JP3998105B2 - 化学増幅型ネガ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な化学増幅型ネガ型レジスト組成物、及びそれを用いたパターン形成方法、さらに詳しくは、感度が優れ、かつ断面が矩形で良好なプロファイル形状のレジストパターンを形成しうる化学増幅型ネガ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶素子製造に用いられるホトレジストには、現像処理の際に露光領域が除去され、ポジパターンが得られるポジ型レジストと、現像処理の際に未露光領域が除去され、ネガパターンが得られるネガ型レジストがあるが、このネガ型レジストの1つとして、アルカリ可溶性樹脂、放射線の照射により酸を発生する化合物及び架橋剤からなる化学増幅型ネガ型レジストが知られている。
【0003】
この化学増幅型ネガ型レジストは放射線の照射により発生した酸の触媒作用を利用し、像形成するもので高感度であり、アルカリ現像により高解像度のレジストパターンが得られるという利点があるため、微細なパターンが必要とされる半導体素子や液晶素子の製造用として使用されている。
【0004】
ところで、この化学増幅型ネガ型レジスト組成物において用いられる放射線の照射により酸を発生する化合物としては、例えばトリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレートを始めとするいくつかのイソシアヌル酸エステルが知られている(特公平8−3635号公報)。
【0005】
このイソシアヌル酸エステルは、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)によりハロゲン酸を発生し、かつ該レーザー光に対して高い透明性を有することから、断面が矩形のプロファイル形状の良好なレジストパターンが得られ、KrFエキシマレーザー光用ネガ型レジストに好適に用いられ、また、電子線及びX線用ネガ型レジストにおいても用いられている。
【0006】
しかしながら、近年、各種電子機器類の小型化、電子素子の集積化に伴い、レジストについて、さらに感度や解像度の向上が要求されるようになるとともに、前記イソシアヌル酸エステルを酸発生剤として用いたネガ型レジストは、もはやこの要求を満たすには、感度が不十分であり、さらに感度の高いものが要望されるようになった。
【0007】
一方、酸発生剤として、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4‐tert‐ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタンなどのジアゾメタン類を用いたネガ型レジスト組成物が提案され(特開平4−217249号公報)、感度の点ではある程度改良されているが、トリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレートのようなハロゲン酸発生剤に比べると、形成されるレジストパターンのプロファイルに劣るという欠点がある。
【0008】
また、ネガ型レジストの酸発生剤として、ハロゲン酸発生剤とビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタンなどの酸発生剤も多数提案されているが(特開平8−292564号公報)、これらを特定の割合で組み合わせたものは知られていない。
【0009】
さらに、ネガ型レジストにおいて、ハロゲン酸発生剤とオニウム塩系酸発生剤を混合して使用することも提案されているが(特開平9−311451号公報)、オニウム塩は発生する酸が強すぎるため、未露光部分まで架橋反応が進み、良好なレジストパターン形状が得られない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、優れた感度を有し、かつ断面が矩形で良好なプロファイル形状のレジストパターンを形成することができ、高スループットが要求される半導体素子や液晶素子の製造用として好適な、化学増幅型ネガ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高感度で、かつプロファイル形状が良好なレジストパターンを与える化学増幅型ネガ型レジスト組成物を開発するために鋭意研究を重ねた結果、アルカリ可溶性樹脂として所定の組成及び重量平均分子量をもつ共重合体を用い、かつ酸発生剤として、ハロゲン酸発生剤と特定のジアゾメタン化合物との所定の割合の混合物を用いることにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物及び(C)架橋剤を含有してなるレジスト組成物において、(A)成分として、ヒドロキシスチレン単位70〜95モル%とスチレン単位30〜5モル%とからなる重量平均分子量2000〜4000の共重合体を、(B)成分として、トリス(ハロゲノアルキル)イソシアヌレートとビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタンとの重量比20:1ないし1:2の混合物をそれぞれ用いることを特徴とする化学増幅型ネガ型レジスト組成物、及び支持体上に、この化学増幅型ネガ型レジスト組成物の溶液を塗布し、乾燥して感光層を形成させたのち、放射線をマスクパターンを介して照射するか、あるいは電子線により描画し、加熱処理後、現像液で現像処理するパターン形成方法を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明組成物における(A)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、ヒドロキシスチレン単位70〜95モル%とスチレン単位30〜5モル%とからなる重量平均分子量2000〜4000の共重合体が用いられる。
この(A)成分のアルカリ可溶性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
次に、本発明組成物においては、(B)成分の放射線の照射により酸を発生する化合物、すなわち酸発生剤として、トリス(ハロゲノアルキル)イソシアヌレートとビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタンとの混合物が用いられる。
上記トリス(ハロゲノアルキル)イソシアヌレートは、一般式
【化1】
(式中のR1、R2及びR3は、それぞれハロゲノアルキル基であって、それらはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい)
で表わされる化合物である。
【0018】
上記一般式(I)におけるR1〜R3で示されるハロゲノアルキル基は、炭素数1〜5個のアルキル基の水素原子の少なくとも一つをハロゲン原子、すなわちフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子で置換したものが好ましく、このハロゲン原子としては、特に塩素原子及び臭素原子が好ましい。また、ハロゲン原子は同種のものが複数置換されていてもよいし、異種のもので置換されていてもよい。
【0019】
このトリス(ハロゲノアルキル)イソシアヌレートの好ましい例としては、トリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート及びトリス(2,3‐ジブロモ‐4‐クロロブチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
本発明においては、このトリス(ハロゲノアルキル)イソシアヌレートは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
一方、ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタンにおけるアルキル基は、炭素数3〜7の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基が好ましい。このようなものとしては、例えばビス(tert‐ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n‐ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n‐プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンなどがある。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中でビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンは、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)に対する透明性が高く、解像性に優れ、良好なパターンが得られるので好適である。
【0021】
本発明においては、前記のトリス(ハロゲノアルキル)イソシアヌレートとビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタンは、重量比20:1ないし1:2の割合で混合することが必要である。ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタンの量が上記範囲より少ないと感度の向上効果が十分に発揮されない上、レジストパターンのプロファイルに劣るし、また上記範囲を超えるとレジスト溶剤に対する溶解性が低下し、レジスト組成物の保存安定性が悪くなるおそれがある。感度の向上、レジストパターンのプロファイル形状、レジスト組成物の保存安定性などを考慮すると、このトリス(ハロゲノアルキル)イソシアヌレートとビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタンとの好ましい混合割合は、重量比10:1ないし10:8の範囲である。
【0022】
本発明組成物における(C)成分の架橋剤としては、特に制限はなく、従来化学増幅型ネガ型レジスト組成物の架橋剤として慣用されているものの中から、任意に選択して用いることができる。この架橋剤の好ましい例としては、N‐メチロール化又はN‐アルコキシメチル化されたメラミン樹脂や尿素樹脂を挙げることができる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよいが、特に該メラミン樹脂と尿素樹脂を組み合わせて用いるのが有利である。この場合、配合割合は、尿素樹脂とメラミン樹脂との重量比が80:20ないし99:1の範囲になるように選ぶのが好ましい。
【0023】
このようなN‐メチロール化されたメラミン樹脂又は尿素樹脂は、メラミン又は尿素を沸騰水中でホルムアルデヒドと反応させることにより得ることができるし、また、N‐アルコキシメチル化されたメラミン樹脂又は尿素樹脂は、このようにして得たN‐メチロール化されたメラミン樹脂又は尿素樹脂にさらに低級アルコールを反応させることにより得ることができる。
【0024】
本発明組成物においては、放射線の照射により発生した酸の必要以上の拡散を防止し、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得るなどの目的で、所望により(D)成分として第二級アミンや第三級アミンを配合することができる。ここで、第二級アミンの例としては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミンなどの脂肪族第二級アミンが好ましく挙げられる。また、第三級アミンの例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N‐ジメチルプロピルアミン、N‐エチル‐N‐メチルブチルアミンなどの脂肪族第三級アミン、N,N‐ジメチルモノエタノールアミン、N,N‐ジエチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの第三級アルカノールアミン、N,N‐ジメチルアニリン、N,N‐ジエチルアニリン、N‐エチル‐N‐メチルアニリン、N,N‐ジメチルトルイジン、N‐メチルジフェニルアミン、N‐エチルジフェニルアミン、トリフェニルアミンなどの芳香族第三級アミンなどが挙げられる。これらの第二級アミンや第三級アミンは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、脂肪族第三級アミンが好ましく、特にトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの炭素数2〜4の低級脂肪族第三級アミンが好ましい。
【0025】
本発明組成物においては、前記(D)成分による感度劣化を防止するとともに、解像性をさらに向上させるなどの目的で、所望により、(D)成分と共に、さらに(E)成分として有機カルボン酸を配合することができる。この有機カルボン酸としては、例えば飽和脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸及び芳香族カルボン酸などを挙げることができる。ここで、飽和脂肪族カルボン酸の例としては、酪酸、イソ酪酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの一価又は多価カルボン酸が挙げられ、脂環式カルボン酸の例としては、1,1‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,2‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,3‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,1‐シクロヘキサンジ酢酸などが挙げられる。一方、芳香族カルボン酸の例としては、o‐,m‐又はp‐ヒドロキシ安息香酸、2‐ヒドロキシ‐3‐ニトロ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの水酸基やニトロ基などの置換基を有する芳香族モノカルボン酸やポリカルボン酸などがある。これらの有機カルボン酸は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
これらの有機カルボン酸の中では、芳香族カルボン酸が適当な酸性度を有するので好ましく、特にo‐ヒドロキシ安息香酸が、レジスト溶剤に対する溶解性がよく、かつ各種基板に対して良好なレジストパターンを形成しうるので好適である。
【0027】
本発明組成物における各成分の含有割合については、(A)成分100重量部当り、(B)成分は、0.5〜30重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲で、また(C)成分は、3〜70重量部、好ましくは10〜50重量部の範囲で選ぶのがよい。(B)成分の含有量が0.5重量部未満では像形成が不完全となるし、30重量部を超えると均一なレジスト組成物が得られにくく、現像性も低下する。
一方、(C)成分の含有量が3重量部未満ではレジストパターンが形成されにくいし、70重量部を超えると現像性が低下するので、好ましくない。
【0028】
また、所望により用いられる(D)成分は、(A)成分100重量部当り、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜1.0重量部の範囲で含有させるのがよい。これにより、放射線の照射により発生した酸の必要以上の拡散を防止することができ、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
【0029】
さらに、所望により、前記(D)成分と共に用いられる(E)成分は、(A)成分100重量部当り、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜1.0重量部の範囲で含有させるのがよい。これにより、前記(D)成分による感度劣化を防止しうると共に、解像度をさらに向上させることができる。
【0030】
本発明組成物は、その使用に当たっては上記各成分を溶剤に溶解した溶液の形で用いるのが好ましい。このような溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール又はジプロピレングリコールモノアセテート、あるいはそれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチル‐2‐ピロリドンなどのアミド系溶剤などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0031】
本発明組成物には、さらに所望により混和性のある添加物、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤などの慣用されているものを添加含有させることができる。
【0032】
本発明組成物の使用方法としては従来のホトレジスト技術のレジストパターン形成方法が用いられるが、好適に行うには、まずシリコンウエーハのような支持体上に、該レジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥して感光層を形成させ、これに縮小投影露光装置などにより、紫外線、deep−UV、エキシマレーザー光、X線を所望のマスクパターンを介して照射するか、あるいは電子線により描画し、加熱する。次いでこれを現像液、例えば1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この形成方法でマスクパターンに忠実な画像を得ることができる。
【0033】
本発明の化学増幅型ネガ型レジスト組成物が適用される基板としては特に制限はなく、従来ネガ型レジストが適用されている各種基板、例えばシリコンウエーハ、有機系又は無機系の反射防止膜が設けられたシリコンウエーハ、ガラス基板などのいずれでもよい。特に、有機系反射防止膜が設けられたシリコンウエーハ上での感度、プロファイル形状が良好である。
【0034】
【発明の効果】
本発明の化学増幅型ネガ型レジスト組成物は、感度に優れる上、その頂部の角部分が丸みを帯びることがなく、断面が矩形であり、かつプロファイルに優れるレジストパータンを与えることができる。さらに、電子線及びX線にも良好に感受し、電子線用及びX線用レジストとしても好適である。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0036】
実施例1
プロピレングリコールモノエチルエーテル600重量部に対し、ヒドロキシスチレン単位85モル%とスチレン単位15モル%とからなる重量平均分子量2500の共重合体100重量部、酸発生剤としてのトリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート5重量部とビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン0.5重量部との混合物、尿素樹脂(三和ケミカル社製、商品名「MX−290」)10重量部とメラミン樹脂(三和ケミカル社製、商品名「MX−750」)0.7重量部との混合物、トリブチルアミン0.12重量部、サリチル酸0.09重量部及び全固形分に対して700重量ppmのフッ素・シリコーン系界面活性剤(信越化学工業社製、商品名「X−70−093」)を溶解したのち、孔径0.2μmのメンブレンフィルターを通してろ過し、ネガ型レジスト溶液を得た。
一方、6インチシリコンウエーハ上に、反射防止膜形成用塗布液(東京応化工業社製、商品名「SWK−EX3」)を塗布、乾燥し、その後230℃で90秒間加熱し、膜厚110nmの有機系反射防止膜を設けた。該反射防止膜の上に、上記ネガ型レジスト溶液を3000rpmで30秒間スピンコートし、ホットプレート上、100℃で90秒間乾燥することにより、膜厚0.7μmのレジスト層を形成した。次いで、縮小投影露光装置(キャノン社製、商品名「FPA−3000EX3」)により、KrFエキシマレーザー光を選択的に照射したのち、120℃で90秒間加熱処理し、次いで2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で65秒間パドル現像することにより、ネガ型のレジストパターンを得た。
このようにして得られたレジストパターンは0.18μmのラインアンドスペースパターンが解像され、そのレジストパターン形状は基板面から垂直に切り立った断面が矩形のプロファイル形状が良好なものであった。また、0.18μmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量、すなわち感度は100mJ/cm2であった。
【0037】
実施例2
プロピレングリコールモノメチルエーテル420重量部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート180重量部との混合溶剤に対し、ヒドロキシスチレン単位85モル%とスチレン単位15モル%とからなる重量平均分子量2500の共重合体100重量部、酸発生剤としてのトリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート5重量部とビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン4重量部との混合物、尿素樹脂(三和ケミカル社製、商品名「MX−290」)10重量部とメラミン樹脂(三和ケミカル社製、商品名「MX−750」)0.7重量部との混合物、トリブチルアミン0.12重量部、サリチル酸0.09重量部及び全固形分に対して700重量ppmのフッ素・シリコーン系界面活性剤(信越化学工業社製、商品名「X−70−093」)を溶解したのち、孔径0.2μmのメンブレンフィルターを通してろ過し、ネガ型レジスト溶液を得た。
一方、6インチシリコンウエーハ上に、反射防止膜形成用塗布液(東京応化工業社製、商品名「SWK−EX2」)を塗布、乾燥し、その後180℃で90秒間加熱し、膜厚110nmの有機系反射防止膜を設けた。該反射防止膜の上に、上記ネガ型レジスト溶液を3000rpmで30秒間スピンコートし、ホットプレート上、100℃で90秒間乾燥することにより、膜厚0.7μmのレジスト層を形成した。次いで、縮小投影露光装置(キャノン社製、商品名「FPA−3000EX3」)により、KrFエキシマレーザー光を選択的に照射したのち、120℃で90秒間加熱処理し、次いで2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で65秒間パドル現像することにより、ネガ型のレジストパターンを得た。
このようにして得られたレジストパターンは0.18μmのラインアンドスペースパターンが解像され、そのレジストパターン形状は基板面から垂直に切り立った断面が矩形のプロファイル形状が良好なものであった。また、0.18μmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量は66mJ/cm2であった。
【0038】
実施例3
実施例1において、酸発生剤として、トリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート5重量部とビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン0.5重量部との混合物の代わりに、トリス(2,3‐ジブロモ‐4‐クロロブチル)イソシアヌレート5重量部とトリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート4重量部とビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン0.5重量部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして実施した。
このようにして得られたレジストパターンは0.19μmのラインアンドスペースパターンが解像され、そのレジストパターン形状は基板面から垂直に切り立った断面が矩形のプロファイル形状が良好なものであった。また、0.19μmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量は38mJ/cm2であった。
【0039】
比較例1
実施例1において、酸発生剤として、トリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート5重量部とビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン0.5重量部との混合物の代わりに、トリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして実施した。
このようにして得られたレジストパターンは0.21μmのラインアンドスペースパターンが解像され、そのレジストパターン形状は基板面から垂直に切り立ってはいるが、トップ部分が丸い不良なものであった。また、0.21μmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量は120mJ/cm2であった。
【0040】
比較例2
実施例2において、酸発生剤として、トリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート5重量部とビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン4重量部との混合物の代わりに、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン4重量部を用いた以外は、実施例2と同様にして実施した。
このようにして得られたレジストパターンは0.21μmのラインアンドスペースパターンが解像され、そのレジストパターン形状はテーパー形状でかつトップ部分が丸い不良なものであった。また、0.21μmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量は94mJ/cm2であった。
【0041】
比較例3
実施例2において、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンの量を4重量部から15重量部に変更した以外は、実施例2と同様にしてネガ型レジスト溶液を調製した。
このようにして得られたネガ型レジスト溶液は、−20℃で3日間保存した時点で析出物が発生していた。
Claims (7)
- (A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物及び(C)架橋剤を含有してなるレジスト組成物において、(A)成分として、ヒドロキシスチレン単位70〜95モル%とスチレン単位30〜5モル%とからなる重量平均分子量2000〜4000の共重合体を、(B)成分として、トリス(ハロゲノアルキル)イソシアヌレートとビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタンとの重量比20:1ないし1:2の混合物をそれぞれ用いることを特徴とする化学増幅型ネガ型レジスト組成物。
- トリス(ハロゲノアルキル)イソシアヌレートがトリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート及びトリス(2,3‐ジブロモ‐4‐クロロブチル)イソシアヌレートの中から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の化学増幅型ネガ型レジスト組成物。
- ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタンがビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンである請求項1又は2記載の化学増幅型ネガ型レジスト組成物。
- (C)成分の架橋剤が、N‐メチロール化又はN‐アルコキシメチル化されたメラミン樹脂又は尿素樹脂である請求項1、2又は3記載の化学増幅型ネガ型レジスト組成物。
- さらに(D)成分として、第二級アミン又は第三級アミンを配合する請求項1ないし4のいずれかに記載の化学増幅型ネガ型レジスト組成物。
- さらに(E)成分として、有機カルボン酸を配合する請求項1ないし5のいずれかに記載の化学増幅型ネガ型レジスト組成物。
- 支持体上に、請求項1ないし6のいずれかに記載の化学増幅型ネガ型レジスト組成物の溶液を塗布し、乾燥して感光層を形成させたのち、放射線をマスクパターンを介して照射するか、あるいは電子線により描画し、加熱処理後、現像液で現像処理するパターン形成方法。
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