JP4002635B2 - 細胞間接着抑制剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラボノイド類を有効成分とし、皮膚疾患の治療・改善および角層トラブルの予防・改善に有用な細胞間接着抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
表皮は様々な種類の細胞によって構成されており、角化細胞(ケラチノサイト)が大部分を占める。このケラチノサイトが増殖し、上層に移行するに従い、分化過程(角化)により最外層の角層を形成する。このような表皮の正常な角化および角質層の維持には表皮細胞が重要な役割を果している。
【0003】
表皮におけるこれらケラチノサイトの細胞接着の異常は、水泡症、ある種の角化症などの皮膚疾患原因であることが言われている。また、ニキビ、フケ、日焼けによる落屑等の角層トラブルは細胞接着性の亢進により角層の重層化が進むことが原因であることが知られている。
【0004】
これら角層を含む表皮の接着機能装置として代表的なものにデスモゾームがある。デスモゾームは表皮細胞間および角質細胞間の接着に関与している蛋白質集合体であり、この中で直接接着に関与している蛋白質はデスモグレインおよびデスモコリンである。
【0005】
これまでに、唇荒れにおいて生じる角層剥離片、日焼けや乾燥により生じる角層の落屑、ニキビ内角層、フケにおいてデスモゾーム蛋白質の増加が認められている。ゆえに、これら角層のトラブルはデスモゾーム蛋白質の増加による角層接着機能異常が原因であると考えられ、これら角層トラブルの予防改善にデスモゾームによる細胞接着機能をコントロールすることが有効であると考えられる。
【0006】
デスモゾームをコントロールする方法として、角層に蓄積したデスモゾーム蛋白質をプロテアーゼにより分解し、ニキビ、フケ、落屑を改善する方法がこれまでに報告されている(特表平7−505383号、WO93/19732、WO95/07687、WO95/07688)。
【0007】
しかしながら、細胞自身に作用し細胞間接着を有効に阻害することにより、これら皮膚疾患の治療および角層トラブルの改善に用いることのできる物質は未だ見出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、デスモゾームによる細胞間接着、とりわけ、皮膚において角層トラブルの原因となるデスモゾームの細胞間接着を抑制する薬剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは前記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定のフラボノイド類が、デスモゾームによる表皮細胞間接着を有効に抑制する活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、次の一般式(1)
【0011】
【化2】
【0012】
〔式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ水素原子、水酸基、低級アルコキシル基又はアルケニル基を示し、R5 は水素原子又は水酸基を示し、破線と実線とからなる二重線はこの結合部が単結合又は二重結合であることを示す〕
で表されるフラボノイド類を有効成分とする細胞間接着抑制剤を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる一般式(1)で表されるフラボノイド類は、公知のものであり、また、その一部は植物中に含まれ、生薬の有効成分として知られているが、細胞間接着抑制作用を有することは、知られていなかった。
【0014】
上記一般式(1)中、破線と実線とからなる二重線で示される結合が単結合の場合、母核はフラバノン骨格を示し、二重結合の場合はフラボン骨格を示し、また、それぞれ、複数の立体異性体および光学異性体が存在するが、本発明においては、そのいずれをも用いることができ、これらを単独又は複数組み合わせて用いることができる。
【0015】
上記一般式(1)中、R1 、R2 、R3 およびR4 は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、水酸基、低級アルコキシル基又はアルケニル基を示すが、ここで低級アルコキシル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルコキシル基が挙げられ、具体的には、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、1−ブトキシル基、2−ブトキシル基等が挙げられる。またアルケニル基としては炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、アリル基、3−メチル−2−ブテニル基等が挙げられる。これらのうち、R1 、R2 、R3 およびR4 としては水素原子、水酸基、メトキシル基、3−メチル−2−ブテニル基が好ましい。
【0016】
また、R1 、R2 、R3 およびR4 の結合位置は、特に制限はなく、母核であるフラボン骨格又はフラバノン骨格に対し、R1 およびR2 は5位、6位、7位、8位、R3 およびR4 は2′位、3′位、4′位、5′位、6′位の位置に結合し得るが、R1 およびR2 がそれぞれ7位および8位、R3 およびR4 がそれぞれ3′位および4′位に結合したものが好ましい。
【0017】
本発明において用いられる一般式(1)で表されるフラボノイド類の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
本発明で用いられる一般式(1)で表されるフラボノイド類は、植物等の天然物より抽出したもの又は抽出したものを常法に従い化学修飾したものを用いてもよく、また、公知の方法に従い合成したものを用いてもよい。ここで、天然物より抽出したものを用いる場合は、一般式(1)で表されるフラボノイド類が配糖体等の形態で存在する場合は、加水分解等の公知の手段で糖部等を除去すればよく、また、抽出後又は糖部等を除去後、精製したもののみならず、抽出したもの又は糖部等を除去したものをそのまま用いてもよい。
【0021】
本発明の細胞間接着抑制剤は細胞間接着が亢進することにより生じる種々の疾患の予防又は治療に対して有用であり、特に水泡症、角化症、角化不全症、ニキビ、フケ、肌荒れ、唇荒れ等の皮膚における細胞間接着の亢進が原因となる疾患に対し、特に有効である。かかる皮膚における疾患に対しては、皮膚外用剤、経口剤、注射剤等の形態で用いるのが好ましく、皮膚外用剤における一般式(1)で表されるフラボノイド類の配合量は0.001〜30重量%配合するのが好ましく、0.01〜10重量%配合するのが特に好ましい。また、経口剤としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等が挙げられる。
【0022】
本発明の細胞間接着抑制剤には例えば殺菌消毒剤、収斂剤、皮膚軟化剤、ホルモン剤、ビタミン類等の他の薬効成分を配合することができる。
また、皮膚外用剤とする場合には、化粧料成分として一般に使用されている水性成分、粉体、油剤、保湿剤、アルコール類、pH調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、香料等を適宜配合することができる。外用剤の形態としては、軟膏、乳液、クリーム、化粧水、美容液、クレンジング剤、パック剤、洗浄料、ファンデーション、口紅等が挙げられる。また、経口剤とする場合には、例えば結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤等を適宜配合することができる。
【0023】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
実施例1
フラボノイドの細胞接着抑制活性はデスモグレインを指標としたデスモゾーム形成および細胞間隙の変化を以下の方法により検討することで判定した。
ヒト培養表皮細胞をラブテックチャンバースライド上に継代し、37℃、5%CO2条件のインキュベーターにて培養した。細胞がコンフルエントに達する直前で培地をカルシウム濃度0.03mMのフラボノイドを重量濃度で0.001%溶解させた培地に交換した37℃、5%CO2で12時間培養し、塩化カルシウム溶液を加えることで培地中のカルシウム濃度を0.03mMから1.5mMに上昇させた。カルシウムスイッチ24時間後に細胞を固定し、細胞間デスモゾーム形成抑制効果を一次抗体にモノクローナル抗デスモグレイン抗体、二次抗体にFITCラベル抗マウスIgGを用いた免疫蛍光染色を行い、蛍光顕微鏡にて観察し、フラボノイド未添加群と比較することで判定した。
【0025】
その結果、カルシウム濃度スイッチ24時間後においてフラボノイド未添加群ではデスモグレインの存在を示す蛍光が細胞間に局在しているのが顕著に観察され、細胞間隙もほとんど認められなかった。これに比較して本発明フラボノイド添加群では細胞間のデスモグレインの蛍光染色が非常に弱く、細胞間隙が明らかに認められた。各フラボノイド化合物の顕微鏡観察により判断した活性強度を表1に示す。
従って、本発明におけるフラボノイド化合物はヒト表皮角化細胞のデスモゾーム形成を阻害し、細胞間接着を抑制することが判明した。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
本発明の細胞間接着抑制剤は、水泡症、角化症、角化不全症、ニキビ、フケ、肌荒れ、唇荒れ等の各種皮膚疾患の治療・改善や角層トラブルの予防・改善に有効である。
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