JP4003422B2 - ガスタービン発電システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相に含まれる温室効果ガス、特に汚泥消化槽から排出された汚泥消化ガスに含まれるメタン及び炭酸ガス等の温室効果ガス、を分離回収し、有効利用するためのガスタービン発電システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1998年12月、京都市で、2000年以降における地球温暖化防止のための新たな国際的枠組みを決定する気候変動枠条約第3回締約国会議(地球温暖化防止会議、COP3)が開催された。京都会議では、先進国全体の温室効果ガスを2008〜2012年において1990年比5%強削減する数値目標などを含む「京都議定書」が採択され、この中で我が国についての数値目標は1990年比6%削減とされている。
【0003】
温室効果ガスの人為的排出の多くを占めるのが、エネルギーの燃焼に伴って発生する二酸化炭素(CO2)である。我が国は、石油危機以降積極的な省エネルギー努力を行った結果、産業部門のエネルギー利用効率は世界最高水準にあり、GDP当りの一次エネルギー消費も米国の約3分の1、ドイツの約2分の1と他の先進国と比較して低い水準にある。
【0004】
しかし、近年の運輸、民生部門を中心としたエネルギー消費の著しい伸びに伴い、エネルギー起因の二酸化炭素排出量は1995年度には1990比8%強の大幅な増加となっている。このことから、京都議定書の目標の達成に向けては、直ちに最大限の対策に着手していく必要がある。
【0005】
京都議定書において、温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)、メタンガス(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類とされているが、我が国における温室効果ガスの排出量は1995年度において1990年度比8.6%増加している。このうち、全体の9割近くを占めるとともに、経済社会活動全体と密接な関わりを持つのがエネルギーの燃焼に伴って発生する二酸化炭素である。
【0006】
我が国におけるこれらのエネルギー起因の二酸化炭素排出量は1980年代後半から急激な増加傾向にあり、特に近年は運輸、民生部門の伸びが著しく、1995年度には1990年度比8.1%の大幅な増加となっている。したがって、我が国で今後国内の温室効果ガス対策を考える際の中心的課題となるのが、運輸、民生部門での対策強化をはじめとしたエネルギー起因の二酸化炭素削減対策である。
【0007】
尚、二酸化炭素については、正確な量の把握は難しいものの森林等の働きによって吸収されるといわれており、また二酸化炭素固定技術に関する研究開発も進められている。さらに、代替フロン類(HFC,PFC及びSF6)については半導体洗浄や製品の中の冷媒として使われ、市中に残存しているものを回収し、分解するための技術開発等が進められている。
【0008】
このように、温室効果ガス対策の全体において、ガスの排出削減対策を進める一方で、森林・農地の保全・整備や代替フロン類の回収に係る装置創りなど、ガスの吸収・固定や回収・分離等に係る各種の対策を進めることも極めて重要である。
【0009】
排ガスのCO2排出濃度としては、排ガス中でディーゼルエンジンが約10%、ボイラーで約13%、下水処理場、食品工場の消化ガスで約40%である。
【0010】
現在の二酸化炭素の分離技術として、水酸化ナトリウムや水などを用いて分離回収する吸収法、ゼオライト等の個体状の吸着剤を用いて分離回収する吸着法、二酸化炭素のみを通す膜を用いて二酸化炭素と他の排ガスとを「ふるい分け」する膜分離法等がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の吸収法及び吸着法は大掛かりな装置が必要であること、また前記膜分離法はイニシャルコスト及びランニングコストが高く、さらに除去率が低いという問題がある。前述のように、温室効果ガスの大部分を占める二酸化炭素の排出源のほとんどは、下水処理場や工場であることからも、これら施設のランニングコストも考慮した二酸化炭素固定装置の構築が必要となる。
【0012】
また、下水処理場や食品工場における汚泥処理施設の汚泥消化工程から排出された汚泥消化ガスの組成は、およそメタン60%、二酸化炭素40%程度となっている。そこで、この汚泥消化ガスに含まれているメタンガスは、ガスタービン発電システムの燃料として有効利用が期待されている。
【0013】
ところが、汚泥消化ガス中のメタン濃度が低いために、ガスタービン発電システムの発電効率が低くなるという欠点がある。
【0014】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その課題は、気相中の炭酸ガス等の温室効果ガスを効率的かつ低廉に回収し、さらに有効利用させることが可能な、ガスタービン発電システムの提供にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は以下のことを特徴とする。
【0016】
請求項1のガスタービン発電システムは、汚泥消化ガス等の炭酸ガスを含むガスが供給され該ガスから炭酸ガスを除去してメタンに富むガスを得るメタン濃縮手段と、このメタン濃縮手段で得たメタン濃縮ガスが燃料ガスとして供給されるガスタービンと、を備えたガスタービン発電システムであって、前記メタン濃縮手段は、一酸化炭素または二酸化炭素を含んだガスが供給される配管または容器に炭酸ガス固定器を具備した炭酸ガス除去装置を備え、この炭酸ガス固定器は、ナトリウムイオン源物質が供給されるアノードと、一酸化炭素または二酸化炭素を含有したガスが供給されるカソードと、を設けた固体電解質と、この両極間に直流電圧を印加してカソード側において気相中の炭酸ガスを炭酸塩として分離固定させる電源と、を具備前記ナトリウムイオン源物質は、ナトリウムを含んだ化合物の水溶液であることを特徴とする。
【0017】
請求項2のガスタービン発電システムは、請求項1のガスタービン発電システムにおいて、前記メタン濃縮手段は、前記炭酸ガス除去装置で生成した炭酸塩が導入される炭酸塩水溶液受槽と、前記受槽から導入した炭酸塩水溶液の炭酸塩濃度を一定濃度に調整する調整槽と、を備え、前記調整槽は、槽内液相の炭酸塩濃度を一定に調整した後にこの液相を前記炭酸ガス除去装置のアノードに供給することを特徴とする。
【0018】
請求項3のガスタービン発電システムは、請求項1または2のガスタービン発電システムにおいて、前記電源は前記アノードと前記カソードとの間に直流電圧を印加する際の電流密度が可変であることを特徴とする。
【0019】
請求項4のガスタービン発電システムは、請求項1から3のいずれかのガスタービン発電システムにおいて、前記炭酸ガス除去装置には、一酸化炭素または二酸化炭素を含んだガスに、酸素若しくは水蒸気を供給するための経路を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項5のガスタービン発電システムは、請求項4のガスタービン発電システムにおいて、前記水蒸気は前記ガスタービン熱によって得たものであることを特徴とする。
【0021】
請求項6のガスタービン発電システムは、請求項1から5のいずれかのガスタービン発電システムにおいて、前記メタン濃縮手段と前記ガスタービンとを連絡する経路に、都市ガス等を導入するための混合器を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項7のガスタービン発電システムは、請求項1から5のいずれかのガスタービン発電システムにおいて、前記メタン濃縮手段と前記ガスタービンとを連絡する経路に、前記メタン濃縮手段で得たメタン濃縮ガスを一時的に貯留するためのガスホルダーを備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項8のガスタービン発電システムは、請求項1から5のいずれかのガスタービン発電システムにおいて、前記炭酸ガスを含んだガスを一時的に貯留した後に前記メタン濃縮手段に供給するためのガスホルダー前記メタン濃縮手段で得たガスを前記ガスホルダーに返送するための経路と、前記ガスホルダー内のガスを前記ガスタービンに供給するための経路とを具備したことを特徴とする。
【0024】
以上の発明において、ガスタービンとしては、発電機用に用いられるガスタービン例えば300kW以下の一軸式再生サイクル形ガスタービン等が挙げられる。
【0025】
アノード及びカソード用の電極としては、多孔質で、一般的に用いられている導電性材料、例えばPt、Au、Cr、Cu及びNi若しくはこれらの酸化物等が例示されるが、望ましくはAu製のものを採用するとよい。
【0026】
ナトリウムを含んだ化合物の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液、リン酸三ナトリウム(Na3PO4)水溶液、リン酸水素二ナトリウム(Na3HPO4)またはリン酸二水素ナトリウム(NaH3PO4)等がある。
【0027】
固体電解質としては、ナトリウムイオン導電体であるβ−アルミナ(Na2O・11Al2O3)、NASICON(Na1+XZr2P3-XSiXO12,Xは実数,0<X<3)、高分子固体電解質等を用いることができる。高分子固体電解質としては、過フッ素化スルホン酸ポリマーがある。
【0028】
尚、固体電解質は、いかなる形状のものでもよいが、イオン供給源物質の充填量の確認や、燃料ガスの負荷量に応じた電極の接触表面積の適宜な調整等の、メンテナンス面と考慮すると、器状またはシート状に形成するとよい。そして、その断面形状も、例えば、円形、楕円形、多種多角形の他、ガスの流通抵抗等を考慮して流線形とするなど、使用状況等の各種条件が適宜考慮される。
【0029】
本発明におけるメタン濃縮処理は、ナトリウムイオン源が導入されるアノードに直流電源の陽極が導通され、被処理ガスが導入されるカソードに同電源の陰極が導通され、両極間に直流電圧を印加することによって行われる。このとき、アノード側で遊離した電子は当該直流電源を介してカソードに移行し、また同アノードで遊離したナトリウムイオンは固体電解質を介して移動する。ここで、カソード側に滞留している一酸化炭素または二酸化炭素等の炭酸ガスは、該カソード表面に接触すると、その表面において、炭酸塩(炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム)の形態で分離除去される。
【0030】
尚、電圧を印加するするための電源は、一般の定電位電源(ポテンションスタット等)を用いることができるが、電流密度が可変であるものを用いるとよい。当該発明においては、二酸化炭素の除去量は電流密度に依存するので、被処理ガスの負荷量に応じた電流密度で設定すれば、より低廉な炭酸ガスの除去が可能となる。電流密度を調節する一つの手段として、印加電圧の調整がある。
【0031】
請求項1から8記載の発明においては、被処理ガス中に含まれる炭酸ガスのみを選択的に除去し、メタンガスの濃縮を可能となり、ガスタービンの発電効率が向上する。特に、被処理ガス中に酸素または水蒸気を含ませると、カソード側における脱炭酸ガス反応はより促進され且つ連続的な炭酸ガスの除去が可能となる。さらに、得られた炭酸塩はナトリウムイオン源として再利用でき、ランニングコストの削減も可能となる。
【0032】
また、請求項6記載の発明においては、メタン濃縮手段とガスタービンとを連絡する経路に、都市ガス等を導入するための混合器を備えたことで、消化ガスを都市ガスあるいはLPGとデュアルフェール化させることできるので、有料燃料の消費量の低減が可能となる。
【0033】
さらに、請求項7及び8記載の発明においては、被処理ガス供給量の変動に影響を受けることなく、ガスタービンの運転状況に対応して高カロリー燃料の安定供給が可能となり、ガスタービンにおける発電効率が維持される。
【0034】
【発明の実施の形態】
発明者らは、本発明に係るガスタービン発電システムの創出にあたり、以下の炭酸ガス除去方法を発案した。
【0035】
図6は、当該炭酸ガス除去の原理の概説したものである。すなわち、当該炭酸ガス除去は、ナトリウムイオン源が導入されるアノード11と前記被処理ガスが導入されるカソード12を備えた固体電解質の両極間に直流電圧を印加することによって行われる。
【0036】
固体電解質10は、カソード12表面において炭酸ガスと塩をつくるナトリウムイオンの導電体が用いられる。ナトリウム導電体としては、NASICON(Na1+XZr2P3-XSiXO12,Xは実数,0<X<3)、β−アルミナ(Na2O・11Al2O3)やナフィオンに代表される過フッ素化スルホン酸ポリマー等がある。
【0037】
ナトリウムイオン源としては、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液、リン酸三ナトリウム(Na3PO4)水溶液、リン酸水素二ナトリウム(Na3HPO4)水溶液またはリン酸二水素ナトリウム(NaH3PO4)水溶液等がある。
【0038】
固体電解質10は、アノード,カソードの両極を形成する共にナトリウムイオン源及び被処理ガスとが前述の関係を確保できれば、いかなる形状のものでもよく、例えば、図5,7に示したように、器状に形成するか、また図8(a)に示したように、プレート状に形成してもよい。そして、アノード11側にはナトリウムイオン源が供給され、カソード12側には被処理ガス供給される。
【0039】
アノード11とカソード12としては、Pt、Au、Cr、Cu及びNi、若しくはこれらの酸化物等がからなるものが挙げられるが、望ましくはAuを基本素材とする、多孔質性の電極が用いられ、固体電解質10にスクリーン印刷、はけ塗り、蒸着、溶射、ディップコーティング等によって形成されている。
【0040】
図6を参照しながら炭酸ガス除去の原理について説明する。ここでは、ナトリウムイオン源にNaOH水溶液を採用し、被処理ガスをCH4とCOとCO2とを含んだガス(図においては例えば汚泥消化ガスの略称である消化ガスと呼称)とした場合について述べる。
【0041】
ナトリウムイオン源にNaOH水溶液を採用した場合、カソード12側には被処理ガスと共に、酸素若しくは水蒸気を供給しながら、アノード11とカソード12の両極間に直流電圧を印加する。このとき、先ずNaOHが接触したアノード11表面においては、以下の反応が起こる。
【0042】
NaOH → Na++OH- …(1)
2OH- → 1/2O2 +H2O+ 2e- …(2)
このとき、ナトリウムイオン(Na+)は、アノード11を通過し、固体電解質10内を泳動し、カソード12に達する。また、アノード11側で遊離した電子(e-)は、直流電源13を経由して、カソード12に達する。
【0043】
ここで、気相中の二酸化炭素(CO2)がカソード12表面に接触すると、以下の反応が起こる。
【0044】
2Na++2e-+CO2+1/2O2 → Na2CO3 …(3)
また、気相中に水分(水蒸気)が存在している場合、これがカソード12表面に接触すると、以下の反応が起こる。
【0045】
2Na++2e-+2CO2+2H2O → 2NaHCO3 + H2 …(3’)
尚、気相中に一酸化炭素が滞留している場合、これがカソード表面12接触すると、以下の反応が起こる。
【0046】
2Na++2e-+CO+O2 → Na2CO3 …(4)
また、気相中に水分(水蒸気)が存在している場合、これがカソード12表面に接触すると、以下の反応が起こる。
【0047】
2Na++2e-+2CO+4H2O → 2NaHCO3 + 3H2 …(4’)
図9は、直流電圧が印可された場合の本発明におけるカソード側の二酸化炭素濃度と電流値の経時的変化を示している。
【0048】
ここでは、固体電解質にNASICONを、アノード及びカソードの電極に金(Au)を、ナトリウムイオン源に1mol/lのNaOH水溶液を採用している。尚、固体電解質は厚みを0.9mm、電極覆設面積1cm2の平板セルを採用し、固体電解質に覆設される電極の膜厚は40μmとした。また、被処理ガスの負荷量は二酸化炭素濃度1000ppmで供給流量は45ml/分とした。さらに、印加電圧は0〜6Vとした。また、実験の際に、固体電解質10近傍の温度を測定したところ約80℃であった。かかる結果から明らかなように、印加電圧3〜6Vにおいて初期濃度約1000ppmであった二酸化炭素の濃度が経時的に減少することが確認できる。
【0049】
また、図10(a)は、図9に係る実験において、Na源に1mol/lのNaHCO3水溶液を採用した場合の本発明におけるカソード側の二酸化炭素濃度と電流値の経時的変化を示している。尚、このときの印加電圧は0〜8Vとした。かかる結果から明らかなように、図9に係る実験と同様の結果が得られることが確認できる。
【0050】
さらに、図10(b)に電流密度(mA/cm2)と二酸化炭素の吸蔵量との関係を示した特性図を示した。該図から明らかなように、二酸化炭素吸蔵量は本発明におけるアノードとカソード間に印加させた場合の電流密度に依存することが確認でき、二酸化炭素吸蔵量は例えば印加電圧によって適時調整が可能であることわかる。尚、実験の際に、固体電解質10近傍の温度を測定したところ約84℃であった。また、図9に係る実験において、図10(b)と同様に印加電圧と二酸化炭素吸蔵量に相関性があることは、図10(b)の結果から明らかである。
【0051】
ここで、ナトリウムイオン源がNaHCO3水溶液である場合のアノード及びカソードにおける挙動を示した。すなわち、Na源がNaHCO3水溶液である場合、カソード12側には、被処理ガスと共に水蒸気を供給しながら、アノード11とカソード12の間に直流電圧を印加する。このとき、先ずNaHCO3が接触したアノード11表面においては、以下の反応が起こる。
【0052】
NaHCO3+H2O→ NaOH + H2CO3 …(5)
NaOH → Na++OH- …(6)
2OH- → 1/2O2 +H2O+ 2e- …(7)
このとき、ナトリウムイオン(Na+)は、アノード11を通過し、固体電解質10内を泳動し、カソード12に達する。また、アノード11側で遊離した電子(e-)は、直流電源13を経由して、カソード12に達する。
【0053】
ここで、気相中の二酸化炭素(CO2)と酸素がカソード12表面に接触すると、以下の反応が起こる。
【0054】
2Na++2e-+CO2+1/2O2 → Na2CO3 …(8)
また、気相中に水分(水蒸気)が存在している場合、これがカソード12表面に接触すると、以下の反応が起こる。
【0055】
2Na++2e-+2CO2+2H2O → 2NaHCO3 + H2 …(8’)
尚、気相中に一酸化炭素が滞留している場合、これがカソード表面12に接触すると、以下の反応が起こる。
【0056】
2Na++2e-+CO+O2 → Na2CO3 …(9)
また、気相中に水分(水蒸気)が存在している場合、これがカソード12表面に接触すると、以下の反応が起こる。
【0057】
2Na++2e-+2CO+4H2O → 2NaHCO3 + 3H2 …(9’)
また、ナトリウムイオン源がNa2CO3である場合には、先ずアノード11表面においては、以下の反応が起こる。
【0058】
Na2CO3+H2O→ NaOH + NaHCO3 …(10)
そして、前記(5)式から(7)式と同じ反応が起こり、この時、ナトリウムイオンは(Na+)はアノード11を通過し、固体電解質10内を泳動し、カソード12に達する。また、アノード11側で遊離した電子(e-)は、直流電源13を経由して、カソード12に達する。
【0059】
ここで、気相中の二酸化炭素(CO2)と酸素がカソード12表面に接触すると、以下の反応が起こる。
【0060】
2Na++2e-+CO2+1/2O2 → Na2CO3 …(11)
また、気相中に水分(水蒸気)が存在している場合、これがカソード12表面に接触すると、以下の反応が起こる。
【0061】
2Na++2e-+2CO2+2H2O → 2NaHCO3 + H2 …(11’)
尚、気相中に一酸化炭素が滞留している場合、これがカソード表面12に接触すると、以下の反応が起こる。
【0062】
2Na++2e-+CO+O2 → Na2CO3 …(12)
また、気相中に水分(水蒸気)が存在している場合、これがカソード12表面に接触すると、以下の反応が起こる。
【0063】
2Na++2e-+2CO+4H2O → 2NaHCO3 + 3H2 …(12’)
このように、被処理ガスが例えば汚泥消化ガスである場合には、当該炭酸ガス除去方法によって炭酸ガスを除去することで、消化ガスから効率的に濃縮メタンガスを得ることができ、この濃縮メタンガスはガスタービン発電システム等の燃料や、燃料として売却するなどの有効利用することができる。
【0064】
本発明に係るガスタービン発電システムの実施形態例について述べる。
(実施形態1)
図1は、本発明に係るガスタービン発電システムの一実施形態で実施形態1を開示した概略図である。
【0065】
本実施形態に係るガスタービン発電システムは、例えば、有機性汚泥を嫌気的に処理する消化槽1を備えた汚泥処理施設に設置され、消化槽1から排出された汚泥消化ガスを導入し、該ガスから二酸化炭素を除去してメタンに富むガスを得るメタン濃縮手段2と、該メタン濃縮手段から排出されたメタン濃縮ガスが燃料として導入されるガスタービン3とを備える。当該システムにおいては、低発熱量ガスである汚泥消化ガスをメタン濃縮手段2により高発熱量ガスへ変換し利用している。
【0066】
ガスタービン3としては、例えば300kW以下の一軸式再生サイクル形ガスタービンが用いられ、当該システムによって、汚泥消化ガスを非常用電源の燃料としての利用が可能となる。
【0067】
メタン濃縮手段2の構成例について詳細に説明する。メタン濃縮手段2は、例えば図5に開示したように、炭酸ガス除去装置31と、炭酸塩水溶液受槽32と、貯留槽33と、調整槽34と、を備える。ここで、炭酸ガス除去装置31には、被処理ガスに酸素(O2)または水蒸気(H2O)を供給するための図示省略された経路が具備されている。
【0068】
炭酸ガス除去装置31は、被処理ガスが供給される槽内に炭酸ガス固定器を具備している。尚、図5においては、被処理ガスは装置31の下方から供給されているが、該ガスの導入形態はこれに限定されない。
【0069】
炭酸ガス固定器は、直流電源13の陽極が導通されるアノード11と、同電源の陰極が導通されるカソード12が導通されるカソード12と、固体電解質10を備えてなる。固体電解質10は、図示されたように、例えば、器状に形成され、その空洞面にアノード11が、また外壁面にカソード12が覆設される。そして、アノード11にはナトリウムイオン源(図においてはNa+源)が供給され、カソード12には被処理ガス(例えば汚泥消化ガス)が図示省略されたファン若しくはブロワ等によって供給される。尚、炭酸ガス固定器には、ナトリウムイオン源(例えば、炭酸ナトリウム水溶液等)が適宜補充される。本実施形態においては、ナトリウムイオン源は、調整槽34によって適時適量補充される。
【0070】
汚泥消化ガスに含まれていた二酸化炭素等の炭酸ガスは前述の図6を参照した原理説明から明らかなように炭酸ガス除去装置31においてはカソード12表面に炭酸塩の形態で固定されるが、気相中に水蒸気が存在する場合、生成した炭酸塩はさらにこの水成分を吸収する。そのため、カソード12の表面は炭酸水素ナトリウム水溶液で濡れた状態になっており、やがてこの水溶液は炭酸塩水溶液受槽32に順次自然滴下するので、炭酸ガス除去装置31は連続して炭酸ガスを除去することができる。
【0071】
そのために、本実施形態に係るガスタービン発電システムにおいては、炭酸ガス除去装置31にガスタービン3から得た熱によって発生させた水蒸気を被処理ガスに水蒸気を混入させるための経路を具備することで、メタン濃縮の効率化を図っている。
【0072】
図11に、被処理ガス中に水蒸気含んだ場合における炭酸ガス除去装置におけるカソード側における二酸化炭素濃度の経時的変化を開示した。
【0073】
ここでは、被処理ガスの二酸化炭素濃度を4950ppm、印加電圧を8V、電圧の印加時間を280分とした以外は、図9に係る実験条件と同じである。該図から明らかなように、電圧を印加している間は、連続的に、ほぼ一定量(約1200ppm)の二酸化炭素の除去が可能であることが確認できる。
【0074】
尚、炭酸ガス除去装置31においては、ナトリウムイオン源は二酸化炭素の吸蔵に伴い減少していくので、系外からナトリウム源の補充が必要となる。そこで、メタン濃縮手段2においては、炭酸ガスを捕獲して得た炭酸水素ナトリウムを炭酸ガス除去時におけるナトリウムイオン源として再利用している。
【0075】
すなわち、図5において、炭酸塩水溶受槽32は、炭酸ガス除去装置31で得た炭酸塩を水溶液の形態で自然滴下によって導入している。貯留槽33は、炭酸塩水溶受槽32から供給された炭酸水素ナトリウム水溶液を一時的に貯留する。そして、調整槽34は、貯留槽33から炭酸水素ナトリウム水溶液を導入し所定濃度(例えば、1mol/l)に調整した後、これを炭酸ガス固定器のアノード11側に供給する。そのために、図示省略されているが、炭酸ガス除去装置31と調整槽34との連絡路及び炭酸塩水溶受槽32と貯留槽33との連絡路には、各槽内の液相を移送するためのポンプ等の移送手段が具備される。
【0076】
一方、消化ガス中に水蒸気の代わりに酸素を供給した場合には、先の反応式(3)(4)(8)(9)(11)(12)から明らかなように、メタンガスをほぼ100%までに濃縮を可能とするが、気相中の炭酸ガスはカソード12表面において炭酸ナトリウムの固体状態で固定されるため、新たに炭酸ガスの除去を行うには、洗浄等により、これを除去する必要とする場合がある。このような場合、炭酸ガス除去装置31には、装置31内の炭酸ガス固定器に水を噴霧するための手段が具備される。
【0077】
かかる炭酸ナトリウムの洗浄除去について、図5を参照しながら説明する。すなわち、炭酸ガス除去装置31内の炭酸ガス固定器に、スプレーノズル等の噴霧手段によって、水(純水)を噴霧して、炭酸ナトリウムを洗浄すると、該炭酸ガス固定器の表面において、以下の反応が起こる。
【0078】
Na2CO3 + H2O → NaOH + NaHCO3
この反応によって得られた水溶液を炭酸塩水溶液受槽32に回収することで、炭酸ガス除去装置31においては、炭酸ナトリウムが除去され、新たに炭酸ガスの除去が可能となり、回収された水溶液は前述の水蒸気を供給した場合と同様にナトリウムイオン源として再利用することができる。
【0079】
尚、このように酸素を供給し、炭酸ナトリウムの洗浄を行うことが必要な場合には、炭酸ガス除去装置31の槽と炭酸塩水溶液槽32とを接続する配管及び被処理ガスを導入する配管等に適宜にバルブ手段を設けて、槽内への水の充填を可能とすると共に、被処理ガスを導入する配管への水の逆流を防止できるようにしておくとよい。
【0080】
また、炭酸ガス除去装置31において、炭酸ガス固定器は、被処理ガスの負荷量に応じて、適宜複数具備される。そのために、炭酸ガス固定器は、脱着自在で、被処理ガスの負荷量に応じて、槽内に任意の数設置される。
【0081】
図7は、そのメタン濃縮手段の一構成例を示している。ここでは、二酸化炭素を含有したガスが流通する配管(ダクトもいう)50内に、器状の炭酸ガス固定器51を複数垂下支持されている。炭酸ガス固定器51は、図7において、横断面が例えば円形となるように形成され、被処理ガスの負荷量に応じて、配管50内に任意の数設置される。尚、図示されていないが、当該システムにおいても、前述と同様に炭酸ガス固定器51に直流電圧を印加するための電源が具備される。
【0082】
また、配管50には、炭酸ガス固定器31にナトリウムイオン源(Na+源)を補充するための補充槽52が具備される。さらに、配管50の下部には炭酸ガス固定器51にて吸蔵した炭酸塩を受け入れるための炭酸塩水溶液受槽53が設置されている。そして、ここで貯留した炭酸塩水溶液は、ナトリウムイオン源として利用するために、図示省略されたポンプ等の移送手段によって移送させた後に、濃度調整させてから、補充槽52に適時適量供給している。
【0083】
さらに、炭酸ガス除去装置は、図8(b)に示した既知の燃料電池構造のように、配管65,67を介し被処理ガスとナトリウムイオン源が供給され、配管66を介し処理ガスと炭酸塩水溶液が排出され、さらに配管68を介しナトリウムイオン源が排出されるマニホールド構造としてもよい。すなわち、当該炭酸ガス除去装置は、図8(a)に示されたように、シート状に形成したアノードとナトリウムイオン導電体とカソードとから成る炭酸ガス固定層60a,bを、セパレータ62を介して、複数積層し、その上下にプレート61,63を設けることにより各炭酸固定層60a,bの上下に交差する方向に流れる被処理ガスとナトリウムイオン源の流路を各々形成すると共にマニホールドを設けて一体化されている。
【0084】
また、図12(a)はメタンガス濃縮手段のその他の構成例を示したもので、ナトリウムイオン源には水酸化ナトリウム水溶液を採用している。また、図12(b)は該メタン濃縮手段が備えたナトリウム源再生槽の概略構成図である。
【0085】
当該メタンガス濃縮手段は、炭酸ガス除去装置31とナトリウムイオン源再生槽35とを備え、炭酸ガス除去工程と、二酸化炭素放出工程と、ナトリウムイオン源再生工程と、実行している。
【0086】
炭酸ガス除去装置31は、図5記載の炭酸ガス除去装置と同様の構成であるので、構成の説明は当該実施形態に譲る。尚、当該メタンガス濃縮手段において、炭酸ガス除去装置31には、被処理ガスを導入するための経路と、処理ガスを排出するための経路と、二酸化炭素を系外移送するための経路が具備され、各々の経路には、バルブ手段V1,V2,V3が設置されている(図13(a)(b))。
【0087】
ナトリウム源再生槽35は、図12(b)に示されたように、塩化ナトリウム水溶液が供給される槽70が陽イオン交換膜74で仕切られた2槽構造となっている。そして、塩化ナトリウム水溶液が供給される槽には直流電源73の陽極と導通可能なアノード71が設置され、また他方の槽には、純水が供給され、同電源73の陰極と導通可能なカソード72が設置されている。陽イオン交換膜74は、ナトリウムイオンを通過させることができるものであれば公知のものでよい。
【0088】
炭酸ガス除去工程においては、図13(a)に示されたように、V1とV2が開、V3が閉に設定される。当該工程における作用の説明は前述の炭酸ガス除去の原理説明に譲る。
【0089】
二酸化炭素放出工程においては、図13(b)に示されたように、V1とV3が開、V2が閉に設定される。当該工程は、被処理ガス中に含まれる二酸化炭素を捕獲して得た炭酸ナトリウムは弱酸と強塩基の化合物であることに着目し、弱酸の二酸化炭素の取出しを行っている。すなわち、炭酸ガスをカソード12に炭酸ナトリウムに形態で吸蔵させた後、これに強酸ここでは塩酸水溶液を噴霧することで以下の反応を起こさせ、二酸化炭素の取出し系外に移送させている。
【0090】
Na2CO3 + 2HCl → 2NaCl + H2O + CO2
尚、被処理ガス中に含まれる二酸化炭素を捕獲して炭酸水素ナトリウムを得た場合には、これに強酸(塩酸水溶液等)を噴霧することで以下の反応を起こさせ、二酸化炭素を取り出し系外に移送させる。
【0091】
NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2
かかる反応により炭酸ナトリウムは直ちに分解し、二酸化炭素が遊離される。このとき、副生されたナトリウム塩であるところの塩化ナトリウムはナトリウムイオン源再生工程に供される。図14に当該メタンにおける炭酸ガスの吸蔵と放出示した実験結果例を開示した。該図によると、二酸化炭素の吸蔵量と放出量が一致していない。これは、二酸化炭素除去工程にカソード12表面に得られた炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの形態で水溶液として洗い流されているためと考えられる。
【0092】
ナトリウム源再生工程においては、アノード71には直流電源73の陽極が導通し、カソード72には同電源73の陰極と導通し、直流電圧が印加される。このとき、電気分解が進行し、純水の入っている水槽における液相において水成分は水酸化物イオンと水素ガスに分解され、塩化ナトリウム水溶液の入っている槽においてはナトリウムイオンと塩素イオンに分解される。このとき、副生された水素ガスと塩素ガスは塩酸の原料となり得るので、系外に移送され二酸化炭素放出工程に用いられる塩酸の生成に供することができる。一方、ナトリウムイオンは陽イオン交換膜74を経て、カソード72側の水槽に移行し、該水槽内の液相はNaOH溶液となる。このようにして得られたNaOH溶液は、適時濃度調整された後、図示省略されたポンプ等の移送手段によって、炭酸ガス除去装置31のアノード11に適時供給される。
【0093】
ナトリウム源再生工程における反応を以下にまとめた。
【0094】
Figure 0004003422
2Na+は、カソード側へ移動する。
【0095】
Figure 0004003422
表1に、本発明に係るガスタービン発電システムにおける発熱量を、比較例と共に、開示している。
【0096】
ここでは、定格運転する場合必要な燃料流量が440MJ/時である一軸式再生サイクル形ガスタービンを運転する場合の発熱量(MJ/m3)の結果を開示している。尚、試料ガスである汚泥消化ガスにおけるガス組成は、体積比でメタンが60%で二酸化炭素が40%であった。
【0097】
【表1】
Figure 0004003422
【0098】
比較例は、メタン濃縮手段を介さないで、直接、試料ガスをガスタービンの燃料供給系に供給した場合の該ガスタービンの発熱量を開示している。同表の結果によると、ガスタービンの発熱量は24.1MJ/m3となり、ガスタービンの運転に必要なガス流量は、440(MJ/時)/発熱量(MJ/m3)の計算によって、18.3m3/時となり、必要な試料ガスの流量は18.3m3/時であることがわかる。
【0099】
実施例1は、試料ガスを、メタン濃縮手段を介して、ガスタービンの燃料供給系に供給した場合の該ガスタービンの発熱量を開示している。このとき、該メタン濃縮手段から排出されたガス組成は、体積比でメタンが60%で水素が40%であった。同表の結果によると、ガスタービンの発熱量は29.2MJ/m3となり、ガスタービンの運転に必要なガス流量は、先と同様の計算によって、15.1m3/時となり、必要な試料ガスの流量は15.1m3/時であることがわかる。
【0100】
実施例2も、試料ガスを、メタン濃縮手段を介して、ガスタービンの燃料供給系に供給した場合の該ガスタービンの発熱量を開示している。このとき、該メタン濃縮手段から排出されたガス組成は、体積比でメタンが100%であった。同表の結果によると、ガスタービンの発熱量は40.1MJ/m3となり、ガスタービンの運転に必要なガス流量は、先と同様の計算によって、11.1m3/時となり、このとき必要な試料ガスの流量は18.3m3/時であることがわかる。
【0101】
以上のことから、本発明に係るガスタービン発電システムは、比較例に係るガスタービン発電システムよりも、発熱量が高くなり、発電効率に優れることが確認できる。
【0102】
特に、メタン濃縮手段2に水蒸気等の水分が供給された場合、前述の反応式(3’)(4’)(8’)(9’)(11’)(12’)から明らかなように、当該手段から得られたガスはメタンと水素の混合ガスとなるので、このガスを改質することで、従来よりも高濃度の水素ガスが得られ、燃料電池発電にも有効となる。
【0103】
また、メタン濃縮手段2に酸素が供給される場合、当該手段から得られたガスは、前述の反応式(3)(4)(8)(9)(11)(12)から明らかなように、ほぼ100%のメタンガスが得られるため、その用途は売却用燃料ガスとなり得る。
(実施形態2)
図2は、本発明に係るガスタービン発電システムの一実施形態で実施形態2を開示した概略図である。
【0104】
本実施形態に係るガスタービン発電システムは、実施形態1に係るガスタービン発電システムにおいて、メタン濃縮手段2とガスタービン3とを連絡する経路に、都市ガス等を導入するための混合器4が具備されている。このとき、混合器4は、メタン濃縮ガスと都市ガスのいずれかの導入切り替えをも可能とするものを採用するとよい。
【0105】
メタン濃縮手段2は、先の表1の結果から明らかなように、被処理ガス(例えば、汚泥消化ガス)中のメタンを濃縮することで、単位体積当りの発熱量を上げることにより都市ガス、あるいはLPGなどとの発熱量の差を小さくすることができる。したがって、本実施形態に係るガスタービン発電システムの構成とすることで、実施形態1の作用効果に加え、消化ガスと都市ガスあるいはLPGとの燃料切り替えが可能となり、いわゆるデュアルフューエルとすることができ、有料燃料の消費量の低減が可能となる。
(実施形態3)
図3は、本発明に係るガスタービン発電システムの一実施形態で実施形態3を開示した概略図である。
【0106】
本実施形態に係るガスタービン発電システムは、実施形態1に係るガスタービン発電システムにおいて、消化槽1とメタン濃縮手段2とを連絡する経路に消化ガスホルダー5を、またメタン濃縮手段2とガスタービン3とを連絡する経路にメタン濃縮ガスホルダー6を、備えている。尚、図示省略されているが、ガスホルダー5,6には、ホルダー内のガスを各々メタン濃縮手段2及びガスタービン3に供給するための流量調整可能のファンやブロワー等が適宜付帯される。当該実施形態においては、メタンガス濃縮手段2で炭酸ガスを除去して得たガス(たとえばメタン約100%)をガスホルダー6に濃縮メタンを一旦貯留し、ガスタービン3の運転状況等に応じて高カロリーであるメタン濃縮ガスを供給している。
【0107】
当該実施形態によれば、メタン濃縮ガスホルダー6に濃縮メタンを貯留しておくので、実施形態1の作用効果に加え、ガスタービンの運転状況に対応して高カロリー燃料の安定供給が可能である。また、消化ガスの発生量は、時間帯(夜昼等)によって異なるため、メタン濃縮ガスホルダー6に濃縮メタンガスを貯留しておくことで、これをバッファー設備として作用させ、消化ガスの発生量に影響を受けることなく、ガスタービンに高カロリー燃料を安定供給することが可能である。
(実施形態4)
図4は、本発明に係るガスタービン発電システムの一実施形態で実施形態3を開示した概略図である。
【0108】
本実施形態に係るガスタービン発電システムは、実施形態1に係るガスタービン発電システムにおいて、消化槽1とメタン濃縮手段2とを連絡する経路に消化ガスホルダー5を備えている。消化ガスホルダー5には経路501,502が接続されている。経路501はメタン濃縮手段2で得たメタン濃縮ガスを消化ガスホルダー5に返送するための経路である。経路502はホルダー5内のガスを燃料ガスとしてガスタービン3に供給するため経路である。尚、図示省略されているが、経路501には、メタン濃縮手段3で得たメタン濃縮ガスを消化ガスホルダー5に供給するための、また経路502にはホルダー内のガスをガスタービン3に供給するための、流量調整可能のファンやブロワー等が、適宜付帯される。
【0109】
当該実施形態においては、メタン濃縮手段2で炭酸ガスを除去して得たガス(メタン約100%)を消化ガスホルダー5に返送して、ホルダー5内のメタンガスの濃度を順次高くしていき、ガスタービン3の運転状況等に応じて100%濃度ではないものの高濃度(例えば80%程度)の高カロリー燃料である濃縮ガスをガスタービン3に供給している。
【0110】
当該実施形態によれば、実施形態3と同様に、消化ガスホルダー5内の濃度を高くしつつメタンガスを貯留しておくので、実施形態1の作用効果に加え、ガスタービン3の運転状態若しくは消化ガスの発生状態に影響を受けることなく高カロリー燃料の安定供給が可能である。尚、ガスタービン3はメタン60%(二酸化炭素40%)の消化ガスでも運転は可能であることが確認されており、本実施形態は消化ガスを直接使用する場合と比較してメタン濃度が高く(高カロリー)、発電効率を向上させることが可能となる。
【0111】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るガスタービン発電システムによれば、汚泥消化ガス等の炭酸ガスを含んだガスから炭酸ガスのみを炭酸塩として分離除去しているので、該ガス中のメタン濃度が高まり、これにより、ガスタービン発電におけるエネルギー変換効率が向上し、炭酸ガス及びメタンを回収しながらの新たな電気エネルギー及び熱エネルギーの生産が可能となる。ゆえに、本発明に係るガスタービン発電システムは、汚泥消化ガス等に含まれるメタンガスや炭酸ガス等の温室効果ガスを含んだ気相を効率的かつ低廉に回収し有効利用することを可能とさせ、温室効果ガス削減対策及び地球温暖化対策に大いに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガスタービン発電システムの一実施形態を示した概略図。
【図2】本発明に係るガスタービン発電システムの一実施形態を示した概略図。
【図3】本発明に係るガスタービン発電システムの一実施形態を示した概略図。
【図4】本発明に係るガスタービン発電システムの一実施形態を示した概略図。
【図5】メタン濃縮手段の一構成例の概略図。
【図6】メタン濃縮手段における炭酸ガス除去の原理説明図。
【図7】メタン濃縮手段の一構成例を示した概略図。
【図8】メタン濃縮手段の一構成例を示した概略図。
【図9】直流電圧が印可された場合の炭酸ガス除去装置におけるカソード側の二酸化炭素濃度と電流値の経時的変化。
【図10】(a)は炭酸ガス除去装置におけるカソード側の二酸化炭素濃度と電流値の経時的変化、(b)は電流密度(mA/cm2)と二酸化炭素の吸蔵量との関係。
【図11】炭酸ガス除去装置のカソード側における二酸化炭素濃度の経時的変化。
【図12】(a)はメタン濃縮手段の一構成例の概略図で、(b)はナトリウム源再生槽の概略構成図。
【図13】メタン濃縮手段の動作例で、(a)は炭酸ガス除去工程における動作例、(b)は二酸化炭素放出工程における動作例。
【図14】メタン濃縮手段における炭酸ガスの吸蔵と放出を示した実験結果例。
【符号の説明】
1…消化槽
2…メタン濃縮手段
3…ガスタービン
4…混合器
5…消化ガスホルダー
6…メタン濃縮ガスホルダー
10…固体電解質
11…アノード
12…カソード
13…電源
31…炭酸ガス除去装置
32,53…炭酸塩水溶液受槽
33…貯留槽
34…調整槽
35…ナトリウムイオン源再生槽
51…炭酸ガス固定器

Claims (8)

  1. 汚泥消化ガス等の炭酸ガスを含むガスが供給され該ガスから炭酸ガスを除去してメタンに富むガスを得るメタン濃縮手段と、このメタン濃縮手段で得たメタン濃縮ガスが燃料ガスとして供給されるガスタービンと、を備えたガスタービン発電システムであって、
    前記メタン濃縮手段は、一酸化炭素または二酸化炭素を含んだガスが供給される配管または容器に炭酸ガス固定器を具備した炭酸ガス除去装置を備え、
    この炭酸ガス固定器は、ナトリウムイオン源物質が供給されるアノードと、一酸化炭素または二酸化炭素を含有したガスが供給されるカソードと、を設けた固体電解質と、この両極間に直流電圧を印加してカソード側において気相中の炭酸ガスを炭酸塩として分離固定させる電源と、を具備
    前記ナトリウムイオン源物質は、ナトリウムを含んだ化合物の水溶液であること
    を特徴とするガスタービン発電システム。
  2. 請求項1記載のガスタービン発電システムにおいて、
    前記メタン濃縮手段は、前記炭酸ガス除去装置で生成した炭酸塩が導入される炭酸塩水溶液受槽と、前記受槽から導入した炭酸塩水溶液の炭酸塩濃度を一定濃度に調整する調整槽と、を備え、
    前記調整槽は、槽内液相の炭酸塩濃度を一定に調整した後にこの液相を前記炭酸ガス除去装置のアノードに供給すること
    を特徴とするガスタービン発電システム。
  3. 請求項1または2記載のガスタービン発電システムにおいて、
    前記電源は、前記アノードと前記カソードとの間に直流電圧を印加する際の電流密度が可変であること
    を特徴とするガスタービン発電システム。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のガスタービン発電システムにおいて、
    前記炭酸ガス除去装置には、一酸化炭素または二酸化炭素を含んだガスに、酸素若しくは水蒸気を供給するための経路を設けたこと
    を特徴とするガスタービン発電システム。
  5. 請求項4記載のガスタービン発電システムにおいて、
    前記水蒸気は前記ガスタービン熱によって得たものであること
    を特徴とするガスタービン発電システム。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のガスタービン発電システムにおいて、
    前記メタン濃縮手段と前記ガスタービンとを連絡する経路に、都市ガス等を導入するための混合器を備えたこと
    を特徴とするガスタービン発電システム。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載のガスタービン発電システムにおいて、
    前記メタン濃縮手段と前記ガスタービンとを連絡する経路に、前記メタン濃縮手段で得たメタン濃縮ガスを一時的に貯留するためのガスホルダーを備えたこと
    を特徴とするガスタービン発電システム。
  8. 請求項1から5のいずれか1項に記載のガスタービン発電システムにおいて、
    前記炭酸ガスを含んだガスを一時的に貯留した後に前記メタン濃縮手段に供給するためのガスホルダー
    前記メタン濃縮手段で得たガスを前記ガスホルダーに返送するための経路と、
    前記ガスホルダー内のガスを前記ガスタービンに供給するための経路と
    を具備したこと
    を特徴とするガスタービン発電システム。
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