JP3998702B2 - 癌治療のための薬剤 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、癌の抗体療法において抗体医薬の細胞傷害活性を高める効果を有するラクトフェリン加水分解混合物、又は当該ラクトフェリン加水分解混合物から分離することが可能なラクトフェリンの部分ペプチド、若しくは化学合成等によって調製することが可能なラクトフェリンの部分ペプチドを有効成分として含有する薬剤に関する。さらに詳しくは、抗体医薬に耐性を有する癌細胞への抗体医薬に対する感受性を高める効果を有する薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体が、特定の抗原を認識し、生体内から異物を排除する仕組みについては、古くから研究されている。一方、治療への抗体の応用は、免疫グロブリン製剤が有名であるが、力価が不十分であったり、未知の感染源を混入させてしまうなどの問題を抱えていた。
【0003】
Milstein及びKohler によるモノクローナル抗体の作製技術の発明は、様々な抗体技術に飛躍的な進歩をもたらした。ポストゲノムと呼ばれる今日では、腫瘍細胞や病原因子の持つ特異的な遺伝子やその発現産物が次々と明らかになり、それらを標的とした研究法、あるいはそれらを利用した治療法の開発に、抗体技術が大きく貢献している。そして、今後も抗体技術の発展に大きな期待と注目が集まっている。
【0004】
悪性腫瘍を標的にした抗体医薬は、分子標的治療の分野で、目覚ましい発展を遂げてきた。日本では承認された抗体医薬は未だ2品目のみではあるが、現在知られているだけでも、悪性リンパ腫(CD20、HLA-DR、CD5)、急性骨髄性白血病(CD33、CD66)、慢性リンパ球性白血病(CD52、CD20)、急性リンパ球性白血病(CD19、CD20、CD22)、多発性骨髄腫(Id-idiotype、HM1.24)、乳癌(HER2/neu)、上皮性癌(EGF-R、VEGF)、大腸癌(17-1A、CEA)、卵巣癌(CA125)などに対する抗体医薬がある(例えば、非特許文献1)。
【0005】
これら悪性腫瘍に対する抗体医薬の作用機序としては、大きく3つの機序が考えられている。すなわち、第1は、抗体が悪性腫瘍の細胞表面に結合すると、腫瘍細胞になんらかのシグナルが伝達され、細胞死を引き起こす機序である。第2は、生体内に存在するエフェクター細胞(好中球、マクロファージ、NK細胞など)が、抗原抗体反応で腫瘍細胞にとりついた抗体を認識して、細胞傷害活性により、腫瘍細胞を殺す機序である。第3は、生体内の補体成分が、抗原抗体反応で腫瘍細胞に取りついた抗体を認識して、補体系の活性化経路のうちの、古典経路によって細胞傷害作用を引き起こし、腫瘍細胞を殺すという機序である(例えば、非特許文献2)。
【0006】
抗体医薬の開発によって、多くの癌患者の命が救われたが、残念ながら、治療を行なう過程で、抗体医薬に耐性を持った悪性腫瘍が再発し、抗体医薬での治療が困難な患者も多数報告されるようになった。そこで、化学療法剤との併用などの治療法が検討されてきたが、副作用を防ぐための加療の制限などの問題を抱えていた(例えば、非特許文献3)。
【0007】
腫瘍細胞の抗体医薬に対する耐性獲得の機序として、補体制御因子と呼ばれる分子(CD46、CD55、CD59)の腫瘍細胞表面での発現量が増加して、上記の3番目の作用機序における補体の古典経路を不活性化することで、抵抗性を獲得しているケースが多数報告されている(例えば、非特許文献4)。このような機序によって、補体系の細胞傷害活性が低下し、結果として標的腫瘍細胞への抗体医薬に対する感受性が低下することが示唆されている。このように抗体医薬に耐性を有する悪性腫瘍に対する補体系の細胞傷害活性を向上させる技術の開発が望まれていた。
【0008】
ラクトフェリンは、哺乳動物の乳汁、唾液、涙、精液、種々の粘液等に存在する、非ヘム鉄結合糖蛋白質であり、鉄吸着作用、細胞増殖促進作用、免疫調整作用、および抗菌作用を有する多機能蛋白質である。牛ラクトフェリンは、乳業工場で日常的に取扱う生脱脂乳またはチーズ・ホエーから容易に、かつ大量に得ることができ、商品として直ちに利用することができる。
【0009】
ラクトフェリシン(本出願人による登録商標)は、本願発明の発明者等によりウシ・ラクトフェリンの酵素加水分解物中から初めて単離された新規なペプチドである(例えば、特許文献1)。ウシ・ラクトフェリンから単離されたラクトフェリシンは、例えば配列番号2のアミノ酸配列を有している。ラクトフェリシンは、人および動物の各種疾病の原因となるグラム陽性およびグラム陰性の細菌、酵母等広範囲の微生物に対して低濃度で抗菌作用を有する極めて有用な物質である。臨床上使用されている抗生物質を含む他の大部分の抗菌剤は、人および動物にとって異物である化学物質であるが、ラクトフェリシンは、化学物質および化学的に合成されたアミノ酸誘導体を含まない天然のペプチドであるから、人および動物に対して健康的であり、かつ安全である。何故ならば、ラクトフェリシンは、通常摂取している牛乳に含まれるラクトフェリンの胃ペプシン分解により人の胃の中で自然に生成されるからである。従って、ラクトフェリシンは安全な、かつ有効な抗菌剤として例えば、点眼剤、口腔剤、化粧品、皮膚剤、臨床用食品、ペット用製品等の多種多様な商品に利用でき、極めて大きな価値を有している。
【0010】
従来、ラクトフェリンによる抗腫瘍効果については、抗腫瘍剤(特許文献2)、非経口用抗腫瘍剤(特許文献3)、経口がん転移抑制剤(特許文献4)等が開示されている。これらの技術は、いずれもラクトフェリンが直接的に腫瘍細胞に作用する効果によるものであって、近年の癌治療において注目されている抗体療法による抗体医薬の細胞傷害活性を高めることによる抗腫瘍効果とは異なるものである。すなわち、ラクトフェリンの加水分解混合物やラクトフェリンの部分ペプチドに、癌の抗体療法、特に耐性を有する癌の抗体療法において、抗体医薬の細胞傷害活性を顕著に高める効果を有することは、従来知られていなかった。
【特許文献1】
特許第2818056号公報
【特許文献2】
特開昭63−51337号公報
【特許文献3】
特開平7−309771号公報
【特許文献4】
特開平10−59864号公報
【非特許文献1】
最新医学、新津洋司郎・加藤和則著、第58巻、第12号、2003年、p.5−12
【非特許文献2】
免疫学最新イラストレイテッド、小安重夫編、木下タロウ著、2003年、p.35−50
【非特許文献3】
血液フロンティア、畠清彦著、第12巻、11号、2002年、p.65−71
【非特許文献4】
オンコジーン(Oncogene)、第22巻、2003年、p.7359−7368
【発明の開示】
【0011】
本発明は、癌の抗体療法、特に耐性を有する癌の抗体療法において、副作用を示さず、抗体医薬の細胞傷害活性を高める効果を有する安全性が高い薬剤、同薬剤を含有する飲食品、又は抗体医薬の細胞傷害活性を増強する方法を提供することを目的としている。
【0012】
本発明者らは、より効果的に抗体医薬の細胞傷害活性を高め、治療成績の向上につながる技術に注目する中で、悪性腫瘍の患者において抗体医薬に対する耐性が確認された状態であっても、標的腫瘍細胞への抗体医薬に対する感受性が高められれば、補体系の細胞傷 害活性を十分に発揮させることが可能ではないかと考え、鋭意研究開発を重ねた。その結果、抗体と補体による細胞傷害作用を発現する実験系において、ラクトフェリンの加水分解混合物、及び当該ラクトフェリン加水分解混合物から分離することが可能なペプチドが、標的腫瘍細胞に作用して、抗体医薬に対する感受性を増強することを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、従来知られていたラクトフェリンによる抗腫瘍効果とは本質的に異なり、これまで有効な治療法や薬剤が殆ど見出されていなかった癌に対して、特に有効と考えられている抗体療法において、その抗体医薬の細胞傷害活性を増強する効果に基づく、ラクトフェリンの加水分解混合物又は当該クトフェリンの加水分解混合物から分離されるラクトフェリンの部分ペプチド、若しくは化学合成等によって調製することが可能なラクトフェリンの部分ペプチドを有効成分とする新たな薬剤に関する。
【0014】
前記課題を解決する本願の第一の発明は、ラクトフェリンをペプシンにより分解率が6〜20%に加水分解することによって得ることができ、かつ、癌の抗体療法において補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬の該癌細胞殺傷作用を増強する作用を有する数平均分子量が500〜5000であるラクトフェリン加水分解物を有効成分として含有する、癌の抗体療法における補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬の該癌細胞殺傷作用を増強するための医薬である。
【0015】
前記第一の発明は、以下の1)〜3)を好ましい態様としている。
1)前記癌が、乳癌、B細胞リンパ腫、又は大腸癌のいずれかであること。
2)前記癌が、前記抗体医薬に耐性を有する癌であること。
3)前記抗体医薬の補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を増強する作用が、
標的腫瘍細胞への抗体医薬に対する感受性を高める作用であること。
【0016】
前記課題を解決する本願の第二の発明は、癌の抗体療法における補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬の該癌細胞殺傷作用を増強するための医薬であって、以下に示す(a)および(b)のペプチド混合物を有効成分とする医薬である。
(a)配列番号2のアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチド。
【0017】
前記第二の発明は、以下の4)〜6)を好ましい態様としている。
4)前記癌が、乳癌、B細胞リンパ腫、又は大腸癌のいずれかであること。
5)前記癌が、前記抗体医薬に耐性を有する癌であること。
6)前記抗体医薬の補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を増強する作用が、標的腫瘍細胞への抗体医薬に対する感受性を高める作用であること。
【0020】
前記課題を解決する本願の第三の発明は、ラクトフェリンをペプシンにより分解率が6〜20%に加水分解することによって得ることができ、かつ、癌の抗体療法において補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬の該癌細胞殺傷作用を増強する作用を有する数平均分子量が500〜5000であるラクトフェリン加水分解物、及び補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬を有効成分として含有する、癌の抗体療法用の医薬である。
【0021】
前記第三の発明は、以下の7)、8)を好ましい態様としている。
7)前記抗体医薬が、抗CD20抗体、抗HER2モノクローナル抗体、又はヒト腫瘍関連上皮細胞接着因子17−1Aに対する抗体であること。
8)前記癌が、前記抗体医薬に耐性を有する癌であること。
【0022】
前記課題を解決する本願の第四の発明は、癌の抗体療法用の医薬であって、以下に示す(a)および(b)のペプチド混合物、及び補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬を有効成分として含有する、医薬である。
(a)配列番号2のアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチド。
【0023】
前記第四の発明は、以下の9)、10)を好ましい態様としている。
9)前記抗体医薬が、抗CD20抗体、抗HER2モノクローナル抗体、又はヒト腫瘍関連上皮細胞接着因子17−1Aに対する抗体であること。
10)前記癌が、抗体医薬に耐性を有する癌であること。
【0024】
本発明はラクトフェリン加水分解混合物、又は当該ラクトフェリン加水分解混合物から分離することが可能なラクトフェリンの部分ペプチド、若しくは化学合成等によって調製することが可能なラクトフェリンの部分ペプチドを有効成分とする、癌の抗体療法における補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬の該癌細胞殺傷作用(、以下、該作用を「抗体医薬の細胞傷害活性」ということがある)を増強するための薬剤に関するものであって、補体と抗体医薬による細胞傷害活性を増強することで、標的になる腫瘍細胞を効率よく殺傷することが可能である。
【0025】
また、特に抗体医薬に耐性を有する腫瘍細胞に対して、補体と抗体医薬による細胞傷害活性をリカバリーする効果も兼ね備えている。さらに、本発明の耐性を有する癌の治療のための薬剤の有効成分は、牛乳等の比較的安価な原料から得られることから、大量生産することが可能である。
【0026】
また、前記有効成分は、癌の抗体療法における抗体医薬の細胞傷害活性増強用と表示された飲食品に含有させることによっても、前記薬剤と同様の効果を有する。
【発明の効果】
【0027】
本発明における癌治療のための薬剤の有効成分は、牛乳等の比較的安価な原料から得られることから、大量生産することが可能である。また、本発明の薬剤により、補体と抗体医薬による細胞傷害活性を増強することで、標的になる腫瘍細胞を効率よく殺傷することが可能である。さらに、抗体医薬に耐性を有する腫瘍細胞に対して、補体と抗体医薬による細胞傷害活性をリカバリーする効果も兼ね備えている。すなわち、抗体医薬に耐性を持った悪性腫瘍が再発し、抗体医薬での治療が困難であると判断された患者に対しても、本発明の薬剤を併用することは、継続して抗体医薬での治療を行いたいという要望に応えるものである。このことは、取りも直さず癌治療における抗体医薬耐性の克服への新規な道標を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
【0029】
本発明の癌の抗体療法における抗体医薬の細胞傷害活性を増強するための薬剤、又は癌の抗体療法用の薬剤(以下、単に「本発明の薬剤」と記載することがある。本発明において、「薬剤」は医薬を意味する)の有効成分は、ラクトフェリンを加水分解酵素で加水分解することによって得ることができ、かつ、癌の抗体療法において抗体医薬の細胞傷害活性を増強する作用を有するラクトフェリン加水分解物(以下、「ラクトフェリン加水分解混合物」ともいう。)、又は、以下の(a)及び(b)に示すペプチドの混合物(以下、「ラクトフェリン部分ペプチド」ともいう)である。
(a)配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド。
(b)配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチド。
【0030】
尚、配列番号2は、配列番号1のアミノ酸番号36〜60に相当する。また、配列番号3は、配列番号1のアミノ酸番号36〜61に相当する。
【0031】
本発明において、「癌の抗体療法に用いる抗体医薬」とは、癌細胞の表面に結合する抗体を有効成分とし、前記抗体が癌細胞に結合することによって癌細胞を殺傷する医薬をいう。抗体医薬の作用としては、癌細胞が増殖するシグナルを阻害すること、細胞死シグナルを活性化することにより癌細胞を殺傷すること、補体依存性細胞傷害活性又は抗体依存性細胞傷害活性により癌細胞を殺傷すること等を含む。
【0032】
本発明において、「細胞傷害活性を増強する」とは、癌の抗体療法において抗体医薬の細胞傷害活性を高める効果、すなわち、抗体医薬の標的になる腫瘍細胞を補体及び/又は抗体医薬が殺傷する作用を増強することに加えて、抗体医薬に耐性を有する腫瘍細胞に対して、抗体医薬に対する感受性を高めること、すなわち補体及び/又は抗体医薬による細胞傷害活性をリカバリーすることを含む。また、「抗体医薬に耐性を有する」とは、抗体医薬及び又は補体が腫瘍細胞を殺傷する作用(細胞傷害活性)に耐性であること、言い換えれば、前記作用が弱いか又は同作用を受けないことをいう。また、抗体医薬に対する耐性は、補体制御因子に起因して生じるものとは限らず、その他の要因で抗体医薬に耐性を有する場合も含まれる。
【0033】
本発明の薬剤の有効成分であるラクトフェリン加水分解混合物及び当該ラクトフェリン加水分解混合物から分離することが可能なラクトフェリンの部分ペプチド(ラクトフェリン部分ペプチド)は、ラクトフェリンを出発物質として調製することができる。ラクトフェリンは、市販のラクトフェリンや、哺乳動物(例えば、ヒト、又はウシ等。)の初乳、移行乳、常乳、末期乳、又はこれらの乳の処理物である脱脂乳、ホエー等を原料とし、例えばイオン交換クロマトグラフィー等の常法により、前記原料から分離して得られるラクトフェリンを用いることができる。中でも、工業的規模で製造されている市販のラクトフェリン(例えば、森永乳業社製)を使用することが好適である。更に、遺伝子工学的手法により、微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等で生産したラクトフェリンを使用することも可能である。
【0034】
また、当該ラクトフェリン加水分解混合物から分離することが可能なペプチド(ラクトフェリン部分ペプチド)と同様のアミノ酸配列を有するペプチドは、直接、化学合成、又は遺伝子工学的手法等により調製することも可能である。
【0035】
このようなラクトフェリンを使用して、本発明の薬剤の有効成分であるラクトフェリン加水分解混合物を調製する方法としては、加水分解酵素等により常法に従ってラクトフェリンを加水分解する方法が例示される。具体的な方法としては、ラクトフェリンの加水分解に使用する酵素は、ラクトフェリンを分解し、癌の抗体療法において抗体医薬の細胞傷害活性を増強する作用を有するペプチド又はその混合物を生成する加水分解酵素であれば、どのような加水分解酵素であってもよい。
【0036】
加水分解酵素としては、例えば、ペプシン、パンクレアチン、トリプシン、キモトリプシン、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のプロテアーゼ、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)由来のプロテアーゼ等が挙げられる。使用する加水分解酵素は1種でもよく、2種以上用いてもよい。2種以上の酵素を用いる場合は、それぞれの酵素反応は同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。本発明においては、特にペプシンを使用することが好ましい。また、エンド型プロテアーゼを、エキソ型加水分解酵素と組み合わせて使用することも可能である。加水分解反応時間は、酵素反応の分解率をモニターしながら、好ましい分解率に達するように設定することが好ましい。本発明の薬剤の有効成分であるラクトフェリン加水分解混合物を得るためには、分解率は6〜20%が好ましく、8〜12%が特に好ましい。
【0037】
尚、蛋白質の分解率は、例えば、ケルダール法(日本食品工業学会編、「食品分析法」、第102頁、株式会社光琳、昭和59年)により試料の全窒素量を測定し、ホルモール滴定法(満田他編、「食品工学実験書」、上巻、第547ページ、養賢堂、1970年)により試料のホルモール態窒素量を測定し、これらの測定値から次式により算出することができる。
【0038】
分解率(%)=(ホルモール態窒素量/全窒素量)×100
【0039】
分解率が好ましい値に達したら、酵素反応を停止すればよい。酵素反応の停止は、加水分解液中の酵素の失活により行われ、常法による加熱失活処理により実施することができる。加熱失活処理の加熱温度と保持時間は、使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができるが、例えば、80〜130℃の温度範囲で30分間〜2秒間の保持時間で行うことができる。得られた反応液はクエン酸等の酸によりpHを5.5〜7の範囲に調整することが好ましい。尚、ラクトフェリン加水分解混合物に不溶物がある場合は、遠心するか、または濾過するかの方法によりそれらを除去することができる。
【0040】
本発明において、ラクトフェリン加水分解混合物の数平均分子量は、500〜5000であることが好ましく、特に1000〜4000が好ましい。
尚、数平均分子量(Number Average of Molecular Weight)は、例えば文献(社団法人高分子学会編、「高分子科学の基礎」、第116〜119頁、株式会社東京化学同人、1978年)に記載されているとおり、高分子化合物の分子量の平均値を次のとおり異なる指標に基づき示すものである。
すなわち、タンパク質加水分解物等の高分子化合物は不均一な物質であり、かつ分子量に分布があるため、タンパク質加水分解物の分子量は、物理化学的に取り扱うためには、平均分子量で示す必要があり、数平均分子量(以下、Mnと略記することがある。)は、分子の個数についての平均であり、ペプチド鎖iの分子量がMiであり、その分子数をNiとすると、次の式により定義される。
【0041】
【数1】
【0042】
このようにして得られたラクトフェリン加水分解混合物は、そのまま本発明の薬剤の有効成分として利用することが可能であり、また常法により凍結乾燥または噴霧乾燥して粉末として保存することもできる。さらに、本発明の薬剤の他の有効成分であるラクトフェリン部分ペプチドの製造に利用することもできる。また、ラクトフェリン加水分解混合物は、上記のようにして得られるラクトフェリンの加水分解産物に、ラクトフェリン部分ペプチドを加えたものであってもよい。
【0043】
前記ラクトフェリン部分ペプチドとして具体的には、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号36〜60のアミノ酸配列からなるペプチド、もしくは、アミノ酸番号36〜61のアミノ酸配列(配列番号2)からなるペプチドが挙げられる。以下、アミノ酸番号36〜60のアミノ酸配列(配列番号3)からなるペプチドをラクトフェリンF36−F60、前記アミノ酸番号36〜61のアミノ酸配列からなるペプチドをラクトフェリンF36−A61と記載することがある。
【0044】
尚、ラクトフェリンF36−F60及びラクトフェリンF36−A61の両者を含むものを有効成分とする場合は、ラクトフェリンF36−F60及びラクトフェリンF36−A61の混合比は、ラクトフェリンF36−F60:ラクトフェリンF36−A61=1:20〜20:1が好ましく、中でもラクトフェリンF36−F60:ラクトフェリンF36−A61=1:10〜2:3が特に好ましい。
【0045】
ラクトフェリン部分ペプチド、具体的にはラクトフェリンF36−F60及び/又はラクトフェリンF36−A61は、例えば、前記のようにして調製したラクトフェリン加水分解混合物を出発物質として、特開平5−238948号公報に記載されたラクトフェリシンの製造方法に従って調製することができる。また、ラクトフェリンF36−F60及び/又はラクトフェリンF36−A61は、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号36〜60及び/又はアミノ酸番号36〜61を有するペプチドであれば、化学合成によって合成ペプチドを製造する方法、及び遺伝子組換え技術等を利用した遺伝子工学的手法を用いて組換え体ペプチドを合成することによって製造する方法、などによっても調製されたものであってもよい。例えば、遺伝子工学的手法を用いた方法としては、該領域を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を基に適当なプライマーを作製し、該プライマーを用いて、目的の塩基配列を含むcDNAを鋳型としてPCR等によって塩基配列を増幅し、得られた塩基配列を適当な発現系を用いて発現させることにより得ることができる。
【0046】
また、通常の遺伝子においては、種、属、個体等の違いによって、1又は複数の位置での1又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等の変異が存在することがあり、このような変異を有する遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸においても変異が生じている場合がある。本発明に用いることができるラクトフェリンF36−F60及びラクトフェリンF36−A61には、耐性を有する癌の抗体療法において抗体医薬の細胞傷害活性を増強する作用が損なわれない範囲において、このような変異を含むものも包含される。ラクトフェリンF36−F60又はラクトフェリンF36−A61が含んでいてもよいアミノ酸残基の置換欠失、挿入、付加又は逆位の数は、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜8個、特に好ましくは1〜5個である。また、アミノ酸残基の置換は、類似の性質を有するアミノ酸同士の置換、いわゆる保存的置換が好ましい。このようなラクトフェリンF36−F60又はラクトフェリンF36−A61の改変体が、ラクトフェリンF36−F60又はラクトフェリンF36−A61よりも長い場合には、付加されるアミノ酸はラクトフェリンの36位からN末側、又は60位若しくは61位からC末側の配列に対応したアミノ酸であることが好ましい。しかし、前記改変体が所望の作用を有する限り、付加されるアミノ酸は任意のアミノ酸であってもよい。
【0047】
本発明に用いることができるラクトフェリン加水分解混合物、又はラクトフェリン部分ペプチドは、癌の抗体療法において抗体医薬の細胞傷害活性を増強する作用を有し、該作用はPropidium iodide(PI:Dojindo社製:カタログ番号 P378)を用いた方法〔サイトメトリー(Cytometry)第8巻、第4号、1987年、第421〜426頁〕、又はCalcein-AM(Dojindo社製:カタログ番号 341-07901)を用いた方法〔アポトーシス(Apoptosis)、第3巻、第3号、1998年、第195〜202頁〕に準じて測定することができる。後述する実施例において、該測定方法について詳細に記載する。
【0048】
本発明の薬剤は、ラクトフェリン加水分解混合物、若しくはラクトフェリン部分ペプチド、又はこれらを製剤学的に許容される製剤担体と組合わせて、経口的、又は非経口的にヒトを含む哺乳動物に投与することができる。本発明の癌の抗体療法用の薬剤においては、さらに、前記成分とともに抗体医薬を組み合わせる。本発明の薬剤の製剤形態は特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、貼付剤、点眼剤、点鼻剤等を例示できる。製剤化にあたっては製剤担体として通常の薬剤に汎用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、注射剤用溶剤等の添加剤を使用できる。
【0049】
本発明の薬剤中に含まれるラクトフェリン加水分解混合物、若しくはラクトフェリン部分ペプチドの量は、特に限定されず適宜選択すればよいが、例えば、ラクトフェリン加水分解混合物は製剤中に10μg/ml〜50mg/ml、好ましくは50μg/ml〜10mg/ml、とするのがよく、ラクトフェリン部分ペプチドは製剤中に0.5μg/ml〜200μg/ml、好ましくは1μg/ml〜100μg/mlとするのがよい。
【0050】
本発明の薬剤の投与時期は特に限定されず、抗体医薬の投与前、投与後、又は抗体医薬と同時のいずれであっても可能であり、対象となる癌種の治療方法に従って、適宜投与時期を選択することが可能である。また、投与形態は製剤形態、患者の年齢、性別、その他の条件、患者の症状の程度等に応じて決定される。
【0051】
本発明の製剤の有効成分の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件等により適宜選択される。通常有効成分としてのラクトフェリン加水分解混合物、若しくはラクトフェリン部分ペプチドの量は、0.001〜60mg/kg/日、好ましくは0.01〜20mg/kg/日の範囲となる量を目安とするのが良く、1日1回又は複数回に分けて投与することができる。
【0052】
本発明の薬剤は、癌、例えば乳癌、B細胞リンパ腫、又は大腸癌等のいずれかにおいて、抗体医薬を用いた治療における治療剤、治療効果増強剤、治療補助剤として有用である。また、本発明の薬剤のうち、ラクトフェリン加水分解混合物又はラクトフェリン部分ペプチドとともに抗体医薬を含有する薬剤は、癌の抗体療法用の薬剤として使用することができる。尚、本発明の癌の抗体療法用の薬剤を用いる場合であっても、さらに抗体医薬、又は本発明の抗体医薬の細胞傷害活性を増強するための薬剤を投与することもできる。本発明の薬剤は、特に、前記癌の中でも、抗体医薬に耐性を有する癌に極めて著効を示す。尚、本発明に使用することが可能な抗体医薬としては、抗CD20抗体(リツキシマブ:rituximab)、抗HER2モノクローナル抗体(トラスツズマブ:trastuzumab)、ヒト腫瘍関連上皮細胞接着因子17−1Aに対する抗体(edrecolomab)等を例示することができ、その他、癌治療における抗体療法で使用できる抗体医薬も使用することができる。また、現在知られている抗体医薬に限られず、今後開発される抗体医薬も使用することができる。
【0053】
本発明の薬剤は、抗体療法において抗体医薬とともに使用することが好ましく(但し、投与の時期が同時であるか否かは問わない)、公知の前記癌疾患の予防・治療剤(増強剤・補助剤も含まれる)と併用して使用することも可能である。併用することによって、前記癌疾患の予防・治療効果を高めることができ、また、併用する前記予防・治療剤の投与量を減らすことも可能である。さらに、併用する前記癌疾患の予防・治療剤を、本発明の薬剤の組成物中に有効成分として含有させても良いし、本発明の薬剤の組成物中には含有させずに別個の薬剤として組合わせて商品化し、使用時に組み合わせても良い。
【0054】
本発明の薬剤、又は同薬剤の有効成分であるラクトフェリン加水分解混合物、又はラクトフェリン部分ペプチドは、飲食品(飲料又は食品)に含有させることもできる。飲食品としては、前記有効成分の効果を損なわず、経口摂取できるものであれば形態や性状は特に制限されず、前記有効成分を含有させること以外は、通常飲食品に用いられる原料を用いて通常の方法によって製造することができる。
【0055】
本発明の飲食品における用途としては、癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性を増強するような種々の用途をとることが可能である。例えば、癌等、特に抗体医薬に耐性を有する癌の危険要因の低減・除去に役立つ飲食品等の用途を例示することができる。
【0056】
また、本発明の飲食品は、抗体医薬に耐性を有する癌により引き起こされる疾患の予防等に有用である。さらに、本発明の飲食品は、抗体医薬に耐性を有する癌に起因する種々の疾病・合併症等の予防、並びにこれら疾病・合併症等のリスクを低減することが可能である。
【0057】
本発明の飲食品は、癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性を増強するために用いられるものである旨の表示を付した飲食品、例えば「癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性増強用と記載された、癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性を増強するための薬剤を含有する飲食品」、若しくは「癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性増強用と記載された、ラクトフェリン加水分解混合物、又はラクトフェリン部分ペプチドを含有する飲食品」、又は「癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性を増強する効果を有する化合物を含有する飲食品」、若しくは「癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性増強用と表示された、ラクトフェリンの加水分解物を含有する飲食品」、「癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性増強用と表示された、ラクトフェリン部分ペプチドを含有する飲食品」、「癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性増強用と記載された、ラクトフェリンの加水分解物を含有する飲食品」、「癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性増強用と記載された、ラクトフェリン部分ペプチドを含有する飲食品」等として販売することが好ましい。尚、本発明の化合物又は組成物等は、癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性増強作用を有することから、本発明の飲食品は、「癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性増強用」と表示することができる。
【0058】
以上のような表示を行うために使用する文言は、「癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性増強用」という文言のみに限られるわけではなく、それ以外の文言であっても、癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性に対する補助効果又は増強効果を表す文言であれば、本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。そのような文言としては、例えば、需要者に対して、癌の抗体療法に用いる抗体医薬の細胞傷害活性増強又は癌の抗体療法に用いる抗体医薬の補助・増強効果を認識させるような種々の用途に基づく表示も可能である。例えば、「抗体医薬に耐性を有する癌等の危険要因(リスク)の低減・除去に役立つ」等の表示を例示することができる。尚、上記の表示において、「癌の抗体療法に用いる」との文言は省略してもよい。
【0059】
前記「表示」とは、需要者に対して上記用途を知らしめるための全ての行為を意味し、上記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、すべて本発明の「表示」に該当する。しかしながら、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により表示することが好ましい。具体的には、本発明の飲食品に係る商品又は商品の包装に上記用途を記載する行為、商品又は商品の包装に上記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為、等が例示できる。
【0060】
一方、表示としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましく、特に包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等への表示が好ましい。
【0061】
また、例えば、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示を例示することができ、その他厚生労働省によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を例示することができ、詳細にいえば、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、及びこれに類する表示が、典型的な例として列挙することが可能である。
【実施例】
【0062】
次に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】
[製造例1]ラクトフェリン加水分解混合物の製造
脱脂乳から分離したウシ・ラクトフェリン(森永乳業社製。純度約90%)2.0kgを5質量%の濃度で蒸溜水に溶解し、1規定塩酸を添加してpHを3.0に調整した。結晶ペプシン(ディフコ社製)を基質の3質量%の割合で添加し、37℃で4時間加水分解した。この後80℃に15分間加熱してペプシンを失活させ、1規定水酸化ナトリウムを添加してpHを7.0に調整し、不溶物を瀘過して除去し、噴霧乾燥し、粉末状のラクトフェリン加水分解物約1.9kgを調製した。尚、製造したラクトフェリン加水分解混合物の分解率は10%であった。
【0064】
[製造例2]ラクトフェリン加水分解ペプチドの製造
製造例1と同一の方法により製造した出発物質(ラクトフェリン加水分解混合物)600gを5質量%の濃度で蒸溜水に溶解した。約3000mlの疎水性担体(ブチル・トヨパール。商標。東ソー社製)650Mを水で充分洗浄して平衡化した。攪拌機付きタンク内で出発物質溶液を疎水性担体と混合した後、液を分離し、疎水性担体をカラム(長さ10cm、直径20cm)に充填し、前記の分離した液をカラムに通液した。この後、洗浄液の280nmにおける吸光度が0.06以下になるまで400ml/分の流速で水を用いてカラムを充分洗浄した。
【0065】
次いで10ミリモル塩酸をカラムに通液し、ラクトフェリン加水分解ペプチドを溶出し、等量のマッキルベイン緩衝液(0.1M酢酸177容+0.2M第一リン酸ナトリウム823容の混合物。pH7.0)と混合し、疎水性担体に吸着させた。疎水性担体をカラムに充填し、6000mlの同じ緩衝液で洗浄し、9000mlのマッキルベイン緩衝液(0.1M酢酸485容+0.2M第一リン酸ナトリウム515容の混合物。pH5.0)でラクトフェリン加水分解ペプチドを溶出した。カラムに10mM塩酸および水を通して疎水性担体を再生し、1規定水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHを7.0に調整した。このカラムに前記ラクトフェリン加水分解ペプチドを含む溶出液を通液し、30リットルの水で洗浄して緩衝液の塩を除去し、のち10mM塩酸をカラムに通液してラクトフェリン加水分解ペプチドを溶出し、凍結乾燥し、粉末状のラクトフェリン加水分解ペプチド約10.5gを得た。得られたラクトフェリン加水分解ペプチドをHPLC法により純度測定した結果、純度は99%であった。また、前記ラクトフェリン加水分解ペプチドのアミノ酸配列を測定した結果、製造したラクトフェリン加水分解ペプチドは、ラクトフェリンF36−F60及びラクトフェリンF36−A61の両ペプチドを含んでいることが確認された。これらのペプチドの存在比は、ラクトフェリンF36−F60:ラクトフェリンF36−A61=1:6であった。
【0066】
次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
【0067】
[試験例1]
本試験は、補体と抗体医薬による細胞傷害作用に及ぼすラクトフェリン加水分解混合物の添加効果を検討するために行った。
【0068】
(1)試験試料
7.5%ウシ胎児血清(ギブコ社製:カタログ番号10099-141)と1% Penicillin-Streptomycin(ギブコ社製:カタログ番号15070-063)を含有するRPMI1640培地(Sigma社製:カタログ番号R8758)[以下、この溶液を「希釈溶液」と記載する。]に、製造例1で調製したラクトフェリン加水分解混合物を1000μg/mlになるように調製して試験試料1を調製した。また、希釈溶液を用いて、ラクトフェリンを1000μg/mlになるように希釈して対照試料1を調製した。
【0069】
補体と抗体医薬による細胞傷害作用を測定するための標的細胞、ヒトバーキットリンパ腫Raji(ATCC CCL-86:アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, USA)より入手)を使用し、細胞数が2×106個/mlになるように希釈溶液を用いて懸濁してRaji細胞懸濁液を調製した。抗体医薬溶液は、CD20抗原を認識するリツキシマブ(全薬工業:日本ロシュ販売)を使用し、希釈溶液を用いて200μg/mlになるように調製した。補体溶液はHuman serum AB(コスモバイオ社製:カタログ番号832000027)を使用した。これらの抗体医薬溶液及び補体溶液は、後記する試験例2〜5についても使用した。
細胞の生死の判定には、Propidium iodide(PI:Dojindo社製:カタログ番号 P378)を用いた方法〔サイトメトリー(Cytometry)第8巻、第4号、1987年、第421〜426頁〕、又はCalcein-AM(Dojindo社製:カタログ番号 341-07901)を用いた方法〔アポトーシス(Apoptosis)、第3巻、第3号、1998年、第195〜202頁〕に準じて行った。
【0070】
(2)試験方法
24穴培養用プレート(NUNC社製:カタログ番号143982)の各穴に、Raji細胞懸濁液を各々100μlずつ(2×105個ずつ)添加した。24穴を4つの群に分け、そのうちの1群(6穴)に抗体医薬溶液50μlと希釈溶液250μlを添加して「抗体医薬添加」とした。また、他の1群(6穴)に補体溶液100μlと希釈溶液200μlを添加して「補体添加」とした。さらに、他の1群(6穴)に抗体医薬溶液50μlと補体溶液100μlと希釈溶液150μlを添加して「抗体医薬+補体添加」とした。残りの1群(6穴)に希釈溶液300μlを添加して「無添加」とした。
【0071】
以上の4群それぞれについて、前記試験試料1(4群×2穴)、対照試料1(4群×2穴)、又は希釈溶液(4群×2穴)を各々100μlずつ添加して、それぞれ「試験試料群1」、「対照試料群1」、「陰性試料群1」とした。
【0072】
上記のようにして準備した24穴プレートをインキュベーター(Napco社製:カタログ番号5300)を用いて37℃、5%二酸化炭素の条件下で1時間培養した後、各試料群の細胞を回収し、各々の死細胞の割合を、前記のPIを用いた方法で検討した。細胞傷害活性は全ての標的細胞が殺された場合を100%として算出した。
【0073】
(3)試験結果
本試験の結果は表1に示すとおりである。表1から明らかなとおり、「抗体医薬+補体添加」において、各試料群で細胞傷害活性(「試験試料群1」:45.7%、「対照試料群1」:24.3%、「陰性試料群1」:30.7%)が確認されたが、なかでも、特にラクトフェリン加水分解混合物(試験試料群1)は、著しく細胞傷害活性が増強(陰性試料群1に比して約50%増加)されることが明らかとなった。これに対し、対照試料群1では陰性試料群に比べて細胞傷害活性は増加しなかったことから、細胞傷害活性の増強はラクトフェリン加水分解混合物に特異的な活性であることが判明した。
【0074】
【表1】
【0075】
[試験例2]
本試験は、培養時にラクトフェリン加水分解混合物を添加して培養した標的腫瘍細胞において、補体と抗体医薬による細胞傷害活性に対する感受性の変化を検討するために行った。
【0076】
(1)試験試料
製造例1で調製したラクトフェリン加水分解混合物を試験例1で使用した希釈溶液を用いて、1000μg/mlとなるように希釈して試験試料2を調製した。
【0077】
(2)試験方法
ヒトバーキットリンパ腫Rajiを細胞数が2×105個/培養フラスコ(BD社製:カタログ番号35-3014)になるように希釈溶液6.3mlに懸濁した。このとき上記の試験試料2を0.7ml添加する群(試験試料群2)と希釈溶液を0.7ml添加する群(陰性試料群2)をそれぞれ準備し、インキュベーターを用いて37℃、5%二酸化炭素の条件下で3日間培養した。
【0078】
両試料群の細胞は、希釈溶液を新たに10ml各々加えて、遠心分離機(KUBOTA社製:カタログ番号5910)により上清を除く作業(1100rpm×6分)を3度繰り返した後、試験例1の「抗体医薬+補体添加」及び「無添加」と同様の系により細胞傷害活性に対する感受性を調べた。
【0079】
(3)試験結果
本試験の結果は表2に示すとおりである。表2から明らかなとおり、ラクトフェリン加水分解混合物を添加して3日間培養した標的腫瘍細胞の群(試験試料群2)は陰性試料群2に比して、明らかに「補体+抗体医薬」による細胞傷害活性に対する感受性が亢進しており、試験例1で明らかとなった増強作用については、標的腫瘍細胞に作用していることが判明した。
【0080】
【表2】
【0081】
[試験例3]
本試験は、補体と抗体医薬による細胞傷害作用に及ぼすラクトフェリン加水分解ペプチドの添加効果を検討するために行った。
【0082】
(1)試験試料
製造例1で調製したラクトフェリン加水分解混合物を試験例1で使用した希釈溶液を用いて、1000μg/mlとなるように希釈して試験試料3を調製した。また、製造例2で調製したラクトフェリン加水分解ペプチドを同様の希釈溶液を用いて、1000μg/mlとなるように希釈して試験試料4を調製した。
【0083】
(2)試験方法
ヒトバーキットリンパ腫Rajiを細胞数が2×105個/mlとなるように前記希釈溶液を用いて懸濁して細胞懸濁液を調製し、該細胞溶液を96穴培養用プレート(NUNC社製:カタログ番号167008)の18穴に各々50μl(1×104個ずつ)添加した。18穴を2群に分け、一方の1群(9穴)に抗体医薬溶液10μlと補体溶液20μlと希釈溶液10μlを添加して「抗体医薬+補体添加」とした。残りの1群(9穴)に希釈溶液40μlを添加して「無添加」とした。以上の2群のそれぞれについて、前記試験試料3(2群×3穴)、試験試料4(2群×3穴)、又は希釈溶液(2群×3穴)を各々10μlずつ添加して、それぞれ「試験試料群3」、「試験試料群4」、「陰性試料群2」とした。
【0084】
上記のようにして準備した96穴プレートを、インキュベーターを用いて37℃、5%二酸化炭素の条件下で1時間培養した後、各試料群の細胞を回収し、各々の死細胞の割合を、前記のPIを用いた方法で検討した。細胞傷害活性は全ての標的細胞が殺された場合を100%として算出した。
【0085】
(3)試験結果
本試験の結果は表3に示すとおりである。表3から明らかなとおり、ラクトフェリン加水分解ペプチド(試験試料群4)についても、補体と抗体による細胞傷害活性を著しく増強(陰性試料群2に比して約67%増加)することが明らかとなった。
【0086】
【表3】
【0087】
[試験例4]
本試験は、補体と抗体による細胞傷害活性に対する感受性が異なる標的腫瘍細胞を用いた、ラクトフェリン加水分解混合物の細胞傷害活性の増強作用(感受性リカバリー)について検討した。
【0088】
(1)試験試料
製造例1で調製したラクトフェリン加水分解混合物を試験例1で使用した希釈溶液を用いて、1000μg/mlとなるように希釈して試験試料5を調製した。
【0089】
(2)試験方法
リンパ腫由来細胞Daudi(ATCC CCL-213:アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手)、Raji(ATCC CCL-86:アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手)、SKW6.4(ATCC TIB-215:アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手)、及び抗体医薬に耐性を有するリンパ腫由来細胞ARH-77(ATCC CRL-1621:アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手)を、各々細胞数が2×106個/mlとなるように前記希釈溶液を用いて懸濁し、それぞれ細胞溶液を調製して、24穴培養用プレート(NUNC社製:カタログ番号143982)に各細胞溶液100μlずつ(2×105個ずつ)を添加した。
【0090】
細胞傷害活性の検討は、試験例1の「抗体医薬+補体添加」の系と同様に行った。すなわち、各細胞溶液を添加した穴に抗体医薬溶液50μlと補体溶液100μlと希釈溶液150μlを添加し、前記試験試料5、又は希釈溶液を各々100μlずつ添加して、それぞれ「試験試料群5」、「陰性試料群3」とした。
【0091】
上記のようにして準備した24穴プレートをインキュベーター(Napco社製:カタログ番号5300)を用いて37℃、5%二酸化炭素の条件下で1時間培養した後、各試料群の細胞を回収し、各々の死細胞の割合を、前記のPIを用いた方法で検討した。細胞傷害活性は全ての標的細胞が殺された場合を100%として算出した。
【0092】
(3)試験結果
本試験の結果は表4に示すとおりである。表4から明らかなとおり、ラクトフェリン加水分解混合物は、補体と抗体による細胞傷害活性に高い感受性を示すDaudiについて、その感受性を減弱させることは確認されなかった。また、Raji、SKW6.4に対しては、補体と抗体による細胞傷害活性を増強する効果が確認された。
【0093】
さらに、補体と抗体による細胞傷害活性に抵抗性を示す(抗体医薬に耐性を有する)リンパ腫由来細胞であるARH-77については、ラクトフェリン加水分解混合物により、細胞傷害活性に対する抵抗性を解除する効果を有することが確認された。これは、ラクトフェリン加水分解混合物が、抗体医薬に耐性を有する腫瘍細胞に対して、細胞傷害活性に対する感受性を高め、補体と抗体医薬の細胞傷害活性をリカバリーする効果を有すると考察された。
【0094】
【表4】
【0095】
[試験例5]
本試験は、ラクトフェリン加水分解混合物、ラクトフェリン部分ペプチド、及び対照として未分解のラクトフェリン等を試料として、補体と抗体医薬の標的細胞ヒトバーキットリンパ腫Rajiに対する細胞傷害活性に及ぼす効果を検討した。
【0096】
(1)試験試料
製造例1で製造したラクトフェリン加水分解混合物を試料Aとし、製造例2で製造したラクトフェリン加水分解ペプチド(ラクトフェリン部分ペプチド)を試料Bとした。また、対照試料として、市販のウシ・ラクトフェリン(森永乳業社製)を対照A、硫酸プロタミン(Protamine Sulfate)を対照Bとした。
【0097】
(2)試験方法
対数増殖期にある Raji 細胞を標的細胞として用いた。細胞懸濁液を遠心して回収したRaji細胞を新しい培養液 (RPMI1640,10%FCS)に懸濁し、計数した後、24穴プレートに1.0×105/wellで添加した。そこへRituximab(10mg/ml)と試料A、試料B、対照A、対照Bを各々1.0mg/mlの最終濃度で添加(または、各試料の代りにMedium[培養液]添加)の後、ヒト正常血清(AB型)を最終濃度が10%になるように添加して1時間CO2インキュベーターで培養し、培養の最後の15分間に、PI(Propidium iodide、1mg/ml)を添加した。培養終了後、総てのRaji 細胞を回収し、遠心分離してその上清を除去し、PBS(リン酸緩衝液)0.5mlに細胞を再懸濁した。培養中に死んだRaji細胞の計数は、死細胞がPIによる核染色で陽性になることを利用して、この懸濁液をフローサイトメーター(FACScan)で解析した。
【0098】
本試験における細胞傷害活性は次式により算出した。
【0099】
細胞傷害活性(%)=(PI陽性細胞数)/(全細胞数)×100
【0100】
(3)試験結果
本試験の結果は図1に示すとおりである。図1から明らかなとおり、試料として対照Aを使用した場合は、Medium(培養液)と同程度の細胞傷害活性[死細胞数(%)]であったが、試料Aを使用した場合に細胞傷害活性は上昇し、さらに試料Aであるラクトフェリン加水分解混合物から分離された試料Bを使用した場合、試料Aに比して細胞傷害活性の上昇が観察された。しかし、対照Bの添加ではそのような活性の上昇は観察されなかった。
すなわち、試料Aの含有成分である試料BにもCDC(補体依存性細胞傷害活性)の作用を増強する添加効果を有することが確認された。また、試料Bと類似した、塩基性アミノ酸を多く含む物質である対照Bには、CDCの反応を増強することは確認されなかったことから、必ずしも、ペプチドの物性(塩基性)がCDCの反応を増強する作用に影響しているわけではないことも明らかとなった。これらの結果から、抗体医薬と補体による細胞傷害活性を増強する作用は、試料A(ラクトフェリン加水分解混合物)又は試料B(ラクトフェリン部分ペプチド)に極めて特異的な効果であることが判明した。
【0101】
[製造例3]ラクトフェリン加水分解混合物を有効成分とする癌の治療剤の製造
乳糖(メグレ社製)600g、トウモロコシデンプン(日清製粉社製)400g、結晶セルロース(和光純薬工業社製)400g及び前記製造例1で製造したラクトフェリン加水分解混合物600gを50メッシュのふるい(ヤマト科学社製)により篩い分けし、厚さ0.5mmのポリエチレン製の袋にとり、転倒混合し、全自動カプセル充填機(セセレ・ペディーニ社製。プレス式)を用い、前記粉末をカプセル(日本エランコ社製。1号ゼラチンカプセル、Op. Yellow No.6 Body、空重量75mg)に内容量275mgで充填し、抗体医薬の細胞傷害活性を高める効果を有するカプセル剤7000個を得た。
【0102】
[製造例4]ラクトフェリン加水分解ペプチドを有効成分とする癌の治療剤の製造
1000ml容量の乳鉢(中島製作所社製)に結晶セルロース(和光純薬工業社製)20gを採取し、水20mlを添加して混和し、次いで予め48メッシュのふるい(和科盛社製)で篩い分けした乳糖(メグレ社製)25gを添加し、前記製造例2で調製したラクトフェリン加水分解ペプチド55gを添加し、混和した。得られた湿塊をステンレス製20メッシュふるい(和科盛社製)上に取り、乾燥用ステンレス板の上に手で押し出して顆粒を形成し、手早く均等に分布させ、乾燥機に入れ、25℃で2日間乾燥し、微細な顆粒とした。該顆粒を、ポリエチレン製20メッシュふるい(和科盛社製)で篩い分けし、ふるいを通過した顆粒を広い紙上に広げ、予め48メッシュで篩い分けしたステアリン酸マグネシウム(関東化学社製)2gを添加し、手で混ぜて均質にした。これを打錠機(木村製作所社製、KT−2型)により、直径8mmのR杵を使用して打錠数を10、錠剤重量6.2g、及びモンサント硬度3.5〜5.0kgの条件で圧縮圧力を設定して、打錠し、ラクトフェリン加水分解ペプチド約50%を含有する抗体医薬の細胞傷害活性を高める効果を有する薬剤16個を得た。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】 RituximabのRaji細胞に対する細胞傷害活性に与える本発明のラクトフェリン加水分解混合物及びラクトフェリン部分ペプチドの影響を示す図。「*」は、 Medium(培養液)に対してt<0.001であることを示す。
Claims (14)
- ラクトフェリンをペプシンにより分解率が6〜20%に加水分解することによって得ることができ、かつ、癌の抗体療法において補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬の該癌細胞殺傷作用を増強する作用を有する数平均分子量が500〜5000であるラクトフェリン加水分解物を有効成分として含有する、癌の抗体療法における補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬の該癌細胞殺傷作用を増強するための医薬。
- 前記癌が、乳癌、B細胞リンパ腫、又は大腸癌のいずれかである請求項1に記載の医薬。
- 前記癌が、前記抗体医薬に耐性を有する癌であることを特徴とする請求項1または2に記載の医薬。
- 前記抗体医薬の補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を増強する作用が、標的細胞への抗体医薬に対する感受性を高める作用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬。
- 癌の抗体療法における補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬の該癌細胞殺傷作用を増強するための医薬であって、以下に示す(a)および(b)のペプチド混合物を有効成分とする医薬。
(a)配列番号2のアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチド。 - 前記癌が、乳癌、B細胞リンパ腫、又は大腸癌のいずれかである請求項5に記載の医薬。
- 前記癌が、前記抗体医薬に耐性を有する癌であることを特徴とする請求項5又は6に記載の医薬。
- 前記抗体医薬の補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を増強する作用が、標的細胞への抗体医薬に対する感受性を高める作用であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の医薬。
- ラクトフェリンをペプシンにより分解率が6〜20%に加水分解することによって得ることができ、かつ、癌の抗体療法において補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬の該癌細胞殺傷作用を増強する作用を有する数平均分子量が500〜5000であるラクトフェリン加水分解物、及び補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬を有効成分として含有する、癌の抗体療法用の医薬。
- 前記抗体医薬が、抗CD20抗体、抗HER2モノクローナル抗体、又はヒト腫瘍関連上皮細胞接着因子17−1Aに対する抗体である請求項9に記載の医薬。
- 前記癌が、前記抗体医薬に耐性を有する癌であることを特徴とする請求項9又は10に記載の医薬。
- 癌の抗体療法用の医薬であって、以下に示す(a)および(b)のペプチド混合物、及び補体依存性細胞傷害活性に基づく癌細胞殺傷作用を奏する抗腫瘍細胞抗体を含む抗体医薬を有効成分として含有する、医薬。
(a)配列番号2のアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチド。 - 前記抗体医薬が、抗CD20抗体、抗HER2モノクローナル抗体、又はヒト腫瘍関連上皮細胞接着因子17−1Aに対する抗体である請求項12に記載の医薬。
- 前記癌が、前記抗体医薬に耐性を有する癌であることを特徴とする請求項12又は13に記載の医薬。
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