JP4005221B2 - 時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置及び防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置及び防止装置に関し、特に、デジタルコードレス電話及び簡易型携帯電話(以下、「PHS」と称する)等のディジタル無線方式を使用して複数の基地局と複数の移動局との間で時分割多元接続を行う無線装置における干渉検出装置及び防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の基地局と複数の移動端末局との間で時分割多元接続を行う無線装置の一例としてデジタルコードレス電話システムがあり、具体的には図4に示すように構成されている。即ち、第1基地局1は、図示しないPBX(交換機)等に有線または無線で一端が結合された接続ライン2の他端に接続され、その送受領域は第1基地局1を中心とする略円形の第1エリア3となっている。
【0003】
また、第1基地局1に隣り合って第2基地局4が設けられ、この第2基地局4にも図示しないPBX(交換機)等に有線または無線で一端が結合された接続ライン5の他端に接続され、その送受領域は前述の第1エリア3に一部が重なり合う第2エリア6となっている。
従って、第1エリア3と第2エリア6の中で移動端末機器7による所定の双方向通信を行うことができる。
【0004】
なお、この例は、接続ライン2と接続ライン5のそれぞれが接続される第1基地局1と第2基地局4の間にはシステム間同期(フレーム同期)が確立されていない場合である。
【0005】
この場合、移動端末局7が符号aで示す場所に位置する場合の双方向通信は、第1基地局1による第1エリア3の範囲を外れていて第2基地局4による第2エリア6のみに位置するので第1基地局1は通話エリア外となり第2基地局4とのみ通話可能となる。
【0006】
また、移動端末局7が符号cで示す場所に位置する場合の双方向通信は、第2基地局4による第2エリア6の範囲を外れていて第1基地局1による第1エリア3のみに位置するので第2基地局4は通話エリア外となり第1基地局1とのみ通話可能となる。
【0007】
一方、移動端末局7が符号bで示す場所に位置するときの双方向通信は、第1基地局1による第1エリア3の範囲と第2基地局4による第2エリア6の重なりあった範囲に位置するので、第1基地局1による送受信電波Aと第2基地局4による送受信電波Bの両方に対して双方向通信することができる。
【0008】
従って、移動端末局7が符号bで示す場所に位置するときの双方向通信は、第1基地局1の第1電波Aと第2基地局4の第2電波Bの両方が関与することになり、第1電波Aが希望波となり第2電波Bが妨害波となったり、逆に第2電波Bが希望波となり第1電波Aが妨害波になってしまう場合が存在する。
【0009】
このために、第1基地局1と第2基地局4からのそれぞれの電波のうちの望ましい方の電波を用いて双方向通信を行うように基地局の選択を行っている。
【0010】
このチャネル切替は、第1基地局1から誤り訂正符号が付加された送信電波(送受信電波A)が移動端末局7に送信され、移動端末局7でこれを受信し、図5に示すような手順で行われる。具体的には、先ずステップS1で受信された誤り訂正符号に基づくフレーム誤り数が一定時間毎、例えば1.2秒毎に検出される。次のステップS2でフレーム誤り数の移動平均計算が行われて移動平均値が求められ、フレームエラー数FER(図6参照)が求められる。次のステップS3で所定のしきい値F1(図6参照)を越えているか否かが判定され、NOの場合には、フレームエラー数FERが少なく満足の行く送受信が行えるために、移動端末局7の送受信制御等々を行うための正規のステップSに移行する。
【0011】
一方、ステップS3でYESの場合には、フレームエラー数FERが多くデータ誤りや各種の通信障害を受ける可能性が大であるためにステップS4に移行して現在使用中の通話チャネルを他のチャネル、例えば現在使用中のチャネルが第1基地局1による送受信電波Aであった場合には、第2基地局4による送受信電波Bに切り替えたり、または、現在使用中のチャネルが第2基地局4による送受信電波Bであった場合には、第1基地局1による送受信電波Aに切り替えを行うことによって満足の行く送受信を行うことができる。
【0012】
従って、現在使用中の通話チャネルを他のチャネルに切り替える場合は、図7に示すようにフレームエラー数FERが所定のしきい値F1を越えている斜線範囲となり、この範囲が電波干渉による悪影響を防止できる範囲となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来の時分割多元接続の無線装置における干渉防止装置は、電波干渉による悪影響を防止できる範囲は、図6と図7に示すようにフレームエラー数FERが所定のしきい値F1を連続的に越えた場合であり、殆どの場合に電波干渉防止を図ることができる。
【0014】
しかし、図8に示すように、所定のしきい値F1未満の少ないフレームエラーが連続して発生した場合には、現在使用されている通話チャネルを他の通話チャネルに切り替える動作が行われない。
【0015】
従って、通話にノイズが乗ったりデータ誤りが生じる可能性が高くなり円滑な送受信を行えなくなる虞がある。
【0016】
なお、所定のしきい値F1を非常に小さく設定すれば、少しでもフレームエラーが生じたときに現在使用されている通話チャネルを他の通話チャネルに切り替える動作を行うことが考えられるが、このようにすると、通話チャネルの切り替えが頻繁に行われ、回線トラフィックを著しく阻害し本来の通信機能を達成することができないため、問題の解決策とはなり得ないものである。
【0017】
そこで、本発明の目的は、現在使用されている通話チャネルを他の通話チャネルに切り替える動作を極めて頻繁に行なって本来の通信機能を阻害することなく、良好な通話とエラーの極めて少ないデータ伝送を行うことができる時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置及び防止装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、本発明による時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置及び防止装置は、次のような特徴的構成を採用している。
【0019】
(1)複数の通話チャネルを有して時分割多元接続された複数の基地局と複数の移動端末局との間で、誤り検出符号または誤り訂正符号が付加された送信信号を受信し、該受信された誤り検出符号または誤り訂正符号に基づくフレーム誤り数を一定時間毎に検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたフレーム誤り数またはフレーム誤り数の移動平均値が第1しきい値を越えたことを判定する第1の判定手段と、
前記検出手段により検出されたフレーム誤り数またはフレーム誤り数の移動平均値が前記第1しきい値より小さく設定された第2しきい値を越えたことを判定する第2の判定手段と、
前記検出手段により検出された今回のフレーム誤り数と前回のフレーム誤り数との差分の移動平均値が所定の差分しきい値以下であることを判定する第3の判定手段と、
前記第1〜第3の判定手段による判定結果に基づいて干渉を検出する干渉検出手段と、
を具備する時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置。
【0020】
(2)複数の通話チャネルを有して時分割多元接続された複数の基地局と複数の移動端末局との間で、誤り検出符号または誤り訂正符号が付加された送信信号を受信し、該受信された誤り検出符号または誤り訂正符号に基づくフレーム誤り数を一定時間毎に検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたフレーム誤り数またはフレーム誤り数の移動平均値が第1しきい値を越えたことを判定する第1の判定手段と、
前記検出手段により検出されたフレーム誤り数またはフレーム誤り数の移動平均値が前記第1しきい値より小さく設定された第2しきい値を越えたことを判定する第2の判定手段と、
前記検出手段により検出された今回のフレーム誤り数またはフレーム誤り数のと前回のフレーム誤り数との差分の移動平均値が所定の差分しきい値以下であることを判定する第3の判定手段と、
前記第1の判定手段による判定、または前記第3の判定手段による判定を満たしたときに、前記複数の通話チャネルのうちの現在使用されている通話チャネルを他の通話チャネルに切り替えるチャネル切替手段と、
を具備する時分割多元接続の無線装置における干渉防止装置。
【0021】
(3)前記第1の判定手段は、前記検出手段により検出されたフレーム誤り数またはフレーム誤り数の移動平均値が前記第1しきい値を所定回数以上に連続して越えたことを判定する上記(1)または(2)の時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置または干渉防止装置。
【0022】
(4)前記検出手段は、1.2秒毎にフレーム誤り数を検出することを特徴とする上記(1)、(2)または(3)の時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置または干渉防止装置。
【0023】
(5)前記複数の通話チャネルは、音声送受データと文字データと画像データの少なくとも1つのデータで形成されている上記(1)ないし(3)のいずれかの時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置または干渉防止装置。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置及び防止装置が適用できるPHSの移動端末局7の概略構成を示すブロック回路図であり、この移動端末局7は、従来の技術の項で説明した図4に示す全体システム図に用いられるものである。
【0025】
移動端末局7は、無線部7aとベースバンド部7bと制御部7cで構成され、この無線部7aは、複数の通話チャネルを有して時分割多元接続された複数の基地局と複数の移動端末局7,7…との間で、基地局から送信される「誤り検出符号または誤り訂正符号が付加された送信信号」を受信し、逆に基地局に対して通話音声信号等を送信するためのものである。
【0026】
また、ベースバンド部7bには、無線部7aで受けられた受信信号に含まれるUW(ユニークワード)の検出できなかったスロット及びCRCエラーが検出されたときにフレーム誤りとしてその数を一定時間(例えば1.2秒)毎に計数する機能がある。また、検出されたフレーム誤り数FERが第1しきい値F1を越えたことを判定する第1の判定手段と、検出されたフレーム誤り数FERの移動平均値が第1しきい値F1より小さく設定された第2しきい値F2を越えたことを判定する第2の判定手段と、検出された今回のフレーム誤り数と前回のフレーム誤り数との差分移動平均値が所定の差分しきい値D1以下であることを判定する第3の判定手段とを有している。
【0027】
制御部7cは、中央処理装置が設けられ、この中央処理装置により送受信制御等の制御を複合的に行わせるための実行プログラムには、前述の第1ないし第3の判定手段を実行させるプログラムを包含させてある。さらに、その実行プログラムには、検出手段と前記チャネル切替手段を実行させるプログラムも包含されている。
【0028】
さらに、この制御部7cには、記第1の判定手段による判定、または、第3の判定手段による判定を満たしたときに、前記複数の通話チャネルのうちの現在使用されている通話チャネルを他の通話チャネルに切り替えるためのチャネル切替手段を有している。
【0029】
移動端末局7による送受信を形成する複数の通話チャネルは、音声送受データと文字データと画像データの少なくとも1つのデータで形成されている。
【0030】
従って、その要部の動作は、従来の技術の項で説明した図5に示すフローチャートのステップS3とステップSの間と、ステップS3とステップS4の間にステップS6からステップS9でなるステップS5を追加したものとなる。
【0031】
具体的には、ステップS3の次のステップS6で、ベースバンド部7bで検出されたフレーム誤り数の移動平均値が第1しきい値F1より小さく設定された第2しきい値F2(図3参照)を越えたことを判定し、NOの場合には正規のステップSを実行する。
【0032】
一方、ステップS6がYESの場合には、次のステップS7に移行し、今回のフレーム誤り数と前回のフレーム誤り数との差分が計算され、次のステップS8でその差分の移動平均値が計算され、次のステップS9で差分の移動平均値が所定の差分しきい値D1(図3参照)以下であることを判定する。
【0033】
ステップS9でNOの場合には、連続的なフレームエラーが発生していないため満足の行く送受信が行えるので、移動端末局7の送受信制御等々を行うための正規のステップSに移行する。
【0034】
一方、ステップS9がYESの場合には、連続的にフレームエラーが発生してデータ誤りや各種の通信障害を受けているためにステップS4に移行して現在使用中の通話チャネルを他のチャネル、例えば現在使用中のチャネルが第1基地局1による送受信電波Aであった場合には、第2基地局4による送受信電波Bに切り替えたり、または、現在使用中のチャネルが第2基地局4による送受信電波Bであった場合には、第1基地局1による送受信電波Aに切り替えを行うことによって満足の行く送受信を行うことができる。
【0035】
従って、現在使用中のチャネルが切り替えられるのは、図3に示すようにフレームエラー数FERが所定のしきい値F1を越えている従来同様の斜線範囲と、それに連続するフレームエラー数FERが所定のしきい値F1を下回り、かつ、今回のフレーム誤り数と前回のフレーム誤り数との差分移動平均値が所定の差分しきい値D1以下である領域まで拡大される。
【0036】
これは、従来の技術の項で説明した図8に示すように所定のしきい値F1未満の少ないフレームエラーが連続して発生した場合に、現在使用されている通話チャネルを他の通話チャネルに切り替える動作が従来は行われなかった領域まで本発明の実施の形態では行われることになる。
【0037】
よって、従来のように当該領域では通話チャネルの切り替えが行われないことに起因する問題がなくなり、通話にノイズが乗ったりデータ誤りが生じる可能性が殆どなく円滑な送受信を行うことができる。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、前述の第1ないし第3の判定手段による判定、または、前記第3の判定手段による判定を満たしたときに、前記複数の通話チャネルのうちの現在使用されている通話チャネルを他の通話チャネルに切り替えるように構成されているので、所定のしきい値未満の少ないフレームエラーが連続して発生した場合においても、現在使用されている通話チャネルを他の通話チャネルに切り替える動作が行われるので、通話にノイズが乗ったりデータ誤りが生じる虞がなく、円滑な送受信を行なうことができる。
【0039】
従って、現在使用されている通話チャネルを他の通話チャネルに切り替える動作を極めて頻繁に行なって本来の通信機能を阻害することなく、良好な通話とエラーの極めて少ないデータ伝送を行うことができる時分割多元接続の無線装置における干渉防止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置及び防止装置が適用される移動端末局のブロック回路図である。
【図2】図1に示される移動端末局の動作を示すタイムチャートである。
【図3】図1に示される移動端末局の通話チャネルの切り替え可能範囲を示す線図である。
【図4】従来および本発明による時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置及び防止装置を適用できるコードレス電話システムの概略システムの構成図である。
【図5】従来の移動端末局の動作を示すタイムチャートである。
【図6】フレーム誤り数の検出例を示す測定図である。。
【図7】従来の移動端末局の通話チャネルの切り替え可能範囲を示す線図である。
【図8】本発明で検出可能なフレーム誤り数の検出例を示す図である。
【符号の説明】
1 第1基地局
2 接続ライン
3 第1エリア
4 第2基地局
5 接続ライン
6 第2エリア
7 移動端末機器
7a 無線部
7b ベースバンド部
7c 制御部
Claims (5)
- 複数の通話チャネルを有して時分割多元接続された複数の基地局と複数の移動端末局との間で、誤り検出符号または誤り訂正符号が付加された送信信号を受信し、該受信された誤り検出符号または誤り訂正符号に基づくフレーム誤り数を一定時間毎に検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたフレーム誤り数またはフレーム誤り数の移動平均値が第1しきい値を越えたことを判定する第1の判定手段と、
前記検出手段により検出されたフレーム誤り数またはフレーム誤り数の移動平均値が前記第1しきい値より小さく設定された第2しきい値を越えたことを判定する第2の判定手段と、
前記検出手段により検出された今回のフレーム誤り数と前回のフレーム誤り数との差分の移動平均値が所定の差分しきい値以下であることを判定する第3の判定手段と、
前記第1〜第3の判定手段による判定結果に基づいて干渉を検出する干渉検出手段と、
を具備することを特徴とする時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置。 - 複数の通話チャネルを有して時分割多元接続された複数の基地局と複数の移動端末局との間で、誤り検出符号または誤り訂正符号が付加された送信信号を受信し、該受信された誤り検出符号または誤り訂正符号に基づくフレーム誤り数を一定時間毎に検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたフレーム誤り数またはフレーム誤り数の移動平均値が第1しきい値を越えたことを判定する第1の判定手段と、
前記検出手段により検出されたフレーム誤り数またはフレーム誤り数の移動平均値が前記第1しきい値より小さく設定された第2しきい値を越えたことを判定する第2の判定手段と、
前記検出手段により検出された今回のフレーム誤り数またはフレーム誤り数のと前回のフレーム誤り数との差分の移動平均値が所定の差分しきい値以下であることを判定する第3の判定手段と、
前記第1の判定手段による判定、または前記第3の判定手段による判定を満たしたときに、前記複数の通話チャネルのうちの現在使用されている通話チャネルを他の通話チャネルに切り替えるチャネル切替手段と、
を具備することを特徴とする時分割多元接続の無線装置における干渉防止装置。 - 前記第1の判定手段は、前記検出手段により検出されたフレーム誤り数またはフレーム誤り数の移動平均値が前記第1しきい値を所定回数以上に連続して越えたことを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置または干渉防止装置。
- 前記検出手段は、1.2秒毎にフレーム誤り数を検出することを特徴とする請求項1、2または3に記載の時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置または干渉防止装置。
- 前記複数の通話チャネルは、音声送受データと文字データと画像データの少なくとも1つのデータで形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の時分割多元接続の無線装置における干渉検出装置または干渉防止装置。
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