JP4004637B2 - 静電チャック、加熱冷却装置、加熱冷却方法及び真空処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば真空処理槽内において処理対象物である基板を吸着保持するための静電チャックに関し、特に加熱冷却時の熱応力に起因する基板の割れを防止するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、真空中でシリコンウェハ等の基板上に成膜等の処理を行う装置においては、静電気力によって基板を吸着保持する静電チャックが広く用いられている。このような静電チャックとしては、成膜等の処理において基板を所定の温度に維持するため温度制御(加熱又は冷却)可能なホットプレートと一体的に構成されたものが知られている。
【0003】
従来、このような静電チャック付のホットプレートにおいては、誘電体内に設けられた吸着電極に所定の電圧を印加することによって基板のほぼ全面を吸着保持するようにしているが、吸着保持後の基板の温度上昇又は温度降下が大きい(250℃以上)場合には、静電チャックによって束縛された基板が急激に熱膨張又は熱収縮しようとするため、基板に強い応力が発生して基板が割れてしまうという問題があった。
【0004】
従来、この問題を解決する方法としては、第一に、静電チャックによって基板を吸着保持せずに基板を加熱又は冷却し、基板に割れが生じない温度にまで基板の温度が上昇又は降下した後に吸着電極に電圧を印加して基板を吸着保持する方法と、第二に、吸着電極に小さい電圧を印加すること等により基板を弱い静電吸着力で吸着保持し、基板に割れが生じない温度にまで基板の温度を上昇又は降下させた後に、吸着電極に印加する電圧を大きくして基板に対する静電吸着力を強くする方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術においては、次のような問題があった。
すなわち、上述した第一の方法においては、基板を吸着保持していないため基板とホットプレートとの間において熱が伝わりにくく、そのため、基板が所望の温度に達するまで必要以上に時間がかかってしまうという問題があった。
【0006】
また、基板及びホットプレートの表面には微小な反りが存在するため、上述した第二の方法のような弱い静電吸着力では基板が部分的にしか吸着保持されず、その結果、基板の表面において温度分布にむらが生じ、これが基板の割れの一因となっていた。
【0007】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、被吸着物に割れを生じさせることなく、しかも効率良く被吸着物を加熱及び冷却することが可能な加熱冷却装置及びこれを用いた真空処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、被吸着物を吸着保持するための誘電体からなる静電チャック本体中に独立して制御可能な複数の吸着電極対が同一平面内に設けられ、前記複数の吸着電極対は、それぞれ同心円形渦巻状に形成され極性がその半径方向に交互に配されるように構成されていることを特徴とする静電チャックである。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記複数の吸着電極対は、独立して所定の電圧が印加される第1の吸着電極対及び第2の吸着電極対を有することを特徴とする。
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1又は2のいずれか1項記載の発明において、前記吸着電極対は、その中心点に向かって曲率半径が段階的に小さくなるように形成した半円状の円弧部と、当該円弧部同士を連結する連結部から構成されていることを特徴とする。
さらにまた、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の静電チャック本体に、所定の温度に温度制御可能な加熱冷却手段が一体的に設けられていることを特徴とする加熱冷却装置である。
加えて、請求項5記載の発明は、請求項4記載の加熱冷却装置を用いた加熱冷却方法であって、所定の温度に温度制御された静電チャック本体によって被吸着物を支持した状態で、この静電チャック本体に粗の状態で分布する均一な静電吸着力を発生させ、その後、この静電チャック本体に密の状態で分布する均一な静電吸着力を発生させて上記被吸着物を当該静電チャック本体に吸着保持することを特徴とする加熱冷却方法である。
また、請求項6記載の発明は、真空処理槽内に請求項1乃至3のいずれか1項記載の静電チャックを備え、この静電チャックに吸着保持される基体に対して所定の処理を行うように構成されていることを特徴とする真空処理装置である。
さらに、請求項7記載の発明は、真空処理槽内に請求項6記載の加熱冷却装置を備え、この加熱冷却装置によって加熱冷却される基体に対して所定の処理を行うように構成されていることを特徴とする真空処理装置である。
【0009】
本発明においては、静電チャック本体中に独立して制御可能な複数の吸着電極対が設けられていることから、特定の吸着電極対に対して電圧を印加すれば、静電チャック本体において部分的な静電吸着力を均一に発生させることが可能になる。
その結果、例えば、本発明のように、所定の温度に温度制御された静電チャック本体によって被吸着物を支持した状態で、静電チャック本体に粗の状態で分布する均一な静電吸着力を発生させれば、被吸着物において静電チャックプレートに束縛されない部分が生じ、熱膨張又は熱収縮に起因する熱応力がこの部分において吸収(緩和)されるため、被吸着物に割れを生じさせることなく被吸着物を所望の温度付近まで加熱又は冷却することができる。
この場合、本発明にあっては、被吸着物及び静電チャック表面の静電吸着された部分において熱が効率良く伝わるため、効率良く被吸着物を加熱又は冷却することが可能になる。
そして、その後、静電チャック本体に密の状態で分布する均一な静電吸着力を発生させて上記被吸着物を当該静電チャック本体に吸着保持するようにすれば、短時間で被吸着物を所望の温度に加熱又は冷却することができる。
また、本発明の場合は、小さい静電吸着力で被吸着物の全面を吸着する従来技術と異なり一定以上の静電吸着力が得られるため、静電チャックに対して被吸着物を密着させることができ、その結果、被吸着物の面内に大きな温度むらが生ずることがなく、均一な加熱又は冷却を行うことが可能になる。
この場合、本発明のように、複数の吸着電極対として、独立して所定の電圧が印加される第1の吸着電極及び第2の吸着電極を有するように構成すれば、簡素な構成で本発明の目的を十分に達成することができる。
また、本発明のように、複数の吸着電極対を、それぞれ同心円形渦巻状に形成し極性がその半径方向に交互に配されるように構成にすれば、静電チャック本体に束縛された部分と静電チャック本体に対して自由な部分が交互に生ずるため、各吸着電極対に電圧を印加して被吸着物の吸着保持を行う際に常に均一な分布の静電吸着力を発生させることができ、これにより被吸着物に発生する熱応力を均一な状態で吸収することが可能になる。
【0010】
一方、本発明によれば、被吸着物に割れを発生させることなく効率良く加熱又は冷却を行いうる加熱冷却装置を提供することができる。
また、本発明によれば、被吸着物の割れが発生することなく加熱冷却効率を高くすることができるため、真空処理装置の処理能力を向上させることが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る静電チャック及びこれを用いた加熱冷却装置並びに真空処理装置の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る真空処理装置の一実施の形態であるプラズマCVD装置の概略構成を示す概略構成図であり、図2は、本発明に係る静電チャックの第1の実施の形態の電極パターンを示す説明図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態のプラズマCVD装置1は、図示しない真空排気系に接続された真空処理槽2を有し、この真空処理槽2内の上部に放電手段3が設けられる。この放電手段3は、真空処理槽2の外部に設けられた高周波電源4に接続された放電電極3aを有し、真空処理槽2内に反応ガスGを導入するように構成されている。
【0013】
真空処理槽2の下部には、処理対象物であるシリコンウェハ等の基板(被吸着物)5を支持するためのサセプタ6が設けられ、このサセプタ6の上部には、基板5と同等の大きさの円盤形状に形成された静電チャックプレート7a(静電チャック本体)を有する静電チャック7が固定されている。
【0014】
静電チャック7の静電チャックプレート7aの内部には、基板5を加熱するためのヒーター(加熱冷却手段)Hが設けられている。このヒーターHは、図示しない電源に接続され所定の温度に制御可能に構成されている。
【0015】
また、静電チャックプレート7a内には、例えば水等の冷却媒体を循環させることによって静電チャックプレート7aを冷却できるように構成され(図示せず)、これにより静電チャック7は加熱冷却装置(ホットプレート)としての機能を有している。
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の静電チャック7は、いわゆる双極型のもので、誘電体からなる静電チャックプレート7a中に、各々独立して制御可能な2組の吸着電極対、すなわち、第1の吸着電極対8と第2の吸着電極対9が設けられている。
【0017】
ここで、第1の吸着電極対8は、正の極性に帯電する吸着電極80と、負の極性に帯電する吸着電極81とから構成され、同様に、第2の吸着電極対9は、正の極性に帯電する吸着電極90と、負の極性に帯電する吸着電極91とから構成される。
【0018】
図1に示すように、第1の吸着電極対8の一方の吸着電極80は、真空処理槽2の外部に設けられた直流電源11aの正の端子にスイッチ10aを介して接続され、他方の吸着電極81は、同様にスイッチ10bを介して直流電源11bの負の端子に接続されている。
【0019】
また、第2の吸着電極対9の一方の吸着電極91は、真空処理槽2の外部に設けられた直流電源12aの正の端子にスイッチ13aを介して接続され、他方の吸着電極91は、同様にスイッチ13bを介して直流電源12bの負の端子に接続されている。
【0020】
このような構成により、本実施の形態においては、第1及び第2の吸着電極対8、9に対し、直流電源11(11a、11b)及び直流電源12(12a、12b)から、それぞれ独立して電圧を印加するように構成されている。
【0021】
図2に示すように、本実施の形態の静電チャック7においては、静電チャックプレート7aに、第1の吸着電極対8を構成する吸着電極80、81と、第2の吸着電極対9を構成する吸着電極90、91とが、それぞれ静電チャックプレート7aの中心点Oを中心として所定の間隔でほぼ渦巻状に形成されている。
【0022】
この場合、第1の吸着電極対8を構成する吸着電極80、81は、それぞれ静電チャックプレート7aの中心点Oに向って曲率半径が段階的に小さくなるように形成した半円状の円弧部80a、81aと、これらの円弧部80a、81a同士を連結する連結部80b、81bとから構成される(図2においては、外周部分のもののみに符号が付されている。)。
【0023】
ここで、各吸着電極80、81は、ほぼ同一の形状に形成されている。そして、これらの吸着電極80、81を静電チャックプレート7aの中心点Oを基準として点対称の位置に配することによって各吸着電極80、81の対応する円弧部80a、81aが同じ円周上に形成されるようになっている。
【0024】
一方、第2の吸着電極対9を構成する吸着電極90、91は、第1の吸着電極対8と同様に、それぞれ静電チャックプレート7aの中心点Oに向って曲率半径が段階的に小さくなるように形成した半円状の円弧部90a、91aと、これらの円弧部90a、91a同士を連結する連結部90b、91bとから構成される(図2においては、外周部分のもののみに符号が付されている。)。
【0025】
そして、各吸着電極90、91もまたほぼ同一の形状に形成され、これらの吸着電極90、91を静電チャックプレート7aの中心点Oを基準として点対称の位置に配することによって各吸着電極90、91の対応する円弧部90a、91aが同じ円周上に形成されるようになっている。
【0026】
そして、本実施の形態の場合は、上述した構成を有する第1の吸着電極対8と第2の吸着電極対9とが、静電チャックプレート7aの半径方向に交互に配列されている。
【0027】
このような構成を有する本実施の形態の静電チャック7においては、第1の吸着電極対8と、第2の吸着電極対9とが、それぞれ静電チャックプレート7aにおいて均一に分布されるとともに、ほぼ同一の面積を占めるようになっている。
【0028】
次に、本発明に係る加熱冷却方法の実施の形態を図1に示すプラズマCVD装置1及び図2に示す静電チャック7を参照して詳細に説明する。
【0029】
まず、真空処理槽2においてヒーターHによって静電チャックプレート7aを所定の温度に加熱した状態で基板5を真空処理槽内に搬入し、図示しない昇降機構によって基板5を静電チャックプレート7a上の所定の位置に載置する。
【0030】
そして、図1に示すように、スイッチ10a、10bを閉じることによって、第1の直流電源11a、11bから第1の吸着電極対8の吸着電極80、81に所定の電圧を印加し、静電チャックプレート7aの第1の吸着電極対8に対応する部分にいわば粗の状態で静電吸着力を発生させる。
【0031】
これにより、基板5において静電チャックプレート7aに吸着されない部分が生じ、この束縛されていない部分に基板5の熱膨張成分が逃がされることによって熱応力が吸収(緩和)されるため、基板5に割れを生じさせることなく基板5を所望の温度付近まで効率良く加熱することができる。
【0032】
その後、スイッチ13a、13bを閉じて第2の直流電源12a、12bから第2の吸着電極9の吸着電極90、91に所定の電圧を印加することにより、静電チャックプレート7aの第2の吸着電極対9に対応する部分にも静電吸着力を発生させる。これにより、静電チャックプレート7aに密の状態で静電吸着力が発生するため、基板5が静電チャックプレート7aに吸着保持され、短時間で基板5を所望の温度に加熱することができる。
【0033】
なお、基板5は既に熱膨張しているため、この後段の加熱の際に基板5に割れが生ずることはない。
【0034】
その後、真空処理槽2内に反応ガスGを導入するとともに、放電手段3に高周波電源4から高周波電力を印加することにより、基板5に対して所定の成膜処理を行う。
【0035】
以上述べたように本実施の形態によれば、基板5に割れを発生させることなく、迅速に基板5を加熱することができる。
【0036】
しかも、本実施の形態の場合は、静電吸着力を小さくして基板5の全面を吸着する従来技術と異なり、一定以上の静電吸着力で基板5を吸着保持することができることから静電チャックプレート7aに対して基板5を密着させることができ、その結果、基板5の面内に大きな温度むらが生ずることがなく、均一な加熱が可能になり基板の割れを確実に防止することができる。
【0037】
また、本実施の形態の場合は、渦巻状の第1及び第2の吸着電極対8、9が静電チャックプレート7aの半径方向に交互に配されているので、各吸着電極対8、9に電圧を印加して基板5の吸着保持を行う際に常に均一な分布の静電吸着力を発生させることができ、これにより基板5に発生する熱応力を各部分において均一に吸収することができる。
【0038】
このように、本実施の形態によれば、基板5に割れを発生させることなく基板5を迅速に加熱することができるため、プラズマCVD装置1の処理能力を向上させることができる。
【0039】
図3は、本発明に係る静電チャックの参考例の電極パターンを示すものであり、以下、上記第1の実施の形態と対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
本参考例の静電チャック70は、静電チャックプレート7a中に、静電チャックプレート7aの中心点Oを基準とする同心円状の第1及び第2の吸着電極71、72が設けられたものである。
【0041】
すなわち、図3に示すように、静電チャックプレート7aの外周側から順に、一定の間隔をおいて、第1の吸着電極71を構成する同心円状の吸着電極71a、71b、71c、71dが形成され、これらの吸着電極71a〜71dと交互に、第2の吸着電極72を構成する吸着電極72a、72b、72c、72dが形成されている。
【0042】
ここで、第1及び第2の吸着電極対71、72は、ともに双極型の電極で、第1の吸着電極対71のうち外周側から奇数番目の吸着電極71a、71cは、例えば、上述したスイッチ10aを介して第1の直流電源11aの正の端子に接続され、第1の吸着電極対71のうち外周側から偶数番目の吸着電極71b、71dは、上述したスイッチ10bを介して第1の直流電源11bの負の端子に接続されている。
【0043】
一方、第2の吸着電極対72のうち外周側から奇数番目の吸着電極72a、72cは、例えば、上述したスイッチ13aを介して第2の直流電源12aの正の端子に接続され、第2の吸着電極対72のうち外周側から偶数番目の吸着電極72b、72dは、上述したスイッチ13bを介して第2の直流電源12bの負の端子に接続されている。
【0044】
このような構成を有する本例においては、同心円状の第1及び第2の吸着電極対71、72を静電チャックプレート7aの半径方向に交互に配したことから、上記第1の実施の形態と同様に、第1及び第2の吸着電極対71、72に所定の時間差をおいて電圧を印加することにより、基板5に発生する熱応力を静電チャックプレート7aに吸着されない部分で均一に吸収(緩和)することができ、その結果、基板5に割れを発生させることなく、迅速に基板5を加熱することができる。その他の構成及び作用効果については上記実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0045】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、吸着電極のパターン、そのパターンにおける吸着電極の数、配列、形状、極性及び吸着電極の組の数は、本発明の範囲内である限り、任意のものとすることができる。
【0046】
特に、吸着電極のパターンについては、上述の実施の形態のように、円形渦巻形状のものには限られない。ただし、上記実施の形態のように構成すれば、円形の基板に対して確実に基板を吸着保持することができ、特に円形渦巻形状のパターンを用いた場合には、電圧を印加するための接点の数を最も少なくすることができるので、静電チャックの製造工程を簡素化することができるという利点がある。
【0047】
また、上述の実施の形態においては、第1の吸着電極対に電圧を印加する際に、第2の吸着電極対に対して電圧を印加しないようにしたが、本発明はこれに限られず、例えば、第2の吸着電極対に対して、被吸着物の熱膨張又は熱収縮を逃がすことができる程度の弱い電圧を印加することも可能である。
【0048】
さらに、上述の実施の形態においては、双極型の吸着電極を用いたが、単極型の吸着電極を用いることも可能である。ただし、上記実施の形態のように双極型の吸着電極を用いれば、プラズマを用いない全てのプロセスにおいて使用することができるというメリットがある。
【0049】
さらにまた、本発明は被吸着物を加熱する場合には限られず、所定の温度差をもって被吸着物を冷却する場合にも適用することができる。
【0050】
加えて、上述の実施の形態においては、プラズマCVD装置を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、静電チャック機構を具備する全ての装置に搭載することができるものである。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例とともに詳細に説明する。
<実施例>
図1に示すホットプレート7を用い、基板5として8インチサイズの室温のシリコンウェハを本発明の方法によって500℃に昇温させた。この場合のシリコンウェハの温度上昇を図4に示す。
【0052】
まず、500℃以上に加熱された静電チャックプレート7a上に室温のシリコンウェハを設置し、第1の吸着電極対8に正負の電圧を印加して静電吸着力を発生させ、シリコンウェハを部分的に静電チャック7に吸着させてこれを昇温させた。
【0053】
そして、第1の吸着電極対8に電圧を印加し始めてから15秒経過後に第2の吸着電極対9に正負の電圧を印加してシリコンウェハを静電チャック7に全面吸着させた。
【0054】
図4に示すように、第2の吸着電極対9に電圧を印加した時点では既にシリコンウェハの温度は480℃に達しており、第2の吸着電極対9に電圧を印加し始めてから5秒後(第1の吸着電極対8に電圧を印加し始めてから20秒後)には、シリコンウェハの温度は500℃の一定温度になった。
【0055】
以上の加熱試験を繰り返し行ったところ、シリコンウェハに割れは全く生じなかった。
【0056】
<比較例1>
図1に示すプラズマCVD装置1を用い、実施例と同一のシリコンウェハを静電チャックプレート7a上に設置し、第1及び第2の吸着電極対8、9に同時に電圧を印加してシリコンウェハを500℃に昇温させた。
【0057】
その結果、比較例1の場合、加熱試験を行ったうちの半数以上のシリコンウェハに割れが生じた。
【0058】
<比較例2>
図1に示すプラズマCVD装置1を用い、500℃以上に加熱された静電チャックプレート7a上に実施例と同一のシリコンウェハを設置し、第1及び第2の吸着電極対8、9に電圧を印加せずにシリコンウェハを昇温させた。この場合のシリコンウェハの温度上昇を図5に示す。
【0059】
図5に示すように、比較例2の場合は、シリコンウェハの温度が250℃に達するまでに約180秒の時間を要した。
【0060】
以上の実施例及び比較例から理解されるように、本発明によれば、基板5に割れを生じさせることなく、基板5を迅速に加熱又は冷却できることが明らかになった。
【0061】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、被吸着物に割れを生じさせることなく被吸着物を迅速に加熱又は冷却することができる。
したがって、このような加熱冷却装置を有する本発明の真空処理装置によれば、効率良く真空処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空処理装置の一実施の形態であるプラズマCVD装置の概略構成図
【図2】本発明に係る静電チャックの第1の実施の形態の電極パターンを示す説明図
【図3】本発明に係る静電チャックの参考例の電極パターンを示す説明図
【図4】本発明の方法によってシリコンウェハを加熱した場合の結果を示すグラフ
【図5】シリコンウェハを吸着保持せずに加熱した場合の結果を示すグラフ
【符号の説明】
1…プラズマCVD装置(真空処理装置) 2…真空処理槽 3…放電手段 5…基板(被吸着物) 7…静電チャック(加熱冷却装置) 7a…静電チャックプレート(静電チャック本体) 8…第1の吸着電極対 9…第2の吸着電極対 70…静電チャック 71…第1の吸着電極対 72…第2の吸着電極対 80、81…吸着電極 90、91…吸着電極 H…ヒーター(加熱冷却手段)
Claims (7)
- 被吸着物を吸着保持するための誘電体からなる静電チャック本体中に独立して制御可能な複数の吸着電極対が同一平面内に設けられ、前記複数の吸着電極対は、それぞれ同心円形渦巻状に形成され極性がその半径方向に交互に配されるように構成されていることを特徴とする静電チャック。
- 前記複数の吸着電極対は、独立して所定の電圧が印加される第1の吸着電極対及び第2の吸着電極対を有することを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
- 前記吸着電極対は、その中心点に向かって曲率半径が段階的に小さくなるように形成した半円状の円弧部と、当該円弧部同士を連結する連結部から構成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の静電チャック。
- 請求項1乃至3のいずれか1項記載の静電チャック本体に、所定の温度に温度制御可能な加熱冷却手段が一体的に設けられていることを特徴とする加熱冷却装置。
- 請求項4記載の加熱冷却装置を用いた加熱冷却方法であって、
所定の温度に温度制御された静電チャック本体によって被吸着物を支持した状態で、該静電チャック本体に粗の状態で分布する均一な静電吸着力を発生させ、その後、該静電チャック本体に密の状態で分布する均一な静電吸着力を発生させて上記被吸着物を当該静電チャック本体に吸着保持することを特徴とする加熱冷却方法。 - 真空処理槽内に請求項1乃至3のいずれか1項記載の静電チャックを備え、
該静電チャックに吸着保持される被吸着物に対して所定の処理を行うように構成されていることを特徴とする真空処理装置。 - 真空処理槽内に請求項4記載の加熱冷却装置を備え、
該加熱冷却装置によって加熱冷却される被吸着物に対して所定の処理を行うように構成されていることを特徴とする真空処理装置。
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