JP3999751B2 - (メタ)アクリル系重合性液状樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル系重合性液状樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は耐熱分解特性に優れた(メタ)アクリル系重合性液状樹脂組成物の製造方法関するものである。
(メタ)アクリル系樹脂は、透明性、耐光性などに優れており、これらの特性を生かした種々の用途に利用されている。また近年では、パーソナルコンピューター、プラズマディスプレイなどの各種の電気製品に内蔵されている発熱性電子部品から熱を取り除くために使用される熱伝導性シート(放熱材料用熱伝導シート)のベース樹脂としても利用されており(例えば、特許文献1〜4など)、その適用範囲を様々な分野に広げつつある。
(メタ)アクリル系樹脂は、ポリ(メタ)アクリル系のポリマーとモノマーを混合した液状樹脂組成物(アクリルシラップと称される)の形態で提供することが多く(例えば、特許文献5など)、ユーザーは該液状樹脂組成物をさらに熱重合(ラジカル重合)又は架橋剤によって架橋(硬化)して網目状構造とすることによって、(メタ)アクリル系樹脂最終品(成形品、シートなど)としている。なお特殊な触媒を用いて(メタ)アクリル系樹脂を製造する例も知られている(特許文献6など)。
特開2002−30212号公報 特開2003−49144号公報 特開2002−155110号公報 特開平11−269438号公報 特開平9−67495号公報 特開2000−128911号公報
ところで、本発明者らは、ポリ(メタ)アクリル系液状樹脂組成物を架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤)によって硬化したものに比べて、ラジカル重合によって硬化したものは、耐熱分解性に優れていることを見出している。架橋剤によって硬化したものは、(メタ)アクリル系樹脂の網目状構造部分に、C−C結合以外の結合(架橋剤に由来するC−N結合)が形成されており、該架橋部分の耐熱分解性が改善されるためと思料される。しかし、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの多官能アクリル系モノマーを用いて網目状構造を形成した場合には、同様に網目状構造部分にC−C結合以外の結合が形成されるものの、この(メタ)アクリル系樹脂は耐熱分解性が十分であることも見出しており、これらを総合して考えると、詳細な理由は明確ではないながらも、不飽和結合がない(すなわちラジカル重合性がない)架橋剤によって硬化させたものには耐熱分解性の向上余地があると結論付けることができる。前記特許文献1、4などに開示されている(メタ)アクリル系樹脂は、不飽和結合がない架橋剤(以下、非ラジカル型架橋剤という。例えば、イソシアネート類、エポキシ化合物など)によって架橋されたものであり、上記観点からすると、耐熱分解性の向上余地がある。(メタ)アクリル系樹脂は、耐熱分解性が要求されることがあり、例えば、熱伝導性材料(熱伝導性シートなど)など場合には電子部品の高性能化によって発熱量が増大してきており、耐熱分解性に対する要求が強まってきている。
耐熱分解性を高めるためには、ラジカル重合による硬化によって網目状構造を形成した(メタ)アクリル系樹脂を用いることが重要である。このような(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル系モノマーをトルエン中で重合し、トルエンを除去した後で、メタクリル系モノマーを追加することによって液状樹脂(シラップ)とし、該シラップを重合開始剤で重合させたものが知られている(前記特許文献5の実施例7〜9など参照)。また前記特許文献2では、アクリル系モノマーを、酢酸エチル中でラジカル重合し、PETフィルム上に塗工してから乾燥している。しかしこれらの方法で得られた(メタ)アクリル系樹脂は、溶剤(トルエン、酢酸エチルなど)を含有している。すなわちこれらの方法では、途中で溶剤を除去しているものの、完全に溶剤を除去することは不可能である。このようにして得られる(メタ)アクリル系樹脂を使用すると、僅かづつでも残留溶剤が揮発していくことが懸念され、特に熱がかかる用途(熱伝導性材料など)ではこの懸念が大きくなる。
溶剤を実質的に含有しない、重合によって網目状構造が形成された(メタ)アクリル系樹脂としては、メタクリル系モノマーをバルク重合させると共に、該バルク重合を制御してメタクリル系モノマーの一部だけを重合させることによってシラップを製造し、該シラップをさらに重合させることによってメタクリル系樹脂を製造する方法が知られている(前記特許文献5の実施例1〜6など参照)。しかしバルク重合による方法は反応の制御が難しい。特にアクリル系モノマーなどは、前記特許文献に記載されているメタクリル系モノマーなどに比べて約10倍程も反応性が高いために反応が暴走してしまい、バルク重合によってアクリルシラップを製造することはできない。
メタクリル系樹脂のみならず、アクリル系樹脂をも製造可能な方法としては、アクリル系モノマーとアルカンジオールジアクリレート類とを含み、溶媒を含まない塗布物を光重合させる方法が知られている(例えば前記特許文献3など)。しかし、この特許文献3に開示の光重合法は塗布物には適用できても、アクリルシラップのように反応缶で大量に重合させる場合には反応効率が低すぎて実質的に適用できない。また触媒としてチオグリセロールなどを用いて、アクリル系モノマーをバルク重合させる方法も知られている(前記特許文献6など)。しかし、この方法では使用する触媒が特殊であり、コスト高となる。しかも実際には簡易設備では重合速度の速いアクリル系モノマーを重合することは不可能な場合もあり、またこの触媒を使用すると水酸基がポリマーに必ず導入されるという弊害もある。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、特殊な触媒を使用することなく、また溶剤など(メタ)アクリル系樹脂最終品(硬化物)にとって不要な物質が混入することなく、メタクリル系モノマー及びアクリル系モノマーの両方に適用できる耐熱分解特性に優れた(メタ)アクリル系液状樹脂組成物の製造方法、アクリル系液状樹脂組成物、及び熱伝導性材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、可塑剤のブリードアウトを抑制できる(メタ)アクリル系液状樹脂組成物の製造方法、アクリル系液状樹脂組成物、及び熱伝導性材料を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、可塑剤を有効利用することに着目した。(メタ)アクリル系樹脂の用途として可塑性が求められる用途があり、例えば、熱伝導シートなどの熱伝導性材料とする場合には、部品との接触面積(伝熱面積)を広くし、また部品に対する追従性を良好とするために高い可塑性(柔軟性)が求められている。そして可塑剤のうち、液状のもの(液状可塑剤)の中で、(メタ)アクリル系モノマーをラジカル重合させると、特殊な触媒を使用しなくても、メタクリル系モノマーのみならずアクリル系モノマーであっても暴走することなく重合させることができ、必要に応じて途中で重合反応を停止することによって或いは必要に応じて重合反応中止又は完了後に(メタ)アクリル系モノマーや液状可塑剤を追加することによって、(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリル系モノマー、及び液状可塑剤を含有する液状樹脂組成物にできること、そしてこのアクリルシラップは(メタ)アクリル系モノマーを含有しているために、ラジカル重合によって(メタ)アクリル系樹脂とすることができ、耐熱分解性を高めることができることを見出し、本発明を完成した。なお前記アクリルシラップは、ラジカル重合性モノマーである(メタ)アクリル系モノマーを含有するラジカル重合硬化タイプ(熱重合硬化タイプ)であって、非ラジカル型架橋剤(イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤など)のみによって硬化させるタイプではない。ところで、一般にアクリルシラップは、ハンドリング性、硬化反応時の収率、シラップ製造時の除熱などの観点から低粘度であることが望ましく、また熱伝導性材料を製造する場合にもアクリルシラップは低粘度であることが望ましい。熱伝導性材料を製造する場合には、熱伝導性を高めるために充填剤(熱伝導性充填剤)を添加する必要があり、アクリルシラップが低粘度であるほど該熱伝導性充填剤の充填量を増大できるためである。非ラジカル型架橋剤によってアクリルシラップを硬化させる場合には、(メタ)アクリル系モノマーは使用されず、従って低粘度化に寄与し得るのは実質的に液状可塑剤だけであるため、該液状可塑剤を低減するのが困難であるのに対して、ラジカル重合硬化タイプである本発明のアクリルシラップでは、(メタ)アクリル系モノマーも該アクリルシラップの希釈剤として利用でき、低粘度化に寄与し得るため、可塑剤比率の低減が容易である。そのため本発明によれば、(メタ)アクリル系樹脂最終品(硬化物)からの可塑剤のブリードアウトも抑制することができる。
すなわち、本発明に係る(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリル系モノマー、及び液状可塑剤を含む重合性液状樹脂組成物の製造方法は、(メタ)アクリル系モノマーとラジカル重合開始剤を含む液状可塑剤中で、(メタ)アクリル系モノマーをラジカル重合させる工程を含む点に要旨を有するものである。前記液状可塑剤は、温度150℃で3時間保持した後の質量減量が、5質量%以下であるものが望ましい。
本発明にはガラス転移温度が0℃以下のアクリル系ポリマー、アクリル系モノマー、及び液状可塑剤を含有する重合性液状樹脂組成物も含まれる。ただし、前記重合性液状樹脂組成物は、溶剤並びに非ラジカル型架橋剤(イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤など)を実質的に含有していない。前記重合性液状樹脂組成物において、液状可塑剤は、アクリル系ポリマー、アクリル系モノマー、及び液状可塑剤の合計質量に対して、10〜70質量%程度であるのが望ましく、アクリル系モノマーは、アクリル系ポリマー100質量部に対して、10〜500質量部程度であるのが望ましい。
上記重合性液状樹脂組成物をラジカル重合することによって得られる熱伝導性材料も本発明に含まれる。
なお本明細書では、「(メタ)アクリル系ポリマー」は、構成単位の50質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)が(メタ)アクリル酸エステルであるポリマーを意味する。また「メタクリル系ポリマー」とは、前記(メタ)アクリル酸エステルのうち50質量%超がメタクリル酸エステルであるポリマーを意味し、「アクリル系ポリマー」とは、前記(メタ)アクリル酸エステルのうち50質量%以上がアクリル酸エステルであるポリマーを意味する。
本発明によれば、(メタ)アクリル系モノマーのラジカル重合によるアクリルシラップの製造を液状可塑剤中で行っているため、アクリル系モノマー及びメタアクリル系モノマーの両方に共通して適用でき、しかも特殊な触媒を使用する必要がなく、さらには(メタ)アクリル系樹脂最終品(硬化物)の耐熱分解性を高めることができ、加えて溶剤の揮発や可塑剤のブリードアウトを抑制できるといった数多くの効果を同時に達成することができる。
(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリル系ポリマー、及び液状可塑剤を含有する液状樹脂組成物(重合性液状樹脂組成物)は、液状可塑剤中、(メタ)アクリル系モノマーを途中まで又は完全にラジカル重合させた後(ラジカル重合工程)、必要に応じて(メタ)アクリル系モノマー及び/又は液状可塑剤を追加すること(調製工程)によって製造できる。
以下、詳細に説明する。
[ラジカル重合工程]
ラジカル重合工程は、本発明によって最も重要な工程であり、(メタ)アクリル系モノマーとラジカル重合開始剤を含む液状可塑剤中で、(メタ)アクリル系モノマーをラジカル重合させて液状樹脂組成物(アクリルシラップ)を製造する点が最も大切である。液状可塑剤は、可塑性(柔軟性)が求められる用途(例えば、熱伝導性材料など)では必須の成分であり、この液状可塑剤を使用する点には何ら問題がなく、簡便に無溶媒とすることができる。しかもこの液状可塑剤中で、(メタ)アクリル系モノマーをラジカル重合させると、特殊な触媒を使用しなくても、メタクリル系モノマーのみならずアクリル系モノマーであっても暴走することなく重合させることができる。アクリル系樹脂は、メタクリル系樹脂に比べて柔軟性(可塑性)に優れているため、アクリル系モノマーをも重合できることは可塑性が求められる用途(熱伝導性材料など)にとっては極めて重要である。
しかも液状可塑剤中でラジカル重合させれば、該重合反応を途中で停止することもでき、(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリル系ポリマー、及び液状可塑剤を含有する液状樹脂組成物を簡便に製造できる。なお後述する調製段階において、必要に応じて、ラジカル重合を途中で中止させた後又は完了させた後に、(メタ)アクリル系モノマー又は液状可塑剤を追加して、液状樹脂組成物の成分比を調製してもよい。
ラジカル重合段階における(メタ)アクリル系モノマーの重合率(原料モノマーが重合によって消費された割合)は、必要な(メタ)アクリル系ポリマーが得られる限り特に限定されず、例えば、20モル%以上、好ましくは25モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上である。過剰に重合させた場合には、後述するように重合終了後に適宜(メタ)アクリル系モノマーを追加することによって、目的とする液状樹脂組成物(アクリルシラップ)中における(メタ)アクリル系モノマーの割合を後述する所定の範囲に制御できるため、重合率の上限は特に限定されず、100モル%程度であってもよい。なお(メタ)アクリル系モノマーの追加を行わない場合には、重合終了段階で目的とする液状樹脂組成物(アクリルシラップ)中における(メタ)アクリル系モノマーの割合が後述の所定範囲になるように重合率を設定すればよいが、例えば、80モル%以下(好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下)程度としてもよい。なお(メタ)アクリル系モノマーとして複数のモノマーを使用する場合には、合計の消費割合で重合率を設定してもよいが、通常は、主となる一つの(メタ)アクリル系モノマーが他の(メタ)アクリル系モノマーに比べて大過剰となっているため、該主となる(メタ)アクリル系モノマーの消費割合によって重合率を設定するのが簡便である。
前記重合率は、重合終了後の反応液中の残存(メタ)アクリル系モノマー量を測定し、下記式によって算出される。
重合率(%)=[1−残存(メタ)アクリル系モノマー量/仕込み(メタ)アクリル系モノマー量]×100
得られる(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、通常0℃以下程度、好ましくは−30℃以下程度、さらに好ましくは−40℃以下程度である。ガラス転移温度が低いほど、液状樹脂組成物を硬化した最終品の柔軟性を高めることができる。そのため熱伝導性材料にするときの利用価値を高めることができる。またガラス転移温度の低い(メタ)アクリル系ポリマーは、単独ではべたつき感があるため、ハンドリング性を維持するためには溶剤と混合する必要があるところ、本発明の方法によればガラス転移温度の低い(メタ)アクリル系ポリマーであっても、液状可塑剤と混合されているため、ハンドリング性を低下させることなく実質的に無溶媒とすることができる。なおガラス転移温度は、示差走査熱量計によって測定できる。
(メタ)アクリル系ポリマーの分子量は、重合率などによって大きく異なり、特に限定されるものではないが、重量平均分子量Mwは、例えば、2万〜100万程度、数平均分子量Mnは、例えば、1万〜20万程度である。なお分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算)によって求めることができる。
液状可塑剤の割合は、該液状可塑剤と反応前の原料(メタ)アクリル系モノマー[すなわち重合後に追加する(メタ)アクリル系モノマーを含まない意味である]との合計(100質量%)に対して、例えば、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。特にアクリル系モノマーを重合させる場合には、重合時の暴走を防止できる範囲からその割合を設定することが重要であり、該液状可塑剤と反応前の原料(メタ)アクリル系モノマーとの合計(100質量%)に対して、例えば30質量%以上、好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上とすることが推奨される。一方、液状可塑剤の割合を抑制することは、液状樹脂組成物を硬化した最終品からの可塑剤のブリードアウトを防止する点で効果的である。液状可塑剤は、該液状可塑剤と反応前の原料(メタ)アクリル系モノマーとの合計(100質量%)に対して、例えば80質量%以下、好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下程度とすることが多く、特に液状可塑剤を低減すべき場合には50質量%以下(例えば40質量%以下)とすることも可能である。なお後述する調製工程で(メタ)アクリル系モノマーを追加する場合には、該追加によって液状樹脂組成物中の液状可塑剤の割合を低減できるため、ラジカル重合工程ではこの(メタ)アクリル系モノマーの追加量を考慮して液状可塑剤の上限を設定してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、所定の重合率で(メタ)アクリル系モノマーをラジカル重合可能である限り特に限定されず、ラジカル重合開始剤の種類に応じて適宜設定できるが、例えば、原料(メタ)アクリレート系モノマー100質量部に対して、例えば、0.01〜1質量部程度、好ましくは0.05〜0.7質量部程度、さらに好ましくは0.10〜0.5質量部程度である。なおラジカル重合開始剤は、必要により、適宜分割して添加してもよく、また液状可塑剤で希釈してから添加してもよい。液状可塑剤で希釈する場合、前記所定の液状可塑剤の使用量から、必要分を希釈用にまわす。
本発明では、必要に応じて連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤の使用量は適宜設定されるが、原料(メタ)アクリレート系モノマー100質量部に対して、例えば、0.01〜2質量部程度、好ましくは0.05〜1.5質量部程度、さらに好ましくは0.10〜1質量部程度である。
反応温度も適宜設定でき、例えば、40〜150℃程度、好ましくは50〜100℃程度の範囲から設定することが多い。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル類[例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、この(メタ)アクリル酸アルキルエステル類のアルキル基に官能基(例えば、ヒドロキシル基など)が置換したものなど;好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル類]が好適に使用できる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル類としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル類は、アルキル基が直鎖状(ノルマル)であるものに限られず、分岐鎖状のものであってもよく、例えばイソ型のものや、低級アルキル基(例えば、炭素数1〜3程度のアルキル基)が置換したもの[例えば、エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど]であってもよい。好ましい(メタ)アクリル酸アルキルエステル類には、アルキル基部分の炭素数(低級アルキル基が置換している場合には、合計の炭素数)が2〜18程度(好ましくは3〜15程度)のものが含まれる。
(メタ)アクリル系モノマーは、単独で使用してもよく複数を組み合わせて使用してもよい。(メタ)アクリル系モノマーを複数組み合わせる場合、複数の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを組み合わせてもよく、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類のアルキル基に官能基が置換したもの[以下、変成タイプと称する]とを併用してもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル類と変成タイプとを併用する場合、主となる(メタ)アクリル系モノマーに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を使用することが推奨される。
好ましい(メタ)アクリル系モノマーは、アクリル系モノマーである。アクリル系モノマーを用いると、得られるアクリル系樹脂硬化物(最終品)の柔軟性を高めることができる。そのため、例えば、熱伝導性材料などを製造する場合には、伝熱面積や追従性を高めることができ、利用価値を高めることができる。またアクリル系モノマーを用いることによって硬化物の柔軟性を高めることとすると、柔軟性に悪影響を与えることなく可塑剤の使用量を抑制でき、該可塑剤のブリードアウトを抑制できる。
液状可塑剤としては、非反応性の液状物質であって(メタ)アクリル系樹脂硬化物を可塑化できる限り特に限定されないが、例えば、温度25℃における粘度が1000mPa・S以下、800mPa・S以下、さらに好ましくは500mPa・S以下、特に300mPa・S以下程度のものが使用される。なお前記粘度(及び後述の粘度)は、例えば、(株)東京計器製のB型粘度計を用いて測定できる。下記表1は、このB型粘度計におけるローターNo.と回転数の組み合わせと、測定可能な粘度の上限値との関係を示したものであり、実際の測定粘度がこの上限値に近くなるほど、測定誤差を小さくできる。測定する樹脂のおおよその粘度が予め判っている場合には、この表1を参照しながら使用するローターNo.と回転数の組み合わせを決定する。一方、おおよその粘度が不明の場合にはローターNo.を大きい方から小さい方へ、また回転数を低速側から高速側へ変化させ、下記表1の関係を考慮しながら適切な範囲で測定する。
Figure 0003999751
液状可塑剤としては、例えば、含塩素可塑剤、エポキシ系可塑剤、エステル系可塑剤[例えば、フタル酸エステル類、トリメリット酸エステル類、ピロメリット酸エステル類などの芳香族カルボン酸エステル類;脂肪酸エステル類、脂肪族一塩基酸エステル類、脂肪族二塩基酸エステル類、リン酸エステル類など]、液状ゴム、常温(25℃)で液状である高分子系可塑剤(例えば重量平均分子量が5000以下程度の高分子系可塑剤、好ましくはポリエステル系可塑剤など)などが挙げられる。これら液状可塑剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記液状可塑剤は、室温で液状であればよいが、低温(例えば、−10℃程度、特に−20℃程度)でも液状であるのが好ましく、例えば凝固点が−10℃程度以下(好ましくは−20℃程度以下)であるもの、或いは凝固点がないものが推奨される。このような液状可塑剤は、低温で使用しても、可塑化効果を維持できる。
また好ましい液状可塑剤は、耐熱性に優れた液状可塑剤(特に、低温でも液状であり、耐熱性にも優れた液状可塑剤)も含まれる。耐熱性に優れた液状可塑剤を用いると、(メタ)アクリル系樹脂硬化物の耐熱性を高めることができる。そのため、例えば、熱伝導性材料などのように熱環境下で使用される硬化物であっても、熱によって可塑性が低下していくのを防止でき、このような硬化物の利用価値を高めることができる。
耐熱性に優れた液状可塑剤としては、例えば、温度150℃で3時間保持した後の質量減量[=(保持前の質量−保持後の質量)/保持前の質量]が、5質量%以下(好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下)となるものが使用できる。
耐熱性に優れた液状可塑剤は、芳香族環(特にベンゼン環)を有する液状可塑剤から選択されることが多く、例えば、フタル酸エステル類としては、フタル酸ジデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジドデシルなどのフタル酸ジC8-15アルキルエステル類(好ましくはフタル酸ジC9-13アルキルエステル類)などが該当することが多い。またトリメリット酸エステル類としては、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリノニル、トリメリット酸トリデシルなどのトリメリット酸トリC7-14アルキルエステル類(好ましくはトリメリット酸トリC8-12アルキルエステル類)などが該当することが多く、ピロメリット酸エステル類としては、ピロメリット酸テトラオクチルなどのピロメリット酸テトラC6-13アルキルエステル類(好ましくはピロメリット酸テトラC7-10アルキルエステル類)などが該当することが多く、リン酸エステル類としては、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェートなどのようなベンゼン環にC1-3アルキル基が置換していてもよいトリフェニルホスフェート類が該当することが多い。これら耐熱性に優れた液状可塑剤は、市販されているものを使用してもよく、例えば、フタル酸ジノルマルデシル[花王(株)製のビニサイザー105など]、フタル酸ジC10-12アルキル[花王(株)製のビニサイザー124など]、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシルトリメリテート[花王(株)製のトリメックスT−08など]、トリメリット酸トリオクチル[旭電化工業(株)製のアデカサイザーC−8など]、トリメリット酸トリノルマルオクチル[花王(株)製のトリメックスN−08、トリメックスNew−NSK;旭電化工業(株)製のアデカサイザーC−880など]、トリメリット酸トリイソノニル[旭電化工業(株)製のアデカサイザーC−9Nなど]、トリメリット酸トリイソデシルトリメリテート[花王(株)製のトリメックスT−10;旭電化工業(株)製のアデカサイザーC−10など]、トリメリット酸混合アルコールエステル[旭電化工業(株)製のアデカサイザーC−79、アデカサイザーC−810など]、ピロメリット酸テトラオクチル[旭電化工業(株)製のアデカサイザーUL−80など]、ピロメリット酸混合アルコールエステル[旭電化工業(株)製のアデカサイザーUL−100など]、クレジルジフェニルホスフェート[味の素ファインテクノ(株)製のクロニテックスCDPなど]、トリクレジルホスフェート[味の素ファインテクノ(株)製のクロニテックスTCPなど]、トリキシレニルホスフェート[味の素ファインテクノ(株)製のクロニテックスTXPなど]などが例示できる。
これら耐熱性に優れた液状可塑剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、有機過酸化物などが挙げられる。ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記アゾ系開始剤には、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロ二トリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)類、、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリルなどが含まれる。
前記有機過酸化物には、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール類;t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシピバレートなどのアルキルパーエステル類;t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサンなどのパーカーボネート類などが含まれる。
連鎖移動剤としては、公知の種々の連鎖移動剤が使用でき、例えば、α−メチルスチレンダイマー、四塩化炭素、チオール化合物(例えば、n−ドデシルメルカプタンなど)などが挙げられる。
[調製工程]
調製工程では、上記のようにして得られる重合反応混合物に、必要に応じて(メタ)アクリル系モノマー、液状可塑剤などを添加する。成分を適切に調製することによって液状樹脂組成物を得ることができる。なお本発明ではラジカル重合を途中で停止できるため、調製工程は必ずしも必要ではなく、重合反応混合物をそのまま液状樹脂組成物として使用してもよい。
このような液状樹脂組成物は、ラジカル重合によって硬化(網目構造化)することができ、非ラジカル型架橋剤で硬化させた場合に比べて、樹脂硬化物の耐熱分解性を高めることができる。また(メタ)アクリル系モノマーが液状樹脂組成物の希釈剤として利用できるため、低粘度を満足したままで容易に可塑剤の比率を低減できる。これに対して、非ラジカル重合型架橋剤で硬化させる場合には、低粘度化に寄与し得るのは実質的に液状可塑剤だけであるため、該液状可塑剤を低減するのが困難である。すなわち本発明の液状樹脂組成物によれば、可塑剤比率を容易に低減できるため、(メタ)アクリル系樹脂最終品(硬化物)からの可塑剤のブリードアウトも抑制することができる。特にアクリル系モノマーを用いてアクリル系樹脂硬化物とした場合には、アクリル系とすることによって柔軟性が高められているために、可塑剤比率を低減しても樹脂硬化物(最終品)として求められる所定の柔軟性を確保できる。そのため柔軟性を維持しながらブリードアウトを抑制でき、極めて効果的である。
特に好ましい液状樹脂組成物には、ガラス転移温度が0℃以下であるアクリル系ポリマー、アクリル系モノマー、及び液状可塑剤を含有し、溶剤並びにイソシアネート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を実質的に含有していない組成物が含まれる。
液状可塑剤の割合は、(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリル系モノマー、及び液状可塑剤の合計質量に対して、例えば、70質量%以下、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下程度である。液状可塑剤の割合が少ないほど、(メタ)アクリル系樹脂硬化物からの可塑剤のブリードアウトを防止できる。液状可塑剤の割合は、当初からの液状可塑剤の使用量を抑制したり、重合後の(メタ)アクリル系モノマーを追加したりすることによって低減できる。なお液状可塑剤の割合は、(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリル系モノマー、及び液状可塑剤の合計質量に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上程度である。可塑剤が不足すると、得られる硬化物の柔軟性が不足して、例えば該硬化物を熱伝導性材料とする場合に該シートの価値が低減する。
(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、例えば10質量部以上、好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上である。(メタ)アクリル系モノマーが少なすぎると[すなわち(メタ)アクリル系ポリマーが多すぎると]、液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎることがある。そのため該液状樹脂組成物を適切な形状(例えば、シート状)にして硬化する際に作業性が低下し、また得られる硬化物の表面平滑性が低下することがある。一方、(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、500質量部以下、好ましくは400質量部以下、さらに好ましくは300質量部以下である。(メタ)アクリル系モノマーが多すぎると、液状樹脂組成物を硬化するときに、樹脂と液状可塑剤が分離しやすくなる。
前記液状樹脂組成物には、必要に応じて、多官能性モノマーを添加してもよい。該多官能性モノマーは、複数のエチレン性二重結合を有する化合物であり、例えば、多官能性(メタ)アクリル系モノマー、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレートなどが挙げられる。前記多官能性(メタ)アクリル系モノマーには、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート類(好ましくは、C2-8アルカンジオールジ(メタ)アクリレート);トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのテトラ(メタ)アクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの前記ジ、トリ、及び/又はテトラ(メタ)アクリレート類の縮合物などが含まれる。前記多官能性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
多官能性モノマーの量は、(メタ)アクリル系モノマー及び(メタ)アクリル系ポリマーの合計100質量部に対して、例えば、5質量部以下、好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下程度である。
また前記液状樹脂組成物には、必要に応じて、重合禁止剤、強化繊維、有機充填剤、低収縮化剤、離型剤、増粘剤、消泡剤、湿潤分散剤、揺変化剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、難燃化剤、顔料、磁性体、耐電防止剤、電磁波吸収剤、熱硬化性樹脂などを本発明の目的を逸脱しない範囲で、添加してもよい。
なお前記液状樹脂組成物は、非ラジカル型架橋剤(イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤など)を実質的に含有しない方が本発明の効果がより鮮明となるが、本発明の目的を逸脱しない範囲で、副次的に非ラジカル型架橋剤を添加してもよい。
液状樹脂組成物の粘度は、該組成物の用途に応じて適宜設定できるが、例えばシート状物、テープ状物などを製造する場合には作業性を考慮して低粘度のものが好まれる。特に放熱材料用熱伝導シートを製造する場合には、後述するように、液状樹脂組成物に熱伝導性充填剤を添加して熱伝導性を高めることが推奨される。熱伝導性充填剤を添加すると液状樹脂組成物の粘度が著しく高くなるため、作業性を考慮すると熱伝導性充填剤を添加する前の液状樹脂組成物の粘度を十分に低くしておくことが求められる。熱伝導性充填剤を添加する前の液状樹脂組成物の粘度(温度25℃)は、例えば、5000mPa・S以下、好ましくは3000mPa・S以下、さらに好ましくは2200mPa・S以下程度が推奨される。特にアクリル系液状樹脂組成物の場合には、低粘度化が容易であり、例えば、1000mPa・S以下程度、好ましくは500mPa・S以下程度、さらに好ましくは300mPa・S以下程度とすることができる。
上記のようにして得られる液状樹脂組成物は、さらにラジカル重合開始剤を添加することによって硬化させることができ、最終品とすることができる。該最終品は幅広い範囲を対象とするものであり、特に限定するものではないが、熱伝導用(放熱用)の最終品(熱伝導性材料)とするのが望ましい。熱伝導性材料は、シートとするのが通常であるが、流動体(パテ状、水飴状など)であってもよい。
液状樹脂組成物を熱伝導性材料に使用する場合、液状樹脂組成物に熱伝導性充填剤を添加した後で、硬化するのが推奨される。熱伝導性充填剤は熱伝導性材料の熱伝導性を高めるのに有効である。熱伝導性充填剤としては、例えば、無機系充填物(酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化珪素などの酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物;炭化珪素などの炭化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素など窒化物など)、金属系充填物[銀、銅、アルミニウム、鉄、亜鉛、ニッケル、錫、及びこれらの合金(例えば銅−錫合金など)など]、炭素質充填物(カーボン、グラファイトなど)などが挙げられ、無機系充填物を使用することが多い。前記熱伝導性充填剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
熱伝導性充填剤の形状は特に限定されず、球状、鱗片状、繊維状、破砕状などの種々の形状のものが使用できる。
前記熱伝導性充填剤としては、熱伝導率に優れたものを使用するのが推奨される。例えば、熱伝導率が20W/m・k以上程度のものを使用することが推奨される。熱伝導率は、充填物を焼結した後、ホットディスク法による熱伝導率測定装置(京都電子工業株式会社製の「TPA−501」など)を用いて測定できる。
熱伝導性充填剤を添加する場合、液状樹脂組成物の主要成分[(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリル系ポリマー、液状可塑剤]の合計100質量部に対して、例えば、50〜1500質量部程度、好ましくは100〜1300質量部程度添加することが推奨される。
なお前記ラジカル重合開始剤としては、上述したものと同様のものが使用できる。またラジカル重合開始剤と共に、硬化促進剤、硬化促進助剤などを併用してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
製造例1〜7
温度計、攪拌機、ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えたガラス製容器に、第1の(メタ)アクリル系モノマー[及び必要に応じて第2の(メタ)アクリル系モノマー]、第1の液状可塑剤、連鎖移動剤を仕込み、窒素ガスで反応容器内の気相部分の酸素濃度が0.1質量%以下となる様に置換した(仕込み段階)。所定温度(A)に昇温し、必要に応じて希釈用液状可塑剤で希釈した重合開始剤を滴下ロートから所定時間かけて滴下した(反応開始段階)。次いで所定温度(B)で所定時間、攪拌を継続した(反応継続段階)。必要に応じてさらに重合開始剤を追加し、所定温度(C)で所定時間攪拌を継続した(反応熟成段階)。空気を吹き込み、冷却することによって重合を終了させ、ポリマーA〜Gなどを含有する混合物A〜Gを得た。なおいずれの例でも、重合反応の暴走はなかった。詳細は下記表2の通りである。
Figure 0003999751
表2中、重合率は、ガスクロマトグラフィー(GC)によって残存する第1の(メタ)アクリル系モノマー量を算出することによって求めた。
調製例1〜7
上記混合物A〜Fを種々の他の物質と下記表3に示す割合で混合し、下記表3に示す組成の(メタ)アクリル系液状樹脂組成物A〜Gを調製した。なおこれら(メタ)アクリル系液状樹脂組成物のうち、(メタ)アクリル系モノマーを実質的に含有していないもの(0.02質量%程度)は非ラジカル型架橋剤で硬化させるものであるため、“架橋用”に分類する。一方、(メタ)アクリル系モノマーを実質的に含有するものはラジカル重合(熱重合)によって硬化させるものであるため、“重合性”と称する。
Figure 0003999751
実施例1
メタクリル系重合性液状樹脂組成物A100質量部、ラジカル重合開始剤としてのt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(化薬アクゾ株式会社製、商品名「トリゴノックス121−50E」)1質量部、消泡剤(ビックケミー社製、商品名「A−515」)0.1質量部、酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、品番「AS−10」;熱伝導率30W/m・k)400質量部を均一に混練した後、脱泡した。離型処理を施したPETフィルムを底に敷いたガラスセルに、厚さが1mmとなるように前記脱泡物を注ぎ入れ、温度100℃のオーブンで1時間、次いで温度120℃で1時間加熱して重合(硬化)させた。
実施例2〜5
メタクリル系重合性液状樹脂組成物Aに代えてアクリル系重合性液状樹脂組成物B〜Eを用いる以外は、実施例1と同様にした。
比較例1
アクリル系架橋用液状樹脂組成物F100質量部、架橋剤としてのヘキサメチレンジイソシアネート0.35質量部、ウレタン反応促進剤としてのジブチル錫ジラウリレート0.05質量部、消泡剤(ビックケミー社製、商品名「A−515」)0.1質量部、酸化アルミニウム(昭和電工株式界社製、品番「AS−10」;熱伝導率30W/m・k)400質量部を均一に混練した後、脱泡した。離型処理を施したPETフィルムを底に敷いたガラスセルに、厚さが1mmとなるように前記脱泡物を注ぎ入れ、温度80℃のオーブンで1時間、次いで温度100℃で1時間加熱して架橋(硬化)させた。
比較例2
アクリル系架橋用液状樹脂組成物Fに代えてアクリル系架橋用液状樹脂組成物Gを用いる以外は、比較例1と同様にした。
実施例1〜5及び比較例1〜2で得られたシート状硬化物を以下のようにして評価した。
[耐熱性]
シート状硬化物を温度130℃のオーブンで168時間加熱し、加熱前後の質量、熱伝導率、硬度をそれぞれ調べた。詳細は、以下の通りである。
1)質量
加熱前後の質量を測定し、下記式に基づいて質量減量を算出した。
質量減量(%)=(加熱前質量−加熱後質量)/加熱前質量×100
2)熱伝導率
シート状硬化物を厚さ10mmまで積層し、京都電子工業株式会社製の迅速熱伝導率計(品番「QTM−500」)を用いて、該積層物の温度25℃における熱伝導率を測定した。
3)硬度
シート状硬化物を厚さ10mmまで積層し、該積層物の硬度を、JIS K 7312に準じて、高分子計器株式会社製のアスカーゴム硬度計C型を用いて測定した。
[耐熱分解性]
シート状硬化物の加熱(130℃)を、加熱時間が504時間になるまでさらに継続し、加熱後の硬度を前記と同様にして調べた。
結果を表4に示す。
Figure 0003999751
架橋用液状樹脂組成物F及びGは、液状可塑剤を76〜77質量%と大量に含むにも拘わらず既に粘度が1550〜1950mPa・Sもあるため、さらなる液状可塑剤の削減は困難である(表3参照)。しかもこれら架橋用液状樹脂組成物F及びGを用いた比較例1〜2は架橋硬化タイプであるため、高温(130℃)で極めて長い時間(504時間)加熱するとシートが熱分解してブリードが発生した(表4参照)。従って、耐熱分解性の向上余地がある。
これに対して重合性液状樹脂組成物A〜Eは、架橋用液状樹脂組成物F及びGと同程度以下の粘度を維持しながら、液状可塑剤の使用量を抑制できている(表3参照)。特にメタクリル系液状樹脂組成物Aに比べて、アクリル系液状樹脂組成物B〜Eは、さらなる低粘度化を達成できている(表3参照)。また液状樹脂組成物A〜Eは、特殊な触媒や溶剤を実質的に使用することなく製造できている。特にアクリル系液状樹脂組成物B〜Eを、特殊な触媒や溶剤を実質的に使用することなく製造できている点は、注目に値する。
しかも重合性液状樹脂組成物A〜Eは、高温で極めて長い時間加熱してもブリードが発生せず、耐熱分解性に優れている(表4参照)。特に液状可塑剤として耐熱性に優れたトリメリット酸エステルを含有する重合性液状樹脂組成物A〜Dは、加熱後の熱変化(特に質量減量)が少なく、より耐熱性に優れている(表4参照)。

Claims (2)

  1. (メタ)アクリル系モノマーとラジカル重合開始剤を含む液状可塑剤中で、(メタ)アクリル系モノマーをラジカル重合させる工程を含み、前記液状可塑剤は、温度150℃で3時間保持した後の質量減量が、5質量%以下であることを特徴とする、(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリル系モノマー、及び液状可塑剤を含む重合性液状樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記(メタ)アクリル系モノマーをラジカル重合させる工程において、前記液状可塑剤の割合は、前記(メタ)アクリル系モノマーと前記液状可塑剤との合計100質量%に対して5質量%〜80質量%である請求項1に記載の重合性液状樹脂組成物の製造方法。
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