JP4003629B2 - 建築用パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に屋根用パネルとして有効であり、また、壁用パネル、床用パネルとしても使用することができる断熱層を備えた建築用パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記建築用パネルの一例としての屋根パネルについて説明すれば、近年、切り妻型の勾配屋根の2つの勾配屋根面を形成するために垂木の多数を母屋の上に配設し、これら垂木の棟側端同士及び軒側端同士を垂木継ぎにて連結して2つの屋根パネルを構成し、前記2つの屋根パネルそれぞれの垂木継ぎのうちの、棟側の垂木継ぎの長手方向特定箇所を取り除いて形成された開口に断面形状がほぼV字型で、かつ、相互に対向位置する換気口を有する換気用の金属板を垂木に固定して、屋根裏の換気を金属板の換気口を介して換気を行うことができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−36538号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1によれば、母屋上に配設された多数の垂木を現場で垂木継ぎにて連結しなければならない手間があるだけでなく、棟側の垂木継ぎの一部を開口するための切断作業及び金属板を垂木に固定する作業を要するものであり、手間のかかるものになっていた。
また、垂木継ぎの一部に開口された開口部にのみ備えさせた金属板に形成の換気口を介して、屋根裏全域の換気を行うことが困難であり、改善の余地があった。
【0005】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、屋根裏の換気を容易迅速に行うことができると共に十分な換気が行える建築用パネルを提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の建築用パネルは、前述の課題解決のために、外形がほぼ矩形状の板材の一方の面のうちの少なくとも両端それぞれに、断面形状がほぼ矩形状で、かつ、該板材の両端に位置する辺の長さとほぼ等しい長さを有する補強材を固定し、それら両端にほぼ平行な状態で位置する補強材と前記板材とで形成される空間を発泡プラスチックにて充填してなる建築用パネルにおいて、前記板材を、断面形状がほぼ長方形状でかつ筒状となる本体部と、この本体部に同一方向に空気を流すための流路を該本体部の幅方向に多数形成するために備えさせた多数の仕切部とから構成し、前記板材がプラスチック材で形成されてなり、前記板材の少なくとも表側表面に軟質樹脂又は軟質ゴムにてなる表面層を備えさせてなることを特徴としている。
従って、上記構成の建築用パネルを屋根パネルとして用いる場合には、母屋上に建築用パネルを載置し、取り付け金具を介して又は直接建築用パネルを釘などを用いて母屋に固定するだけで、板材内にそれの幅全域に渡って備えさせた多数の流路を利用して換気を行うことができるだけでなく、多数の流路が断熱層を形成して断熱パネルを構成することができる。また、両端に位置する補強材間に形成される空間を発泡プラスチックにて充填して断熱層を形成することで、断熱効果を更に高めることができる。前記発泡プラスチックを構成する樹脂としては、ポリウレタンを用いることが好ましいが、他の樹脂であってもよい。前記建築用パネルは、屋根パネルに使用できる他、床パネルや壁パネルにも使用することができる。前記板材をプラスチック材で形成することによって、軽量化を図りながらも、釘打ちが可能になるだけでなく、湿気などによる腐りなどに対して有効になる。前記軽量化について説明すれば、例えば図1及び図2で示す流路(空間)Rを多数備えた比重1.04のプラスチック材でなる板材3の重量が約2,060kgであるのに対して、比重0.55の杉の複数枚を重ね合わせて前記板材3の縦、横、厚みの寸法を同一にした合板の重量が約3,564kgとなり、プラスチック材でなる板材3が約40%の軽量化を実現することができる。しかも、このように軽量化を図りながらも多数の仕切部3Bにて板材3自体の強度アップは勿論のこと、パネルが板材、補強材、発泡プラスチックにて充填される断熱層にて構成される強度を有するものであり、合板のものと強度的にもほぼ同等に構成することが可能である。前記板材の少なくとも表側表面に軟質樹脂又は軟質ゴムにてなる表面層を備えさせることによって、釘打ちを行う場合の板材のへこみ(変形)や割れを回避することができる。
【0007】
前記両端に位置する補強材の前記板材側とは反対側の表面に該板材とほぼ同一の第2板材を固定することによって、板材を一枚のみ設けるものに比べて流路及び断熱層を2倍以上にすることができる。
【0008】
外形がほぼ矩形状の板材の幅方向両端の端面それぞれに、断面形状がほぼ矩形状で、かつ、該板材の長さ方向の辺の長さとほぼ等しい長さを有する補強材を、該板材の一方の面とこれと同一側の該2つの補強材それぞれの面とが面一状となるようにパネル厚み方向一端側に寄せた状態で配置し、前記板材と2つの補強材とで形成される空間を発泡プラスチックにて充填してなる建築用パネルにおいて、前記板材を、断面形状がほぼ長方形状でかつ筒状となる本体部と、この本体部に同一方向に空気を流すための流路を該本体部の幅方向に多数形成するために備えさせた多数の仕切部とから構成し、前記板材がプラスチック材で形成されてなり、前記板材の少なくとも表側表面に軟質樹脂又は軟質ゴムにてなる表面層を備えさせてもよい。
請求項1と同様な作用効果を有しながらも、建築用パネルを母屋に例えば釘にて固定する場合に、補強材に釘を打ち込んで固定することになり、板材を釘を打ち込むことができない材料から構成することができる他、搬送中又はハンドリング中において他物と接当し易い両端に位置する強度的に有利な補強材にて行わせることができる。前記板材と2つの補強材とを発泡プラスチックにて接着固定できる構成である場合には、それらを連結するための部品及び連結作業が不要になる。
【0009】
前記板材とほぼ同一の第2板材を、それの幅方向両端の端面が前記2つの補強材のパネル厚み方向他端側に位置するように、つまり該第2板材の前記板材と離間する他方の表面とこれと同一側の該2つの補強材それぞれの面とが面一状になるように配置し、2つの板材と2つの補強材とで形成される空間を前記発泡プラスチックにて充填することによって、板材を一枚のみ設けるものに比べて流路及び断熱層を2倍以上にすることができる。
【0010】
前記建築用パネルを屋根パネルとして用いる場合には、母屋上面とこれに対して上方側ほど上方に位置する傾斜姿勢となる屋根パネルとの間に発生する隙間を埋めると共に該屋根パネルの下面を支持するための断面形状がほぼ三角形状の受材を備えさせることによって、屋根パネルを母屋上面に受材を介して安定良く支持させることができる。
【0012】
前記板材の表側表面及び裏側表面に凹凸部を形成した建築用パネルを屋根パネルとして用いる場合に、屋根の施工時の歩行において凹凸部が滑り止め効果となる。また、裏側表面の凹凸部が発泡プラスチックとの接着性の向上を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に、本発明の建築用パネルを屋根パネル(以下において単にパネルという)1として母屋2上に固定した場合を示している。このパネル1は、片流れ、切妻、入母屋、方形などの勾配屋根の他、勾配のない水平な屋根である陸屋根に用いることができる。また、屋根以外の床や壁用のパネルとして用いてもよい。尚、図1及び図2で示しているパネル1は、縦×横の寸法が約910mm×約390mmで、厚みが約60mmのものを示しているが、図5(a)に示すように、縦寸法及び厚み寸法は図1及び図2のものと同一とし、横の寸法のみを約600mmに変更したものや、図5(c)に示すように、横の寸法のみを約690mmに変更したものなど、パネル1の寸法は自由に変更することができる。
【0015】
前記パネル1は、図1及び図2に示すように、長方形(正方形でもよい)でプラスチック製の第1板材3と、この第1板材3に対して平行となる姿勢で対向位置させ、かつ、第1板材3とほぼ同一構成(形状と大きさと材質が同じであるが、異なっていても構わない)の第2板材4と、これら一対の板材3,4間に横幅方向両端に位置させると共に板材3,4の長辺寸法(長さ方向の寸法)と同一(同一の場合が好ましいが、少し大きい場合や少し小さく場合などほぼ同一であってもよい)の木製(ほぼ同等の強度を有するものであれば、金属製又はプラスチック製などどのような材料であってもよい)で断面形状がほぼ角形(図では長方形であるが、正方形でもよい)の補強材5,5と、前記2枚の板材3,4の内面3D,4Dと補強材5,5の内面5D,5Dとで形成される閉塞空間を充填する(埋める)ための発泡プラスチック6とから構成している。前記発泡プラスチック6を充填することによって、断熱層6が形成され、その断熱層6は、ポリウレタン(他の発泡プラスチックでもよい)を発泡させたものからなり、前記2枚の板材3,4と補強材5,5とを釘7を用いて連結固定してから、閉塞空間内に樹脂や発泡剤などを注入して発泡させることになる。前記補強材5,5が実際には垂木に相当するものであり、パネル1を配設することによって、垂木を配設することができながらも、断熱効果を高めることができると共に通気を行えるようになっている。尚、前記のように配設されたパネル1の上面に瓦などを据えて屋根を完成することになる。
【0016】
前記板材3,4を形成するためのプラスチック材料としては、ポリエチレンを用いる他、ポリエチレンよりも透明で繰り返し折り曲げによく耐えるポリプロピレンを用いてもよいが、他の合成樹脂を用いてもよい。又、前記パネル1の形状は、図に示す長方形の他、正方形でもよい。
そして、前記板材3又は4は、断面形状がほぼ長方形(寸法によっては正方形になる)でかつ筒状となる本体部3A又は4Aと、この本体部3A又は4Aに同一方向(具体的にはパネル1の長手方向)に空気を流すための流路(図2では図示していない送風機により紙面の手前から紙面を貫通する方向に空気が流れるような流路Rを示し、図3では破線にて上下の2箇所に空気の向きを加えた流路R,Rを示している)を本体部3A又は4Aの横幅方向に多数形成するために本体部3A又は4Aの上下板部に対して垂直となる縦(上下)姿勢で備えさせた多数の仕切部3B又は4Bとから構成している。ここでは、屋根の軒側から棟側へ空気が流れるようにしているが、これとは逆に屋根の棟側から軒側へ空気が流れるようにしてもよいし、水平の屋根の場合には一端から他端へ水平方向へ空気が流れるようにすることになる。また、床や壁へも上記構成のパネル1を用いることによって、床から壁へ空気を流し、壁に流れてきた空気を屋根へ流したり、床と壁と屋根とを空気が循環するように構成することもできる。
【0017】
前記パネル1を母屋2上に配設する手順について説明すれば、まず母屋2上にパネル1を載置してから、図1〜図2に示すように、ひねり金具8を用いてパネル1を母屋2にビス(釘でもよい)固定するようにしている。このとき、図3に示すように、パネル1の下面と母屋2の上面との間に発生する隙間を埋めると共にパネル1の下面を支持するための断面形状がほぼ三角形状の受材9を母屋2上に接着剤などを用いて固定するか、パネル1を載置する前に受材9を予め固定しておくことになる。このように受材9を設けておくことによって、パネル1を受材9を介して母屋2に確実に支持させることができる利点があるが、場合によっては無くてもよい。前記受材9は、前記発泡プラスチックやゴムあるいは軟質合成樹脂などのある程度パネル1の重量により少し変形する程度の硬度を有するもので構成することによって、母屋2とパネル1との角度が多少異なる場合でも同一の受材9を用いることができる利点があるが、硬質合成樹脂や金属或いは木などの変形し難い材料であってもよい。また、前記受材9のパネル1幅方向の寸法は、パネル1幅の寸法と同一に構成してもよいし、パネル1幅の寸法よりも少し小さい又は非常に小さい寸法であってもよいが、パネル1幅の寸法よりも非常に小さな寸法の受材9を用いる場合には、1つのパネル1に対して複数の受材9を設けてパネル1を安定良く支持させることになる。
【0018】
前記ひねり金具8は、図4(a)に示すように、板状の金具の長手方向ほぼ中央をほぼ90度ひねったひねり部8Hを挟んで長手方向の一方側に位置して前記母屋2にビス止めされる母屋側板部8Aと、二股状に切断して分離されると共にほぼ90度互いに反対方向に折り曲げられ、かつ、隣り合うパネル1,1にビス止めされる一対の取付部8B,8Cを先端に備えると共に前記ひねり部8Hの他方側に位置するパネル側板部8Dとからなっているが、図4(b)に示すように、前記金具よりもほぼ半分の幅を有する金具を用い、その金具の先端を二股状に切断して分離させるのではなく、先端をパネル側板部8Dに対してほぼ90度折り曲げて一方の取付部8Cを構成し、別体形成された他方の取付部8Bを、パネル側板部8Dの上端のうちの取付部8C側とは反対側の面に溶接などにより固定してひねり金具8を構成してもよい。尚、図4(b)で説明しなかった他の部分は、図4(a)のものと同一である。前記ひねり金具8にてパネル1を固定する場合において、図3に示すように、母屋2の上面に対して傾斜しているパネル1の上面にひねり金具8の取付部8B,8Cがほぼ平行となるように母屋側板部8Aに対してパネル側板部8Dをひねり部8Hで角度変更することができるようにしている。図4(a),(b)に示す10は、前記パネル側板部8Dの上端の表裏両面(パネル1の横側面に接触する両面)に接着剤により備えさせたシール材であり、ひねり金具8を取り付けることによって、パネル1,1とひねり金具8との間のシール処理を行うためのものであり、又、図1に示すように、ひねり金具8によって隣り合うパネル1,1間に発生する隙間を塞ぐためのテープ状のシール材11をパネル1,1間に貼り付けることになる。前記シール材11を左右方向(パネル幅方向)で隣り合うパネル1,1間の隙間を塞ぐためにパネル1,1の上面に貼り付けたが、パネル1の左右の両側面のうちの少なくとも一方の側面、具体的には図6に示すように、上方に位置する板材3の左右(横)側面(板材3の横側面と補強材5の外面の上部箇所に渡る範囲でもよいし、パネル1の横側面全域でもよい)でパネル長さ方向全域に渡ってシール材11Bを貼り付けておけば、パネル1を配設するだけで、パネル1,1間のシール処理を完了することができる利点がある。尚、図1に示す11Aは、パネル長手(長さ)方向で隣り合うパネル1,1の端部同士間に発生する隙間を塞ぐためにパネル1,1の長さ方向で突き合わせた端部上面間に渡って貼り付けたテープ状のシール材である。また、ここでは、ひねり金具8を用いてパネル1を母屋2に固定する場合を示しているが、他の取付具を用いてもよいし、パネル1を貫通する釘にて直接母屋2に固定するようにしてもよい。
【0019】
図5(a)に示すように、図1〜図3で示したパネル1の横幅をほぼ2倍にしたものであってもよい。この場合、パネル1の強度低下を抑制するためにパネル1の幅方向両端の他、パネル幅方向中央にも補強材5Cを備えさせて構成することになり、幅によって補強材5の本数などを考慮することになる。図5(a)のようにパネル幅方向中央に補強材5Cを備えさせる場合には、補強材5Cの4つの側面のうちの両端の補強材5,5の内面5D,5Dと対向位置する2つの面5d,5dと、幅方向両端に位置する補強材5,5の内面5D,5Dと、2枚の板材3,4の内面3D,4Dとで形成される2つの空間を前記発泡プラスチックにて充填して2つの断熱層6,6を構成することになる。
【0020】
図1〜図3では、補強材5の上下2つの面をも覆う幅の広い板材3,4にてパネル1を構成したが、図5(b)に示すように、平行に配置された2つの補強材5,5の互いに対向する内面5D,5D間に渡る幅の狭い板材3,4で構成してもよい。この場合、図において上側に位置する板材3を、それの上面と2つの補強材5,5の上面とが面一状になるように該補強材5,5の内面5D,5Dのうちの上端側に寄せた状態で配置すると共に、下側に位置する板材4を、それの下面と2つの補強材5,5の下面とが面一状になるように該補強材5,5の内面5D,5Dのうちの下端側に寄せた状態で配置した後、それら板材3,4の内面3D,4Dと補強材5,5の内面5D,5Dとで形成される空間に発泡プラスチック6にて充填している。このとき、発泡プラスチック6が補強材5,5及び板材3,4ともに接着可能な材料で構成した場合には、図1で示した釘により補強材5,5及び板材3,4を連結固定する必要がなくなるだけでなく、釘の頭が一切パネル1の表面に現れることのない商品価値の高いものにすることができる利点がある。尚、前記板材3,4の発泡プラスチック6側表面をコロナ放電を利用して小さな凹凸を形成したり、ブラスト処理により粗面に形成しておけば、板材3,4と発泡プラスチック6との接着力をより強くすることができ、商品価値の高いパネル1とすることができる利点がある。
【0021】
図5(c)には、図5(b)で示したパネル1よりも横幅の大きなパネル1を示している。このパネル1は、横幅方向ほぼ中央にパネル1の強度を高めるための補強材5Cを備えさせてあり、補強材5Cの4つの側面のうちの両端の補強材5,5の内面5D,5Dと対向位置する2つの面5d,5dと、幅方向両端に位置する補強材5,5の内面5D,5Dと、2枚の板材3,4の内面3D,4Dとで形成される2つの空間を前記発泡プラスチックにて充填して2つの断熱層6,6を構成することになる。
【0022】
図1〜図5では、パネル1の表裏両面に板材3,4を備えさせることによって、パネル1の強度を高めることができると共に空気を流すための流路をパネル1の厚み方向両側の2箇所に備えさせて十分な通気を行うことができるようにしているが、パネル1の表裏両面のうちの一方の面にのみ板材を備えさせたパネル1であってもよい。又、板材3又は4の幅方向に多数の矩形状の空間が形成されるように本体部3A又は4Aの上下板部(表面側板部及び裏面側板部)に対して垂直な仕切部3B又は4Bとすることによって、本体部3A又は4Aの表面に加わる鉛直方向からの負荷に対して強度的に強くすることができる利点があるが、仕切部3B又4Bを上下板部(表面側板部及び裏面側板部)に対して交差する斜め方向にすることもできるし、湾曲した仕切部3B又4Bであってもよい。
【0023】
前記板材3,4を、図7に示すように構成してもよい。つまり、板材3,4の本体部3A,4Aの表側表面及び裏側表面のそれぞれに、凹部12aと凸部12bとからなる凹凸部12Aを備えた軟質樹脂(例えばポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂)又は軟質ゴムでなる表面層12を備えさせて、他物との衝撃力を緩和するための緩衝材として機能させることができるだけでなく、前記釘7にて板材3,4を補強材5,5に固定する場合に、板材3,4のへこみ(変形)や割れなどが発生することがないようにしている。また、表側表面の表面層12の凹凸部12Aは、屋根の施工の歩行時に滑り止め部として機能させることができ、又、裏側表面の表面層12の凹凸部12Aは、断熱層6との接着性を高めることができる利点がある。図7では、前記凹凸部12Aの断面形状が矩形状に形成した場合を示しているが、断面形状が三角形状や波形形状あるいは台形状など、凹凸部12Aの形状は自由に変更可能である。また、図7では、板材3,4の本体部3A,4Aの表側表面及び裏側表面のいずれにも、表面層12を備えさせるようにしたが、板材3,4の本体部3A,4Aの表側表面にのみ備えさせて実施することもできる。また、図7では、2枚の板材3,4からパネル1を構成したものを示しているが、1枚の板材からパネル1を構成してもよい。また、前記軟質樹脂や軟質ゴムでなる表面層12とポリプロピレンにタルクやガラス繊維などを加えて硬度を高めた本体部3A,4Aの2層とから板材3,4を構成することによって、所定の保形強度を保ちながらも、へこみ(変形)や割れなどが発生することを回避することができる板材3,4を得ることができるようにしているが、保形強度が多少低下してもよい場合には、前記表面層12と本体部3A,4Aとを前記軟質樹脂又は軟質ゴムにより1層にて構成することもできる。尚、前記パネル1を作製する場合には、表面層12と本体部3A又は4Aとをそれぞれ別々の押出機にて所定の形状に押し出すと同時に、それら両者を一体化してもよいし、表面層12と本体部3A又は4Aとをそれぞれ別々に形成(成形)してから、それら両者を接着剤などにより貼り合わせて一体化するようにしてもよい。
また、図7に示すように、前記釘7の表面(外面)に合成樹脂又はゴムでなる被覆層13を備えさせておくことによって、釘7を打ち込んで板材3,4を補強材5,5に固定する際に、釘打ちにより形成される孔に被覆層13が絡み合うことにより該孔と該釘7との間に隙間が発生することを長期間に渡って回避することができ、シール性能を高めることができる利点がある。尚、前記打ち込まれた釘7を加熱することによって、釘7の被覆層13の一部又は全部を積極的に溶融させて、板材3,4に溶融接着により一体化させることで更にシール性能を高めるようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、パネルを設置するだけで従来のように多数の垂木を垂木継ぎにて連結する作業を行うこともなく、パネルに備えさせた多数の流路にて十分な換気を行うことができる特に屋根パネルにとって有益な建築用パネルを提供することができる。しかも、流路及び発泡プラスチックにて断熱層を形成することによって、断熱効果の高い建築用パネルとすることができる。板材をプラスチック材にて構成することによって、軽量化を図りながらも、釘打ちが可能になるだけでなく、湿気などによる腐りなどに対して有効になり、パネルの耐久性の向上を図ることができる。板材の少なくとも表側表面に軟質樹脂又は軟質ゴムにてなる表面層を備えさせることによって、釘打ちを行う場合の板材のへこみ(変形)や割れを回避することができ、施工性において有利になる。また、板材と釘とのシール性の向上を図ることができるから、釘打ちにより形成される板材の孔と釘との間に隙間が発生することが少なく、簡易なシール処理でも水が入り込むようなトラブル発生がなく、信頼面及び施工面のいずれにおいても有利なパネルを提供することができる。
【0025】
請求項2の発明によれば、第2板材を設けることによって、パネル全体の強度アップを図ることができるだけでなく、換気及び断熱をより一層良好に行うことができる。
【0026】
請求項3の発明によれば、請求項1と同様な効果を有しながらも、搬送中やハンドリング中に他物と接当し易い箇所である両端に位置する補強材にて他物との接当を確実に受けることによって、破損の少ないパネルにすることができる。
【0027】
請求項4の発明によれば、請求項2と同様に第2板材を設けることによって、パネル全体の強度アップを図ることができるだけでなく、換気及び断熱をより一層良好に行うことができる。
【0028】
請求項5の発明によれば、建築用パネルが受ける荷重を受材を介して母屋にて確実に受けることができるから、変形や破損などが少ない建築用パネルを提供することができる。
【0030】
請求項6の発明によれば、板材の表側表面及び裏側表面に凹凸部を形成した建築用パネルを屋根パネルとして用いることによって、屋根の施工時の歩行において表側表面の凹凸部が滑り止め効果となり、施工し易いものにすることができる。また、裏側表面に形成された凹凸部が表面面積の増大と発泡プラスチックへ食い込ませることができることから、発泡プラスチックとの接着性の向上を図ることができ、板材との密着性(シール性)を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数のパネルを母屋上に固定した状態を示す屋根パネルの斜視図である。
【図2】横幅方向で隣り合う複数のパネルを上下方向で切断した断面図である。
【図3】パネル長さ方向で隣り合うパネルを母屋に固定した状態を示す側面図である。
【図4】ひねり金具を示し、(a)は幅の広いひねり金具の斜視図、(b)は幅の狭い別のひねり金具の斜視図である。
【図5】(a)は幅の広い別のパネルの正面図、(b)は幅が狭く板材を補強材間に配置した別のパネルの正面図、(c)は(b)よりも幅が広い別のパネルの正面図である。
【図6】左右側面にシール材を貼り付けたパネルの複数を母屋上に固定した状態を示す屋根パネルの斜視図である。
【図7】板材の表側表面と裏側表面に凹凸部を備えた軟質性樹脂層または軟質ゴム層を備えさせたパネルの断面図である。
【符号の説明】
1 パネル 2 母屋
3B 仕切部 3 板材
3A 本体部 3D,4D 内面
4 板材 4B 仕切部
4A 本体部 5D,5D 内面
5C 補強材 5 補強材
5d,5d 面
6 発泡プラスチック(断熱層)
7 釘
8D パネル側板部 8 金具
8C 取付部 8B 取付部
8H ひねり部 8A 母屋側板部
9 受材 10,11 シール材
12 表面層 12A 凹凸部
12a 凹部 12b 凸部
R 流路
Claims (6)
- 外形がほぼ矩形状の板材の一方の面のうちの少なくとも両端それぞれに、断面形状がほぼ矩形状で、かつ、該板材の両端に位置する辺の長さとほぼ等しい長さを有する補強材を固定し、それら両端にほぼ平行な状態で位置する補強材と前記板材とで形成される空間を発泡プラスチックにて充填してなる建築用パネルにおいて、前記板材を、断面形状がほぼ長方形状でかつ筒状となる本体部と、この本体部に同一方向に空気を流すための流路を該本体部の幅方向に多数形成するために備えさせた多数の仕切部とから構成し、前記板材がプラスチック材で形成されてなり、前記板材の少なくとも表側表面に軟質樹脂又は軟質ゴムにてなる表面層を備えさせてなることを特徴とする建築用パネル。
- 前記両端に位置する補強材の前記板材側とは反対側の表面に該板材とほぼ同一の第2板材を固定してなる請求項1記載の建築用パネル。
- 外形がほぼ矩形状の板材の幅方向両端の端面それぞれに、断面形状がほぼ矩形状で、かつ、該板材の長さ方向の辺の長さとほぼ等しい長さを有する補強材を、該板材の一方の面とこれと同一側の該2つの補強材それぞれの面とが面一状となるようにパネル厚み方向一端側に寄せた状態で配置し、前記板材と2つの補強材とで形成される空間を発泡プラスチックにて充填してなる建築用パネルにおいて、前記板材を、断面形状がほぼ長方形状でかつ筒状となる本体部と、この本体部に同一方向に空気を流すための流路を該本体部の幅方向に多数形成するために備えさせた多数の仕切部とから構成し、前記板材がプラスチック材で形成されてなり、前記板材の少なくとも表側表面に軟質樹脂又は軟質ゴムにてなる表面層を備えさせてなることを特徴とする建築用パネル。
- 前記板材とほぼ同一の第2板材を、それの幅方向両端の端面が前記2つの補強材のパネル厚み方向他端側に位置するように、つまり該第2板材の前記板材と離間する他方の表面とこれと同一側の該2つの補強材それぞれの面とが面一状になるように配置し、2つの板材と2つの補強材とで形成される空間を前記発泡プラスチックにて充填してなる請求項3記載の建築用パネル。
- 前記建築用パネルを屋根パネルとして用いる場合には、母屋上面とこれに対して上方側ほど上方に位置する傾斜姿勢となる屋根パネルとの間に発生する隙間を埋めると共に該屋根パネルの下面を支持するための断面形状がほぼ三角形状の受材を備えてなる請求項1〜4のいずれかに記載の建築用パネル。
- 前記板材の表側表面及び裏側表面に凹凸部を形成してなる請求項1〜5のいずれか1項記載の建築用パネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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