JP4005558B2 - 酸への炭化水素の酸化法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化水素、特に分岐状若しくは非分岐状飽和脂肪族炭化水素、シクロ脂肪族若しくはアルキル芳香族炭化水素及び/又はアルコール/ケトン化合物を酸又は多酸化合物に酸化するための方法に関する。
特に、本発明は、分子酸素を含む酸化剤によってシクロヘキサン及び/又はシクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノンをアジピン酸に酸化する方法に関する。
アジピン酸へのシクロヘキサンの酸化は、多年の間研究されてきた方法である。これは、アジピン酸が重合体例えばポリアミド、ポリエステル又はポリウレタンの製造の如き多くの製造プロセスにおいて出発材料として使用される重要な化合物であるからである。
ベンゼン、フェノール、シクロヘキセン又はシクロヘキサンの如き炭化水素からアジピン酸を製造するためのいくつかの方法が提供されている。
直接又は二段階でのシクロヘキサンの酸化は、アジピン酸を製造するための最も有益な経路である。
かくして、1940年12月に発行された米国特許2223493は、一般に酢酸を含む液相においてコバルト化合物の如き酸化触媒の存在下に酸素を含むガスを使用して環状炭化水素を少なくとも60℃の温度でその相当する二酸に酸化する方法を開示している。
多くの他の特許及び技術文献には、アジピン酸へのシクロヘキサンの直接酸化のためのこの反応が開示されている。しかしながら、アジピン酸の製造のための受け入れできる収率を得るためには、これらの文献は、均質触媒又は不均質触媒のどちらかの存在下に酢酸を溶剤として使用することを開示している。一例として、雑誌“Chemtech”、555−559(1974年9月)に見られる報文(この著者はケイ・タナカ氏であり、そしてシクロヘキサンの直接酸化法について要約し注釈している)を挙げることができる。また、種々の均質触媒系を開示する米国特許3231608、4032569、4158730、4263453及び5321157、並びにヨーロッパ特許870751を挙げることもできる。
また、ヨーロッパ特許519569におけるように、コバルト置換アルミノ燐酸塩の如き不均質触媒の存在下にシクロヘキサンを直接酸化する方法も提案されている。
溶剤、即ち、酢酸の選択は、シクロヘキサンの受け入れできる転化度及びアジピン酸の受け入れできる生成を得る際の重要な特徴である。かような溶剤の使用は、例えば、使用する温度及び圧力条件下でのその腐食性によってもたらされる多数の不利益を示す。更に、この溶剤の使用は、生成されるアジピン酸の分離及び抽出、並びに各化合物の再循環の段階において多くの問題を提起する。
これは、酢酸の存在下では、生成したシクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの如き酸化からの副生物化合物を反応混合物から分離抽出するのが困難であるからである。
加えて、晶出によるアジピン酸の抽出及びその精製は、この酸の常温下での溶解度が酢酸中では水中におけるよりも25℃においてより高くそして80℃ではより低いために困難にされている。
また、均質触媒の分離及び再循環は、酢酸の存在下では困難である。実際に、一方では、触媒を抽出せずにそれを循環することは、十分な触媒活性を保持するのを不可能にし、他方においては、特にフランス特許2722783及び2746671に開示されるように触媒を再循環前に分離する操作は複雑で且つ費用がかさむ。
更に、この溶剤は、反応混合物の困難で且つ費用のかかる脱水を実施することを必要とする。
また、酢酸を使用せずにシクロヘキサンを一段階でアジピン酸に酸化するためのいくつかの方法も提供されている。いくつかの方法はこの反応を溶剤の不在下に実施することを可能にしており、そして他のものは、有機エステル例えばアセテート(米国特許4098817)、アセトン(米国特許2589648)、ブタノール、メタノール、シクロヘキサノールの如きアルコール又はアセトニトリル(EP784045)のような溶剤で実施している。
これらの方法は、一般には、極めて低いアジピン酸選択率をもたらす。更に、使用する溶剤は、シクロヘキサンの如き炭化水素の酸化条件下に低い安定性を示す場合が多い。この低い安定性は溶剤の多くの消費をもたらし、しかして、かかる方法は使用不可能にされる。
米国特許第2223493号明細書 米国特許第3231608号明細書 米国特許第4032569号明細書 米国特許第4158730号明細書 米国特許第4263453号明細書 米国特許第5321157号明細書 ヨーロッパ特許第870751号明細書 ヨーロッパ特許第519569号明細書 フランス特許第2722783号明細書 フランス特許第2746671号明細書 米国特許第4098817号明細書 米国特許第2589648号明細書 EP784045号明細書 ケイ・タナカ著、雑誌"Chemtech"、555−559(1974年9月)
本発明の目的のうちの1つは、生成する酸の分離、及び受け入れできる収率での簡単な操作による触媒の再循環を可能にする酸化反応の条件下に液体である媒体中で酸又は多酸を生成するために炭化水素を一段階で酸化するための方法を提供することである。
この目的に対して、本発明は、置換若しくは非置換飽和脂肪族若しくはシクロ脂肪族炭化水素又はアルキル芳香族炭化水素を液体媒体中において分子酸素を含む酸化剤によって酸又は多酸に酸化する方法において、液体媒体の構成成分のうちの1つが次の一般式(I):
Figure 0004005558
[式中、
・Arは、芳香族環又は縮合形態のいくつかの芳香族環を含有する芳香族基を表わし、 ・nは、1、2又は3であってよい整数を表わし、
・Rは、次の一般式(II):
Figure 0004005558
(式中、R1、R2及びR3は同種又は異種であり、そして1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基又は弗素、塩素若しくは臭素原子を表わす)の基を表わす]の有機酸化合物であることを特徴とする酸化法を提供するものである。
本発明に従えば、酸化反応は、マグネシウム基材触媒の存在下に実施される。
本発明に従えば、一般式(I)の化合物は、有益にはt−ブチル基の如きt−アルキル基によって又はトリフルオル炭化水素基によって置換される安息香酸及びナフトエ酸の群から選択されるのが有益である。本発明に対して好適な酸としては、3,5−ジ−t−ブチル安息香酸、3,5−ジ−t−トリフルオルメチル安息香酸、4−トリフルオルメチル安息香酸及び4−t−ブチル安息香酸を挙げることができる。
これらの酸化合物は、酸化反応を実施するのに使用される温度及び圧力条件下に、酸化しようとする炭化水素と少なくとも一部分混和性であってよく、そして有益には、低い水溶性であってよく、即ち、室温(10℃〜30℃)において10重量%以下の溶解度を有してよい。
用語「少なくとも一部分混和性」とは、酸化反応の条件下に一方の化合物の他方の化合物中における溶解度が少なくとも2重量%よりも大きいこと、及び酸化しようとする炭化水素及び酸化合物の少なくとも一部分を含む均質液相が形成されることを意味すると理解されたい。
本発明の好ましい具体例では、炭化水素と上記酸化合物との間の混和性は、本発明の実施条件下でこれらの2種の化合物が単一の均質液相を形成するほどのものである。
しかしながら、酸化しようとする炭化水素より本質上なる反応媒体の有機相と、酸化中間体と、酸化反応中に形成される水を含む非有機相との間でこの化合物の分配係数が該水性相中で一般式(I)の有機化合物の10重量%未満の濃度を得るのを可能にするならば、先に記載したよりも大きい水溶解度を有する有機化合物を使用することが可能であり、しかも、これは本発明の範囲から逸脱しない。
本発明の他の特徴に従えば、反応媒体中の酸化合物の濃度は、酸のモル数と触媒を構成するマグネシウム金属のモル数との間の0.5〜100000好ましくは1〜5000のモル比を得るように決定される。
液体酸化媒体中の酸化合物の濃度は、広い範囲内で変動することができる。かくして、それは液体媒体の総重量に関して1〜99重量%であってよく、そしてそれはより有益には液体媒体の2〜50重量%であってよい。
しかしながら、特にアジピン酸への酸化反応の選択性及び/又は生産性、特に酸素の可溶化を向上させる作用を有することができる他の化合物と組み合わせて酸化合物を使用することも可能であり、これは本発明の範囲を逸脱しない。
かかる化合物の例としては、特に、ニトリル、ヒドロキシイミド化合物、ハロゲン化化合物、より有益には弗素化化合物を挙げることができる。より特に好適な化合物としては、アセトニトリル、ベンゾニトリルの如きニトリル、特許出願EP0824962に記載される群に属するイミド、より具体的には、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)又はN−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)、ハロゲン化誘導体、例えば、ジクロルメタン、弗素化化合物、例えば、
・ペルフルオルトルエン、ペルフルオルメチルシクロヘキサン、ペルフルオルヘキサン、ペルフルオルヘプタン、ペルフルオルオクタン、ペルフルオルノナン、ペルフルオルデカリン、ペルフルオルメチルデカリン、α,α,α−トリフルオルトルエン又は1,3−ビス(トリフルオルメチル)ベンゼンの如き環式若しくは脂環式弗素化若しくは過弗素化脂肪族炭化水素又は弗素化芳香族炭化水素、
・ペルフルオル(アルキルオクタノエート)又はペルフルオル(アルキルノナノエート)の如き過弗素化若しくは弗素化エステル、
・ペルフルオルアセトンの如き弗素化若しくは過弗素化ケトン又はエーテル、
・ペルフルオルヘキサノール、ペルフルオルオクタノール、ペルフルオルノナノール、ペルフルオルデカノール、ペルフルオル−t−ブタノール、ペルフルオルイソプロパノール又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオル−2−プロパノールの如き弗素化若しくは過弗素化アルコール、
・ペルフルオルアセトニトリルの如き弗素化若しくは過弗素化ニトリル、
・トリフルオルメチル安息香酸、ペンタフルオル安息香酸、ペルフルオルヘキサン酸、ペンタフルオルヘプタン酸、ペルフルオルオクタン酸、ペルフルオルノナン酸又はペルフルオルアジピン酸の如き弗素化若しくは過弗素化酸、
・ペルフルオルヨードオクタン又はペルフルオルブロムオクタンの如き弗素化若しくは過弗素化ハロゲン化物、
・ペルフルオルトリプロピルアミン、ペルフルオルトリブチルアミン又はペルフルオルトリフェニルアミンの如き弗素化若しくは過弗素化アミン、
を挙げることができる。
酸化は、触媒の存在下に実施される。この触媒は、触媒的活性金属元素としてマンガンを含む。
この触媒は、酸化反応の実施条件下に液体酸化媒体中に有益には少なくとも一部分可溶性の化合物の形態(均質触媒)か、又は例えばシリカ若しくはアルミナの如き不活性担体に担持、吸収若しくは結合された形態(不均質触媒)のどちらかで使用される。
触媒は、好ましくは、特に酸化反応の実施条件下に、
・酸化しようとする炭化水素に可溶性であるか、又は
・酸化合物に可溶性であるか、又は
・反応の実施条件下に均質液相を構成する炭化水素/酸化合物に可溶性であるか、
のどちらかである。
本発明の好ましい具体例に従えば、使用する触媒は、室温で又はこれらの媒体を新規な酸化に再循環するための温度でこれらの媒体のうちの1つに可溶性である。
用語「可溶性」とは、触媒が考慮する媒体に少なくとも一部分可溶性であることを意味すると理解されたい。
不均質触媒の場合には、触媒的活性金属元素は、微孔質−若しくはメソ孔質無機マトリックスに又は重合体マトリックスに担持若しくは組み込まれ、又は有機若しくは無機担体にグラフトされた有機金属錯体の形態にある。用語「組み込まれ」とは、金属が担体の元素であること、又は酸化条件下に多孔質構造中に立体的に捕捉される錯体を使用して操作が実施されることを意味すると理解されたい。
本発明の好ましい具体例では、均質又は不均質触媒は、マンガンの塩又は錯体より構成される。液体酸化媒体中のマンガンの重量として表わされる金属の重量濃度は、有益には10ppm以上、好ましくは50ppm〜25000ppm、より有益には50ppm〜5000ppmである。
本発明は、シクロヘキサン又はシクロドデカンの如きシクロ脂肪族炭化水素をその対応する線状二酸、アジピン酸及びドデカン酸に酸化する方法に特に適合する。
本発明の好ましい具体例に従えば、それは、シクロヘキサンを液体媒体中でマンガン触媒の存在下に酸素を含むガスによって直接酸化してアジピン酸にする方法に関する。
酸化反応は、50℃〜200℃好ましくは70℃〜180℃の温度で実施される。それは、大気圧で実施されることができる。しかしながら、それは、一般には、反応媒体の成分を液体の形態に保つために加圧下に実施される。この圧力は、10kPa(0.1バール)〜20000kPa(200バール)、好ましくは100kPa(1バール)〜10000kPa(100バール)であってよい。
使用する酸素は、純粋形態で、又は窒素若しくはヘリウムの如き不活性ガスとの混合物であってよい。また、酸素で多かれ少なかれ富化された空気を使用することもできる。媒体中に供給される酸素の量は、有益には、酸化しようとする化合物1モル当たり1〜1000モルである。
酸化プロセスは、連続式で又はバッチ式で実施することができる。反応器から出た液体反応媒体は、一方においては生成した二酸を分離回収することを可能にし、他方においてはシクロヘキサン、シクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノンの如き非酸化又は部分酸化有機化合物、触媒及び酸化合物を再循環するのを可能にする公知の方法に従って処理されるのが有益である。
触媒は、マンガンの他に、コバルト、銅、セリウム、臭素、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ハフニウム及びこれらの元素のうちのいくつかの組み合わせよりなる群から選択される金属を基材とする他の化合物も含むことができる。マンガンをコバルトの如き元素と組み合わせるのが特に有益である。
また、例えば、ケトン、アルデヒド又はヒドロペルオキシドの如き酸化反応を開始する化合物を使用することも有益である。シクロヘキサンの酸化の場合における反応中間体であるシクロヘキサノン及びシクロヘキシルヒドロペルオキシドが特に挙げられる。この開始剤は、一般には、使用する反応混合物の重量の0.01重量%〜20重量%を占めるが、これらの割合は臨界的な値を有さない。開始剤は、特に酸化の開始時に有用である。それは、反応の開始から導入することができる。
また、酸化は、プロセスの初期段階から導入される水の存在下に実施することもできる。
先に記載したように、酸化から生じる反応混合物は、その成分のうちのいくらかの分離のための種々の操作を受けて、例えば、それらの酸化反応への再循環及び生成した酸の回収が可能になる。
本法の第一別法の形態に従えば、粗反応混合物は、先ず第一に、例えば16℃〜30℃の温度への冷却(これは、形成した酸の少なくとも一部分の晶出を生じる)を受けることができる。かくして、酸より本質上なる固体相と、本質上酸化しようとする未反応化合物、随意細分としての溶解した酸化合物及び酸化中間体を含む少なくとも1つの液体有機相(又は、酸化合物及び炭化水素が低温において完全混和性でない場合には、いくつかの有機相)と、本質上酸化からの酸副生物及び生成した水を含む液体水性相とを含む媒体が得られる。触媒は、それが有機相に可溶性であるならば、有機相のうちの1つに、又はそれよりも下方の相にありうる。
固体のろ過又は遠心分離後に、必要ならば、ろ液又は遠心分離液を構成する有機相及び水性液相の沈降による分離が実施される。この有機相は、更なる酸化反応において再循環させることができる。
酸を晶出する操作に先立って、反応混合物を濃縮することは有益になる場合がる。
本法の第二別法の形態に従えば、最終粗反応混合物は、熱条件下に、例えば75℃に達しうる温度で抜き出すことができる。次いで、反応混合物は、沈降によって、少なくとも2つの液相、即ち、本質上未反応炭化水素、酸化合物及び酸化中間体を含む1つ又はそれ以上の有機層と、本質上生成した酸及び生成した水を含む液体水性相とに分離する。触媒の溶解度及び性状に従って、触媒は有機相に存在することができ、そして不均質触媒の場合には形成した酸の沈殿若しくは晶出の前に固/液分離によって回収することができ、又は水性相中に可溶性であるならば樹脂よる液/液抽出若しくは電気透析にによって抽出することができる。
第一別法の形態におけるように、液相は、沈降によって分離される。この有機相は、更なる酸化反応に再循環させることができる。
これらの具体例では、本発明に従って使用する酸化合物は、一般には、有機相の必須成分中に存在し又は必須成分を形成する。従って、形成した酸の分離、そして随意としての生成した水を含む液相の分離後に、酸化副生物、触媒及び酸化合物は非酸化炭化水素及び酸化中間体と共に酸化段階に再循環される。
更に、酸化合物が反応媒体の処理段階で固体であるならば、それは、生成した酸を回収するための反応媒体の処理前に又は生成した酸と共に、固/液分離プロセスを使用することによって分離回収されるのが好ましい。後者の場合には、生成した酸は、水による抽出によって回収することができる。
酸化合物の回収はほとんど完全であること、即ち、酸化合物の極めて少量(これは、実際には測定できない)が反応中に転化され又は分離したアジピン酸と共に運ばれることが注目に値する。かくして、酸化合物の回収率は、97%よりも高い。
本発明のこれらの実施例では、酸化からの酸副生物のより良好な溶解及び生成した酸のより良好な回収を得るために水を反応媒体に添加することができる。
酸は、一般には、反応媒体の冷却中に沈殿によって回収される。かくして回収された酸は、多くの特許に開示される通常の技術に従って精製することができる。一例として、フランス特許2749299及び2749300を挙げることができる。
非有機又は水性液相が触媒を含むならば、後者は、生成した酸の晶出前に液/液抽出、電気透析若しくはイオン交換樹脂による処理の如き公知のプロセスに従った沈殿若しくは抽出によって、又は生成した酸の晶出後に上記の抽出技術若しくは類似技術によって抽出される。
本発明の他の利益及び詳細は、単に表示及び例示として以下に記載した実施例に照らしてより一層明らかになるであろう。
例1
リングヒーターによって加熱するための手段、タービン、ガス導入手段及び圧力調整手段を備えた125mlのチタンオートクレーブに、次の物質、
・0.0344gのMn(acac)3(Mnとして表わして107ppm)(acac:アセチルアセトネート)、
・0.5594g(5.71ミリモル)のシクロヘキサノン、
・45.0965g(536.9ミリモル)のシクロヘキサン、
・5.0157g(28.17ミリモル)の4−t−ブチル安息香酸、
を仕込む。
反応器を閉じた後、1000回転/分で撹拌を適用し、125バールの空気(20℃で)を導入し、そして加熱を開始する。内部温度は10分で140℃に達し、そしてこれを25分間維持する。冷却及び減圧後、反応器を開く。反応混合物は、シクロヘキサン及び沈殿を含む相からなる。全体を酢酸中に溶解し、そして有機生成物をガスクロマトグラフィーによって内部標準を使用して分析する。
シクロヘキサンの転化度(DC)は7.17%である。分析の結果を以下の表Iに記載する。
Figure 0004005558
t−ブチル安息香酸は、試験の終わりに定量分析される。
ST%=転化されるシクロヘキサンに対して最初の欄に記載の化合物の選択率
DC%=シクロヘキサンの転化度
例2〜6
加熱手段を備えた30mlのC22合金オートクレーブに、次の物質、
・0.0033gのMn(acac)3(Mnとして表わして106ppm)(acac:アセチルアセトネート)、
・0.0585g(0.597ミリモル)のシクロヘキサノン、
・5.00g(58.9ミリモル)のシクロヘキサン、
・シクロヘキサンに対して2モル%の酸化合物、
を仕込み、そして振盪によって撹拌する。
反応器を閉じそして撹拌下に置いた後、100バールの空気(20℃で)を導入し、そして加熱を開始する。かくして、反応器を120℃で3時間撹拌する。冷却及び減圧後、反応器を開く。反応混合物は、シクロヘキサン及び沈殿を含む相からなる。全体を酢酸中に溶解し、そして有機生成物をガスクロマトグラフィーによって内部標準を使用して分析する。
使用した各酸化合物について、試験の終わりにおける生成物の分析に基づくシクロヘキサンの転化度(DC)を表IIに記載する。
Figure 0004005558
例7〜10
加熱手段を備えた30mlのC22合金オートクレーブに、次の物質、
・以下の表IIIに記載のMnのppmとして表わした触媒を得るためのx gのMn(acac)3
・0.0525gのシクロヘキサノン、
・4.5gのシクロヘキサン、
・0.500gの4−t−ブチル安息香酸、
を仕込み、そして振盪によって撹拌する。
反応器を閉じそして撹拌下に置いた後、100バールの空気(20℃で)を導入し、そして加熱を開始する。かくして、反応器を120℃で3時間撹拌する。冷却及び減圧後、反応器を開く。反応混合物は、シクロヘキサン及び沈殿を含む相からなる。全体を酢酸中に溶解し、そして有機生成物をガスクロマトグラフィーによって内部標準を使用して分析する。
種々の触媒濃度について、シクロヘキサンのDC及びアジピン酸のSTを表IIIに記載する。
Figure 0004005558
例11
加熱手段を備えた180mlのチタンオートクレーブに、次の物質、
・0.0154gのMn(acac)3(acac:アセチルアセトネート)、
・0.0066gのCo(acac)3
・0.5089gのシクロヘキサノン、
・45.085gのシクロヘキサン、
・5.002gの4−t−ブチル安息香酸、
を仕込む。
反応器を閉じた後、1000回転/分で撹拌を適用し、106バールの空気(20℃で)を導入し、そして加熱を開始する。内部温度は10分で130℃に達し、そしてこれを30分間維持する。冷却及び減圧後、反応器を開く。反応混合物は、シクロヘキサン及び沈殿を含む相からなる。全体を酢酸中に溶解し、そして有機生成物をガスクロマトグラフィーによって内部標準を使用して分析する。
シクロヘキサンの転化度(DC)は7.8%である。試験の終わりに分析した生成物の量を以下に記載する。
・アジピン酸:2.61g
・グルタル酸:0.48g
・コハク酸:0.13g
・シクロヘキサノール:1.37g
・シクロヘキサノン:0.61g
例12
次の物質:
・0.0158gのMn(acac)3(acac:アセチルアセトネート)、
・0.0060gのCo(acac)3
・0.5164gのシクロヘキサノン、
・45.109gのシクロヘキサン、
・5.07gの4−t−ブチル安息香酸、
を使用して試験11を反復する。
反応器を閉じた後、1000回転/分で撹拌を適用し、75バールの空気(20℃で)を導入し、そして加熱を開始する。予備の純酸素の助けを借りて維持した20バールの酸素分圧で反応器の圧力を100バールに維持する。内部温度を130℃で40分間維持する。冷却及び減圧後、反応器を開く。反応混合物は、シクロヘキサン及び沈殿を含む相からなる。全体を酢酸中に溶解し、そして有機生成物をガスクロマトグラフィーによって内部標準を使用して分析する。
シクロヘキサンの転化度(DC)は10.1%である。試験の終わりに分析した生成物の量を以下に記載する。
・アジピン酸:3.94g
・グルタル酸:0.71g
・コハク酸:0.201g
・シクロヘキサノール:1.4g
・シクロヘキサノン:0.51g
例13
次の物質:
・0.0144gのMnBr2・4H2O、
・0.0095gのCo(acac)3
・0.5050gのシクロヘキサノン、
・45.018gのシクロヘキサン、
・5.037gの4−t−ブチル安息香酸、
を使用して試験11を反復する。
反応器を閉じた後、1000回転/分で撹拌を適用し、75バールの空気(20℃で)を導入し、そして加熱を開始する。予備の純酸素の助けを借りて維持した20バールの酸素分圧で反応器の圧力を100バールに維持する。内部温度を130℃で30分間維持する。冷却及び減圧後、反応器を開く。反応混合物は、シクロヘキサン及び沈殿を含む相からなる。全体を酢酸中に溶解し、そして有機生成物をガスクロマトグラフィーによって内部標準を使用して分析する。
シクロヘキサンの転化度(DC)は7.8%である。試験の終わりに分析した生成物の量を以下に記載する。
・アジピン酸:2.71g
・グルタル酸:0.48g
・コハク酸:0.13g
・シクロヘキサノール:1.38g
・シクロヘキサノン:0.74g

Claims (20)

  1. 置換シクロ脂肪族炭化水素を液体媒体中において分子酸素を含む酸化剤によって酸又は多酸に酸化する方法において、マンガン基材触媒、及び次の一般式(I):
    Figure 0004005558
    [式中、
    ・Arは、芳香族環又は縮合形態のいくつかの芳香族環を含有する芳香族基を表わし、
    ・nは、0、1、2又は3であってよい整数を表わし、
    ・Rは、次の一般式(II):
    Figure 0004005558
    (式中、R1、R2及びR3は同種又は異種であり、そして1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基又は弗素、塩素若しくは臭素原子を表わす)の基を表わす]の有機酸化合物の存在下に反応を実施することを特徴とする酸化法。
  2. 酸化しようとする炭化水素が、酸化反応の実施条件下に酸化合物と少なくとも一部分混和性であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 酸化合物が安息香酸及びナフトエ酸よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 安息香酸及びナフトエ酸がt−アルキル又はフルオロカーボン基によって置換されることを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 酸化合物が、3,5−ジ−t−ブチル安息香酸、3,5−ジトリフルオルメチル安息香酸、4−トリフルオルメチル安息香酸及び4−t−ブチル安息香酸よりなる群から選択されることを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
  6. 液体媒体中の酸化合物の重量百分率が液体媒体の総重量に対して1〜99重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. 重量百分率が2〜50重量%であることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 触媒が、酸化反応の実施条件下に液体媒体に可溶性であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
  9. 触媒が、酸化反応の実施条件下に液体媒体に不溶性であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
  10. 触媒が無機又は重合体担体を含む担持触媒であることを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 酸化しようとする炭化水素が、シクロドデカンであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  12. 生成される酸が、ドデカン二酸であることを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. 酸化後の液体媒体が、沈降によって、非酸化炭化水素及び酸化合物によって形成される少なくとも1つの有機相と、生成した酸を含有する少なくとも1つの水性相とに分離され、そしてその有機相が更なる酸化に再循環されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
  14. 酸が水性相から晶出によって抽出されることを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 触媒が有機相と共に再循環されることを特徴とする請求項9〜13又は14のいずれか一項記載の方法。
  16. 触媒が、液体媒体から沈降分離又は固/液分離によって分離されることを特徴とする請求項10〜13又は14のいずれか一項記載の方法。
  17. 水性相に可溶性の触媒が、液/液抽出、樹脂による分離又は透析によって抽出されることを特徴とする請求項13又は14記載の方法。
  18. 触媒がマンガン及びコバルトを含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
  19. 酸化媒体中においてマンガンとして表わされる触媒の濃度が10ppm以上であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
  20. 酸化媒体中においてマンガンとして表わされる触媒の濃度が10ppm〜5000ppmであることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
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