JP3999086B2 - 重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸価の高い重合体から誘導される重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法に関する。本発明の製造方法で得られるこの重合体は、熱硬化性樹脂や感光性樹脂の分野において有用なものである。特に、感光性樹脂の分野、より詳細には、カラーフィルタやフォトリソスペーサ、カラーフィルタ用保護膜用の感光性樹脂組成物のバインダーポリマーとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
重合性不飽和二重結合を含有する重合体は、当該二重結合が有する高い反応性を利用できるため、各種技術分野において有用なものであり、例えば、熱硬化性樹脂として用いられたり、感光性樹脂組成物のバインダーポリマーとして用いられたりしている。
この重合性不飽和二重結合を含有する重合体は、一般に、カルボキシル基等の酸基を有する重合体に対して重合性不飽和二重結合を含む化合物を付加反応させることにより得ることができる。従って、二重結合量の多い重合性不飽和二重結合含有重合体を合成する場合には、その前駆体ポリマーである酸基を有する重合体中の酸基の量を増やす必要がある。特に、二重結合量の多い重合性不飽和二重結合含有重合体は、熱硬化性樹脂や感光性樹脂組成物のバインダーポリマーとして有用なものであるため、酸基の量が多い重合体の製造は非常に重要な技術である。
【0003】
従来、酸基を有する重合体や対応する重合性不飽和二重結合含有重合体を製造する際に用いられる溶媒としてはエチレン系グリコールエーテル等がよく用いられていたが、人体に与える安全面での影響が懸念されているため、最近では安全性の高いプロピレン系グリコールのエステル系溶媒やケトン系溶媒が多く用いられるようになってきている(例えば、特許文献1や特許文献2を参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−195350号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−337450号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの溶媒は、酸基の量が非常に多い重合体、特に、酸価が200mg・KOH/g以上の高酸価重合体の溶解力が弱く、これらの溶媒を用いて高酸価重合体や対応する重合性不飽和二重結合含有重合体を製造すると、重合体が析出・分離したり、粘度が非常に高くなって攪拌が困難になったりする。このため、特殊な高粘度対応装置が必要となるなど、工業的に製造する際の障壁が大きい。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、熱硬化性樹脂や感光性樹脂組成物のバインダーポリマーとして有用な、酸価が200mg・KOH/g以上の高酸価重合体に対応する重合性不飽和二重結合含有重合体を、工業的に問題なく容易に製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、酸価が200mg・KOH/g以上の高酸価重合体およびそれに対応する重合性不飽和二重結合含有重合体を製造する際に用いる溶媒として、エステル系溶媒および/またはケトン系溶媒の特定量と、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒の特定量とを含む混合溶媒を用いれば、重合体の析出・分離や粘度の上昇を抑制することができ、工業的に問題なく容易に製造できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明にかかる重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法は、酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体の酸基に、エポキシ基、オキサゾリン基、および水酸基から選ばれる少なくとも1種と重合性不飽和二重結合を含む化合物を付加させて、重合性不飽和二重結合含有重合体を製造する方法であって、前記高酸価重合体は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒および/またはケトン系溶媒を50〜99重量%、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1〜50重量%含む混合溶媒を重合に使用して得られたものであり、前記混合溶媒を前記付加反応に際してもそのまま用いる、ことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明によって酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体を製造する際の原料である単量体成分としては、必須成分として酸基を有する単量体を含み、さらに(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましく、さらに必要に応じて共重合可能な他の単量体を含む。
本発明によって得られる高酸価重合体は、酸価が200mg・KOH/g以上であれば特に限定されないが、特に好ましくは、酸価が200mg・KOH/g以上であるカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体である。
【0010】
必須成分としての酸基を有する単量体としては、特に限定はされないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸モノエステル等のカルボキシル基を有するモノマー、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸や無水イタコン酸等の酸無水物基を有するモノマー、リン酸基を有するモノマー、スルホン酸基を有するモノマー、フェノール基を有するモノマー等が挙げられる。これらの中でも特に好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0011】
前記単量体成分中における酸基を有する単量体の割合は、特に制限されないが、好ましくは全単量体成分中、20〜80重量%、より好ましくは全単量体成分中、30〜65重量%であるのがよい。酸基を有する単量体の量が多すぎると、得られる重合体のアルカリ溶解性が過剰となると同時に、溶媒溶解性や他組成物との相溶性の低下や、粘度の増大を招き、例えば、感光性樹脂組成物としたときに、現像性、透明性、作業性が低下することがある。一方、少なすぎると、アルカリ可溶性が不足するため、例えば、感光性樹脂組成物としたときに現像性が低下する恐れがある。
【0012】
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルアクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、オキセタンアクリレート、オキセタンメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類が挙げられる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記単量体成分中における(メタ)アクリル酸エステルの割合は、特に限定されないが、好ましくは全単量体成分中、0〜80重量%、より好ましくは全単量体成分中、0〜70重量%であるのがよい。
前記共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデン等の芳香族ビニル化合物、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド等の不飽和アミド類、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等の不飽和イミド類、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類、ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類などが挙げられる。これらは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記単量体成分中における前記共重合可能な単量体の割合は、特に限定されないが、30重量%以下であるのが好ましく、20重量%以下であるのがより好ましく、10重量%以下であるのがさらに好ましい。
本発明においては、前記単量体成分を溶液重合することにより高酸価重合体を得る。なお、重合温度、重合時間は、使用する単量体成分の種類、比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度0〜150℃、重合時間0.5〜20時間、より好ましくは、重合温度80〜150℃、重合時間1〜15時間、さらに好ましくは、重合温度80〜140℃、重合時間1〜10時間であるのがよい。
【0015】
前記重合反応時の単量体成分の投入方法は、特に制限されず、全量一括仕込みしてもよいし、一部を一括仕込みして残りを滴下しても良いし、全量を滴下しても良いが、発熱量の制御の点で、一部を一括仕込みして残りを滴下するか、あるいは全量を滴下するのが好ましい。
本発明においては、重合に使用する溶媒として、特定の混合溶媒を用いることを特徴とする。
すなわち、重合に使用する溶媒として、沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒および/またはケトン系溶媒を50〜99重量%、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1〜50重量%含む混合溶媒を用いる。
【0016】
ここで、前記エステル系溶媒は、エステル系結合以外にエーテル結合を有することができる。また、前記エーテル系溶媒とは、エステル系結合を持たないものを意味する。
沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート等のプロピレングリコール系アセテート類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のエチレングリコール系アセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ギ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸i−プロピル、酪酸エチル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル、酢酸3−メトキシブチルが挙げられる。
【0017】
沸点が80〜250℃の範囲であるケトン系溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
これら沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒および/またはケトン系溶媒の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、酢酸3−メトキシブチル、シクロヘキサノンが、溶媒の安全性や、熱硬化性樹脂または感光性樹脂組成物とした後の基材に対する塗布性、乾燥性が優れるため、好ましい。
【0018】
本発明で用いる混合溶媒としては、上記の沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒および/またはケトン系溶媒を50〜99重量%、好ましくは55〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%含む。上記の沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒および/またはケトン系溶媒の含有割合が50%に満たない場合は、溶媒の安全性の問題が生じたり、熱硬化性樹脂または感光性樹脂組成物とした後の基材に対する塗布性、乾燥性が悪くなる可能性があるために好ましくない。また、上記の沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒および/またはケトン系溶媒の含有割合が99%を超える場合には、高酸価重合体を溶解できなくなり、重合体が析出したり分離する場合や、重合液が高粘度となって攪拌が困難となる場合があるために好ましくない。
【0019】
エーテル系溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば、炭素数1〜8のアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、グリセリン、グリセリンモノアルキルエーテル、グリセリンジアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0020】
ピロリドン系溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−プロピルピロリドンなどが挙げられる。
本発明で用いる混合溶媒としては、上記のエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1〜50重量%、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは10〜40重量%含む。上記のエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒の含有割合が1%に満たない場合は、高酸価重合体を溶解できなくなり、重合体が析出したり分離する場合や、重合液が高粘度となって攪拌が困難となる場合があるために好ましくない。また、上記のエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒の含有割合が50%を超える場合には、溶媒の安全性の問題が生じたり、熱硬化性樹脂または感光性樹脂組成物とした後の基材に対する塗布性、乾燥性が悪くなる可能性があるために好ましくない。
【0021】
これら溶媒は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。溶媒の量は、特に制限されないが、例えば、全量の5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは30〜75重量%とするのがよい。
重合時には、必要に応じて、通常用いられる重合開始剤を添加してもよい。開始剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物;等が挙げられる。これらの中でも、分解温度、入手のし易さ、取扱い易さ等の点からは、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が好ましい。これらは、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。なお、開始剤の投入方法は、特に制限されず、全量一括仕込みしてもよいし、一部を一括仕込みして残りを滴下してもよく、全量を滴下してもよい。また、前記単量体成分とともに滴下すると、反応の制御が容易となるので好ましく、さらに単量体成分滴下後も添加すると、残存モノマーを低減できるので好ましい。
【0022】
前記重合反応時には、分子量調整のために、必要に応じて、通常用いられる連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、n−ドデカンチオール等のチオール系連鎖移動剤や、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられるが、好ましくは、連鎖移動効果が高く、残存モノマーを低減でき、入手も容易なn−ドデカンチオールがよい。
前記重合反応時には、前記単量体成分、重合開始剤、連鎖移動剤の投入後、必要に応じて熟成を行うことが好ましい。
本発明にかかる高酸価重合体の製造方法で得られる重合体の重量平均分子量は、1000〜100000であることが好ましく、より好ましくは3000〜75000、さらに好ましくは5000〜50000であるのがよい。重合体の重量平均分子量が大きすぎると、アルカリ可溶性や他の化合物との相溶性が低下し、感光性樹脂組成物としたときの現像性や透明性が低下する傾向がある。一方、重量平均分子量が小さすぎると、アルカリ可溶性が強すぎるため、感光性樹脂組成物としたときの現像性が低下したり、硬化後の強度が低下する傾向がある。
【0023】
本発明にかかる高酸価重合体の製造方法によって製造する高酸価重合体の酸価は、200mg・KOH/g以上である。本発明によれば、このように酸価が200mg・KOH/g以上という高酸価重合体を製造する場合の、重合体の析出・分離や、粘度の上昇、攪拌が困難になるという問題を回避することができる。本発明は、さらに、酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体の酸基に、エポキシ基、オキサゾリン基、および水酸基から選ばれる少なくとも1種と重合性不飽和二重結合を含む化合物を付加させて、重合性不飽和二重結合含有重合体を製造する方法をも提供する。
【0024】
本発明によって製造できる重合性不飽和二重結合含有重合体は、酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体の側鎖に重合性不飽和二重結合を導入することにより得られるものである。前記酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体の側鎖に重合性不飽和二重結合を導入する方法としては、前記酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体を得た後、酸基に重合性不飽和二重結合を有する化合物を付加させる。
本発明にかかる重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法で用いることができる酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体は、特に限定されないが、好ましくは、本発明にかかる高酸価重合体の製造方法で得られる酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体であり、酸価が200mg・KOH/g以上であるカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体が特に好ましい。
【0025】
前記重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、酸基と反応する官能基と重合性不飽和二重結合との両方を有することが必要である。
酸基と反応する官能基としては、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基が挙げられる。重合性不飽和二重結合としては、得られる重合体の反応性の点から(メタ)アクリロイル基の有する二重結合が好ましく挙げられる。
エポキシ基、オキサゾリン基、および水酸基から選ばれる少なくとも1種と重合性不飽和二重結合を含む化合物としては、具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコールなどの水酸基と二重結合を有する化合物;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基と二重結合を有する化合物;ビニルオキサゾリン、イソプロペニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基と二重結合を有する化合物;等が挙げられるが、これらの中でも、反応性が高く、反応のコントロールがしやすく、入手が容易で、しかもラジカル重合性二重結合だけでなく同時に水酸基も導入できる点から、(メタ)アクリル酸グリシジルや(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチルが好ましい。
【0026】
エポキシ基、オキサゾリン基、および水酸基から選ばれる少なくとも1種と重合性不飽和二重結合を含む化合物の付加量は、前記酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体100重量部に対して、好ましくは5〜120重量部、より好ましくは10〜80重量部とするのがよい。少なすぎると、重合性不飽和二重結合が充分に導入できず、一方、多すぎると、付加反応時にゲル化し易いうえ、粘度が大きくなりすぎ作業性が低下する恐れがあり、しかも分子量が大きくなりすぎて感光性樹脂組成物としたときに現像性の低下をもたらすことになる。
【0027】
エポキシ基、オキサゾリン基、および水酸基から選ばれる少なくとも1種と重合性不飽和二重結合を含む化合物を付加させる際の反応条件としては、温度は50℃〜150℃が好ましく、80℃〜140℃がさらに好ましく、90℃〜120℃が最も好ましい。温度が上記範囲より低いと、付加反応が充分進行しない恐れがあり、一方、上記範囲より高いと、付加反応時にゲル化が起こりやすい。また、反応時間は0.5〜24時間が好ましく、1〜15時間がさらに好ましい。前記付加反応時には、必要に応じて、公知の触媒を使用することができる。触媒としては、例えば、付加させる化合物がエポキシ基を有する場合には、トリエチルアミン等の3級アミンが好ましい。触媒の使用量は、前記酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体に対して、0.01〜30重量%が好ましく、0.05〜5重量%がさらに好ましく、0.1〜2重量%が最も好ましい。触媒の使用量が上記範囲を下回ると、付加反応が充分進行しない恐れがあり、一方、上記範囲を超えて使用すると、得られる重合体が着色したり、触媒分が溶解せず沈殿したりする恐れがある。
【0028】
さらに、前記付加反応時には、禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、禁止剤を添加したりしてもよい。禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、禁止剤を添加したりすることにより、付加反応時のゲル化を防ぐことができる。禁止効果のあるガスとしては、系内物質の爆発範囲に入らない程度の酸素を含むガス、例えば、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガス、酸素/アルゴン=5/95(v/v)混合ガス、空気などが挙げられる。禁止効果のあるガスの導入方法および導入量は、特に制限されず、反応器の形態や付加反応の温度、付加させる化合物の量などに応じて、適宜設定すればよい。禁止剤としては、公知のものを使用することができ、特に制限はされないが、例えば、ヒドロキノン、メトキノン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,2’―メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェノチアジン等が挙げられる。これら禁止剤は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。使用する禁止剤の量としては、前記酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体と付加させる化合物の合計に対して0.005〜5重量%が好ましく、0.03〜3重量%がさらに好ましく、0.05〜1.5重量%が最も好ましい。禁止剤の量が少なすぎると、禁止効果が充分でない場合があり、一方、多すぎると、感光性樹脂組成物としたときの露光感度が低下する恐れがある。また、禁止効果のあるガスと禁止剤とを併用すると、使用する禁止剤の量を低減できたり、禁止効果を高めたりすることができるので、より好ましい。
【0029】
導入される重合性不飽和二重結合の量は、0.1〜5.0mmol/gであることが好ましく、0.5〜4.0mmol/gであることがさらに好ましい。二重結合の量が少ないと、感光性樹脂組成物としたときの露光感度が不足する場合があり、また硬化後の強度が低下する傾向がある。一方、二重結合の量が多すぎると、保存安定性が悪くなる傾向がある。
本発明にかかる重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法においては、前記付加反応に使用する溶媒が、前述の高酸価重合体の製造で用いた溶媒と同様に、沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒および/またはケトン系溶媒を50〜99重量%、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1〜50重量%含む混合溶媒であることを特徴とする。
【0030】
本発明にかかる重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法においては、酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体の製造において沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒および/またはケトン系溶媒を50〜99重量%、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1〜50重量%含む混合溶媒を用い、この溶媒を除去することなく引き続き重合性不飽和二重結合含有重合体の製造のための溶媒としてもよい。また、場合によっては、酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体の製造において用いた溶媒は完全除去あるいは一部除去した後に、新たに溶媒を添加し、重合性不飽和二重結合含有重合体の製造のための溶媒として沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒および/またはケトン系溶媒を50〜99重量%、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1〜50重量%含む混合溶媒としても良い。
【0031】
本発明にかかる重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法で得られる重合性不飽和二重結合含有重合体の重量平均分子量は、1000〜100000であることが好ましく、より好ましくは3000〜75000、さらに好ましくは5000〜50000であるのがよい。重量平均分子量が大きすぎると、アルカリ可溶性や他の化合物との相溶性が低下し、感光性樹脂組成物としたときの現像性や透明性が低下する傾向がある。一方、重量平均分子量が小さすぎると、アルカリ可溶性が強すぎるため、感光性樹脂組成物としたときの現像性が低下したり、硬化後の強度が低下する傾向がある。
【0032】
本発明にかかる重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法で得られる重合性不飽和二重結合含有重合体の酸価は、10〜500mg・KOH/gであることが好ましく、より好ましくは30〜300mg・KOH/g、さらに好ましくは50〜150mg・KOH/gであるのがよい。前記範囲よりも小さすぎると、アルカリ可溶性が不足して現像性を損なうことがある。一方、酸価が前記範囲よりも大きすぎると、アルカリ可溶性が強すぎて感光性樹脂組成物としたときの現像性が低下する傾向がある。
本発明にかかる重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法においては、前記付加反応の反応率が30%以上の時点で、前記混合溶媒中に含まれるエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒の少なくとも一部を除去することが好ましい。より好ましくは、反応率が60%以上の時点、さらに好ましくは、反応率が90%以上の時点で行う。除去方法としては特に限定されないが、例えば、系内の圧力を徐々に低下させて留去する方法、系内の温度を徐々に上昇させて留去する方法、系内に導入している前記禁止効果のあるガスの導入量を多くしていき、ガスと共に系外へ除去する方法が好ましく挙げられる。
【0033】
この除去操作を行うことによって、得られた重合性不飽和二重結合含有重合体中にエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒が存在することに起因する悪影響、例えば、安全性の低下や粘度調整の困難さなどが抑制できる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」の記載は、「重量部」を示し、「%」の記載は、「重量%」を示す。
(重量平均分子量)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(昭和電工(株)製「Shodex GPC System−21H」)を用い、ポリスチレン換算で測定した。
(酸価)
ヘキサン中で再沈して得られた重合体にアセトン/水(80ml/10ml)を加え、均一に溶解させた後、0.1mol/L−KOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(平沼産業(株)製、COM−555)を用いて測定した。
【0035】
(残存モノマー量)
ガスクロマトグラフ装置(島津(株)製「GC―14A」)を用い、各モノマーの検量線により定量した。
(高酸価重合体の製造例1)
混合溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/iso−プロピルアルコール=85/15(重量比)の混合液を調製した。
3Lセパラブルフラスコに混合溶媒46.1部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温した。滴下系1として、ベンジルメタクリレート(BzMA)7.8部、メタクリル酸メチル(MMA)7.8部、メタクリル酸(MAA)23.4部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(PBO;日本油脂製「パーブチルO」)0.8部を混合したものを、滴下系2として、n−ドデカンチオール1.6部と混合溶媒12.5部を混合したものを、それぞれ3時間かけて連続滴下した。その後、90℃で30分間保持した後、110℃に昇温し、さらに3時間重合反応を継続した。重合中、重合体の析出や分離はなく、安定的に反応を行うことができた。
【0036】
重合液をサンプリングし、分析を行ったところ、GC測定における未反応のBzMA、MMA、MAAは、それぞれ0.1%、0.2%、0.4%であり、GPCで測定した重量平均分子量は9000、ヘキサン中で再沈して得られた重合体の酸価は380mg・KOH/gであった。
(実施例1)
製造例1で得られた重合液に、グリシジルメタクリレート(GMA)25.8部、製造例1で調製した混合溶媒22.2部、重合禁止剤としてアンテージW400(川口化学製)0.1部、および、付加触媒としてトリエチルアミン0.2部を加え、110〜115℃で8時間、付加反応を行った。GCによる残存GMAモノマー測定から得られたGMAの反応率は99%であった。そして、系内を73327Pa(550torr)まで徐々に真空に制御しながらiso−プロピルアルコールを系外に流出させた。最終的なiso−プロピルアルコール濃度は0.3%であった。
【0037】
ヘキサン中で再沈して得られた重合体の酸価は76mg・KOH/g、GPCによる重量平均分子量は20000であった。
(高酸価重合体の製造例2)
混合溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)=80/20(重量比)の混合液を調製して用いた以外は製造例1と同様に行った。
重合液をサンプリングし、分析を行ったところ、GC測定における未反応のBzMA、MMA、MAAは、それぞれ0.1%、0.2%、0.4%であり、GPCで測定した重量平均分子量は11000、ヘキサン中で再沈して得られた重合体の酸価は385mg・KOH/gであった。
【0038】
(高酸価重合体の製造例3)
混合溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/エチレングリコールモノメチルエーテル=85/15(重量比)の混合液を調製した。
3Lセパラブルフラスコに混合溶媒46.1部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温した。滴下系1として、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)9.7部、メタクリル酸メチル(MMA)9.8部、メタクリル酸(MAA)19.5部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(PBO;日本油脂製「パーブチルO」)0.8部を混合したものを、滴下系2として、n−ドデカンチオール1.6部と混合溶媒12.5部を混合したものを、それぞれ3時間かけて連続滴下した。その後、90℃で30分間保持した後、110℃に昇温し、さらに3時間重合反応を継続した。重合中、重合体の析出や分離はなく、安定的に反応を行うことができた。
【0039】
重合液をサンプリングし、分析を行ったところ、GC測定における未反応のCHMA、MMA、MAAは、それぞれ0.3%、0.2%、0.2%であり、GPCで測定した重量平均分子量は9500、ヘキサン中で再沈して得られた重合体の酸価は322mg・KOH/gであった。
(高酸価重合体の製造例4)
混合溶媒として、酢酸3−メトキシブチル/エチレングリコールモノメチルエーテル=90/10(重量比)の混合液を調製して用い、また、ベンジルメタクリレート(BzMA)の使用量を11.7部、メタクリル酸メチル(MMA)の使用量を11.7部、メタクリル酸(MAA)の使用量を15.6部に変更した以外は製造例1と同様に行った。
【0040】
重合液をサンプリングし、分析を行ったところ、GC測定における未反応のBzMA、MMA、MAAは、それぞれ0.2%、0.2%、0.3%であり、GPCで測定した重量平均分子量は10000、ヘキサン中で再沈して得られた重合体の酸価は250mg・KOH/gであった。
(実施例2)
製造例4で得られた重合液に、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル16.5部、製造例1で調製した混合溶媒20.0部、重合禁止剤としてアンテージW400(川口化学製)0.1部、および、付加触媒としてトリエチルアミン0.2部を加え、110〜115℃で8時間、付加反応を行った。GCによる残存アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル測定から得られたアクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルの反応率は99%であった。
【0041】
ヘキサン中で再沈して得られた重合体の酸価は95mg・KOH/g、GPCによる重量平均分子量は22000であった。
(高酸価重合体の比較製造例1)
混合溶媒を用いる代わりに、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)を単独で使用した以外は製造例1と同様に行った。
重合反応開始直後から重合液は白濁し始め、1時間後からは重合体成分が凝集し始めた。重合開始2時間後には、凝集した重合体が攪拌翼に巻きついて攪拌が困難になり、それ以上の反応は続行が不可能であった。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、熱硬化性樹脂や感光性樹脂組成物のバインダーポリマーとして有用な、酸価が200mg・KOH/g以上の高酸価重合体およびそれに対応する重合性不飽和二重結合含有重合体を、工業的に問題なく容易に製造することができる。
Claims (2)
- 酸価が200mg・KOH/g以上である高酸価重合体の酸基に、エポキシ基、オキサゾリン基、および水酸基から選ばれる少なくとも1種と重合性不飽和二重結合を含む化合物を付加させて、重合性不飽和二重結合含有重合体を製造する方法であって、
前記高酸価重合体は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、沸点が80〜250℃の範囲であるエステル系溶媒および/またはケトン系溶媒を50〜99重量%、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1〜50重量%含む混合溶媒を重合に使用して得られたものであり、
前記混合溶媒を前記付加反応に際してもそのまま用いる、
ことを特徴とする、重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法。 - 前記付加反応の反応率が30%以上の時点で、前記混合溶媒中に含まれるエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ピロリドン系溶媒、DMSO、DMF、およびアセトニトリルから選ばれる少なくとも1種の溶媒の少なくとも一部を除去する、請求項1に記載の重合性不飽和二重結合含有重合体の製造方法。
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