JP4004195B2 - 回転型吸脱着式ガス処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工場排気に含まれる溶剤の回収などに用いるガス処理装置に関し、詳しくは(図1及び図9参照)、仕切壁Kにより仕切られてロータ周方向に並び、かつ、各々がロータ2の一端から他端(回転軸心方向における一端と他端、以下同様)にわたる多数の風路室7をロータ2に形成し、
各風路室7にそれらのロータ一端側開口を閉塞する姿勢の端壁27wを設けて、各風路室7の端壁27wに通気口29を形成し、
通気性の吸着剤層8を備える吸着具9を各風路室7に収容した状態で前記通気口29に装着し、
このロータ2の回転において所定の吸着位置Xを通過する風路室7にロータ一端側(図中左側)から対向連通してその風路室7を被処理ガスAの通風状態にする被処理ガス系の通風口19、及び、ロータ2の回転において所定の脱着位置Yを通過する風路室7にロータ一端側から対向連通してその風路室7を脱着用ガスGの通風状態にする脱着用ガス系の通風口21を設けるとともに、
風路室7にロータ一端側から対向する遮風壁22a,22bを、ロータ回転方向における被処理ガス系及び脱着用ガス系の各通風口19,21の上手側及び下手側の夫々でそれら通風口19,21の口縁にわたらせて配設し、
この遮風壁22a,22bのロータ回転方向における配設幅Wを、1つの風路室7が被処理ガス系の通風口19と脱着用ガス系の通風口21とに同時に連通するのを阻止する幅にしてある回転型の吸脱着式ガス処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の回転型吸脱着式ガス処理装置では、図9に示す如く、吸着具装着用の通気口29を形成した端壁27wを、各風路室7のロータ一端側縁(すなわち、各仕切壁Kのロータ一端側縁に相当する位置)に配設し、これら端壁27wをロータ2の回転において遮風壁22a,22bに対し摺接的に移動させる構造にしていた(特開平6−343814号参照)。
【0003】
さらに具体的に言えば、従来装置では、各仕切壁Kのロータ一端側縁に、ロータ2の回転に伴い遮風壁22a,22bに摺接して仕切壁Kのロータ一端側縁と遮風壁22a,22bとの間をシールする樹脂製シール部材を付設し、これにより、被処理ガス系の通風口19と脱着用ガス系の通風口21との間でのガスリークを一層確実に防止するようにしており、このことから、各風路室7のロータ一端側縁における上記端壁27wは、厳密には仕切壁Kのロータ一端側縁からのシール部材の突出寸法分だけ遮風壁22a,22bから離間する遮風壁近接状態で、遮風壁22a,22bに対して摺接的に移動する構造になっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来構造では(同図9参照)、ロータ2の回転で遮風壁22a,22bが各風路室7の端壁27wに対し摺接的に相対移動して、その端壁27wに形成された通気口29を直接的に開閉する形態になることから、この開閉で各通気口29が被処理ガス系の通風口19や脱着用ガス系の通風口21に対して全閉状態から極僅かに開かれたときや全閉近くまで閉じられたとき(すなわち、遮風壁22a,22bによる通気口29の閉塞度が大きくなるごとに)、各通気口29に装着された吸着具9の吸着剤層8に対し被処理ガスAや脱着用ガスGが大きく偏流した状態で不均一に通気され、この為、各吸着剤層8の吸着性能や脱着性能を充分に発揮させることができずにガス処理性能が低下する、また、各吸着剤層8の劣化が局部的に進んで吸着剤層8の耐用期間が短くなる問題があった。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な改良により上記問題を効果的に解消する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔1〕請求項1に係る発明では、
仕切壁により仕切られてロータ周方向に並び、かつ、各々がロータの一端から他端にわたる多数の風路室をロータに形成し、
各風路室にそれらのロータ一端側開口を閉塞する姿勢の端壁を設けて、各風路室の端壁に通気口を形成し、
通気性の吸着剤層を備える吸着具を各風路室に収容した状態で前記通気口に装着し、
このロータの回転において所定の吸着位置を通過する風路室にロータ一端側から対向連通してその風路室を被処理ガスの通風状態にする被処理ガス系の通風口、及び、ロータの回転において所定の脱着位置を通過する風路室にロータ一端側から対向連通してその風路室を脱着用ガスの通風状態にする脱着用ガス系の通風口を設けるとともに、
風路室にロータ一端側から対向する遮風壁を、ロータ回転方向における被処理ガス系及び脱着用ガス系の各通風口の上手側及び下手側の夫々でそれら通風口の口縁にわたらせて配設し、
この遮風壁のロータ回転方向における配設幅を、1つの風路室が被処理ガス系の通風口と脱着用ガス系の通風口とに同時に連通するのを阻止する幅にしてある回転型吸脱着式ガス処理装置において、
各風路室における前記端壁を風路室のロータ一端側縁よりも風路室奥側に配置して、この端壁により各風路室をロータ一端側に開口する通風案内用のロータ一端側分室と、このロータ一端側分室に前記通気口を通じて連通する吸着具装着用のロータ他端側分室とに区画する。
【0007】
つまり、この構成であれば、ロータの回転において各風路室のロータ一端側開口に対する遮風壁の相対移動で各風路室におけるロータ一端側開口の閉塞度が大きくなって(すなわち、各風路室のロータ一端側開口が被処理ガス系の通風口や脱着用ガス系の通風口に対し全閉状態から極僅かに開かれた状態や全閉近くまで閉じられた状態になって)、各通風口と各風路室との間での被処理ガスや脱着用ガスの通風に絞りによる大きな偏流が生じても、各通風口に臨む各風路室のロータ一端側開口とそれよりも各風路室の奥側に配置した端壁との間に大きな室容積を有する通風案内用の上記ロータ一端側分室が存在することで、その偏流は、このロータ一端側分室での気流分散及び気流減衰により効果的に緩和される。
【0008】
このことから、ロータ一端側分室とは反対側のロータ他端側分室へ収容した状態で端壁の通気口に装着する各吸着具の吸着剤層に対し、均一な通気状態をより安定的に保って被処理ガスや脱着用ガスを通気でき、これにより、吸着具装着用の通気口を形成する端壁を各風路室のロータ一端側縁(各仕切壁のロータ一端側縁に相当する位置)に配設する先述の従来装置に比べ、各吸着剤層の吸着性能や脱着性能をより高く安定的に発揮させることができてガス処理性能を向上し得るとともに、各吸着剤層の局部的な劣化進行を防止して吸着剤層の耐用期間を長くすることができる。
【0009】
〔2〕請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明の実施にあたり、前記ロータの回転に伴い前記遮風壁に摺接して前記仕切壁のロータ一端側縁と前記遮風壁との間をシールする樹脂製シール部材を、前記仕切壁のロータ一端側縁から突出させる。
【0010】
つまり、この構成によれば、前記の如く端壁を各風路室のロータ一端側縁よりも風路室奥側に配置して、遮風壁と端壁との離間寸法を充分に大きくする構造(すなわち、端壁を遮風壁に対して摺接的に移動させない構造)を採りながらも、被処理ガス系の通風口と脱着用ガス系の通風口との間でのガスリークを、上記樹脂製シール部材の遮風壁に対する馴染み良い摺接をもって確実に防止することができ、これにより、前述の如き偏流の緩和による各吸着剤層への均一通気と相俟って、より高いガス処理性能を得ることができる。
【0011】
〔3〕請求項3に係る発明では、請求項2に係る発明の実施にあたり、前記仕切壁のロータ一端側縁と前記端壁との間の離間寸法を、前記仕切壁のロータ一端側縁から突出させた前記樹脂製シール部材の突出寸法よりも大きくする。
【0012】
つまり、この構成によれば、端壁を風路室のロータ一端側縁、すなわち、仕切壁のロータ一端側縁に相当する位置に配置した構造で、その仕切壁のロータ一端側縁から樹脂製シール部材を突出させる従来装置に比べ、前記ロータ一端側分室による前述の如き偏流の緩和作用が特に顕著に発揮されるようになり、これにより、請求項1に係る発明によるガス処理性能の向上や吸着剤層耐用期間の長期間化を一層効果的に達成できる。
【0013】
なお、この種の回転型吸脱着式ガス処理装置では、被処理ガス系及び脱着用ガス系の各通風口における通過ガスの面風速が一般に0.5〜1.0m/s程度に設定されるが、この範囲の面風速の場合、仕切壁のロータ一端側縁(仕切壁の端縁部に樹脂製シール部材を付設する構造では、そのシール部材の基端相当位置)と端壁との間の離間寸法は40mm以上にするのが好ましく、樹脂製シール部材の先端と端壁との間の離間寸法は70mm以上にするのが好ましい。
【0014】
〔4〕請求項4に係る発明では、請求項1〜3のいずれか1項に係る発明の実施にあたり、前記仕切壁を、吸着具装着用の前記ロータ他端側分室を仕切り形成する主壁部分と、通風案内用の前記ロータ一端側分室を仕切り形成する延出壁部分との分割構造にする。
【0015】
つまり、この構成によれば、隣合う風路室をロータ周方向について仕切る仕切壁を互いに別体の上記主壁部分と延出壁部分とで形成することにより、それら主壁部分と延出壁部分との境部に位置させる端壁をロータ周方向で複数の風路室にわたらせる共通壁材で形成でき、これにより、各風路室の端壁を個別の分割壁材で形成するに比べ、ロータ周方向で複数の風路室にわたる端壁形成用の共通壁材をロータ保形用の補強部材としても有効に機能させる状態でロータ強度を高めることができる。
【0016】
〔5〕請求項5に係る発明では、請求項1〜4のいずれか1項に係る発明の実施にあたり、前記ロータの外周とモータ駆動回転体とにわたらせて伝動ベルト又は伝動チェーンを巻き掛け、この伝動ベルト又は伝動チェーンによりモータ駆動回転体の回転力をロータに伝達して前記ロータを回転させる構造にする。
【0017】
つまり、この構成によれば、ギア機構などを用いてロータの回転軸を駆動回転させることでロータを回転させるに比べ、ロータ回転軸に作用する捻りモーメントを小さくしてロータ回転軸を小径化することができ、また、ロータの外周に巻き掛ける伝動ベルトや伝動チェーンを補強手段に利用した状態でロータの保形性を高めてロータ形成材を軽薄化することもでき、これにより、装置コストを安価にするとともに、ロータ重量を軽量にしてロータの回転に要する動力を低減できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、工場排気に含まれる溶剤蒸気の回収などに用いる回転型の吸脱着式ガス処理装置を示し、1は吸着ロータ2を内蔵した装置ケーシングであり、このケーシング1には、回収対象成分を含む被処理ガスAを導入する被処理ガス導入口3と、回収対象成分を回収した後の被処理ガスA′を送出する処理済ガス送出口4と、吸着剤再生に用いる脱着用ガスG(例えば高温空気)を導入する脱着用ガス導入口5と、吸着剤再生に用いた後の脱着用ガスG′(後述の濃縮ガス)を送出する濃縮ガス送出口6を形成してある。
【0019】
図1〜図6に示す如く、ロータ2には、仕切壁Kにより仕切られた状態でロータ2の全周にわたってロータ周方向に等ピッチで並び、かつ、各々がロータ2の一端から他端にわたる多数の風路室7(後述のロータ一端側分室7bとロータ他端側分室7aとからなる両端開口室)を形成してあり、各風路室7には、通気性のマット状吸着剤層8を備える着脱自在な図7に示す如きカセット式吸着具9を装着してある。
【0020】
また、装置ケーシング1の内部は、ロータ2をその両端側から挟む配置の2枚の内壁10,11により、ロータ2の一端側(図中左側)に位置して処理済ガス送出口4に連通する処理済ガス室12と、2枚の内壁10,11の間のロータ配置室13と、ロータ2の他端側に位置して被処理ガス導入口3に連通する被処理ガス室14とに区画してある。
【0021】
処理済ガス室12の側の内壁10には、ロータ2の回転において所定の吸着位置Xを通過する風路室7(その一端側開口の全部が吸着位置Xの範囲内にある風路室7)にロータ一端側から対向連通して、その風路室7を処理済ガス室12に連通させる被処理ガス系の出口側通風口19、及び、ロータ2の回転において所定の脱着位置Yを通過する風路室7(その一端側開口の全部が脱着位置Yの範囲内にある風路室7)にロータ一端側から対向連通して、その風路室7を導入側の内部風路20を通じ脱着用ガス導入口5に連通させる脱着用ガス系の入口側通風口21を形成してある。
【0022】
そして、この内壁10において、脱着用ガス系の入口側通風口21に対するロータ回転方向の上手側及び下手側の夫々(換言すれば、被処理ガス系の出口側通風口19に対するロータ回転方向の上手側及び下手側の夫々)で、脱着用ガス系の入口側通風口21と被処理ガス系の出口側通風口19との口縁間にわたる部分は、風路室7にロータ一端側から対向する遮風壁22a,22bにし、これら遮風壁部分22a,22bのロータ回転方向における配設幅Wは、1つの風路室7が両通風口19,21に対して同時に連通するのを阻止する幅(すなわち、1つの風路室7が両通風口19,21に同時連通することによる両通風口19,21間でのガスリークを防止する幅)にしてある。
【0023】
一方、被処理ガス室14の側の内壁11には、上記の吸着位置Xを通過する風路室7(すなわち、処理済ガス室12に対して連通状態にある風路室7)にロータ他端側から対向連通して、その風路室7を被処理ガス室14に連通させる被処理ガス系の入口側通風口15、及び、上記の脱着位置Yを通過する風路室7(すなわち、脱着用ガス導入口5に対して連通状態にある風路室7)を送出側の内部風路16を通じて濃縮ガス送出口6に連通させる脱着用ガス系の出口側通風口17を形成してある。
【0024】
また、他方の内壁10と同様、この内壁11においても、脱着用ガス系の出口側通風口17に対するロータ回転方向の上手側及び下手側の夫々で、脱着用ガス系の出口側通風口17と被処理ガス系の入口側通風口15との口縁間にわたる部分は、風路室7にロータ他端側から対向する遮風壁18a,18bにし、これら遮風壁部分18a,18bのロータ回転方向における配設幅Wを、1つの風路室7が両通風口15,17に対して同時に連通するのを阻止する幅(すなわち、1つの風路室7が両通風口15,17に同時連通することによる両通風口15,17間でのガスリークを防止する幅)にしてある。
【0025】
つまり、このガス処理装置では、被処理ガス導入口3から被処理ガス室14に導入した被処理ガスAを、被処理ガス系の入口側通風口15を通じて吸着位置Xにある風路室7に通過させ、この風路室通過において被処理ガスAを、吸着位置Xにある風路室7に装着されたカセット式吸着具9のマット状吸着剤層8に通過させることで、被処理ガスAが含む溶剤蒸気などの回収対象成分をマット状吸着剤層8の構成吸着剤に吸着させる。そして、この吸着により回収対象成分が除去された被処理ガスA′を処理済ガスとして、吸着位置Xにある風路室7から被処理ガス系の出口側通風口19を通じ処理済ガス室12へ流出させて、処理済ガス送出口4から外部へ送出する。
【0026】
また、この吸着処理に併行して、脱着用ガス導入口5から導入する脱着用ガスG(被処理ガスAよりも小風量の高温ガス)を、導入側内部風路20及び脱着用ガス系の入口側通風口21を通じて脱着位置Yにある風路室7に通過させ、この風路室通過において脱着用ガスGを、脱着位置Yにある風路室7に装着されたカセット式吸着具9のマット状吸着剤層8に通過させることで、先の吸着位置Xにおいて吸着剤層8の構成吸着剤に吸着させた回収対象成分を脱着用ガスG中へ脱着させる。そして、この脱着により回収対象成分を被処理ガスAよりも高濃度に含む状態になった脱着用ガスG′を濃縮ガスとして、脱着位置Yにある風路室7から脱着用ガス系の出口側通風口17へ流出させて、送出側内部風路16を通じ濃縮ガス送出口6から外部へ送出する。
【0027】
そして、ロータ2の回転に伴い各風路室7におけるカセット式吸着具9の吸着材層8について上記の吸着工程と脱着工程とを交互に繰り返すことにより、被処理ガスA中の回収対象成分を被処理ガスAよりも小風量の脱着用ガスGに移行させて濃縮する形態の回収処理を継続する。
【0028】
なお、本例の装置では、ロータ2に計12室の風路室7を区画形成するのに対し、吸着位置Xは風路室7の11室分よりも若干小さい角度幅(330°よりも若干小さい中心角)を有する位置にし、脱着位置Yは風路室7の3室分よりも若干小さい角度幅(90°よりも若干小さい中心角)を有する位置にし、また、吸着位置Xと脱着位置Yとのラップ部分は風路室7の1室部よりも若干小さい角度幅(30°よりも若干小さい中心角)にし、これらラップ部分に位置させる各遮風壁部分18a,18b,22a,22bは風路室7の1室分よりも若干大きい角度幅(30°よりも若干大きい中心角)を有するものにしてある。
【0029】
ロータ2は同心配置の内筒23と外筒24を基体とし、内筒23の両端は閉塞板25a,25bにより閉塞し、内筒23は、これら閉塞板25a,25bを連結具としてロータ回転軸26に連結してある。
【0030】
内筒23と外筒24との間の環状空間は、ロータ周方向に等ピッチで並ぶ区画板28により個々の断面形状が扇形の複数の区画室7aに区画し、これら区画室7a夫々の一端縁には、上記環状空間の一端側を閉塞するドーナツ板状の共通壁材27により端壁27wを形成し、そして、各区画室7aの端壁27wには吸着具装着用の前記通気口29を2個ずつ形成してあり、これにより、各区画室7aを各風路室7における吸着具装着用のロータ他端側分室として、これら区画室7aの各々にカセット式吸着具9を2個ずつ収容した状態で、各通気口29にカセット式吸着具9を装着する構造にしてある。
【0031】
端壁形成用のドーナツ板状共通壁材27と内筒23との連結部(内筒23の一端縁部)には、内筒23に連続する姿勢で内筒23の全周にわたる環状の内筒延長部材30aを取り付けるとともに、ロータ2の回転に伴い内壁10に常時摺接させる樹脂製の内周シール部材33を、内筒延長部材30aの全周にわたらせた状態で環状の支持部材30bを介して内筒延長部材30aに取り付けてあり、同様に、端壁形成用のドーナツ板状共通壁材27と外筒24との連結部(外筒24の一端縁部)には、外筒24に連続する姿勢で外筒24の全周にわたる環状の外筒延長部材31aを取り付けるとともに、ロータ2の回転に伴い内壁10に常時摺接させる樹脂製の外周シール部材34を、外筒延長部材31aの全周にわたらせた状態で環状の支持部材31bを介して外筒延長部材31aに取り付けてある。
【0032】
また、端壁形成用のドーナツ板状共通壁材27と各区画板28との連結部には、区画板28に連続する姿勢で内筒延長部材30aと外筒延長部材31bとの間にわたる区画板延長部材32aを取り付けるとともに、ロータ2の回転に伴い内壁10の遮風壁部分22a,22bに摺接させる樹脂製の区画シール部材35を、区画板延長部材32aの全長にわたらせた状態で支持部材32bを介して各区画板延長部材32aに取り付けてあり、この構造により、端板27wよりも内壁10の側において、内筒延長部材30a及びそれに続く内周シール部材用の支持部材30b(厳密にはその支持部材30bにおける内筒延長部材30aの先端と内周シール部材33の基端との間の部分)と、外筒延長部材31a及びそれに続く外周シール部材用の支持部材31b(厳密にはその支持部材31bにおける外筒延長部材31aの先端と外周シール部材34の基端との間の部分)と、区画板延長部材32a及びそれに続く区画シール部材用の支持部材32b(厳密にはその支持部材32bにおける区画板延長部材32aの先端と区画シール部材35の基端との間の部分)とで四方を囲まれる囲い室7bを、各風路室7における通気案内用のロータ一端側分室として、この囲い室7bと前記の区画室7aとにより各風路室7を形成してある。
【0033】
つまり、本例の装置では、ロータ2における各風路室7を、通風案内用のロータ一端側分室(囲い室7b)と吸着具装着用のロータ他端側分室(区画室7a)とに区画する形態で、吸着具装着用の通気口29を形成する端壁27wを各風路室7のロータ一端側縁(各仕切壁Kのロータ一端側端縁に相当する位置、詳しくは区画シール部材35の基端相当位置)よりも所定寸法dだけ風路室の奥側に配置し、これにより、ロータ2の回転において、各風路室7のロータ一端側開口に対する内壁10側の遮風壁部分22a,22bの相対移動で各風路室7のロータ一端側開口が被処理ガス系の出口側通風口19や脱着用ガス系の入口側通風口21に対し全閉状態から極僅かに開かれた状態や全閉近くまで閉じられた状態になって、これら通風口19,21と各風路室7との間でのガス通風に絞りによる大きな偏流が生じても、その偏流を通風案内用のロータ一端側分室7bにおける気流分散及び気流減衰により効果的に緩和した状態で、端壁27wの通気口29に装着したカセット式吸着具9のマット状吸着剤層8に対し均一な通気状態を安定的に保って被処理ガスAや脱着用ガスGを通気できるようにしてある。
【0034】
また、この通風案内用のロータ一端側分室7bを形成するのに、隣合う風路室7を仕切る仕切壁Kを、吸着具装着用のロータ他端側分室7a(前記区画室)を仕切り形成する仕切板28からなる主壁部分と、通風案内用のロータ一端側分室7b(前記囲い室)を仕切り形成する区画板延長部材32a及びそれに続く区画シール部材用の支持部材32b(その支持部材32bにおける区画板延長部材32aの先端と区画シール部材35の基端との間の部分)とからなる延出壁部分との分割構造にして、各風路室7の端壁27wをドーナツ板状の共通壁材27で形成することにより、複数の風路室7にわたるこのドーナツ板状共通壁材27をロータ保形用の補強部材としても有効に機能させてロータ強度を高めるようにしてある。
【0035】
なお、本例の装置では、区画シール部材35のロータ回転軸心方向における寸法(仕切壁Kからの突出寸法)を30mm程度とするのに対し、仕切壁Kのロータ一端側端縁(区画シール部材35の基端相当位置)と端壁27wとの離間寸法dを40mmから50mm程度にしてある。
【0036】
一方、ロータ2の他端側では、ロータ2の回転に伴い内壁11に常時摺接させる樹脂製の内周シール部材36及び外周シール部材37を、内筒23及び外筒24の全周にわたらせた状態で環状の支持部材23a,24aを介して内筒23及び外筒24の端縁部に取り付けるとともに、ロータ2の回転に伴い内壁11の遮風壁部分18a,18bに摺接させる樹脂製の区画シール部材38を、区画板28のロータ半径方向の全長にわたらせた状態で支持部材28aを介して各区画板28の端縁部に取り付けてある。
【0037】
39はモータ40により回転するモータ駆動プーリー41と外筒24(すなわち、ロータ2の外周)とにわたらせて巻き掛けたタイミングベルトであり、本例装置では、このタイミングベルト39によりモータ駆動プーリー41の回転力を外筒24に伝達してロータ2を回転させる構造にし、ロータ回転軸26は遊転軸にしてある。
【0038】
すなわち、このロータ駆動構造を採ることにより、ギア機構などを用いてロータ回転軸26を駆動回転させることでロータ2を回転させるに比べ、ロータ回転軸26に作用する捻りモーメントを小さくして、ロータ回転軸26の小径化を可能にし、また、外筒24に巻き掛けるタイミングベルト39を外筒24に対する補強手段に利用した状態で、大径円筒体である外筒24の保形性を高めて、外筒24を形成する板材の薄肉化も可能にしてある。
【0039】
外筒24の外周面にはタイミングベルト39の歯列に咬合させるロータ側歯列42を形成してあり、また、タイミングベルト39はテンション装置43により外筒24に対する接触部分の長さ(巻き付き長さ)が長くなる方向、すなわち、外筒24の保形性を一層高める方向に緊張させてある。
【0040】
カセット式吸着具9は、図7及び図8に示す如く、周壁を網材44で形成するとともに一端を底板45により閉塞した有底筒状体をカセット基体46とし、このカセット基体46の外周に通気性のマット状吸着剤層8(例えば、繊維状活性炭を主構成材とするマット状体)を巻き付けて、この巻き付け吸着剤層8の両端部を締め付け具47により締め付け固定する構造にしてある。
【0041】
カセット基体46の底板45には装着用ネジ具48を付設してあり、また、ロータ2への装着状態において端板27wにおける通気口29の口縁部に当て付けるカセット基体開口部のフランジ49には、その当て付けを気密にするシール部材50を付設してある。
【0042】
そして、このカセット式吸着具9をロータ2の風路室7に装着するための構造としては、風路室7の端板27wにおける各通気口29の口縁部に、吸着具装着用のロータ他端側分室7aに対して突出する複数本の支持棒51を等間隔配置で取り付けるとともに、吸着具装着状態において吸着具9の内側でカセット基体46の底板45に近接対向させる支持板52を支持棒51の先端部どうしにわたらせて取り付け、この支持板52にカセット基体側の装着用ネジ具48に対する雌ネジ部材53を取り付けてある。
【0043】
つまり、被処理ガス室14の側の内壁11における被処理ガス系の入口側通風口15を通じてロータ2における各風路室7のロータ他端側分室7aへ吸着具9を挿入するとともに、この挿入吸着具9を上記の支持棒51と支持板52とからなる支持台への外嵌状態にして、カセット基体開口部のフランジ49を端板27wにおける通気口29の口縁部に当て付け、この状態でカセット基体側の装着用ネジ具48を支持板52の雌ネジ部材53に対しネジ込み操作して、吸着具9を各風路室7の通気口29に装着するようにしてある。
【0044】
また、吸着及び脱着を効率的に行なう為、マット状の吸着剤層8に対する被処理ガスAの通風向きと脱着用ガスGの通風向きとは逆向きにするが、ロータ2に対する前述の通風構造では、大風量の被処理ガスAを筒状の吸着具9の外側から内側へ通気し、小風量の脱着用ガスGを筒状の吸着具9の内側から外側へ通気する通風形態を採ることにより、カセット基体46の外周に巻き付けたマット状吸着剤層8が風圧の為に剥がれるといったトラブルをより確実に回避できるようにしてある。
【0045】
なお、装置ケーシング1において被処理ガス室14の外壁にあたる部分には点検扉54を設けてあり、マット状吸着剤層8の交換等のために行なう吸着具9の取り外し操作や装着操作は、この点検扉54を通じて行なう。
【0046】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を列記する。
吸着具9に装備する通気性の吸着剤層8には、繊維状活性炭を主構成材とするマット状体に限らず、繊維状や粒状の吸着剤を通気性の袋状体に充填したものなど、種々の形式のものを適当でき、また、吸着剤層8を装備する吸着具9の具体的構造や風路室側における吸着具装着構造も前述の実施形態で示した構造に限らず、種々の構造変更が可能である。
【0047】
各風路室7に吸着具9を2個ずつ装着する構造に代え、各風路室7に吸着具9を1個ずつ、または、3以上の複数個ずつ装着する構造を採ってもよく、また、ロータ2における風路室7の並設数も12室に限られるものではない。
【0048】
前述の実施形態では、吸着位置Xを通過する風路室7にロータ一端側から対向連通させる被処理ガス系の通風口19を風路室7に対する出口側の通風口とし、また、脱着位置Yを通過する風路室7にロータ一端側から対向連通させる脱着用ガス系の通風口21を風路室7に対する入口側の通風口としたが、ロータ2の一端側(すなわち、各風路室7における通風案内用のロータ一端側分室7bの側)から風路室7に対向連通させる被処理ガス系及び脱着用ガス系の通風口19,21は各々、風路室7に対する入口側の通風口あるいは出口側の通風口のいずれであってもよい。
【0049】
各遮風壁22a,22b,18a,18bは、1つの風路室7が被処理ガス系の通風口19,15と脱着用ガス系の通風口21,17とに対して同じに連通するのを阻止し得る配設幅Wを有するものであればよく、場合によっては、隣合う2以上の風路室7を同時に完全遮風する配設幅を有するものにしてもよい。
【0050】
前述の実施例では、仕切壁Kを吸着具装着用のロータ他端側分室7aを仕切形成する主壁部分28と、通風案内用のロータ一端側分室7bを仕切形成する延出壁部分32a,32bとの分割構造にしたが、場合によっては、これ以外の分割構造で仕切壁Kを形成したり、一体部材で仕切壁Kを形成してよい。
【0051】
遮風壁22a,22bに対して摺接させる樹脂製のシール部材35を仕切壁Kのロータ一端側縁から突出させる場合、そのシール部材35の仕切壁Kに対する具体的取り付け構造は、前述の実施形態で示した構造に限らず種々の構成変更が可能であり、また、仕切壁Kのロータ一端側縁(シール部材35を付設する場合、そのシール部材35の基端相当位置)と端壁27wとの離間寸法dをどの程度にするかは、条件等に応じて決定すればよい。
【0052】
前述の実施形態では、タイミングベルト39をロータ2の外周とモータ駆動プーリー41とにわらたせて巻き掛けるロータ駆動構造を採用したが、タイミングベルト以外の伝動べルトをロータ2の外周とモータ駆動プーリーとにわたらせて巻き掛けたり、モータ駆動回転体としてプーリーに代えスプロケットを用いて、伝動チェーンをロータ外周の歯列とモータ駆動スプロケットとにわたらせて巻き掛けるなどのロータ駆動構造を採用してもよい。
【0053】
被処理ガスA中の回収対象成分は、工場排気中の溶剤蒸気や空気中の有害ガス成分、あるいは、気体中の水分など、吸着剤により吸着し得るものであれば、どのようなものであってもよく、また、脱着用ガスGにも、高温空気や高温水蒸気を初め、吸着剤に吸着させた回収対象成分を脱着し得るものであれば種々の気体を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一部を破断した斜視図
【図2】縦断面図
【図3】横断面図
【図4】ロータの展開図
【図5】要部の拡大断面図
【図6】要部の拡大斜視図
【図7】カセット式吸着具の構造図
【図8】カセット式吸着具の装着構造を示す分解図
【図9】従来構造を示すロータの展開図
【符号の説明】
2 ロータ
7 風路室
7a 吸着具装着用のロータ他端側分室
7b 通風案内用のロータ一端側分室
8 吸着剤層
9 吸着具
19 被処理ガス系の通風口
21 脱着用ガス系の通風口
22a,22b 遮風壁
27w 端壁
28 主壁部分
29 通気口
32a,32b 延出壁部分
35 シール部材
39 伝動ベルト
41 モータ駆動回転体
A 被処理ガス
d 離間寸法
G 脱着用ガス
K 仕切壁
W 遮風壁配設幅
X 吸着位置
Y 脱着位置
Claims (5)
- 仕切壁により仕切られてロータ周方向に並び、かつ、各々がロータの一端から他端にわたる多数の風路室をロータに形成し、
各風路室にそれらのロータ一端側開口を閉塞する姿勢の端壁を設けて、各風路室の端壁に通気口を形成し、
通気性の吸着剤層を備える吸着具を各風路室に収容した状態で前記通気口に装着し、
このロータの回転において所定の吸着位置を通過する風路室にロータ一端側から対向連通してその風路室を被処理ガスの通風状態にする被処理ガス系の通風口、及び、ロータの回転において所定の脱着位置を通過する風路室にロータ一端側から対向連通してその風路室を脱着用ガスの通風状態にする脱着用ガス系の通風口を設けるとともに、
風路室にロータ一端側から対向する遮風壁を、ロータ回転方向における被処理ガス系及び脱着用ガス系の各通風口の上手側及び下手側の夫々でそれら通風口の口縁にわたらせて配設し、
この遮風壁のロータ回転方向における配設幅を、1つの風路室が被処理ガス系の通風口と脱着用ガス系の通風口とに同時に連通するのを阻止する幅にしてある回転型吸脱着式ガス処理装置であって、
各風路室における前記端壁を風路室のロータ一端側縁よりも風路室奥側に配置して、この端壁により各風路室をロータ一端側に開口する通風案内用のロータ一端側分室と、このロータ一端側分室に前記通気口を通じて連通する吸着具装着用のロータ他端側分室とに区画してある回転型吸脱着式ガス処理装置。 - 前記ロータの回転に伴い前記遮風壁に摺接して前記仕切壁のロータ一端側縁と前記遮風壁との間をシールする樹脂製シール部材を、前記仕切壁のロータ一端側縁から突出させてある請求項1記載の回転型吸脱着式ガス処理装置。
- 前記仕切壁のロータ一端側縁と前記端壁との間の離間寸法を、前記仕切壁のロータ一端側縁から突出させた前記樹脂製シール部材の突出寸法よりも大きくしてある請求項2記載の回転型吸脱着式ガス処理装置。
- 前記仕切壁を、吸着具装着用の前記ロータ他端側分室を仕切り形成する主壁部分と、通風案内用の前記ロータ一端側分室を仕切り形成する延出壁部分との分割構造にしてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転型吸脱着式ガス処理装置。
- 前記ロータの外周とモータ駆動回転体とにわたらせて伝動ベルト又は伝動チェーンを巻き掛け、この伝動ベルト又は伝動チェーンによりモータ駆動回転体の回転力をロータに伝達して前記ロータを回転させる構造にしてある請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転型吸脱着式ガス処理装置。
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