JP3739728B2 - 車両のハイブリッドシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の動力源にエンジンと回転電機(モータジェネレータ)を備える車両のハイブリッドシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のハイブリッドシステムとして、エンジンの出力軸と変速機の入力軸を断続するクラッチと、電動機と発電機を兼ねる回転電機と、回転電機の入出力軸と変速機の入力軸を連結する歯車伝達機構と、回転電機から供給される電力を蓄える蓄電要素と、を備えたものがある(特願2000-315757号、参照)。
【0003】
このようなハイブリッドシステムにおいては、車両の発進に必要な蓄電量を確保するため、車両の停止時に発電制御を行うように構成される。車両の停止時は、エンジンが運転状態かつ変速機がニュートラルかつクラッチが接続に制御され、蓄電要素のSOC(State Of Chage)に応じた要求量に基づいて、回転電機が発電制御されるのである。
【0004】
エンジンの出力は、クラッチから変速機の入力軸および歯車伝達機構を介して回転電機の入出力軸へ伝えられる。エンジンは、アイドルスピードコントロールにより、エンジン回転数を一定に保ちながら、回転電機からの負荷(発電トルク)に応じたエンジントルクに調整される。
【0005】
回転電機は、エンジンの出力により発電され、その電力は、蓄電要素に充電される。蓄電要素が満充電状態に達すると発電が停止され、回転電機はエンジンの回転に連れて空転するようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この先願例においても、動力伝達系に歯車が用いられるので、エンジンのアイドル振動に起因する、歯車間に歯打ち音(ガラ音と呼ばれる)を防止することが要求される。回転電機の発電中は、歯車間に負荷(発電トルク)が働くので、歯打ち音は抑えられるが、回転電機の発電が停止されると、歯車間を歯どうしが動きやすくなり、回転電機のフリクションなどが干渉したりすると、歯打ち音が顕在化しかねないのである。
【0007】
なお、三軸式の歯車機構(プラネタリギヤ)を備えるハイブリッドシステムにおいて、歯打ち音の発生しやすい条件が成立すると、三軸式の歯車機構の一軸に回転数を低下させようとする負荷を継続的に加えるように回転電機を制御するものは開示される(特開平11-173171号、参照)。これだと、蓄電要素への充電の要求量が0(満充電状態)のときは、歯打ち音の発生しやすい条件が成立しても、回転電機による歯打ち音の防止処理(三軸式の歯車機構の一軸に負荷を加える制御)は不能となる。
【0008】
この発明は、回転電機のみで発進可能な機会を確保するべく、車両が停止状態になると、蓄電要素のSOCに応じた要求量に基づいて、回転電機の発電制御を行うハイブリッドシステムにおいて、エンジンのアイドル振動に起因する、歯車間の歯打ち音(ガラ音)を有効に防止する手段の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、エンジンの出力軸と変速機の入力軸を断続するクラッチと、電動機と発電機を兼ねる回転電機と、回転電機の入出力軸と変速機の入力軸を連結する歯車伝達機構と、回転電機からの電力を蓄える蓄電要素と、を備える車両のハイブリッドシステムにおいて、車両が停止かつエンジンが運転状態かつ変速機がニュートラルかつクラッチが接続かつ蓄電要素への充電が必要ないときに回転電機を所定の目標力行トルクに制御する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に係る車両のハイブリッドシステムにおいて、回転電機を制御する手段は、エンジン回転速度の検出値から現在のエンジントルク値を求める手段と、現在のエンジントルク値とマップデータに基づく負荷なし時のエンジントルク値との差に相当するトルク値を所定の目標力行トルクに設定する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第1の発明に係る車両のハイブリッドシステムにおいて、所定の目標力行トルクに回転電機のフリクション分のトルク値を設定する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第1の発明に係る車両のハイブリッドシステムにおいて、所定の目標力行トルクにエンジンのアイドリング振動を打ち消すに足る分のトルク値を設定する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
第5の発明は、第1の発明に係る車両のハイブリッドシステムにおいて、回転電機を制御する手段は、回転電機の力行トルクを所定の過渡時間をかけて目標力行トルクへ徐々に変化させるように制御する手段と、を備えたことを特徴する。
【0014】
【発明の効果】
第1の発明においては、車両が停止かつエンジンが運転状態かつ変速機がニュートラルかつクラッチが接続のときは、エンジンの回転がクラッチから変速機の入力軸および歯車伝達機構を介して回転電機の入出力軸へ伝えられる。回転電機は、このような条件の停車状態において、蓄電要素への充電が必要ないときは、所定の目標トルクに電動運転される。この運転により、歯車間に目標力行トルクを安定的に作用するため、歯車間の歯どうしの動き(ガタ付き)が抑えられ、歯打ち音(ガラ音)の発生を防止できるのである。エンジンは、回転電機から伝達トルクを受けると、アイドルスピードコントロールにより、エンジン回転数を一定に保ちながら、回転電機から伝達トルクに応じたエンジントルクに調整される。
【0015】
第2の発明においては、回転電機は、マップデータに基づく負荷無し時のエンジントルク値と現在のエンジントルク値との差に相当するトルク値を目標力行トルクに制御されるので、エンジンは負荷分が軽減され、アイドルスピードコントロールにより、エンジン回転数を一定に保ちながら、負荷の軽減分に応じたエンジントルクに調整される。回転電機は等速で円滑に回転するので、エンジンのアイドル振動が平滑化されるようになり、歯車間の歯打ち音を防止できるのである。
【0016】
第3の発明においては、回転電機はフリクション分の目標力行トルクに駆動され、エンジンのアイドル振動に回転電機のフリクションが干渉することがなくなる。そのため、最小の目標力行トルクにより、歯打ち音を抑えられるのである。
【0017】
第4の発明においては、回転電機はエンジンのアイドル振動を打ち消すに足る分の目標力行トルクに駆動される。歯車間の歯どうしは、回転電機からの伝達トルクにより、互いの接触面が一定方向へ付勢される。そのため、回転電機からの伝達トルクにアイドル振動が吸収され、歯打ち音の防止が確実に図れるようになる。エンジンは、アイドルスピードコントロールにより、エンジン回転数を一定に保ちながら、回転電機からの伝達トルクに応じたエンジントルクに調整される。
【0018】
第5の発明においては、回転電機のみで発進可能な機会を確保するべく、車両が停止かつエンジンが運転状態かつ変速機がニュートラルかつクラッチが接続のときは、蓄電要素への充電が必要になると、蓄電要素のSOCに応じた要求量に基づいて、回転電機の発電運転を制御する手段と、を備える場合、蓄電要素のSOCが十分に確保され、回転電機の発電制御が停止されると、同じ条件の停車状態において、回転電機が所定の目標力行トルクに駆動される。その際、回転電機4の出力トルクは、目標力行トルクへ徐々に変化するので、エンジントルクの調整に実エンジントルクの応答が遅れ、回転電機からの伝達トルクにエンジン回転速度が乱れるようなこともない。つまり、エンジントルクの応答遅れに合わせるよう、回転電機の出力トルクが徐々に変化するため、制御の切り替えに伴う歯打ち音の発生も防止できるのである。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1において、1はエンジン、2は歯車式の変速機であり、これらの間に摩擦クラッチ3が介装される。エンジン1は、ディーゼルエンジン(または圧縮天然ガスを燃料とするCNGエンジン)が採用される。4は回転電機(モータジェネレータ)であり、その入出力軸4aは動力伝達機構5(ギヤボックス)を介して変速機2の入力軸2aに連結される。
【0020】
変速機2には、そのギヤシフトを制御するコントロールユニット6が備えられる。コントロールユニット6は、運転室のチェンジレバー装置7およびハイブリッド電子制御ユニット10(ハイブリッドECU)に接続され、チェンジレバー装置7がギヤシフト指令を発生すると、その指令に応じたギヤシフトをハイブリッドECU10の命令に従って制御する。
【0021】
クラッチ3には、これを断続するクラッチアクチュエータ8が備えられる。クラッチアクチュエータ8は、ハイブリッドECU10の要求に応じてエンジン1から変速機2およびギヤボックス5への動力の伝達を断続する。エンジン1の燃料噴射量(燃料供給量)を制御するのがエンジン電子制御ユニット15(エンジンECU)であり、エンジン1の回転速度(エンジン回転数)を検出するエンジン回転センサ16が備えられる。エンジンECU15は、エンジン回転センサ16の検出信号およびハイブリッドECU10の要求に応じてエンジン1の燃料噴射量を制御する。
【0022】
車輪に制動力を発生させるブレーキアクチュエータ21は、ブレーキ電子制御ユニット20(ブレーキECU)により、ハイブリッドECU10からの情報(回転電機4の回生制動力)およびブレーキペダル22の踏み量(要求制動力)に基づいて、回生制動力で賄い切れない要求制動力の不足分を補うように制御される。23はブレーキペダル22の踏み量を検出するブレーキセンサである。
【0023】
回転電機4は、高効率および小形軽量化の面から、永久磁石型同期電動機(IPM同期モータ)が使用され、蓄電要素9にインバータ11を介して接続される。蓄電要素9には、ブレーキエネルギを短時間で無駄なく高効率に回生するため、車両の電池許容質量に対して必要な出力密度を確保しやすい、電気二重層キャパシタが使用される。
【0024】
インバータ11は、ハイブリッドECU10の要求に応じて回転電機4を電動モードまたは発電モードに制御する。電動モードにおいては、蓄電要素9の充電電力(直流電力)を交流電力に変換して回転電機4を駆動する一方、発電モードにおいては、回転電機4の発電電力(交流電力)を直流電力に変換して蓄電要素9を充電する。
【0025】
ギヤボックス5は、回転電機4の入出力軸4aに連結されるドライブギヤ5aと、変速機2の入力軸2aに連結されるドリブンギヤ5bと、これらに噛み合うアイドラギヤ5cと、から構成される。回転電機4の入出力軸4aの回転は、ギヤボックス5により減速され、変速機2の入力軸2aへ伝達される一方、変速機2の入力軸2aの回転は、ギヤボックス5により増速され、回転電機4の入出力軸4aへ伝達される。
【0026】
ハイブリッドECU10は、アクセルペダル12の踏み量からアクセル開度(要求駆動力)を検出するアクセル開度センサ13と、クラッチ3の断続状態(ストローク)を検出するクラッチ位置センサ14と、変速機2のギヤポジションを検出するシフト位置センサ17と、変速機2の出力側の回転速度を検出する車速センサ18(変速機2の出力回転センサ)と、変速機2の入力側の回転速度として回転電機4の入出力軸4aに連結するドライブギヤ5aの回転速度を検出するギヤ回転センサ19(変速機2の入力回転センサ)と、が備えられる。
【0027】
これらの検出信号および蓄電要素9のSOC(State Of Chage)を含む各種情報(エンジンECU15,ブレーキECU20,変速機2のコントロールユニット6,インバータ11、から得られる)に基づいて、ハイブリッドECU10は、クラッチアクチュエータ8,回転電機4のインバータ11、を制御する一方、エンジンECU15およびブレーキECU20への要求、変速機2のコントロールユニット6への命令(ギヤ抜きのタイミング信号,ギヤ入れのタイミング信号)、を送信する。
【0028】
図2は、蓄電要素9のSOCをパラメータに回転電機4の出力とエンジン1の出力との分担比を設定する制御マップであり、ハイブリッドECU10に格納される。ハイブリッドECU10は、制御マップから蓄電要素9のSOC情報に応じた出力分担比を求め、この分担比と要求駆動力(アクセル操作量)に基づいて、回転電機4の出力およびエンジン1の出力を制御する。つまり、回転電機4が分担出力を発生するようにインバータ11を制御する一方、エンジンECU15への要求(エンジン1の分担出力に応じた燃料供給量)を送信するのである。
【0029】
回転電機4の出力分担比=1(エンジン1の出力分担比=0)の場合、クラッチ3を切断した状態において、アクセル操作量に相当する出力が回転電機4から得られるようにインバータ11を制御する。回転電機4の出力分担比<1(エンジン1の出力分担比>0)の場合、クラッチ3を接続した状態において、蓄電要素9のSOCの低下に連れて回転電機4の分担出力が小さくなり、それに応じてエンジン1の分担出力が大きくなるようにエンジンECUへの要求およびインバータ11を制御する。エンジン1の出力分担比が=1(回転電機の出力分担比=0)の場合、アクセル操作量に相当する出力がエンジン1から得られるようにエンジンECU15へ要求を制御する。
【0030】
ハイブリッドECU10は、ブレーキECU20との協調制御により、蓄電要素9への充電が可能な限り、クラッチ3を切断した状態において、ブレーキ操作量(ブレーキペダルの踏み量)に相当する回生制動力が回転電機4から得られるようにインバータ11を制御する一方、ブレーキ操作量に相当する要求制動力を回転電機4の回生制動力で賄い切れない場合、その分の制動力はブレーキアクチュエータ21の発生する制動力で補うようにブレーキECU20へ要求を送信する。また、蓄電要素9のSOC情報から、発電の必要を判定すると、クラッチ3の接続状態において、エンジン1の出力に余裕がある場合、回転電機4の発電により、蓄電要素9を充電するようにインバータ11を制御する。
【0031】
車両の停止時においては、次の発進に必要な蓄電量を確保するため、回転電機4の発電制御が行われる。車両の停止時は、エンジン1が運転状態かつ変速機2がニュートラルかつクラッチ3が接続に制御され、蓄電要素9のSOCに応じた要求量に基づいて、回転電機4が発電運転されるのである。要求量が0(蓄電要素9が満充電状態)の場合、回転電機4の発電制御は行われない。回転電機4の発電中は、歯車間に負荷(発電トルク)が働くので、歯打ち音は抑えられるが、回転電機4の発電が停止すると、歯車間を歯どうしが動きやすくなる。そのため、エンジン1のアイドル振動に起因する、歯打ち音の発生を防止する機能がハイブリッドECU10に設定される。
【0032】
図3は、その制御機能を説明するフローチャートであり、S1においては、車両状態の各種情報を読み取る。S2においては、エンジン1が運転状態の停車かどうかを判定する。S2の判定がyesのときは、S3へ進む一方、S2の判定がnoのときは、S5の処理(車両の走行時制御)を行う。S3においては、車両の走行要求が発生かどうかを判定する。S3の判定がyesのときは、S4の処理(車両走行準備状態の制御)を行う一方、S3の判定がnoのときは、S6へ飛ぶ。
【0033】
S6およびS7においては、変速機2のシフトポジションを読み取り、変速機2がニュートラルかどうかを判定する。S7の判定がyesのときは、S8へ進む一方、S7の判定がnoのときは、Returnへ抜ける。S8およびS9においては、クラッチストロークを読み取り、クラッチ3が接続状態かどうかを判定する。S9の判定がyesのときは、S10へ進む一方、S9の判定がnoのときは、S13の処理(クラッチ3を接続する制御)を行う。S10およびS11においては、蓄電要素9のSOC情報から発電要求の有無(SOCが所定レベル以下かどうか)を判定する。S11の判定がyesのときは、S12の処理(発電制御)を行う一方、S11の判定がnoのときは、エンジン1のアイドル振動に伴う歯打ち音を抑えるため、S14へ飛ぶ。
【0034】
S14においては、エンジンECU15からの受信情報(エンジン回転速度およびエンジントルク値)を読み取る。エンジンECU15においては、エンジン回転速度(検出信号)およびアクセル開度(検出信号)に応じたラック位置(燃料供給量)が図4のマップ(a)から求められ、このラック位置に応じた現在のエンジントルク値が図4のマップ(b)から求められる。そして、現在のエンジントルク値は、エンジン回転速度(検出値)と共にハイブリッドECU10へ送信される。
【0035】
ハイブリッドECU10には、実験データに基づく負荷無し時のエンジントルクおよび制御の過渡時間が予めマップに格納される。S15においては、マップから負荷無し時のエンジントルク値を読み取り、現在のエンジントルク値(受信情報)との差に相当するトルク値を回転電機4の目標力行トルクに設定する。S16においては、マップから過渡時間を読み取る。
【0036】
S17においては、回転電機4の出力トルクを過渡時間をかけて目標力行トルクへ徐々に高め、その後は所定条件が崩れない(S2の判定がnoまたはS3の判定がyesまたはS7の判定がnoまたはS9の判定がnoまたはS11の判定がyesに切り替わらない)限り、目標力行トルクに維持するよう、インバータ11への指令値(回転電機4の電動運転)を制御するのである。
【0037】
このような構成により、エンジン1が運転状態かつ変速機2がニュートラルかつクラッチ3が接続の停車状態において、蓄電要素9の充電が必要な場合、回転電機4は発電制御される。回転電機4の発電により、蓄電要素9は充電されるので、回転電機4の出力のみで車両の発進できる機会が多く得られるようになる。
【0038】
その一方、同じ条件の停車状態において、蓄電要素9への充電が必要ないときは、回転電機4は所定の目標力行トルクに制御される(図5、参照)。回転電機4の目標力行トルクに負荷無し時のエンジントルク値と現在のエンジントルク値との差に相当するトルク値が設定されるので、エンジン1はその負荷分が軽減され、アイドルスピードコントロールにより、エンジン回転数を一定に保ちながら、負荷の軽減分に応じたエンジントルクに調整される。回転電機4は、円滑な等速回転を生じるので、エンジン1のアイドル振動が平滑化されるようになり、歯打ち音の防止が得られる。
【0039】
回転電機4の目標力行トルクは、負荷無し時のエンジントルク値と現在のエンジントルク値との差に基づくので、エンジン1のアイドルアップにおいても、その負荷分が回転電機4の出力トルクにより軽減され、エンジン回転速度およびエンジントルクが安定するため、歯打ち音を有効に防止できるのである。
【0040】
回転電機4の目標力行トルクについては、負荷無し時のエンジントルク値と現在のエンジントルク値との差に基づくのでなく、予め一定に設定することも考えられる。回転電機4のフリクション分のトルク値に設定の場合、回転電機4はフリクション分の目標力行トルクに駆動され、エンジン1のアイドル振動に回転電機4のフリクションが干渉することがなくなる。そのため、最小の目標力行トルクにより、歯打ち音の有効な防止が図れる。エンジンのアイドル振動を打ち消すに足る分の目標力行トルクに設定すると、歯車間の歯どうしは、回転電機4からの伝達トルクにより、互いの接触面が一定方向へ付勢される具合になり、回転電機4からの伝達トルクにエンジン1のアイドル振動が吸収され、歯打ち音を確実に防止できるのである。
【0041】
歯打ち音の防止処理(図3、参照)においては、回転電機4の出力トルクを目標力行トルクへ瞬間的に高めるのでなく、図6のように所定の過渡時間をかけて徐々に高める制御が行われるので、エンジントルクの調整に実エンジントルクの応答が遅れ、回転電機4からの伝達トルクにエンジン回転速度が乱れるようなこともない。つまり、エンジントルクの応答遅れに合わせるよう、回転電機4の出力トルクが徐々に変化するため、制御(回転電機4の発電制御から)の切り替えに伴う歯打ち音の発生も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を表すシステム概要図である。
【図2】同じく制御内容を説明する特性図である。
【図3】同じく制御内容を説明するフローチャートである。
【図4】同じく制御内容を説明する特性図である
【図5】同じく制御の説明図である。
【図6】同じく制御の説明図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 変速機
2a 変速機の入力軸
3 クラッチ
4 回転電機
4a 回転電機の入出力軸
5 ギヤボックス
6 変速機のコントロールユニット
7 チェンジレバー装置
8 クラッチアクチュエータ
9 蓄電要素(電気二重層キャパシタ)
10 ハイブリッドECU
11 インバータ
13 アクセル開度センサ
14 クラッチ位置センサ
15 エンジンECU
16 エンジン回転センサ
18 車速センサ
Claims (5)
- エンジンの出力軸と変速機の入力軸を断続するクラッチと、電動機と発電機を兼ねる回転電機と、回転電機の入出力軸と変速機の入力軸を連結する歯車伝達機構と、回転電機からの電力を蓄える蓄電要素と、を備える車両のハイブリッドシステムにおいて、車両が停止かつエンジンが運転状態かつ変速機がニュートラルかつクラッチが接続かつ蓄電要素への充電が必要ないときに回転電機を所定の目標力行トルクに制御する手段と、を備えたことを特徴とする車両のハイブリッドシステム。
- 回転電機を制御する手段は、エンジン回転速度の検出値から現在のエンジントルク値を求める手段と、現在のエンジントルク値とマップデータに基づく負荷なし時のエンジントルク値との差に相当するトルク値を所定の目標力行トルクに設定する手段と、を備えたことを特徴とする請求項1の記載に係る車両のハイブリッドシステム。
- 所定の目標力行トルクに回転電機のフリクション分のトルク値を設定する手段と、を備えたことを特徴とする請求項1の記載に係る車両のハイブリッドシステム。
- 所定の目標力行トルクにエンジンのアイドリング振動を打ち消すに足る分のトルク値を設定する手段と、を備えたことを特徴とする請求項1の記載に係る車両のハイブリッドシステム。
- 回転電機を制御する手段は、回転電機の力行トルクを所定の過渡時間をかけて目標力行トルクへ徐々に変化させるように制御する手段と、を備えたことを特徴する請求項1の記載に係る車両のハイブリッドシステム。
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