JP4003868B2 - コネクター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気回路部品であるコネクターに関する。更に詳しくは、回路基板上等に実装され、他の回路部品とバネ力によって圧接される接点ピンを備えたコネクターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコネクターの構造および実装の態様を図8に示す。(a)はコネクターの要部(プローブピンとも称される)の構造を示す断面図で、1aは有底筒型の金属ケース、2は接点となるピンで、右端は径のやや大きな鍔部2aとなっている。金属ケース1aはその内部でピン2が摺動可能であるが、開口部が絞られて鍔部2aの抜け止めとなっている。3はバネ部材であり、通常コイルバネが用いられ、ピン2を外側に押して他の電子部品の電極にピン2の先端を適宜な力で圧接する役割を持つ。
【0003】
図8(b)、(c)はそれぞれ従来の完成コネクターとその実装構造を示す側面図である。完成したコネクター1は、金属ケース1aに電極板9aを溶接などによって接続し、更にブロック状の樹脂成形体9に図8(a)のプローブピンをインサートモールドするかあるいは圧入して組立てたものである。コネクター1は他の電子部品(図示せず)と共に適当な向きに回路基板7に載置され、その表面の導電パターン(図示せず)と電極板9aとがハンダ8等により接続されかつ固着される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この従来のコネクターには幾つかの問題点がある。まずプローブピンは1個づつ製造組立をしなければならない。また図8(b)、(c)のように実装形態が異なると樹脂成形体の金型を変更しなければならない。また樹脂成形体にプローブピンをインサート成形あるいは圧入しなければならない。また電極板との接続を行わねばならない。これらはいずれも完成コネクターの製造工数およびコストアップの要因となっている。
【0005】
本発明の目的は、同時に多数個のコネクターを集合的に製造することにより製造組立上の工数を一挙に軽減し、大幅なコストダウンを図ったコネクターを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のコネクターは次の特徴を備える。
(1)一方に鍔を有する多数の導体のピンと、該ピンを先端部の方に押圧するバネ部材と、順次接着して積層された第1の基板、第2の基板および第3の基板とより成り、前記第1の基板には前記ピンの先端部を摺動可能に露出させる第1の穴、前記第2の基板には前記ピンの鍔部を収容しかつ移動を許すと共に前期第1の穴よりもやや大きな径である第2の穴を前記第1の穴と共軸の設け、前記ピンの鍔部と前記バネとが前記第2の基板の前記第2の穴内に前記第3の基板によって封入された構造のコネクターであって、前記第1の基板の素材、前記第2の基板の素材および前記第3の基板の素材はそれぞれ大面積であり、前記第1の基板の素材には多数の前記第1の穴、前記第2の基板の素材には多数の前記第2の穴が互に重なるように縦横に配列されて設けられ、前記第1の基板の素材の多数の前記第1の穴のそれぞれに前記ピンと前記バネ部材とを順次投入し、前記第2の基板の素材および前記第3の素材を接着して多数の前記ピンと前記バネ部材とを封入し、最後に前記ピンを1個あるいは所定の個数ずつ含むように前記互いに重なる第1、第2の共軸の穴群の軸間距離の中間部を通る切断面で多数個に分離して成ること。
【0007】
本発明のコネクターは更に以下の特徴を備えることがある。
(2)前記第1の基板の素材と前記第2の基板の素材とをあらかじめ接着した後に前記第1の基板の素材の多数の前記第1の穴のそれぞれに前記ピンと前記バネ部材とを順次投入し、次いで第3の基板の素材を第2の基板の素材に接着して多数の前記ピンと前記バネ部材とを封入し、最後に各基板の素材の積層体を前記ピンを1個あるいは所定の個数ずつ含むように多数個に分離して成ること。
【0008】
(3)前記第2の基板の素材と前記第3の基板の素材とをあらかじめ接着した後に前記第1の基板の素材の多数の前記第1の穴のそれぞれに前記ピンと前記バネ部材とを順次投入し、次いで第2の基板の素材を前記第1の基板の素材に接着して多数の前記ピンと前記バネ部材とを封入し、最後に各基板の素材の積層体を前記ピンを1個あるいは所定の個数ずつ含むように多数個に分離して成ること。
【0009】
(4)前記第1の基板の素材および前記第3の基板の素材にはそれらが最後に切断分離される切断面を跨ぐ位置に多数の穴が設けられており、前記第1の基板の各穴の内面、前記第2の基板の前記第2の穴の内面および前記前記第3の基板の前記バネ部材と接する面はそれぞれ導体で覆われかつ互いに電気的に接続されていること。
【0010】
(5)複数のピンを含むように分離された前記コネクターにおいて、前記ピンの各々は前記いずれかの基板に設けられ、前記切断面によって分割された複数の穴のうちの特定の穴の内面に形成された導体と互いに電気的に接続されていると共に、前記ピンの各々は相互に絶縁されていること。
【0011】
(6)前記各基板の素材は共通の穴明け位置を有し、それらの積層体の切断面を間引くことによって、切断分離された完成コネクターに含まれるピンの数を異ならせたこと。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態である、完成した単体のコネクターの一例を示し、(a)は中央断面図、(b)はピン側面である表面図、(c)は裏面図である。なお従来例と共通な要素には同じ記号を当てている。以下の各図についても同様である。
【0013】
図1において、完成コネクター1のケースは、基板A4、基板B5、基板C6が積層・固着されたものであり、基板A4のピン穴4bはピン2の先端部のみを露出させ、ピン2の鍔部2a、およびピン2を基板A4に向かって押圧するためのバネ部材3であるコイルバネは、基板B5のやや径の大きな鍔部穴5a内にピン2を摺動可能に収容されており、基板C6はこれらを封入している。なおピン2に設けた深穴2bにはバネ部材3の一部を挿入し、長いコイルバネを使用可能とし、ピン2に長いストロークを与え、しかも圧力の変化を緩やかにしている。基板A4はピンの抜け止めを主要な役割とし、基板C6はピン機構の封入を主要な役割とするから厚さは比較的薄く、基板B5はピン機構を収容するから比較的厚い。
【0014】
図1表面図(b)、裏面図(c)に示すように、基板A4の四隅にはスルーホール4a、基板C6の四隅にはスルーホール6aの一部(約4分の1)が現れている。各スルーホールの内面に形成された導電膜の全部あるいはその一部は各基板の表面の導電パターンを経由してバネ部材3およびピン2と電気的に接続している。また基板C6の裏面には裏パターン6cがありスルーホール6aの導電膜と接続している。
【0015】
図2は本発明のコネクターの一例を回路基板上にハンダ実装した形態を示す側面図である。コネクター1のスルーホール4a、6aの導電膜は回路基板7上の回路導電パターン(図示せず)にハンダ8によりハンダ付けされ(スルーホール内面の導電膜がハンダの濡れ上がりを確実にする側面電極となる)、ピン2は回路パターンの末端の接点となる。コネクター1はまた、基板C6を下にして回路基板7上に立てて(ピン2が上向きになる)実装することも可能である。この場合スルーホール6aの導電膜および裏パターン6c(これもコネクターの向きによっては側面電極となる)も回路基板7上の回路パターンと接続される。
【0016】
本発明のコネクター1はいわゆる多数個取りの製法によって多数個が同時に製造され、最後に分離される。図3、図4、図5はその製造方法の要点をも説明するために、本発明の実施の形態の一例であるコネクターの筐体(ピンのケース)を構成しているそれぞれの基板(材質は回路基板同様に絶縁性であるものとして述べる)を、個々のコネクターに切断・分離する前の大型(大面積)の素材の状態で、その一部の形状や加工を示すものである。
【0017】
図3は第1の基板の素材である基板Aの素材40の一部分を示し、(a)は前面図(前面とはピンの先端側の面とする)、(b)はA−A断面図、(c)は裏面図である。基板Aの素材40(絶縁性である)にはあらかじめスルーホール4a用の穴とピン穴4bとが多数設けてあり、スルーホール4aの内面には導電膜(打点した面で示す)が形成される。また特に図示しないが、ピン穴4bの内面や基板Aの素材40の表面あるいは裏面にも必要に応じてパターンを設けることができる。10は基板Aの素材40を最終的に縦横に切断することになる切断面の位置をあらわす(切断はコネクターの組立後に行う)。各スルーホール4aは交差する切断面のそれぞれを跨ぐ位置にあるので、切断後は図1(b)、(c)あるいは図2のようにスルーホールの内面の導電膜がコネクター1の側面電極膜として外部の四隅に外向きであらわれる。
【0018】
図4は第2の基板の素材である基板Bの素材50の一部分を示し、(a)は前面図、(b)はB−B断面図、(c)は裏面図である。基板Bの素材50はピンケースの主要部であるため他の基板よりも厚く、基板A40のピン穴5aの位置に合わせた多数の鍔部穴5a(ピンの鍔部2aとバネ部材3を収容する)を有する。鍔部穴5aの内面はピン2との導通をとるためスルーホール技術により内面に導電膜が形成されている(B−B断面図(b)に打点して示した面)。また裏面側には鍔部穴5aの導電膜と接続する裏パターン5bが設けられる。切断面の位置を10で示す。なお基板Cの素材50は、回路基板に用いられるような板状の材料に穴明け加工を施してもよいし、あるいは金型を用いて穴のあいた形状の樹脂板を成形してもよい。
【0019】
図5は第3の基板の素材である基板Cの素材60の一部分を示し、(a)は前面図、(b)はC−C断面図、(c)は裏面図である。基板Cの素材60はスルーホール6a、ケースの内面にあってバネ部材の後端と接触導通する表パターン6b、および裏パターン6cを有する。表パターン6bの所定のもの、および裏パターン6cの全部は、スルーホール6aの内面に形成された導電膜に接続している。基板Cの素材60が切断面10で分離されると図1(c)に示すような外観が現れる。
【0020】
ピンを封入済みの基板の積層体を切断分離し、複数のピンを含むコネクターとする場合、コネクター内部の各ピンはそれぞれ電気的に絶縁されていると共に、特定のスルーホールの内面電極と接続していなければならない。その手法について図6を用いて示した。図6は完成コネクター内部に(a)は1本の、(b)は2本の、(c)は3本のピンを含む場合における、基板Cの素材60の表パターン6b(バネ部材3と接触する)とスルーホール6aの内面電極膜とを接続する線状の接続パターン6dが如何に変化するかを示す実施の形態の例である。基板Bの素材の裏パターン5bもこれに対応して変化することになるが、図6より容易に理解できることであるから図示を省略した。
【0021】
本発明の実施の形態であるコネクター1の多数個取り製造・組立方法について図7(a),(b)を用いて説明する。まず図3ないし図5に示したように所定の加工を施した、大型の基板Aの素材,基板Bの素材、基板Cの素材を準備する。次に図7(a)においては、基板Aの素材40と基板Bの素材50を、ピン穴4bと鍔部穴5aの軸を合わせて接着する。接着剤には耐熱性の接着シートが用いられる。その状態で基板Aの素材40を下側にして水平に置き、全ての穴5a内に下向きにしたピン2を、次いでバネ部材3を投入する。更にその上面に基板Cの素材60を矢印70圧着方向に加圧しながら接着してピン機構を封入する。(もちろんスルーホール4aと6aの位置合わせを行う。)最後にこの積層接合体を切断面10に沿ってダイサーまたはスライシングマシンを用いて縦横に切断すると、多数(例えば数100個)の完成コネクターを一挙に得ることができる。
【0022】
図7(b)は組み込みの順序を変えて、下向きに置いた基板Aの素材40の穴4aのそれぞれにピン2とバネ部材3を投入した後、別途接着してあった基板B50と基板C60の積層体を被せて基板Aと加圧接着する工程を示した。なお改めて図示しないが、ピン投入済みの基板Aの上に、順次基板B、基板Cを接着積層しても差し支えはない。
【0023】
以上に本発明の実施の形態の一例について述べたが、本発明の実施の形態はもとよりこれに限定されない。例えばピンの形状、バネ部材の一部が挿入される深穴の有無、他の形状のバネ部材(例えば板バネやゴム材)、各基板のパターンの形状、スルーホールの位置(例えば1個の切断面のみを跨がせれば半円形に近い導電面が得られる)、各基板の接着の方法、切断分離の方法等は自由に変更可能である。また切断面の間隔を適宜に選ぶことにより、1個の完成コネクターに含まれる接点ピンの数を任意の複数とすることができる。また任意の基板の材料を金属で置換してもよい。その他種々な付加、変更、削除が可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明においては、集合状態で一斉に多数のコネクターの製造組立を行い、その後に個々のコネクターに一挙に切断分離するので、コネクター1個あたりの工数が従来より激減し、製品コストが大幅に削減できる。また切断面を変更することで、コネクター1個あたりのピン数を任意に調整できる。またピンケースを更に樹脂モールドする必要もなく、そのための金型も不要であり、また電極板を付加する必要もないのでそれらによるコスト削減効果もある。また回路基板に対して縦・横いずれの方向に実装することも可能である等、種々の優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である完成したコネクターの一例を示し、(a)は中央断面図、(b)はピン側面である表面図、(c)は裏面図である。
【図2】本発明のコネクターの一例を回路基板上にハンダ実装した形態を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例であるコネクターの筐体を構成する第1の基板の素材の一部分を示し、(a)は前面図、(b)はA−A断面図、(c)は裏面図である。
【図4】同じくコネクターの筐体を構成する第2の基板の素材の一部分を示し、(a)は前面図、(b)はB−B断面図、(c)は裏面図である。
【図5】同じくコネクターの筐体を構成する第3の基板の素材の一部分を示し、(a)は前面図、(b)はC−C断面図、(c)は裏面図である。
【図6】本発明の実施の形態の他の例において、コネクターのピン数と共に変化する第3の基板の表パターンの例示であって、(a)は1ピン、(b)は2ピン、(c)は3ピンの場合である。
【図7】(a)、(b)は本発明の実施の形態における組立工程の2例を示す断面図である。
【図8】従来のコネクターを示し、(a)は要部構造を示す断面図、(b)および(c)は回路基板上の実装状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 コネクター
1a 金属ケース
2 ピン
2a 鍔部
2b 深穴
3 バネ部材
4 基板A
4a スルーホール
4b ピン穴
5 基板B
5a 鍔部穴
5b 裏パターン
6 基板C
6a スルーホール
6b 表パターン
6c 裏パターン
6d 接続パターン
7 回路基板
8 ハンダ
9 樹脂成形体
9a 電極板
10 切断面
40 基板Aの素材
50 基板Bの素材
60 基板Cの素材
70 圧着方向

Claims (6)

  1. 一方に鍔を有する多数の導体のピンと、該ピンを先端部の方に押圧するバネ部材と、順次接着して積層された第1の基板、第2の基板および第3の基板とより成り、前記第1の基板には前記ピンの先端部を摺動可能に露出させる第1の穴、前記第2の基板には前記ピンの鍔部を収容しかつ移動を許すと共に前期第1の穴よりもやや大きな径である第2の穴を前記第1の穴と共軸の設け、前記ピンの鍔部と前記バネとが前記第2の基板の前記第2の穴内に前記第3の基板によって封入された構造のコネクターであって、前記第1の基板の素材、前記第2の基板の素材および前記第3の基板の素材はそれぞれ大面積であり、前記第1の基板の素材には多数の前記第1の穴、前記第2の基板の素材には多数の前記第2の穴が互に重なるように縦横に配列されて設けられ、前記第1の基板の素材の多数の前記第1の穴のそれぞれに前記ピンと前記バネ部材とを順次投入し、前記第2の基板の素材および前記第3の素材を接着して多数の前記ピンと前記バネ部材とを封入し、最後に前記ピンを1個あるいは所定の個数ずつ含むように前記互いに重なる第1、第2の共軸の穴群の軸間距離の中間部を通る切断面で多数個に分離して成ることを特徴とするコネクター。
  2. 前記第1の基板の素材と前記第2の基板の素材とをあらかじめ接着した後に前記第1の基板の素材の多数の前記第1の穴のそれぞれに前記ピンと前記バネ部材とを順次投入し、次いで第3の基板の素材を第2の基板の素材に接着して多数の前記ピンと前記バネ部材とを封入し、最後に各基板の素材の積層体を前記ピンを1個あるいは所定の個数ずつ含むように多数個に分離して成ることを特徴とする請求項1のコネクター。
  3. 前記第2の基板の素材と前記第3の基板の素材とをあらかじめ接着した後に前記第1の基板の素材の多数の前記第1の穴のそれぞれに前記ピンと前記バネ部材とを順次投入し、次いで第2の基板の素材を前記第1の基板の素材に接着して多数の前記ピンと前記バネ部材とを封入し、最後に各基板の素材の積層体を前記ピンを1個あるいは所定の個数ずつ含むように多数個に分離して成ることを特徴とする請求項1のコネクター。
  4. 前記第1の基板の素材および前記第3の基板の素材にはそれらが最後に切断分離される切断面を跨ぐ位置に多数の穴が設けられており、前記第1の基板の各穴の内面、前記第2の基板の前記第2の穴の内面および前記前記第3の基板の前記バネ部材と接する面はそれぞれ導体で覆われかつ互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかのコネクター。
  5. 複数のピンを含むように分離された前記コネクターにおいて、前記ピンの各々は前記いずれかの基板に設けられ、前記切断面によって分割された複数の穴のうち特定の穴の内面に形成された導体と互いに電気的に接続されていると共に、前記ピンの各々は相互に絶縁されていることを特徴とする請求項4のコネクター。
  6. 前記各基板の素材は共通の穴明け位置を有し、それらの積層体の切断面を間引くことによって、切断分離された完成コネクターに含まれるピンの数を異ならせたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかのコネクター。
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