JPS6122484Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は新規な靴の底敷材に関するものであ
る。

一般に、靴の底敷材は、走歩時の安全性及び疲
労軽減などの観点から、足裏に直接触れる表層部
が柔軟で踏圧に適したクツシヨン性を備えている
こと、土踏まずを含む中央部より踵部に至る後半
部分が比較的硬質で保形性がよく支持安定性に優
れていること、前半部分が屈曲性に優れているこ
と、軽量であること、等の諸条件を全て満足して
いるものが望ましく、その上生産性が良ければま
さに理想的である。

しかしながら、従来の底敷材は、いずれも単一
素材にて成型したものであるため、以下のような
不満足な点がある。

例えば、よく知られている底敷材に、EVA、
PEなどの合成樹脂発泡シートやゴムスポンジ板
を熱プレス成型したものがあるが、このものは、
厚みの小さい前半部分が高圧縮率のために硬くな
り、厚みの大きい後半部分が低圧縮率のために柔
かくなると云つたように、硬い部分と柔かい部分
の分布が上記の理想的な底敷材とは前後逆関係と
なるものであり、それ故、走歩時の安定性及び疲
労軽減などの機能面で極めて不満足なものであ
る。それのみならず、かかる底敷材は、熱プレス
成型によつて製造するため、高温、高圧を必要と
し、加圧時間も長くなるなどの不利があり、亦蓄
熱により成型後に型くずれを生じ易いため不良品
の発生率が高くなると云つた生産面での問題もあ
る。上記の機能面での欠点を解消するには、良好
な柔軟性、屈曲性が要求される底敷材前半部とな
るところをスキ加工して厚みを小さくした材料シ
ートを使用すればよいが、このようなものは手間
のかかる面倒なスキ加工工程を追加しなければな
らないため生産性が更に悪化し、採算をとるのが
難しくなると云う不都合がある。

亦、よく知られているもう一つの底敷材に、合
成ゴムラテツクスや液状ポリウレタン等を注入発
泡成型したものがあるが、このものは、どの部分
もほぼ均一な硬さであるため、やはり機能面で充
分とは云えず、しかも限られた金型枠内での高発
泡操作が困難なため軽量化も困難であり、更に注
入発泡成型の際、加熱硬化及び冷却にかなりの時
間を要する等、機能面、生産面でやはり問題があ
る。

本考案は、以上の諸問題を全て解決すべくなさ
れたものであつて、機能面及び生産面の双方共に
優れた理想的な靴の底敷材を提供せんとするもの
である。

以下、望ましい実施例を図に採り、之を参照し
ながら本考案底敷材を詳述するに、第１図は本考
案一実施例の斜視図、第２図は同実施例の底面
図、第３図は第１図の−線拡大断面図、第４
図イ，ロ，ハは同実施例の一製造例の模式説明図
である。

即ち、本考案の靴の底敷材は、第１〜２図に示
す如く、合成樹脂又はゴムの発泡体よりなる柔軟
な底敷材本体１の裏面中央部から踵部にかけて、
合成樹脂又はゴムの発泡体よりなり且つ本体１よ
りは硬質で保形性のある裏打材２を一体に設けた
ことを特徴とするものであつて、この実施例では
更に底敷材本体１の表面に無地又は適宜模様、着
色を施こした布材３をラミネートすることによ
り、吸汗性、表面耐摩耗性、意匠性等を向上させ
るよう図つてあるが、斯る布材３は必須のもので
はない。

底敷材本体１としては、厚さ数mm程度のPE発
泡体（倍率：約12〜20倍）、EVA発泡体（倍率：
約12〜20倍）の如き薄手の柔軟性に富む高発泡倍
率の合成樹脂発泡体、或は厚さ数mm程度の柔軟な
中発泡倍率のゴム発泡体などが適しているが、最
も好適なものとしては、厚さ約0.2〜５mmで発泡
倍率が約５〜15倍の架橋シンジオタクチツク１，
２−ポリブタジエン樹脂発泡体（密度：約0.2〜
0.067ｇ／c.c.）が用いられる。その理由は、斯る
発泡倍率の１，２−ポリブタジエン樹脂発泡体
は、25％歪の圧縮応力が約３〜0.5Kg／cm²、50％
伸びの引張応力が約12〜３Kg／cm²であつて、これ
らの数値から判るように極めて柔軟性に富み、踏
圧に適したクツシヨン性を具備するものであり、
しかも屈曲性、可撓性に優れているからである。

このような底敷材本体１は、靴の種類や材料の
樹脂発泡体の種類を勘案して、その厚みや発泡倍
率を上記範囲内で適宜決定すればよいが、例えば
上記１，２−ポリブタジエン樹脂発泡体を用いて
カジユアル用途の靴の底敷材本体を得る場合に
は、その厚みを約５mm、発泡倍率を約15倍（密
度：約0.067ｇ／c.c.）となしてクツシヨン性を増
大しソフトな履き心地を与えるようにするのが望
ましく、亦、運動用途の靴の底敷材本体の場合に
は、その厚みを約２mm、発泡倍率を約８倍（密
度：0.125ｇ／c.c.）となし軽量でしかも比較的ハ
ードな履き心地を与えるようにするのが望まし
い。

叙上の如き底敷材本体１の裏面中央部から踵部
にかけての後半部分に一体的に設けられる裏打材
２は、該本体１よりも硬質で保形性のある例えば
ポリオール・イソシアネート二成分系ポリウレタ
ン低発泡体（倍率：約５倍）、EVA低発泡体（倍
率：約５倍）、硬質ゴム発泡体（倍率：約２〜３
倍）などの如き合成樹脂又はゴムの発泡体より成
るもので、この実施例では、裏打材２の上面を、
第３図に示すように、人体の足裏後半部分の形状
にほぼ合致するよう凹ませてあり、これによつ
て、布材３をラミネートした底敷材本体１の後半
部分をほぼ足裏後半部の形状通りに凹曲賦型し、
足裏後半部分をより一層安定性をよく支持できる
ようにしてある。

このような本考案の底敷材は、第４図に示すよ
うな上下二分割式金型を用いて簡単に製造するこ
とが出来る。今、布材をラミネートした架橋シン
ジオタクチツク１，２−ポリブタジエン樹脂発泡
体の底敷材本体の裏面後半部分に、ポリオール・
イソシアネート二成分系ポリウレタン発泡体の裏
打材を一体的に設けた底敷材を製造する場合を例
に採つて、第４図を参照しながら説明すると、先
ず第４図イの如く60〜70度に保温した二分割式金
型（例えばアルミ金型）の下金型１１の踵部に対
応する凹部に上記二成分系ウレタン液１２を所定
量（通常10〜20ｇ）注入し、予め布材を表面にラ
ミネートした上記１，２−ポリブタジエン樹脂発
泡体１３を布材を上面にして挿入した後、第４図
ロの如く上金型１０を押圧する。上金型１０の圧
力は、発泡体１３が金型内面に沿つて変形し且つ
ウレタン液１２と密接する約0.1Kg／cm²程度の圧
力とし、亦押圧時間はウレタン液の発泡硬化に必
要な約10分間程度とする。然るのち、第４図ハの
如く上金型１０を上げて成型品を下金型１１より
取出し、不要な周辺部を切除して本考案底敷材Ａ
を得る。

本考案底敷材は上記の方法で製造するのが望ま
しいが、例えば底敷材本体と裏打材とを個別に作
成しておき、適宜接着剤で両者を接着するように
してもよい。

以上の如き本考案底敷材によれば、人体の足裏
全面に接する底敷材本体１が柔軟な合成樹脂又は
ゴムの発泡体からなり、クツシヨン性の良好なも
のであるから、このような底敷材を用いた靴はソ
フトな踏圧感を与え、はき心地がすこぶる良好で
ある。しかも、その底敷材本体１の裏面中央部か
ら踵部にかけての後半部分には、該本体１よりも
硬質で保形性のある合成樹脂又はゴムの発泡体の
裏打材２を一体に設けてあるから、足裏後半部が
深く沈むこともなく、安定よく支持できる。そし
て走歩時にたえず屈曲が繰返される本体１の前半
部分には、硬質の裏打材２を設けておらないた
め、屈曲性がすこぶる良好であり、極めて活動し
やすいものである。その上、本体１及び裏打材２
はいずれも発泡体であるから、本考案底敷材は軽
量であり、上記の如く踏圧感、支持安定性、屈曲
性に優れていることと相俟つて走歩時の疲労を大
巾に軽減し得るものである。このように本考案底
敷材は、底敷材に要求される条件をすべて具備
し、機能面で申し分のないものであるが、それの
みならず製造面に於ても、既述の如き上下二分割
式金型を用いて単一の成型工程で容易に製造し得
るものであり、しかも従来品のように底敷材全体
を熱プレス或は注入発泡成型するものではなく、
裏打材２のみを成型して本体１と一体化するもの
であるから、必要な熱量及び圧力が従来品に較べ
て遥かに少なく経済的であり、且つ蓄熱による成
型後の型くずれに起因した不良品の発生も皆無に
等しくなるので、極めて有利である。

叙上の如く、本考案底敷材は、機能面、製造面
のいずれにも満足しうるものであり、すこぶる有
用なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例の斜視図、第２図は同
実施例の底面図、第３図は第１図の−線拡大
断面図、第４図イ，ロ，ハは同実施例の一製造例
の模式説明図である。 主要符号の説明、１……底敷材本体、２……裏
打材、３……布材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂又はゴム発泡体よりなる柔軟な底敷材
   本体１の裏面中央部から踵部にかけて、合成樹脂
   又はゴムの発泡体よりなり且つ上記本体１よりも
   硬質で保形性のある裏打材２を一体に設けて成る
   靴の底敷材。