JP3998517B2 - 電子写真用感光体並びにそれを用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置 - Google Patents

電子写真用感光体並びにそれを用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高感度で、耐久性が高く、長期の使用による画質の劣化が抑制され、安定した画質の画像を形成可能な電子写真用感光体並びに該電子写真用感光体を用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置に関する。
【0002】
電子写真方法は電子写真用感光体を用いる技術であり、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、及び、ダイレクトデジタル製版機等に応用されている。該電子写真方法においては、少なくとも、前記電子写真用感光体を帯電させて画像露光し、現像等を行ってトナー画像を形成した後、画像保持体(転写紙等)へ前記トナー画像を転写して定着し、更に、電子写真用感光体表面のクリーニング等のプロセスを行う。
【0003】
従来、前記電子写真方法に用いられる前記電子写真用感光体としては、例えば、導電性支持体上に、セレン乃至セレン合金を主体とする光導電層を設けた電子写真用感光体、酸化亜鉛・硫化カドミウム等の無機系光導電材料をバインダー中に分散させた電子写真用感光体、及び、非晶質シリコン系材料を用いた電子写真用感光体等が一般的に知られている。しかし近年では、コストの低さ、感光体設計の自由度の高さ、無公害性、等の理由から、有機系の電子写真用感光体が広く利用されるようになってきている。
【0004】
前記有機系の電子写真用感光体としては、例えば、ポリビニルカルバゾ−ル(PVK)に代表される光導電性樹脂を用いた電子写真用感光体、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型の材質を用いた電子写真用感光体、フタロシアニン−バインダ−に代表される顔料分散型の材質を用いた電子写真用感光体、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の電子写真用感光体等が知られている。これらの中でも、特に、機能分離型の電子写真用感光体が注目されている。
【0005】
前記機能分離型の電子写真用感光体を用いる場合の静電潜像形成のメカニズムは、以下の通りである。先ず、電子写真用感光体を帯電した後光照射することにより、照射された光が、透明な電荷輸送層を通過して電荷発生層中の電荷発生物質により吸収される。前記光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生する。この電荷担体は電荷輸送層に注入され、前記帯電によって生じている電界に従って電荷輸送層中を移動し、電子写真用感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像が形成される。前記機能分離型の電子写真用感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視部に吸収を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いることが知られており、かつ有用である。
【0006】
前記電子写真方法に用いられる有機系電子写真用感光体の電荷輸送物質は、多くが低分子化合物として開発されている。該低分子化合物は、単独では成膜性がないことから、通常不活性高分子に分散・混合して用いられている。
しかし、一般的に低分子化合物の電荷輸送物質と不活性高分子とからなる電荷輸送層は柔らかいため、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合には、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な感光体表面への負荷によって、膜削れが生じ易くなったり、耐摩耗性が低い等の問題があった。膜削れが進行すると、電子写真用感光体における帯電電位が低下したり、光感度が劣化したり、電子写真用感光体表面のキズ等による地汚れ、画像濃度低下等の画質劣化が促進される等の問題があった。更に近年、電子写真装置の高速化或いは装置の小型化に伴う電子写真用感光体の小径化により、電子写真用感光体の高耐久性が一層重要な課題とされている。
【0007】
前記電子写真用感光体の高耐久性を実現させる方法としては、感光体の最表層に保護層を設け、該保護層に潤滑性を付与する方法、硬化させる方法、フィラーを含有させる方法、等が広く知られている。特に、保護層にフィラーを含有させる方法は、電子写真用感光体の耐久性を向上させる手段として非常に有効であり、保護層にフィラーを含有させることにより、耐摩耗性向上等、機械的耐久性等が改善される。しかし、いわゆる電子写真方式においては、帯電・露光等の繰り返しにより、機械的耐久性のみならず、帯電電位や露光部電位の安定性等の電気的耐久性も非常に重要である。これは、仮に機械的耐久性が向上し、膜削れの量が大幅に減少したとしても、帯電電位が低下したり、露光部電位が上昇したりすると、充分な静電コントラストが得られず、画質の劣化が生ずるからである。
【0008】
また、前記電荷輸送層においては、電荷移動度に限界があるため電子写真プロセスの高速化或いは小型化の障害になるという問題があった。これは、通常、低分子化合物である電荷輸送物質を、低い含有量(通常50質量%以下)で使用することに起因している。即ち、低分子化合物である電荷輸送物質の含有量を増すことにより、電荷移動度を向上させることはできるものの、前述のように、成膜性や耐摩耗性が劣化してしまうためである。
【0009】
前記有機系電子写真用感光体の特性を改善する技術として、有機系感光体のバインダー樹脂を改良した技術(例えば、特開平5−216250号公報に記載の技術)や、電荷輸送性ポリマー(例えば、特開昭51−73888号公報、特開昭54−8527号公報、特開昭54−11737号公報、特開昭56−150749号公報、特開昭57−78402号公報、特開昭63−285552号公報、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平3−50555号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平5−232727号公報、及び、特開平5−310904号公報等に記載の技術等)技術等が注目され開示されている。
【0010】
しかし、前記有機系感光体のバインダー樹脂を改良した技術は、低分子電荷輸送物質の組成分割合から、著しい耐摩耗性の向上は困難であるという問題があった。一方、前記電荷輸送性ポリマーを用いた技術は、電荷輸送層成分を高分子化することにより、膜削れの改善はみられるものの、感光体を機械寿命まで交換しない据え付け型部品として扱うには、依然満足の行く技術ではなく問題があった。
【0011】
一方、高画質維持の観点からは、電子写真用感光体のクリーニング性は重要な特性である。この理由は、電子写真用感光体表面に異物が付着した場合には、様々な画像欠陥が生じ、長寿命な画像が形成されないためである。特に、前述のように、保護層にフィラーを含有させ、機械的摩耗を抑制する技術においては、削れない分、一層良好なクリーニング性が必要とされる。また近年、写真調の高画質な画像出力の要求に対し、電子写真で用いられるトナー粒径が小径化している。小径のトナーを用いると、電子写真用感光体におけるクリーニング性は更に悪化する。また、トナー粒子の小径化に関連し、重合による球形トナーが検討されているものの、球形トナーは従来の粉砕トナーに比べ、クリーニング性が悪い。
【0012】
特開平07−295248号公報、特開平07−301936号公報、及び、特開平08−082940号公報等において、表面層にフッ素変性シリコンオイルを含有させることにより表面性を改善し、クリーニング性を向上させて感光体表面の耐摩耗性を向上させる技術が提案されている。
しかし、前記表面層にフッ素変性シリコンオイルを含有させようとした場合、該フッ素変性シリコンオイルは、表面層形成過程で表面近傍に移行して表面に近いところに集中するため、繰り返し使用による表面層の摩耗によって早期にその効果が失われてしまうという問題があった。
【0013】
また、耐摩耗性の向上を目的として微粒子を添加する系に関しても様々な技術が試みられている。例えば、シリコーン樹脂微粒子、フッ素含有樹脂微粒子(特開昭63−65449号公報等に記載)、メラミン樹脂微粒子(特開昭60−177349号公報等に記載)等を添加する技術等が挙げられる。具体的には、特開平02−143257号公報等において、表面層にポリエチレン粉体を含有させることにより表面層の摩擦係数を下げ、クリーニング性を向上させて電子写真用感光体の耐摩耗性を向上させるものである。また、特開平02−144550号公報においては、表面層に含フッ素樹脂粉体を含有させて表面層の摩擦係数を下げ、クリーニング性を向上させて感光体の耐摩耗性を向上させる提案がある。更に、特開平07−128872号公報、特開平10−254160号公報においては、表面層にシリコーン微粒子を含有させて表面層の摩擦係数を下げ、クリーニング性を向上させて感光体の耐摩耗性を向上させる提案がある。
【0014】
また、特開平2000−010322号公報及びUSP5,998,072においては、表面層に架橋型有機微粒子を含有させて表面層の摩擦係数を下げ、クリーニング性を向上させて感光体の耐摩耗性を向上させる技術が提案されている。更に、特開平08−190213号公報には、表面層にメチルシロキサン樹脂微粒子を含有させて表面層の摩擦係数を下げ、クリーニング性を向上させて電子写真用感光体の耐摩耗性を向上させる技術が提案されている。これらの公報においては、電子写真用感光体表面の摩擦係数低減、表面エネルギーの低減等の機能付与による高耐久化を意図した技術が提案されているものの、以下のような問題がある。
【0015】
即ち、電子写真用感光体の表面層に、樹脂粉体或いは微粒子を分散させて感光層表面の耐摩耗性の向上を図った場合、これら樹脂粉体或いは微粒子はバインダー樹脂との相溶性が乏しいため、樹脂粉体或いは微粒子の分散性が不良となり、画像形成時に、黒ポチや白ポチ等の異常欠陥が生じ、繰り返し使用中に残留電位の上昇が起きてしまう等の問題がある。また同時に、感光層の光透過性が妨げられるため、感度低下、電荷輸送性能の低下により、画像濃度の不均一が発生してしまう等の問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高感度で、耐久性が高く、長期の使用による画質の劣化が抑制され、安定した画質の画像を形成可能な電子写真用感光体並びに該電子写真用感光体を用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置を提供すること、を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、電子写真用感光体の表面層にポリオルガノシロキサン成分を主とする相とケイ素を含まない有機ポリマー成分を主とする相との両方が粒子表面に露出している粒子を含ませることにより上記課題が解決できることを見出して本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
【0018】
(1)電子写真用感光体の表面層にポリオルガノシロキサン成分を主とする相とケイ素を含まない有機ポリマー成分を主とする相との両方が粒子表面に露出している粒子を含むことを特徴とする電子写真用感光体。
(2)ポリオルガノシロキサン成分とケイ素を含まない有機ポリマー成分との重量比率が30:70から90:10の範囲である上記(1)記載の電子写真用感光体。
(3)前記粒子表面の1/2以上がポリオルガノシロキサン成分で占められていることを特徴とする上記(1)記載の電子写真用感光体。
(4)粒子断面が円形又は楕円形状で分散している上記(1)〜(3)のいずれか記載の電子写真用感光体。
【0019】
)ケイ素を含まない有機ポリマー成分がアクリル重合基を主成分とする基である上記(1)〜()のいずれかに記載の電子写真用感光体。
)前記有機変性ポリオルガノシロキサン化合物が、下記一般式(I)
【0020】
【化9】
Figure 0003998517
【0021】
〔式(I)において、R、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基である。R、R及びRは、同一でもよく各々異なっていてもよく、またハロゲン化されていてもよい。Yは、ラジカル反応性基又はSH基若しくはその双方を持つ有機基である。Z及びZは、水素原子、低級アルキル基、及び、下記式(n)で表される基の少なくともいずれかである。Z及びZは、同一でもよく、異なっていてもよい。mは、10,000以下の正の整数であり、nは1以上の整数である。
【0022】
【化10】
Figure 0003998517
【0023】
(R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基である。R及びRは、同一でもよく各々異なっていてもよく、またハロゲン化されていてもよい。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、ハロゲン化炭化水素基、ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基である。)]
で表わされるポリオルガノシロキサンと、下記一般式(II)
【0024】
【化11】
Figure 0003998517
【0025】
(Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、アルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基の少なくともいずれかである。)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体との混合物とを、乳化グラフト共重合させて成るアクリル変性ポリオルガノシロキサンであることを特徴とする上記(6)記載の電子写真感光体。
【0026】
)アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物がアルコールで洗浄処理されたものであることを特徴とする上記()記載の電子写真用感光体。
)アクリル変性ポリオルガノシロキサンに対してNaイオン濃度が500PPM以下であることを特徴とする上記()記載の電子写真用感光体。
)アクリル変性ポリオルガノシロキサンに対してSイオン濃度が800PPM以下であることを特徴とする上記()記載の電子写真用感光体。
10)表面層に分散されたアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物からなる粒子が平均粒径0.1〜0.6μmの範囲である上記()〜()のいずれかに記載の電子写真用感光体。
【0027】
11)アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子が溶剤又はバインダー樹脂と溶剤と共に高圧状態に昇圧され、該高圧の液衝突により粉砕及び分散されたものであることを特徴とする上記()〜(10)のいずれかに記載の電子写真用感光体。
12)前記昇圧、粉砕及び分散が、前記該アクリル変性ポリオルガノシロキサン及び溶剤を微細な流路に圧送し、該微細な流路の吐出口直後の高圧液正面衝突により行なわれる上記(11)記載の電子写真感光体。
13)前記高圧液の圧力が10MPa以上、300MPa以下であることを特徴とする上記(12)記載の電子写真感光体。
【0028】
14)表面層に無機フィラーをさらに含有させたことを特徴とする上記(1)〜(13)のいずれかに記載の電子写真用感光体。
15)表面層に高分子電荷輸送材料をさらに含有させたことを特徴とする上記(14)記載の電子写真用感光体。
16)高分子電荷輸送材料が下記一般式(A)及び(B)で表される構成単位からなり、一般式(A)で表される構成単位の組成比をk、一般式(B)で表される構成単位の組成比をjとしたとき、組成比の割合が0<k/(k+j)≦1で表されることを特徴とする上記(15)記載の電子写真感光体。
【0029】
【化12】
Figure 0003998517
【0030】
〔式中、R16は水素原子又は炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルキル基、無置換もしくは置換のアリール基、Ar11、Ar12、Ar13は無置換もしくは置換のアリレン基を示す。R14、R15は無置換もしくは置換のアリール基である。〕
【0031】
【化13】
Figure 0003998517
【0032】
〔式中、Xは炭素数2〜20の無置換もしくは置換脂肪族炭化水素2価基、無置換もしくは置換脂環式炭化水素2価基、炭素数6〜20の無置換もしくは置換芳香族炭化水素2価基、またはこれら2価基が結合した2価基、又は下記式で表させる2価基を示す。〕
【0033】
【化14】
Figure 0003998517
【0034】
〔式中、R101、R102、R103、R104はハロゲン原子、炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルキル基又は無置換もしくは置換のアリール基(R101、R102、R103、R104が各々複数個存在するときは、同一であっても別異であってもよい)、o、pは0〜4の整数、q、rは0〜3の整数、Yは単結合、炭素数2〜12の直鎖状のアルキレン基、炭素数3〜12の無置換もしくは置換分岐状アルキレン基、一つ以上の炭素数1〜10のアルキレン基と一つ以上の酸素原子及び硫黄原子から構成される2価基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−COO−又は下記式
【0035】
【化15】
Figure 0003998517
【0036】
(式中、Zは炭素数2〜20の無置換もしくは置換脂肪族炭化水素2価基又は無置換もしくは置換アリレン基を示し、Zは炭素数2〜20の無置換もしくは置換脂肪族炭化水素2価基又は無置換もしくは置換アリレン基を示し、R105はハロゲン原子、炭素数1〜6の無置換もしくは置換アルキル基、炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルコキシ基又は無置換もしくは置換アリール基を示し、R106、R107は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の無置換もしくは置換アルキル基、炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルコキシ基又は無置換もしくは置換アリール基を示し、またR106、R107が結合して炭素数5〜12の炭素環を形成してもよく、R108、R109、R110、R111は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の無置換もしくは置換アルキル基、炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルコキシ基又は無置換もしくは置換アリール基を示し、R112はハロゲン原子、炭素数1 〜6の無置換もしくは置換アルキル基、炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルコシキ基又は無置換もしくは置換アリール基を示し、R11 3、R114は単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R115、R116は炭素数1〜6の無置換もしくは置換アルキル基又は無置換もしくは置換アリール基を示し、sは0〜4の整数、tは1又は2、uは0〜4の整数、vは0〜20の整数、wは0〜2000の整数を示す)で表させる2価基を示す。〕
【0037】
17)高分子電荷輸送材料が下記一般式(C)及び上記一般式(B)で表される構成単位からなり、一般式(C)で表される構成単位の組成比をk、一般式(B)で表される構成単位の組成比をjとしたとき、組成比の割合が0<k/(k+j)≦1で表されることを特徴とする上記(15)又は(16)記載の電子写真感光体。
【0038】
【化16】
Figure 0003998517
【0039】
〔式中、R19、R20は直鎖または分岐鎖のアルキレン基、Y4は無置換もしくは置換のアリレン基、又は−Ar25−Y5−Ar25−(Ar14、Ar15、Ar25は無置換もしくは置換のアリレン基、Y5はO、S、無置換もしくは置換のアリレン基を示す。)、eは0または1を示す。R14、R15、Ar11、Ar12は前記定義と同一である。〕
【0040】
18)少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が上記(1)〜(17)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
19)少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が上記(1)〜(17)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
【0041】
以下、本発明を詳細に説明する。
[電子写真用感光体]
本発明の電子写真用感光体は、導電性支持体上に、感光層を有し、必要に応じてその他の構成を有する。
【0042】
<感光層>
前記感光層においては、最上層内に所定の粒子を含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
【0043】
<粒 子>
本発明において、前記粒子は、ポリオルガノシロキサン含有相、及び、有機ポリマー含有相が表面に露出している。ここで、前記ポリオルガノシロキサン含有相は、ポリオルガノシロキサンを含む。また前記有機ポリマー含有相においては、前記ポリオルガノシロキサン含有相におけるポリオルガノシロキサン含有濃度に比べてポリオルガノシロキサン含有濃度が低く、かつ、ケイ素を含まない有機ポリマーを含む。
【0044】
前記粒子は、ポリオルガノシロキサン骨格とケイ素を含まない有機ポリマー骨格の双方を有する化合物を含む。該粒子においては、前記各骨格部分が凝集することにより、粒子内に前記ポリオルガノシロキサン濃度の高い部分(前記ポリオルガノシロキサン含有相)と、前記有機ポリマー濃度の高い部分(前記有機ポリマー含有相:即ち、前記ポリオルガノシロキサン含有相におけるポリオルガノシロキサン含有濃度に比べてポリオルガノシロキサン含有濃度が低い相)とが、相分離状態で少なくとも一箇所以上、表面に露出して存在している。
【0045】
本発明においては、このような態様の粒子を感光層における最上層に含ませることにより、特に、電気的、化学的、又は機械的なバザードをかけての持続低摩擦性が顕著に優れることから、高感度で、耐久性が高く、長期の使用による画質の劣化が抑制され、安定した画質の画像を形成可能な電子写真用感光体を提供可能となる。
【0046】
尚、前記粒子における、前記露出の有無、即ち、前記相分離の有無は、エネルギーフィルターを備えた透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、感光体断面薄膜切片におけるケイ素元素のマッピングをとることにより、以下のようにして確認することができる。
【0047】
例えば、前記電子写真用感光体における、最上層を含む感光層を剥離し、エポキシ樹脂で包埋する。余分なエポキシ樹脂を削り落とし、液体窒素で冷却した後、切削装置を用いて、−125℃で厚み2000nmにトリミングする。更に、同温で厚み90nmの表面層断面を示す切片サンプルを作製する。白金ループを用い、蔗糖水溶液で前記切片サンプルを回収し、コロジオン膜貼付メッシュに固定して乾燥し、サンプルを作製する。得られたサンプルについて、エネルギーフィルターを備えた透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、エネルギーフィルター像を観察する。観察においては、Zero loss像、炭素元素部分が最も暗く表示される条件での像(Pre−C像)、及び、ケイ素元素のマッピング像、を各々観察する。前記相分離の有無は、粒子内にコントラストが生じているか否かにより確認することができる。
【0048】
前記粒子概念図を図14に示す。図14に示すように、粒子断面においては、ポリオルガノシロキサン成分を含有するポリオルガノシロキサン含有相1及び該ポリオルガノシロキサン含有相におけるポリオルガノシロキサン含有濃度に比べてポリオルガノシロキサン含有濃度が低く、かつ、ケイ素を含まない有機ポリマーを含有する有機ポリマー含有相2が共に表面に露出している。
【0049】
具体的に、前記ケイ素元素のマッピング像で前記ポリオルガノシロキサン含有相は、白いコントラストで観察される。また、前記有機ポリマー含有相は、黒又はグレーのコントラストで観察される。また、各部位が、粒子表面に露出しているか否かは、粒子内のコントラストの境界が断面粒子の周囲にも達しているか否かにより判断される。
【0050】
前記ポリオルガノシロキサンとしては、後述する式(I)で表され、シロキサン結合により繋がった重合体等が挙げられる。前記有機ポリマーとしては、炭素−炭素結合、炭素−酸素結合、炭素−窒素結合、及び、炭素−硫黄結合の少なくともいずれかの組み合わせにより繋がった従来公知の重合体等が挙げられる。
【0051】
ポリオルガノシロキサン成分を主とする相は粒子表面の1/2以上を占めていることが好ましい。さらに媒体中に有る複合微粒子は一つの粒子の中で相分離していることが好ましく、さらに、二つの層の両方が粒子表面に露出していることが好ましい。表面に露出したポリオルガノシロキサン成分は、摩擦に対して有る程度の展性を有し、摩擦係数を下げる効果があり、撥水性を高め、表面自由エネルギーを小さくしてトナーを付きにくくする効果がある。一方、表面に露出した有機ポリマー成分を主とする相は、媒体との相溶性や接着性を高め、分散性を向上したり、粒子がシリコンオイルのように表面に移動してしまうのを防ぎ、また、擦られた時に容易に脱離しないでいつまでもポリオルガノシロキサン成分を主とする相を表面に保持し続けるのに効果がある。従って、ポリオルガノシロキサン成分を主とする相と有機ポリマー成分を主とする相との表面に露出する割合が重要であり、特性を左右する。ポリオルガノシロキサンによる効果を十分に発揮させるためには粒子表面の1/2以上がポリオルガノシロキサンで占められることが好ましい。
【0052】
また、これらの複合微粒子は媒体中に1μm以下の粒径で分散されることが好ましい。感光体表面の凹凸は、帯電ムラを引き起こし、画像欠陥となって高品位な画像形成ができなくなる。この為には、複合微粒子の直径が1μm以下であることが好ましく、これより大きい場合、感光体の表面凹凸が許容範囲を超え、画像欠陥が生じてしまう。複合微粒子の好ましい分散平均粒径は0.1〜0.6μmである。
また前記低摩擦性は、たとえば、テーバー摩耗、水接触角、摩擦係数、電気特性等により確認することができる。
【0053】
前記有機ポリマーとしては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエチレン等のビニル系重合体、(メタ)アクリル系重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エポキシ重合体、アセタール重合体、フェノキシ重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、及び、ポリアミド等が挙げられる。
【0054】
これらの有機ポリマーは、前記ポリオルガノシロキサンと、必要に応じて結合基を介して連結し、粒子の構成組成物となる。該結合基としては、ラジカル反応性基が好ましい。例えば、アクリル重合基を末端に有する重合体をポリオルガノシロキサン中のラジカル反応性基又はSH基と反応させることにより連結させることができる。該有機ポリマーとしては、特に、アクリル重合基を含む態様が好ましく、該アクリル重合基としては、例えば、後述する、式(II)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル、又は、該(メタ)アクリル酸エステルに共重合可能な単量体と前記(メタ)アクリル酸エステルとの混合物の重合体等が挙げられる。
【0055】
前記ポリオルガノシロキサンと、前記有機ポリマーとの含有比(質量比:ポリオルガノシロキサン/有機ポリマー)としては、以下の理由により、30/70〜90/10が好ましい。
即ち、前記粒子は、前記ポリオルガノシロキサンと前記有機ポリマーとからなる組成物で形成されており、該ポリオルガノシロキサンの粒子内組成割合(含有量)としては、30質量%以上90質量%以下であるのが好ましい。
前記ポリオルガノシロキサン含有量が30質量%未満であると、摩擦係数を下げる効果及び持続効果が小さいことがある一方、90質量%を超えると、分散性が低下し、膜中での偏析も顕著になり、安定した摩擦係数の持続ができなくなる。また膜の機械的強度を下げ、異常摩耗等の問題が生ずるようになる。
前記含有比(質量比:ポリオルガノシロキサン/有機ポリマー)としては、35/65〜85/15がより好ましい。
【0056】
前記粒子は、高感度で、耐久性が高く、長期の使用による画質の劣化が抑制され、安定した画質の画像を形成可能である点で、前記感光層内で球状又は卵形状で分散しているのが好ましい。即ち、該粒子は、前記感光層において、その断面が円形状又は楕円形状で分散しているのが好ましい。また該粒子は、滑り性、異物除去性等と共に、その特性の持続性に優れる点で、ミクロゲルの形態で分散しているのが好ましい。
【0057】
前記粒子は、特に、高感度で、耐久性が高く、長期の使用による画質の劣化が抑制され、安定した画質の画像を形成可能である点で、ポリオルガノシロキサン主鎖と、ケイ素を含まない有機ポリマーからなるグラフト鎖と、を有する有機変性ポリオルガノシロキサングラフト共重合体であるのが好ましい。該有機変性ポリオルガノシロキサングラフト共重合体とは、ポリオルガノシロキサンの構成単位中に反応性基を有し、該反応性基との反応により、ケイ素を含まない有機ポリマーが櫛状に繋がった化合物を指す。尚、主鎖及び側鎖の区別は、主鎖は連結部分を鎖中に複数有すること、側鎖は連結部分を鎖中に1つのみ有すること、で明確に行うことができる。
【0058】
前記有機変性ポリオルガノシロキサングラフト共重合体としては、特に、アクリル変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。該アクリル変性ポリオルガノシロキサンは、そのシロキサン構造部で滑り性や低表面エネルギー化による異物除去性を発現するが、その為には、ジメチルシリコーン鎖が長い方が効果が大きい。また、通常のシリコーンオイルやシリコーン樹脂の場合、膜中に均一分散されなかったり、表面に偏析し、電子写真装置の運転中に直ぐに取れてしまったり、膜中からの供給が行われなかったりして、滑り性や異物除去性の持続が出来なかったものと考えられる。アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物は、アクリル重合部を有しているが、媒体との相溶性を上げるためには、アクリル重合部をある程度均一に入れ込む必要があり、そのためには、分子鎖の比較的長いシリコーン鎖の所々からアクリル重合体をグラフト化させた化合物構造が有利である。前記アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物は、感光層構成物との相溶性が高いため、長期に亘って本発明の効果を奏し得ると考えられる。本発明において、前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンとしては、下記式(I)で表されるポリオルガノシロキサンと、下記式(II)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル又は該(メタ)アクリル酸エステルに共重合可能な単量体と前記(メタ)アクリル酸エステルとの混合物と、を乳化グラフト共重合させたアクリル変性ポリオルガノシロキサン等が特に好ましい。
【0059】
【化17】
Figure 0003998517
【0060】
(R、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基である。R、R及びRは、同一でもよく各々異なっていてもよく、またハロゲン化されていてもよい。Yは、ラジカル反応性基又はSH基若しくはその双方を持つ有機基である。Z及びZは、水素原子、低級アルキル基、及び、下記式(n)で表される基の少なくともいずれかである。Z及びZは、同一でもよく、異なっていてもよい。mは、10,000以下の正の整数であり、nは1以上の整数である。
【0061】
【化18】
Figure 0003998517
【0062】
(式中のR及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基である。R及びRは、同一でもよく各々異なっていてもよく、またハロゲン化されていてもよい。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、ハロゲン化炭化水素基、ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基である。)
【0063】
【化19】
Figure 0003998517
【0064】
(式中のRは、水素原子又はメチル基である。Rは、アルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基の少なくともいずれかである。)
【0065】
前記式(I)において、R、R及びRで表される基としては、炭素数1〜20の炭化水素基であれば特に制限はないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基等、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。これらの炭化水素基においては、炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されていてもよい。R、R及びRは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0066】
前記式(I)において、Yは、ラジカル反応性基又はSH基若しくはその双方を持つ有機基であれば特に制限はない。前記ラジカル反応性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、γ−アクリロキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、及び、γ−メルカプトピロピル基等が挙げられる。Z及びZとしては、例えば、水素原子や、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基や、式(n)で表されるトリオルガノシリル基等が挙げられる。式(n)において、R、R、及び、Rで表される炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ラジカル反応性基、SH基、これらの双方を持つ有機基としては、前述した具体例が好適に挙げられる。
【0067】
式(I)におけるmは、10,000以下の正の整数であり、500〜8,000の整数が好ましい。また式(I)におけるnは、1以上の整数であり、1〜500の整数が好ましい。
【0068】
式(I)で表されるポリオルガノシロキサンは、例えば、環状ポリオルガノシロキサン、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された液状ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端がアルコキシ基で封鎖された液状ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサン等を、また、ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方を導入するためのシラン類或いはシラン類の加水分解生成物等を、更に所望により、本発明の目的を損なわない程度の量の三官能性のトリアルコキシシラン及びその加水分解生成物等を用い、反応させて製造することができる。
【0069】
次に、式(I)で示されるポリオルガノシロキサンの別の製造方法(第1の方法、第2の方法)を説明する。
先ず、第1の製造方法においては、原料として、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状低分子シロキサンと、ラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを持つジアルコキシシラン化合物やその加水分解物等とを用い、強アルカリ性又は強酸性触媒の存在下で重合させることにより、高分子量のポリオルガノシロキサンを得る。このようにして得られた高分子量のポリオルガノシロキサンは、次工程の乳化グラフト共重合に供するために、適当な乳化剤の存在下に水性媒体中に乳化分散させる処理が施される。
【0070】
次に、第2の製造方法においては、原料として、例えば低分子ポリオルガノシロキサンと、ラジカル反応性基又はSH基若しくはその双方を持つジアルコキシシランやその加水分解物とを用い、スルホン酸系界面活性剤や硫酸エステル系界面活性剤の存在下、水性媒体中で乳化重合させる。この乳化重合の場合、同様の原料を用い、アルキルトリメチルアンモニウムクロリドやアルキルベンジルアンモニウムクロリド等のカチオン性界面活性剤により、水性媒体中で乳化分散させた後、適当量の水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等の強アルカリ性化合物を添加して重合させてもよい。
【0071】
このようにして得られ、式(I)で示されるポリオルガノシロキサンの分子量としては、大きい方が好ましい。該分子量が小さいと、組成物から得られる成形体に、持続性のある摺動性、耐摩耗性等を付与する効果が劣ることがある。したがって、前記第1の製造方法においては、重合の際、ポリオルガノシロキサンを高分子量のものとしておき、これを乳化分散することが必要である。また前記第2の製造方法においては、乳化重合後に施される熟成処理の際、熟成温度を低くすることによりポリオルガノシロキサンの分子量を大きくできるため、熟成温度を30℃以下、好ましくは15℃以下とするのが有利である。
【0072】
式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体としては、例えば、多官能性単量体やエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
前記多官能性単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和アミド及びエチレン性不飽和アミドのアルキロール又はアルコキシアルキル化物、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのオキシラン基含有不飽和単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸のエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物などのポリアルキレンオキシド基含有不飽和単量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸との完全エステル、さらにはアリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0074】
これらの多官能性単量体は、アクリル変性ポリオルガノシロキサンにおけるポリマー間の架橋に関与することによって、成形体に弾性、耐久性、耐熱性などを付与する効果を有している。
【0075】
前記エチレン性不飽和単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及び、バーサチック酸ビニルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、また、これらの単量体の1種以上と前記官能性単量体1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
【0076】
前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体の使用量としては、(メタ)アクリル酸エステルとの合計質量に基づき、90質量%以下の範囲であることが必要であり、30質量%以下であるのが好ましい。該使用量が90質量%を超えると、得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンとバインダー樹脂との混和性が低下してしまう。
また、式(I)で表されるポリオルガノシロキサンの使用量としては、滑り性、異物除去性に優れる点で、式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステルに共重合可能な単量体と、前記(メタ)アクリル酸エステルとの合計量の総和より多いのが好ましい。
【0077】
前記式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステル、又は、該(メタ)アクリル酸エステルに共重合可能な単量体と、前記(メタ)アクリル酸エステルとの混合物としては、成形体に、より優れた摺動性、耐摩耗性を付与するためには、そのポリマー化物のガラス転移温度が20℃、好ましくは30℃以上のものが好ましい。
【0078】
前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンは、式(I)で表されるポリオルガノシロキサンと、前記式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステル、又は、該(メタ)アクリル酸エステルに共重合可能な単量体と、前記(メタ)アクリル酸エステルとの混合物と、を質量比(式(I)で表されるポリオルガノシロキサン/前記式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステル、又は、該(メタ)アクリル酸エステルに共重合可能な単量体と、前記(メタ)アクリル酸エステルとの混合物)で5/95〜95/5の割合で用い、乳化重合法により、グラフト共重合させて得るのが好ましい。前記質量比としては、51/49〜95/5がより好ましく、65/35〜95/5が更に好ましい。
前記式(I)で表されるポリオルガノシロキサンの使用割合が、前記質量比の範囲に満たないと、得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシロキサン自体が持つ効果を充分に発揮することができず、かつアクリル系ポリマーの欠点である粘着感が生ずるようになり、一方、前記範囲を超えると、アクリル変性ポリオルガノシロキサンのバインダー樹脂との混和性が低下し、成形体表面にブリードし易くなり、摺動性、耐摩耗性等が経時により低下し易くなる傾向がみられる。
【0079】
乳化重合法によるグラフト共重合の際には、前記ポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンを用い、通常のラジカル開始剤を使用して、公知の乳化重合法により行うことができる。
【0080】
尚、前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの製造としては、特公平7−5808号公報(日信化学工業株式会社出願)において詳細に記載されている。
【0081】
また前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンにおいて、重合時に用いる乳化剤、凝集剤等不純物の残留は、電気特性を問題とする像形成部材、特に電子写真用感光体においては、その電気特性を損なうことがあるため、必要に応じて精製して用いるのが好ましい。精製したアクリル変性ポリオルガノシロキサンを用いることにより、特に繰り返し使用時における、電子写真用感光体の電気安定性が優れる。精製法としては、例えば、酸、アルカリ水溶液、水及びアルコール等で攪拌洗浄処理する方法、ソックスレー抽出等による固液抽出法等が挙げられる。
【0082】
好ましい精製法としては、アルコールで攪拌洗浄処理する方法が挙げられる。アルコールの洗浄は乳化剤と凝集剤によるアクリル変性ポリオルガノシロキサンのイオン成分の除去に非常に有効である。アルコールとしては、メタノール、エタノール及びイソプロアルコールなどが挙げられ、メタノールが好ましい。洗浄操作は2回以上行うのが好ましい。また、アルコールで洗浄した後、イオン交換水で置換処理して、凍結乾燥を行うとより分散しやすいものが得られる。
上述の精製方法によって得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンに対するナトリウム(Na)イオン濃度としては、500ppm以下が好ましい。また同様に、イオウ含有イオン濃度としては、800ppm以下が好ましい。
【0083】
また、熱水で攪拌洗浄処理する方法、ソックスレー抽出等による固液抽出法及び亜臨界状態乃至超臨界状態の流体を用いる抽出処理法等も有効である。なお不純物除去のためにこれらの方法に限定されるものではない。
【0084】
前記感光層における、前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの含有量としては、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
前記含有量が、30質量%を超えると、感光体の表面平滑性の低下、残留電位上昇等の副作用をもたらす。
また、前記感光層において、後述する無機フィラーや高分子電荷輸送材料が含まれる場合、該アクリル変性ポリオルガノシロキサンの含有量としては、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。該含有量が、40質量%を超えると、感光体の表面平滑性の低下、残留電位上昇等の副作用をもたらす。
【0085】
また、前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンを、樹脂に添加する方法としては、例えば、汎用の溶媒中で攪拌する方法、ボールミリング法、振動ミリング法、高圧液体衝突法及び超音波法等の手段などが挙げられる。また、バンバリーミキサー、ロールミル、2軸押出し機などの公知の装置を用い、機械的に混合しペレット状に賦形する方法等も挙げられる。押し出し賦形されたペレットは、幅広い温度範囲で成型可能である。成型には通常の射出成型機等が用いられる。ペレット状に賦形された変性ポリオルガノシロキサン及び樹脂は、更に前述の溶液分散法に適用できる。
【0086】
これらの中でも、特に、前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの粒子を、溶剤及びバインダー樹脂の少なくともいずれかと共に高圧状態に昇圧し、高圧による液衝突によって粉砕及び分散させる高圧液体衝突法によれば、アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子の小径化・均一分散が可能になるため、添加量の増加が可能となり、更なる持続低摩擦性が実現されるため好ましい。該高圧液体衝突法においては、例えば、微細な流路に流体を圧送し、該微細な流路での高圧の液衝突により被分散物を粉砕及び分散させる。高圧ポンプとこれに配管により接続された複数の小径のオリフィスを有する治具と該オリフィスより液が吐出される際に液同志が衝突するように加工された治具により構成された装置等を用いる。前記高圧とは、前記高圧ポンプの吐出量、吐出圧とオリフィス系及び長さ、更には被分散物の粘度よりおおむね決定され、10〜300MPaが好ましく50〜150MPaがより好ましい。
【0087】
このような装置としては、スギノマシン(株)のアルティマイザーシステム、大和製罐(株)、吉田機械興業(株)等のナノマイザーシステムが利用できる。衝突パス回数が増えると、液衝突の発熱が蓄積しやすいので、分散回路に冷却装置をつけるのが望ましい。
【0088】
アクリル変性ポリオルガノシロキサンと溶媒からなる溶液も分散できるし、アクリル変性ポリオルガノシロキサンと溶媒とバインダー樹脂からなる溶液も分散できる。溶媒としては、バインダーが溶解できるものが望ましい。例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサノン等が挙げられる。バインダー樹脂としては、有機電子写真感光体によく使われている市販樹脂(例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる)も使用できるし、特殊な電荷輸送性ポリマーも使用できる。分散されたアクリル変性ポリオルガノシロキサンの再凝集を防ぐため、分散する時少量相溶化剤或いは分散剤を加えれば、得られた分散液の安定性がより高い。
衝突パス回数はアクリル変性ポリオルガノシロキサンの粒径の変化により決められるが、必要以上となると、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの劣化の恐れがあるので、20回以下が望ましい。もっと好ましいのは10回以下である。
尚、本発明において、前記粒子の分散状態は、感光層表面の表面粗さにより確認することができる。
【0089】
本発明で使用されるアクリル変性ポリオルガノシロキサンの代表的な例を示すと、例えば、市販品として、日信化学工業(株)製のシャリーヌR−170S、R−170、NR−150、NR−130、R−210等、信越化学工業(株)製のX−22−8084、X−22−8171等の商品が挙げられる。
【0090】
<電子写真用感光体における感光層の層構成等>
本発明の電子写真用感光体の層構成を図1〜図3にしたがい概略的に説明する。本発明の電子写真用感光体は、アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物粒子を、感光層における最上層に含有している。該感光層は、単層構成でもよく、2層以上積層された積層構成でもよい。
【0091】
図1においては、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層33が設けられており、更に感光層33表面に保護層39が設けられている。この場合、保護層39には高分子電荷輸送材料とアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物と無機フィラーが含有されている。
【0092】
図2は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層された感光層の構成をとっており、更に電荷輸送層上に保護層39が設けられている。この場合、
保護層39には高分子電荷輸送材料とアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物と無機フィラーが含有されてなる。
【0093】
図3は、導電性支持体31上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35とが積層された構成をとっており、更に電荷発生層上に保護層39が設けられてなる。この場合、保護層39には高分子電荷輸送材料とアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物と無機フィラーが含有されてなる。
【0094】
尚、図1、図2、及び図3に示す保護層は下層と明瞭な境界を有して記載されているが、それぞれの層を形成する材料組成の大部分が共通の材料であったり、塗工時の溶解により界面が溶け合ったりし、厳密には明瞭な界面を形成しない場合も多く、図1〜図3ではこれらも包含している。
また、図2で示される構成においては保護層に必要な構成材料を含む電荷輸送層単独で電荷輸送層及び保護層を代用することも可能である。
【0095】
以下、図4〜図10に従い、本発明の電子写真用感光体における感光層の層構成例を、各電荷発生物質、電荷輸送物質の作用及び具体例等も含めて更に詳細に説明する。
【0096】
図4に示す電子写真用感光体100は、導電性支持体1上に、電荷発生物質5とアクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子3を、電荷輸送能を有する樹脂単独あるいは結合剤と併用してなる電荷輸送媒体4の中に分散させた感光層2を有する単層構成である。前記電荷輸送能を有する樹脂は、単独で或いは結合剤との併用で電荷輸送媒体を形成し、一方、電荷発生物質5(無機又は有機顔料等の電荷発生物質)が電荷担体を発生する。この場合、電荷輸送媒体4は主として電荷発生物質5が発生する電荷担体を受入れ、これを輸送する作用を有している。電子写真用感光体100においては、電荷発生物質5と電荷輸送能を有する樹脂とが、互いに主として可視領域において吸収波長領域が重ならないというのが基本的条件である。これは、電荷発生物質5に電荷担体を効率よく発生させるためには、電荷発生物質表面まで光を透過させる必要があるからである。なお、電荷輸送媒体4中に低分子電荷輸送物質を含有させてもよいし、低分子電荷輸送物質と結合剤からなる電荷輸送層媒体も使える。
【0097】
前記電荷発生物質としては、例えば、セレン、セレン−テルル、硫化カドミウム、硫化カドミウム−セレン、α−シリコンなどの無機材料、有機材料としては、例えば、シーアイピグメントブルー25(カラーインデックスCI21180)、シーアイピグメントレッド41(CI21200)、シーアイアシッドレッド52(CI45100)、シーアイベーシックレッド3(CI45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)などのアゾ顔料、例えばシーアイバットブラウン5(CI73410)、シーアイバットダイ(CI73030)などのインジゴ系顔料、アルゴスカーレットB(バイエル社製)、インダンスレンスカーレットR(バイエル社製)などのペリレン系顔料などが挙げられる。また下記構造式に表されるフタロシアニン顔料も電荷発生物質として有用である。式中M(中心金属)は、金属及び無金属(水素)の元素を表す。
【0098】
【化20】
Figure 0003998517
【0099】
前記式で挙げられるM(中心金属)としては、H、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、TI、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am等の単体、もしく酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物等の2種以上の元素等が挙げられる。中心金属は、これらの元素には限定されない。本発明において、フタロシアニン骨格を有する電荷発生物質とは、少なくとも前記構造式で表される基本骨格を有していればよく、2量体、3量体など多量体構造を持つもの、さらに高次の高分子構造を持つものであってもよい。また基本骨格に様々な置換基があるものでもかまわない。
【0100】
これらの様々なフタロシアニンのうち、中心金属にTiOを有するオキソチタニウムフタロシアニン、Hを有する無金属フタロシアニンは、感光体特性的に、特に好ましい。またこれらのフタロシアニンは、様々な結晶系を持つことも知られており、例えば、オキソチタニウムフタロシアニンの場合、α、β、γ、m、y型等、銅フタロシアニンの場合、α、β、γ等の結晶多系を有している。同じ中心金属を持つフタロシアニンにおいても、結晶系が変わることにより、種々の特性も変化する。その中で、感光体特性も、このような結晶系変化に伴い、変化することが報告されている。(電子写真学会誌 第29巻 第4号(1990))、このことから、各フタロシアニンは、感光体特性的に、最適な結晶系が存在し、特にオキソチタニウムフタロシアニンにおいては、y型の結晶系が望ましい。これらの電荷発生物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0101】
前記電荷輸送物質としては、正孔輸送物質及び電子輸送物質が挙げられる。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0102】
前記正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0103】
図5に示す電子写真用感光体200においては、電荷輸送層4上に保護層6が設けられている。電子写真用感光体200においては、電荷輸送層4上に電荷輸送能を有する樹脂あるいは結合剤と併用で、その中にアクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子を加えて保護層が形成されている。低分子電荷輸送物質と結合剤及びアクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子からなる保護層も使用できる。電荷輸送物質を含まない、即ち、結合剤とアクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子による保護層としてもよい。
尚、電荷輸送層4は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがあり、前述したのと同様の電苛輸送物質が総て好適に挙げられる。
【0104】
前記結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0105】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)により異なるが、5μm以上が好ましい。
【0106】
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0107】
図6に示す電子写真用感光体300においては、導電性支持体1上に、電荷発生物質5を主体とする電荷発生層7と、電荷輸送能を有する樹脂とアクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子3を含有する電荷輸送層4との積層からなる感光層2’’が設けられている。電子写真用感光体300においては、電荷輸送層4を透過した光が電荷発生層7に到達し、その領域で電荷担体の発生が起こる。一方、電荷輸送層4は電荷担体の注入を受けてその輸送を行う。光減衰に必要な電荷担体の発生は電荷発生物質5で行われ、電荷担体の輸送は電荷輸送層4で行われる。こうした機構は図4に示した電子写真用感光体100において説明したのと同様である。なお、電荷輸送媒体4は電荷輸送能を有する樹脂単独或いは結合剤との併用で形成される。また電荷発生効率を高めるために、電荷発生層7に電荷輸送能を有する樹脂或いは低分子電荷輸送物質を含有させてもよい。同様の目的で、感光層2’’中に、低分子電荷輸送物質と併用してもよい。又、低分子電荷輸送物質と結合剤からなる電荷輸送層媒体も使える。後述の感光層についても同様である。
【0108】
尚、電荷発生層7は、電荷発生物質を主成分とする層であり、電荷発生層7には、前述した具体例のほか、公知の電荷発生物質を用いることができる。その代表としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合してもかまわない。
【0109】
電荷発生層7は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0110】
必要に応じて電荷発生層7に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
【0111】
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0112】
電荷発生層7は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等が含まれていても良い。
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層7の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0113】
図7に示す電子写真用感光体400においては、アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子を含まない感光層(電荷発生物質5を含む感光層)2’’’上に、図5と同様な方法で保護層6が設けられている。なお電荷輸送層にアクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有させてもよい。
【0114】
図8に示す電子写真用感光体500は、図6において、アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子を含有する電荷発生層7と、電荷輸送能を有する樹脂或いは低分子電荷輸送物質と結合剤による組成物を含有する電荷輸送層4との積層順が逆に設定されている。
【0115】
図9に示す電子写真用感光体600においては、アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子を含まない感光層(電荷輸送物質を含む感光層)2’’’’’上に、図5と同様な方法で保護層6が設けられている。尚、電荷発生層にアクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子を含有させてもよい。
【0116】
図10における電子写真用感光体700においては、導電性支持体1上に、アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子、増感染料及び電荷輸送能を有する樹脂単独あるいは結合剤との併用または低分子電荷輸送物質と結合剤で形成される感光層2’’’’’’が設けられている。ここで、電荷輸送能を有する樹脂または低分子電荷輸送物質は、光導電性物質として作用し、光減衰に必要な電荷担体の生成及び移動は電荷輸送能を有する樹脂または低分子電荷輸送物質を介して行われる。しかし、電荷輸送能を有する樹脂または低分子電荷輸送物質は、光の可視領域において殆ど吸収を有していないので、可視光で画像を形成する目的のためには、可視領域に吸収を有する増感染料を添加して増感する必要がある。
【0117】
図4に示した単層構成の電子写真用感光体100を作製するには、1種又は2種以上の電荷輸送能を有する樹脂あるいは結合剤を併用し、溶剤に溶解させた溶液に、アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子3及び電荷発生物質3の微粒子を分散させ、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加し、これを導電性支持体1上に塗布し乾燥して感光層2を形成すればよい。感光層2の厚みとしては、3〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましく、5〜25μmが更に好ましい。感光層2に占める結合剤の量としては30〜95質量%が好ましい。
【0118】
該結合剤100質量部に対する電荷発生物質の量は、5〜40質量部が好ましく、電荷輸送物質の量は、0〜190質量部が好ましく、50〜150質量部がより好ましい。該アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子の含有量としては、感光層2における固形分に対し20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。また電荷輸送能を有する樹脂の代わりに、低分子電荷輸送物質と結合剤による組成物も適用できる。前記溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等が挙げられる。前記塗布の方法としては、浸漬塗布法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法等が挙げられる。
又、感光層2における電荷発生物質3の含有量としては、0.1〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
【0119】
図5に示した電子写真用感光体200を作製するには、1種又は2種以上の電荷輸送能を有する樹脂あるいは結合剤を併用し溶解した溶液または低分子電荷輸送物質を結合剤とともに溶解した溶液に電荷発生物質5の微粒子を分散せしめ、これを導電性支持体1上に塗布し乾燥して感光層2’を形成すればよい。この感光層上に電荷輸送能を有する樹脂を単独であるいは結合剤と併用してまたは低分子電荷輸送物質を結合剤とともにアクリル変性ポリオルガノシロキサンと溶解、分散し塗布し、乾燥して、保護層6を設ける。保護層6の厚みとしては、0.15〜10μmが好ましい。保護層6中に占める樹脂の量は40〜95質量%であり、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの量は、樹脂に対して、20質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。結合剤とアクリル変性ポリオルガノシロキサンからなる保護層としてもよい。
【0120】
前記保護層は、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来公知の方法によって感光層上に好適に形成することができ、これらの方法の中でも、特に塗膜の均一性の点で、スプレーコートが好ましい。さらに、保護層の必要膜厚を一度で塗工し、保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工し、保護層を多層にする方が膜中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。そうすることによって、残留電位の低減、解像度の向上、及び耐摩耗性の向上に対しより一層の効果が得られる。なお、保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。
【0121】
前記保護層に、前記電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上の点で有効かつ有利である。その際、保護層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル(Ip)が、感光層中に含有される電荷輸送物質のIpと同じか、より小さくなるような電荷輸送物質を保護層に添加することにより、残留電位をより低減できるため好ましい。尚、イオン化ポテンシャルIpは、分光学的に求める方法、電気化学的に求める方法等、種々の方法により測定することができる。
【0122】
図6に示した電子写真用感光体300を作製するには、導電性支持体1に電荷発生物質を真空蒸着するか、あるいは電荷発生物質5の微粒子を必要によって結合剤を溶解した適当な溶媒中に分散した分散液を塗布し乾燥して、更に必要であればバフ研磨などの方法によって表面仕上げ、膜厚調整などを行って電荷発生層7を形成し、この上に1種又は2種以上の電荷輸送能を有する樹脂あるいは結合剤と併用して、又は低分子電荷輸送物質を結合剤とともに、アクリル変性ポリオルガノシロキサンと溶解、分散した溶液を塗布し乾燥して電荷輸送層4を形成すればよい。なおここで電荷発生層7の形成に用いられる電荷発生物質は、前述の感光層2の説明と同じものである。
電荷発生層7の厚さは5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。電荷輸送層4の厚さは3〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。
【0123】
電荷発生層7が、電荷発生層物質5の微粒子を結合剤中に分散させたタイプのものにあっては、電荷発生物質5の微粒子の電荷発生層7に占める割合は、10〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましい。又、電荷輸送層4に占める、電荷輸送能を有する樹脂の量としては、40〜95質量%が好ましく、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの量は、樹脂に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。前述した通り、電荷輸送能を有する樹脂に代えて、低分子電荷輸送物質を用いてよく、該電荷輸送物質としては、下記のものが挙げられる。
【0124】
例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065号、同52−139066号公報に記載)、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体(特開平3−285960号公報に記載)、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭57−73075号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955号、同55−156954号、同55−52063号、同56−81850号などの公報に記載)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭51−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報に記載)、スチリル誘導体(特開昭56−29245号、同58−198043号各公報に記載)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体(特開平2−94812号公報に記載)など。
【0125】
前記電荷輸送能を有する樹脂としては、従来公知の電荷輸送性ポリマーをそのまま利用することができる。例えば、特開昭51−73888号公報、特開昭54−8527号公報、特開昭54−11737号公報、特開昭56−150749号公報、特開昭57−78402号公報、特開昭63−285552号公報、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平3−50555号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平5−232727号公報、特開平5−310904号公報等。
【0126】
トリアリ−ルアミン構造を有する従来公知の電荷輸送性ポリマーに関しても本発明において同様に利用する事が出来る。例えば、アセトフェノン誘導体(特開平8−269183号公報に記載)、ジスチリルベンゼン誘導体(特開平9−71642号公報に記載)、ジフェネチルベンゼン誘導体(特開平9−104746号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開平9−272735号公報およびJP9806709に記載)、ブタジエン誘導体(特開平9−235367号公報に記載)、水素化ブタジエン誘導体(特開平9−87376号公報に記載)、ジフェニルシクロヘキサン誘導体(特開平9−110976号公報に記載)、ジスチリルトリフェニルアミン誘導体(特開平9−268226号公報に記載)、ジスチリルジアミン誘導体(JP9702434)、ジフェニルジスチリルベンゼン誘導体(特開平9−221544号、同9−227669号公報に記載)、スチルベン誘導体(特開平9−157378号公報、JP9702582に記載)、m−フェニレンジアミン誘導体(特開平9−302084号、同9−302085号公報に記載)、レゾルシン誘導体(特開平9−328539号公報に記載)、フルオレン誘導体(特開平11−5836号公報に記載)、フェノキシスチルベン誘導体(特開平11−71453号公報に記載)等が挙げられる。
【0127】
またトリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂も同様に利用できる。例えば、米国特許4,801,517号、同4,806,443号、同4,806,444号、同4,937,165号、同4,959,288号、同5,030,532号、同5,034,296号、同5,080,989号各明細書、特開昭64−9964号、特開平3−221522号、特開平2−304456号、特開平4−11627号、特開平4−175337号、特開平4−18371号、特開平4−31404号、特開平4−133065号各公報等が挙げられる。
【0128】
図7に示した電子写真用感光体400を作製するには、導電性支持体1に電荷発生物質を真空蒸着するか、あるいは電荷発生物質5の微粒子を必要によって結合剤を溶解した適当な溶媒中に分散した分散液を塗布し乾燥して、更に必要であればバフ研磨などの方法によって表面仕上げ、膜厚調整などを行って電荷発生層7を形成し、この上に1種又は2種以上の電荷輸送能を有する樹脂あるいは結合剤と併用しまたは低分子電荷輸送物質を結合剤とともに溶解した溶液を塗布し乾燥して電荷輸送層4を形成した後図8に示した保護層6を設ければいい。
【0129】
図8に示した電子写真用感光体500を作製するには、導電性支持体1上に電荷輸送能を有する樹脂の1種または2種以上あるいは結合剤と併用しまたは低分子電荷輸送物質を結合剤とともに溶解した溶液を塗布し、乾燥して電荷輸送層4を形成した後、この電荷輸送層の上に電荷発生物質の微粒子をアクリル変性ポリオルガノシロキサンとともに必要によって結合剤を溶解した溶媒中に分散した分散液をスプレー塗工等の方法で塗布乾燥して電荷発生層7を形成すればいい。電荷発生層あるいは電荷輸送層の量比は図7で説明した内容と同様である。
【0130】
図9に示した電子写真用感光体600を作製するには、導電性支持体1上に電荷輸送能を有する樹脂の1種又は2種以上あるいは結合剤と併用しまたは低分子電荷輸送物質を結合剤とともに溶解した溶液を塗布し、乾燥して電荷輸送層4を形成した後、この電荷輸送層の上に電荷発生物質の微粒子を必要によって結合剤を溶解した溶媒中に分散した分散液をスプレー塗工等の方法で塗布乾燥して電荷発生層7を形成した後、図8に示した保護層6を設ければいい。
【0131】
図10に示した電子写真用感光体700を作製するには、導電性支持体1上にアクリル変性ポリオルガノシロキサンおよび電荷輸送能を有する樹脂の1種または2種以上あるいはそれと結合剤と併用しまたは低分子電荷輸送物質を結合剤とともに溶解、分散し、更にこれに増感染料を加えた液を作製し、これを導電性支持体1上に塗布し乾燥して感光層2’’’’’’を形成すればよい。
感光層の厚さは3〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。感光層2’’’’’’に占める電荷輸送能を有する樹脂または低分子電荷輸送物質の量は30〜100質量%であり、又、感光層2に占める増感染料の量は0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
【0132】
前記増感染料としては、ブリリアントグリーン、ビクトリアブルーB、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アシッドバイオレット6Bのようなトリアリールメタン染料、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミンGエキストラ、エオシンS、エリトロシン、ローズベンガル、フルオレセインのようなキサンテン染料、メチレンブルーのようなチアジン染料、シアニンのようなシアニン染料等が挙げられる。
【0133】
[導電性支持体]
上記したいずれの電子写真用感光体の製造においても、導電性支持体1としては、体積抵抗10Ω・cm以下の導電性を示す材質、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属板又は金属箔、アルミニウムなどの金属や、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着やスパッタリングしたフィルム状、円筒状のプラスチックフィルム、あるいは導電処理や被覆処理を施した紙、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板や、これらを押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等が挙げられる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等も、導電性支持体31として用いることができる。このほか、上記支持体上に導電性粉末を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも用いることができる。該導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。
【0134】
前記結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネートなどの縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド等のビニル重合体、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂等が挙げられ、絶縁性で且つ接着性のある樹脂であれば特に制限はない。
【0135】
このような導電性支持体は、これらの導電性粉体と結着樹脂とを適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等に分散して塗布することにより形成できる。必要により、可塑剤が結着樹脂に加えられ、そうした可塑剤としては、ハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタリン、ジブチルフタレート等が挙げられる。また必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤などの添加剤を加えることができる。更に以上のようにして得られる感光体には導電性支持体と感光層の間に、必要に応じて接着層又はバリヤ層を設けることができる。これらの層に用いられる材料としては、ポリアミド、ニトロセルロース、酸化アルミニウム、酸化チタンなどであり、また膜厚は1μm以下が好ましい。更に、導電性支持体としては、適当な円筒基体上に、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの材質に、前記導電性粉末を含有させた熱収縮チューブによって導電層を設けた導電性支持体も好ましい。
【0136】
<下引き層>
これらのいずれの電子写真用感光体においても、導電性支持体及び感光層の間に、下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0137】
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが好ましい。
【0138】
以上説明した本発明の電子写真用感光体の表面においては、純水に対する接触角が90°以上であるのが好ましく、95°以上であるのがより好ましい。
前記接触角が90°未満であると、電子写真装置において繰り返し使用すると、表面に帯電生成物やトナーや紙からもたらされる脱落物が付着し易く、クリーニング不良や表面抵抗の低下により潜像の劣化(画像流れ)を生じ易い。一方、純水に対する接触角があまりに大きくても、電子写真用感光体との接着が不充分となることから、140°未満が好ましい。
【0139】
また本発明の電子写真用感光体の表面においては、静電摩擦係数が0.4以下であるのが好ましく、0.35以下であるのがより好ましい。
前記電子写真用感光体の静電摩擦係数が0.4を超えると、電子写真装置において繰り返し使用すると、表面に帯電生成物やトナーや紙からもたらされる脱落物を取り難く、クリーニング不良や表面抵抗の低下による潜像の劣化(画像流れ)を生じ易い。
【0140】
また本発明の電子写真用感光体における感光層のバルクの純水に対する接触角としては、実機中で感光体が1μm減耗した表面の接触角として定義される。最上層ではなく、電子写真用感光体が1μm近くまで減耗した後は、接触角は一定となるため、1±0.3μm減耗した箇所の値を測定すればよい。これを測定するには、実用に供されている複写機に、電子写真用感光体を装填し、実写テストを行って摩耗させるのが実用的である。
【0141】
摩耗のさせ方として、例えば、20℃、50%RH環境で、荷重1000g、摩耗輪CS−5、回転速度60rpmの条件でテーバー摩耗試験(東洋精機社製)にて1000回転程度回転させて表面を削ってもよい。純水に対する接触角の測定は、接触角計CA−W型(協和界面化学社製)を用い、液滴法にて測定することができる。そして、本発明のように、電子写真用感光体の最表面から1±0.3μm離れた位置の純水に対する接触角が90°以上140°以下であることが好ましく、95°以上がより好ましい。静摩擦係数の測定も、同様に極表面を摩耗させた表面を用いるのが好ましい。静摩擦係数の測定は、ステンレスボールを使用するボウデン法により測定することができる。
【0142】
本発明の電子写真用感光体を用いて複写を行うには、感光面に帯電、露光を施した後、現像を行い、必要によって紙などへ転写を行う。
このようにして得られたアクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有する本発明の感光体は感度が高く、またポリオルガノシロキサンの低摩擦性に加えアクリルのマトリックス樹脂への相溶化機能により極めて耐久性に優れている。
【0143】
[電子写真装置及びプロセスカートリッジ]
次に図に従い、本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
図11は、本発明のプロセスカートリッジ及び電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図11において、電子写真用感光体1としては、本発明の電子写真用感光体が用いられている。電子写真用感光体1は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電チャージャ3、転写前チャージャ7、転写チャージャ10、分離チャージャ11、クリーニング前チャージャ13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
【0144】
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図11に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
画像露光部5と除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。かかる光源等は、図11に示される工程のほか、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
【0145】
現像ユニット6により電子写真用感光体1上に現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、電子写真用感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ14及びクリーニングブレード15により、電子写真用感光体1より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真用感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。
これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0146】
図12は、本発明の電子写真装置を概略的に表わす他の構成図である。電子写真用感光体21は本発明の電子写真用感光体であり、駆動ローラ22a,22bにより駆動され、帯電器23による帯電、光源24による像露光、現像(図示せず)、帯電器25を用いる転写、光源26によるクリーニング前露光、ブラシ27によるクリーニング、光源28による除電が繰返し行なわれる。
【0147】
以上の図示した電子写真装置は、本発明における実施形態を例示するものであり、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図12においては、支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。
【0148】
本発明のプロセスカートリッジは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図13に示すものが挙げられる。電子写真用感光体16には、本発明の電子写真用感光体が用いられる。図13においては、感光体16(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0149】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。但し、下記実施例において、特に断りの無い限り、「部」は質量部を表す。
【0150】
[実施例A・比較例A]
−アクリル変性ポリオルガノシロキサンの精製例1−
アクリル変性ポリオルガノシロキサン(シャリーヌR−170S(体積平均粒径(D50)=30μm)、日信化学工業株式会社製)30gをメタノール300mlに採り、60分間の攪拌操作を2回行った後、イオン交換水で置換処理した。得られたアクリル変性ポリオルガノシロキサンを、凍結乾燥して27.76gを得た。精製されたアクリル変性ポリオルガノシロキサンの元素分析を蛍光X線分析法で行った。結果を表1に示す。
【0151】
−アクリル変性ポリオルガノシロキサンの精製例2−
アクリル変性ポリオルガノシロキサン(シャリーヌR−170S(体積平均粒径(D50)=30μm)、日信化学工業株式会社製)30gをメタノール300mlに採り、60分間の攪拌操作を3回行った後、イオン交換水で置換処理した。得られたアクリル変性ポリオルガノシロキサンを、凍結乾燥して26.67gを得た。精製されたアクリル変性ポリオルガノシロキサンの元素分析を蛍光X線分析法で行った。結果を表1に示す。
【0152】
【表1】
Figure 0003998517
【0153】
(実施例A−1)
アルミ板上に、メタノール/ブタノール混合溶媒に溶解したポリアミド樹脂(CM−8000:東レ社製)溶液をドクターブレードで塗布し、自然乾燥して0.3μmの中間層を設けた。この上に、電荷発生物質として下記式で表されるビスアゾ化合物を、シクロヘキサノン及び2−ブタノンの混合溶媒中でボールミルにより粉砕し、得られた分散液をドクターブレードで塗布し、自然乾燥して0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0154】
【化21】
Figure 0003998517
【0155】
次に、形成した電荷発生層の上に、下記組成の電荷輸送層塗工液をドクターブレードで塗布し、自然乾燥し、次いで120℃で20分間乾燥して厚さ20μmの電荷輸送層を形成して電子写真用感光体を作製した。
【0156】
<電荷輸送層塗工液>
・下記構造式で表わされる電荷輸送物質:8.4部
・ポリカーボネート樹脂(パンライトTS2050、帝人化成社製) :9.3部
・精製例1で精製したアクリル変性ポリオルガノシロキサン :0.93部
・ジクロロメタン :100部
【0157】
【化22】
Figure 0003998517
【0158】
得られた電子写真用感光体を、市販の電子写真装置(静電複写紙試験装置((株)川口電機製作所製SP428型))に組み込み、暗所で−6KVのコロナ放電を20秒間行って帯電させた後、感光体の表面電位V(V)を測定し、更に20秒間暗所に放置した後、表面電位V(V)を測定した。次いで、タングステンランプ光を、感光体表面での照度が5.3luxになるように照射して、Vが1/2になるまでの時間(秒)を求め、露光量E1/2(lux・sec)を算出した。V30は、電子写真用感光体の光照射後30秒後の表面電位である。その結果を以下に示す。
・V=−1308V
・V=−1058V
・E1/2=0.68lux・sec
・V30=−5V
【0159】
(実施例A−1’)
実施例A−1で、精製例1で精製したアクリル変性ポリオルガノシロキサンを、精製例2で精製したアクリル変性ポリオルガノシロキサンに代えたほかは、実施例A−1と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例1と同様にして測定を行った。その結果を示す。
・V=−1310V
・V=−1043V
・E1/2=0.63lux・sec
・V30=−4V
【0160】
(実施例A−1’’)
実施例A−1で、精製例1で精製したアクリル変性ポリオルガノシロキサンを、表1で示した未精製のアクリル変性ポリオルガノシロキサンに代えたほかは、実施例A−1と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例1と同様にして測定を行った。その結果を示す。
・V=−1312V
・V=−1088V
・E1/2=1.23lux・sec
・V30=−264V
【0161】
(実施例A−2)
アルミ板上に、実施例1と同様に中間層及び電荷発生層を各々形成して、その上に、下記組成の電荷輸送層塗工液をドクターブレードで塗布し、自然乾燥し、次いで120℃で20分間乾燥して厚さ20μmの電荷輸送層を形成して電子写真用感光体を作製した。
・下記構造式で表わされる高分子輸送物質 :17.7部
【0162】
【化23】
Figure 0003998517
【0163】
(k=0.50,j=0.50 のランダム共重合体)
・精製例2で精製したアクリル変性ポリオルガノシロキサン:0.93部
・ジクロロメタン :100部
【0164】
得られた電子写真用感光体を用い、実施例1と同様にして電気特性の評価を行った。その結果を、以下に示す。
・V=−1531V
・V=−1107V
・E1/2=1.18lux・sec
・V30=−7V
【0165】
また、前記電子写真用感光体を、市販の電子写真複写機を用いて帯電させた後、原図を介して光照射を行って静電潜像を形成し、乾式現像剤を用いて現像し、得られた画像(トナー画像)を普通紙上に静電転写し、定着したところ、鮮明な転写画像が得られた。現像剤として湿式現像剤を用いた場合も同様に鮮明な転写画像が得られた。
【0166】
(実施例A−3)
実施例1で得られた電子写真用感光体を用いてテーバー摩耗試験を行った。工業規格JIS K 7204(1995)に従って、テーバー摩耗試験機(東洋精機社製)にてCS−5摩耗輪を使用し、荷重1Kgで3000回転の摩耗試験を行った。3000回転後の摩耗量を表2に示す。
【0167】
(実施例A−4)
実施例A−3において、電子写真用感光体を実施例2で得られた電子写真用感光体に代えたほかは、実施例A−3と同様にしてテーバー摩耗試験を行った。結果を表2に示す。
【0168】
(比較例A−1)
実施例A−1において、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを用いなかったほかは、実施例A−1と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例A−3と同様にしてテーバー摩耗試験を行った。結果を表2に示す。
【0169】
(比較例A−2)
実施例A−2において、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを用いなかったほかは、実施例A−2と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例A−3と同様にしてテーバー摩耗試験を行った。結果を表2に示す。
【0170】
(比較例A−3)
実施A−1において、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを、ポリシロキサン微粒子(トレフィルR−902A東レシリコン社製)に代えたほかは、実施例A−1と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例A−3と同様にしてテーバー摩耗試験を行った。結果を表2に示す。
【0171】
(比較例A−4)
実施例A−1において、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを、架橋型ポリスチレン微粒子(SX8742(D)−05 日本合成ゴム社製)に代えたほかは、実施例A−1と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例A−3と同様にしてテーバー摩耗試験を行った。結果を表2に示す。
【0172】
【表2】
Figure 0003998517
【0173】
(比較例A−5)
実施例A−1におけるアクリル変性ポリオルガノシロキサンを、特開平5−323646号公報の実施例に使われている、アクリルが主鎖、シリコーンが側鎖であるアクリル−シリコーングラフト共重合体(商品名:GS−101、東亞合成化学社製)に代えたほかは、実施例A−1と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例A−3と同様にしてテーバー試験を行った。結果を表3に示す。
【0174】
(比較例A−6)
実施例A−1におけるアクリル変性ポリオルガノシロキサンを、特開平5−323646号公報の実施例に使われている、アクリルが主鎖、シリコーンが側鎖であるアクリル−シリコーングラフト共重合体(商品名:GS−30、東亞合成化学社製)に代えたほかは、実施例A−1と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例A−3と同様にしてテーバー摩耗試験を行った。結果を表3に示す。
【0175】
(比較例A−7)
比較例A−6で用いたアクリル−シリコーングラフト共重合体(商品名:GS−30、東亞合成化学社製)の配合量を、1.97部に代えたほかは、比較例A−6と同様にして電子写真用感光体を作製し、実施例A−3と同様にしてテーバー摩耗試験を行った。結果を表3に示す。
【0176】
【表3】
Figure 0003998517
【0177】
実施例A−1〜A−2の電子写真特性、及び表1〜2の結果から明らかなように、本発明による電子写真用感光体は、いずれも高い感度と優れた耐摩耗性を示すことがわかる。
【0178】
(実施例A−5)
実施例A−3でテーバー摩耗試験を行った後の電子写真用感光体をサンプルとして用い、摩耗面の純水接触角をAUTOMATIC CONTACT ANGLE METER(KYOWA INTERFACE SCIENCE Co.LTD)にて測定した。同様のサンプルを用いて、全自動摩擦摩耗解析装置(協和界面科学株式会社製)にてステンレスボールと摩耗面間の静摩擦係数を測定した。結果を表4に示す。
【0179】
(実施例A−6)
実施例A−4でテーバー摩耗試験を行った後の電子写真用感光体をサンプルとして用い、実施例A−5と同様にして、純水接触角及び静摩擦係数の測定を行った。結果を表4に示す。
【0180】
(比較例A−8〜比較例A−14)
比較例A−1〜A−7で得られた電子写真用感光体を各々用い、実施例A−5と同様にして純水接触角と静摩擦係数を求めた。結果を表4に示す。
【0181】
【表4】
Figure 0003998517
【0182】
これらの結果から明らかなように、本発明による電子写真用感光体は、比較例に比べ、撥水性及び低摩擦性に優れていることがわかる。
【0183】
(実施例A−7)
実施例A−1で得られた電子写真用感光体の電荷輸送層切片を、ルテニウム酸蒸気で染色して、透過型電子顕微鏡(H−9000NAR)によりモルフォロジーを観察した。結果を概略的に図15に示す。図15に示すように、ポリカーボネートのマトリックス相に、平均粒径0.2μmのアクリル変性ポリオルガノシロキサン分散相が均一に分布された、いわゆるミクロ相分離構造を呈することが分かる。
【0184】
(実施例B・比較例B)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の感光体を作製した。
【0185】
<下引き層塗工液>
・二酸化チタン粉末 :400部
・メラミン樹脂 : 40部
・アルキッド樹脂 : 60部
・2−ブタノン :500部
【0186】
<電荷発生層塗工液>
・下記構造のビスアゾ顔料 : 12部
【0187】
【化24】
Figure 0003998517
【0188】
・ポリビニルブチラール : 5部
・2−ブタノン :200部
・シクロヘキサノン :400部
【0189】
<電荷輸送層塗工液>
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製) : 10部
・下記構造式の電荷輸送物質 : 7部
【0190】
【化25】
Figure 0003998517
【0191】
・テトラヒドロフラン :104部
・1%シリコーンオイル(KF50−100CS,信越化学工業製)のテトラヒドロフラン溶液 : 1部
・精製したポリオルガノシロキサンが7割占められているアクリル変性ポリオルガノシロキサン(R170S,日信化学工業製) :1.89部
【0192】
(実施例B−2)
実施例B−1においてアクリル変性ポリオルガノシロキサンを精製したポリオルガノシロキサンが7割占められているアクリル変性ポリオルガノシロキサン(R170,日信化学工業製)に代えた以外、実施例B−1と全く同様な感光体を作製し、実施例B−2の感光体とした。
【0193】
(実施例B−3)
実施例B−1においてアクリル変性ポリオルガノシロキサンをポリオルガノシロキサンが5割占められているアクリル変性ポリオルガノシロキサンに代えた以外、実施例B−1と全く同様な感光体を作製し、実施例B−3の感光体とした。
【0194】
(実施例B−4)
実施例B−1においてアクリル変性ポリオルガノシロキサンをポリオルガノシロキサンが3割占められているアクリル変性ポリオルガノシロキサンに代えた以外、実施例B−1と全く同様な感光体を作製し、実施例B−4の感光体とした。
【0195】
(比較例B−1)
実施例B−1においてアクリル変性ポリオルガノシロキサン分をUS20010012594で使われたコア/シェル構造を有するグラフト重合体に代えた以外、実施例B−1と全く同様な感光体を作製し、比較例B−1の感光体とした。
【0196】
(比較例B−2)
実施例B−1においてアクリル変性ポリオルガノシロキサン分を特開平5−323646の実施例に使われているアクリルが主鎖、シリコーンが側鎖であるアクリル−シリコーングラフト共重合体(東亞合成化学社製 GS−101)に代えた以外、実施例B−1と全く同様な感光体を作製し、比較例B−2の感光体とした。
【0197】
(比較例B−3)
実施例B−1においてアクリル変性ポリオルガノシロキサン分を特開平5−323646の実施例に使われているアクリルが主鎖、シリコーンが側鎖であるアクリル−シリコーングラフト共重合体(東亞合成化学社製 GS−30)に代えた以外、実施例B−1と全く同様な感光体を作製し、比較例B−3の感光体とした。
【0198】
(比較例B−4)
実施例B−1においてアクリル変性ポリオルガノシロキサン分をシリコーン微粒子(GE東芝シリコーン社製トスパール105 平均粒径0.5μm)に代えた以外、実施例B−1と全く同様な感光体を作製し、比較例B−4の感光体とした。
【0199】
(比較例B−5)
実施例B−1においてアクリル変性ポリオルガノシロキサン分を球形メラミン微粒子(日本触媒社製 エポスターS 一次粒径0.3μm)に代えた以外、実施例B−1と全く同様な感光体を作製し、比較例B−5の感光体とした。
【0200】
(比較例B−6)
実施例B−1においてアクリル変性ポリオルガノシロキサン分をアルコキシ変性シリコーン(信越シリコーン社製 KF−851)に代えた以外、実施例B−1と全く同様な感光体を作製し、比較例B−6の感光体とした。
【0201】
以上のように作製した実施例B−1〜B−4の電子写真用感光体、及び比較例B−1〜B−6の電子写真用感光体を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光は無し)に装着し、画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたリコー製レーザープリンタ改造機にて、連続してまず4万枚の印刷を行った後、温度25゜Cで湿度90%の環境下で画像出しを行い、感光体表面摩擦係数、画像品質、感光層のモルフォロジーについて評価を行った。 感光体表面摩擦係数、画像品質、感光層のモルフォロジーについては以下のようにして評価した。
【0202】
感光体表面摩擦係数:
オイラーベルト方式の摩擦測定器を用い、測定用の画像担持体(ドラム状)を固定し、その上にベルトとして幅30mm、長さ290mmの上質紙を作製し、前記上質紙の片端に100grの分銅を下げ、もう一方の片端に重量を測るデジタル・フォース・ゲージを取り付け、デジタル・フォース・ゲージをゆっくり引き、ベルトが移動開始する瞬間の重量を読みとり、次の式で静止摩擦係数を計算した。
【0203】
μ=2/π×1n(F/W)
(ただし、μ:静止摩擦係数、F:読みとり荷重、W:分銅の重さ、π:円周率である。)
尚、本測定法(オイラー・ベルト方式)は特開平9−166919号公報にも示されている。
【0204】
画像品質:出力画像の画像濃度、細線再現性、文字かすれ、解像度、地肌汚れなどを総合的に評価
感光層のモルフォロジー:エネルギーフィルター透過電子顕微鏡で観察した。
結果を表5に示す。
【0205】
【表5】
Figure 0003998517
【0206】
(実施例C)
−衝突を利用した粉砕・分散による調製例−
(調製例1)
精製されたアクリル変性ポリオルガノシロキサン(シャリーヌR―170S、日信化学工業株式会社製)98.67部をテトラヒドロフラン888部に混合、攪拌した後、アルティマイザーシステム(株式会社スギノマシン製)で分散処理を実施した。分散時の処理圧力は110MPaである。
吐出口より得られた液を再度投入し合計10回までの高圧処理がされ、1回目、5回目と10回目の被分散物をそれぞれ得た。高圧処理回数に対するアクリル変性ポリオルガノシロキサンの粒度分布を堀場製作所粒度分布計(商品名:HORIBA LA−910)で測定した結果を表6に示す。
【0207】
(調製例2)
精製されたアクリル変性ポリオルガノシロキサン(シャリーヌR―170S、日信化学工業株式会社製)7.43gとポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製)39.31部をテトラヒドロフラン888部に混合、攪拌した後、アルティマイザーシステム(株式会社スギノマシン製)で分散処理を実施した。分散時の処理圧力は60MPaである。
吐出口より得られた液を再度投入し合計5回までの高圧処理がされ、1回目、3回目と5回目の被分散物をそれぞれ得た。高圧処理回数に対するアクリル変性ポリオルガノシロキサンの粒度分布を堀場製作所粒度分布計(商品名:HORIBA LA−910)で測定した結果を表6に示す。
【0208】
(調製例3、4、5)
調製例2において分散時の圧力を85MPa、110MPa、150MPaにそれぞれ設定する以外は調製例2と全く同様な処理を実施した。これら各条件で得られた分散液に調製例2と同様な粒度分布測定を実施し、結果を表6に示す。
【0209】
【表6】
Figure 0003998517
【0210】
(調製例6)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、調製例6の感光体を作製した。
【0211】
(実施例C−1)
<下引き層塗工液>
・二酸化チタン粉末 :400部
・メラミン樹脂 : 40部
・アルキッド樹脂 : 60部
・2−ブタノン :500部
<電荷発生層塗工液>
・下記構造のビスアゾ顔料 :12部
【0212】
【化26】
Figure 0003998517
【0213】
・ポリビニルブチラール : 5部
・2−ブタノン :200部
・シクロヘキサノン :400部
【0214】
<電荷輸送層塗工液>
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):10部
・下記構造式の電荷輸送物質 :7部
【0215】
【化27】
Figure 0003998517
【0216】
・テトラヒドロフラン :87部
・1%シリコーンオイル(KF50−100CS,信越化学工業製)テトラヒドロフラン溶液 : 1部
・調製例1で得られたアクリル変性ポリオルガノシロキサン分散液(高圧処理5回品) :18.9部
【0217】
(実施例C−2)
実施例C−1において電荷輸送層塗工液を下記処方を用いた以外、実施例C−1と全く同様な感光体を作製し、実施例C−2の感光体とした。
・ 下記構造式の電荷輸送物質 :7部
【0218】
【化28】
Figure 0003998517
【0219】
・1%シリコーンオイル(KF50-100CS,信越化学工業製)テトラヒドロフラン溶液 : 1部
調製例2で得られたアクリル変性ポリオルガノシロキサン分散液(高圧処理3回品) :237.8部
【0220】
(実施例C−3、4、5)
実施例C−において電荷輸送層塗工液中のアクリル変性ポリオルガノシロキサン分散液(高圧処理3回品)を実施例調製例3,4,5で得られたものをそれぞれ用いた以外、実施例C−2と全く同様な感光体を作製し、実施例C−3、4、5の感光体とした。
【0221】
以上のように作製した実施例C−1〜5の電子写真感光体を電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光は無し)に装着し、画像露光光源を655 nm の半導体レーザーを用いたリコー製レーザープリンタ改造機にて、連続してまず5万枚の印刷を行った後、温度25゜Cで湿度90%の環境下で画像出しを行い、暗部電位、明部電位、画像品質について評価を行った。暗部電位、明部電位、画像品質については以下のようにして評価した。
【0222】
暗部電位:一次帯電の後、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位
明部電位:一次帯電の後、画像露光(全面露光)を受け、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位
画像品質:出力画像の画像濃度、細線再現性、文字かすれ、解像度、地肌汚れなどを総合的に評価
感光体欠陥:感光体表面の目視観察によるアクリル変性ポリオルガノシロキサンの凝集体の感光体への付着を意味する。
また5万枚印刷後には膜厚測定をおこない、印刷前後の膜厚差より摩耗量の評価を行った。結果を表7に示す。
【0223】
【表7】
Figure 0003998517
【0224】
(実施例C−6〜10)
実施例C−1〜5の感光体の電荷輸送層切片をルテニウム酸蒸気で染色して、透過型電子顕微鏡(H−9000NAR)によりモルフォロジーを観察した。ポリカーボネートのマトリックス相に分散されたアクリル変性ポリオルガノシロキサンは画像処理ソフトにて平均粒径を求めた。その結果は表8に示した。
【0225】
【表8】
Figure 0003998517
【0226】
【発明の効果】
本発明の感光体は表面層中にポリオルガノシロキサン成分を主とする相とケイ素を含まない有機ポリマー成分を主とする相との両方が粒子表面に露出している粒子を含有しており、ポリオルガノシロキサン部分が低摩擦性を有し、ケイ素を含まない有機ポリマーの部分がマトリックス樹脂との相溶性を持つことから、感光体の繰り返し使用時においても低摩擦性が持続することにより、高感度で且つ機械的耐久性に優れた電子写真用感光体、並びに該感光体を用いた電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体における層構成の一例を概略的に表す断面図である。
【図2】本発明の電子写真用感光体における層構成の他の例を概略的に表す断面図である。
【図3】本発明の電子写真用感光体における層構成の他の例を概略的に表す断面図である。
【図4】本発明の電子写真用感光体における層構成の他の例を概略的に表す断面図である。
【図5】本発明の電子写真用感光体における層構成の他の例を概略的に表す断面図である。
【図6】 本発明の電子写真用感光体における層構成の他の例を概略的に表す断面図である。
【図7】 本発明の電子写真用感光体における層構成の他の例を概略的に表す断面図である。
【図8】本発明の電子写真用感光体における層構成の他の例を概略的に表す断面図である。
【図9】本発明の電子写真用感光体における層構成の他の例を概略的に表す断面図である。
【図10】本発明の電子写真用感光体における層構成の他の例を概略的に表す断面図である。
【図11】本発明のプロセスカートリッジ及び電子写真装置を説明するための概略断面図である。
【図12】本発明の電子写真装置の概略構成図である。
【図13】本発明のプロセスカートリッジの概略構成図である。
【図14】本発明において用いる粒子表面の概念図である。
【図15】実施例A−1で得られた電子写真用感光体の電荷輸送層切片を、ルテニウム酸蒸気で染色して、透過型電子顕微鏡(H−9000NAR)によりモルフォロジーを観察した概略図である。
【符号の説明】
(図1〜10について)
1、31 導電性支持体
2、33 感光層
3 アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子
4、37 電荷輸送層又は電荷輸送媒体
5 電荷発生物質
6、39 保護層
7、35 電荷発生層
(図11〜13について)
1,16、21 感光体
2 除電ランプ
3,17,23 帯電チャージャ
5,19 画像露光部
6 現像ユニット
7、25 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
18、27 クリーニングブラシ
20 現像ローラ
22a 駆動ローラ
22b 駆動ローラ
24 像露光源
26 クリーニング前露光
28 除電光源
(図14について)
1 ポリオルガノシロキサン含有相
2 有機ポリマー含有相

Claims (19)

  1. 電子写真用感光体の表面層にポリオルガノシロキサン成分を主とする相とケイ素を含まない有機ポリマー成分を主とする相との両方が粒子表面に露出している粒子を含むことを特徴とする電子写真用感光体。
  2. ポリオルガノシロキサン成分とケイ素を含まない有機ポリマー成分との重量比率が30:70から90:10の範囲である請求項1記載の電子写真用感光体。
  3. 前記粒子表面の1/2以上がポリオルガノシロキサン成分で占められていることを特徴とする請求項1記載の電子写真用感光体。
  4. 粒子断面が円形又は楕円形状で分散している請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用感光体。
  5. ケイ素を含まない有機ポリマー成分がアクリル重合基を主成分とする基である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真用感光体。
  6. 前記有機変性ポリオルガノシロキサン化合物が、下記一般式(I)
    Figure 0003998517
    〔式(I)において、R、R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基である。R、R及びRは、同一でもよく各々異なっていてもよく、またハロゲン化されていてもよい。Yは、ラジカル反応性基又はSH基若しくはその双方を持つ有機基である。Z及びZは、水素原子、低級アルキル基、及び、下記式(n)で表される基の少なくともいずれかである。Z及びZは、同一でもよく、異なっていてもよい。mは、10,000以下の正の整数であり、nは1以上の整数である。
    Figure 0003998517
    (R及びRは、炭素数1〜20の炭化水素基である。R及びRは、同一でもよく各々異なっていてもよく、またハロゲン化されていてもよい。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、ハロゲン化炭化水素基、ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基である。)]
    で表わされるポリオルガノシロキサンと、下記一般式(II)
    Figure 0003998517
    (Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、アルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基の少なくともいずれかである。)
    で表わされる(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体との混合物とを、乳化グラフト共重合させて成るアクリル変性ポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項記載の電子写真感光体。
  7. アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物がアルコールで洗浄処理されたものであることを特徴とする請求項記載の電子写真用感光体。
  8. アクリル変性ポリオルガノシロキサンに対してNaイオン濃度が500PPM以下であることを特徴とする請求項記載の電子写真用感光体。
  9. アクリル変性ポリオルガノシロキサンに対してSイオン濃度が800PPM以下であることを特徴とする請求項記載の電子写真用感光体。
  10. 表面層に分散されたアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物からなる粒子が平均粒径0.1〜0.6μmの範囲である請求項6〜9のいずれかに記載の電子写真用感光体。
  11. アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子が溶剤又はバインダー樹脂と溶剤と共に高圧状態に昇圧され、該高圧の液衝突により粉砕及び分散されたものであることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の電子写真用感光体。
  12. 前記昇圧、粉砕及び分散が、前記該アクリル変性ポリオルガノシロキサン及び溶剤を微細な流路に圧送し、該微細な流路の吐出口直後の高圧液正面衝突により行なわれる請求項11記載の電子写真感光体。
  13. 前記高圧液の圧力が10MPa以上、300MPa以下であることを特徴とする請求項12記載の電子写真感光体。
  14. 表面層に無機フィラーをさらに含有させたことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真用感光体。
  15. 表面層に高分子電荷輸送材料をさらに含有させたことを特徴とする請求項14記載の電子写真用感光体。
  16. 高分子電荷輸送材料が下記一般式(A)及び(B)で表される構成単位からなり、一般式(A)で表される構成単位の組成比をk、一般式(B)で表される構成単位の組成比をjとしたとき、組成比の割合が0<k/(k+j)≦1で表されることを特徴とする請求項15記載の電子写真感光体。
    Figure 0003998517
    〔式中、R16は水素原子又は炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルキル基、無置換もしくは置換のアリール基、Ar11、Ar12、Ar13は無置換もしくは置換のアリレン基を示す。R14、R15は無置換もしくは置換のアリール基である。〕
    Figure 0003998517
    〔式中、Xは炭素数2〜20の無置換もしくは置換脂肪族炭化水素2価基、無置換もしくは置換脂環式炭化水素2価基、炭素数6〜20の無置換もしくは置換芳香族炭化水素2価基、またはこれら2価基が結合した2価基、又は下記式で表させる2価基を示す。〕
    Figure 0003998517
    〔式中、R101、R102、R103、R104はハロゲン原子、炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルキル基又は無置換もしくは置換のアリール基(R101、R102、R103、R104が各々複数個存在するときは、同一であっても別異であってもよい)、o、pは0〜4の整数、q、rは0〜3の整数、Yは単結合、炭素数2〜12の直鎖状のアルキレン基、炭素数3〜12の無置換もしくは置換分岐状アルキレン基、一つ以上の炭素数1〜10のアルキレン基と一つ以上の酸素原子及び硫黄原子から構成される2価基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−COO−又は下記式
    Figure 0003998517
    (式中、Zは炭素数2〜20の無置換もしくは置換脂肪族炭化水素2価基又は無置換もしくは置換アリレン基を示し、Zは炭素数2〜20の無置換もしくは置換脂肪族炭化水素2価基又は無置換もしくは置換アリレン基を示し、R105はハロゲン原子、炭素数1〜6の無置換もしくは置換アルキル基、炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルコキシ基又は無置換もしくは置換アリール基を示し、R106、R107は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の無置換もしくは置換アルキル基、炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルコキシ基又は無置換もしくは置換アリール基を示し、またR106、R107が結合して炭素数5〜12の炭素環を形成してもよく、R108、R109、R110、R111は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の無置換もしくは置換アルキル基、炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルコキシ基又は無置換もしくは置換アリール基を示し、R112はハロゲン原子、炭素数1 〜6の無置換もしくは置換アルキル基、炭素数1〜6の無置換もしくは置換のアルコシキ基又は無置換もしくは置換アリール基を示し、R113、R114は単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R115、R116は炭素数1〜6の無置換もしくは置換アルキル基又は無置換もしくは置換アリール基を示し、sは0〜4の整数、tは1又は2、uは0〜4の整数、vは0〜20の整数、wは0〜2000の整数を示す)で表させる2価基を示す。〕
  17. 高分子電荷輸送材料が下記一般式(C)及び上記一般式(B)で表される構成単位からなり、一般式(C)で表される構成単位の組成比をk、一般式(B)で表される構成単位の組成比をjとしたとき、組成比の割合が0<k/(k+j)≦1で表されることを特徴とする請求項15又は16記載の電子写真感光体。
    Figure 0003998517
    〔式中、R19、R20は直鎖または分岐鎖のアルキレン基、Y4は無置換もしくは置換のアリレン基、又は−Ar25−Y5−Ar25−(Ar14、Ar15、Ar25は無置換もしくは置換のアリレン基、Y5はO、S、無置換もしくは置換のアリレン基を示す。)、eは0または1を示す。R14、R15、Ar11、Ar12は前記定義と同一である。〕
  18. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が請求項1〜17のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  19. 少なくとも電子写真感光体を
    具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が請求項1〜17のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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