JP3997795B2 - 半導体モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる半導体レーザモジュールや半導体アンプモジュール等半導体モジュールの製造方法に係り、特に、外部磁場がなくても磁気的に飽和した状態が維持される高保磁力膜の磁性ガーネット膜を用いた光アイソレータが組込まれた半導体モジュールを製造する際、高保磁力膜の磁気的飽和状態が解除されない半導体モジュールの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信に用いられる半導体レーザモジュールや半導体アンプモジュールには、半導体レーザ等の半導体素子へ光が戻るのを阻止するため光アイソレータが組み込まれている。その一例を、図1を用いて説明する。
【0003】
まず、この種の半導体レーザモジュールは、図1に示すようにハウジング11と、このハウジング11内において光軸に沿って配置されたフォトダイオード4、半導体レーザ素子1、集光用レンズ5および光アイソレータ7と、上記ハウジング11壁面に取付けられたフェルール9を介しハウジング11内に導入される光ファイバ8とでその主要部が構成されている。
【0004】
そして、この半導体レーザモジュールは以下のような組立て工程を経て製造されている。
【0005】
まず、上記半導体レーザ素子1はヒートシンク2を介して半導体レーザキャリア3に搭載され、この半導体レーザキャリア3はフォトダイオード4と共に集光用レンズ5が固定されたベース6に半田固定される。また、このベース6上には光アイソレータ7が搭載され、上記フェルール9を介して導入される光ファイバ8が光アイソレータ7に光学調整された後にそれぞれ固定される。
【0006】
また、上記ベース6は、ペルチェ素子10を介し金属製のハウジング11に固定されると共に、光ファイバ8を保護するフェルール9がハウジング11壁面の光ファイバ導入孔において半田固定される。
【0007】
更に、半導体レーザモジュールはハウジング11の外に突出したリード(図示せず)とハウジング11内においてボンディングワイヤによる配線を用いて導通された後、ハウジング11の開口部が金属蓋12により半田で封止固定され、かつ、ハウジング11内の気密封止を行って完成される。
【0008】
尚、上記光アイソレータ7は、磁性ガーネット膜からなるファラデー回転子とその両側に配置された一対の偏光子とで構成され、かつ、ファラデー回転子の周囲にはファラデー回転子を磁気的に飽和させるための小型でかつ強力な永久磁石が配置されている。
【0009】
ところで、半導体レーザモジュールに対する小型化の要求が、近年、ますます強まり、この要求に伴い金属ハウジング内の空間が狭くなってきている。
【0010】
そして、小型化の要求に答えるべく、磁石を必要としない特殊な磁性ガーネット膜からなるファラデー回転子が開発されている(特開平9−185027号公報参照)。
【0011】
この磁性ガーネット膜は、最初に外部磁場を印加して磁気的に飽和させた後は、外部磁場を取り除いても磁気的に飽和した状態が維持されることから高保磁力膜と呼ばれている。そして、この高保磁力膜のファラデー回転子を用いて光アイソレータを構成した場合、磁石を必要としない分、金属ハウジング内の空間をより狭くすることができ、かつ、コスト的にも有利な利点を有する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、半導体レーザモジュール等半導体モジュールの製造においては、ハウジング内に光アイソレータが組込まれた後、上述したような半田を固定するための各種の加熱工程が存在し、場合によっては光アイソレータの固定そのものを半田固定により行なうことがあった。また、半田固定に代えて接着剤による固定を行なったとしても、接着剤を固化させるためには120℃程度の加熱が必要となるため、依然として加熱工程が存在した。
【0013】
そして、加熱工程が存在する半導体モジュールの製造方法でも、磁石を用いた従来の光アイソレータが組込まれる場合は特に問題は無かった。
【0014】
しかし、高保磁力膜を用いた光アイソレータが組込まれる場合には、半田固定のための加熱処理により折角固定した高保磁力膜の磁気的飽和状態が解除されてしまい、当初の多磁区状態に戻ってしまうという問題を有していた。
【0015】
また、半田固定に代えて接着剤による固定方法を採った場合でも、接着剤を固化させる際の加熱処理によって磁気的飽和状態が解除されることがあった。
【0016】
そして、高保磁力膜の磁気的飽和状態が解除されると光アイソレータとして機能しなくなるため、高保磁力膜を用いた光アイソレータを半導体モジュール内に組込む場合は、比較的低い温度で接着剤を固化させるか、半導体モジュールの組立後に高保磁力膜を再度磁気的に飽和させる(以後「再着磁」と称する)必要があった。
【0017】
しかし、接着剤による固定は半田固定に比較すると信頼性が低いという問題があった。また、半導体モジュールの組立後に高保磁力膜を再着磁させるには、半導体モジュールを100℃程度に加熱し、外部から1.6×105A/m以上といった強力な磁場を印加する必要があるため、大掛かりな磁場発生装置を必要とし、かつ、半導体モジュール内に磁性体が存在すると高保磁力膜に磁場がかからず再着磁できないという問題もあった。
【0018】
本発明はこの様な問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは高保磁力膜を用いた光アイソレータが組込まれた半導体モジュールを製造する際、高保磁力膜の磁気的飽和状態が解除されない半導体モジュールの製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
そこで、かかる課題を解決するため本発明者等が鋭意研究を行なったところ以下のような技術的知見を見出すに至った。すなわち、上記高保磁力膜は温度が上昇すると、磁気的飽和状態が解かれて多磁区状態となりファラデー回転子として機能しなくなるが、高保磁力膜の磁化方向と同じ方向に外部磁場があれば、弱い磁場であっても磁気的飽和状態が解かれないことを発見するに至った。本発明はこの様な技術的知見に基づき完成されたものである。
【0020】
すなわち、請求項1に係る発明は、
外部磁場がなくても磁気的に飽和した状態が維持される磁性ガーネット膜から成るファラデー回転子を用いた光アイソレータが組み込まれた半導体モジュールの製造方法を前提とし、
製造途中の工程において上記磁性ガーネット膜が100℃以上の温度に晒される際、この磁性ガーネット膜の磁化方向と同じ方向に外部磁場を印加することを特徴とし、
請求項2に係る発明は、
請求項1記載の発明に係る半導体モジュールの製造方法を前提とし、
上記外部磁場が8.0×102A/m以上、1.6×104A/m以下であることを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
まず、本発明は半導体モジュールを組み立てる製造途中の工程において、高保磁力膜である磁性ガーネット膜が100℃以上の温度に晒される際、高保磁力膜の磁化方向と同じ方向に外部磁場を印加することで高保磁力膜の磁気的飽和状態が解かれないようにする方法であるが、この外部磁場の印加方法は、コイルや永久磁石により半導体モジュールのハウジング外部から磁場を印加する方法であっても、あるいは半導体モジュールのハウジング内に永久磁石を配置して印加する方法であってもよく任意である。
【0023】
また、本発明において高保磁力膜である磁性ガーネット膜の磁気的飽和状態が解かれるのを防止するために必要な磁場は、上述した技術的発見から確認されるように飽和磁場以下の高保磁力膜を再着磁させるのに必要な磁場よりも弱くて済むため小型の磁場発生装置を適用することができる。
【0024】
また、半導体モジュールのハウジング内に磁石を配置する場合でも、高保磁力膜である磁性ガーネット膜の磁気的飽和状態が解かれるのを防止するのに必要な磁場は、通常の磁性ガーネット膜を磁気的に飽和させるのに必要な磁場よりも小さくて済むため、小型の磁石が適用できる。そして、半導体モジュールのハウジング内に、通常の光アイソレータのようにファラデー回転子を囲むように円筒形磁石を配置する方法を採ってもよいし、ファラデー回転子の近傍に光軸に沿って直方体磁石を配置する方法でもよく、磁石の構造・配置は任意である。具体的には、半導体モジュールにおけるハウジング内の空間的余裕のある部分、例えば金属蓋の裏面側に板状の磁石を貼り付ける方法でもよい。すなわち、必要な磁場が高保磁力膜である磁性ガーネット膜にかかっていればよいからである。
【0025】
尚、本発明において高保磁力膜である磁性ガーネット膜に印加する外部磁場の強さは、上記磁性ガーネット膜の磁気的飽和状態が解かれるのを防止できる範囲で任意に設定されるが、好ましくは8.0×102A/m以上、1.6×104A/m以下であるとよい。8.0×102A/m未満であると磁性ガーネット膜の磁気的飽和状態が若干解かれることがあり、1.6×104A/mを超える強い磁場を印加すると、100℃以上の温度に晒されているハウジング内の光アイソレータが動いてしまうことがあるからである。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0027】
高保磁力膜の近傍にSmCo磁石を配置すると共に、高保磁力膜とSmCo磁石との距離を変化させることにより、高保磁力膜に印加する外部磁場を8.0×102A/m(実施例1)、4.0×103A/m(実施例2)、1.6×104A/m(実施例3)と変化させ、PbSn半田の融点より若干高い200℃に各高保磁力膜を5分間保持して高保磁力膜の磁区の様子を観察した。尚、高保磁力膜の磁化方向と高保磁力膜に加えられる外部磁場の方向は同一としている。また、比較例として、高保磁力膜に外部磁場を印加させない状態で実施例と同様の温度に加熱しその高保磁力膜の磁区の様子を観察した。また、高保磁力膜には、組成が(BiEuHo)3(FeGa)5O12の磁性ガーネット膜を適用している。
【0028】
また、高保磁力膜の磁区の観察方法は、高保磁力膜をファラデー回転子とした光アイソレータと同様な配置構造をセットし、この構造体に入射された光の透過光投影図を観察することにより行なう方法を採っている。すなわち、高保磁力膜を中央にしてその両側に透過偏光方向が互いに45度異なる一対の偏光子を配置し、一方の偏光子側から光を入射させて高保磁力膜と他方の偏光子を透過してくる光を観察し、光が一様に透過しているもの(図2の透過光投影図のように均一に白く見える)あるいは一様に透過しないもの(均一に黒く見える)についてはその高保磁力膜における磁区が単磁区であるとし、また、透過する領域と透過しない領域が混在しているもの(図3の透過光投影図のように黒と白の領域が混在して見える)についてはその高保磁力膜における磁区が多磁区であると判断する方法を採っている。
【0029】
そして、高保磁力膜の磁気的飽和状態が固定された状態であれば、高保磁力膜の磁区は単磁区状態であり、解除されていれば多磁区状態となる。
【0030】
結果を以下の表1に示す。
【0031】
また、上記観察方法により観察された実施例1および比較例に係る高保磁力膜の加熱後における磁区状態を示す透過光投影図を図2および図3に示す。
【0032】
【表1】
そして、表1に示された各実施例の結果より、高保磁力膜に外部磁場が印加されていれば、半田固定のために高保磁力膜を加熱したとしても磁気的飽和状態が固定されたままであることが確認される。一方、比較例の結果から、高保磁力膜に外部磁場が印加されていない場合、高保磁力膜の磁気的飽和状態が解かれてしまうことも確認される。
【0033】
【発明の効果】
請求項1〜2記載の発明に係る半導体モジュールの製造方法によれば、
製造途中の工程において高保磁力膜である磁性ガーネット膜が100℃以上の温度に晒される際、この磁性ガーネット膜の磁化方向と同じ方向に外部磁場を印加していることから、製造途中において加熱工程が存在しても高保磁力膜である磁性ガーネット膜の磁気的飽和状態が解除されることがない。
【0034】
従って、高保磁力膜である磁性ガーネット膜を用いた光アイソレータが組込まれた半導体モジュールの製造の際に、高保磁力膜の再着磁を行う必要がない効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体モジュールの一例を示す構成断面図。
【図2】実施例1に係る高保磁力膜の加熱後における磁区状態を示す透過光投影図。
【図3】比較例に係る高保磁力膜の加熱後における磁区状態を示す透過光投影図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる半導体レーザモジュールや半導体アンプモジュール等半導体モジュールの製造方法に係り、特に、外部磁場がなくても磁気的に飽和した状態が維持される高保磁力膜の磁性ガーネット膜を用いた光アイソレータが組込まれた半導体モジュールを製造する際、高保磁力膜の磁気的飽和状態が解除されない半導体モジュールの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信に用いられる半導体レーザモジュールや半導体アンプモジュールには、半導体レーザ等の半導体素子へ光が戻るのを阻止するため光アイソレータが組み込まれている。その一例を、図1を用いて説明する。
【0003】
まず、この種の半導体レーザモジュールは、図1に示すようにハウジング11と、このハウジング11内において光軸に沿って配置されたフォトダイオード4、半導体レーザ素子1、集光用レンズ5および光アイソレータ7と、上記ハウジング11壁面に取付けられたフェルール9を介しハウジング11内に導入される光ファイバ8とでその主要部が構成されている。
【0004】
そして、この半導体レーザモジュールは以下のような組立て工程を経て製造されている。
【0005】
まず、上記半導体レーザ素子1はヒートシンク2を介して半導体レーザキャリア3に搭載され、この半導体レーザキャリア3はフォトダイオード4と共に集光用レンズ5が固定されたベース6に半田固定される。また、このベース6上には光アイソレータ7が搭載され、上記フェルール9を介して導入される光ファイバ8が光アイソレータ7に光学調整された後にそれぞれ固定される。
【0006】
また、上記ベース6は、ペルチェ素子10を介し金属製のハウジング11に固定されると共に、光ファイバ8を保護するフェルール9がハウジング11壁面の光ファイバ導入孔において半田固定される。
【0007】
更に、半導体レーザモジュールはハウジング11の外に突出したリード(図示せず)とハウジング11内においてボンディングワイヤによる配線を用いて導通された後、ハウジング11の開口部が金属蓋12により半田で封止固定され、かつ、ハウジング11内の気密封止を行って完成される。
【0008】
尚、上記光アイソレータ7は、磁性ガーネット膜からなるファラデー回転子とその両側に配置された一対の偏光子とで構成され、かつ、ファラデー回転子の周囲にはファラデー回転子を磁気的に飽和させるための小型でかつ強力な永久磁石が配置されている。
【0009】
ところで、半導体レーザモジュールに対する小型化の要求が、近年、ますます強まり、この要求に伴い金属ハウジング内の空間が狭くなってきている。
【0010】
そして、小型化の要求に答えるべく、磁石を必要としない特殊な磁性ガーネット膜からなるファラデー回転子が開発されている(特開平9−185027号公報参照)。
【0011】
この磁性ガーネット膜は、最初に外部磁場を印加して磁気的に飽和させた後は、外部磁場を取り除いても磁気的に飽和した状態が維持されることから高保磁力膜と呼ばれている。そして、この高保磁力膜のファラデー回転子を用いて光アイソレータを構成した場合、磁石を必要としない分、金属ハウジング内の空間をより狭くすることができ、かつ、コスト的にも有利な利点を有する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、半導体レーザモジュール等半導体モジュールの製造においては、ハウジング内に光アイソレータが組込まれた後、上述したような半田を固定するための各種の加熱工程が存在し、場合によっては光アイソレータの固定そのものを半田固定により行なうことがあった。また、半田固定に代えて接着剤による固定を行なったとしても、接着剤を固化させるためには120℃程度の加熱が必要となるため、依然として加熱工程が存在した。
【0013】
そして、加熱工程が存在する半導体モジュールの製造方法でも、磁石を用いた従来の光アイソレータが組込まれる場合は特に問題は無かった。
【0014】
しかし、高保磁力膜を用いた光アイソレータが組込まれる場合には、半田固定のための加熱処理により折角固定した高保磁力膜の磁気的飽和状態が解除されてしまい、当初の多磁区状態に戻ってしまうという問題を有していた。
【0015】
また、半田固定に代えて接着剤による固定方法を採った場合でも、接着剤を固化させる際の加熱処理によって磁気的飽和状態が解除されることがあった。
【0016】
そして、高保磁力膜の磁気的飽和状態が解除されると光アイソレータとして機能しなくなるため、高保磁力膜を用いた光アイソレータを半導体モジュール内に組込む場合は、比較的低い温度で接着剤を固化させるか、半導体モジュールの組立後に高保磁力膜を再度磁気的に飽和させる(以後「再着磁」と称する)必要があった。
【0017】
しかし、接着剤による固定は半田固定に比較すると信頼性が低いという問題があった。また、半導体モジュールの組立後に高保磁力膜を再着磁させるには、半導体モジュールを100℃程度に加熱し、外部から1.6×105A/m以上といった強力な磁場を印加する必要があるため、大掛かりな磁場発生装置を必要とし、かつ、半導体モジュール内に磁性体が存在すると高保磁力膜に磁場がかからず再着磁できないという問題もあった。
【0018】
本発明はこの様な問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは高保磁力膜を用いた光アイソレータが組込まれた半導体モジュールを製造する際、高保磁力膜の磁気的飽和状態が解除されない半導体モジュールの製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
そこで、かかる課題を解決するため本発明者等が鋭意研究を行なったところ以下のような技術的知見を見出すに至った。すなわち、上記高保磁力膜は温度が上昇すると、磁気的飽和状態が解かれて多磁区状態となりファラデー回転子として機能しなくなるが、高保磁力膜の磁化方向と同じ方向に外部磁場があれば、弱い磁場であっても磁気的飽和状態が解かれないことを発見するに至った。本発明はこの様な技術的知見に基づき完成されたものである。
【0020】
すなわち、請求項1に係る発明は、
外部磁場がなくても磁気的に飽和した状態が維持される磁性ガーネット膜から成るファラデー回転子を用いた光アイソレータが組み込まれた半導体モジュールの製造方法を前提とし、
製造途中の工程において上記磁性ガーネット膜が100℃以上の温度に晒される際、この磁性ガーネット膜の磁化方向と同じ方向に外部磁場を印加することを特徴とし、
請求項2に係る発明は、
請求項1記載の発明に係る半導体モジュールの製造方法を前提とし、
上記外部磁場が8.0×102A/m以上、1.6×104A/m以下であることを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
まず、本発明は半導体モジュールを組み立てる製造途中の工程において、高保磁力膜である磁性ガーネット膜が100℃以上の温度に晒される際、高保磁力膜の磁化方向と同じ方向に外部磁場を印加することで高保磁力膜の磁気的飽和状態が解かれないようにする方法であるが、この外部磁場の印加方法は、コイルや永久磁石により半導体モジュールのハウジング外部から磁場を印加する方法であっても、あるいは半導体モジュールのハウジング内に永久磁石を配置して印加する方法であってもよく任意である。
【0023】
また、本発明において高保磁力膜である磁性ガーネット膜の磁気的飽和状態が解かれるのを防止するために必要な磁場は、上述した技術的発見から確認されるように飽和磁場以下の高保磁力膜を再着磁させるのに必要な磁場よりも弱くて済むため小型の磁場発生装置を適用することができる。
【0024】
また、半導体モジュールのハウジング内に磁石を配置する場合でも、高保磁力膜である磁性ガーネット膜の磁気的飽和状態が解かれるのを防止するのに必要な磁場は、通常の磁性ガーネット膜を磁気的に飽和させるのに必要な磁場よりも小さくて済むため、小型の磁石が適用できる。そして、半導体モジュールのハウジング内に、通常の光アイソレータのようにファラデー回転子を囲むように円筒形磁石を配置する方法を採ってもよいし、ファラデー回転子の近傍に光軸に沿って直方体磁石を配置する方法でもよく、磁石の構造・配置は任意である。具体的には、半導体モジュールにおけるハウジング内の空間的余裕のある部分、例えば金属蓋の裏面側に板状の磁石を貼り付ける方法でもよい。すなわち、必要な磁場が高保磁力膜である磁性ガーネット膜にかかっていればよいからである。
【0025】
尚、本発明において高保磁力膜である磁性ガーネット膜に印加する外部磁場の強さは、上記磁性ガーネット膜の磁気的飽和状態が解かれるのを防止できる範囲で任意に設定されるが、好ましくは8.0×102A/m以上、1.6×104A/m以下であるとよい。8.0×102A/m未満であると磁性ガーネット膜の磁気的飽和状態が若干解かれることがあり、1.6×104A/mを超える強い磁場を印加すると、100℃以上の温度に晒されているハウジング内の光アイソレータが動いてしまうことがあるからである。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0027】
高保磁力膜の近傍にSmCo磁石を配置すると共に、高保磁力膜とSmCo磁石との距離を変化させることにより、高保磁力膜に印加する外部磁場を8.0×102A/m(実施例1)、4.0×103A/m(実施例2)、1.6×104A/m(実施例3)と変化させ、PbSn半田の融点より若干高い200℃に各高保磁力膜を5分間保持して高保磁力膜の磁区の様子を観察した。尚、高保磁力膜の磁化方向と高保磁力膜に加えられる外部磁場の方向は同一としている。また、比較例として、高保磁力膜に外部磁場を印加させない状態で実施例と同様の温度に加熱しその高保磁力膜の磁区の様子を観察した。また、高保磁力膜には、組成が(BiEuHo)3(FeGa)5O12の磁性ガーネット膜を適用している。
【0028】
また、高保磁力膜の磁区の観察方法は、高保磁力膜をファラデー回転子とした光アイソレータと同様な配置構造をセットし、この構造体に入射された光の透過光投影図を観察することにより行なう方法を採っている。すなわち、高保磁力膜を中央にしてその両側に透過偏光方向が互いに45度異なる一対の偏光子を配置し、一方の偏光子側から光を入射させて高保磁力膜と他方の偏光子を透過してくる光を観察し、光が一様に透過しているもの(図2の透過光投影図のように均一に白く見える)あるいは一様に透過しないもの(均一に黒く見える)についてはその高保磁力膜における磁区が単磁区であるとし、また、透過する領域と透過しない領域が混在しているもの(図3の透過光投影図のように黒と白の領域が混在して見える)についてはその高保磁力膜における磁区が多磁区であると判断する方法を採っている。
【0029】
そして、高保磁力膜の磁気的飽和状態が固定された状態であれば、高保磁力膜の磁区は単磁区状態であり、解除されていれば多磁区状態となる。
【0030】
結果を以下の表1に示す。
【0031】
また、上記観察方法により観察された実施例1および比較例に係る高保磁力膜の加熱後における磁区状態を示す透過光投影図を図2および図3に示す。
【0032】
【表1】
そして、表1に示された各実施例の結果より、高保磁力膜に外部磁場が印加されていれば、半田固定のために高保磁力膜を加熱したとしても磁気的飽和状態が固定されたままであることが確認される。一方、比較例の結果から、高保磁力膜に外部磁場が印加されていない場合、高保磁力膜の磁気的飽和状態が解かれてしまうことも確認される。
【0033】
【発明の効果】
請求項1〜2記載の発明に係る半導体モジュールの製造方法によれば、
製造途中の工程において高保磁力膜である磁性ガーネット膜が100℃以上の温度に晒される際、この磁性ガーネット膜の磁化方向と同じ方向に外部磁場を印加していることから、製造途中において加熱工程が存在しても高保磁力膜である磁性ガーネット膜の磁気的飽和状態が解除されることがない。
【0034】
従って、高保磁力膜である磁性ガーネット膜を用いた光アイソレータが組込まれた半導体モジュールの製造の際に、高保磁力膜の再着磁を行う必要がない効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体モジュールの一例を示す構成断面図。
【図2】実施例1に係る高保磁力膜の加熱後における磁区状態を示す透過光投影図。
【図3】比較例に係る高保磁力膜の加熱後における磁区状態を示す透過光投影図。
Claims (2)
- 外部磁場がなくても磁気的に飽和した状態が維持される磁性ガーネット膜から成るファラデー回転子を用いた光アイソレータが組み込まれた半導体モジュールの製造方法において、
製造途中の工程において上記磁性ガーネット膜が100℃以上の温度に晒される際、この磁性ガーネット膜の磁化方向と同じ方向に外部磁場を印加することを特徴とする半導体モジュールの製造方法。 - 上記外部磁場が8.0×102A/m以上、1.6×104A/m以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュールの製造方法。
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