JP3997209B2 - 無電解めっき用前処理剤、前処理方法および無電解めっき方法 - Google Patents

無電解めっき用前処理剤、前処理方法および無電解めっき方法 Download PDF

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本発明は、プラスチック、紙、木材、繊維、ガラス、セラミックス等非導電性物質に対するめっき法において、鏡面光沢性及び密着性に優れた金属被膜を得るための前処理剤および前処理方法に関する。
無電解めっき法により、非導電性のプラスチック、セラミックス、紙、ガラス、繊維、木材等にめっきできるが、めっき液中の還元剤の酸化を開始させるためには、これら非導電性物質の表面を触媒化処理することが必要である。触媒化処理の方法としては、古典的には、塩化第一スズ浴と塩化パラジウム浴によるセンシタイジング−アクチベーティング法が知られているが、今日では、一般的には塩化第一スズ−塩化パラジウム浴と硫酸(あるいは塩酸)浴によるキャタリスト−アクセレータ法が採用されている。また、近年吸着性の強いパラジウム錯体溶液に素材を浸漬し、水洗後、ジメチルアミンボラン等の還元剤でパラジウムを析出させる方法も採用されている。
これらの触媒化工程に先立つ前処理として、素材表面のヌレ性(親水性)を確保し、物理的な吸着を助長するためには、エッチング工程が必要であり、プラスチック等の全面めっきに対してはほとんどの場合クロム酸系エッチング液が使用されている。化学エッチング工程は、素材表面を微細に粗化し、触媒化工程における触媒金属の物理的捕捉を容易にすると共に、めっき層との密着に関わるアンカー効果(投錨効果)を得る意味で非常に重要な工程である。
しかしながら、近年環境面への配慮から、また、特にプラスチック筺体に対する部分めっきあるいは片面めっきの需要増に伴い、上述の前処理としてのエッチング処理を行わない無電解めっき法が実用化されている。
すなわち、触媒化工程の前処理法として導電塗料を塗布するエンシールド・プラス・プロセス(Enthone-OMI社)やシールディング・プロセス(Shipley社)、造膜後の微細孔による触媒金属の物理的吸着を利用したSSPプロセス(Seleco社)及びHi-Popプロセス(関東化成工業(株))、キトサンによる触媒金属の化学的吸着を利用したオオムラマリンプロセス(大伸化学(株)、大村塗料(株))(特許文献1、2)等があげられる。
特許第1913046号公報 特許第3022226号公報
本発明の課題は、化学エッチング法や他のエッチングレス法に比して、表面が平滑であるが故にめっき後の鏡面光沢が得られ、かつ前処理工程の生産スピードが短縮でき、めっき液中の金属イオンの還元析出が効率的かつ確実な、全く新しい無電解めっき用前処理剤、前処理方法および無電解めっき方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記に示す特定の重合性化合物と重合開始剤とを含む前処理剤を、非導電性物質等の被めっき材に塗布し、重合させて、被めっき材の表面に被膜を形成する場合には、この被膜表面にカルボキシル基等の官能基からなる触媒金属の吸着サイトを均一に多数存在させることができ、従って平滑性を維持しながら速やかに密着性に優れた無電解めっき被膜を形成することができるという新たな事実を見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、被膜表面に均一に多数存在するカルボン酸塩あるいは水酸基が吸着サイトとして効率よく機能し、パラジウム等触媒金属を置換的に担持することができる。
具体的には、本発明の無電解めっき前処理剤は、一般式(1):
Figure 0003997209
[式中、R1は水素またはメチル基を示し、R2は基:
Figure 0003997209
(nは0〜4、mは2〜6である。)または
Figure 0003997209
(式中、pは1〜4である。)
を示す。]
で表される重合性化合物と、重合開始剤とを含むことを特徴とする。さらに、前記基(a)はnが1〜4で、mが2であるのがよい。
また、本発明の無電解めっきの前処理方法は、前記前処理剤を被めっき材に塗布し重合させて被めっき材の表面に被膜を形成する工程と、前記被膜表面をアルカリ溶液で処理する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の無電解めっき方法は、前記前処理剤を被めっき材に塗布し重合させて被めっき材の表面に被膜を形成する工程と、前記被膜表面をアルカリ溶液で処理する工程と、アルカリ溶液で処理した被膜表面を触媒化処理する工程と、触媒化処理した被膜の表面を無電解めっきする工程とを含むことを特徴とする。
これらの前処理方法および無電解めっき方法では、上記アルカリ処理を行うことにより、触媒化処理における触媒金属の吸着サイトを活性化させることができ、より一層平滑性を維持しながら速やかに密着性に優れた無電解めっき被膜を形成することができる。
本発明によれば、被めっき材の表面に対し、従来法に比して速やかに、しかも平滑性を維持しながら密着性に優れた光沢のある無電解めっき被膜を形成することができるという効果がある。
本発明は、無電解めっき工程に先立ち、被めっき材の表面に前記前処理剤を塗布し、ラジカル重合反応、例えば紫外線硬化により被膜を形成させた後、アルカリ溶液で処理し、ついで触媒金属塩溶液で処理し、無電解めっきを行うものである。
本発明における被めっき材としては、プラスチック、セラミックス、紙、ガラス、繊維、木材等のように電気めっき法では直接めっきできない非導電性物質が例示されるが、これに限定されるものではない。
本発明の前処理剤は、前記したように一般式(1)で表される重合性化合物と、重合開始剤とを含む。
一般式(1)で表される重合性化合物としては、分子中にカルボキシル基を有し末端に不飽和結合を有する化合物、例えばアクリル酸モノマーのほか、アクリル酸ダイマー(前記基(a)においてnが約1、mが2である)、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(前記基(b)においてpが2である)、さらにω−カルボキシーポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレートなどがあげられる。また、上記重合性化合物はメタクリル酸モノマーや、上記アクリレート類に対応するメタクリレート類であってもよい。
前記一般式(1)で表される重合性化合物を含む前処理剤は、当該重合性化合物を5%〜90%の範囲、好ましくは15%〜75%含むのがよい。1%より少なくなるに従って、添加効果が小さくなり、めっき層を形成するために必要な触媒吸着サイトの形成が困難となる。また、90%を超えて添加する場合には、添加効果が飽和すると共に素材への密着性及びめっき密着性が低下する。
前記一般式(1)で表される重合性化合物を含む前処理剤は、当該重合性化合物以外の成分として、被めっき材に対して密着性の優れた樹脂バインダーを添加することができる。添加する樹脂は、当該重合性化合物に対して相溶性の良いもの若しくは混合可能なものであればいかなる樹脂でも良い。例えば、不飽和結合を有するモノマーであるN−ビニル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、アクリロイルモルホリン、カルボキシル基を持たないアクリル系オリゴマーとして、2官能ウレタンアクリレート、多官能ウレタンアクリレート、2官能ポリエステルアクリレート、多官能ポリエステルアクリレート、フェノールEO変性アクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールPO変性アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、イソボルニルアクリレート、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、イソシアヌール酸EO変性アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等があげられる。
さらに、添加可能な溶剤乾燥型樹脂としては、硝化綿、酢酸セルロース、アクリル、エポキシ、フェノール等が、架橋反応型としてウレタン、アクリルウレタン、エポキシ、ポリエステル、エポキシポリエステル等があげられる。被めっき材の種類によっては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性樹脂、アルキド、ポリエステル、アクリル、エポキシなどを水系化した樹脂あるいは酢酸ビニル、アクリル、ウレタン、シリコンアクリル、フッ素系などのエマルジョンも使用可能である。さらには、これらの樹脂の他に、アミノ基を有する高分子例えばコラーゲン、ポリグルタミン酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等を単独で、あるいは添加もしくは混合することによって、還元触媒のより強固な吸着固定を実施することも可能である。
光重合開始剤としては、ラジカル重合反応が進行する化合物であればいかなる化合物であっても良く、具体的には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のケトン類、ベンジル2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール型、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン誘導体等があげられる。
また、塗膜の平滑性と紫外線透過性が阻害されず、形成されるめっき被膜の鏡面的光沢性が失われない程度に、各種の金属微粉末、無機顔料、金属酸化物、炭酸塩化合物、リン酸塩化合物等を添加する場合もある。すなわち、形成された被膜表面がミクロな凹凸を有し、無電解めっき層形成時において、その導電性、投錨効果あるいは金属イオン吸着効果により密着性の向上に更に寄与するものであり、従来法における化学エッチング工程及び触媒化工程の代替となるものである。具体的には金、白金、パラジウム、銀、銅、ニッケル、グラファイト、ニッケルめっきグラファイト、カーボン等の微粒子粉末、シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸鉄、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムカルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸バリウム、ケイ酸アルミン酸ベリリウム、ケイ酸アルミン酸ストロンチウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸亜鉛、第三リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第一リン酸アルミニウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、リン酸コバルト、リン酸ジルコニル、リン酸チタン、リン酸ニッケル、リン酸ビスマス、第三リン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム、第二リン酸マンガン、第一リン酸マンガン、リン酸リチウム、ヒドロキシアパタイト等が使用でき、その量は固形分中
0.001%〜5%、好ましくは0.01%〜2%含有させることができる。なお、含有量が5%より多いとめっき被膜の光沢性が失われる場合が多い。
その他の成分としては、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、グリコールエーテル、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、ミネラルターペン、グリコールエーテル等の有機溶剤及び水であり、これらの溶媒は、異種樹脂を混合した場合の相溶性の向上と被めっき材へのある程度の浸食と塗布後の乾燥性を調整する効果を発揮する。
また、前処理剤には、必要に応じて表面調整剤、沈降防止剤、分散剤、消泡剤、アミノシランカップリング剤等の添加剤を加えることができる。さらに、被膜形成時に適度のレベリング性、顔料分散性、金属吸着作用、親水性等を付与することができる。
上記のような、前記一般式(1)で表される重合性化合物を含む前処理剤は、被めっき材の表面に通常の塗布方法(例えばスプレー塗布、ロールコーター、刷毛塗り、浸漬等)によって塗布することができる。これにより、被めっき材に対して優れた密着性と光沢めっき仕上げ性を有する前処理被膜を形成することができる。
被めっき材表面に、このような前処理剤を紫外線照射によって架橋造膜させた後、触媒化反応としての触媒金属の捕捉固定化並びに無電解めっきの各工程を順次行うことにより、密着性が良く優れた鏡面光沢を有する無電解めっき層を効率良く形成することができる。
また、本発明では、被めっき材の表面の一部に、前記前処理剤を塗布し紫外線照射して前処理することにより、前処理部分だけに選択的に還元触媒性を保持させることができる。これにより、部分的無電解めっきを確実に実施することができる。
さらに、本発明では、従来、無電解めっきが困難であったポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、6,6−ナイロン、6−ナイロン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、あるいはPC/ABS、PC/ASA等の各種アロイ及び炭素繊維やグラスファイバー強化型アロイ等に対しても良好に無電解めっきを施すことができる。
触媒化反応工程においては、被めっき材表面に前記前処理剤を塗布し、紫外線照射により造膜形成させた後、苛性ソーダ等の弱アルカリ溶液や市販の脱脂剤、あるいは表面調整剤で親水化処理することにより、カルボキシル基及び水酸基に由来する還元触媒の吸着サイトを構築することが必須である。苛性ソーダなどのアルカリ溶液の濃度は、例えば0.0001〜10 w/v%の範囲、好ましくは0.001〜0.5 w/v%がよい。10 w/v%より高い場合には、塗膜自体が分解脱離する可能性があり、0.0001w/v%より低い場合には、触媒金属の吸着サイトが活性化されないおそれがある。
次に、Pd、Pt、Au、Agなどの貴金属の塩酸塩、硝酸塩あるいは酢酸塩の塩酸、硝酸あるいは酢酸酸性溶液に短時間浸漬することにより、還元触媒の付与を行うことが推奨される。代表的な貴金属塩溶液としては、従来法と同様に塩化パラジウム(0.2〜1g/l、塩酸5ml/l)溶液が使用できる。なお、前記前処理剤中に既にPd、Pt、Au、Agなどの貴金属微粒子、あるいはこれらの塩または酸化物が含まれる場合には、触媒金属を付与する上記の触媒化処理工程は省略することができる。
このようにして触媒金属を担持させた被めっき材を、Cu、Ni、Co、Pd、Auあるいはそれらの合金の無電解めっき浴に浸せきすると、連続的に効率よく、平滑塗膜に起因する鏡面光沢性を有し、かつ密着性に優れた無電解めっき層を得ることができる。これにより、電気めっき工程を経ることなく、非導電性物質に対して意匠性のあるメタライズ化が可能となる。
また、前記一般式(1)で表される重合性化合物を含む前処理剤を用いる本発明の前処理法は、無電解めっき法以外の非導電性物質に対するメタライズ法、例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法等にも適用することができる。これにより、無電解めっき被膜と同様に密着性と鏡面光沢性を有する金属被膜を得ることができる。
以下、試験例および実施例を挙げて本発明の光沢めっき用前処理剤及び前処理方法について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明で「部」は重量部を意味する。
[試験例1]
アルカリ表面処理
前記前処理剤を用いる前処理法において、弱アルカリ溶液処理による塩の生成と親水化は、極めて重要な工程である。
まず、ユニディック17-813(ウレタンアクリレート、大日本インキ化学工業(株))22部、アロニックスM-5300(ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、東亞合成化学工業(株))45部、KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株))30部、イルガキュア184(光重合開始剤、日本チバガイギー(株))3部の割合で混合し、光沢めっき用前処理剤を得た。これを等量のNo.5600シンナー(大橋化学工業株式会社)で希釈し、ABS板(寸法:50×150×2mm、UMG ABS(株))上にスプレー塗布した後、常温セッティング5分経過後、高圧水銀灯の下600〜700 mj/cm2の照射量で紫外線照射処理を行った。ランプ出力は120W/cm、ワーク距離は15cmに設定した。60℃で30分間乾燥後に得られた塗膜厚は20〜30μmであった。
上記塗膜をメタノール洗浄後、エースクリーンA-220(奥野製薬工業(株))、脱脂39(ディップソール(株))及び水酸化ナトリウム水溶液を用いて表1に示す条件で紫外線硬化後の表面処理を行い、アルカリ処理による塗膜表面の状態変化をFT/IRスペクトルにより観察した。その結果、条件(1)〜(4)において処理前には観察されなかったピークが1578及び2850〜3850cm-1に出現した。1578cm-1の吸収ピークは塗膜成分中のカルボン酸がイオン化し、カルボン酸塩になったために生じたピークであることが示唆された。また、2850〜3850cm-1の吸収ピークはアルカリ処理により表面化した水酸基のピークであることが示唆された。従って、触媒化工程におけるパラジウム等の酸性溶液中において、親水化した塗膜表面のカルボン酸塩及び水酸基が吸着サイトを形成し、容易に置換的に触媒金属を吸着固定化することが可能になると考えられる。また、アルカリ処理後の塗膜表面の電子顕微鏡観察の結果、エッチング法で見られるような微細孔は全く存在ず、平滑面が保持されていることが判明した。そのため、無電解めっき工程におけるめっき被膜形成も連続的かつ極めて平滑であり、従って、外観も鏡面に近い高光沢性を示すと考えられる。
Figure 0003997209

光沢ニッケルめっき(1)
ユニディックV−9005(紫外線硬化型塗料、大日本インキ化学工業(株))47部、アロニックスM−5600(アクリル酸ダイマー、東亞合成化学工業(株))50部、イルガキュア184(光重合開始剤、日本チバガイギー(株))3部の割合で混合し、光沢めっき用前処理剤を得た。これを等量のNo.5600シンナー(大橋化学工業株式会社)で希釈し、ABS板(寸法:50×150×2mm、UMG ABS(株))上にスプレー塗布した。塗膜を常温セッティング5分経過後、高圧水銀灯の下600〜700 mj/cm2の照射量で紫外線照射処理を行った。ランプ出力は120W/cm、ワーク距離は15cmに設定した。60℃で30分間乾燥後に得られた塗膜厚は20〜30μmであった。
次に、このABS樹脂片をメタノールにて洗浄し、0.01%のNaOH水溶液にて35℃で3分間処理した後、塩化パラジウム溶液( PdCl2・2H2O:0.25g/l、塩酸5ml/l)に30℃で3分間浸漬した後、水洗した。王水による溶出法で、ICPにて測定した結果、パラジウムの吸着量は0.18mg/dm2であった。さらに、このテストピースを1%ジメチルアミンボラン溶液による還元処理後、表2に示す浴組成で5分間無電解ニッケルめっきを行った。その結果、ニッケル膜厚0.3〜0.6μmの均一なニッケルめっき層を得た。また、得られたニッケルめっき被膜は、密着性に優れ(碁盤目試験100/100)、光沢も鏡面なみであった。
Figure 0003997209
光沢ニッケルめっき(2)
アロニックスM−1100(ウレタンアクリレート、東亞合成化学工業(株))55部、アロニックスM−5400(フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、東亞合成化学工業(株))42部、イルガキュア500(光重合開始剤、日本チバガイギー(株))3部の割合で混合し、光沢めっき用前処理剤を得た。
次に、アルカリ処理をエースクリーンA-220(奥野製薬工業(株))30g/l溶液を用いた以外は実施例1と同様の工程で、塗布、紫外線硬化後に無電解ニッケルめっき処理を実施した結果、ニッケル膜厚0.2〜0.5μmの均一で鏡面光沢を有するニッケルめっき層を得た。
光沢ニッケルめっき(3)
KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株))45部、アロニックスM-5300(ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、東亞合成化学工業(株))52部、イルガキュア500(光重合開始剤、日本チバガイギー(株))3部の割合で混合し、光沢めっき用前処理剤を得た。
次に、実施例1と同様の工程で、塗布、紫外線硬化後に無電解ニッケルめっき処理を実施した結果、ニッケル膜厚0.3〜0.5μmの均一で鏡面光沢を有するニッケルめっき層を得た。
光沢ニッケルめっき(4)
ユニディック17−813(ウレタンアクリレート、大日本インキ化学工業(株))35部、アロニックスM−5600(アクリル酸ダイマー、東亞合成化学工業(株))52部、アクリル酸モノマー10部、イルガキュア1000(光重合開始剤、日本チバガイギー(株))3部の割合で混合し、光沢めっき用前処理剤を得た。
次に、実施例1と同様の工程で、塗布、紫外線硬化後に無電解ニッケルめっき処理を実施した結果、ニッケル膜厚0.3〜0.6μmの均一で鏡面光沢を有するニッケルめっき層を得た。
銀鏡めっき
KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株))17部、アロニックスM−1200(ウレタンアクリレート、東亞合成化学工業(株))37部、アロニックスM−5600(アクリル酸ダイマー、東亞合成化学工業(株))43部、イルガキュア500(光重合開始剤、日本チバガイギー(株))3部の割合で混合し、塗装タイプの銀鏡めっき用前処理剤を得た。これを等量のNo.5600シンナー(大橋化学工業株式会社)で希釈し、ABS板(寸法:50×150×2mm、UMG ABS(株))上にスプレー塗布した後、常温セッティング5分経過後、高圧水銀灯の下600〜700 mj/cm2の照射量で紫外線照射処理を行った。ランプ出力は120W/cm、ワーク距離は15cmに設定した。60℃30分間乾燥後に得られた塗膜厚は20〜30μmであった。
次に、塗膜表面をメタノールにて洗浄し、塗装法による銀鏡めっき処理(ラスターイオンシステム:ダイテック(株))を施した結果、良好な鏡面状態の銀めっき(膜厚約0.1μm)が析出した。

Claims (4)

  1. 一般式(1):
    Figure 0003997209
    [式中、R1は水素またはメチル基を示し、R2は基:
    Figure 0003997209
    (nは0〜4、mは2〜6である。)または
    Figure 0003997209
    (式中、pは1〜4である。)
    を示す。]
    で表される重合性化合物と、重合開始剤とを含むことを特徴とする無電解めっき前処理剤。
  2. 前記基(a)のnが1〜4で、mが2である請求項1記載の無電解めっき前処理剤。
  3. 請求項1記載の前処理剤を被めっき材に塗布し、重合させて、被めっき材の表面に被膜を形成する工程と、前記被膜表面をアルカリ溶液で処理する工程とを含むことを特徴とする無電解めっきの前処理方法。
  4. 請求項1記載の前処理剤を被めっき材に塗布し、重合させて、被めっき材の表面に被膜を形成する工程と、前記被膜表面をアルカリ溶液で処理する工程と、アルカリ溶液で処理した被膜表面を触媒化処理する工程と、触媒化処理した被膜の表面を無電解めっきする工程とを含むことを特徴とする無電解めっき方法。
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