JP4000039B2 - 電動車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動二輪車に適する電動車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動二輪車はエンジンを駆動源とするものが主流を占めているが、近年は環境保護等の観点から電動機を駆動源として走行する電動二輪車が開発されている。
【0003】
電動二輪車は、電動機とその電動機に電力を供給する電源と、電動機を制御するコントロールユニットとを備え、いずれも車体に搭載されている(特許文献1参照)、(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−34965号公報。
【0005】
【特許文献2】
特開2002−125348号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電動二輪車の電動機は、コントロールユニットによって制御される。電動機とコントロールユニットとの関係をみると特許文献1に示すように離れた位置にセットされているため、コントロールユニット専用の配置スペースを必要とし、レイアウトの面で望ましくない。
【0007】
また、電動機とコントロールユニットとの電気的接続にあたって、ケーブルの配索が長くなるためトラブルの要因になると共に、接続作業の面でも望ましくない。
【0008】
この場合、短い配索となるよう特許文献2に示すように端子ボックスを新たに設置し、その端子ボックスに巻線を接続する手段があるが、巻線にはモータ側接続端子等を有し、接続部品が多くコストの面、占有スペースの面で望ましくない。しかも、構造が複雑となる等の不具合を有する。
【0009】
そこで、この発明は、構造が簡単で、電動機と制御ユニットとを最短距離で確実な接続を可能とし、しかも、接続作業を容易とし、作業性、接続安定性の面で優れる電動車両を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明の請求項1にあっては、ハウジングと、前記ハウジング内に配置される巻線とを有する電動機と、前記ハウジング内に配置され前記電動機を制御する制御ユニットとを車体に搭載した電動車両であって、前記制御ユニットから前記巻線の端部まで延び、前記制御ユニットと前記巻線と電気的に接続する接続端子は、平板状の部材よって形成されると共に、前記接続端子の主面が車体上下方向に沿っており、前記接続端子は、前記制御ユニットの車体上下方向に沿う面に支持される基端部と、前記巻線の端部が溶接される先端部とを有し、前記先端部と前記基端部との間において車体上下方向に延びる折り曲げ線に沿って折り曲げられると共に、前記先端部が自由端となっており、前記先端部は、車体上下方向に延びる折り返し線に沿って折り返されると共に、前記先端部において折り返された部分が前記先端部において折り返されていない部分に重ね合わされていることを特徴とする。
【0011】
これにより、巻線はハウジング内において、直接接続端子との接続が可能となり、構造も簡単なものとなる。しかも、最短距離で接続が行なえるようになる。また、例えば、ハウジング内に浸入した雨水や水滴は接続端子にたまることはなく、鉛直方向(車体上下方向)の面にそって迅やかに流下するため、ショート等を確実に阻止し、長期間にわたって安定した接続状態が確保される。
【0012】
また、巻線を溶接する際、巻線に電気溶接機の溶接部材を、接続端子に電気溶接機のアース部材をそれぞれ当てて溶接する時に、面状(平板状)の接続端子によってアース部材を確実に接触(グランド)させることが可能となるため、溶接時に、例えば、制御ユニット等に何等悪影響を与えることがなくなる。
【0013】
また、この発明の請求項にあっては、接続端子を、ハウジング内の巻線と接続し合う先端部(第1部分と、その第1部分と一体に連続し合う基端部(第2部分とで形成し、第1部分を第2部分との間で屈曲させた自由端としている
【0014】
これにより、接続端子の第1部分は、自由端となっているため、ある程度の自由度が得られるようになるので、巻線が精度よく作らなくても、位置合せが可能となるため、巻線の製造が容易となる。
【0015】
また、この発明の請求項にあっては、接続端子の先端部(第1部分を、折り返した重ね合わせ構造としている
【0016】
これにより、溶接時の溶損等のトラブルがなくなり、安定した確実な接続状態が得られる。
【0017】
また、この発明の請求項にあっては、接続端子の基端部(第2部分は、制御ユニットに支持されている。
【0018】
これにより、面状の第2部分によって電気溶接時のグランドを確実に取れるようになるため、制御ユニットに直接溶接することが可能となり、コストダウンが図れるようになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図6の図面を参照しながら、この発明の実施の形態について具体的に説明する。
【0020】
図3はこの発明にかかる電動二輪車1の概要側面図を示している。
【0021】
電動二輪車1は、車体3の前方にステアリング用のハンドル5及び前輪7が、後方に後輪9がそれぞれ配置され、後輪9は原動機11によって回転動力が与えられる駆動輪となっている。
【0022】
原動機11は、図1,図2に示すようにハウジング13内に固定支持されたステータ15と、そのステータ15と対向し合うと共にステータ15に電力が与えられることで、回転するロータ17とを備えている。
【0023】
ロータ17は、ロータヨーク19とそのロータヨーク19の外周に所定の間隔で配置されたマグネット21から成り、車軸23に一体に固定支持されている。車軸3は、ベアリング等の軸受25により回転自在に支持されると共に、車軸23には前記後輪9が一体に装着支持された構造となっている。
【0024】
ステータ15は、ハウジング13内に、所定の間隔でリング状に配置された矩形状のティース27に巻線29が順次連続して巻付けられた構造となっている。
【0025】
巻線29は、ハウジング13内に配置された制御ユニット31から立上がる接続端子33と電気溶接によって電気的に接続している。
【0026】
制御ユニット31は、図4に示すように上方が開放された有底状のユニットケース35内に制御回路(図示していない)が設けられたユニットに作られている。
【0027】
制御ユニット31は底部側を下にしてハウジング13内に組込まれ、ビス37により固定支持されている。ユニットケース35の上方開放口は樹脂モール39(斜線)によって閉塞され、内部に対して水浸入が起きないようになっている。
【0028】
ユニット31内の制御回路(図示していない)は、例えば、スロットル等からの入力信号に基づき原動機11の回転数を制御するよう機能する。
【0029】
制御回路への入力信号は、シート41の下部に設けられたバッテリ等の電源43から延長されるケーブルを始めとして各種ケーブル44によって入力される。各種ケーブル44は、グロメット45を介してユニットケース35内に配索されるようになっている。
【0030】
グロメット45は、ハウジング13と嵌合し合うリング状の第1嵌合部47とユニットケース35と嵌合し合うリング状の第2嵌合部49とを有し、ハウジング13に落下した雨水等が第1、第2嵌合部47,49によって内部への水浸入が確実に阻止される二重のシール構造となっている。
【0031】
ユニットケース35及びハウジング13の開放側は、図2に示すようにカバー部材51によってカバーされ、フルポンテング、二重シール構造のグロメット45、カバー部材51による最中合せの構造とによって、水浸入の阻止が図られている。
【0032】
一方、接続端子33は、樹脂モール39されたユニットケース35の開放口から一体に取出す構造となっていて、銅等の導電性の材質によって平板状の形状に作られている。
【0033】
平板状に形成された接続端子33は、前記巻線29が接続された第1部分33aと、第1部分33aから一体に連続し合う第2部分33bからなっている。
【0034】
第1部分33aは、前記第2部分33bとの間でほぼ90度に屈曲された自由端となっていて、図5に示すように折り返えされた二重の重ね合せ構造となっている。
【0035】
したがって、第1部分33aは面剛性が向上し溶接時の溶損がなくなると共に前後、左右、上下方向に、ある程度の自由度を有する性状を備え、巻線29との接続位置に狂いが発生しても対応することが可能となっている。
【0036】
自由端となる第1部分33aは、第2部分33bと共に連続する平板状の形状となっているが、この場合、例えば、図6(a)(b)に示すように屈曲した後、上方へ立上がるU字状の第1部分33aの形状とすることも可能である。
【0037】
この実施形態の場合には、U字状の部位へ巻線29を安定した状態で確実に位置決めすることが可能となり、電気溶接時の接続作業が容易となる。
【0038】
一方、平板状に作られた接続端子33は、図4、図5に示すように面状方向Xが前記電動機11の車体搭載状態で略鉛直方向に延設された形状となっている。即ち、図4の車体搭載状態において、図面下方の地表面から上方へ向かう垂直面となっていて、水滴等がたまることなく迅やかに下方へ落下するようになっている。
【0039】
このように構成された電動車両によれば、巻線29はハウジング13内において直接接続端子33との接続が可能となる。
【0040】
この場合、接続は巻線29と接続端子33との関係となるため構造が簡単になると共に最短距離での接続が行なえるようになる。
【0041】
また、巻線29が精度よく作られていなくても、前後左右に動く接続端子33によって確実、容易に位置合せが行なえる。また、図5に示すように、電気溶接機の溶接部材Mとアース部材Gとで溶接する時に、面状の接触端子33によってアース部材Gを確実に接触(グランド)させることができるため、溶接時に、例えば、制御ユニット31の回路部に何等悪影響を与えることがなくなる。
【0042】
したがって、制御ユニット31に対する直接溶接が可能となりコストダウンが図れる。また、溶接部位の第1部分33aは折り返えされた重ね合わせ構造となっているため、溶損等のトラブルがなくなり、溶接による確実な接続状態が長時間にわたって得られる。
【0043】
一方、例えば、混入した雨水や水滴は接続端子33の鉛直方向の面状によって、とどまることはなく迅やかに落下するためショート等を起こすことがなくなり、長期間にわたって安定した接続状態が確保される。
【0044】
なお、この実施形態は電動二輪車について説明したが電動三輪タイプあるいは、電動四輪タイプの電動車両に適用することも可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上、説明したようにこの発明の請求項1によれば、構造簡単にして巻線と制御ユニットとを最短距離で確実に接続することができる。
【0046】
また、平板状に形成された接続端子の面に沿って迅やかに水滴等を落下させることができるためショート等を確実に阻止し、長期間にわたって安定した接続状態を確保することができる。
【0047】
また、溶接時のアース部材を確実に接続端子に接触させたグランド状態が得られるようになるため、制御ユニット等に何等悪影響を与えることなく溶接することができる。
【0048】
また、この発明の請求項によれば、接続端子の先端部(第1部分は自由端となるため、前後、左右、上下方向の動きが可能となり、巻線が精度よく作られていなくても位置合せができるため、巻線の製造が容易となる。
【0049】
また、この発明の請求項によれば、接続端子の先端部(第1部分は折り返された二重の重ね合せ構造によって溶損等のトラブルがなくなり、確実に溶接することができる。
【0050】
また、この発明の請求項によれば、面状の基端部(第2部分によって電気溶接時のグランドを確実にとることができるため、制御ユニットの回路部に悪影響を与えることなく、溶接することが可能となりコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる電動機を構成するハウジング内に制御ユニットを組込んだ状態を示した概要説明図。
【図2】電動機の内部構造を示した部分の概要説明図。
【図3】この発明にかかる電動二輪車の概要側面図。
【図4】制御ユニットの概要説明図。
【図5】接続端子に巻線を電気溶接する説明図。
【図6】接続端子の第1部分の別の実施形態を示した説明図。
【符号の説明】
11…電動機
13…ハウジング
29…巻線
31…制御ユニット
33…接続端子
33a…第1部分
33b…第2部分

Claims (2)

  1. ハウジングと、前記ハウジング内に配置される巻線とを有する電動機と、
    前記ハウジング内に配置され前記電動機を制御する制御ユニットと
    を車体に搭載した電動車両であって、
    前記制御ユニットから前記巻線の端部まで延び、前記制御ユニットと前記巻線と電気的に接続する接続端子は、平板状の部材よって形成されると共に、前記接続端子の主面が車体上下方向に沿っており、
    前記接続端子は、前記制御ユニットの車体上下方向に沿う面に支持される基端部と、前記巻線の端部が溶接される先端部とを有し、前記先端部と前記基端部との間において車体上下方向に延びる折り曲げ線に沿って折り曲げられると共に、前記先端部が自由端となっており、
    前記先端部は、車体上下方向に延びる折り返し線に沿って折り返されると共に、前記先端部において折り返された部分が前記先端部において折り返されていない部分に重ね合わされていることを特徴とする電動車両。
  2. 前記電動機には、後輪の車軸が挿通され、
    前記制御ユニットは、前記車軸よりも前方に配設され、
    前記巻線の端部は、前記制御ユニットと車幅方向に近接して配設される請求項1に記載の電動車両。
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