JP4661496B2 - 酸化物皮膜形成用化成液とこれを用いた酸化物皮膜の形成方法、積層体及びその製造方法、並びに金属酸化物膜 - Google Patents
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Description
本発明は、中でもアルミニウム、タンタルなどのバルブ金属を主成分とする被処理材に対して好適に適用できる。
陽極酸化の際の酸化電流密度を高くすると、酸化物皮膜の成長が速すぎて膜厚に対して荒れの大きい膜となり易く、表面の平滑な酸化物皮膜が形成されない場合がある。そこで、これを解決するために、定電流陽極酸化工程と定電圧陽極酸化工程の2段階の陽極酸化工程を経ることが一般的に行われている。即ち、まず所期の膜厚に対応した電圧となるまで定電流で陽極酸化を行い酸化物皮膜を形成する。その後、形成された酸化物皮膜の荒れを修復するために、その電圧のまま、電流が十分減少するまで定電圧に保持する手法である。
更には、そのような高品質の金属酸化物膜並びに金属酸化物膜を表面に有してなる被処理材からなる積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
好ましくはこの被処理材はバルブ金属を主成分とし、より好ましくはアルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウム及びハフニウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を主成分とし、更に好ましくはアルミニウム及び/又はタンタルを主成分とし、特に好ましくはアルミニウムを主成分とする。
本発明で処理対象とするバルブ金属とは、前述の如く、その金属上の酸化物層が一方向のみ電流を通し、逆方向には殆ど電流を通さないものである。本発明に用いられるバルブ金属は、緻密で平滑な酸化物皮膜が形成可能なものであれば特に制限はないが、アルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、モリブデン、バナジウム、及びシリコンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が例示できる。好ましくは、アルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウム及びハフニウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはアルミニウム、タンタル、及びニオブよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくはアルミニウム及び/又はタンタルである。
〈溶質〉
本発明の陽極酸化に用いられる化成液に含まれる溶質アニオンとしては、特に制限はないが、好ましいのは芳香族カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸由来のアニオンである。
好ましくは、芳香族カルボン酸を1種以上含む。
本発明の化成液は、アルコール性水酸基を含む炭素数4以上の非水溶媒を主溶媒とする。好ましくは、2以上のアルコール性水酸基を含む炭素数4以上の非水溶媒を主溶媒とする。
最も好ましくは、非水溶媒のアルコール性水酸基の数は2である。
特に、本発明で用いる非水溶媒はアルコール性水酸基の数と炭素数との比が、アルコール性水酸基数:炭素数=1:2〜3の範囲であるものが好ましい。
本発明の化成液は、前記非水溶媒の他の溶媒(以下、「副溶媒」と称する。)として、水を含むことが好ましい。前記非水溶媒(即ち、アルコール性水酸基を含む炭素数4以上の非水溶媒)に対する水の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また好ましくは80質量%未満、より好ましくは60質量%未満、更に好ましくは50質量%未満である。高い電気伝導率を得るためには、化成液はある程度水を含むことが望ましい。また、特に高品質な酸化物皮膜を形成するためには、化成液中の水の量は多すぎないことが望ましい。
本発明において陽極酸化の手法には、特に制限はないが、最初に定電流密度での定電流陽極酸化工程を行い、次いで定電圧での定電圧陽極酸化工程を行うことが好ましい。この場合、定電流陽極酸化工程は通常は直流で行うが、交流成分や揺らぎ成分が加わっていても良く、また、電流密度が段階的に漸減あるいは漸増していても良い。
或いは、特願2004−113292号において提案されているような、低電流密度で陽極酸化を行った後、続いて高電流密度で陽極酸化を行う方法を用いても良い。本方法を併用することで、より表面荒れが少なく、平滑な酸化物皮膜が得られる可能性がある。
(実施例1)
無アルカリガラス基板上にイオンプレーティング法で約300nmの厚さの純Al薄膜を堆積した。次に、この膜を含水量10質量%の1質量%サリチル酸アンモニウムのジエチレングリコール溶液中で、電流密度1mA/cm2で50Vまで定電流陽極酸化し、その後10分間50Vで定電圧陽極酸化し、酸化物皮膜を形成した。
得られた酸化物皮膜の表面粗さをSPM(セイコーインスツルメンツ社:ナノピクス1000)装置付属のソフトウェアを用いて測定したところ、平均面粗さ(Ra:JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを、三次元に拡張したもの)は0.17nm、自乗平均面粗さ(RMS)は0.22nmであった。
実施例1において、化成液として含水量30質量%の1質量%サリチル酸アンモニウムのジエチレングリコール溶液を使用した他は、実施例1と同様にして酸化物皮膜を形成した。
得られた酸化物皮膜のRa及びRMSは、それぞれ0.20nm及び0.26nmであった。
実施例1において、含水量10質量%の1質量%サリチル酸アンモニウムのエチレングリコール溶液を使用した他は、実施例1と同様にして酸化物皮膜を形成した。
得られた酸化物皮膜のRa及びRMSは、それぞれ0.24nm及び0.30nmであった。
実施例1において、含水量30質量%の1質量%サリチル酸アンモニウムのエチレングリコール溶液を使用した他は、実施例1と同様にして酸化物皮膜を形成した。
得られた酸化物皮膜のRa及びRMSは、それぞれ0.33nm及び0.46nmであった。
(実施例3)
無アルカリガラス基板上にスパッタリング法で約200nmの厚さの純Ta薄膜を堆積した。次に、この膜を含水量30質量%の1質量%サリチル酸アンモニウムのジエチレングリコール溶液中で、電流密度0.5mA/cm2で5Vまで定電流陽極酸化し、その後10分間5Vで定電圧陽極酸化し、酸化物皮膜を形成した。
得られた酸化物皮膜の表面粗さをSPM(セイコーインスツルメンツ社:SPA−300HV)装置付属のソフトウェアを用いて測定したところ、平均面粗さ(Ra:JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを、三次元に拡張したもの)は0.20nmであった。
実施例3において、含水量30質量%の1質量%サリチル酸アンモニウムのエチレングリコール溶液を使用した他は、実施例3と同様にして酸化物皮膜を形成した。
得られた酸化物皮膜のRaは0.27nmであった。
(実施例4)
無アルカリガラス基板上にスパッタリング法で約400nmの厚さの純Nb薄膜を堆積した。次に、この膜を含水量30質量%の1質量%サリチル酸アンモニウムのジエチレングリコール溶液中で、電流密度0.5mA/cm2で5Vまで定電流陽極酸化し、その後10分間5Vで定電圧陽極酸化し、酸化物皮膜を形成した。
得られた酸化物皮膜の表面粗さをSPM(セイコーインスツルメンツ社:SPA−300HV)装置付属のソフトウェアを用いて測定したところ、平均面粗さ(Ra:JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを、三次元に拡張したもの)は0.93nmであった。
実施例4において、含水量30質量%の1質量%サリチル酸アンモニウムのエチレングリコール溶液を使用した他は、実施例4と同様にして酸化物皮膜を形成した。
得られた酸化物皮膜のRaは1.78nmであった。
また、実施例3及び比較例3、並びに、実施例4及び比較例4より、本発明に係る被処理材の金属としては、AlのみならずTaやNb等のバルブ金属全般にも有効であることが分かる。
Claims (7)
- 陽極酸化により、金属を主成分とする被処理材の表面に酸化物皮膜を形成するために用いる化成液であって、アルコール性水酸基を含む炭素数4以上の非水溶媒を主溶媒とし、かつ溶質アニオンとして芳香族カルボン酸由来のアニオンを含むことを特徴とする酸化物皮膜形成用化成液。
- 前記非水溶媒が、2以上のアルコール性水酸基を含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化物皮膜形成用化成液。
- 前記非水溶媒が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びポリエチレングリコールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物皮膜形成用化成液。
- 前記化成液が、更に水を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の酸化物皮膜形成用化成液。
- 金属を主成分とする被処理材の表面に金属酸化物膜を有してなる積層体であって、前記金属酸化物膜が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載された酸化物皮膜形成用化成液を用いて、前記被処理材の表面に陽極酸化により形成された膜であることを特徴とする積層体。
- 金属を主成分とする被処理材の表面に金属酸化物膜を有してなる積層体の製造方法であって、請求項1乃至4のいずれか1項に記載された酸化物皮膜形成用化成液を用いて前記被処理材の表面を陽極酸化して金属酸化物膜を形成する工程を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
- 金属酸化物膜であって、請求項1乃至4のいずれか1項に記載された酸化物皮膜形成用化成液を用いて、金属を主成分とする被処理材の表面に陽極酸化により形成された膜であることを特徴とする金属酸化物膜。
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