンジン1の燃料噴射量を制御する。
【0016】
車輪に制動力を発生させるブレーキアクチュエータ21は、ブレーキ電子制御ユニット20(ブレーキECU)により、ハイブリッドECU10からの情報(回転電機4の回生制動力)およびブレーキペダル22の踏み量(要求制動力)に基づいて、回生制動力で賄い切れない要求制動力の不足分を補うように制御される。23はブレーキペダル22の踏み量を検出するブレーキセンサである。
【0017】
回転電機4は、高効率および小形軽量化の面から、永久磁石型同期電動機(IPM同期モータ)が使用され、蓄電要素9にインバータ11を介して接続される。蓄電要素9には、ブレーキエネルギを短時間で無駄なく高効率に回生するため、車両の電池許容質量に対して必要な出力密度を確保しやすい、電気二重層キャパシタが使用される。
【0018】
インバータ11は、ハイブリッドECU10の要求に応じて回転電機4を電動モードまたは発電モードに制御する。電動モードにおいては、蓄電要素9の充電電力(直流電力)を交流電力に変換して回転電機4を駆動する一方、発電モードにおいては、回転電機4の発電電力(交流電力)を直流電力に変換して蓄電要素9を充電する。
【0019】
ギヤボックス5は、回転電機4の入出力軸4aに連結されるドライブギヤ5aと、変速機2の入力軸2aに連結されるドリブンギヤ5bと、これらに噛み合うアイドラギヤ5cと、から構成される。回転電機4の入出力軸4aの回転は、ギヤボックス5により減速され、変速機2の入力軸2aへ伝達される一方、変速機2の入力軸2aの回転は、ギヤボックス5により増速され、回転電機4の入出力軸4aへ伝達される。
【0020】
ハイブリッドECU10は、アクセルペダル12の踏み量からアクセル開度(要求駆動力)を検出するアクセル開度センサ13と、クラッチ3の断続状態を検出するクラッチ位置センサ14と、変速機2のギヤポジションを検出するシフト位置センサ17と、変速機2の出力側の回転速度を検出する車速センサ18(変速機2の出力回転センサ)と、変速機2の入力側の回転速度として回転電機4の入出力軸4aに連結するドライブギヤ5aの回転速度を検出するギヤ回転センサ19(変速機2の入力回転センサ)と、が備えられる。
【0021】
これらの検出信号および蓄電要素9のSOC(State Of Chage)を含む各種情報(エンジンECU15,ブレーキECU20,インバータ11、等から得られる)に基づいて、ハイブリッドECU10は、クラッチアクチュエータ8,回転電機4のインバータ11、を制御する一方、エンジンECU15およびブレーキECU20への要求、変速機2のコントロールユニット6への命令、を送信する。
【0022】
図2は、蓄電要素9のSOCをパラメータに回転電機4の出力とエンジン1の出力との分担比を設定する制御マップであり、ハイブリッドECU10に格納される。ハイブリッドECU10は、制御マップから蓄電要素9のSOC情報に応じた出力分担比を求め、この分担比と要求駆動力(アクセル操作量)に基づいて、回転電機4の出力およびエンジン1の出力を制御する。つまり、回転電機4が分担出力を発生するようにインバータ11を制御する一方、エンジンECU15への要求(エンジン1の分担出力に応じた燃料噴射量)を送信するのである。
【0023】
回転電機4の出力分担比=1(エンジン1の出力分担比=0)の場合、クラッチ3を切断した状態において、アクセル操作量に相当する出力が回転電機4から得られるようにインバータ11を制御する。回転電機4の出力分担比<1(エンジン1の出力分担比>0)の場合、クラッチ3を接続した状態において、蓄電要素9のSOCの低下に連れて回転電機4の分担出力が小さくなり、それに応じてエンジン1の分担出力が大きくなるようにエンジンECUへの要求およびインバータ11を制御する。エンジン1の出力分担比が=1(回転電機の出力分担比=0)の場合、アクセル操作量に相当する出力がエンジン1から得られるようにエンジンECU15へ要求を制御する。
【0024】
ハイブリッドECU10は、ブレーキECU20との協調制御により、蓄電要素9への充電が可能な限り、クラッチ3を切断した状態において、ブレーキ操作量(ブレーキペダルの踏み量)に相当する回生制動力が回転電機4から得られるようにインバータ11を制御する一方、ブレーキ操作量に相当する要求制動力を回転電機4の回生制動力で賄い切れない場合、その分の制動力はブレーキアクチュエータ21の発生する制動力で補うようにブレーキECU20へ要求を制御する。また、蓄電要素9のSOC情報から、発電の必要を判定すると、クラッチ3の接続状態において、エンジン1の出力に余裕がある場合、回転電機4の発電により、蓄電要素9を充電するようにインバータ11を制御する。
【0025】
車両の発進に際しては、キースイッチがST(スタート)に入ると、エンジン1が始動される。クラッチ3が接続かつ変速機2がニュートラル(ギヤ抜き)かつエンジン1がアイドル制御の停車状態において、蓄電要素9のSOCを含む各種情報に基づいて発進モード(回転電機4の出力のみによる単独発進,エンジン1の出力と回転電機4の出力との併用発進)が選定される。
【0026】
回転電機4の単独発進の場合、クラッチ3が切断される。ブレーキペダル22が踏み込まれると、変速機3のギヤシフト制御が許可され、シフタ7がシフトアップ信号を発生すると、高速発進段(たとえば、3速ギヤ)を目標段にギヤシフト制御が行われる一方、シフタ7がシフトダウン信号を発生すると、低速発進段(たとえば、2速ギヤ)を目標段にギヤシフト制御が行われるのである。アクセルペダル12が踏み込まれると、回転電機4が要求駆動力を発生するように制御され、車両は走り始めることになる。
【0027】
エンジン1の出力と回転電機4の出力との併用発進の場合、ブレーキペダル22が踏み込まれると、変速機3のギヤシフト制御が許可され、クラッチ3が切断される。シフタ7のシフトアップ信号により、高速発進段(たとえば、3速ギヤ)を目標段にギヤシフト制御が行われる一方、シフタ7のシフトダウン信号により、低速発進段(たとえば、2速ギヤ)を目標段にギヤシフト制御が行われるのである。アクセルペダル12が踏み込まれると、クラッチ3の接続と共にエンジン1および回転電機4がそれぞれの分担出力(要求駆動力×分担比)を発生するように制御され、車両は走り始めることになる。
【0028】
図3は、ハイブリッドECU10における、車両の発進制御に係る機能的なブロック構成を表すものであり、ストップランプ検出手段30、停車判定手段31、現在段検出手段32、発進段メモリ手段34、発進メモリ判定手段33、発進段決定手段35、信号出力手段36、を備える。
【0029】
ストップランプ検出手段30は、車両のブレーキペダル22に連動するストップランプ(図示せず)の信号からブレーキの作動状態を検出する、停車判定手段31は、車速センサ18の検出信号から車両の停止状態(停車)を判定する。現在段検出手段32は、シフト位置センサ17の検出信号から変速機2の現在段を検出する。
【0030】
発進段メモリ手段34は、発進段を書き換え可能に設定するものであり、発進段メモリ判定手段33からの書き換え指令を受けると、その指令段にメモリの設定を書き換える。発進段メモリ判定手段33は、ストップランプ検出手段30からの入力信号と、停車判定手段31からの入力信号と、現在段検出手段32からの入力信号と、から発進段メモリ手段34へ書き換え指令を出力すべき条件が成立するかどうかを判定するものであり、車速が0(停車状態)において、ストップランプ信号がONとなり、変速機2のギヤシフト制御が行われ、車速が立ち上がると、変速機2の現在段にメモリの設定を更新すべく発進段メモリ手段34へ書き換え指令を出力する。
【0031】
回生制動を最大限に確保するため、通常の場合、運転者によりギヤ入れ停車が選択される。発進段決定手段35は、車速が所定以下に減速すると、変速機2の現在段と発進段メモリ手段34の設定とから、停車へ至る際のギヤ入れ段を決定するものであり、必要に応じて変速機2のギヤシフト制御をコントルールユニット6へ命令する。停車へ至る際のギヤ入れ段については、基本的には変速機2の現在段が発進段メモリ手段34の設定と一致しない場合、発進段メモリ手段34の設定を目標段(決定段)に変速機2のギヤシフト制御が要求され、変速機2の現在段が発進段メモリ手段34の設定と異なるが、発進段の範疇に入るギヤ段の場合、変速機2のギヤシフト制御をキャンセルするように設定される。
【0032】
図4は、ハイブリッドECU10における、発進制御に係る処理内容を説明するフローチャートであり、S1においては、車速が0の停車状態かどうかを判定する。S1の判定がyesのときは、S2へ進む一方、S1の判定がnoのときは、RETURNへ抜ける。S2においては、ブレーキペダル22が踏み込まれ、ブレーキが作動状態かどうかを判定する。S2の判定がyesのときは、S3へ進む一方、S2の判定がnoのときは、RETURNへ抜ける。つまり、S1の判定がyesかつS2の判定がyesのときは、変速機2のギヤシフト制御が推定されるのである。
【0033】
S3においては、変速機2の現在段がシフタ7のシフトダウン信号に応じた低速発進段(2速ギヤ)かどうかを判定する。S3の判定がyesのときは、S4において、アクセルペダル12が踏み込まれ、車速が立ち上がると、走行制御Aへ進むのであり、そのときの発進段を発進メモリ手段34に設定またはそのときの発進段に発進メモ手段34の設定を書き換える一方、S3の判定がnoのときは、S5へ進む。
【0034】
S5においては、変速機2の現在段がシフタのシフトアップ信号に応じた高速発進段(3速ギヤ)かどうかを判定する。S5の判定がyesのときは、S6において、アクセルペダル12が踏み込まれ、車速が立ち上がると、走行制御Bへ進むのであり、そのときの発進段を発進メモリ手段34に設定またはそのときの発進段に発進段メモリ手段34の設定を書き換える一方、S5の判定がnoのときは、RETURNへ抜ける。
【0035】
図5は、走行制御Aの処理内容を説明するフローチャートであり、S11においては、車速が所定値(3km/h)以下かどうかを判定する。S11の判定がyesのときは、S12へ進む一方、S11の判定がnoのときは、RETURNへ抜ける。S12においては、変速機2の現在段が発進メモリ手段34の設定(2速ギヤ)と一致するかどうかを判定する。S12の判定がyesのときは、S13へ進む一方、S12の判定がnoのときは、RETURNへ抜ける。
【0036】
S13においては、変速機2の現在段が発進段の範疇(1速ギヤ〜3速ギヤ)に入るかどうかを判定する。変速機2の現在段が3速ギヤまたは1速ギヤの場合、S13の判定はyesとなり、RETURNへ抜ける一方、変速機2の現在段が発進段の範疇から外れるギヤ段(4速ギヤ以上の高速段)の場合、S13の判定はnoとなり、S14へ進む。S14においては、発進段メモリ手段34の設定(2速ギヤ)を目標段に変速機2のギヤシフト制御をコントロールユニット6へ命令するのである。
【0037】
図6は、走行制御Bの処理内容を説明するフローチャートであり、S21においては、車速が所定値(たとえば、3km/h)以下かどうかを判定する。S21の判定がyesのときは、S22へ進む一方、S21の判定がnoのときは、RETURNへ抜ける。S22においては、変速機2の現在段が発進メモリ手段34の設定(3速ギヤ)と一致するかどうかを判定する。S22の判定がyesのときは、S23へ進む一方、S22の判定がnoのときは、RETURNへ抜ける。
【0038】
S23においては、変速機2の現在段が発進段の範疇(1速ギヤ〜3速ギヤ)に入るかどうかを判定する。変速機2の現在段が2速ギヤまたは1速ギヤの場合、S23の判定はyesとなり、RETURNへ抜ける一方、変速機2の現在段が発進段の範疇から外れるギヤ段(4速ギヤ以上の高速段)の場合、S23の判定はnoとなり、S24へ進む。S24においては、発進段メモリ手段34の設定(3速ギヤ)を目標段に変速機2のギヤシフト制御をコントロールユニット6へ命令するのである。
【0039】
このような構成により、車両の発進時に1度、発進段の選定を行うと、その発進段がメモリに設定され、停車へ至る際のギヤ入れ段が発進段の範疇から外れる場合にのみ、メモリの発進段を目標段に変速機2のギヤシフト制御が行われるので、負荷条件に変化がなければ、発進段の選定を繰り返すことなく、車両を簡便に再発進させることができる。
【0040】
停車へ至る際のギヤ入れ段がメモリの発進段と異なるものの、発進段の範疇に入る場合は、変速機のギヤシフト制御がキャンセルされ、そのままギヤ入れ停車に至るのである。このため、停車へ至る過程において、路面が登坂または降坂へ掛かるような場合、運転者のシフト操作に基づく変速機2のギヤシフト制御により、発進段の範疇において、予測される負荷条件に備えて停車時のギヤ入れ段を最適な発進段に選定可能となる。
【0041】
その結果、制動回生が十分に図れ、回転電機4の出力による単独発進の頻度も高められる。変速機2のギヤシフト制御は、変速機2がニュートラルでクラッチ3が接続の停車状態においても、ブレーキが作動状態でないと許可(禁止が解除)されないので、運転者のシフト操作に基づく変速機のギヤシフト制御により、車両が不用意に飛び出すのを防止できるのである。
【0042】
この発明は、既述のハイブリッド車両(車両の動力源にエンジンと回転電機を備える)に適用が限定されるものでなく、従来例のような変速制御への適用も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を説明するシステム概要図である。
【図2】同じく制御内容を説明する特性図である。
【図3】同じく車両の発進制御に係る機能的な構成を表すブロック図である。
【図4】同じく車両の発進制御に係る処理内容を説明するフローチャートである。
【図5】同じく車両の発進制御に係る処理内容を説明するフローチャートである。
【図6】同じく車両の発進制御に係る処理内容を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 変速機
3 クラッチ
4 回転電機
5 ギヤボックス
6 変速機のコントロールユニット
7 シフタ(変速指示手段)
8 クラッチアクチュエータ
9 蓄電要素
10 ハイブリッドECU
11 インバータ
12 アクセルペダル
13 アクセル開度センサ
14 クラッチ位置センサ
15 エンジンECU
16 エンジン回転センサ
17 シフト位置センサ
18 車速センサ
20 ブレーキECU
21 ブレーキアクチュエータ
22 ブレーキペダル
23 ブレーキセンサ
Claims (2)
- 車両の発進段をメモリに設定する手段と、運転者の人為操作に基づくシフト要求を発生する手段と、車両が停止状態のときにシフト要求が発生すると、その要求に応じた発進段で車両を発進させるべく変速機のギヤシフト制御を行うと共にメモリの設定をこの発進段に書き換える手段と、車両が減速からギヤ入れ停車へ至る際にギヤ入れ段がメモリの発進段と一致しないときはメモリの発進段で再発進させるべく変速機のギヤシフト制御を行う手段と、車両が減速から停車へ至る際のギヤ入れ段がメモリの発進段と異なる発進段のときはそのギヤ入れ段を停車時に保持するべく変速機のギヤシフト制御をキャンセルする手段と、を備えることを特徴とする車両の発進制御装置。
- 車両が停止状態のときは、ブレーキが作動状態でない場合、変速機のギヤシフト制御を禁止する手段と、を備えることを特徴とする請求項1の記載に係る車両の発進制御装置。
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