JP4001252B2 - 靴底 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミッドソールの裏面にシャンクを有する靴底に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、マラソン用やランニング用シューズの靴底には、軽量化を図るためにスポンジ製のミッドソールを使用している。かかる靴底では、反発性や安定性を向上させるために、図1(a)および(b)に示すように、靴底の土踏まず部に補強部材であるシャンク(ふまず芯)2を装着したものがある。
【0003】
つぎに、従来の靴底の製造方法について説明する。
まず、予め所定の形状に成型したミッドソール用スポンジと樹脂製のシャンク材とを接着剤を用いて貼り合わせる。この貼り合わせ後、一体のミッドソール用スポンジおよびシャンク材を金型にセットして加熱・圧縮して成型する。
他の方法は、予め所定の形状に成型したミッドソール用スポンジと樹脂製のシャンク材とを金型にセットする。このセット時にミッドソール用スポンジとシャンク材の接着部の少なくとも一方に接着剤を塗布する。その後、金型を加熱・圧縮して成型する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の靴底を得るには、接着剤を塗布する工程が必要となるから、製造コストを低減させることが難しい。
したがって、本発明の目的は、発泡樹脂からなるミッドソールの裏面にシャンクを備えた靴底において製造コストを低減させることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の靴底は、発泡樹脂からなるミッドソールとシャンクのポリマーの主成分が同一または親和性の良い同種の熱可塑性樹脂で構成されていると共に、前記発泡樹脂からなるミッドソールの裏面の発泡により生じた凹部にシャンクを構成する熱可塑性樹脂が入り込んでいる。
【0006】
本発明によれば、ミッドソールおよびシャンクに架橋剤を添加することで、ミッドソールおよびシャンクがそれぞれ架橋されると共に、両者のポリマーの主成分が同一または親和性の良い同種の熱可塑性樹脂で構成されているから、ミッドソールとシャンクとの接合面も互いに架橋されるので、固着力が大きくなる。特に、図1(c)に示すように、ミッドソール1の裏面の発泡により生じた凹部にシャンク2の熱可塑性樹脂が入り込んでいるので、ミッドソール1とシャンク2との固着力が一層大きくなる。
したがって、本発明では、接着剤を用いる必要がないので、接着剤を塗布する工程が省略できるため、製造コストを低減することができる。
【0007】
ミッドソールとシャンクを構成するポリマーの主成分としては、エチレン- 酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」と略称する)を用いることができる。また、ミッドソールとシャンクを構成するポリマーの主成分としては、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン(以下、「RB」と略称する)を用いることができる。さらに、親和性の良い同種の熱可塑性樹脂としては、ミッドソールを構成するポリマーの主成分にEVAを用い、シャンクの主成分にポリエチレンを用いることができる。
本発明において、「ポリマーの主成分」とは、ポリマーのうちの最も重量%の大きい成分をいう。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1にしたがって説明する。
図1(a)および(b)において、ミッドソール1の裏面の土踏まず部には、シャンク2が固着されている。ミッドソール1はEVAを主成分とする独立発泡の熱可塑性樹脂で構成され、シャンク2はEVAを主成分とする熱可塑性樹脂で構成されている。図1(c)に示すように、ミッドソール1の発泡により生じた凹部10には、シャンク2を構成する樹脂などの成分が入り込んでいる。前記ミッドソール1およびシャンク2には架橋剤が添加されており、ミッドソール1とシャンク2とがそれぞれ架橋されていると共に、ミッドソール1とシャンク2との接合面も互いに架橋されて(共架橋して)いる。
【0009】
つぎに、本発明の製造方法を図2に示す。
まず、下金型30、中金型31および上金型32を用意する。つぎに、予め架橋剤が添加され所定の形状に型取りされたミッドソール用スポンジ1Aおよびシャンク材2Aを用意する。
【0010】
つぎに、図2(a)に示すように、下金型30にシャンク材2Aをセットする。このセット後、図2(b)に示すように、下金型30に中金型31を重ねて、中金型31にミッドソール用スポンジ1Aをセットする。この後、図2(c)に示すように、中金型31に上金型32を重ねる。その後、金型30,31,32を160°Cの温度に加熱されたプレス機に装填して、140kg/cm2 の圧力を5分間かけて成型すると共に、該成型時にミッドソール用スポンジ1Aとシャンク材2Aとを互いに固着させる。最後に、50°Cまで冷却して取り出す。
【0011】
このようにして得られた靴底成型品において、ミッドソール1とシャンク2との剥離試験の結果、剥離強さが従来よりも大きくなった。また、シャンクの曲げ剛性を測定するために、シャンクを所定の角度に曲げて最大曲げ応力を測定したところ、従来のポリウレタン製シャンクよりも本実施形態のシャンク2の方が大きな値を示した。さらに、従来のポリウレタン製シャンクの硬さが90(JIS−A)であるのに対して、本実施形態のシャンク2は95(JIS−A)であった。これらの効果が得られた理由は、熱可塑性樹脂に架橋剤を添加しているからである。
【0012】
なお、図3に示すように、ポリマーの主成分がミッドソール1およびシャンク2と同一または同種の熱可塑性樹脂20を、ミッドソール1とシャンク2との間に介挿させてもよい。
【0013】
また、図2(b)のミッドソール用スポンジ1Aの厚さは、成型前の硬度および比重と、成型後の硬度および比重によって決定されるが、加熱・圧縮成型での接着性を考慮すると、成型後の厚さの1.1倍以上が好ましく、1.5〜3倍がより好ましい。更に、ミッドソール用スポンジ1Aは、硬度(JIS−A)が30〜50、比重が0.1〜0.3の範囲に設定しておくのが好ましい。
【0014】
また、シャンク材2Aは、加熱・圧縮成型での接着性と、シャンクとしての剛性や意匠の凹凸の実現性を考慮すると、メルトフローレイト(JIS K−6730)が0.5〜30dg/min、曲げ剛性(JIS K−7106)が15〜70Mpaの範囲であり、厚さが0.2〜3.0mmのものが好ましい。更に、シャンク材2Aは、メルトフローレイトが3〜15dg/min、曲げ剛性が25〜60MPa、厚さが05.〜2.0mmの均一な厚さに型取りされているものがより好ましい。
【0015】
また、架橋剤としては、ジクミルパーオキサイドや1,1-ジ-(t-ブチルパーオキシ) -3,3,5- トリメチルシクロヘキサンなどの有機過酸化物を用いることができる。また、ミッドソール用スポンジの発泡剤としては、アゾジカルボンアミドやジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの有機発泡剤を用いることができる。また、配合剤として、充填剤、軟化剤、可塑剤、活性剤、着色剤およびその他の添加剤を適宜混入することができる。さらに、主成分のポリマーの他に、天然ゴム、合成ゴムおよび熱可塑性エラストマー等を適宜混入することができる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、接着剤を用いないので、接着剤を塗布する工程が省略できるため、製造コストを低減することができる。
一方、ミッドソールおよびシャンクに架橋剤を添加することで、熱可塑性樹脂を主成分とするミッドソールおよびシャンクがそれぞれ架橋されると共に、両者のポリマーの主成分が同一または親和性の良い同種の熱可塑性樹脂で構成されているから、ミッドソールとシャンクとの接合面も互いに架橋されるので、固着力が大きくなる。特に、ミッドソールの裏面の発泡により生じた凹部に、シャンクを構成する樹脂が入り込んでいるので、ミッドソールとシャンクとの固着力が接着剤で接着するよりも大きくなる。
また、熱可塑性樹脂に架橋剤が添加されていることにより、シャンク自体の曲げ剛性や硬度などの機械的性質も向上するから、靴底の反発性および安定性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明にかかる靴底の側面図であり、(b)は底面図である。(c)はミッドソールとシャンクとの接着部分の拡大断面図である。
【図2】本発明にかかる靴底の製造方法を示す断面図である。
【図3】他の実施例を示すミッドソールとシャンクとの接着部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
1:ミッドソール
10:凹部
2:シャンク
Claims (5)
- 発泡樹脂からなるミッドソールの裏面に樹脂製のシャンクが固着された靴底であって、
前記ミッドソールとシャンクのポリマーの主成分が同一または親和性の良い同種の熱可塑性樹脂で構成されていると共に、
前記発泡樹脂からなるミッドソールの裏面の発泡により生じた凹部に、シャンクを構成する熱可塑性樹脂が入り込んでいる靴底。 - 請求項1において、
前記ミッドソールおよびシャンクを構成するポリマーの主成分がエチレン- 酢酸ビニル共重合体である靴底。 - 請求項1において、
前記ミッドソールおよびシャンクを構成するポリマーの主成分がシンジオタクチック1,2-ポリブタジエンである靴底。 - 請求項1において、
前記ミッドソールを構成するポリマーの主成分がエチレン- 酢酸ビニル共重合体で、前記シャンクを構成するポリマーの主成分がポリエチレンである靴底。 - 請求項1ないし4において、
前記ミッドソールおよびシャンクには架橋剤が添加されている靴底。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP22771496A JP4001252B2 (ja) | 1996-08-08 | 1996-08-08 | 靴底 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP22771496A JP4001252B2 (ja) | 1996-08-08 | 1996-08-08 | 靴底 |
Publications (2)
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JPH1042906A JPH1042906A (ja) | 1998-02-17 |
JP4001252B2 true JP4001252B2 (ja) | 2007-10-31 |
Family
ID=16865208
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP22771496A Expired - Lifetime JP4001252B2 (ja) | 1996-08-08 | 1996-08-08 | 靴底 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP4001252B2 (ja) |
-
1996
- 1996-08-08 JP JP22771496A patent/JP4001252B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1042906A (ja) | 1998-02-17 |
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