JP4005156B2 - 高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオード - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は電力用半導体デバイスとして特に二端子素子としてのダイオードの分野に関し、特に静電誘導効果を利用するダイオードにおいて、ウエハ端部における素子破壊を抑制するためにウエハ端部における電流密度を下げ、逆回復時の素子破壊を抑制し、主ダイオード部の性能を充分に引き出すことのできる高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードに関する。
【0002】
【従来の技術】
静電誘導効果を利用する構造をアノード側もしくはカソード側或いは両方の側において設定する静電誘導ダイオードについては、乾田、西澤、玉蟲により「pn接合ダイオード」特開平1−91475号公報において開示されている。
【0003】
また、高抵抗層内にキャリアのライフタイム分布を持たせアノード領域,カソード領域近傍はライフタイムを長く設定して静電誘導効果を顕著に働かせるとともにアノード領域,カソード領域から離隔するに従ってライフタイムを徐々に短く設定する特徴を有し、アノード領域,カソード領域の一方もしくは両方の領域に静電誘導効果を利用したプレーナ構造を設定し、比較的構造が簡単でかつ高速化・低損失化,高耐圧化を達成できるプレーナ構造を有する静電誘導ダイオードについては玉蟲、村岡により「プレーナ構造を有する静電誘導ダイオード」特開平6−29558号公報において開示されている。
【0004】
また、高抵抗層内にキャリアのライフタイム分布を持たせアノード領域,カソード領域近傍はライフタイムを長く設定して静電誘導効果を顕著に働かせるとともにアノード領域,カソード領域から離隔するに従ってライフタイムを徐々に短く設定するかU字もしくはV字形状に設定する特徴を有し、アノード領域,カソード領域の一方もしくは両方の領域に静電誘導効果を利用した埋込み構造もしくは切込み構造を設定し、構造上大容量(大電流,高耐圧)化が容易で、かつ高速化・低損失化を達成できる埋込み構造もしくは切込み構造を有する静電誘導ダイオードに関しては玉蟲、村岡により「埋込み構造もしくは切込み構造を有する静電誘導ダイオード」特開平6−37335号公報において開示されている。
【0005】
また同様の静電誘導効果を利用した構造を有し、少数キャリアのライフタイムコントロールを極力抑えながら、高速の逆回復特性を有すると共に、リーク電流の発生を抑えた良好な逆方向電流電圧特性を有する高耐圧ダイオードについては、プレーナ構造について由良により「高速ダイオード」特願平7−53237号に開示され、埋込み構造について西澤、由良により「ダイオード」特願平7−245201号に開示されている。
【0006】
図10乃至図12は従来型ダイオードの模式的断面構造図を示し、図10は平面型pinダイオード、図11はプレーナ構造を有するSIダイオード、図12は埋込み構造を有するSIダイオードである。図12の構造については、特に上記特願平7−245201号に開示されている通りである。図10乃至図12において各部の構造上は同一領域に対しては同一の参照番号を用いて示す。即ち、図10乃至図12において、1は表面pエミッタ層、2は埋込みpエミッタ層、3はnエミッタ層、4は高抵抗半導体基板であって、n- ベース層、11はアノード電極、12はカソード電極、23はnエピタキシャル層を示す。
【0007】
図10及び図11はカソード電極12及びアノード電極11間半導体領域(3,4,1)の厚さはl1 であるが、図12の構造では、埋込みpエミッタ層2と表面pエミッタ層1の間に介在するnエピタキシャル層23の厚さ分だけ半導体領域(3,4,2,23,1)の厚さl2 は厚く形成されている。図10乃至図11はいずれも模式的構造を示しているが、図12に示す埋込みpエミッタ層2を有する構成によって、図11のプレーナ構造に比較して、更に高耐圧化を図りやすい構成が示されている。
【0008】
しかるに、本発明者は、アノード側,カソード側の一方もしくは両方において静電誘導効果を利用するプレーナ構造或いは埋込み構造を設定したSIダイオードの大容量化高耐圧化において、従来のベベル構造、或いは従来のフィールドリミッティング構造を、単純にSIダイオード構造と組み合わせた構造では、ウエハ端部において素子破壊を引き起こしやすいことを見出した。
【0009】
図12に示す埋込み構造を有するSIダイオードを一例として、高耐圧化構造を実現する場合の問題点を以下に説明する。図13は、主ダイオード部として埋込み構造を有するSIダイオードを形成し、ウエハ端部においてpエミッタに対する正ベベル構造によって高耐圧化を図った例である。即ち、単純に埋込みpエミッタ層2及び表面エミッタ層1からなるSIエミッタ構造と同時プロセスによってベベル埋込みp+ 層6,nエピタキシャル層23、ベベル部p+ 層5を形成し、かつnエミッタ層3側のウエハ端部にn+ ガード層7を形成して、ベベル端面8の近傍に相対的に厚い拡散層によるp+ (5,6)n- (4)n+ (7)ダイオード構造を形成してベベル端面8の安定化、及び高耐圧化を図った構造である。
【0010】
図13において、1は表面pエミッタ層、2は埋込みpエミッタ層、3はnエミッタ層、4は高抵抗半導体基板であってn- ベース層、5はベベル部p+ 層、6はベベル部埋込みp+ 層、7はn+ ガード層、8はベベル端面、11はアノード電極、12はカソード電極、13は端部保護用樹脂、23はnエピタキシャル層を示す。
【0011】
特にベベル構造を有する場合、主SIダイオード部のp+ (1,2)n(23)n- (4)接合への電界集中を緩和するために、ベベル部p+ 層5及びベベル部埋込みp+ 層6は濃度勾配が緩やかで厚さが比較的厚くかつ平坦な層であることが必要である。n+ ガード層7についても濃度勾配が緩やかで厚さが比較的厚くかつ平坦な層であることが必要である。
【0012】
しかるに、平坦な接合を有するダイオード構造は逆回復特性上、逆回復電荷量が多く、逆回復ピーク電流が高く、逆回復時間が長く、結果的に逆回復損失が大きいという問題点がある。即ち、静電誘導効果による少数キャリアの吸収を主電極から行なうことのできるSIダイオード構造と一般的な平面型を有するダイオード構造とを比較すると、SIダイオード構造の方が同じ順方向電圧降下において比較しても、逆回復電荷量が少なく、ソフトリカバリーである。従って、図13に示す如くベベル構造を単純にSIダイオードの半導体ウエハ端部に形成した場合、SIダイオードと一般的な平面型接合を有するダイオードが並列に接続されたものと等価となる。
【0013】
本発明者は、図13の構造のダイオードを試作し、逆回復スイッチング動作試験を行なった結果、逆回復エネルギー損失Err(mJ/パルス)と順方向電圧降下VF (V)との関係を求めると、図9中の(O)曲線と(C1)曲線の関係に示す如く、あまりトレードオフ関係の改善がなされないことを見出した。
【0014】
ここで、図9は順方向電流IT =100A、アノードカソード間電圧VD =1500V,接合温度Tj =125℃の条件において、ライフタイムコントロールによりライフタイムを変化させた時の順方向電圧降下VF (V)と逆回復エネルギー損失Err(mJ/パルス)の関係を示したものである。(O)で示す曲線は一般的な平面接合型ダイオード構造に対応し、(C1)で示す曲線は図13の並列構造に対応している。
【0015】
更に本発明者は図13の構造では逆回復エネルギー損失Errが改善されないだけでなく、素子破壊が生じやすいことも見出した。特に破壊された素子では半導体ウエハ端部における電流集中による熱破壊が多く見られた。
【0016】
半導体ウエハの端部、特に実質的に平面接合型ダイオードが形成された領域では、順方向導通電流密度が高く、順方向電圧降下はSIダイオード部に比べ低いが逆回復時にアノード電極11,カソード電極12に吸収される少数キャリア量が少ないため、SIダイオード部に比較して少数キャリアがn- 高抵抗半導体基板中に残留しやすい。従って、平面接合型ダイオードの特性の効果の出やすい半導体ウエハ端部においては、逆回復時の蓄積時間が長く、逆回復電荷量も多く、逆回復電流も高く、結果的に逆回復エネルギー損失が多くなりやすい。従って、主サイリスタ部において高性能の逆回復特性の期待されるSIダイオードを形成したとしても、半導体ウエハ端部の従来型ダイオードの影響を受けやすく、総合的性能としてはあまりトレードオフの改善が期待できないことが明らかとなってきた。更に半導体ウエハ端部における逆回復エネルギー損失が多いことから高速大容量のスイッチングを行なった場合には逆回復時の高dv/dt等の印加による素子破壊は半導体ウエハ端部に集中するという問題点があった。
【0017】
このようなベベル構造を用いた高耐圧化構造においては主サイリスタのSIダイオードの性能を相殺しないベベル部の構造が望ましい。ベベル部における平面接合型ダイオードの性能を極力抑制し、ベベル部のダイオードの性能が主ダイオード部のSIダイオードの性能に実質的な影響を与えない構造が望ましい。
【0018】
一方、従来より電力用半導体デバイスの高耐圧化のための構造としてはフィールドリミッティングリング(FLR)構造が用いられている。このようなフィールドリミッティングリング構造を用いるSIダイオードにおいても、主ダイオード部の性能を相殺することのない端部構造、及び分離帯部の構造が導入されることが望ましい。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的はアノード側、カソード側の一方もしくは両方の構造において静電誘導効果を利用するSIダイオードの大容量低損失高速スイッチング性能を充分引き出すために、半導体ウエハ端部の影響を極力抑制した点に特徴を有する高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上述の本発明の目的を達成するために本発明においては以下の構成を採用している。即ち、本発明は、第1の主表面及び第2の主表面を有する高抵抗半導体基板からなる半導体ウエハの前記第1の主表面近傍に形成されたカソード領域と、
前記第2の主表面近傍に形成されたアノード領域と、
前記カソード領域に接触したカソード電極と、
前記アノード領域に接触したアノード電極と、
から構成されたダイオードにおいて、
前記カソード領域、アノード領域の一方もしくは両方において静電誘導効果を利用した構造を設定するとともに、
前記半導体ウエハの端部と前記カソード領域の端部との距離をa+b,前記半導体ウエハの端部と前記アノード領域の端部との距離をbとするとき、
a+b>bが成立するように、
前記第1の主表面近傍における前記カソード領域の前記半導体ウエハ上における形成範囲を
前記第2の主表面近傍における
前記アノード領域の前記半導体ウエハ上における形成範囲に比べて狭く設定し、かつ前記a,bの寸法を電子の拡散長以上としたことを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0021】
或いはまた、前記静電誘導効果を利用した構造はプレーナ構造、埋込み構造、切込み構造もしくはこれらを組み合わせた構造からなることを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0022】
或いはまた、前記半導体ウエハの端部はベベル構造を有することを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0023】
或いはまた、前記半導体ウエハの端部はフィールドリミッティングリング構造を有することを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0024】
或いはまた、前記第2の主表面近傍に形成された前記アノード領域はプレーナ構造の表面pエミッタ層と埋込み構造の埋込みpエミッタ層とから構成された静電誘導効果を利用した2段エミッタ構造を具え、
前記第1の主表面近傍に形成された前記カソード領域は静電誘導効果を利用したプレーナ構造のnエミッタ層を具えたことを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0025】
或いはまた、前記第1の主表面及び第2の主表面を有する高抵抗半導体基板からなる半導体ウエハの中央部に形成されたダイオード部と、前記半導体ウエハの端部に形成されたベベル部と、前記ダイオード部と前記ベベル部との間に形成された分離帯部とを有するダイオードであって、
前記ダイオード部において、
前記第1の主表面近傍に形成されたカソード領域と、
前記第2の主表面近傍に形成されたアノード領域と、
前記カソード領域に接触したカソード電極と、
前記アノード領域に接触したアノード電極とを具え、
前記アノード領域はプレーナ構造の表面pエミッタ層と埋込み構造の埋込みpエミッタ層とから構成された静電誘導効果を利用した2段エミッタ構造を有し、前記カソード領域は静電誘導効果を利用したプレーナ構造のnエミッタ層を有し、
前記ベベル部において、
前記半導体ウエハの前記第1の主表面に形成されたn+ ガード層と、
前記半導体ウエハの前記第2の主表面に形成されたベベル部p+ 層と、
前記ベベル部p+ 層に隣接して前記埋込みpエミッタ層と同時に形成されたベベル部埋込みp+ 層と、
前記ベベル部のベベル端面を実質的に保護する端部保護用樹脂とを具備し、
前記分離帯部において、
前記第1の主表面上の分離帯部は前記nエミッタ層の端部と前記n+ ガード層との間の距離a+bを有し、
前記カソード電極は前記幅a+bを有する高抵抗半導体基板及び前記n+ ガード層まで延長して接触して、実質的に前記高抵抗半導体基板との間に前記分離帯部の幅a+bに等しいショットキー接合が形成され、
前記第2の主表面近傍の分離帯部は前記表面pエミッタ層の端部と前記ベベル部p+ 層との距離bを有し、前記第2の主表面上の距離bの分離帯部及び前記ベベル部p+ 層上には絶縁膜が前記アノード電極との間に介在して形成され、更に前記第2の主表面近傍の分離帯部には実質的に距離bの幅を有し、前記埋込みpエミッタ層と同時に形成された埋込み分離帯部が形成され、
前記第1の主表面側の分離帯部の幅a+bと前記第2の主表面側の分離帯部の幅bにおいて、
a+b>b
が成立するとともにa,bはいずれも電子の拡散長以上であることを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0026】
或いはまた、前記第1の主表面側の分離帯部には更に前記n+ ガード層7に隣接して幅bのp+ ストッパ層を形成したことを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0027】
或いはまた、前記第2の主表面側の分離帯部にはn+ ストッパ層を挟む表面pエミッタ層を延長して形成し、かつ該n+ ストッパ層及び該表面pエミッタ層は絶縁膜9を介して前記アノード電極と絶縁されていることを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0028】
或いはまた、前記第1の主表面近傍には、nバッファ層が更に形成されたことを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0029】
或いはまた、前記第2の主表面側の分離帯部には実質的にnエピタキシャル層に等しい深さで、幅bの掘り出し端部を形成したことを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0030】
或いはまた、第1の主表面及び第2の主表面を有する高抵抗半導体基板からなる半導体ウエハの中央部に形成されたダイオード部と、前記半導体ウエハの端部と、前記ダイオード部と前記半導体ウエハの端部との間に形成された分離帯部とを有するダイオードであって、
前記ダイオード部において、
前記第1の主表面近傍に形成されたカソード領域と、
前記第2の主表面近傍に形成されたアノード領域と、
前記カソード領域に接触したカソード電極と、
前記アノード領域に接触したアノード電極とを具え、
前記アノード領域は静電誘導効果を利用したプレーナ構造の表面pエミッタ層を有し、
前記カソード領域は静電誘導効果を利用したプレーナ構造のnエミッタ層を有し、
前記半導体ウエハの端部において、
前記半導体ウエハの前記第2の主表面に形成されたn+ チャネルストップリング層を有し、
前記分離帯部において、
前記第1の主表面上の分離帯部は前記nエミッタ層の端部と前記半導体ウエハの端部との間の距離a+cを有し、
前記カソード電極は前記幅a+cを有する高抵抗半導体基板上を前記半導体ウエハの端部まで延長して接触して、実質的に前記高抵抗半導体基板との間に前記分離帯部の幅a+cに等しいショットキー接合が形成され、
前記第2の主表面側の分離帯部は前記表面pエミッタ層の端部と前記半導体ウエハの端部との距離cを有し、前記第2の主表面上の距離cの分離帯部及び前記n+ チャネルストップリング層上には絶縁膜が形成され、更に前記第2の主表面側の分離帯部には実質的に距離cの幅を有し、前記埋込みpエミッタ層と同時に形成された複数のフィールドリミッティングリング層が形成され、
前記第1の主表面側の分離帯部の幅a+cと前記第2の主表面側の分離帯部の幅cにおいて、
a+c>c
が成立するとともにa,cはいずれも電子の拡散長以上であることを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0031】
或いはまた、前記第1の主表面近傍には、nバッファ層が更に形成されたことを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0032】
或いはまた、前記複数のフィールドリミッティング層及びn+ チャネルストップリング層に対しては前記絶縁膜をパターニングしたコンタクトホールを介してそれぞれ金属電極を接触させたことを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードとしての構成を有する。
【0033】
【作用】
上記構成を採用することによって、本発明では半導体ウエハ端部の電流密度を主ダイオード部に比べて低く設定することができるため、半導体ウエハ端部の寄生ダイオードの影響を抑制することができる。
【0034】
また半導体ウエハ端部とnエミッタ層3の間をa+b,半導体ウエハ端部と表面pエミッタ層1との間をbとして離隔して設定することによって、半導体ウエハ端部おける注入キャリアの影響が主ダイオード部に実質的に及ばない動作となる。ここでbは電子の拡散長以上に設定している。
【0035】
特にnエミッタ層3の配置範囲を表面pエミッタ層1の配置範囲に比べて半導体ウエハの中心方向に寸法aだけ狭めて配置することによって、有効質量の小さな電子が半導体基板をカソードからアノードに走行する走行時間中における横方向への拡散によるアノード領域からの余分な正孔注入を抑制しており、主ダイオード部における低損失、高速スイッチング性能を保証している。ここで寸法aは電子の拡散長以上に設定している。
【0036】
大容量化の点では、半導体ウエハのアノード側、カソード側においてマルチチャネル構造にて静電誘導効果を引き起こすチャネル構造を作成すればよく、構造が比較的簡単であることから容易に実現される構成を有する。
【0037】
以上より本発明のダイオードでは、高耐圧化のための構造における半導体ウエハ端部の寄生ダイオードの影響を受けることなく主ダイオードの大容量、低損失、高速スイッチング性能を引き出すことができる。
【0038】
高耐圧化の構造としてはベベル構造、フィールドリミッティングリング(FLR)構造に対応することができる。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
図1は本発明の第1の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図を示す。
【0040】
図1において、1は表面pエミッタ層、2は埋込みpエミッタ層、3はnエミッタ層、4は高抵抗半導体基板からなるn- ベース層、5はベベル部p+ 層、6はベベル部埋込みp+ 層、7はn+ ガード層、8はベベル端面、9はSiO2 膜等の絶縁膜、10はショットキー接合部、11はアノード電極、12はカソード電極、13は端部保護用樹脂、14は埋込み分離帯部を示す。以下に実施例1の構造的特徴を説明する。
【0041】
図1は高抵抗半導体基板4からなる半導体ウエハの第1の主表面にパターニングされたnエミッタ層3を有し、第2の主表面近傍にnエピタキシャル層23を介して表面pエミッタ層1及び埋込みpエミッタ層2からなる2段エミッタ構造を有する。主ダイオード部は第1の主表面において静電誘導効果を利用するプレーナ構造のカソード領域が形成され、第2の主表面において、静電誘導効果を利用する埋込み構造とプレーナ構造の組み合わされた構造(2段SIエミッタ構造)が形成されている。半導体ウエハの端部は正ベベル構造を有する。ベベル角度は約60°〜70°であり、高抵抗半導体基板4の抵抗率が高くなるにつれてベベル角度も上昇する。
【0042】
ダイオード部(DIODE)とベベル部(EDGE)との間に分離帯部を形成する。図1の実施例1では第1の主表面のカソード側の分離帯部(SAK)にはショットキー接合部10が形成されている。この理由はカソード側の分離帯部(SAK)の寄生ダイオードの効果を抑制し、余分な電子の注入を抑えるためである。第2の主表面のアノード側の分離帯部(SAA)には図1に示す如くp+ 埋込み層からなる埋込み分離帯部14が形成されている。また第2の主表面のアノード側の分離帯部(SAA)及びベベル部p+ 層5上にはSiO2 膜等の絶縁膜9が形成されていて、直接的にアノード電極11とは接触していない。この理由はアノード側の分離帯部(SAA)及びベベル部p+ 層5における寄生ダイオードの影響を抑制して、余分な正孔の注入を抑えるためである。
【0043】
図1の実施例1ではベベル部(EDGE)に形成された寄生ダイオードはp+ (5)n(23)p+ (6)n- (4)n+ (7)接合構造を有するが、SiO2 膜9の介在と、アノード側及びカソード側の分離帯部(SAA,SAK)における離隔寸法の関係
a+b>b (ここでa,bは電子の拡散長以上とする)
によって、主ダイオード部(DIODE)への影響は実質的に抑制された。この構造は一見複雑であるが、本発明者によるSIダイオードの試作の繰り返しによって初めて見出された特徴的な構造である。
【0044】
図1中において矢印は順方向導通時における電流密度jを模式的に図示したものであり、主ダイオードの形成された半導体ウエハ中心部方向では、ほぼ均一の電流密度jとなるが、半導体ウエハ端部においては実質的にカソード側及びアノード側の分離帯部(SAK,SAA)において電流密度は大幅に低下している。
【0045】
次に離隔寸法a,bの決定方法について説明する。寸法a,bともに電子の拡散長程度か、それ以上の寸法に設定する。寸法bはn+ ガード層7の端部と表面pエミッタ層1の端部との間の半導体ウエハの横方向の寸法であり、アノード側の分離帯部(SAA)の幅に対応している。p+ (1,2)n- (4)n+ (7)接合からなる寄生ダイオードの影響を抑えるためには寸法bは電子の拡散長以上とする必要がある。即ち、n+ ガード層7から注入された電子がアノード側に走行する時間内に横方向に拡散する際の拡散長の寸法程度か、それ以上とする必要があるからである。寸法aは半導体ウエハ上でのnエミッタ層3の占有範囲と表面pエミッタ層1の占有範囲との間の横方向の寸法差に対応している。即ち、例えば、円形の半導体ウエハ上で考えた場合には、nエミッタ層3の形成領域の方を表面pエミッタ層1の形成領域よりも中心方向で狭い円形範囲内に形成することを意味する。これは対向するSIダイオードにおいて、カソードアノード間の電子の走行時間中に横方向に電子が拡散する拡散長と同程度かそれ以上に寸法aを設定することを意味する。寸法aを電子の拡散長以内に設定したならば、電子はアノード側の分離帯部(SAA)まで侵入し、アノード側から余分な正孔の注入を引き起こすことになり、分離帯部からの寄生ダイオードの影響を受けやすくなるからである。
【0046】
次に図1の分離帯部の構造上特徴的な埋込み分離帯部14について説明する。埋込み分離帯部14はp+ 埋込み層が互いに空乏層で結合されている構造を有する。即ち、p+ (14)n- (4)もしくはp+ (14)n(23)接合の接触電位差により実質的にp+ (14)領域のまわりに広がる空乏層がp+ (14)間で接触して、互いに容量的に結合している。分離抵抗値としては容量結合であることから、非常に高い値を示す。図1の構造上埋込みpエミッタ層2と同時工程にて製造可能である。図1の例ではp+ (14)領域は3個示されているが、bの寸法が電子の拡散長以上となるならば、いくつ設定してもよい。要は抵抗性ではなく容量性の分離帯構造となっていればよい。
【0047】
(実施例2)
図2は本発明の第2の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量損失高速ダイオードの模式的断面構造図を示す。図2の構造は図1の構造に比べてカソード側及びアノード側の分離帯部(SAK,SAA)の構造が異なる。主要な構成要素は同一であるため、同一の参照番号を用いて示す。寸法a,bの決定方法も同様である。
【0048】
図2ではカソード側の分離帯部(SAK)のショットキー接合部10においてn+ ガード層7と短絡してp+ ストッパ層15を形成した。これによって、n+ ガード層7とnエミッタ層3との分離を確実に行なうとともに分離帯部(SAK)近傍の過剰な正孔を吸収することができる。更にまた図2の構造では、アノード側の分離帯部(SAA)において埋込み分離帯部14の幅に合わせて表面分離帯部25及びn+ ストッパ層16を設けている。表面分離帯部25は互いに空乏層で結合された容量性結合を有することから埋込み分離帯部14と同様の容量性分離抵抗を有する。n+ ストッパ層16はアノード側の分離帯部(SAA)近傍のnエピタキシャル層内の電子を吸収するとともに表面分離帯部25間の分離を確実にするための領域である。
【0049】
(実施例3)
図3は本発明の第3の実施例としての高耐圧構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図を示す。図1に示した第1の実施例と類似の構造であるが、nバッファ層17をカソード側に形成してアノードカソード間にpin構造を有する点が異なっている。また高抵抗半導体基板4はnバッファ層17を設けることによって図1に比べて更に高抵抗化することができる。従って、第3の実施例は第1の実施例に比べて更に高耐圧化に向いた構造である。ベベル角も高耐圧化に従って、変化させることは明らかである。a,bの寸法も同様に設定する。
【0050】
(実施例4)図4は本発明の第4の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図を示す。図1乃至図3に示した領域と同一の領域については同一の参照番号を用いて示す。図4の構造は図1の構造の変形例である。即ち、アノード側の分離帯(SAA)においてメサエッチング等のエッチング技術を用いて帯幅約b、厚さはnエピタキシャル層23と同程度のエッチング溝を形成している点に特徴を有する。掘り出し端部18によって埋込み分離帯部14はアノード側表面において露出しているが、容量性結合による分離帯構造を形成している点は同様である。
【0051】
図4の掘り出し端部18の役割は図1乃至図3において示された絶縁膜(SiO2 膜)9と同様の役割を有する。即ち、半導体ウエハのベベル端部(EDGE)やアノード側の分離帯部(SAA)からの正孔注入を抑制する働きを有する。図4ではアノード側の外端部には特にベベル部p+ 層5は形成せず、電位を一定にするために金属電極19を接触させている。
【0052】
(実施例5)
図5は本発明の第5の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図を示す。図5の構造では高耐圧化構造としてベベル構造の代わりにフィールドリミッティングリング(FLR)構造を有する例である。ベベル構造に比べて耐圧値は低いが、主ダイオード部がプレーナ構造の場合に向いた構造であることから、構造が比較的簡単であり、製造が容易である。
【0053】
図5において、1は表面pエミッタ層、3はnエミッタ層、4は高抵抗半導体基板からなるn- ベース層、20はn+ チャネルストップリング層、24はp+ フィールドリミッティングリング層、9はSiO2 膜等の絶縁膜、10はショットキー接合部、11はアノード電極、12はカソード電極を示す。図5において、表面pエミッタ層1の端部からn+ チャネルストップリング層20までの距離を寸法cとしている。寸法cはフィールドリミッティングリング層24が形成されるフィールドリミッティングリング(FLR)部の幅に対応している。
【0054】
フィールドリミッティングリング層24は複数本リング状に形成する。各部の寸法l1 ,l2 ,l3 ,l4 等の値は従来公知のフィールドリミッティングリングの設定方法を採用して決定することができる。
【0055】
図5で特徴的な構造は、図1乃至図4の実施例1乃至4と同様にアノード側のダイオード部(DIODE(A))よりもカソード側のダイオード部(DIODE(K))の占有領域幅を狭く寸法aだけ狭く配置した点にある。
る。
【0056】
寸法aの値は前述と同様の理由によって、電子の拡散長と同程度か、それ以上に設定する。図5の実施例5の構造上カソード側では更にnエミッタ層3の端部と半導体ウエハの端部との間の幅約a+cの寸法を有する外端部において、ショットキー接合部10を形成して、FLR部や外端部における寄生ダイオードの影響を抑制している。
【0057】
図5のアノード側のFLR部においてp+ フィールドリミッティングリング層24,n+ チャネルストップリング層20,及びn- ベース層4の表面上にはSiO2 膜等の絶縁膜9が形成されている。絶縁膜9によってアノード電極11との接触を防止して、FLR部からの余分な正孔注入を抑制している。
【0058】
(実施例6)
図6は本発明の第6の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図を示す。
【0059】
図6の構造的特徴はカソード側にnバッファ層17を形成して、pin構造を導入することによって更なる高耐圧化を図った点と、複数のp+ フィールドリミッティングリング層24に接触してそれぞれ金属電極211,212,213を形成して、各フィールドリミッティングリング層24の電位的な安定性を図った点と、n+ チャネルストップリング層20に接触して同様の等電位を形成するための金属電極22を形成した点である。
【0060】
寸法a,cの選定方法は実施例5と同様である。
【0061】
実施例6の構成も主ダイオード部(DIODE)はプレーナ構造のSIダイオードに適している。
【0062】
図7はスイッチング波形の模式図である。逆回復時のスイッチング波形を示しており、実線は従来型平面構造のダイオードに相当し、点線は図1に示した本発明の実施例のダイオードの例である。
【0063】
順方向電流IT =100A,アノードカソード間電圧VD =1500Vを一定として、逆回復電流のピーク値IRPを比較すると、実施例1の値IRP (S) に比べて、従来型構造の値IRP (O) は2倍である。しかも本発明の方がソフトリカバリーとなっている。
【0064】
同じくIT =100A,VD =1500V,Tj =125℃の条件で逆回復時の電圧×電流のエネルギー損失Errの変化を時間軸に対して求めたグラフを図8に示す。
【0065】
従来型構造のエネルギー損失Err(O) は本発明の実施例1の場合のエネルギー損失Err(S) に比べて2倍程度大きい。
【0066】
エネルギー損失Errと順方向電圧降下VF のトレードオフ曲線群を示す図9において、曲線(O)は従来型構造、曲線(C1)は前述の如く図13の構造、曲線(C2)は本発明の実施例1(図1)の構造、曲線(S)は本発明の実施例5(図5)の構造に対応している。
【0067】
ベベル端部の影響を強く受けやすい図13の構造に対応する曲線(C1)ではトレードオフの改善効果は小さいが、本発明の実施例1(図1)の埋込み構造(2段エミッタ構造)や、実施例5(図5)のプレーナ構造では、トレードオフ関係が大幅に改善された。
【0068】
【発明の効果】
本発明の高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードによれば、高耐圧化構造を導入するとともに、半導体ウエハ端部の寄生ダイオードの影響を抑制して主ダイオード部の静電誘導効果を利用するダイオードの性能を充分に引き出すことが可能となり、逆回復性能に優れ、ソフトリカバリーで低損失、高速スイッチング性能を有し、マルチチャネル化による、大容量化を図れるダイオードが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図
【図2】本発明の第2の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図
【図3】本発明の第3の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図
【図4】本発明の第4の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図
【図5】本発明の第5の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図
【図6】本発明の第6の実施例としての高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオードの模式的断面構造図
【図7】逆回復時のスイッチング波形の比較例
【図8】逆回復エネルギー損失の比較例
【図9】逆回復エネルギー損失と順方向電圧降下の関係の比較例
【図10】従来のプレーナ構造を有するpinダイオードの模式的断面構造図
【図11】従来の静電誘導エミッタダイオードの模式的断面構造図
【図12】従来の埋込み構造を有する静電誘導エミッタダイオードの模式的断面構造図
【図13】従来の埋込み構造を有する静電誘導エミッタダイオードを高耐圧化構造として従来型ベベル構造を用いて作製したダイオードの模式的断面構造図(比較例)
【符号の説明】
1 表面pエミッタ層
2 埋込みpエミッタ層
3 nエミッタ層
4 n- ベース層(高抵抗半導体基板)
5 ベベル部p+ 層
6 ベベル部埋込みp+ 層
7 n+ ガード層
8 ベベル端面
9 SiO2 膜(絶縁膜)
10 ショットキー接合部
11 アノード電極
12 カソード電極
13 端部保護用樹脂
14 埋込み分離帯部
15 p+ ストッパ層
16 n+ ストッパ層
17 nバッファ層
18 掘り出し端部
19,22,211,212,213 金属電極
20 n+ チャネルストップリング層
23 nエピタキシャル層
24 p+ フィールドリミッティングリング層
25 表面分離帯部
Claims (8)
- 第1の主表面および第2の主表面を有する高抵抗半導体基板からなるn − ベース層から構成される半導体ウエハの中央部に形成されたダイオード部と、前記半導体ウエハの端部に形成されたベベル部と、前記ダイオード部と前記ベベル部との間に形成された分離帯部とを有し、前記半導体ウエハの第2の主表面上にnエピタキシャル層を形成したダイオードであって、
前記ダイオード部において、
前記第1の主表面近傍に形成されたカソード領域と、
前記第2の主表面近傍に形成されたアノード領域と、
前記カソード領域に接触したカソード電極と、
前記アノード領域に接触したアノード電極とを具え、
前記アノード領域は、前記nエピタキシャル層の表面に形成されたプレーナ構造の表面pエミッタ層と前記半導体ウエハの前記第2の主表面と前記nエピタキシャル層との間に形成された埋込み構造の埋込みpエミッタ層とから構成された静電誘導効果を利用した2段エミッタ構造を有し、
前記カソード領域は静電誘導効果を利用したプレーナ構造のnエミッタ層を有し、
前記ベベル部において、
前記半導体ウエハの前記第1の主表面に形成されたn+ガード層と、
前記半導体ウエハの前記第2の主表面の前記nエピタキシャル層の表面に形成されたベベル部p+層と、
前記ベベル部p+層に隣接して前記半導体ウエハの前記第2の主表面と前記nエピタキシャル層との間に前記埋込みpエミッタ層と同時に形成されたベベル部埋込みp+層と、
前記ベベル部のベベル端面を保護する端部保護用樹脂とを具備し、
前記分離帯部において、
前記第1の主表面上の分離帯部は前記nエミッタ層の端部と前記n+ガード層との間の距離a+bを有し、
前記カソード電極は前記幅a+bを有する高抵抗半導体基板及び前記n+ガード層まで延長して接触して、前記高抵抗半導体基板との間に前記分離帯部の幅a+bに等しいショットキー接合が形成され、
前記第2の主表面近傍の分離帯部は前記n+ガード層の端部と表面pエミッタ層の端部との間の半導体ウエハの横方向の距離bを有し、前記第2の主表面上の距離bの分離帯部及び前記ベベル部p+層上には絶縁膜が前記アノード電極との間に介在して形成され、更に前記第2の主表面近傍の分離帯部には距離bの幅を有し、前記半導体ウエハの前記第2の主表面と前記nエピタキシャル層との間に前記埋込みpエミッタ層と同時に形成された埋込み分離帯部が形成され、
前記第1の主表面側の分離帯部の幅a+bと前記第2の主表面側の分離帯部の幅bにおいて、
a+b>b
が成立するとともに、a、bはいずれも電子の拡散長以上であることを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオード。 - 前記第1の主表面側の分離帯部には更に前記n+ガード層に隣接して幅bのp+ストッパ層を形成したことを特徴とする請求項1記載の高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオード。
- 前記第2の主表面側の分離帯部にはn+ストッパ層を挟む表面pエミッタ層を延長して形成し、かつ該n+ストッパ層及び該表面pエミッタ層は絶縁膜を介して前記アノード電極と絶縁されていることを特徴とする請求項1乃至2の内、いずれか1項記載の高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオード。
- 前記半導体ウエハの第1の主表面上に、nバッファ層が形成され、該nバッファ層の表面に、前記nエミッタ層、前記n + ガード層、前記p + ストッパ層が形成されたことを特徴とする請求項1乃至3の内、いずれか1項記載の高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオード。
- 前記第2の主表面側の分離帯部にはnエピタキシャル層に等しい深さで、幅bの掘り出し部を形成したことを特徴とする請求項1記載の高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオード。
- 第1の主表面および第2の主表面を有する高抵抗半導体基板からなるn − ベース層から構成される半導体ウエハの中央部に形成されたダイオード部と、前記半導体ウエハの端部と、前記ダイオード部と前記半導体ウエハの端部との間に形成された分離帯部とを有するダイオードであって、
前記ダイオード部において、
前記第1の主表面近傍に形成されたカソード領域と、
前記第2の主表面近傍に形成されたアノード領域と、
前記カソード領域に接触したカソード電極と、
前記アノード領域に接触したアノード電極とを具え、
前記アノード領域は静電誘導効果を利用したプレーナ構造の表面pエミッタ層を有し、
前記カソード領域は静電誘導効果を利用したプレーナ構造のnエミッタ層を有し、
前記半導体ウエハの端部において、
前記半導体ウエハの前記第2の主表面に形成されたn+チャネルストップリング層を有し、
前記分離帯部において、
前記第1の主表面上の分離帯部は前記nエミッタ層の端部と前記n+チャネルストップリング層との間の距離a+cを有し、
前記カソード電極は前記幅a+cを有する高抵抗半導体基板上を前記半導体ウエハの端部まで延長して接触して、前記高抵抗半導体基板との間に前記分離帯部の幅a+cに等しいショットキー接合が形成され、前記第2の主表面側の分離帯部は前記表面pエミッタ層の端部と前記n+チャネルストップリング層との距離cを有し、前記第2の主表面上の距離cの分離帯部及び前記n+チャネルストップリング層上には絶縁膜が形成され、更に前記第2の主表面側の分離帯部には距離cの幅を有し、前記埋込みpエミッタ層と同時に形成された複数のフィールドリミッティングリング層を有したフィールドリミッティングリング部が形成され、
前記第1の主表面側の分離帯部の幅a+cと前記第2の主表面側の分離帯部の幅cにおいて、
a+c>c
が成立するとともにa、cはいずれも電子の拡散長以上であることを特徴とする高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオード。 - 前記半導体ウエハの第1の主表面上に、nバッファ層が形成され、該nバッファ層の表面に前記nエミッタ層が形成されたことを特徴とする請求項6記載の高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオード。
- 前記複数のフィールドリミッティングリング層及びn+チャネルストップリング層に対しては前記絶縁膜をパターニングしたコンタクトホールを介してそれぞれ金属電極を接触させたことを特徴とする請求項6乃至7の内、いずれか1項記載の高耐圧化構造を有する大容量低損失高速ダイオード。
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