JP2001135636A - 金属酸化物皮膜形成用化成液 - Google Patents

金属酸化物皮膜形成用化成液

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JP2001135636A
JP2001135636A JP31353099A JP31353099A JP2001135636A JP 2001135636 A JP2001135636 A JP 2001135636A JP 31353099 A JP31353099 A JP 31353099A JP 31353099 A JP31353099 A JP 31353099A JP 2001135636 A JP2001135636 A JP 2001135636A
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oxide film
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solvent
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Bunichi Mizutani
文一 水谷
Sachie Takeuchi
佐千江 竹内
Hiroshi Takaba
寛 鷹羽
Makoto Ue
誠 宇恵
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属、特にアルミニウムやアルミニウム合金
の陽極酸化に用いて、絶縁性に優れ且つヒロックが発生
しにくい酸化物皮膜を形成することができる化成液、そ
れを用いる金属酸化物皮膜の形成方法及びその方法によ
り酸化物皮膜を形成してなる金属の提供。 【解決手段】 1.溶質として炭素数7〜20の脂肪族
ジカルボン酸の塩を含有してなる金属酸化物皮膜形成用
化成液。 2.1項に記載の化成液中で金属を陽極酸化する工程を
含む金属酸化物皮膜の形成方法。 3.2項に記載の方法により表面に酸化物皮膜を形成し
てなる金属。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属酸化物皮膜形
成用化成液、それを用いる金属酸化物皮膜の形成方法及
びその方法により酸化物皮膜を形成してなる金属に関す
る。詳しくは、金属、特にアルミニウム又はアルミニウ
ム合金を陽極酸化して酸化物皮膜を形成するための特定
の化成液、それを用いる金属酸化物皮膜の形成方法及び
その方法により酸化物皮膜を形成してなる金属に関す
る。本発明は、特に液晶表示パネルの薄膜半導体(TF
T)素子のゲート配線や集積回路の配線の化成処理に有
効に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】金属及び合金は、その特徴的な性質を利
用して様々な工業的用途に供されている。特に、アルミ
ニウムやアルミニウム合金等は比抵抗が小さいことか
ら、TFT素子や集積回路の配線に効果的に使用されて
いる。これらの配線は、他の配線や電極との間で短絡し
ないようにするために表面に絶縁膜を形成しておくこと
が必要とされる。
【0003】アルミニウムやアルミニウム合金等の表面
に絶縁膜を形成する方法として、陽極酸化による化成処
理法がある。この方法は、アルミニウムやアルミニウム
合金等の表面を化成液中で電気化学的に酸化することに
よって、その表面に酸化物皮膜を形成する方法である。
この方法は、基板の不均一性に起因する欠陥を修復する
機能を有するため、緻密で平滑な酸化物皮膜を簡単に形
成することができる点で優れている。このため化成処理
による酸化物皮膜形成法は、TFT素子や集積回路の配
線製造工程において有効に利用されている。
【0004】アルミニウムやアルミニウム合金等の酸化
物皮膜形成に使用する化成液として、これまでに種々の
組成物が提案されている。例えば特開昭61−1336
62号公報では、1%ホウ酸アンモニウム水溶液又は3
%酒石酸水溶液とプロピレングリコールとを1:3で混
合した化成液を使用している。また、特開平2−858
26号公報では、3%酒石酸水溶液をエチレングリコー
ル又はプロピレングリコールで希釈し、アンモニア水で
pHを7程度に調整した化成液を使用している。特開平
6−216389号公報では、1%酒石酸アンモニウム
水溶液、1%アジピン酸アンモニウム水溶液、1%シュ
ウ酸アンモニウム水溶液又は1%クエン酸アンモニウム
水溶液とエチレングリコールとを体積比3:7で混合し
た化成液を使用している。
【0005】特開平8−50304号公報では、3%酒
石酸水溶液、15%酢酸及びエチレングリコールを9:
1:10で混合した化成液を使用している。特開平8−
286209号公報では、四ホウ酸アンモニウム、五ホ
ウ酸アンモニウム及びホウ酸アンモニウムから選択され
た無機酸アンモニウム塩の水溶液と、酒石酸アンモニウ
ム、クエン酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、
フタル酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、サリチ
ル酸アンモニウム及び炭酸アンモニウムから選択された
有機酸アンモニウム塩の水溶液を化成液として使用して
いる。
【0006】また、特開平11−229157号公報で
は、アルコール性水酸基を有する溶媒に無機酸の塩を溶
解した化成液を、特開平11−246994号公報で
は、アルコール性水酸基を有する溶媒に芳香族カルボン
酸の塩を溶解した化成液を、WO99/25906号公
報では、アルコール性水酸基を有する溶媒に水酸基を有
しない炭素数3〜5の脂肪族ジカルボン酸の塩を溶解し
た化成液、また無機オキソ酸の塩及び有機カルボン酸の
塩から選択される溶質を非プロトン性有機溶媒を主とす
る溶媒に溶解した化成液を使用している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
化成液については、これを用いて金属、特にアルミニウ
ムやアルミニウム合金を陽極酸化しても十分な絶縁性を
有する酸化物皮膜を形成することはできない。このた
め、絶縁破壊を防ぐためには、形成した酸化物皮膜の上
に別の絶縁膜を更に形成しなければならない。特にTF
T素子の製造に際しては、CVD法によって酸化物皮膜
の上に厚いSiN膜を形成して絶縁性を補っている。C
VD法は高温で行うことから、このときにアルミニウム
含有金属表面に生じているヒロックと呼ばれる針状微小
突起が成長してゲート絶縁膜を突き破り表示パネルに欠
陥を生じさせるという問題も派生している。
【0008】本発明は、金属、特にアルミニウムやアル
ミニウム合金の陽極酸化に用いて、絶縁性に優れ、且つ
ヒロックが発生しにくい酸化物皮膜を形成することがで
きるところの化成液、それを用いる高スループットで絶
縁性が良好な金属酸化物皮膜を形成する方法及びその方
法によりヒロック発生が抑制された高絶縁性酸化物皮膜
を有する金属を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる事
情に鑑み鋭意検討を進めた結果、溶質として炭素数7〜
20の脂肪族ジカルボン酸の塩を含有してなる化成液を
用いて金属の陽極酸化を行うことにより、極めて良好な
性質を有する酸化物皮膜を形成できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明の要旨は、 1.溶質として炭素数7〜20の脂肪族ジカルボン酸の
塩を含有してなる金属酸化物皮膜形成用化成液 2.1項に記載の化成液中で金属を陽極酸化する工程を
含む金属酸化物皮膜の形成方法 3.2項に記載の方法により表面に酸化物皮膜を形成し
てなる金属、にある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (金属酸化物皮膜形成用化成液)本発明の化成液は、溶
質として炭素数7〜20の脂肪族ジカルボン酸の塩を含
有してなることを特徴とする。本発明の化成液に用いら
れる脂肪族ジカルボン酸については、一分子中に二個の
カルボキシル基を有し、且つ炭素数が7〜20の脂肪族
ジカルボン酸であれば特に限定されるものではなく、構
造としては直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、
また飽和のものでも、不飽和のものでもよいが、直鎖状
で飽和のものが好ましい。
【0012】飽和脂肪族ジカルボン酸の具体例として
は、直鎖状のものとして、例えばピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデ
カン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ヘキサデ
カン二酸、オクダデカン二酸、また分岐状のものとし
て、ブチルマロン酸、ジエチルマロン酸、ジプロピルマ
ロン酸、プロピルコハク酸、イソプロピルコハク酸、2
−エチル−2−メチルコハク酸、イソブチルコハク酸、
2,3−ジイソプロピルコハク酸、2−プロピルグルタ
ル酸、3−プロピルグルタル酸、2,2−ジメチルグル
タル酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,4−ジメチ
ルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチ
ル−3−メチルグルタル酸、3−イソプロピルグルタル
酸、3,3−ジエチルグルタル酸、3−メチルアジピン
酸、3−エチルアジピン酸、2,5−ジメチルアジピン
酸、3−t−ブチルアジピン酸等を例示することができ
る。
【0013】更に本発明の所期の効果を阻害しない限
り、カルボキシル基以外の官能基を有する炭素数7〜2
0の脂肪族ジカルボン酸も用いることができる。これら
の脂肪族ジカルボン酸については、単独で用いることも
できるし、二種以上を組み合わせて用いることもでき
る。そして、これらの脂肪族ジカルボン酸の中、炭素数
7〜10のものが好ましく、その中、スベリン酸、アゼ
ライン酸及びセバシン酸が特に好ましく、これらは単独
で用いてもよいし二種以上混合して用いてもよい。
【0014】これらの脂肪族ジカルボン酸の塩を形成す
るための陽イオンは、特に制限されない。例えば、アン
モニウムイオン、アルカリ金属イオン、一、二、三又は
四級アルキルアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン
及びスルホニウムイオン等を用いることができる。中で
も、アンモニウムイオン又は一、二、三若しくは四級ア
ルキルアンモニウムイオンを用いるのが好ましい。アル
キルアンモニウムイオンを用いる場合のアルキル基の大
きさは、溶媒への溶解性を考慮して選択することができ
る。通常は炭素数1〜4のアルキル基を選択する。
【0015】これらの溶質は一種を単独で使用してもよ
いし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、
上記の溶質と上記以外の溶質を組み合わせて使用しても
よい。本発明の化成液の溶質濃度は、0.001〜30
重量%の範囲内に設定するのが一般的であり、0.05
〜15重量%の範囲内に設定するのが好ましい。溶質濃
度が0.001重量%未満であると、電気伝導率が足り
ないために金属酸化物皮膜の形成が不十分となり、ま
た、溶質濃度が30重量%を越えて使用しても、経済的
ではないばかりか、金属酸化物皮膜の性能には逆効果で
ある。
【0016】本発明の化成液に用いられる主溶媒は、非
水溶媒であることが望ましい。ここで、主溶媒とは、溶
媒中の割合が50重量%以上であることを意味する。非
水溶媒としては、アルコール性水酸基を有する溶媒及び
非プロトン性有機溶媒が好ましく、これらの中、アルコ
ール性水酸基を有する溶媒がより好ましい。
【0017】アルコール性水酸基を有する溶媒について
は、特に限定されるものではないが、脂肪族アルコール
が好ましく、その具体例としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、
シクロヘキサノール等の一価アルコール;エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ブタン−1,4−ジオ
ール、ジエチレングリコール等の二価アルコール;グリ
セリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールを挙
げることができる。また、分子内にアルコール性水酸基
以外の官能基を有する溶媒も、本発明の所期の効果を阻
害しない限り使用することができる。例えば、2−メト
キシエタノールやジエチレングリコールモノエチルエー
テルのように、アルコキシ基を有する溶媒も使用するこ
とができる。
【0018】非プロトン性有機溶媒については、極性溶
媒又は非極性溶媒のいずれを使用してもよい。極性溶媒
としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、
δ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル類;酢
酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エス
テル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネー
ト、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の
環状炭酸エステル類;ジメチルカーボネート、エチルメ
チルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状炭酸
エステル類;N−メチルホルムアミド、N−エチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジ
エチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N
−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のア
ミド類;アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニ
トリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピ
オニトリル等のニトリル類;トリメチルフォスフェー
ト、トリエチルフォスフェート等のリン酸エステル類を
例示することができる。
【0019】また非極性溶媒としては、ヘキサン、トル
エン、シリコンオイル等を例示することができる。これ
らの溶媒は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を
組み合わせて使用してもよい。本発明の化成液にとって
特に好ましい溶媒は、エチレングリコール及びプロピレ
ングリコールの単独或いは混合溶媒である。また溶媒と
して、50重量%未満、好ましくは30重量%未満の水
を添加して用いることもできる。溶媒が水を含む場合の
水の含有量は、好ましくは0.1〜25重量%未満、よ
り好ましくは0.1〜20重量%未満である。
【0020】(金属酸化物皮膜の形成方法)本発明の化
成液は、金属の陽極酸化に有効に利用することができ
る。従来から使用されている化成液では、金属に良好な
性質を有する酸化物皮膜を形成することができなかった
が、本発明の化成液を用いれば優れた酸化物皮膜を形成
することができる。
【0021】即ち、本発明の化成液を用いて金属を陽極
酸化すれば、従来の化成液を用いて陽極酸化した場合に
比べて絶縁性が高い酸化物皮膜を形成することができ
る。また本発明の化成液を用いて陽極酸化すれば、従来
の水溶液系化成液に比べて定電流化成に要する時間が短
くて済むため高スループットで製造することができる。
【0022】更に、本発明の化成液を用いて酸化物皮膜
を形成しておけば、その後の工程における高温処理によ
るヒロックの発生と成長を抑制することもできる。従っ
て、本発明の化成液を用いれば耐電圧が高い酸化物皮膜
を効率良く形成することができる。また、本発明の化成
液を用いて形成される酸化物皮膜は、不純物遮断性皮
膜、配線や基板の保護皮膜、防食皮膜、着色皮膜、吸湿
性皮膜としても機能しうるものである。
【0023】いかなる理論にも拘泥するものではない
が、このような本発明の優れた効果は一分子中に二個の
カルボキシル基を有する脂肪族ジカルボン酸の作用によ
って化成時に化成液中の溶質又は溶媒が酸化物皮膜の中
に微量取り込まれることによって生じるものと考えられ
る。特に溶質又は溶媒を構成する炭素原子が酸化物皮膜
に取り込まれることが、絶縁性、耐電圧及びヒロック抑
制性を高めているものと考えられる。
【0024】本発明の化成液を用いて金属を陽極酸化す
る条件は、特に制限されない。陽極酸化時の温度は、化
成液が安定に液体として存在する温度範囲に限定され、
一般時に−20〜150℃の範囲内であり、好ましくは
10〜100℃の範囲内である。陽極酸化時の電流及び
電圧の制御方法は特に限定されず、金属表面に酸化物皮
膜が形成される条件を適宜組み合わせることができる。
通常は、予め定められた化成電圧(Vf)まで定電流で
化成し、化成電圧に達した後にその電圧に一定時間保持
して陽極酸化する。この際の電流密度は0.001〜1
00mA/cm 2 の範囲内にし、好ましくは0.01〜
10mA/cm2 の範囲内にする。また、Vfは通常2
〜200Vの範囲内に設定し、好ましくは5〜150V
の範囲内にする。なお、化成電圧に至るまで直流電源の
代わりにピーク電流値が一定の交流を使用し、化成電圧
に達したところで直流電圧に切り替えて一定時間保持す
る方法を採用してもよい。
【0025】また、本発明の化成液を用いた陽極酸化
は、金属の全体に亘って行ってもよいし、その一部のみ
に行ってもよい。金属の一部にのみ酸化物皮膜を形成す
る場合は、フォトレジスト等の方法によって予め陽極酸
化すべき部分を選択しておく。本発明の化成液を用いて
陽極酸化した金属は、更に酸化物皮膜の絶縁性を高める
ために熱処理してもよい。例えば、200〜500℃程
度に加熱することによって絶縁性を高めることができ
る。
【0026】また、陽極酸化によって形成した酸化物皮
膜以外の絶縁膜を形成することによって、更に絶縁性を
強化してもよい。例えば、TFT素子においてはSiN
膜やSiO2 膜を形成することができる。これらの膜は
200℃以上の高温で形成するが、このような高温下に
おいても本発明の化成液で酸化物皮膜を形成している限
りヒロックの発生は抑制される。
【0027】本発明の化成液を用いれば、金属を広く陽
極酸化することができる。対象となる金属として、例え
ばアルミニウム又はアルミニウム合金を挙げることがで
きる。アルミニウム合金の場合、アルミニウムと組み合
わせる金属の種類と数は特に制限されない。従って、T
FT素子や集積回路の配線に用いることができるアルミ
ニウム又はアルミニウム合金は全て本発明の化成液によ
って有効に陽極酸化することができる。
【0028】純粋アルミニウムは比較的高活性でヒロッ
クが発生しやすいことから、アルミニウム以外の元素を
微量含有する合金が配線材料として好ましく使用され
る。例えば、アルミニウムにSc、Y、La、Pr、N
d、Gd、Dy、Ho、Er等の希土類元素を混合した
合金(特開平8−250494号公報)が用いられる。
本発明の化成液は、このような希土類元素を含むアルミ
ニウム合金、好ましくはSc、Nd又はGdを含むアル
ミニウム合金、特に好ましくはNdを含むアルミニウム
合金に対して好適に用いることができる。
【0029】例えば基板上にパターニングされた金属配
線薄膜、特にSc、Nd、Gd等の希土類元素を含むア
ルミニウム合金をスパッタリングして得られた配線薄膜
に対して好ましく適用することができる。アルミニウム
合金中における希土類元素の含有量は特に制限されない
が、一般に0.01〜20重量%、好ましくは0.01
〜10重量%の範囲内である。
【0030】本発明の化成液は、上記合金以外に、S
i、Cu、Pdを混合した合金、Ti、Ta、Zr、H
f、Nd、W、Mo等のバルブ金属を混合した合金(特
開平8−286209号公報)等にも使用することがで
きる。アルミニウムにこれらの元素を添加すると一般に
電気抵抗が著しく増大する。このためこれらの元素の添
加量は0.01〜3%程度に止め、電気抵抗を通常10
μΩ・cm以下、好ましくは5μΩ・cm以下にするの
が一般的である。また、添加金属とアルミニウムとを混
合した後に300〜450℃程度に加熱することによっ
て添加金属とアルミニウムとの金属間化合物として析出
させたものについても、本発明の化成液を使用すること
ができる。
【0031】本発明の化成液を用いた酸化物皮膜形成方
法は、様々な技術分野において広く利用することができ
る。例えば、耐食性や耐候性を持たせることを目的とし
て、航空機、船舶、車両、建築物等の構造材料、家庭用
品、光学機器等に利用することができる。また、電気
的、電子的、磁気的特性を持たせることを目的として、
アルマイト電線、プリント配電基板、電解コンデンサ
ー、磁気記録ディスク、スイッチング素子、湿度センサ
ー等に利用することもできる。また、光、熱的特性を持
たせることを目的として、太陽熱吸収板、反射板、多色
アルマイト、感光性アルマイト、発光素子、蛍光素子、
IC放熱板等に利用することもできる。また、特定の機
械的性質を持たせることを目的として、潤滑アルマイ
ト、硬質アルマイト、スピーカー振動板等に利用するこ
ともできる。更に、印刷、装飾、デザイン上の特徴を持
たせることを目的として、PS印刷板、ネームプレー
ト、装飾パネル、転写ドラム等に利用することもでき
る。その他に、触媒、調湿アルマイト、吸着剤、イオン
選択透過膜、濾過膜に利用することもできる。
【0032】本発明の化成液を用いた酸化物皮膜形成方
法は、TFT素子や集積回路の配線のように酸化物皮膜
に高い絶縁性が要求される場合に特に有用である。中で
も液晶表示素子に用いられるTFT素子のゲート配線の
絶縁膜形成に利用すれば極めて効果的である。現在実用
化されているTFT素子には、ゲート配線の積層順序に
より、図1に示すボトムゲート型と、図2に示すトップ
ゲート型の二種類がある。本発明はいずれの構造のTF
T素子にも利用しうるが、陽極酸化を行うためにボトム
ゲート型により有効に適用される。
【0033】図1に示すボトムゲート型TFT素子を製
造するには、先ず通常無アルカリガラスでできた基板1
上にゲート配線(ゲート電極)2をスパッタリング法で
堆積しパターニングする。このとき堆積するゲート配線
が、次の工程で陽極酸化する金属になる。従って本発明
では、通常は純粋アルミニウム、又は上記の希土類金属
含有金属、バルブ金属、Si、Cu、Pd等を微量含有
するアルミニウム合金をゲート配線として堆積する。そ
の後、本発明の化成液を用いて陽極酸化することによっ
て、ゲート電極2の表面に絶縁性に優れた酸化物皮膜3
を形成し、必要に応じて熱処理を行って酸化物皮膜の絶
縁性を高める。更にゲート電極と半導体層との間の絶縁
性を高める必要があるときには、CVD法によってSi
N膜を堆積し、ゲート絶縁膜4を形成する。このとき酸
化物皮膜3の熱処理やCVDによる高温下でも、ゲート
配線を本発明の化成液を使用しているため、ヒロックの
発生及び成長は抑制される。ゲート絶縁膜4の上には更
に半導体層5を形成する。半導体層には従来より450
℃以上で熱処理した非晶質又は多結晶のシリコン膜が用
いられてきたが、最近では、350℃以下の低温で熱処
理した多結晶シリコン膜が開発されており、将来は30
0℃程度まで熱処理が低下する見込みデアル。最後に、
半導体層5の上にソース電極6及びドレイン電極7を形
成することによってTFT素子を製造することができ
る。また、本発明の化成液を使用して形成される酸化物
皮膜の上に電極を設け、二端子型非線形素子とすること
もできる。
【0034】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、以下の実施例に示す成分、割合、操作手順
等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更するこ
とができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に示
す具体例に制限されるものではない。
【0035】(実施例1)ガラス基板上に厚さ約400
nmの合金薄膜(90重量%Al、10重量%Nd)を
スパッタリング法により堆積した。この薄膜を表1に記
載される各化成液中にて電流密度1mA/cm2 で10
0Vまで定電流化成し、その後約2時間定電圧化成する
ことによって、酸化物皮膜を形成した。更に、窒素雰囲
気下にて300℃で熱処理を行なって皮膜を安定化させ
た。その後、スパッタリング法によりAlを約400n
m堆積して電極薄膜を形成し、1mmφのパターンを有
するMIM型素子を作成した。
【0036】このMIM型素子の合金薄膜をグラウンド
とし、Al薄膜を作用電極として、0Vから1V刻みで
電圧を印加して漏れ電流を測定した。両電極間に100
mA以上の電流が流れた電圧を耐電圧として記録した。
結果を表1に示す。なお、顕微鏡観察を行ったところ、
各酸化物皮膜にヒロックは殆ど認められなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】表1から明らかなように、本発明の化成
液を用いた場合は、従来の化成液を用いた場合に比べ
て、形成される陽極酸化物皮膜の絶縁性が高い。また、
本発明の化成液を用いて形成した酸化物皮膜は、その後
の高温処理においてもヒロックの成長を阻止することが
できる。即ち、本発明の化成液を用いれば、絶縁性が高
くてヒロックを有効に抑制しうる酸化物皮膜を製造する
ことができる。本発明の化成液は、金属、特にアルミニ
ウム又はアルミニウム合金の陽極酸化が必要とされる製
品及び部品に広く利用することが可能である。特にTF
T素子のゲート配線の絶縁膜形成に利用すれば、SiN
絶縁膜を不要又は薄くすることができる上、素子の信頼
性も高めることができる。また、集積回路の配線に利用
した場合も、絶縁耐圧を高くすることができるため信頼
性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボトムゲート型TFT素子の断面図である。
【図2】トップゲート型TFT素子の断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 ゲート電極 3 酸化物皮膜 4 ゲート絶縁膜 5 半導体層 6 ソース電極 7 ドレイン電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/283 H01L 21/283 W 29/786 29/78 617W 21/336 (72)発明者 鷹羽 寛 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内 (72)発明者 宇恵 誠 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA01 AB78 AC47 BB14 BS70 4M104 BB02 BB39 CC05 DD37 DD89 EE16 GG20 HH03 5F058 BA20 BB04 BB07 BC03 BC04 BF12 BF54 BF70 BJ02 5F110 AA30 DD02 EE03 EE44 FF01 FF03 FF24 FF36

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶質として炭素数7〜20の脂肪族ジカ
    ルボン酸の塩を含有してなる金属酸化物皮膜形成用化成
    液。
  2. 【請求項2】 脂肪族ジカルボン酸がスベリン酸、アゼ
    ライン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも一種で
    ある請求項1に記載の化成液。
  3. 【請求項3】 化成液の主溶媒が非水溶媒である請求項
    1に記載の化成液。
  4. 【請求項4】 非水溶媒がアルコール性水酸基を有する
    溶媒である請求項3に記載の化成液。
  5. 【請求項5】 アルコール性水酸基を有する溶媒がエチ
    レングリコール又はプロピレングリコールである請求項
    4に記載の化成液。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の化
    成液中で金属を陽極酸化する工程を含む金属酸化物皮膜
    の形成方法。
  7. 【請求項7】 前記金属が基板上にパターニングされた
    金属配線薄膜である請求項6に記載の形成方法。
  8. 【請求項8】 前記金属薄膜配線がアルミニウム又はア
    ルミニウム合金のスパッタリングにより得られたもので
    ある請求項7に記載の形成方法。
  9. 【請求項9】 前記金属薄膜配線が希土類元素を含むア
    ルミニウム合金が基板上にパターニングされた配線であ
    る請求項7又は8に記載の形成方法。
  10. 【請求項10】 前記希土類元素がSc、Nd及びGd
    から選択される少なくとも一種の元素である請求項9に
    記載の形成方法。
  11. 【請求項11】 請求項6ないし10のいずれかに記載
    の方法により表面に酸化物皮膜を形成してなる金属。
  12. 【請求項12】 請求項6ないし10のいずれかに記載
    の方法により表面に酸化物皮膜を形成してなるアルミニ
    ウム合金。
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