JP4000494B2 - ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気光学的表示材料として有用なネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子の代表的なものにTN-LCD(ツイスティッド・ネマチック液晶表示素子)があり、時計、電卓、電子手帳、ポケットコンピュータ、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータなどに使用されている。一方、OA機器の処理情報の増加に伴い、一画面に表示される情報量が増大しており、シェファー(Scheffer)等[SID '85 Digest, 120頁(1985年)]、あるいは衣川等[SID '86 Digest, 122頁(1986年)]によって、STN(スーパー・ツイスティッド・ネマチック)−LCDが開発され、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータなどの高情報処理用の表示に広く普及しはじめている。
【0003】
最近、STN-LCDでの応答特性を改善する目的でアクティブアドレッシング駆動方式が提案されている。(Proc.12th International Display Research Conference p.503 1992年)また、携帯用端末表示(Personal Digital Assistance)ではより広い温度域で良好な表示特性が要求されている。この様な液晶材料として、弾性定数比K33/K11が1.5前後、複屈折率△nが0.11〜0.24の範囲で、誘電異方性△εの大きさに比較してより小さい粘性が要求されている。特に、駆動電圧が広い温度範囲に対して一定値を保持することや、あるいは種々の時分割に対応した周波数範囲で駆動電圧が変動しないことが要求されている。従って、現在も新しい液晶化合物あるいは液晶組成物の提案がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなTN-LCDやSTN-LCDの電気光学特性を改善する目的で、例えば一般式(a)〜一般式(c)
【0005】
【化9】
【0006】
(式中、Rはアルキル基を表し、Yは水素原子又はフッ素原子を表す。)のような化合物が使用されている。
これらの化合物を用いた液晶材料は、電気光学特性を改善するが、更により良好な電気光学特性が求められており、依然として問題が残されたままである。本発明は、液晶材料の種々の組合せにより、この要求に応えるものである。
【0007】
また、例えば、携帯用表示においてはバッテリー内蔵方式が必須となっており、駆動電圧が1.5V以下、好ましくは1.3V以下、より好ましくは1.2V以下、特に好ましくは1.1V以下と低いことが要求されている。上記一般式(a)〜一般式(c)の化合物は、この目的に適した特性を有しているものの、他の液晶材料に対し結晶化あるいは析出しやすい傾向が有り、充分に駆動電圧を低減させることが困難な場合があったり、達成しても他の特性に新たな問題を発生させる場合があったりした。本発明は、このような課題にも応えるものである。
【0008】
本発明は上記の課題を解決しようとするものであり、目的に応じた液晶材料を提供することにある。より詳しくは、低温でも駆動可能な温度範囲を有し、駆動電圧の大きさに対してより速い応答性を有し、またより低い電圧でも駆動可能なネマチック液晶組成物を提供することにあり、この液晶組成物を構成材料として用いた、電気光学特性の改善された液晶表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、
1.3種〜40種の化合物からなる液晶組成物であって、該液晶組成物が一般式(I-1)及び一般式(I-2)
【0010】
【化10】
【0011】
(式中、R11及びR12は各々独立して炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基を表し、Y11及びY12は各々独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)で表される化合物からなる液晶成分Aを含有し、一般式(II-1)及び一般式(II-2)
【0012】
【化11】
【0013】
(式中、R21及びR22は各々独立して炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表し、R25及びR26は各々独立して炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基又は炭素原子数2〜7のアルケニル基を表し、Y21及びY22は各々独立して水素原子又は−CH3を表し、Z21は単結合、−COO−又は−CH2CH2−を表す。)で表される化合物の少なくとも一方から選ばれる化合物からなる液晶成分B1、及び/又は、一般式(II-3)及び(II-4)
【0014】
【化12】
【0015】
(式中、R23及びR24は各々独立して炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表し、R27及びR28は各々独立して炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基又は炭素原子数2〜7のアルケニル基を表し、R28は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基であることができる。)で表される化合物の少なくとも一方から選ばれる化合物からなる液晶成分B2を含有し、前記液晶組成物の総量に対し、前記液晶成分Aにおいて、前記一般式(I-1)の化合物を2〜30重量%、前記一般式(I-2)の化合物を1〜40重量%を含有し、前記液晶成分B1を多くとも50重量%含有し、前記液晶成分B2を多くとも50重量%含有し、且つ前記液晶成分B1及び前記液晶成分B2の総量が4〜50重量%であることを特徴とするネマチック液晶組成物。
2.前記液晶成分Aにおいて、前記一般式(I-1)で表される化合物が、式(I-1-1)〜式(I-1-8)
【0016】
【化13】
【0017】
の化合物から選ばれ、前記一般式(I-2)で表される化合物が、式(I-2-1)〜式(I-2-4)
【0018】
【化14】
【0019】
の化合物から選ばれることを特徴とする上記1記載のネマチック液晶組成物。
3.前記液晶成分B1において、前記一般式(II-1)及び前記一般式(II-2)で表される化合物が、式(II-1-1)〜式(II-2-3)
【0020】
【化15】
【0021】
の化合物から選ばれることを特徴とする上記1又は2記載のネマチック液晶組成物。
4.前記液晶成分B2において、前記一般式(II-3)及び前記一般式(II-4)で表される化合物が、式(II-3-1)〜式(II-4-2)
【0022】
【化16】
【0023】
の化合物から選ばれることを特徴とする上記1、2又は3記載のネマチック液晶組成物。
5.前記ネマチック液晶組成物に、一般式(III-1)〜(III-6)
【0024】
【化17】
【0025】
(式中、R31〜R37は各々独立して炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又はCsH2s+1-O-CtH2tを表し、s及びtは各々独立して1〜5の整数を表し、Y31〜Y34は各々独立して水素原子又はフッ素原子を表し、環A31はシクロヘキサン環又はベンゼン環を表し、各化合物におけるシクロヘキサン環の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていても良い。)の群から選ばれる化合物からなる液晶成分Cを含有することを特徴とする上記1、2、3又は4記載のネマチック液晶組成物。
6.(i)一般式(III-1)の化合物を1〜40重量%の範囲で含有すること、及び/又は(ii)一般式(III-2)の化合物を1〜40重量%の範囲で含有すること、及び/又は(iii)一般式(III-3)の化合物を1〜25重量%の範囲で含有すること、及び/又は(iv)一般式(III-4)の化合物を1〜30重量%の範囲で含有すること、及び/又は(v)一般式(III-5)の化合物を1〜20重量%の範囲で含有すること、及び/又は(vi)一般式(III-6)の化合物を1〜20重量%の範囲で含有すること、及び/又は(vii)前記液晶成分Cを多くとも50重量%含有することを特徴とする上記5記載のネマチック液晶組成物。
7.前記液晶組成物の誘電異方性(△ε)が3〜35の範囲、及び/又はネマチック相−等法性液体相転移温度(TN−I)が60℃〜120℃の範囲、及び/又はネマチック相−結晶相又はスメクチック相転移温度(T→N)が0℃〜−100℃の範囲であることを特徴とする上記1、2、3、4、5又は6記載のネマチック液晶組成物。
8.前記液晶組成物のしきい値電圧が0.7V〜1.5Vの範囲であることを特徴とする上記1、2、3、4、5、6又は7記載のネマチック液晶組成物。
9.上記1、2、3、4、5、6、7又は8記載のネマチック液晶組成物を用いたツイスティッド・ネマチック又はスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置。
を上記課題の解決手段として見いだした。
【0026】
本発明の液晶組成物は、液晶成分Aとして、一般式(I-1)及び一般式(I-2)で表される化合物を必須成分として含有する。この一般式(I-1)及び一般式(I-2)で表される化合物は、誘電異方性(Δε)が非常に大きいという特徴を有する。このため、本発明の液晶組成物は広い範囲で誘電異方性(Δε)を調整することが可能となり、低電圧で駆動できるという特徴を有している。誘電異方性(Δε)が非常に大きい化合物は、同時に粘度も大きいという欠点を有している。しかしながら、本発明の液晶組成物は、液晶成分Aとして、一般式(I-1)の化合物を2〜30重量%、一般式(I-2)の化合物を1〜40重量%含有し、液晶成分B1として、一般式(II-1)及び一般式(II-2)の化合物の少なくとも一方から選ばれる化合物を、多くとも50重量%含有し、液晶成分B2として、一般式(II-3)及び一般式(II-4)の化合物の少なくとも一方から選ばれる化合物を、多くとも50重量%含有するが、液晶成分B1及びB2を総量で4〜50重量%含有させることで、誘電異方性の大きさに対してより小さい粘度を有することを見いだした。
【0027】
更に、一般式(I-1)及び一般式(I-2)で表される化合物を併用して用いることから、ネマチック相−結晶相又はスメクチック相転移温度を低下させて、液晶組成物の誘電異方性(△ε)が3〜35の範囲で容易に得ることができ、液晶組成物のしきい値電圧が0.7V〜1.5Vと比較的低い範囲で得ることができる。しきい値電圧が0.7V〜1.3Vと特に低い場合の例は少なく、相容性、ネマチック温度範囲、粘性に少なからず問題を有していたが、本発明の液晶組成物はこれらの問題を改善し、0.7V〜1.1Vの範囲を得るのに特に好ましいものであった。このような結果を得るには、液晶成分Aの含有量を3〜40重量%の範囲にすることで得られるが、より低いしきい値電圧の場合、10〜40重量%が好ましく、25〜40重量%がより好ましい。
【0028】
一般式(I-1)において、R11は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基であることが好ましく、一般式(I-2)において、R12は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基であることが好ましい。また、Y11及びY12は共にフッ素原子であることが好ましい。
【0029】
上記効果を得るためには、具体的には、一般式(I-1)の化合物としては、式(I-1-1)〜式(I-1-8)で表される化合物が好ましく、一般式(I-2)の化合物としては、式(I-2-1)〜式(I-2-4)で表される化合物が好ましい。
【0030】
本発明のネマチック液晶組成物は、液晶成分B1及び/又は液晶成分B2を含有することが必須である。この場合、液晶成分B1のみでもよく、液晶成分B2のみでもよく、両者を併用してもよい。また、液晶成分B1は、一般式(II-1)の化合物から構成されてもよく、一般式(II-2)の化合物から構成されてもよく、両者から構成されてもよい。同様に、液晶成分B2は、一般式(II-3)の化合物から構成されてもよく、一般式(II-4)の化合物から構成されてもよく、両者から構成されてもよい。一般式(II-1)〜(II-4)で表される化合物としては、例えばより具体的には、一般式(II-1-1)〜(II-4-2)で表される化合物が好ましい。
【0031】
液晶組成物に対して、液晶成分B1は多くとも50重量%含有するが、用いる場合4〜30重量%含有することがより好ましい。液晶成分B2は多くとも50重量%含有するが、用いる場合4〜30重量%含有することがより好ましい。液晶成分B1及びB2の含有量の総量は4〜50重量%であるが、4〜40重量%含有することが好ましく、5〜35重量%含有することがより好ましい。
【0032】
液晶成分B1及びB2は、必須成分である液晶成分A、即ち、一般式(I-1)及び一般式(I-2)の化合物と良く混合する特徴を有し、低温でのネマチック相を改善させるのに有用である。また、粘度を低減させることができ、比抵抗や電圧保持率が比較的高いという特徴を具備させることができる。更に、これらの特徴を有したまま、本発明の液晶組成物の複屈折率Δnを用途に応じて容易に最適化することができ、液晶表示装置の色むらの低減、視角特性の向上、コントラスト比の増加を容易に達成することができ、液晶層が3〜8μmの液晶表示素子の作製を可能とすることができる。
【0033】
更に、一般式(III-1)〜(III-6)の群から選ばれる化合物からなる液晶成分Cを含有することが好ましい。これらの化合物は、必須成分である液晶成分A及び液晶成分B1及び/又は液晶成分B2の液晶組成物と良く混合する特徴を有し、特に駆動電圧の目的に応じた調製やその温度依存性の改善あるいは応答性の改善に有用である。また、ネマチック相−等法性液体相転移温度(TN−I)が60℃〜120℃の範囲であることや、ネマチック相−結晶相又はスメクチック相転移温度(T→N)が0℃〜−100℃の範囲であることに有用である。このような効果は、一般式(III-1)〜(III-6)で表される化合物のR31〜R36が、炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基、あるいはビニル又はブテニルのアルケニル基の化合物を用いることで得られ、特に好ましい。また、本発明の液晶組成物に対して、
(i)一般式(III-1)の化合物を1〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲で含有すること
(ii)一般式(III-2)の化合物を1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%の範囲で含有すること
(iii)一般式(III-3)の化合物を1〜25重量%の範囲で含有すること
(iv)一般式(III-4)の化合物を1〜30重量%の範囲で含有すること
(v)一般式(III-5)の化合物を1〜20重量%の範囲で含有すること
(vi)一般式(III-6)の化合物を1〜20重量%の範囲で含有すること
(vii)液晶成分Cを多くとも50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲で含有する含有すること
の少なくとも1又はそれ以上の条件を満たすことが好ましい。
【0034】
更に、(vi)一般式(III-6)の化合物を1〜15重量%含有することが好ましい。特に、一般式(III-1)、(III-2)、(III-6)の化合物は上述の効果に優れており、併用することがより好ましく、1〜20重量%と少量の添加でも効果を得ることができる。
【0035】
本発明の液晶組成物は、上記一般式(I-1)〜(III-6)で表される化合物以外にも、液晶組成物の特性を改善するために、液晶化合物として認識される通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶などを含有していてもよい。しかしながら、これらの化合物を多量に用いることはネマチック液晶組成物の特性が低減することになるので、添加量は得られるネマチック液晶組成物の要求特性に応じて制限されるものである。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『重量%』を意味する。
【0037】
組成物の化学的安定性は、液晶組成物2gをアンプル管に入れ、真空脱気後窒素置換の処理をして封入し、150℃、1時間の加熱促進テストを行い、この液晶組成物の比抵抗を測定した。実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0038】
TN−I:ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
T→N :固体相又はスメクチック相−ネマチック相転移温度(℃)
Vth :STN-LCDを構成した時のしきい値電圧(V)
Δε :誘電異方性
Δn :複屈折率
η :20℃での粘度(c.p.)
(実施例1)
ネマチック液晶組成物No.1
【0039】
【化18】
【0040】
を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
TN−I : 90.6 ℃
T→N : −41.0 ℃
Vth : 1.02 V
Δε : 23.9
Δn : 0.141
η : 46.1 c.p.
テスト前の比抵抗 : 4.0×1011 Ω・cm
加熱促進テスト後の比抵抗 : 9.1×1010 Ω・cm
このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の比抵抗が高いことから、熱に安定であることが理解できる。またこの組成物を構成材料とするツイスティッド・ネマチック及びスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置を作製したところ、フリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0041】
さらにこのネマチック液晶組成物にカイラル物質「S−811」(メルク社製)を添加して混合液晶を調製した。一方、対向する平面透明電極上に「サンエバー610」(日産化学社製)の有機膜をラビングして配向膜を形成し、ツイスト角240度のSTN-LCD表示用セルを作製した。上記の混合液晶をこのセルに注入して液晶表示装置を構成し、表示特性を測定した。その結果、しきい値電圧が低く、高時分割特性に優れ、表示画面のちらつきやクロストーク現象が改善され、速い応答性を有し、視差の小さな視角特性という特段の効果を有するSTN-LCD表示特性を示す液晶表示装置が得られた。
【0042】
なお、カイラル物質はカイラル物質の添加による混合液晶の固有らせんピッチPと表示用セルのセル厚dが、Δn・d=0.85、d/P=0.50となるように添加した。
(比較例)
比較液晶組成物d
【0043】
【化19】
【0044】
を混合し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
TN−I : 92.3 ℃
T→N : − 0.0 ℃
Vth : 1.20 V
Δε : 20.1
Δn : 0.143
η : 45.8 c.p.
次に、比較液晶組成物e
【0045】
【化20】
【0046】
を混合した。この組成物の諸特性は、T→Nが36℃であり、測定ができなかった。
これらの結果から明らかなように、本発明に関わる一般式(1-1)及び一般式(1-2)の液晶化合物を併用することで、特に低温でのネマチック相の改善が示された。また、比較液晶組成物dに比べて、駆動電圧がより低減されていることが確認された。
【0047】
また、実施例1のネマチック液晶組成物と比較液晶組成物dのしきい値電圧の温度依存性を測定した。印加電圧の周波数は64、500、1000Hzの各々で測定した。結果を第1図〜第3図に示す。
【0048】
図の結果より、本発明のネマチック液晶組成物のしきい値電圧は、より広い周波数で、温度変化が小さいことが示された。このことは、液晶表示がより安定して視認されることを示す。
(実施例2)
ネマチック液晶組成物No.2
【0049】
【化21】
【0050】
【化22】
【0051】
を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
TN−I : 94.7 ℃
T→N : −41.0 ℃
Vth : 0.90 V
Δε : 22.1
Δn : 0.141
η : 64.5 c.p.
テスト前の比抵抗 : 5.8×1011 Ω・cm
加熱促進テスト後の比抵抗 : 1.0×1011 Ω・cm
このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の比抵抗が高いことから、熱に安定であることが理解できる。またこの組成物を構成材料とするツイスティッド・ネマチック及びスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置を作製したところ、フリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0052】
また、ここで作製したTN-LCDを用いて電気光学特性の−10℃〜60℃での温度依存性を測定したところ、1.4mV/℃と優れた表示特性を示す液晶表示装置が得られた。
(実施例3)
ネマチック液晶組成物No.3
【0053】
【化23】
【0054】
を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
TN−I : 86.2 ℃
T→N : −30.0 ℃
Vth : 1.10 V
Δε : 22.5
Δn : 0.183
η : 49.0 c.p.
テスト前の比抵抗 : 7.7×1011 Ω・cm
加熱促進テスト後の比抵抗 : 3.2×1011 Ω・cm
このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の比抵抗が高いことから、熱に安定であることが理解できる。またこの組成物を構成材料とするツイスティッド・ネマチック液晶表示装置を作製したところ、フリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0055】
さらにこのネマチック液晶組成物にカイラル物質「S−811」(メルク社製)を添加して混合液晶を調製した。一方、対向する平面透明電極上に「サンエバー610」(日産化学社製)の有機膜をラビングして配向膜を形成し、ツイスト角240度のSTN-LCD表示用セルを作製した。上記の混合液晶をこのセルに注入して液晶表示装置を構成し、表示特性を測定した。その結果、しきい値電圧が低く、高時分割特性に優れ、表示画面のちらつきやクロストーク現象が改善され、速い応答性を有し、視差の小さな視角特性という特段の効果を有するSTN-LCD表示特性を示す液晶表示装置が得られた。
【0056】
なお、カイラル物質はカイラル物質の添加による混合液晶の固有らせんピッチPと表示用セルのセル厚dが、Δn・d=0.85、d/P=0.50となるように添加した。
(実施例4)
ネマチック液晶組成物No.4
【0057】
【化24】
【0058】
【化25】
【0059】
を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
TN−I : 91.9 ℃
T→N : −48.0 ℃
Vth : 1.00 V
Δε : 23.4
Δn : 0.139
η : 42.4 c.p.
また、ここで作製したTN-LCDを用いて電気光学特性の−10℃〜60℃での温度依存性を測定したところ、1.1mV/℃と優れた表示特性を示す液晶表示装置が得られた。
(実施例5)
ネマチック液晶組成物No.5
【0062】
【発明の効果】
本発明のネマチック液晶組成物は、必須成分として、一般式(I-1)及び一般式(I-2)の化合物からなる液晶成分A、及び一般式(II-1)及び一般式(II-2)の少なくとも一方から選ばれる化合物からなる液晶成分B1、及び/又は一般式(II-3)及び一般式(II-4)の少なくとも一方から選ばれる化合物からなる液晶成分B2を含有することを特徴とし、これにより目的に応じた液晶材料を提供することができる。
【0063】
より詳しくは、低温でも駆動可能な温度範囲を有し、より低い駆動電圧を有し、温度や時分割数に対して改善されたしきい値特性を有していた。従って、本発明の液晶組成物を用いることにより、表示画面のちらつき、クロストーク現象の改善された液晶表示装置を得ることができる。特に情報量の多いTN-LCD、STN-LCD形液晶表示装置において良好な駆動特性及び表示特性が得られる。
【0064】
【図面の簡単な説明】
【図1】印加電圧の周波数が64Hzにおける、実施例1のネマチック液晶組成物と比較液晶組成物dのしきい値電圧の温度依存性を示す図。
【図2】印加電圧の周波数が500Hzにおける、実施例1のネマチック液晶組成物と比較液晶組成物dのしきい値電圧の温度依存性を示す図。
【図3】印加電圧の周波数が1000Hzにおける、実施例1のネマチック液晶組成物と比較液晶組成物dのしきい値電圧の温度依存性を示す図。
Claims (9)
- 3種〜40種の化合物からなる液晶組成物であって、該液晶組成物が、一般式(I-1)及び一般式(I-2)
- (i)一般式(III-1)の化合物を1〜40重量%の範囲で含有すること、及び/又は(ii)一般式(III-2)の化合物を1〜40重量%の範囲で含有すること、及び/又は(iii)一般式(III-3)の化合物を1〜25重量%の範囲で含有すること、及び/又は(iv)一般式(III-4)の化合物を1〜30重量%の範囲で含有すること、及び/又は(v)一般式(III-5)の化合物を1〜20重量%の範囲で含有すること、及び/又は(vi)一般式(III-6)の化合物を1〜20重量%の範囲で含有すること、及び/又は(vii)前記液晶成分Cを多くとも50重量%含有することを特徴とする請求項5記載のネマチック液晶組成物。
- 前記液晶組成物の誘電異方性(△ε)が3〜35の範囲、及び/又はネマチック相−等法性液体相転移温度(TN−I)が60℃〜120℃の範囲、及び/又はネマチック相−結晶相又はスメクチック相転移温度(T→N)が0℃〜−100℃の範囲であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のネマチック液晶組成物。
- 前記液晶組成物のしきい値電圧が0.7V〜1.5Vの範囲であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のネマチック液晶組成物。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のネマチック液晶組成物を用いたツイスティッド・ネマチック又はスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13838897A JP4000494B2 (ja) | 1997-05-28 | 1997-05-28 | ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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