JP4002456B2 - 光半導体素子収納用パッケージ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、LD(レーザダイオード)、PD(フォトダイオード)等の光半導体素子を気密に封止して収納するための光半導体素子収納用パッケージに関し、特にガラスを主成分とする封止材を加熱溶融して反射防止膜が被着されたレンズ部材を固定する光半導体素子収納用パッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】
光半導体素子を収納するパッケージとしては、従来、図3に断面図で示すような、レンズ部材12cを封止ガラス13を溶融して固定して成る光半導体素子収納用パッケージが用いられている。この光半導体素子収納用パッケージは、セラミックス等の絶縁材料やFe−Ni−Co合金等の金属材料から成り、その上面略中央部にLD、PD等の光半導体素子14を収納する凹部11aを有する基体11と、凹部11aを覆うようにシールリング16を介して接合される蓋体12とから成る。
【0003】
基体11の外側面には、光半導体素子14と外部電気回路との電気的接続を行なうためのFe−Ni−Co合金等の金属材料から成るリード端子15がホウ珪酸系ガラス等から封止材を介して溶着されている。
【0004】
また、蓋体12は、基体11と接合される第一の金属枠体12aと、この第一の金属枠体12aの内周面にろう材を介して接合された第二の金属枠体12bと、この第二の金属枠体12bの内周面に封止ガラス13を介して接合されたレンズ部材12cとから構成されている。
【0005】
そして、第一の金属枠体12aは、その熱膨張係数を基体11の熱膨張係数と整合させるために、例えばFe−Ni−Co合金等の金属材料から成り、また、第二の金属枠体12bは、レンズ部材12cと熱膨張係数の整合された50アロイ(50%Fe−Ni合金)等の金属材料用いて形成されている。また、レンズ部材12cは、ホウ珪酸系ガラスから成り、通常はその形状が球状あるいは半球状となっており、レンズ部材12cの表面全体には高屈折材と低屈折材とから成る多層膜の反射防止膜が蒸着やディピング等の手法を用いて被着されている。
【0006】
さらに、基体11の上面外周部にはFe−Ni−Co合金等の金属材料から成るシールリング16が金属ろう材等で接合されており、基体11が金属から成る場合はこの基体11やシールリング16・蓋体12を構成する第一の金属枠体12a・第二の金属枠体12bおよびリード端子15には、その表面に酸化腐食を防止するとともに各部材接合用のろう材との濡れ性を良好にするNiめっき層、Auめっき層が順次被着されている。そして基体11に光半導体素子14を収納した後に、絶縁基体14のシールリング16と蓋体12の第一の金属枠体12aとを、溶接などの方法により気密に封止することにより光半導体装置となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の光半導体素子収納用パッケージは、蓋体12を構成するレンズ部材12cと第二の金属枠体12bとを封止ガラス13を介して接合するとともに第二の金属枠体12bと第一の金属枠体12aとをろう材を介して接合していたために、光半導体素子14を収納した後に基体11のシールリングと蓋体12の第一の金属枠体12aとを溶接などの方法により気密に封止する際に発生する熱が蓋体12に印可された場合、第一の金属枠体12aと第二の金属枠体12bとの熱膨張係数の相違により、封止後の冷却時に第二の金属枠体12bに、第二の金属枠体12bから第一の金属枠体12aの方に向かって引っ張り応力が加わるとともに、第二の金属枠体12bとレンズ部材12cとを接合している封止ガラス13に引っ張り応力が発生し、封止ガラス13と第二の金属枠体12bとの接合界面、あるいは封止ガラス13とレンズ部材12cとの接合界面から剥離してしまうという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は内部に光半導体素子を気密に封止するとともに、長期間にわたり正常かつ安定的に光学特性を維持することができる光半導体素子収納用パッケージを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上面の略中央部に光半導体素子を収容するための凹部を有する基体およびこの基体の上面に凹部を覆うようにシールリングを介して接合される、第一の金属枠体とこの第一の金属枠体の内周面にろう材を介して接合された第二の金属枠体とこの第二の金属枠体の内周面に封止ガラスを介して接合されたレンズ部材とから成る蓋体を具備して成る光半導体素子収納用パッケージであって、蓋体は、第一の金属枠体と第二の金属枠体との間に、これらの接合面に沿って第一の金属枠体の内周面および/または第二の金属枠体の外周面の一部を切り欠いて形成した、深さが第二の金属枠体の厚みの50〜80%の溝を有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、蓋体を第一の金属枠体と第二の金属枠体との間に、これらの接合面に沿って第一の金属枠体の内周面および/または第二の金属枠体の外周面の一部を切り欠いて形成した、深さが第二の金属枠体の厚みの50〜80%の溝を有するものとしたことから、基体のシールリングと第一の金属枠体とを溶接などの方法により気密に封止する際に発生する熱が蓋体に印可された場合においても、第一の金属枠体と第二の金属枠体との熱膨張係数の相違により封止後の冷却時に第一の金属枠体から第二の金属枠体に働く熱応力を第一の金属枠体と第二の金属枠体との間に形成した溝が良好に緩和することができ、その結果、レンズ部材を接合している封止ガラスに働く引っ張り応力が低減されることにより、封止ガラスと第二の金属枠体との接合界面あるいは封止ガラスとレンズ部材との接合界面で剥離してしまうことのない気密信頼性の極めて高い光半導体素子パッケージとすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の光半導体素子収納用パッケージを添付の図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の光半導体素子収納用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図であり、図2は要部拡大断面図である。これらの図において1は基体、2は蓋体であり、主にこれらで本発明の光半導体素子収納用パッケージが構成される。なお、2a、2bおよび2cは、それぞれ蓋体2を構成する第一の金属枠体、第二の金属枠体およびレンズ部材であり、3は第二の金属枠体およびレンズ部材を接合する封止材、4は光半導体素子、5はリード端子、6はシールリングである。
【0012】
基体1は、上面の略中央分に光半導体素子4を収納する凹部1aを有する、大きさが縦10〜20mm、横5〜15mm、高さ2〜10mmの略長方形であり、光半導体素子4が発生する熱を外部に良好に放散する機能を有し、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体等のセラミックスやFe−Ni−Co合金等の金属材料から成る。
【0013】
また、基体1がFe−Ni−Co合金等の金属材料から成る場合は、その外側面に光半導体素子4と外部電気回路(図示せず)との電気的接続を行なうためのFe−Ni−Co合金等の金属材料から成るリード端子5がホウ珪酸系ガラス等から成るリード端子封止材やAg−Cu合金などの金属ろう材(図示せず)を介して固定されている。
【0014】
なお、基体1は、Fe−Ni−Co合金等の金属材料から成る場合は、その表面に酸化腐食を防止するとともに各部材接合用のろう材との濡れ性を改善するNiめっき層、Auめっき層を被着しておくことが好ましい。
このような基体1は、基体1がセラミックスから成る場合は、粉末プレス成形やグリーンシートの積層一体化によって製作される。また、基体1が金属材料から成る場合は、切削加工やプレス加工、あるいは金属射出成形(MIM)等によって製作される。
【0015】
なお、リード端子5はFe−Ni−Co合金等の金属材料から成り、その表面に酸化腐食を防止するとともに各部材接合用のろう材との濡れ性を改善するNiめっき層、Auめっき層を被着しておくことが好ましい。なお、リード端子5は、エッチング加工やプレス加工によって製作される。
【0016】
また、基体1の上面外周部にはFe−Ni−Co合金等の金属材料から成るシールリング6が金属ろう材等で接合されている。シールリング6は、基体1に蓋体2を気密に接合させる作用をなし、基体1に光半導体素子4を収納した後に蓋体2と溶接などの方法により封止される。このようなシールリング6は、Fe−Ni−Co合金等の金属材料から成り、切削加工やプレス加工などにより製作される。
【0017】
蓋体2は、内部に収容する光半導体素子4を気密に収容するとともに、内部に収容する光半導体素子4とこの光半導体素子4が発光する光を容器の外部へ通過させる、あるいは外部の光を容器内部へ通過させる機能を有し、基体1と接合される第一の金属枠体2aとこの第一の金属枠体2aの内周面にろう材を介して接合された第二の金属枠体2bとこの第二の金属枠体2bの内周面に封止ガラス3を介して接合されたレンズ部材2cとから成る。
【0018】
第一の金属枠体2aは、その熱膨張係数をセラミックスやFe−Ni−Co合金等の金属材料から成る基体1の熱膨張係数と整合させるために、例えばFe−Ni−Co合金等の金属材料から成り、また、第二の金属枠体2bは、レンズ部材2cの熱膨張係数と整合させるために50アロイ(50%Fe−Ni合金)等の金属材料から成り、第一の金属枠体2aと第二の金属枠体2bとはろう材などにより接合されている。
【0019】
このような第一の金属枠体2aは、Fe−Ni−Co合金(熱膨張係数が4.5〜7ppm/℃)等の母材を、従来周知の切削加工やプレス加工、あるいは金属射出成形(MIM)等により凹凸加工・打ち抜きを施すことにより形成される。なお、第二の金属枠体2bを挿入する開口部の形状は円や楕円等の円形や正方形や六角形等の多角形となっている。また、開口部の、基体1と反対側の周縁は、図2、図3に断面図で示すように、光ファイバー取付のため、円筒状のパイプ形状となっていることが好ましい。さらに、シールリング6と接する部分の表面粗さRaは溶接のため1.6μm以上が好ましい。
【0020】
また、第二の金属枠体2bは、50アロイ(熱膨張係数が8〜9×10-6/℃)等の母材を従来周知の切削加工やプレス加工、あるいは金属射出成形(MIM)等により凹凸加工・打ち抜き加工を施すことにより形成され、レンズ部材2cを挿入固定する貫通孔も同時に加工することにより形成される。貫通孔の形状は円形であり、その直径がレンズ部材2cの直径の1.01〜1.04倍であることが好ましい。貫通孔の直径がレンズ部材2cの直径の1.01未満であると、レンズ゛部材2cを第二の金属枠体2bに封止ガラス3を介して接合する際に、封止ガラス3がレンズ゛部材2cと第二の金属枠体2bとの隙間に十分に充填されず、十分な気密封止ができなくなるとともに第二の金属枠体2bへのレンズ部材2cの接着強度が十分に確保できなくなる危険性がある。また、1.04を越えるとレンズ゛部材2cを第二の金属枠体2bに取着する際において、第二の金属枠体2bの貫通孔の中央部からレンズ゛部材2cの取着位置がずれてしまい、光学特性を損なう危険性がある。
【0021】
さらに、レンズ部材2cは、その直径が1.5mm程度の略球状であり、光半導体素子収納用パッケージにおいて、光ファイバーを通過した外部光を集光して光半導体素子に導く、あるいは光半導体素子の発する光を光ファイバーに導く機能を有する。このようなレンズ部材2cは、TAF−3(商品名:HOYA社製)(熱膨張係数が6〜8×10-6/℃)やBK−7(商品名:SHOTT社製)(熱膨張係数が7〜9×10-6/℃)と呼ばれるホウ珪酸系の高屈折ガラスから成り、この外周面には環状の封止ガラス3が取着されている。なお、レンズ部材2cは、その表面全体に高屈折材と低屈折材とから成る多層膜の反射防止膜が蒸着やディッピング等の手法で被着されている。
【0022】
反射防止膜は、TiO2やAl2O3等の高屈折材から成る薄膜とMgF2やSiO2等の低屈折材から成る薄膜とを交互に積層して成る多層膜であるが、MgF2あるいはSiO2の単層膜や、SiO2の単層膜を表面層としてSiO2膜とTiO2膜とを交互に重ねて成る多層膜や、SiO2を表面層としTiO2膜とAl2O3膜とを重ねて成る3層多層膜でもよく、膜厚と屈折率とを最適にすることでレンズ部材2cの表面への外光の映り込みを防止する機能を有する。
【0023】
また、反射防止膜は波長1260〜1620nmにおいて、光の透過率が98%以上、波長1550nmにおいては、光の透過率が99.5%以上とすることが好ましい。波長1260〜1620nmにおいて光の透過率が98%未満、波長1550nmにおいて光の透過率が99.5%未満であると、レンズ部材2cの表面が光って見えたり外部の映り込みのためにレンズ部材を通過する光軸がぼやけてしまう傾向がある。
【0024】
封止ガラス3は、錫燐酸系の低融点ガラス(熱膨張係数が7〜10×10-6/℃)から成り、その形状が内径φ1.5mm程度、外径φ2.7mm程度、厚み0.15〜0.35mmの環状である。封止ガラス3厚みは、気密封止の信頼性の観点からは0.15〜0.35mmが好ましく、その厚みが0.15mm未満では、封止ガラス3体積が不充分となり溶融時にレンズ部材2cの周りに封止ガラス3のメニスカスが充分に形成されず、レンズ部材2cの接合強度が不充分となる傾向がある。他方、0.35mmを超えると、封止ガラス3の体積が過多となり、レンズ部材2cの表面に封止ガラス3が広がり過ぎてレンズ部材2cの光透過量を減少させ、レンズ部材2cの光学特性を低下させてしまう傾向がある。従って、封止ガラス3の厚みは0.15〜0.35mmが好ましい。
【0025】
なお、封止ガラス6は五酸化燐30〜40重量%、一酸化錫47〜60重量%、酸化亜鉛1〜6重量%、酸化アルミニウム1〜4重量%および酸化珪素1〜3重量%を含むガラス成分にフィラーとしてコージェライト系化合物を外添加で16〜45重量%添加したものから成り、ホウ珪酸ガラスから成るレンズ部材2cと強固な接合が可能となり、光半導体素子4が動作する際に発生する熱が長期間にわたり封止ガラス3とレンズ部材2cとの接合部に印加されたとしても、レンズ部材2cと封止ガラス3との接合強度が低下したり、封止ガラス3がレンズ部材2cから剥離してしまうことはなく、レンズ部材2cを長期間にわたり正常かつ安定に固定保持することが出来る。
【0026】
封止ガラス3は、例えば、平均粒径が5〜15μm程度のガラス成分に平均粒径が1〜10μm程度のコージェライト系化合物から成るフィラーを外添加で16〜45重量%添加したものとバインダー等とを混合した混合物を、封止ガラス3の形状となる金型を用いて約10MPaの圧力でプレス成形することにより形成される。
【0027】
このような、第一の金属枠体2a、第二の金属枠体2b、レンズ部材2cとから成る蓋体2は、環状の封止ガラス3を取り付けたレンズ部材2cを第二の金属枠体2の貫通孔に挿入して封止ガラス3を温度が450℃程度の炉で加熱溶融してレンズ部材2cを第二の金属枠体2bに接合した後、第一の金属枠体2aの開口の内周面と第二の金属枠体2bの外周面とを金属ろう材で接合することにより製作される。なお、第一の金属枠体2aと第二の金属枠体2bとを接合する金属ろう材は、Ag/Cu合金を基本組成とするものであり、600〜900℃程度の炉で加熱溶融することにより両者を接合する。
【0028】
そして、本発明の光半導体素子収納用パッケージにおいては、蓋体2は、第一の金属枠体2aと第二の金属枠体2bとの間に、これらの接合面に沿って第一の金属枠体2aの内周面および/または第二の金属枠体2bの外周面の一部を切り欠いて形成した、深さが第二の金属枠体2bの厚みの50〜80%の溝Mを有している。また、本発明においては、このことが重要である。
【0029】
本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、蓋体2を第一の金属枠体2aと第二の金属枠体2bとの間に、これらの接合面に沿って第一の金属枠体2aの内周面および/または第二の金属枠体2bの外周面の一部を切り欠いて形成した、深さが第二の金属枠体2bの厚みの50〜80%の溝Mを有するものとしたことから、後述する基体1のシールリング6と第一の金属枠体2aとを溶接などの方法により気密に封止する際に発生する熱が蓋体2に印可された場合においても、第一の金属枠体2aと第二の金属枠体2bとの熱膨張係数の相違により封止後の冷却時に第一の金属枠体2aから第二の金属枠体2bに働く熱応力を第一の金属枠体2aと第二の金属枠体2bとの間に形成した溝Mが良好に緩和することができ、その結果、レンズ部材2cを接合している封止ガラス3に働く引っ張り応力が低減されることにより、封止ガラス3と第二の金属枠体2bとの接合界面あるいは封止ガラス3とレンズ部材2cとの接合界面で剥離してしまうことのない気密信頼性の極めて高い光半導体素子パッケージとすることができる。
【0030】
なお、ここで言う溝Mとは、第一の金属枠体2aと第二の金属枠体2bとの接合面に沿って形成された、蓋体2を平面視したときに円形や多角形の環状のものをいう。また、溝Mの断面形状は通常は長方形となっており、幅は0.1〜0.3mm、深さが第二の金属枠体2bの厚みの50〜80%となっている。
【0031】
溝の幅が0.1mm未満であると、第一の金属枠体2aと第二の金属枠体2bとをAg−Cu合金などのろう材を介して接合させた際に、溝Mがろう材で充填されてしまい空間を確保できなり、光半導体素子4を収納した後に基体1のシールリング6と蓋体2の第一の金属枠体2aとを溶接などの方法により気密に封止する際に発生する熱が蓋体2に印可された場合において、蓋体2の第一の金属枠体2aと第二の金属枠体2bとの熱膨張係数の違いにより封止後の冷却時に第一の金属枠体2aから第二の金属枠体2bに働く熱応力を第二の金属枠体2bの外周部の溝Mで緩和することができず、レンズ部材2cを接合している封止ガラス3に引っ張り応力が働き、封止ガラス3と第二の金属枠体2bとの接合界面あるいは封止ガラス3とレンズ部材2cとの接合界面から剥離してしまい易くなる傾向がある。また、0.3mmを超えると、Niめっき層、Auめっき層を被着する工程において処理液などのしみ出しが発生し、めっきの変色やムラ、または、めっき膨れを発生する原因となり好ましくない。なお、溝Mの断面形状を長方形としたが、その形状を丸状、V字型状等の他の形状でもよく、この場合の溝Mの幅は、一番広い部分をさす。
【0032】
溝Mの深さは第二の金属枠体2bの厚みの50〜80%とすることが好ましい。溝Mの深さが第二の金属枠体2bの厚みの50%未満であると、第二の金属枠体2bのと第一の金属枠体2aのをAg−Cu合金等のろう材を介して接合させた際に、溝Mがろう材で充填されて空間を確保することが困難となり、封止ガラス3と第二の金属枠体2bのとの接合界面あるいは封止ガラス3とレンズ部材2bとの接合界面から剥離してしまう危険性がある。また、80%を超えると、Niめっき層、Auめっき層を被着する工程において処理液などのしみ出しが発生し、めっきの変色やムラ、また、めっき膨れ発生する原因となり好ましくない。
【0033】
かくして本発明の光半導体素子収納用パッケージは、基体1の凹部1aに半導体素子4を収納した後に、基体1のシールリング6と蓋体2の第一の金属枠体2aとが、溶接などの方法により気密に封止することにより光半導体装置となる。
【0034】
【実施例】
次に述べる試作品を作製し、評価を行なった。
基体は縦12mm、横7mm、高さ2mmの略長方形のアルミナ製セラミックスで、上面部にFe−Ni−Co合金から成るシールリングと、外側面に同じくFe−Ni−Co合金から成るリード端子を形成した。基体と成るセラミックスはグリーンシートの積層一体化により製作し、シールリングとリード端子はプレス加工により製作し、それぞれをろう付けにより基体に接合した。
【0035】
蓋体の第一の金属枠体はFe−Ni−Co合金を、第二の金属枠体は50アロイをそれぞれ切削加工により製作した。第一の金属枠体と第二の金属枠体はAg/Cuろう材を温度が850℃の炉で加熱溶融して接合した。また、第一の金属枠体と第二の金属枠体との間には、幅0.2mm、深さが第二金属枠体の厚みの40%、50%、65%、80%、90%とした溝を形成し、順にサンプル▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼とした。さらに反射防止膜が蒸着したレンズ部材としては、直径が1.5mmの略球状のTAF−3を使用し、内径φ1.45mm、外径φ2.5mm、厚み0.2mmの錫燐酸系の低融点ガラスから成る封止ガラスを450℃の炉で加熱溶融しレンズ部材を第二金属枠体に接合した。
【0036】
比較例とし第一の金属枠体と第二の金属枠体との間に溝を有しないものをサンプル▲6▼とした。なお、その他の材料、製法、寸法などにおいては上記サンプル▲1▼〜▲5▼と同様とした。
【0037】
前述の基体と蓋体を縦11.8mm、横6.8mm、高さ0.5mm、幅0.6mmのシールリングを介してシーム溶接し、それぞれサンプル▲1▼から▲6▼を製作した。各サンプルにおいて熱衝撃試験(MIL−STD883 COND.A)を行った後、ヘリウムガスのリーク発生についての確認を行った。判定は1×10-9Pa・m3/sec以下を○とし、1×10-9Pa・m3/secを超えるものを×とした。併せてめっき後の外観の確認を行った。Niめっき層、Auめっき層を被着する工程においてめっき変色やムラ、めっき膨れの発生が無いものは○とし、有るものは×とした。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
上記の評価結果より、比較例サンプル▲6▼ではヘリウムガスのリーク発生が見られ、サンプル▲1▼でもヘリウムガスのリーク発生が見られた。また、サンプル▲5▼においてはめっき後の外観においてめっき変色の発生が見られた。それに対して、本発明のサンプル▲2▼、▲3▼、▲4▼においてはヘリウムガスのリーク発生は見られず、併せてめっき後の外観においてもめっき変色やムラ、めっき膨れの発生は見られなかった。
【0040】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、上述の実施例では蓋体2の第一の金属枠体2aをFe―Ni―Co合金、第二の金属枠体2bを50アロイ(50%Fe−Ni合金)としたが、これ以外の例えば42アロイを用いることも可能である。また、製造方法においては各工程の順序が入れ替わっても適用できる。
【0041】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、蓋体を第一の金属枠体と第二の金属枠体との間に、これらの接合面に沿って第一の金属枠体の内周面および/または第二の金属枠体の外周面の一部を切り欠いて形成した、深さが第二の金属枠体の厚みの50〜80%の溝を有するものとしたことから、基体のシールリングと第一の金属枠体とを溶接などの方法により気密に封止する際に発生する熱が蓋体に印可された場合においても、第一の金属枠体と第二の金属枠体との熱膨張係数の相違により封止後の冷却時に第一の金属枠体から第二の金属枠体に働く熱応力を第一の金属枠体と第二の金属枠体との間に形成した溝が良好に緩和することができ、その結果、レンズ部材を接合している封止ガラスに働く引っ張り応力が低減されることにより、封止ガラスと第二の金属枠体との接合界面あるいは封止ガラスとレンズ部材との接合界面で剥離してしまうことのない気密信頼性の極めて高い光半導体素子パッケージとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体素子収納用パッケージの実施の形態の一例をしめす断面図である。
【図2】本発明の光半導体素子収納用パッケージの要部断面図である。
【図3】従来の光半導体素子収納用パッケージの断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・基体
1a・・・・・・・・・凹部
2・・・・・・・・・・蓋体
2a・・・・・・・・・第一の金属枠体
2b・・・・・・・・・第二の金属枠体
2c・・・・・・・・・レンズ部材
3・・・・・・・・・・封止ガラス
4・・・・・・・・・・光半導体素子
6・・・・・・・・・・シールリング
M・・・・・・・・・・溝
Claims (1)
- 上面の略中央部に光半導体素子を収容するための凹部を有する基体および該基体の上面に前記凹部を覆うようにシールリングを介して接合される、第一の金属枠体と該第一の金属枠体の内周面にろう材を介して接合された第二の金属枠体と該第二の金属枠体の内周面に封止ガラスを介して接合されたレンズ部材とから成る蓋体を具備して成る光半導体素子収納用パッケージであって、前記蓋体は、前記第一の金属枠体と前記第二の金属枠体との間に、これらの接合面に沿って前記第一の金属枠体の内周面および/または前記第二の金属枠体の外周面の一部を切り欠いて形成した、深さが前記第二の金属枠体の厚みの50〜80%の溝を有することを特徴とする光半導体素子収納用パッケージ。
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