JP4001209B2 - 薄型化されたガラス基板の後処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、化学研磨処理などによって薄型化されたガラス基板を、次の工程に円滑に移行させる後処理装置に関し、特にフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の後処理装置に関する。
フラットパネルディスプレイ(以下FPDと称す)は、CRTディスプレイのブラウン管のように膨らみを持った表示装置と対比される用語であり、奥行きが少なく省スペースで、且つ、表示パネルに膨らみがない点に大きな特徴があり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどが実用化されている。FPDのうち、特に、液晶ディスプレイは、テレビ受像機だけでなく、携帯電話機やコンピュータ機器などの表示装置としても広く普及している。
ところで、液晶ディスプレイの軽量化と薄型化の要請に基づき、最近では、液晶ディスプレイを構成する貼合せガラス基板を極限まで化学研磨する方法が好適に採用されている。具体的には、複数の表示パネル領域PN・・・PNを設けた第一と第二のガラス基板60,60を貼合せ、貼り合わせガラス基板GLの外周62を厳重に封止した状態で、フッ酸を含んだ水溶液に浸漬させて化学研磨して薄型化している(図5参照)。この化学研磨方法によれば、複数枚の表示パネルPN・・・PNをまとめて製造できるだけでなく、機械研磨に比べて処理速度が速いので、生産性に優れるという利点がある。また、貼合せガラス基板GLを限界まで薄型化できるので表示パネルPNの薄型化と軽量化の更なる要請にも応えることができる。
しかし、貼合せガラス基板GLを薄型化すればするほど、化学研磨後の処理が極めて煩雑であるという問題がある。すなわち、化学研磨された貼合せガラス基板GLを、その後の研磨液洗浄処理や板厚測定処理に移行させる場合に、万一、この過程で貼合せガラス基板を傷付けたのでは、それまでの作業が全部無駄になり生産効率や生産コストを著しく悪化させる。なお、貼合せガラス基板の価格は、例えば、数万円/枚のように高価であり、化学研磨処理後の後工程で破損させるか否かは極めて重大な意味をもつ。以上の点は、液晶ディスプレイ用のガラス基板に固有の問題ではなく、他のFPD用のガラス基板にも同様に問題となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされものであり、益々薄型化されるFPD用のガラス基板を適切に扱うことのできる後処理装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、薄型化処理されたガラス基板を受入れて、その後の処理を実行する後処理装置であって、同一平面上に設けられた複数の回転ローラによって前記ガラス基板を搬送する搬送路と、受入れたガラス基板を前記搬送路の回転ローラに引き渡す導入部とを備えて構成され、前記導入部は、ガラス基板を保持する載置部と、前記載置部を起立及び降下させる駆動部とを有し、前記駆動部の往復運動に対応して、前記載置部が降下状態と起立状態とに切り換るようになっており、前記載置部は、前記回転ローラと同一の配列ピッチで本体部から突出された櫛歯部を有して全体として櫛状に形成された左右一対の回動アームと、自らの左右両端が前記櫛歯部に保持される複数の支持板とを有して構成され、前記複数の支持板の上にガラス基板を載置した状態で、前記回動アームを降下させると、隣接する前記回転ローラの間に前記櫛歯部が前記支持板と共に進入することで、前記回転ローラの上にガラス基板が引き渡されるようになっている。
本発明のガラス基板は、好ましくは、一対のガラス基板を貼合わせた貼合せガラス基板である。更に好ましくは、液晶ディスプレイ用の貼合せガラス基板である。
前記薄型化処理は、好ましくは、フッ酸を含有する化学研磨液を用いて実行される。また、前記搬送路を移動する前記ガラス基板に対して、洗浄処理と液切り処理とを施すのが好ましい。更にまた、前記搬送路を移動する前記ガラス基板に対して、板厚計測処理を施すのが好ましい。
前記駆動部は、好ましくは、出力軸の両端を回転可能に軸支する保持部と、前記出力軸に固着される連結腕と、前記連結腕を揺動させる駆動源とを備えて構成され前記回動アームに一体化された固定部のキー溝と前記出力軸のキーとが嵌合されて連結されている。
上記した本発明は、ガラス基板を保持する載置部と、前記載置部を起立及び降下させる駆動部とを有する導入部を特徴的に具備するので、ガラス基板を如何に薄型化しても、これを適切に扱うことができる。
以下、本発明を実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、化学研磨処理によって薄型化したガラス基板について、洗浄処理、乾燥処理、及び板厚測定処理を連続的に実行する後処理装置EQUを図示したものである。図1には、後処理装置EQUの平面図(a)と、正面図(b)と、左側面図(c)とが概略的に図示されている。
ここで、ガラス基板GLは、特に限定されないが、本実施例では、二枚のガラス基板60,60の間に、液晶封入領域61を設けた液晶ディスプレイ用の貼合せガラス基板GLを対象としている(図5参照)。また、化学研磨処理も、特に限定されないが、前記した貼合せガラス基板GLの周縁62が耐酸性の封止剤で封止された状態で、例えば、フッ酸を主成分とする研磨液中に浸漬されることで均一に薄型化される。
図1に示す後処理装置EQUは、研磨処理を終えた貼合せガラス基板GLを受入れる導入部1と、受入れた貼合せガラス基板GLの上下面を水洗浄する洗浄部2と、エアーナイフAKを用いた水切り部3と、乾燥した貼合せガラス基板GLの板厚を計測する計測部4と、計測処理を終えた貼合せガラス基板GLを取り出す導出部5とで構成されている。
そして、導入部1から導出部5に向けて、同一平面上に複数の回転ローラRL・・・RLが設けられ、この回転ローラRLの上を貼合せガラス基板GLが搬送される過程で、研磨液の洗浄処理と、乾燥処理と、板厚測定処理とが自動的に実行される。なお、導入部1と導出部5とは、実質的に同一構成であるが、正反対の動作をする。
図2及び図3は、導入部1(導出部5)の構成を示す斜視図であり、貼合せガラス基板GLを保持する載置部10と、載置部10を起伏させる駆動部20とを図示している。載置部10と駆動部20は、駆動部20の出力軸21を通して連結されており、駆動部20のピストン往復運動に対応して、載置部10が水平面に位置する降下状態(図2参照)と、60〜80°程度の姿勢に立ち上がる起立状態に切り換るようになっている。
図2を参照しつつ載置部10について更に説明すると、図示の載置部10は、櫛状に形成された一対の回動アーム11,11と、回動アーム11の基端に固着される固定ブロック12,12と、貼合せガラス基板GLを支持する複数の支持板13・・・13とを中心に構成されている。
これら各部11〜13は、例えば、アルミ合金からなり、回動アーム11と固定ブロック12とは、アルミ溶接その他の方法で一体化されている。そして、回動アーム11と固定ブロック12には、出力軸21を受入れる貫通穴が形成されている。なお、貫通穴はキー溝KYを有しており、このキー溝KYに、出力軸21のキーが嵌合することで、出力軸21の回転が回動アーム11,11に確実に伝達されるようになっている。
図2(b)に示すように、回動アーム11は、全体としてL字状の本体部BDYと、本体部BDYから突出する櫛歯部CMBとで一体的に構成されている。櫛歯部CMBの配列ピッチは、回転ローラRLの配列ピッチと同一であるが、櫛歯部CMBと回転ローラRLとは互いに半ピッチずれており、回動アーム11の降下状態(図2)では、隣接する回転ローラRL,RLの間に、櫛歯部CMBが進入するようになっている。但し、櫛歯部CMBには、一箇所だけ欠落部SPが設けられており、この欠落部SPを利用して、作業員が貼合せガラス基板GLの裏面まで手を延ばし、確実に貼合せガラス基板GLを把持できるようにしている。なお、回動アーム11の最降下状態では、それまで回動アーム11に保持されていた貼合せガラス基板GLは、回転ローラRLに保持される(図2(b)参照)。
図2(b)に示すように、櫛歯部CMBの先端はU字状に突出しており、言い換えると、櫛歯部CMBの先端には、支持板13の板厚に対応した切欠14が形成されている。そして、支持板13の両端が切欠14に嵌合された状態で、回動アーム11の先端に阻止板15が固着され、この阻止板15によって支持板13が回動アーム11に固定的に保持される。
支持板13は、詳細には、上下幅の異なる二種類の支持板13A,13Bに区分される。このうち、回動アーム11の基端側に配置される支持板13Aは、その他の支持板13Bより幅広であり、支持板13Aの貼合せガラス基板GL周縁との接触面には、クッション材16が貼着されて貼合せガラス基板GLを保護している。
一方、その他の支持板13Bには、各々複数個のOリング17が巻着されて、支持板13B上の貼合せガラス基板GLの裏面を保護している。但し、先に説明した通り、図2に示す載置部10の降下状態では、貼合せガラス基板GLは、Oリング17との接触を離れて、回転ローラRLに接触している。
図3は、駆動部20の具体的構成を例示する斜視図である。この駆動部20は、出力軸21の両端を回転可能に軸支する保持部22A,22Bと、一方側の保持部22Aから突出する出力軸21に固着される連結腕23と、連結腕23を揺動させる駆動源24とで構成されている。
駆動源24は、揺動自在に配置されたシリンダ25と、不図示の制御装置に制御されて往復運動するピストン26とで構成されている。ここで、ピストン26の先端には、円柱穴が径方向に貫通して設けられており、この円柱穴に挿通された貫通ピン27が連結腕23に固定されている。なお、貫通ピン27は、ピストン26の円柱穴に遊嵌されており、その結果、連結腕23とピストン26とは、互いに回動可能に連結される。また、シリンダ25の基端部は、支持軸28によって軸支されており、駆動源24全体として揺動可能に構成されている。
連結腕23と駆動源24は上記の通りに連結されているので、ピストン26がシリンダ25に引き込まれる第1状態では(図1(d)参照)、載置部10が水平状態まで降下する。一方、ピストン26がシリンダ25から突出する第2状態では(図1(b)参照)、載置部10が水平状態から60°〜80°程度立ち上がって起立する。
以上の点も踏まえて図1に示す後処理装置EQUの動作内容を説明する。係員が制御装置(不図示)に対する適宜なスイッチ操作を行うと、導入部1の駆動部20は、第1状態から第2状態に移行し、その結果、導入部1の載置部10は、降下状態から起立状態に立ち上がる。
この時、導入部1の位置には、化学研磨処理を終えた貼合せガラス基板GLが搬送されているので、係員はその貼合せガラス基板GLを1枚保持し、起立状態の載置部10に載せる。この載置作業時に係員は、貼合せガラス基板GLの上下方向中央の左右縁を把持するが、回動アーム11,11には櫛歯の欠落部SPが設けられているので、この欠落部SPを利用することで、把持した貼合せガラス基板GLをやさしく載置部10に載せることが可能となる。なお、この載置状態では、貼合せガラス基板GLの下方周縁は、支持板13Aのクッション材16に当接し、貼合せガラス基板GLの裏面は、支持板13BのOリング17に当接する。
その後、係員が更にスイッチ操作を行うと、導入部1の駆動部20は、第2状態から第1状態にゆっくり移行し、導入部1の載置部10は、起立状態から降下状態に戻る。先に説明した通り、載置部10の最降下状態では、貼合せガラス基板GLの裏面は、Oリング17との接触を離れて、回転ローラRLに接触している。
そのため、載置部10が最降下状態に至った状態で回転ローラRLを回転させることで、導入部1に受け入れられた貼合せガラス基板GLは、水洗浄部2に送られることになる。水洗浄部2を移動する貼合せガラス基板GLの表裏面には、洗浄水が流されるので、化学研磨処理で付着したガラス表面の研磨液が洗い流されることになる。
このような水洗浄部2の動作を経た貼合せガラス基板GLは、その後、水切り部3に送られる。そして、水切り部3では、図1の右方向に搬送中の貼合せガラス基板GLに対して、細い線状に形成された高圧エアーが、勢い良く吹き付けられることによって、貼合せガラス基板GLの表裏面に付着している洗浄水が確実に除去される。そして、貼合せガラス基板GLのその後の搬送によって、貼合せガラス基板の表裏面は乾燥状態となる。
このようにして表裏面が清浄化された状態で、貼合せガラス基板GLは、計測部4を通過する。計測部4は、搬送路を移動する貼合せガラス基板GLの上下位置に配置された二組のレーザ変位計41,42を備えて構成されている(図4(a)参照)。この計測部4では、貼合せガラス基板GLの外表面及び外裏面で反射される各レーザ光RY1,RY2に基づいて、レーザ変位計41,42と貼合せガラス基板GLとの距離D1,D2を特定している。
そして、二台のレーザ変位計41,42の離間距離D0は、予め正確に特定されているので、W=D0−D1−D2の計算に基づいて、貼合せガラス基板GLの板厚Wを正確に算出することができる。また、この実施例では、各貼合せガラス基板GLについて、その幅方向の3箇所の測定ラインLN1〜LN3について、サンプリング周期毎に板厚を測定している。したがって、各貼合せガラス基板GLの板有のバラツキなどの管理データは、貼合せガラス基板GLの計測部4の通過時に自動的に取得できることになる。
その後、貼合せガラス基板GLは、導出部5の位置に移動して停止する。導出部5は、図2及び図3に示す導入部1と同一構成であり、貼合せガラス基板GLが搬入された状態では、導出部5の載置部10は、降下状態で待機している。
載置部10の上に貼合せガラス基板GLが搬入された状態で、係員が適宜なスイッチ操作を行うと、これに応答して載置部10はゆっくり上昇動作を開始し、それまで回転ローラRLに保持されていた貼合せガラス基板GLは、載置部10の支持板13Bに引き渡されて上昇する。なお、この上昇過程で、ガラス基板GLが、支持板13BのOリング17上を滑ろうとするが、貼合せガラス基板GLの下方側の周縁はクッション材16で受け止められるので、貼合せガラス基板GLが滑って破損するおそれはない。
載置部10は、限界位置まで上昇して静止するので、その後、係員は、回動アーム11の欠落部SPを利用して、貼合せガラス基板GLの裏側に手を回しガラス基板GLを把持する。そして、把持した貼合せガラス基板を導出部5から取り出す。取り出された貼合せガラス基板GLは、化学研磨処理によって所定厚さまで薄型化されているので、その後は、貼合せガラス基板GLの周縁の封止を解除して、液晶の封入工程などの次処理に移行される。
以上の通り、本実施例では、特徴的な構成を有する導入部1と導出部5を備えるので、高価な貼合せガラス基板GLを破損するおそれなく、迅速に化学研磨工程からその後の処理に移行させることができる。典型的には、その後、各表示パネルPNの領域毎に切断分離されて、液晶の封入処理や偏光膜の貼着処理に移行される。
実施例に係る後処理装置の全体構成を図示したものである。 導入部の一部を示す斜視図である。 導入部の別の一部を示す斜視図である。 計測部の構成と動作を図示したものである。 貼合せガラス基板の概略構成を図示したものである。
符号の説明
GL ガラス基板
EQU 後処理装置
1 導入部
5 導出部
10 載置部
20 駆動部

Claims (5)

  1. 薄型化処理されたガラス基板を受入れて、その後の処理を実行する後処理装置であって、同一平面上に設けられた複数の回転ローラによって前記ガラス基板を搬送する搬送路と、受入れたガラス基板を前記搬送路の回転ローラに引き渡す導入部とを備えて構成され、
    前記導入部は、ガラス基板を保持する載置部と、前記載置部を起立及び降下させる駆動部とを有し、前記駆動部の往復運動に対応して、前記載置部が降下状態と起立状態とに切り換るようになっており、
    前記載置部は、前記回転ローラと同一の配列ピッチで本体部から突出された櫛歯部を有して全体として櫛状に形成された左右一対の回動アームと、自らの左右両端が前記櫛歯部に保持される複数の支持板とを有して構成され、
    前記複数の支持板の上にガラス基板を載置した状態で、前記回動アームを降下させると、隣接する前記回転ローラの間に前記櫛歯部が前記支持板と共に進入することで、前記回転ローラの上にガラス基板が引き渡されるようになっていることを特徴とするフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の後処理装置。
  2. 前記薄型化処理は、フッ酸を含有する化学研磨液を用いて実行される請求項1に記載の後処理装置。
  3. 前記搬送路を移動する前記ガラス基板に対して、洗浄処理と液切り処理とが実行される請求項1又は2に記載の後処理装置.
  4. 前記搬送路を移動する前記ガラス基板に対して、板厚計測処理が実行される請求項1〜3の何れかに記載の後処理装置。
  5. 前記駆動部は、出力軸の両端を回転可能に軸支する保持部と、前記出力軸に固着される連結腕と、前記連結腕を揺動させる駆動源とを備えて構成され前記回動アームに一体化された固定部のキー溝と前記出力軸のキーとが嵌合されて連結されている請求項1〜4の何れかに記載の後処理装置。
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