JP3997035B2 - 金属酸化物皮膜形成用化成液 - Google Patents

金属酸化物皮膜形成用化成液 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金を陽極酸化することによって酸化物皮膜を形成する技術に関する。より具体的には、金属に酸化物皮膜を形成するための化成液、該化成液を利用した酸化物皮膜の形成方法、および該化成液を用いて表面に酸化物皮膜を形成した金属に関する。本発明は、とくに液晶表示パネルの薄膜半導体(TFT)素子のゲート配線や集積回路の配線の化成処理に有効に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
金属および合金は、その特徴的な性質を利用して様々な工業的用途に供されている。特に、アルミニウムやアルミニウム合金等は比抵抗が小さいことから、TFT素子や集積回路の配線に効果的に使用されている。これらの配線は、他の配線や電極との間で短絡しないようにするために表面に絶縁膜を形成しておくことが必要とされる。
【0003】
アルミニウムやアルミニウム合金等の表面に絶縁膜を形成する方法として、陽極酸化による化成処理法がある。この方法は、アルミニウムやアルミニウム合金等の表面を化成液中で電気化学的に酸化することによって、その表面に酸化物皮膜を形成する方法である。この方法は、基板の不均一性に起因する欠陥を修復する機能を有するため、緻密で平滑な酸化物皮膜を簡単に形成することができる点で優れている。このため化成処理による酸化物皮膜形成法は、TFT素子や集積回路の配線製造工程において有効に利用されている。
【0004】
アルミニウムやアルミニウム合金等の酸化物皮膜形成に使用する化成液として、これまでに種々の組成物が提案されている。例えば特開昭61−133662号公報では、1%ホウ酸アンモニウム水溶液、または3%酒石酸水溶液とプロピレングリコールとを1:3で混合した化成液を使用している。また、特開平2−85826号公報では、3%酒石酸水溶液をエチレングリコールまたはプロピレングリコールで希釈し、アンモニア水でpHを7程度に調整した化成液を使用している。特開平6−216389号公報では、1%酒石酸アンモニウム水溶液、1%アジピン酸アンモニウム水溶液、1%シュウ酸アンモニウム水溶液または1%クエン酸アンモニウム水溶液とエチレングリコールとを体積比3:7で混合した化成液を使用している。特開平8−50304号公報では、3%酒石酸水溶液、15%酢酸およびエチレングリコールを9:1:10で混合した化成液を使用している。特開平8−286209号公報では、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウムおよびホウ酸アンモニウムから選択された無機酸アンモニウム塩の水溶液と、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウムおよび炭酸アンモニウムから選択された有機酸アンモニウム塩の水溶液を化成液として使用している。
【0005】
このように従来から種々の化成液が提案されているが、これらの化成液を使用して金属、特にアルミニウムやアルミニウム合金を陽極酸化しても十分な絶縁性を有する酸化物皮膜を形成することはできない。このため、絶縁破壊を防ぐためには、形成した酸化物皮膜のうえに別の絶縁膜をさらに形成しなければならない。特にTFT素子の製造に際しては、CVD法によって酸化物皮膜の上に厚いSiN膜を形成して絶縁性を補っている。CVD法は高温で行うことから、このときにアルミニウム含有金属表面に生じているヒロックと呼ばれる針状微小突起が成長してゲート絶縁膜を突き破り表示パネルに欠陥を生じさせるという問題も派生している。
また、従来の化成液を用いた陽極酸化には、化成速度が遅いという問題もある。化成速度を速めるためには化成電流密度を必要以上に大きくしなければならないことから、従来の化成液を使用してスループットを高めるには限界があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はこれらの従来技術の問題点を解決することを課題とした。
すなわち本発明は、アルミニウムやアルミニウム合金をはじめとする金属に十分な絶縁性を有する酸化物皮膜を形成することができる新しい化成液を提供することを解決すべき課題とした。また本発明は、化成速度が速くて、陽極化成を含む工程のスループットを高めることができる化成液を提供することも解決すべき課題とした。さらに本発明は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属の陽極酸化に使用することによって、該金属表面のヒロック発生を抑制することができる化成液を提供することをも解決すべき課題とした。
併せて本発明は、高スループットで絶縁性が良好な酸化物皮膜を形成する方法、およびヒロック発生が抑制された高絶縁性酸化物皮膜を有する金属を提供することも解決すべき課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、アルコール性水酸基を有する溶媒に芳香族カルボン酸の塩を溶解して調製した水を含む化成液を使用して金属の陽極酸化を行えば、極めて良好な性質を有する酸化物皮膜を形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、アルコール性水酸基を有する溶媒に芳香族カルボン酸の塩を溶解してなり、かつ水が〜50重量%含まれる金属酸化物皮膜形成用化成液を提供するものである。溶媒としては、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコールを使用するのが好ましい。また、芳香族カルボン酸としてはサリチル酸、フタル酸、安息香酸またはγ−レゾルシン酸を使用するのが好ましい。
【0009】
本発明は、上記化成液中で金属を陽極酸化する工程を含む、金属酸化物皮膜の形成方法も提供する。この方法は、例えば基板上にパターニングされた金属配線薄膜、特にSc、Nd、Gdなどの希土類元素を含むアルミニウム合金をスパッタリングして得られた配線薄膜に対して好ましく適用することができる。
さらに本発明は、これらの方法によって表面に酸化物皮膜を形成した金属、特にアルミニウム合金を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の内容を詳細に説明する。
本発明の化成液は、芳香族カルボン酸の塩を溶質として含有する。
芳香族カルボン酸としては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、非ベンゼン系芳香環、複素芳香環等とカルボキシル基とを有する化合物を使用することができる。本発明で使用することができるヘテロ原子を含まない芳香族カルボン酸として、サリチル酸、フタル酸、安息香酸、γ−レゾルシン酸、トルイル酸、クミル酸、t−ブチル安息香酸、アニシン酸、2,4−クレソチン酸、桂皮酸、N−メチルアントラニル酸、ゲンチシン酸、没食子酸およびp−ヒドロキシ安息香酸を例示することができる。また、ヘテロ芳香族カルボン酸として、ニコチン酸、2−フロイン酸、2−テノイン酸およびヒドラジル安息香酸を例示することができる。さらに、本発明の所期の効果を阻害しない限り、カルボキシル基以外の官能基を有する芳香族カルボン酸も使用することができる。例えば、ニトロ安息香酸、アントラニル酸、モノメチルアミノ安息香酸およびジメチルアミノ安息香酸のようにニトロ基やアミノ基を有する芳香族カルボン酸を使用することもできる。
本発明の化成液には、特にサリチル酸、フタル酸、安息香酸およびγ−レゾルシン酸からなる群から選択される1以上の化合物を使用するのが特に好ましい。
【0011】
これらの芳香族カルボン酸の塩を形成するための陽イオンは、特に制限されない。例えば、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、1、2、3または4級アルキルアンモニウムイオン、ホスホニウムイオンおよびスルホニウムイオンなどを用いることができる。中でも、アンモニウムイオンまたは1、2、3または4級アルキルアンモニウムイオンを用いるのが好ましい。アルキルアンモニウムイオンを用いる場合のアルキル基の大きさは、溶媒への溶解性を考慮して選択することができる。通常は炭素数1〜4のアルキル基を選択する。
これらの溶質は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、上記の溶質と上記以外の溶質を組み合わせて使用してもよい。本発明の化成液の溶質濃度は、0.01〜30重量%の範囲内に設定するのが一般的であり、0.1〜20重量%が好ましく、1〜15重量%の範囲内に設定するのがさらに好ましい。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を含む範囲を意味する。
【0012】
本発明の化成液には、溶媒としてアルコール性水酸基を有する化合物を使用する。本発明では、アルコール性水酸基を有する化合物であればその種類を問わず溶媒として使用することができる。中でも好ましい溶媒は、アルコール性水酸基を有する脂肪族アルコールである。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;3価以上の多価アルコールを使用することができる。また、分子内にアルコール性水酸基以外の官能基を有する溶媒も、本発明の所期の効果を阻害しない限り使用することができる。例えば、メチルセロソルブやセロソルブ等のようにアルコール性水酸基とともにアルコキシ基を有する溶媒も使用することができる。
【0013】
これらの溶媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明の化成液にとって好ましい溶媒は、炭素数1〜8の溶媒であり、特に好ましい溶媒はエチレングリコールおよびプロピレングリコールの単独または混合溶媒である。
本発明の化成液には、水が〜50重量%含まれている。水の含有量は、1〜15重量%であることがさらにより好ましく、3〜15重量%であることが特に好ましい。本発明の化成液を調製するに際して、水を添加する方法は特に制限されない。例えば、水を含む上記溶媒に上記溶質を溶解することにより本発明の化成液を調製してもよいし、水を含まない上記溶媒に上記溶質を溶解した後に水を添加して本発明の化成液を調製してもよい。また、これらの方法を組み合わせてもよい。
【0014】
本発明の化成液は、金属の陽極酸化に有効に利用することができる。従来から使用されている典型的な水溶液系化成液では、金属に良好な性質を有する酸化物皮膜を形成することができなかったが、本発明の化成液を用いれば優れた酸化物皮膜を形成することができる。
すなわち、本発明の化成液を用いて金属を陽極酸化すれば、従来の化成液を用いて陽極酸化した場合に比べて絶縁性が高い酸化物皮膜を形成することができる。また本発明の化成液を用いて陽極酸化すれば、従来の化成液に比べて定電流化成に要する時間が短くて済むため高スループットで製造することができる。さらに、本発明の化成液を用いて酸化物皮膜を形成しておけば、その後の工程における高温処理によるヒロックの発生と成長を抑制することもできる。したがって、本発明の化成液を用いれば耐電圧が高い酸化物皮膜を効率良く形成することができる。また、本発明の化成液を用いて形成される酸化物皮膜は、不純物遮断性皮膜、配線や基板の保護皮膜、防食皮膜、着色皮膜、吸湿性皮膜としても機能しうるものである。
【0015】
いかなる理論にも拘泥するものではないが、このような本発明の優れた効果はアルコール性水酸基を有する溶媒の作用によって化成時に化成液中の溶質または溶媒が酸化物皮膜の中に微量取り込まれることによって生じるものと考えられる。特に溶質または溶媒を構成する炭素原子が酸化物皮膜に取り込まれることが、絶縁性、耐電圧およびヒロック抑制性を高めているものと考えられる。
【0016】
本発明の化成液を用いて金属を陽極酸化する条件は、特に制限されない。陽極酸化時の温度は、化成液が安定に液体として存在する温度範囲に限定され、一般的に−20〜150℃の範囲内であり、好ましくは10〜100℃の範囲内である。陽極酸化時の電流および電圧の制御方法は特に限定されず、金属表面に酸化物皮膜が形成される条件を適宜組み合わせることができる。通常は、あらかじめ定められた化成電圧(Vf)まで定電流で化成し、化成電圧に達した後にその電圧に一定時間保持して陽極酸化する。この際の電流密度は0.001〜100mA/cm2の範囲内にし、好ましくは0.01〜10mA/cm2の範囲内にする。また、Vfは通常20〜200Vの範囲内に設定し、好ましくは50〜150Vの範囲内にする。なお、化成電圧に至るまで直流電源の代わりにピーク電流値が一定の交流を使用し、化成電圧に達したところで直流電圧に切り替えて一定時間保持する方法を採用してもよい。
【0017】
また、本発明の化成液を用いた陽極酸化は、金属の全体にわたって行ってもよいし、その一部のみに行ってもよい。金属の一部にのみ酸化物皮膜を形成する場合は、フォトレジストなどの方法によってあらかじめ陽極酸化すべき部分を選択しておく。
本発明の化成液を用いて陽極酸化した金属は、さらに酸化物皮膜の絶縁性を高めるために熱処理してもよい。例えば、200〜500℃程度に加熱することによって絶縁性を高めることができる。
【0018】
また、陽極酸化によって形成した酸化物皮膜以外の絶縁膜を形成することによって、さらに絶縁性を強化してもよい。例えば、TFT素子においてはSiN膜やSiO2膜を形成することができる。これらの膜は200℃以上の高温で形成するが、このような高温下においても本発明の化成液で酸化物皮膜を形成している限りヒロックの発生は抑制される。
【0019】
本発明の化成液を用いれば、金属を広く陽極酸化することができる。対象となる金属として、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金を挙げることができる。アルミニウム合金の場合、アルミニウムと組み合わせる金属の種類と数は特に制限されない。したがって、TFT素子や集積回路の配線に用いることができるアルミニウムまたはアルミニウム合金はすべて本発明の化成液によって有効に陽極酸化することができる。
【0020】
純粋アルミニウムは比較的高活性でヒロックが発生しやすいことから、アルミニウム以外の元素を微量含有する合金が配線材料として好ましく使用される。例えば、アルミニウムにSc、Y、La、Pr、Nd、Gd、Dy、Ho、Er等の希土類元素を混合した合金(特開平8−250494号公報)が用いられる。本発明の化成液は、このような希土類元素を含むアルミニウム合金、好ましくはSc、NdまたはGdを含むアルミニウム合金、特に好ましくはNdを含むアルミニウム合金に対して好適に用いることができる。アルミニウム合金中における希土類元素の含有量は特に制限されないが、一般に10原子%以下、好ましくは6原子%以下、特に好ましくは0.05〜3原子%の範囲内である。
【0021】
本発明の化成液は、上記合金以外に、Si、Cu、Pdを混合した合金、Ti、Ta、Zr、Hf、Nb、W、Mo等のバルブ金属を混合した合金(特開平8−286209号公報)などにも使用することができる。アルミニウムにこれらの元素を添加すると一般に電気抵抗が著しく増大する。このためこれらの元素の添加量は0.01〜3%程度にとどめ、電気抵抗を通常10μΩ・cm以下、好ましくは5μΩ・cm以下にするのが一般的である。また、添加金属とアルミニウムとを混合した後に300〜450℃程度に加熱することによって添加金属とアルミニウムとの金属間化合物として析出させたものについても、本発明の化成液を使用することができる。
【0022】
本発明の化成液を用いた酸化物皮膜形成方法は、様々な技術分野において広く利用することができる。例えば、耐食性や耐候性を持たせることを目的として、航空機、船舶、車両、建築物などの構造材料、家庭用品、光学機器などに利用することができる。また、電気的、電子的、磁気的特性を持たせることを目的として、アルマイト電線、プリント配電基板、電解コンデンサ−、磁気記録ディスク、スイッチング素子、湿度センサーなどに利用することもできる。また、光、熱的特性を持たせることを目的として、太陽熱吸収板、反射板、多色アルマイト、感光性アルマイト、発光素子、蛍光素子、IC放熱板などに利用することもできる。また、特定の機械的性質を持たせることを目的として、潤滑アルマイト、硬質アルマイト、スピーカー振動板などに利用することもできる。さらに、印刷、装飾、デザイン上の特徴を持たせることを目的として、PS印刷板、ネームプレート、装飾パネル、転写ドラムなどに利用することもできる。その他に、触媒、調湿アルマイト、吸着剤、イオン選択透過膜、濾過膜に利用することもできる。
【0023】
本発明の化成液を用いた酸化物皮膜形成方法は、TFT素子や集積回路の配線のように酸化物皮膜に高い絶縁性が要求される場合に特に有用である。中でも液晶表示素子に用いられるTFT素子のゲート配線の絶縁膜形成に利用すれば極めて効果的である。現在実用化されているTFT素子には、ゲート配線の積層順序により、図1に示すボトムゲート型と、図2に示すトップゲート型の2種類がある。本発明はいずれの構造のTFT素子にも利用しうるが、陽極酸化を行うためにボトムゲート型により有効に適用される。また、ヒロックを抑制することが求められるトップゲート型の配線等にも有効に利用することができる。
【0024】
図1に示すボトムゲート型TFT素子を製造するには、まず通常無アルカリガラスでできた基板1上にゲート配線(ゲート電極)2をスパッタリング法で堆積しパターニングする。このとき堆積するゲート配線が、次の工程で陽極酸化する金属になる。したがって本発明では、通常は純粋アルミニウム、または上記の希土類金属含有金属、バルブ金属、Si、Cu、Pd等を微量含有するアルミニウム合金をゲート配線として堆積する。その後、本発明の化成液を用いて陽極酸化することによって、ゲート電極2の表面に絶縁性に優れた酸化物皮膜3を形成し、必要に応じて熱処理を行って皮膜を安定化させる。さらにゲート電極と半導体層との間の絶縁性を高める必要があるときには、CVD法によってSiN膜を堆積し、ゲート絶縁膜4を形成する。このとき酸化物皮膜3の熱処理やCVDによる高温下でも、ヒロックの発生および成長は抑制される。ゲート絶縁膜4の上にはさらに半導体層5を形成する。半導体層には従来より450℃以上で熱処理した非晶質または多結晶のシリコン膜が用いられてきたが、最近では、350℃以下の低温で熱処理した多結晶シリコン膜が開発されている。最後に、半導体層5の上にソース電極6およびドレイン電極7を形成することによってTFT素子を製造することができる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す成分、割合、操作手順等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下の実施例に示す具体例に制限されるものではない。
【0026】
(実施例1)
ガラス基板上に厚さ約400nmの合金薄膜(90重量%Al、10重量%Nd)をスパッタリング法により堆積した。この薄膜を表1に記載される各化成液中にて電流密度1mA/cm2で100Vまで定電流化成し、その後約2時間定電圧化成することによって、酸化物皮膜を形成した。このときの定電流化成に要した時間を表1に示した。さらに、窒素雰囲気下にて300℃で熱処理を行なって皮膜を安定化させた。その後、スパッタリング法によりAlを約400nm堆積して電極薄膜を形成し、1mmφのパターンを有するMIM型素子を作成した。
このMIM型素子の合金薄膜をグラウンドとし、Al薄膜を作用電極として、0Vから1V刻みで電圧を印加して漏れ電流を測定した。両電極間に100mA以上の電流が流れた電圧を耐電圧として記録した。結果を表1に示す。なお、顕微鏡観察を行ったところ、各酸化物皮膜にヒロックはほとんど認められなかった。
【0027】
【表1】
Figure 0003997035
【0028】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明の化成液を用いた場合は従来の化成液を用いた場合に比べて形成される酸化物皮膜の絶縁性が高く、定電流化成に要する時間が短い。また、本発明の化成液を用いて形成した酸化物皮膜は、その後の高温処理においてもヒロックの成長を阻止することができる。このため、本発明の化成液を用いれば、絶縁性が高くてヒロックを有効に抑制しうる酸化物皮膜を高スループットで製造することができる。
本発明の化成液は、金属、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化が必要とされる製品および部品に広く利用することが可能である。特にTFT素子のゲート配線の絶縁膜形成に利用すれば、SiN絶縁膜を不要または薄くすることができるうえ、素子の信頼性も高めることができる。また、集積回路の配線に利用した場合も、絶縁耐圧を高くすることができるため信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ボトムゲート型TFT素子の断面図である。
【図2】 トップゲート型TFT素子の断面図である。
【符号の説明】
1: 基板
2: ゲート電極
3: 酸化物皮膜
4: ゲート絶縁膜
5: 半導体層
6: ソース電極
7: ドレイン電極

Claims (13)

  1. アルコール性水酸基を有する溶媒に、溶質として芳香族カルボン酸の塩を溶解してなり、かつ水が〜50重量%含まれる金属酸化物皮膜形成用化成液。
  2. 前記溶媒がエチレングリコールまたはプロピレングリコールである請求項1記載の化成液。
  3. 前記芳香族カルボン酸が、サリチル酸、フタル酸、安息香酸およびγ−レゾルシン酸からなる群から選択される1以上の化合物である請求項1または2記載の化成液。
  4. 前記溶質の濃度が0.01〜30重量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化成液。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化成液中で金属を陽極酸化する工程を含む、金属酸化物皮膜の形成方法。
  6. 前記陽極酸化を、あらかじめ定められた化成電圧まで定電流で化成し、化成電圧に達した後にその電圧に一定時間保持することにより行う、請求項5記載の形成方法。
  7. 前記陽極酸化後に熱処理を行う、請求項6記載の形成方法。
  8. 前記金属が基板上にパターニングされた金属配線薄膜である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の形成方法。
  9. 前記金属薄膜配線が、アルミニウムまたはアルミニウム合金のスパッタリングにより得られたものである請求項8記載の形成方法。
  10. 前記金属薄膜配線が、希土類元素を含むアルミニウム合金が基板上にパターニングされた配線である請求項8または9記載の形成方法。
  11. 前記希土類元素がSc、NdおよびGdからなる群から選択される1以上の元素である請求項10記載の形成方法。
  12. 請求項5〜11のいずれか一項に記載の方法によって表面に酸化物皮膜を形成した金属。
  13. 請求項5〜11のいずれか一項に記載の方法によって表面に酸化物皮膜を形成したアルミニウム合金。
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