JPH11229157A - 金属酸化物皮膜形成用化成液 - Google Patents

金属酸化物皮膜形成用化成液

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JPH11229157A
JPH11229157A JP30815498A JP30815498A JPH11229157A JP H11229157 A JPH11229157 A JP H11229157A JP 30815498 A JP30815498 A JP 30815498A JP 30815498 A JP30815498 A JP 30815498A JP H11229157 A JPH11229157 A JP H11229157A
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acid
chemical conversion
metal
oxide film
conversion solution
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JP30815498A
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Makoto Ue
誠 宇恵
Bunichi Mizutani
文一 水谷
Sachie Takeuchi
佐千江 竹内
Hiroshi Takaba
寛 鷹羽
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属の陽極酸化時に使用することによって、絶
縁性に優れ、ヒロックが発生しにくい酸化物皮膜を高ス
ループットで形成することができる化成液を提供するこ
と。 【解決手段】アルコール性水酸基を有する溶媒に無機酸
の塩を溶解してなる金属酸化物皮膜形成用化成液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属、特にアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金を陽極酸化することによ
って酸化物皮膜を形成する技術に関する。より具体的に
は、金属に酸化物皮膜を形成するための化成液、該化成
液を利用した酸化物皮膜の形成方法、および該化成液を
用いて表面に酸化物皮膜を形成した金属に関する。本発
明は、とくに液晶表示パネルの薄膜半導体(TFT)素
子のゲート配線や集積回路の配線の化成処理に有効に利
用することができる。
【0002】
【従来の技術】金属および合金は、その特徴的な性質を
利用して様々な工業的用途に供されている。特に、アル
ミニウムやアルミニウム合金等は比抵抗が小さいことか
ら、TFT素子や集積回路の配線に効果的に使用されて
いる。これらの配線は、他の配線や電極との間で短絡し
ないようにするために表面に絶縁膜を形成しておくこと
が必要とされる。
【0003】アルミニウムやアルミニウム合金等の表面
に絶縁膜を形成する方法として、陽極酸化による化成処
理法がある。この方法は、アルミニウムやアルミニウム
合金等の表面を化成液中で電気化学的に酸化することに
よって、その表面に酸化物皮膜を形成する方法である。
この方法は、基板の不均一性に起因する欠陥を修復する
機能を有するため、緻密で平滑な酸化物皮膜を簡単に形
成することができる点で優れている。このため化成処理
による酸化物皮膜形成法は、TFT素子や集積回路の配
線製造工程において有効に利用されている。
【0004】アルミニウムやアルミニウム合金等の酸化
物皮膜形成に使用する化成液として、これまでに種々の
組成物が提案されている。例えば特開昭61−1336
62号公報では、1%ホウ酸アンモニウム水溶液、また
は3%酒石酸水溶液とプロピレングリコールとを1:3
で混合した化成液を使用している。また、特開平2−8
5826号公報では、3%酒石酸水溶液をエチレングリ
コールまたはプロピレングリコールで希釈し、アンモニ
ア水でpHを7程度に調整した化成液を使用している。
特開平6−216389号公報では、1%酒石酸アンモ
ニウム水溶液、1%アジピン酸アンモニウム水溶液、1
%シュウ酸アンモニウム水溶液または1%クエン酸アン
モニウム水溶液とエチレングリコールとを体積比3:7
で混合した化成液を使用している。特開平8−5030
4号公報では、3%酒石酸水溶液、15%酢酸およびエ
チレングリコールを9:1:10で混合した化成液を使
用している。特開平8−286209号公報では、四ホ
ウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウムおよびホウ酸
アンモニウムから選択された無機酸アンモニウム塩の水
溶液と、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、
アジピン酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、シュ
ウ酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウムおよび炭酸
アンモニウムから選択された有機酸アンモニウム塩の水
溶液を化成液として使用している。
【0005】このように従来から種々の化成液が提案さ
れているが、これらの化成液を使用して金属、特にアル
ミニウムやアルミニウム合金を陽極酸化しても十分な絶
縁性を有する酸化物皮膜を形成することはできない。こ
のため、絶縁破壊を防ぐためには、形成した酸化物皮膜
のうえに別の絶縁膜をさらに形成しなければならない。
特にTFT素子の製造に際しては、CVD法によって酸
化物皮膜の上に厚いSiN膜を形成して絶縁性を補って
いる。CVD法は高温で行うことから、このときにアル
ミニウム含有金属表面に生じているヒロックと呼ばれる
針状微小突起が成長してゲート絶縁膜を突き破り表示パ
ネルに欠陥を生じさせるという問題も派生している。ま
た、従来の化成液を用いた陽極酸化には、化成速度が遅
いという問題もある。化成速度を速めるためには化成電
流密度を必要以上に大きくしなければならないことか
ら、従来の化成液を使用してスループットを高めるには
限界があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明はこれ
らの従来技術の問題点を解決することを課題とした。す
なわち本発明は、アルミニウムやアルミニウム合金をは
じめとする金属に十分な絶縁性を有する酸化物皮膜を形
成することができる新しい化成液を提供することを解決
すべき課題とした。また本発明は、化成速度が速くて、
陽極化成を含む工程のスループットを高めることができ
る化成液を提供することも解決すべき課題とした。さら
に本発明は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金
属の陽極酸化に使用することによって、該金属表面のヒ
ロック発生を抑制することができる化成液を提供するこ
とをも解決すべき課題とした。併せて本発明は、高スル
ープットで絶縁性が良好な酸化物皮膜を形成する方法、
およびヒロック発生が抑制された高絶縁性酸化物皮膜を
有する金属を提供することも解決すべき課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を進めた結果、アルコール性水
酸基を有する溶媒に無機酸の塩を溶解して調製した化成
液を使用して金属の陽極酸化を行えば、極めて良好な性
質を有する酸化物皮膜を形成することができることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、アルコール性水酸基を
有する溶媒に無機酸の塩を溶解してなる金属酸化物皮膜
形成用化成液を提供するものである。溶媒としては、例
えばエチレングリコールおよびプロピレングリコールを
使用するのが好ましい。また、無機酸としては無機オキ
ソ酸、特にホウ酸、リン酸、硫酸、タングステン酸、モ
リブデン酸、クロム酸およびバナジン酸を使用するのが
好ましい。
【0009】本発明は、上記化成液中で金属を陽極酸化
する工程を含む、金属酸化物皮膜の形成方法も提供す
る。この方法は、例えば基板上にパターニングされた金
属配線薄膜、特にSc、Nd、Gdなどの希土類元素を
含むアルミニウム合金をスパッタリングして得られた配
線薄膜に対して好ましく適用することができる。さらに
本発明は、これらの方法によって表面に酸化物皮膜を形
成した金属、特にアルミニウム合金を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の内容を詳
細に説明する。本発明の化成液は、無機酸の塩を溶質と
して含有する。無機酸の塩としては、無機オキソ酸の塩
を用いるのが好ましい。本発明で使用する無機オキソ酸
は、プロトンとして解離しうる水素が酸素原子に結合し
ている無機酸であり、中心原子は非金属であっても金属
であっても構わない。具体的には、ホウ酸、リン酸、硫
酸、硝酸、ケイ酸、炭酸などの中心原子が非金属の無機
オキソ酸や、タングステン酸、モリブデン酸、クロム
酸、バナジン酸、過レニウム酸および過マンガン酸など
の中心原子が金属の無機オキソ酸を例示することができ
る。中でも、ホウ酸、リン酸、硫酸、タングステン酸、
モリブデン酸、クロム酸およびバナジン酸を使用するの
が好ましい。また、本発明で使用する無機オキソ酸はポ
リ酸であってもよく、そのポリ酸はイソポリ酸であって
もヘテロポリ酸であってもよい。
【0011】これらの無機酸の塩を形成するための陽イ
オンは、特に制限されない。例えば、アンモニウムイオ
ン、アルカリ金属イオン、1,2,3または4級アルキ
ルアンモニウムイオン、ホスホニウムイオンおよびスル
ホニウムイオンなどを用いることができる。中でも、ア
ンモニウムイオンまたは1,2,3または4級アルキル
アンモニウムイオンを用いるのが好ましい。アルキルア
ンモニウムイオンを用いる場合のアルキル基の大きさ
は、溶媒への溶解性を考慮して選択することができる。
通常は炭素数1〜4のアルキル基を選択する。これらの
溶質は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み
合わせて使用してもよい。また、上記の溶質と上記以外
の溶質を組み合わせて使用してもよい。本発明の化成液
の溶質濃度は、0.01〜30重量%の範囲内に設定す
るのが一般的であり、1〜15重量%の範囲内に設定す
るのが好ましい。
【0012】本発明の化成液には、溶媒としてアルコー
ル性水酸基を有する化合物を使用する。本発明では、ア
ルコール性水酸基を有する化合物であればその種類を問
わず溶媒として使用することができる。中でも好ましい
溶媒は、アルコール性水酸基を有する脂肪族アルコール
である。例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール等の1価アルコール;エチレング
リコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;
3価以上の多価アルコールを使用することができる。ま
た、分子内にアルコール性水酸基以外の官能基を有する
溶媒も、本発明の所期の効果を阻害しない限り使用する
ことができる。例えば、メチルセロソルブやセロソルブ
等のようにアルコール性水酸基とともにアルコキシ基を
有する溶媒も使用することができる。
【0013】これらの溶媒は1種を単独で使用してもよ
いし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明
の化成液にとって好ましい溶媒は、炭素数1〜8の溶媒
であり、特に好ましい溶媒はエチレングリコールおよび
プロピレングリコールの単独または混合溶媒である。ま
た、溶媒に50重量%未満、好ましくは30%未満の水
を添加して用いることもできる。溶媒が水を含む場合の
水の含有量は、好ましくは0.1%以上25%未満、よ
り好ましくは0.1%以上20%未満である。
【0014】本発明の化成液は、金属の陽極酸化に有効
に利用することができる。従来から使用されている典型
的な水溶液系化成液では、金属に良好な性質を有する酸
化物皮膜を形成することができなかったが、本発明の化
成液を用いれば優れた酸化物皮膜を形成することができ
る。すなわち、本発明の化成液を用いて金属を陽極酸化
すれば、従来の化成液を用いて陽極酸化した場合に比べ
て絶縁性が高い酸化物皮膜を形成することができる。ま
た本発明の化成液を用いて陽極酸化すれば、従来の化成
液に比べて定電流化成に要する時間が短くて済むため高
スループットで製造することができる。さらに、本発明
の化成液を用いて酸化物皮膜を形成しておけば、その後
の工程における高温処理によるヒロックの発生と成長を
抑制することもできる。したがって、本発明の化成液を
用いれば耐電圧が高い酸化物皮膜を効率良く形成するこ
とができる。また、本発明の化成液を用いて形成される
酸化物皮膜は、不純物遮断性皮膜、配線や基板の保護皮
膜、防食皮膜、着色皮膜、吸湿性皮膜としても機能しう
るものである。
【0015】いかなる理論にも拘泥するものではない
が、このような本発明の優れた効果はアルコール性水酸
基を有する溶媒の作用によって化成時に化成液中の溶質
または溶媒が酸化物皮膜の中に微量取り込まれることに
よって生じるものと考えられる。特に溶質または溶媒を
構成する炭素原子が酸化物皮膜に取り込まれることが、
絶縁性、耐電圧およびヒロック抑制性を高めているもの
と考えられる。
【0016】本発明の化成液を用いて金属を陽極酸化す
る条件は、特に制限されない。陽極酸化時の温度は、化
成液が安定に液体として存在する温度範囲に限定され、
一般的に−20〜150℃の範囲内であり、好ましくは
10〜100℃の範囲内である。陽極酸化時の電流およ
び電圧の制御方法は特に限定されず、金属表面に酸化物
皮膜が形成される条件を適宜組み合わせることができ
る。通常は、あらかじめ定められた化成電圧(Vf)ま
で定電流で化成し、化成電圧に達した後にその電圧に一
定時間保持して陽極酸化する。この際の電流密度は0.
001〜100mA/cm2 の範囲内にし、好ましくは
0.01〜10mA/cm2 の範囲内にする。また、V
fは通常20〜200Vの範囲内に設定し、好ましくは
50〜150Vの範囲内にする。なお、化成電圧に至る
まで直流電源の代わりにピーク電流値が一定の交流を使
用し、化成電圧に達したところで直流電圧に切り替えて
一定時間保持する方法を採用してもよい。
【0017】また、本発明の化成液を用いた陽極酸化
は、金属の全体にわたって行ってもよいし、その一部の
みに行ってもよい。金属の一部にのみ酸化物皮膜を形成
する場合は、フォトレジストなどの方法によってあらか
じめ陽極酸化すべき部分を選択しておく。本発明の化成
液を用いて陽極酸化した金属は、さらに酸化物皮膜の絶
縁性を高めるために熱処理してもよい。例えば、200
〜400℃程度に加熱することによって絶縁性を高める
ことができる。
【0018】また、陽極酸化によって形成した酸化物皮
膜以外の絶縁膜を形成することによって、さらに絶縁性
を強化してもよい。例えば、TFT素子においてはSi
N膜やSiO2 膜を形成することができる。これらの膜
は200℃以上の高温で形成するが、このような高温下
においても本発明の化成液で酸化物皮膜を形成している
限りヒロックの発生は抑制される。
【0019】本発明の化成液を用いれば、金属を広く陽
極酸化することができる。対象となる金属として、例え
ばアルミニウムまたはアルミニウム合金を挙げることが
できる。アルミニウム合金の場合、アルミニウムと組み
合わせる金属の種類と数は特に制限されない。したがっ
て、TFT素子や集積回路の配線に用いることができる
アルミニウムまたはアルミニウム合金はすべて本発明の
化成液によって有効に陽極酸化することができる。
【0020】純粋アルミニウムは比較的高活性でヒロッ
クが発生しやすいことから、アルミニウム以外の元素を
微量含有する合金が配線材料として好ましく使用され
る。例えば、アルミニウムにSc、Y、La、Pr、N
d、Gd、Dy、Ho、Er等の希土類元素を混合した
合金(特開平8−250494号公報)が用いられる。
本発明の化成液は、このような希土類元素を含むアルミ
ニウム合金、好ましくはSc、NdまたはGdを含むア
ルミニウム合金、特に好ましくはNdを含むアルミニウ
ム合金に対して好適に用いることができる。アルミニウ
ム合金中における希土類元素の含有量は特に制限されな
いが、一般に10原子%以下、好ましくは6原子%以
下、特に好ましくは0.05〜3原子%の範囲内であ
る。
【0021】本発明の化成液は、上記合金以外に、S
i、Cu、Pdを混合した合金、Ti、Ta、Zr、H
f、Nb、W、Mo等のバルブ金属を混合した合金(特
開平8−286209号公報)などにも使用することが
できる。アルミニウムにこれらの元素を添加すると一般
に電気抵抗が著しく増大する。このためこれらの元素の
添加量は0.01〜3%程度にとどめ、電気抵抗を通常
10μΩ・cm以下、好ましくは5μΩ・cm以下にす
るのが一般的である。また、添加金属とアルミニウムと
を混合した後に300〜450℃程度に加熱することに
よって添加金属とアルミニウムとの金属間化合物として
析出させたものについても、本発明の化成液を使用する
ことができる。
【0022】本発明の化成液を用いた酸化物皮膜形成方
法は、様々な技術分野において広く利用することができ
る。例えば、耐食性や耐候性を持たせることを目的とし
て、航空機、船舶、車両、建築物などの構造材料、家庭
用品、光学機器などに利用することができる。また、電
気的、電子的、磁気的特性を持たせることを目的とし
て、アルマイト電線、プリント配電基板、電解コンデン
サ−、磁気記録ディスク、スイッチング素子、湿度セン
サーなどに利用することもできる。また、光、熱的特性
を持たせることを目的として、太陽熱吸収板、反射板、
多色アルマイト、感光性アルマイト、発光素子、蛍光素
子、IC放熱板などに利用することもできる。また、特
定の機械的性質を持たせることを目的として、潤滑アル
マイト、硬質アルマイト、スピーカー振動板などに利用
することもできる。さらに、印刷、装飾、デザイン上の
特徴を持たせることを目的として、PS印刷板、ネーム
プレート、装飾パネル、転写ドラムなどに利用すること
もできる。その他に、触媒、調湿アルマイト、吸着剤、
イオン選択透過膜、濾過膜に利用することもできる。
【0023】本発明の化成液を用いた酸化物皮膜形成方
法は、TFT素子や集積回路の配線のように酸化物皮膜
に高い絶縁性が要求される場合に特に有用である。中で
も液晶表示素子に用いられるTFT素子のゲート配線の
絶縁膜形成に利用すれば極めて効果的である。現在実用
化されているTFT素子には、ゲート配線の積層順序に
より、図1に示すボトムゲート型と、図2に示すトップ
ゲート型の2種類がある。本発明はいずれの構造のTF
T素子にも利用しうるが、陽極酸化を行うためにボトム
ゲート型により有効に適用される。
【0024】図1に示すボトムゲート型TFT素子を製
造するには、まず通常無アルカリガラスでできた基板1
上にゲート配線(ゲート電極)2をスパッタリング法で
堆積しパターニングする。このとき堆積するゲート配線
が、次の工程で陽極酸化する金属になる。したがって本
発明では、通常は純粋アルミニウム、または上記の希土
類金属含有金属、バルブ金属、Si、Cu、Pd等を微
量含有するアルミニウム合金をゲート配線として堆積す
る。その後、本発明の化成液を用いて陽極酸化すること
によって、ゲート電極2の表面に絶縁性に優れた酸化物
皮膜3を形成し、必要に応じて熱処理を行って皮膜を安
定化させる。さらにゲート電極と半導体層との間の絶縁
性を高める必要があるときには、CVD法によってSi
N膜を堆積し、ゲート絶縁膜4を形成する。このとき酸
化物皮膜3の熱処理やCVDによる高温下でも、ヒロッ
クの発生および成長は抑制される。ゲート絶縁膜4の上
にはさらに半導体層5を形成する。半導体層には従来よ
り450℃以上で熱処理した非晶質または多結晶のシリ
コン膜が用いられてきたが、最近では、350℃以下の
低温で熱処理した多結晶シリコン膜が開発されている。
最後に、半導体層5の上にソース電極6およびドレイン
電極7を形成することによってTFT素子を製造するこ
とができる。
【0025】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す成分、割合、操作手順
等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更するこ
とができる。したがって、本発明の範囲は以下の実施例
に示す具体例に制限されるものではない。
【0026】(実施例1)ガラス基板上に厚さ約400
nmの合金薄膜(98.5重量%Al、1.0重量%S
i、0.5重量%Cu)をスパッタリング法により堆積
した。この薄膜を表1に記載される各化成液中にて電流
密度0.1mA/cm2 で100Vまで定電流化成し、
その後約2時間定電圧化成することによって、酸化物皮
膜を形成した。このときの定電流化成に要した時間を表
1に示した。さらに、窒素雰囲気下にて350℃で熱処
理を行なって皮膜を安定化させた。その後、スパッタリ
ング法によりAlを約400nm堆積して電極薄膜を形
成し、1mmφのパターンを有するMIM型素子を作成
した。このMIM型素子の合金薄膜をグラウンドとし、
Al薄膜を作用電極として、0Vから1V刻みで電圧を
印加して漏れ電流を測定した。両電極間に100mA以
上の電流が流れた電圧を耐電圧として記録した。結果を
表1に示す。なお、顕微鏡観察を行ったところ、各酸化
物皮膜にヒロックはほとんど認められなかった。
【0027】
【表1】
【0028】(実施例2)ガラス基板上に厚さ約400
nmの合金薄膜(90重量%Al、10重量%Nd)を
スパッタリング法により堆積した。この薄膜を表2に記
載される各化成液中にて電流密度1mA/cm2 で10
0Vまで定電流化成し、その後約2時間定電圧化成する
ことによって、酸化物皮膜を形成した。このときの定電
流化成に要した時間を表2に示した。さらに、窒素雰囲
気下にて300℃で熱処理を行なって皮膜を安定化させ
た。その後、スパッタリング法によりAlを約400n
m堆積して電極薄膜を形成し、1mmφのパターンを有
するMIM型素子を作成した。このMIM型素子の合金
薄膜をグラウンドとし、Al薄膜を作用電極として、0
Vから1V刻みで電圧を印加して漏れ電流を測定した。
両電極間に100mA以上の電流が流れた電圧を耐電圧
として記録した。結果を表2に示す。なお、顕微鏡観察
を行ったところ、各酸化物皮膜にヒロックはほとんど認
められなかった。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】表1および表2から明らかなように、本
発明の化成液を用いた場合は水溶液である従来の化成液
を用いた場合に比べて形成される酸化物皮膜の絶縁性が
高く、定電流化成に要する時間が短い。また、本発明の
化成液を用いて形成した酸化物皮膜は、その後の高温処
理においてもヒロックの成長を阻止することができる。
このため、本発明の化成液を用いれば、絶縁性が高くて
ヒロックを有効に抑制しうる酸化物皮膜を高スループッ
トで製造することができる。本発明の化成液は、金属、
特にアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化が
必要とされる製品および部品に広く利用することが可能
である。特にTFT素子のゲート配線の絶縁膜形成に利
用すれば、SiN絶縁膜を不要または薄くすることがで
きるうえ、素子の信頼性も高めることができる。また、
集積回路の配線に利用した場合も、絶縁耐圧を高くする
ことができるため信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ボトムゲート型TFT素子の断面図である。
【図2】 トップゲート型TFT素子の断面図である。
【符号の説明】
1: 基板 2: ゲート電極 3: 酸化物皮膜 4: ゲート絶縁膜 5: 半導体層 6: ソース電極 7: ドレイン電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 29/786 H01L 29/78 627Z 21/336 (72)発明者 鷹羽 寛 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコール性水酸基を有する溶媒に無機
    酸の塩を溶解してなる金属酸化物皮膜形成用化成液。
  2. 【請求項2】 前記溶媒がエチレングリコールまたはプ
    ロピレングリコールである請求項1記載の化成液。
  3. 【請求項3】 前記無機酸の塩が無機オキソ酸の塩であ
    る請求項2記載の化成液。
  4. 【請求項4】 前記無機酸が、ホウ酸、リン酸、硫酸、
    タングステン酸、モリブデン酸、クロム酸およびバナジ
    ン酸からなる群から選択される1以上の化合物である請
    求項3記載の化成液。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の化成液
    中で金属を陽極酸化する工程を含む、金属酸化物皮膜の
    形成方法。
  6. 【請求項6】 前記金属が基板上にパターニングされた
    金属配線薄膜である、請求項5記載の形成方法。
  7. 【請求項7】 前記金属薄膜配線が、アルミニウムまた
    はアルミニウム合金のスパッタリングにより得られたも
    のである請求項6記載の形成方法。
  8. 【請求項8】 前記金属薄膜配線が、希土類元素を含む
    アルミニウム合金が基板上にパターニングされた配線で
    ある請求項6または7記載の形成方法。
  9. 【請求項9】 前記希土類元素がSc、NdおよびGd
    からなる群から選択される1以上の元素である請求項8
    記載の形成方法。
  10. 【請求項10】 請求項5〜9のいずれかの方法によっ
    て表面に酸化物皮膜を形成した金属。
  11. 【請求項11】 請求項5〜9のいずれかの方法によっ
    て表面に酸化物皮膜を形成したアルミニウム合金。
JP30815498A 1997-11-18 1998-10-29 金属酸化物皮膜形成用化成液 Pending JPH11229157A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100485469B1 (ko) * 2002-07-13 2005-04-27 대스캡피시엠주식회사 경질양극산화피막 처리된 알루미늄 표면에 붕산을포함하는 피막의 형성방법
US7473654B2 (en) 2004-08-26 2009-01-06 Seiko Epson Corporation Method of forming an oxide film, an oxide film, a component and an electronic apparatus

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