JP4052166B2 - ガス処理方法とそのシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス処理方法とそのシステム、特に、ガス中の二酸化炭素の除去すると共に水素ガスを生成するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
1997年12月、京都市で、2000年以降における地球温暖化防止のための新たな国際的枠組みを決定する気候変動枠条約第3回締約国会議(地球温暖化防止会議、COP3)が開催された。京都会議では、先進国全体の温室効果ガスを2008〜2012年において1990年比5%強削減する数値目標などを含む「京都議定書」が採択され、この中で我が国についての数値目標は1990年比6%削減とされている。
【0003】
温室効果ガスの人為的排出の多くを占めるのが、エネルギーの燃焼に伴って発生する二酸化炭素(CO2)である。我が国は、石油危機以降積極的な省エネルギー努力を行った結果、産業部門のエネルギー利用効率は世界最高水準にあり、GDP当りの一次エネルギー消費も米国の約3分の1、ドイツの約2分の1と他の先進国と比較して低い水準にある。
【0004】
しかし、近年の運輸、民生部門を中心としたエネルギー消費の著しい伸びに伴い、エネルギー起因の二酸化炭素排出量は1995年度には1990年比8%強の大幅な増加となっている。このことから、京都議定書の目標の達成に向けては、直ちに最大限の対策に着手していく必要がある。
【0005】
京都議定書において、温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)、メタンガス(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類とされているが、我が国における温室効果ガスの排出量は1995年度において1990年度比8.6%増加している。このうち、全体の9割近くを占めるとともに、経済社会活動全体と密接な関わりを持つのがエネルギーの燃焼に伴って発生する二酸化炭素である。
【0006】
我が国におけるこれらのエネルギー起因の二酸化炭素排出量は1980年代後半から急激な増加傾向にあり、特に近年は運輸、民生部門の伸びが著しく、1995年度には1990年度比8.1%の大幅な増加となっている。したがって、我が国で今後国内の温室効果ガス対策を考える際の中心的課題となるのが、運輸、民生部門での対策強化をはじめとしたエネルギー起因の二酸化炭素削減対策である。
【0007】
尚、二酸化炭素については、正確な量の把握は難しいものの森林等の働きによって吸収されるといわれており、また二酸化炭素固定技術に関する研究開発も進められている。さらに、代替フロン類(HFC,PFC及びSF6)については半導体洗浄や製品の中の冷媒として使われ、市中に残存しているものを回収し、分解するための技術開発等が進められている。
【0008】
このように、温室効果ガス対策の全体において、ガスの排出削減対策を進める一方で、森林・農地の保全・整備や代替フロン類の回収に係るシステム創りなど、ガスの吸収・固定や回収・分離等に係る各種の対策を進めることも極めて重要である。
【0009】
排ガスのCO2排出濃度としては、排ガス中でディーゼルエンジンが約10%、ボイラーで約13%、下水処理場、食品工場の消化ガスで約40%である。
【0010】
現在、多くの分野で二酸化炭素を分解・回収するための方法及び装置等の開発が進められている。特に、室温付近においてはゼオライト触媒などを用いて吸着・脱着する圧力スイング法(非特許文献1)、高分子膜を用いた膜分離法(特許文献1)、水及びアルカリ水溶液などへ溶解する方法(非特許文献2)などが開発され、これらが主流となっている。
【0011】
前記圧力スイング法は、ゼオライトなどの二酸化炭素吸着性物質を充填し、二酸化炭素を吸着させている。そして、吸着が飽和した後は、低圧若しくは高温状態に保持し、吸着した二酸化炭素を放出している。
【0012】
前記膜分離法は、二酸化炭素選択透過性の膜(ポリ([1−トリメチルシリル])プロピレン、ポリジメチルシロキサン等)の一方に加圧ガスを導入し、二酸化炭素を選択的に透過させ、二酸化炭素濃度を高める方法である。
【0013】
前記溶解方法は、大きく二つの方法がある。第一の方法は、水酸化ナトリウム水溶液に二酸化炭素を吸収させて炭酸塩(Na2CO3)となる現象を用いたものである。
【0014】
2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O
また、第二の方法は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の熱分解・吸収法を利用している。
【0015】
2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O (65℃以上)
Na2CO3 + CO2 + H2O → 2NaHCO3 (室温〜50℃)
また、水素ガスの工業的な製造方法として、主に以下の方法が知られている(非特許文献2)。
【0016】
1)水電解法 15〜20%苛性ソーダ溶液を、ニッケルメッキ電極を用いて、電解し、純水素とともに副生酸素をも得る方法である。
【0017】
2)コークスのガス化 コークスを原料として水性ガスを製造する方法である。通常、赤熱コークスに空気を送入して燃焼させ、炉温を上げるブローと水蒸気を送入してガスを発生させるランを短い周期で間欠式水素発生炉が古くから知られているが、その後に、酸素と水蒸気の混合気を送入する連続式水性ガス発生炉が登場した。ここで、水性ガスは除塵、水洗浄、脱硫などの、精製工程を経て、ガス中の一酸化炭素を、水性ガス転化反応を利用して、水素に転化させ、同時に生成する二酸化炭素を吸着除去し微量の一酸化炭素を除いて、不純物のない水素としている。
【0018】
3)石炭の完全ガス化 微細炭または微粉炭に酸素と水蒸気を送入してガス化する方法で、その主反応は炭化水素と酸素及び水蒸気の反応で、これにより水素、一酸化炭素、あるいはメタンを主成分とするガスを製造させている。ウインクラーガス発生炉、コッパース−トチェックガス発生炉、オットー−ルンメルガス発生炉など最近発展した方法はほとんどが、これに属する。生成ガスの性状や精製方法、変成方法は、ほとんど2)の方法と同じである。
【0019】
4)石油類のガス化、天然ガス、コークス炉ガス、石油精製廃ガスなどの変成原料が液体燃料のときはガス化といい、ガス体燃料のときは変成というが、これらは、反応の本質が炭化水素と酸素または水蒸気の反応により同一性状のガスを得る点で、同一である。また、前述の石炭の完全ガス化は固体炭化水素である石炭を原料とし、同一反応といえる。コッパース−トチェックガス発生炉、ファウザー−モンテカチニガス発生炉など、常圧のガス発生炉に対し、最近はテキサコガス発生炉、シェルガス発生炉など加圧ガス発生炉の進展が著しい。ガス体炭化水素の変成には触媒使用の接触分解法も広く行われている。
【0020】
5)コークスガスよりの分離 コークスガス発生炉からのガスを圧縮冷却して、水素以外のガスの全て液化除去し、水素を分離する方法である。炉ガスから常法によりイオウ化合物を除去し、約12気圧に圧縮して水及び苛性ソーダ溶液で洗浄し、二酸化炭素を除去、−40℃で水、−60℃でメタンその他の炭化水素、一酸化炭素を凝縮除去し、水素を分離している。
【0021】
6)鉄と水蒸気との反応 この手段はメーサシュミット法と呼ばれる。すなわち、リョウテツ鉱(FeCO3)を焼いてFe3O4とし、さらにこれを水性ガス(CO+H2)などで還元してFeOとし、これにH2Oを反応させることで、FeOが酸化され、これに伴い、純水素が得られる。
【0022】
【非特許文献1】
長倉三郎他編「理化学辞典」、岩波書店
【0023】
【特許文献1】
特許第2521884号公報(第2〜4頁)
【0024】
【非特許文献2】
化学大辞典編集委員会編「化学大辞典」、共立出版
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
圧力スイング法は、二酸化炭素以外に水成分も吸着されるため、前段に脱水装置を設ける必要がある。また、連続処理が不可能であり、処理塔を最低2つ必要、加温設備、真空装置設備などの付加設備が必要で大規模な設備となる。
【0026】
高分子膜を用いた膜分離法は、膜自身に受けるガス圧力・二酸化炭素透過性を最適化するのが難しく高価となる。さらに、一般に、二酸化炭素の他に窒素、酸素などの気体も透過するため、完全な分離は困難となる。さらに、ガス加圧装置などの付加設備も大型となる。
【0027】
第一の溶解方法は、非常に簡単な方法であるが、生成した炭酸塩(Na2CO3)の後処理が困難であり(塩酸による中和)、これまでは加熱・乾燥後廃棄処分されているのが現状である。また、第二の溶解方法では、炭酸水素ナトリウムの二酸化炭素に対する吸収量及び吸収速度が水酸化ナトリウム水溶液に対して非常に遅いため非効率となる。
【0028】
一方、水素ガス製造方法においては、1)の方法は水を原料とするところに長所があるが、以下の短所がある。すなわち、純水を必要とする、多数の電解槽を必要とする、電流の過不足に対する適応性が十分でない、電解液の炭酸化による老化、床面積、イニシャルコストなどに多くの問題があり、経済的に不利となる。そこで、近年においては、重油や天然ガスなどの廃ガスを水素源として利用するようになったので、2〜5)の方法が主流となっているのが現状である。
【0029】
しかしながら、2〜6)の方法においては、設備が大掛かりとなり、イニシャルコスト及びランニングコストが増大する原因となる。さらに、水素ガス製造過程においては、一酸化炭素や二酸化炭素等の炭酸ガスを副生成させてしまい、これを除去する工程を具備せざるを得なく、水素ガスの生成効率が上がらない。
【0030】
このように、従来の二酸化炭素除去技術及び水素製造技術は、大掛かりな装置が必要であること、またイニシャルコスト及びランニングコストが高く、さらに二酸化炭素除去率及び水素生成効率が低いという問題がある。特に、温室効果ガスの大部分を占める二酸化炭素の排出源のほとんどは、下水処理場や工場であることからも、これら施設のランニングコストも考慮した二酸化炭素の除去と水素生成の方法の構築が必要となる。さらには、二酸化炭素の除去に伴い、吸蔵した炭酸成分は増えていくが、この炭酸成分をどのように取り扱うかが問題となる。
【0031】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その目的は、より低廉かつ効率的さらに安定した二酸化炭素の除去と水素の生成を行なうガス処理方法とそのシステムの提供にある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
そこで、前記課題を解決するためのガス処理方法は、ナトリウムイオンを透過する電解質膜にアノードとカソードとを設け、前記アノードにはナトリウム化合物の水溶液を接触すると共に、前記カソードには水酸化ナトリウム水溶液と混合させた被処理ガスを供し、この両極間に直流電圧を印加することにより、カソード側において前記ガス中の二酸化炭素を炭酸塩の形態で分離除去すると共に水素ガスを生成する。
【0033】
また、前記課題を解決するためのガス処理システムは、ナトリウムイオンを透過する電解質膜と、この電解質膜に設けられると共にナトリウム化合物の水溶液が供されるアノードと、前記電解質膜に設けられると共に水酸化ナトリウム水溶液と混合させた被処理ガスが供されるカソードとを備え、この両極間に直流電圧を印加してカソード側においてガス中の二酸化炭素を炭酸塩の形態で分離除去するすると共に水素ガスを生成するガス処理装置と、前記カソードに供する被処理ガスに水酸化ナトリウム水溶液を注入する手段とを備える。
【0034】
本発明のガス処理方法及びガス処理システムによれば、アソードに供する被処理ガスに水を注入することで、カソードで吸蔵させた炭酸塩を容易に水溶液化させることができる。これにより、炭酸塩が系外除去しやすくなり、効率的且つ連続的な二酸化炭素の除去と水素の生成が可能となる。そして、汚泥消化ガスやバイオガスを被処理ガスとすれば、これらのガスをメタンや水素に富んだ高エネルギーガスに変換できる。また、被処理ガスに水を注入することで、常温のもとで二酸化炭素の除去と水素の生成を行なえるので、エネルギーコストを抑えることができると共に、耐熱温度が低い電解質膜を用いることができる。したがって、本発明で用いる電解質膜は、耐熱温度を考慮する必要がなく、ナトリウムイオンを泳動させるものであればよい。
【0035】
また、被処理ガスに水酸化ナトリウム水溶液を注入することで、被処理ガス中の二酸化炭素がある程度吸収されるので、ガス処理装置のカソードで反応させる二酸化炭素の反応量を低減させることができ、消費電力をより一層抑えることができる。さらに、水酸化ナトリウム水溶液または二酸化炭素を吸収して得た炭酸塩水溶液がガス処理装置内に導入されることで、ガス処理装置内の電解質膜とカソードとの界面の導電性を保つことができると共にカソード上のナトリウムイオンの濃度が高まり、ガス処理装置の動作特性(二酸化炭素除去能力及び水素生成能力)が安定さらには向上する。尚、被処理ガスをガス処理装置に供給する経路に被処理ガスと水酸化ナトリウム水溶液とを混合する混合配管を設けると、被処理ガスと水酸化ナトリウム水溶液との接触時間が確保され、前記作用効果はより一層高まる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
(実施形態1)
図1は、本実施形態のガス処理システムの概略図である。当該ガス処理システムは、ガス処理装置1における被処理ガス供給系に水供給手段14を備えている。
【0038】
図示されたガス処理装置1は、ナトリウム化合物水溶液(図1おいてはNa+源と呼称)が供給されるアノード11と被処理ガスが供給されるカソード12とを設けた電解質膜10と、この両極間に直流電圧を印加する電源13とを備えている。
【0039】
電解質膜10は、ナトリウムイオン交換機能を有するポリマー製電解質膜である。例えばフッ素樹脂または塩化ビニル樹脂を基材とするものが挙げられる。さらには、スチレンとジビニルベンゼンの共重合物を母体とするスルホン酸樹脂、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂、ポリトリフルオロスチレンスルホン酸樹脂、ポリスチレンスルホン酸樹脂、またはフェノールスルホン酸樹脂等を含ませて形成したものが例示される。
【0040】
ナトリウム化合物水溶液には、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液または炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液等が採用される。
【0041】
アノード11とカソード12としては、Pt、Au、Cr、Cu及びNi、若しくはこれらの酸化物等が例示され、多孔質性の電極が用いられる。当該電極は、電解質膜10において、スクリーン印刷、はけ塗り、蒸着、溶射、ディップコーティング等によって形成される他、金属繊維(多孔体)を圧接することによって形成することもできる。
【0042】
電源13は、直流電圧を印加する機能を有するものが採用され、既知のものでよい。電圧を印加するための電源は、一般の定電位電源(ポテンションスタット等)を用いることができるが、電流密度が可変であるものを用いるとよい。尚、電流密度を調節する一つの手段として、印加電圧の調整がある。
【0043】
ここで、図3及び図4にガス処理装置1の実施形態例を示した。
【0044】
図3(a)に示したガス処理装置は、アノード11とカソード12を備えた電解質膜50を、アノード側枠体51とカソード側枠体52とで挟み込んで構成されるセル50となっている。このとき、アノード側枠体51には、ナトリウム化合物水溶液(図においてはNa+源と呼称)を一時的に滞留させる流路が設けられ、この水溶液を供給するための供給管511と、この水溶液を排出するための排出管512と、が接続される。同様に、カソード側枠体52には、被処理ガスを一時的に滞留させる流路が設けられ、被処理ガスを供給するための供給管521と、処理ガスを排出するための排出管522とが接続される。また、アノード側枠体51及びカソード側枠体52の流路において、迂流板523が設けられている。図3(a)に開示されたカソード側枠体においては、迂流板523は一枚設置されているが、これに限定されず、図3(b)に示した枠体51,52のように、複数備えてもよい。このような構成とすれば、導入被処理ガス及びこれに含まれる水またはナトリウム化合物水溶液を電解質膜10のアノード面及びカソード面に対し均一に供給することができるので、二酸化炭素の除去効率及び水素の生成効率が高まる。
【0045】
また、セル構造を成したガス処理装置は、図3(c)に示したように、被処理ガスの負荷量等に応じて複数設置される。当該形態に係るガス処理装置は、セル50が3枚設置された構成となっている。このとき、装置の側面には、マニホールド53,54,55,56が設置される。マニホールド53には、被処理ガスを供給するための供給管121が接続されている。マニホールド54には、処理ガスを排出するための排出管122が接続されている。マニホールド55には、ナトリウム化合物水溶液を供給するための供給管111が接続されている。マニホールド56には、ナトリウム化合物水溶液を排出するための排出管121が接続されている。
【0046】
図4(a)は、二枚の電解質膜10を積層した場合の構成例である。積層枚数は被処理ガスの負荷量等によって定まる。図示されたように、2枚の電解質膜10が、セパレータ62を介して、積層され、上下からそれぞれプレート61,63が設けられている。このとき、プレート61には、ナトリウム化合物水溶液(図においてはNa+源)の流路が設けられている。セパレータ62の上面には、被処理ガスの流路が設けられ、また下面には、ナトリウム化合物水溶液の流路が設けられている。セパレータ53には、被処理ガスの流路が設けられている。そして、図4(c)に示されたように、被処理ガスの流入側には供給管121を設けたマニホールド64が、処理ガスの排出側には排出管122を設けたマニホールド65が設置される。また、ナトリウム化合物水溶液の流入側には、流入管111を設けたマニホールド66が、さらに排出側には、排出管112を設けたマニホールド67が設置される。尚、図4(b)に例示したセパレータ62における仕切板621のように、プレート61,63及びセパレータ62に設けられた流路には複数の仕切板を設けるとよい。このような構成とすることで、導入した被処理ガス及びこれに含まれる水または後述(実施形態2)のナトリウム化合物水溶液を電解質膜10のアノード面及びカソード面に対し均一に供給することができるので、二酸化炭素の除去効率及び水素の生成効率が高まる。
【0047】
本実施形態では、ナトリウム化合物水溶液(Na+源)は、調整槽3からポンプP1によって導入している。余剰のナトリウム化合物水溶液は、排出管112を介して調整槽3に返送される。調整槽3は、アノード11に供給するためのナトリウム化合物水溶液を一時的に貯留するためのタンク30を備える。このとき、タンク30内液相のナトリウムイオン濃度は一定に調整される。そのために、タンク30は、ナトリウムイオン濃度を測定するためのイオン濃度測定手段31と、高濃度ナトリウムイオン源や水を供給するための経路32とを備え、さらに、経路32には、タンク30内液相のイオン濃度に基づき開閉動作するバルブ手段を設けている。イオン濃度測定手段としては、例えば、pH測定機能を備え、pH値に基づきナトリウムイオンの濃度を算出している。
【0048】
また、被処理ガスは経路100を介してガス処理装置1内に導入している。経路100には経路101を介して水供給手段15が具備されている。水処理手段15は、被処理ガスに水を供給する。水供給手段15は、被処理ガスに直接水を供給できるものであれば既知のものよい。例えば、スプレーノズル式のもの等が採用される。このとき、水の流量は、少なくとも被処理ガスの供給の妨げにならない程度及びカソード12において炭酸塩水溶液が生じる程度に設定するとよい。また、水の逆流を防ぐために、水供給用の配管(経路101)には逆止弁を設けたり、さらには経路100と経路101の接続位置を供給管121の据付位置よりも高く設定するとよい。
【0049】
一方、処理ガスはカソード12で生成した炭酸塩水溶液と共に気液分離槽2に供され気液分離処理される。気液分離槽2は、炭酸塩の水溶液を滞留させている。
【0050】
次に、図1を参照しながら、本実施形態のガス処理システムの動作例について説明する。ここでは、ナトリウムイオン源が水酸化ナトリウム水溶液(以下、NaOH水溶液)で、被処理ガスがCH4とCO2とを含んだガスである場合について述べる。
【0051】
当該ガス処理システムにおける二酸化炭素ガス除去は、アノード11とカソード12のと間に直流電圧を印加することによって行われる。
【0052】
すなわち、図1において、アノード11側には供給管111からNaOH水溶液が供給され、アノード11はこのナトリウムイオン源によって浸漬された状態となる。また、カソード12側には、供給管121から被処理ガスが供給される。被処理ガスは水供給手段2によって水分(H2O)を含んでいる。ここで、アノード11とカソード12の両極間に電源13から直流電圧を印加すると、先ずNaOHが接触したアノード11表面においては、以下の反応が起こる。
【0053】
NaOH → Na++OH- …(1)
2OH- → 1/2O2 + H2O + 2e- …(2)
このとき、ナトリウムイオン(Na+)は、アノード11を通過し、電解質膜10を泳動し、カソード12に達する。一方、アノード11側で遊離した電子(e-)は、電源13を経由して、カソード12に達する。
【0054】
ここで、気相中の二酸化炭素(CO2)及び水分(H2O)がカソード12表面に接触すると、以下の反応が起こる。
【0055】
Na++e-+CO2+H2O → NaHCO3 + 1/2H2 …(3)
2Na++ CO2 + H2O +2e- → Na2CO3 + H2 …(4)
このようにして、被処理ガス中に含まれる二酸化炭素は炭酸塩の形態でカソード12表面に固定されることで分離除去されると共に水素ガスが生成される。特に、カソード12で生成した炭酸塩は水供給手段15から供給された水によって容易に水溶液化されているので、炭酸塩が系外除去しやすくなり、連続的な二酸化炭素の除去と水素の生成が可能となる。また、水を混合させた被処理ガスをガス処理装置1に供給したことで、常温での二酸化炭素の除去と水素の生成が可能となる。生成した炭酸塩水溶液は処理ガスと共に気液分離槽2に供されて気液分離処理される。この際、ガス中に残留する二酸化炭素成分が炭酸塩水溶液によって吸収除去される。気液分離槽2で捕集された炭酸塩水溶液は、再生槽4にて水酸化ナトリウム水溶液に変換されてナトリウムイオン源として再利用される。再生槽4としては例えば特願2002−343508(段落番号(0060)〜(0077)及び図5)に開示したものがある。
【0056】
以上のように、本実施形態に係るガス処理システムによれば、被処理ガスに水を注入することで、効率的な二酸化炭素の除去と水素の生成を行うことができる。また、常温のもとで二酸化炭素の除去と水素の生成を行うことができるので、塩化ビニル樹脂やフッ素樹脂さらには過フッ素化スルホン酸ポリマーを基材とする電解質膜のような動作温度の低い電解質を好適に用いることができる。したがって、エネルギーコストを抑えることができ低廉な二酸化炭素の除去と水素の生成が行なえる。
【0057】
さらに、被処理ガスが汚泥消化ガスやバイオガスのようなメタンを含んだガスである場合、このガスを本実施形態のガス処理システムに供することで、高エネルギーガスを得ることできる。例えば、下水処理場で発生する汚泥消化ガスや家畜糞尿設備で発生するバイオガスは有用なエネルギー源として活用が可能であるが、従来の技術においては特に中小容量の処理場において熱源としての用途しか見出すことができなかった。その一つの理由としては、メタンガス濃度が低いことが挙げられる。そこで、汚泥消化ガスやバイオガスを前記ガス処理システムに供することで、これらのガスをメタンや水素に富んだ高エネルギーガスに変換させることができる。この高エネルギーガスは、燃料電池やガスタービン等の燃料またはその他の燃料として売却するなどの有効利用ができる。
【0058】
(実施形態2)
図2は、本実施形態のガス処理システムの概略図を示す。尚、図1に開示された手段と同じ構成のものには同符号を付してその詳細の説明を適宜省略した。
【0059】
本実施形態のガス処理システムは、被処理ガスをガス処理装置1に供するにあたり、被処理ガスに水酸化ナトリウム水溶液を注入して、ガス中のある程度の二酸化炭素を水酸化ナトリウム水溶液によって吸収除去している。このとき、ガス処理装置1内においては水酸化ナトリウム水溶液または生成した炭酸塩水溶液によって電解質膜10とカソード12との界面の導電性が維持され、ガス処理装置の動特性(二酸化炭素除去能及び水素生成能)が安定する。また、カソード12の表面はナトリウムイオン濃度が高まっているので、被処理ガスがカソード12に接触するとガス中の二酸化炭素成分が容易に吸収され、二酸化炭素除去効率及び水素生成効率が一層高まる。ガス処理装置1からは水酸化ナトリウム水溶液を導入した分だけの炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの水溶液が排出されてくるが、これらの水溶液は再生槽4に供してやれば、アノード11へのナトリウムイオン源として再利用できる。
【0060】
水酸化ナトリウム供給手段15は、一定濃度の水酸化ナトリウム水溶液を貯留したタンク(図示省略)を備える。そして、経路100を流通する被処理ガスに経路102を介してスプレーノズル方式に水酸化ナトリウムを注入する。水酸化ナトリウム水溶液は、例えば0.1〜10mol/l程度に調整されたものが用いられる。
【0061】
また、実施形態1と同様に水酸化ナトリウム水溶液の逆流を防ぐために、経路102には逆止弁を設けるとよい。このとき、経路100と経路102の接続位置を供給管121の据付位置よりも高く設定するとなおよい。さらに、経路100には、被処理ガスと水酸化ナトリウム水溶液とを混合させる混合配管103を設けるとよい。図2においては、螺旋状の配管が開示されているが、混合配管103は被処理ガスと水酸化ナトリウム水溶液とを混合できるものであれば図示された形態に限定されない。
【0062】
【発明の効果】
本発明のガス処理方法とそのシステムによれば、アソードに供する被処理ガスに水を注入することで、カソードで吸蔵させた炭酸塩を容易に水溶液化させることができるので、炭酸塩が系外除去しやすくなり、効率的且つ連続的な二酸化炭素の除去と水素の生成が可能となる。また、被処理ガスに水を注入することで、常温のもとで二酸化炭素の除去と水素の生成を行なえるので、エネルギーコストを抑えることができると共に、本発明で用いる電解質膜の耐熱温度を考慮する必要がない。したがって、装置システムのイニシャルコストを抑えることができる。そして、汚泥消化ガスやバイオガスを被処理ガスとすれば、これらのガスを効率的にメタンや水素に富んだ高エネルギーガスに変換できる。
【0063】
また、被処理ガスをガス処理装置に供するにあたり水酸化ナトリウム水溶液を注入することで、被処理ガス中の二酸化炭素がある程度吸収されるので、ガス処理装置のカソードで反応させる二酸化炭素の反応量を低減させることができ、消費電力をより一層抑えることができる。さらに、水酸化ナトリウム水溶液または二酸化炭素を吸収して得た炭酸塩水溶液がガス処理装置内に導入されることで、ガス処理装置内の電解質膜とカソードとの界面の導電性を保つことができると共にカソード上のナトリウムイオンの濃度が高まり、ガス処理装置の動作特性(二酸化炭素除去能力及び水素生成能力)が安定さらには向上する。
【0064】
このように、本発明によれば、より低廉かつ効率的さらに安定した二酸化炭素の除去と水素の生成が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス処理システムの実施形態例を示す概略図。
【図2】本発明のガス処理システムの実施形態例を示す概略図。
【図3】ガス処理装置の実施形態例を示す概略図。
【図4】ガス処理装置の実施形態例を示す概略図。
【符号の説明】
1…ガス処理装置、10…電解質膜、11…アノード、12…カソード、100,102…経路、103…混合配管、111,121…供給管、112,122…排出管、13…電源、14…水供給手段、15…水酸化ナトリウム水溶液供給手段
2…気液分離槽
3…調整槽、30…タンク、31…イオン濃度計、32…経路
Claims (4)
- ナトリウムイオンを透過する電解質膜にアノードとカソードとを設け、前記アノードにはナトリウム化合物の水溶液を接触すると共に、前記カソードには水酸化ナトリウム水溶液と混合させた被処理ガスを供し、この両極間に直流電圧を印加することにより、カソード側において前記ガス中の二酸化炭素を炭酸塩の形態で分離除去すると共に水素ガスを生成すること
を特徴とするガス処理方法。 - 前記被処理ガスは汚泥消化ガスまたはバイオガスであること
を特徴とする請求項1に記載のガス処理方法。 - ナトリウムイオンを透過する電解質膜と、この電解質膜に設けられると共にナトリウム化合物の水溶液が供されるアノードと、前記電解質膜に設けられると共に水酸化ナトリウム水溶液と混合させた被処理ガスが供されるカソードとを備え、この両極間に直流電圧を印加してカソード側においてガス中の二酸化炭素を炭酸塩の形態で分離除去するすると共に水素ガスを生成するガス処理装置と、
前記カソードに供する被処理ガスに水酸化ナトリウム水溶液を注入する手段と
を備えたことを特徴とするガス処理システム。 - 前記被処理ガスを前記ガス処理装置に供給する経路には、前記被処理ガスと前記水酸化ナトリウム水溶液を混合する混合配管を設けたこと
を特徴とする請求項3に記載のガス処理システム。
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