JP2006005374A - プラズマ処理装置及びウエハのプラズマ処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】静電吸着装置を用いてウエハを吸着固定した場合、処理終了後に発生する残留吸着力により次動作への待ち時間の増加や、外力によりウエハを引き剥がす際にウエハを破壊する場合がある。ウエハを最も破壊することなくウエハを引き剥がす方法を提供する。
【解決手段】ウエハ9を誘電膜から引き剥がすプッシャ27をウエハ半径の60〜70%の位置に3個以上配置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は半導体の製造技術に属する。特に、半導体製造装置内においてウエハの搬送時や処理時のウエハの固定に用いられ、静電気力を利用して保持する装置に関する。
静電気を利用して物体を保持する方法は、特に半導体製造装置のウエハの搬送や各プロセス中のウエハの固定に使用されている。ウエハの搬送や固定を行う際の保持方法は、他にクランプを用いた機械的な保持方法等が考えられるが、静電気力を用いる方が半導体ウエハの保持に関して有利な点が多い。例えば、ウエハの処理面との機械的な接触がないために摩耗粉等によるウエハの汚染がない、ウエハ裏面全面で吸着するのでウエハの反りを矯正できエッチング等の微細加工の際に加工性度が確保される、吸着面との接触がより確実なものとなり熱伝導性が改善されウエハの温度制御が容易になる。
このように静電吸着はウエハの保持方法として有利な点が多いために、特にドライエッチングやCVDといった装置内のウエハ処理電極として広く適用されている。しかし、静電吸着装置では誘電膜に蓄えられた電荷とウエハ裏面近傍で分極した電荷の静電気力により吸着力を発生しているため、特にウエハを引き剥がす場合において誘電膜に蓄えられた電荷の除電時間が長い(つまり残留吸着力が大きい)という応答性の問題がある。応答性が悪い、すなわち、除電時間が長いとウエハを次の処理室へ搬送する次動作までの待ち時間が長くなるために装置の処理能力が低下するという弊害を生じる。また、通常は処理終了後のウエハを電極から取り上げるために棒状の支持体(以下プッシュと呼ぶ)を電極内に設けた貫通孔より上下方向に稼働させて行っているが、残留吸着力に逆らって無理にウエハを引き剥がそうとするウエハが割れてしまうという可能性がある。この傾向は、素子の高集積化にともなうウエハの大口径かが進むほど深刻となってくる。
そこで残留吸着力を速く低下させるため、ウエハを吸着するために電極に印加した電圧とは極性の異なる直流電圧を印加して誘電膜中の電荷を効率よく低減するという方法や、導電性のあるプッシャの一端を接地することによりウエハ裏面にプッシャが接触したときにウエハ裏面に蓄えられた電荷を逃がすという方法が広く行われている。この技術は、例えば特許文献1に開示されている。
特開平7−22497号公報
前述したように静電吸着装置を用いたウエハの固定方法は、特にドライエッチング装置やCVD装置の電極として有利な点が多い反面、応答性が悪い(残留吸着力が大きい)という問題を含んでいる。
そこで残留吸着力を効率的に低減する方法として、ウエハ吸着用に印加した直流電圧とは極性の異なる直流電圧を印加する方法や、プッシャがウエハ裏面に接触した際に接地してウエハ裏面の電荷を逃がす方法(特許文献1)が提案されている。
しかしながら、除電方法のみで完全に残留吸着力をなくすことは難しいため、最終的にはプッシャの押し上げ力によりウエハを引き剥がさざるを得ない。このような状況では、単位面積当たりの残留吸着力が同一であればウエハの径が大きいほど残留吸着力は大きくなってくるので、将来的にウエハの径が大口径化するにつれて残留吸着力が大きくなりプッシャによる引き剥がし時にウエハが割れる可能性がある。
本発明の目的は、ウエハ処理終了後のウエハの引き剥がし時にウエハが割れにくい静電吸着装置を提供することにある。
上記の目的は、ウエハを誘電膜から引き剥がすために静電吸着装置の誘電膜内に設けられたプッシャを、ウエハの積載面の中心から半径方向60〜80%の位置に3個以上設けることにより達成することが出来る。
処理終了後のウエハの引き剥がしに要する時間を短縮できるほか、ウエハを誤って破壊する可能性を低くできる。
以下、本発明の実施例を図にしたがって説明する。
図1は本発明の実施例であり、図2は本発明の実施例の誘電膜表面の法線方向から見た図である。また、図3は本発明の実施例を有磁場マイクロ波プラズマ処理装置に適用した例である。最初に、図3に示す装置の構成と動作を簡単に説明する。
大気空間3内に石英管14を設置し、これにより構成される真空処理室1内に静電吸着装置8を用いてウエハ9を固定する。この静電吸着装置8に本発明の静電吸着装置を適用している。続いて真空処理室1内に処理ガス13を導入する。処理ガスは、導波管4を通って導入されるマイクロ波5と放電管2の周りに取り付けられたコイル6の相互作用によりプラズマ状態7となっている。このプラズマにウエハがさらされることにより処理(ここではエッチング処理)が行われるが、特にイオンの入射を制御してエッチング状態を制御するのが高周波電源10である。また、静電吸着装置8はプラズマにより構成されるセルフバイアスによっても固定可能ではあるが、ウエハの裏面に冷却ガスを流しウエハを冷却するため(ここでは図示しない)、確実にウエハを固定する必要があり直流電源11を接続して静電吸着装置の吸着力を確保している。なお、12は直流電源のオン・オフを制御するためのスイッチである。15は、余分な処理ガス、及び反応生成物の排気を表しており、真空ポンプに接続されている(ここには図示しない)。
引き続き本発明の静電吸着装置について図1,図2を用いて詳細に説明する。図1は処理用ウエハ9が実際に吸着されている様子を示している。本装置は、アルミ製の下部ブロック36上に、Oリング24を介してボルト17によりアルミ製の下部ブロック36上に、Oリング24を介してボルト17によりアルミ製の上部ブロック37が固定される。この下部ブロックと上部ブロックの間には冷却溝が31設けられており、この図には示していないが外部に接続された冷却装置により冷媒が循環しており、処理中のウエハの温度制御を行っている。実際にウエハを吸着する誘電膜21は上部電極37上にセラミック系の接着剤により固定される。誘電膜21は抵抗率が1010から1012Ωcm程度のアルミナであり、焼結法により作製されている。また誘電膜内部には、タングステン製の内電極23と外電極22が同心円リング状に入れられている。これら下部ブロック、上部ブロックは周囲をカバー18に覆われた絶縁台38に納められている。
次に静電吸着装置への電源供給について説明する。誘電膜21内に設けられた各電極への供給は上部ブロック,下部ブロック,絶縁台、及びカバーに貫通孔を設けておき、絶縁ガイド20により外部と絶縁を保ちつつ電線30により行う。なお、29はコネクタ28とカバーの絶縁をとるための絶縁ガイドである。本実施例では、内電極にマイナスの電位を印加し、外電極にはプラスの電位を印加している。実際の処理中にはプラズマ中のイオンを効果的に引き寄せて処理を行うために高周波電圧を印加するが、ここでは下部ブロック36にブロッキングコンデンサ39を介して印加している。このように処理中のウエハにはプラズマが入射し温度が上昇するので、レジスト焼けの防止、均一なエッチング処理の実現のために前述したように各ブロックを冷却しているが、ウエハの処理は真空中で行われるために熱伝導率が低く冷却効率が悪い。そこで、本実施例では下部ブロック中には中空のパイプ32、また誘電膜と上部ブロックに冷却ガス用孔33を設けておきウエハ裏面に冷却ガスを流し熱伝導効率を上げている。なお、誘電膜表面には冷却溝35が設けてあり、これは冷却ガスのガスたまりとして作用し、ウエハ裏面にまんべんなくガスが行き渡るようにする。そのほか、16は上部ブロックをプラズマから保護するサセプタであり、19は処理中のウエハの温度をモニタするための温度計である。
次に、本発明の特徴であるプッシャ27について説明する。先に説明したように処理中のウエハにはプラズマから入射した電子がチャージアップしているほか、誘電膜中には印加された直流電圧により発生した分極電荷が存在している。その結果、ウエハを吸着しているわけであるが、これらの電荷が消失するには時間がかかるほか、仮に逆電圧の印加やウエハ裏面の接地を行っても完全に除電する事は難しい。また、現状では残留吸着力を正確に予測することも難しく、最終的にはウエハ裏面に外力を作用させて引き剥がしている。その結果、除電が十分完了していないにもかかわらず、プッシャにより無理に引き剥がそうとするとウエハが割れてしまうことがある。本実施例では、誘電膜21,上部ブロック37,下部ブロック36,絶縁台38、及びカバー18に貫通孔を設けておき、貫通孔内にプッシャ27をブッシュ26,34に沿って可動するように構成している。そして、図には示していないが外部のモータによりプッシャをベローズ25と一緒に動作させているが、プッシャはウエハの半径方向に70%のところに同心円上等間隔に4カ所設けてある。
本実施例ではプッシャの位置をウエハの半径の70%の位置としていたが、その理由について説明する。考え方としては、残留吸着力が誘電膜とウエハの接触面全面に一様に発生している場合、プッシャでウエハ裏面を押し上げる際、最もウエハが破壊しにくい、つまり応力が最小になるところを押すというものである。図4は、仮に12インチウエハで残留吸着力が2gf/cm2 の時にプッシャが3個、及び4個でウエハを押し上げるときに発生する主応力の最大値を計算により求めた結果である。この図から、プッシャの数が3個の場合も4個の場合もいずれも最大主応力はウエハ半径の60〜80%のところで最小値をとることがわかる。したがって、本実施例ではウエハ半径の70%のところにプッシャを設けているが、この図から60〜80%のところであればあまり大きな差はないことがわかる。
本実施例で、プッシャの数は4カ所としていた。しかし、必ずしも4カ所とする必要はなく、最終的にウエハを誘電膜面から安定して完全に引き剥がすことが出来るなら3カ所程度もよいし、より多くてもかまわない。この数を決定するのは、例えば温度計や冷媒通路との位置関係、及び実験等により予測される残留吸着力の大きさによる。また、必ずしも同心円上に配置する必要はないが、最終的にウエハを持ち上げたときに安定して保持できる配置にすべきであることは明らかである。
実施例によれば、残留吸着力が大きい場合であってもウエハをプッシャで押し上げる場合に、最も破壊しにくい静電吸着装置を提供することが出来る。
本発明の一実施例の断面図。 図1の平面図。 本発明を有磁場マイクロ波プラズマ処理装置に適用した説明図。 プッシャ位置半径と主応力の関係を示す特性図。
符号の説明
9…ウエハ、10…高周波電源、11…直流電源、12…スイッチ、16…サセプタ、17…ボルト、18…カバー、19…温度計、20…絶縁ガイド、21…誘電膜、22…外電極、23…内電極、24…Oリング、25…ベローズ、26…ブッシュ、27…プッシャ、28…コネクタ、29…絶縁ガイド、30…電線、31…冷媒通路、32…パイプ、33…冷却ガス用孔、34…ブッシュ、36…下部ブロック、37…上部ブロック、38…絶縁台、39…ブロッキングコンデンサ。

Claims (2)

  1. 真空処理室内のウエハ積載面に保持されたウエハをプラズマ処理し、該プラズマ処理の終了したウエハを前記真空処理室外へ搬送するプラズマ処理装置であって、
    前記ウェハ積載面を形成する誘電膜と、
    当該誘電膜と前記ウェハとの間に静電気力による吸着力を発生させるための電圧が印可される電極と、
    前記ウエハ積載面の中心から半径方向60〜80%の領域の略同一円上に設けられ、前記誘電膜及び前記電極を貫通する3個以上の貫通孔と、
    前記プラズマ処理の終了後、前記3個以上の貫通孔内をそれぞれ可動することにより、前記ウェハ積載面と前記ウェハとの間に作用する残留吸着力に抗して前記ウェハを押し上げる3個以上の棒状体と、
    該3個以上の棒状体を同時に上下動させる手段とを有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
    前記電極に冷媒を循環させて前記ウエハの温度制御を行う冷却装置を有することを特徴とするプラズマ処理装置。
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