JP3996442B2 - 電子銃 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、進行波管やクライストロン等で用いられる電子銃に関し、特に電子ビームを集束するためのウェネルト電極(focus electrodeとも呼ばれる)を備えたピアス型の電子銃に関する。
【0002】
【従来の技術】
進行波管やクライストロンは、電子銃から放出される電子ビームと高周波回路との相互作用によりマイクロ波の増幅や発振を行う電子管であり、例えば、図6に示すように、電子ビームを放出する電子銃21と、電子銃21から放出された電子ビームと高周波信号(マイクロ波)とを相互作用させる高周波回路22と、高周波回路22から出力された電子ビームを補足するコレクタ23と、電子銃から放出された電子ビームを高周波回路22内に導くアノード電極24とを有する構成である。
【0003】
電子銃21から放出された電子ビームは、アノード電極24により高周波回路22内に導入され、高周波回路22に入力された高周波信号と相互作用しながら内部を進行する。高周波回路22から出力された電子ビームはコレクタ23に入力され、コレクタ23が備えるコレクタ電極で捕捉される。このとき、高周波回路22からは電子ビームとの相互作用により増幅された高周波信号が出力される。
【0004】
このような進行波管やクライストロンで用いられる電子銃には多くの種類が知られているが、その一つとして電子ビームを集束するためのウェネルト電極を備えたピアス型電子銃がある。
【0005】
図7は従来のピアス型電子銃の構造を示す側断面図である。
【0006】
図7に示すように、従来のピアス型電子銃は、電子を放出する陰極11と、陰極11から放出された電子を集束するためのウェネルト電極15とを有する構成である。
【0007】
陰極11は、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)等の酸化物(エミッタ材)が含侵された円板状のポーラスタングステン(porous tungsten)基体で構成され、モリブデン(Mo)等から成る円筒状のヒータキャップ12に対して、その開口の一端を封止するように溶接またはろう付けによって取り付けられている。なお、陰極11は、溶接やろう付け温度に耐え、かつヒータキャップ12の円筒内側壁に対して直角に取り付けることが容易な厚さで形成される。ヒータキャップ12内には、陰極11から電子を放出させるための熱エネルギーを与える不図示のヒータが配置される。
【0008】
ウェネルト電極15は、モリブデン等の金属を切削することで中心に開口を有するドーナツ状に形成され、円筒状に形成されたウェネルト支持体14の一方の開口端に溶接またはろう付けによって取り付けられる。
【0009】
陰極11が取り付けられたヒータキャップ12は、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、モリブデン・レニウム合金(Mo−Re)、あるいは鉄・ニッケル・コバルト合金(コバール:Kv)等から成る金属支持体16により、例えばトライポッド構造(3本吊構造)でウェネルト支持体14内に支持され、陰極11の電子放出面とウェネルト電極15の表面とが略同一平面を形成する位置で固定される。なお、ウェネルト電極15は、図7に示すようにアノード電極19側の表面が電子ビーム18の最外殻とおよそ67.5度(ピアス角と称す)の角度を有する形状に加工される。
【0010】
陰極11が取り付けられたヒータキャップ12を内蔵するウェネルト支持体14は、不図示の電子銃筐体内に支持固定され、真空封止される。
【0011】
上述したピアス型電子銃では、陰極11と同電位が印加されるウェネルト電極15の集束作用により陰極11から放出された電子がビーム状に整形され、アノード電極19により高周波回路(図6参照)内に導入される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のピアス型電子銃では、陰極から放出された電子を所望のビーム径に集束するために、陰極とウェネルト電極との電極間隔、及び陰極とアノード電極との電極間隔、すなわちパービアンスを設計値に一致させる必要がある。特に間隔の狭い陰極とウェネルト電極間の寸法精度を満たすことが重要である。
【0013】
陰極とウェネルト電極間のパービアンスが大きいと、陰極から放出された電子がアノード電極へ衝突する問題や、電子ビームの径が高周波回路内で変動して高周波信号との相互作用にムラが生じる問題が発生するため、進行波管の消費電力の増大や増幅性能の低下等を引き起こす。
【0014】
図7に示した従来のピアス型電子銃の構造では、ウェネルト電極、ウェネルト支持体、及び金属支持体を切削により一体的に形成することが非常に困難であり、ウェネルト電極、ヒータキャップ、金属支持体、及びウェネルト支持体を別々に形成し、それらを溶接やろう付け等で接合していた。したがって、部品点数が多く、組み立てに要する時間が長くなるという問題があった。さらに、部品点数が多いと、各部品の寸法誤差、及び接合時の取り付け誤差や歪み等が増えるため、陰極とウェネルト電極のパービアンスを所定値以内に収めることが困難であった。
【0015】
本発明は上記したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、ヒータの消費電力の増大やパービアンスの増大を抑制しつつ、部品点数を減らして組み立てを容易にしたピアス型の電子銃を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の電子銃は、電子ビームを集束するためのウェネルト電極を備えた電子銃であって、
電子を放出する陰極と、
電子を放出させるための熱エネルギーを前記陰極に与えるヒータが内蔵されたヒータキャップと、
前記陰極の周縁を前記ヒータキャップに係止することで該陰極を前記ヒータキャップ上に設置固定するリテーナと、
前記電子ビームの最外殻に対する表面の平均角度がピアス角に一致する形状に成形されたウェネルト電極部、及び前記陰極の電子放出面と前記ウェネルト電極部に設けられた開口とが所定のパービアンスを満たす位置になるように前記ヒータキャップを支持固定するための3つ以上のヒータキャップ支持体部が一体に形成された円筒状のウェネルト支持体と、
を有する構成である。
【0017】
このとき、前記ヒータキャップ支持体部は、
前記ウェネルト支持体の円筒側面に一方の短辺を残してリボン状に切断することで形成されていてもよく、
前記一方の短辺は、
前記ウェネルト支持体の円周方向と平行な辺のうち、前記ウェネルト電極側に位置する辺であることが好ましい。
【0018】
また、前記リテーナは、
前記陰極の周縁を前記ヒータキャップに押圧するように、前記陰極と当接する端部が折り返し形状に成形されていてもよく、
前記陰極の周縁を前記ヒータキャップに押圧するように、前記陰極と当接する端部が円弧形状に成形されていてもよい。
【0019】
さらに、前記ウェネルト電極部は、
前記ウェネルト支持体の円筒側面から前記開口に向かって順に、第1の円弧部位、直線部位、及び第2の円弧部位の断面形状に成形されていてもよく、
前記ウェネルト支持体の側面から前記開口に向かって順に、第1の円弧部位、
第2の円弧部位、第1の直線部位、及び第2の直線部位の断面形状に成形されていてもよく、
前記ウェネルト支持体の側面から前記開口に向かって順に、第1の円弧部位、
第1の直線部位、第2の円弧部位、第2の直線部位、及び第3の直線部位の断面形状に成形されていてもよい。
【0020】
または、前記ウェネルト電極部は、
前記ウェネルト支持体の側面から前記開口に向かって断面が直線状に成形されていてもよく、
前記ウェネルト支持体の側面から前記開口に向かって断面が円弧状に成形されていてもよい。
【0021】
上記のように構成された電子銃では、ウェネルト支持体にウェネルト電極及びヒータキャップ支持体を一体に形成することで、部品点数が低減するため、各部品の寸法誤差及び接合時の取り付け誤差や歪み等が低減する。さらに、ウェネルト電極及びヒータキャップ支持体を含むウェネルト支持体をプレス加工で形成できる。
【0022】
また、陰極と当接するリテーナの端部を折り返し形状または円弧形状にすることで、ヒータからの熱で陰極が膨張することによるリテーナの変形、及び陰極とヒータキャップの位置ずれが防止される。
【0023】
また、ヒータキャップ支持体部をウェネルト電極部側の短辺を残してリボン状に切断して形成することで、ウェネルト支持体の側面に形成されるリボン状の開口から漏れるヒータキャップの輻射熱が抑制される。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に本発明について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本発明の電子銃の一構成例を示す斜視図であり、図2は図1に示した陰極の取り付け構造を示す要部断面図である。図3は図1に示したウェネルト電極部の形状例を示す側面図であり、図4は図1に示したウェネルト電極部と、電子ビーム及びアノード電極の関係を示す模式図である。また、図5は図1に示したヒータキャップ支持体部の他の構成例を示す側面図である。なお、図1、図3(a)〜(e)、及び図5では、ヒータキャップがウェネルト支持体内で支持されることを示すために、ウェネルト支持体及びウェネルト電極部の一部を切り欠いた様子を示している。実際のウェネルト支持体及びウェネルト電極部は、ヒータキャップ支持体を除いて図1、図3(a)〜(e)、図5に示すような切り欠きを有するものではない。
【0026】
図1に示すように、本発明の電子銃は、電子を放出する陰極1と、電子を放出させるための熱エネルギーを陰極に与えるヒータ7(図2参照)を内蔵したヒータキャップ2と、陰極周縁をヒータキャップ2に係止することでヒータキャップ2上に陰極1を設置固定するリテーナ3と、ヒータキャップ2を支持するウェネルト支持体4とを有する構成である。
【0027】
ウェネルト支持体4は、真空下で熱処理されたタンタル、モリブデン、あるいはモリブデン−レニウムの合金(Mo−Re)等から成る薄い金属板を図1に示すように円筒状に加工したものであり、その一方の開口端を塞ぐように円筒内部へ向かって側面を屈曲させることでウェネルト電極部5が形成された構成である。ウェネルト電極部5の中心には、陰極1の電子放出面を露出するために円状の開口が設けられている。また、ウェネルト支持体4の側面には、一方の短辺を残してリボン状に切断された3つ以上のヒータキャップ支持体部6が形成される。
【0028】
ヒータキャップ2は、一端が封止された円筒形状であり、封止面がヒータキャップ2の円筒側壁に対して直角であり、かつ平坦に形成されている。
【0029】
陰極1が取り付けられたヒータキャップ2は、ヒータキャップ支持体部6の他方の短辺を含む端部をそれぞれ溶接またはろう付けで接合することによりウェネルト支持体4内に吊構造で支持され、陰極1の電子放出面とウェネルト電極部5に設けられた開口とが所定のパービアンスを満たす位置で固定される。
【0030】
図2に示すように、陰極1は、従来と同様に、バリウム、カルシウム、あるいはアルミニウム等の酸化物から成るエミッタ材が含侵された円板状のポーラスタングステン基体から構成され、電子放出面が平坦または凹状の球面の一部で形成され、電子放出面と反対側の面が平坦に形成された形状である。また、陰極1の周縁には階段状の切り欠きが設けられ、該切り欠き部がヒータキャップ2の封止面上にリテーナ3を用いて押圧される。なお、陰極1の周縁に設けられた切り欠き部は、後述する折り返し形状あるいは円弧形状のリテーナ3の端部が陰極1の電子放出面よりも突出しない深さで形成される。
【0031】
リテーナ3は、モリブデン等を用いて円筒状に形成され、陰極1と当接する一方の端部が、図2(a)に示すような折り返し形状、あるいは図2(b)に示すような円弧形状に加工されている。また、陰極1と当接しない他方の端部は、陰極1の設置後に溶接またはろう付けでヒータキャップ2に接合される。陰極1は、図2(a)に示した折り返し形状の端部、あるいは図2(b)に示した円弧形状の端部でヒータキャップ2の封止面上に押圧されて固定される。
【0032】
このように、リテーナ3を用いてヒータキャップ2の封止面上に陰極1を固定することで、従来のように陰極1にろう付けや溶接のために高温が印加されることがなく、ヒータキャップ2内に陰極1を円筒側壁に対して直角に取り付ける必要がないため、陰極1を従来よりも薄く形成することが可能になる。したがって、陰極1の重量が低減するため、電子銃に加わる振動や衝撃に対する耐性が向上する。
【0033】
また、図2(a)、(b)に示すように、陰極1と当接するリテーナ3の端部を折りかえし形状あるいは円弧形状にすることで、ヒータ7からの熱で陰極1が膨張することによるリテーナ3の変形が抑制されるため、リテーナ3による陰極の固定力のゆるみが低減され、陰極1の位置ずれが防止される。
【0034】
ヒータキャップ2内には、従来と同様に陰極1から電子を放出させるための熱エネルギーを与えるヒータ7が配置される。
【0035】
ウェネルト電極部5は、例えば、図3(a)〜(e)で示すような断面形状に成形される。図3(a)は、ウェネルト電極部5を、ウェネルト支持体4の円筒側面から開口に向かって順に、第1の円弧部位5a、直線部位5b、及び第2の円弧部位5cの断面形状に成形する例であり、図3(b)は、第1の円弧部位5d、第2の円弧部位5e、第1の直線部位5f、及び第2の直線部位5gの断面形状に成形する例であり、図3(c)は、第1の円弧部位5h、第1の直線部位5i、第2の円弧部位5j、第2の直線部位5k、及び第3の直線部位5lの断面形状に成形する例である。また、図3(d)は、ウェネルト電極部5を、ウェネルト支持体4の円筒側面から開口に向かって、断面が直線部位5mに成形された例であり、図3(e)は断面が円弧部位5nに成形された例である。
【0036】
図3(a)〜(e)に示した形状は、全てプレス加工により形成することができるため、本発明では、図6に示した従来の電子銃のように、別々に形成したウェネルト電極部とウェネルト支持体を溶接やろう付け等で接合する必要が無く、加工時間や組み立てに要する時間が短縮され、電子銃のコストが低減される。
【0037】
さらに、図3(a)〜(c)に示した円弧部位と直線部位とを組み合わせた形状では、ウェネルト支持体4の側面近傍に配置した円弧部位及び直線部位により図3(d)で示した直線部位だけの形状、あるいは図3(e)で示した円弧部位だけの形状に比べて陰極1から遠い位置(アノード電極9側)における電子の集束度を上げることができるため、ウェネルト電極を小型に形成することができる。
【0038】
また、本発明では、図3(a)〜(e)で示したウェネルト電極部5のアノード側表面の平均角度を、電子ビームの最外殻に対して、いずれも略ピアス角(67.5度)となるように成形する。ここで、平均角度とは、電子の集束に寄与する部位の角度の平均値とする。例えば、図3(a)に示した形状では、第1の円弧部位5a、直線部位5b、及び第2の円弧部位5cの表面の角度の平均値であり、平均角度はウェネルト支持体4の円筒側面から開口に向かう第1の円弧部位5aの始点と第2の円弧部位5cの終点とを結ぶ直線の角度にほぼ一致する。
【0039】
また、図3(a)に示した形状では、第2の円弧部位5e、第1の直線部位5f、及び第2の直線部位5gの表面の角度の平均値であり、平均角度はウェネルト支持体4の円筒側面から開口に向かう第2の円弧部位5eの始点と第2の直線部位5gの終点とを結ぶ直線の角度にほぼ一致する。
【0040】
同様に、図3(c)に示した形状では第2の円弧部位5j、第2の直線部位5k、及び第3の直線部位5lの表面の角度の平均値であり、平均角度はウェネルト支持体4の円筒側面から開口に向かう第2の直線部位5kの始点と第3の直線部位5lの終点とを結ぶ直線の角度にほぼ一致する。
【0041】
また、図3(e)に示した形状では、平均角度は円弧部位5mの始点と終点とを結ぶ直線の角度にほぼ一致する。
【0042】
図4に、本発明のウェネルト電極部5と、電子ビーム8及びアノード電極9の関係の一例を示す。なお、図4はウェネルト電極部5として図3(a)に示した形状を採用した場合の様子を示している。
【0043】
ウェネルト電極部5と電子ビーム8の最外殻とのピアス角を維持する場合、電子の放出方向の軸(電子の放出軸)に対するウェネルト電極5の表面の平均角度はアノード電極9との関係によって変わってくる。すなわち、アノード電極9との距離及びアノード電極9の内径(電子ビームの集束径)に応じて電子の放出軸に対するウェネルト電極5の表面の平均角度が異なってくる。図3(a)〜(e)に示した例では、アノード電極9との距離やアノード電極9の内径が等しいことを前提とした図ではないため、電子の放出軸に対するウェネルト電極5の表面の平均角度がそれぞれ異なっている。
【0044】
本発明では、ウェネルト電極部5を、図3(a)〜(e)で示した円弧部位と直線部位とを組み合わせた形状、直線部位だけの形状、あるいは円弧部位だけの形状にすることで、プレス加工を用いて容易に形成できるようにすると共に電子の集束作用を実現する。
【0045】
本発明のように電子ビーム8の最外殻に対するウェネルト電極部5の表面の平均角度がほぼピアス角に一致していれば、陰極1から放出された電子が問題無く集束されることを発明者はシミュレーションにより確認している。
【0046】
なお、本発明のウェネルト電極部5の形状は、図3(a)〜(e)で示した形状に限定されるものではなく、上述したようにウェネルト電極部5の表面の平均角度が電子ビーム8に対してほぼピアス角に一致していればどのような形状であってもよい。
【0047】
また、図1及び図3(a)〜(e)では、ウェネルト支持体4の円周方向と平行な辺のうち、ウェネルト電極部5側の短辺を残してリボン状に切断されたヒータキャップ支持体部6でヒータキャップ2が支持される構造を示したが、図5に示すようにウェネルト電極部5側と対向する短辺を残してリボン状に切断されたヒータキャップ支持体部6aで支持される構造であってもよい。
【0048】
図5に示した構造では、ヒータキャップ支持体部6がヒータキャップ2の側面から離れた位置にあるため、ヒータキャップ2からの輻射熱を受け難く、図1及び図3(a)〜(e)で示した構造と比べてヒータキャップ支持体部6の温度上昇が抑制される。したがって、熱によるヒータキャップ支持体部6の曲げ強度の低下が抑制されるため、ヒータキャップ支持体部6を細くしても必要な支持強度を確保できる。
【0049】
しかしながら、図5に示す構造では、ウェネルト支持体4の側面に形成されたリボン状の開口から漏れるヒータキャップ2の輻射熱が図1及び図3(a)〜(e)に示した構造と比べて増えるため、ヒータキャップ2からの放熱量が増え、ヒータ7の消費電力が増大する問題がある。したがって、図1及び図3(a)〜(e)で示したように、ウェネルト電極部5側の短辺を残してリボン状に切断したヒータキャップ支持体部6でヒータキャップ2を支持する構造が好ましい。
【0050】
以上説明したように、本発明の電子銃の構成によれば、ウェネルト支持体4にウェネルト電極部5及びヒータキャップ支持体部6を一体に形成することで、従来の構成に比べて部品点数が低減するため、陰極1とウェネルト電極部5のパービアンスを所定値以内に収めることが容易になる。さらに、ウェネルト電極部5及びヒータキャップ支持体部6を含むウェネルト支持体4をプレス加工で容易に形成できるため、各部品の加工時間や組み立てに要する時間が短縮され、電子銃のコストが低減される。
【0051】
ところで、図1に示した本発明の電子銃は、ウェネルト電極部5及びヒータキャップ支持体部6がウェネルト支持体4と一体に形成され、ヒータ7によって加熱された陰極1の熱が近接したウェネルト電極部5へ輻射によって伝導するため、陰極1の熱が比較的逃げ易い構造である。しかしながら、本発明では、ウェネルト支持体4(ウェネルト電極部5)を薄い金属板(例えば、0.03mm程度)で形成するため、ウェネルト電極部5の熱伝導率が低く、図7に示した従来の構造よりも陰極1からの熱の逃げが抑制されてヒータ7の消費電力が低減する。
【0052】
一般に、動作中に高温に加熱された陰極からはエミッタ材が蒸発してウェネルト電極に付着する。したがって、陰極の熱がウェネルト電極へ伝わり易い構造では、陰極と同様に高温になったウェネルト電極からも電子が放出され、陰極から放出された電子と互いに反発し合うために電子ビームを所定の軌道に一致させることが困難になる。本発明では、ウェネルト電極部5が薄い金属板で形成されているため、動作中に陰極1が約1000〜1050℃の温度に到達してもウェネルト電極部5の温度を500℃以下に抑えることが可能であり、ウェネルト電極部5からの電子の放出が抑制される。
【0053】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成されているので、以下に記載する効果を奏する。
【0054】
ウェネルト支持体にウェネルト電極及びヒータキャップ支持体を一体に形成することで、部品点数が低減するため、各部品の寸法誤差及び接合時の取り付け誤差や歪み等が低減し、陰極とウェネルト電極のパービアンスを所定値以内に収めることが容易になる。さらに、ウェネルト電極及びヒータキャップ支持体を含むウェネルト支持体をプレス加工で形成できるため、各部品の加工時間や組み立てに要する時間が短縮され、電子銃のコストが低減される。
【0055】
また、陰極と当接するリテーナの端部を折り返し形状または円弧形状にすることで、ヒータからの熱で陰極が膨張することによるリテーナの変形が抑制されるため、リテーナによる陰極の固定力のゆるみが低減され、陰極の位置ずれが防止される。
【0056】
また、ヒータキャップ支持体部をウェネルト電極部側の短辺を残してリボン状に切断して形成することで、ウェネルト支持体の側面に形成されるリボン状の開口から漏れるヒータキャップの輻射熱が抑制されるため、ヒータの消費電力の増大が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子銃の一構成例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した陰極の取り付け構造を示す要部断面図である。
【図3】図1に示したウェネルト電極部の形状例を示す側面図である。
【図4】図1に示したウェネルト電極部と、電子ビーム及びアノード電極の関係を示す模式図である。
【図5】図1に示したヒータキャップ支持体部の他の構成例を示す側面図である。
【図6】進行波管の一構成例を示す側断面図である。
【図7】従来のピアス型電子銃の構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 陰極
2 ヒータキャップ
3 リテーナ
4 ウェネルト支持体
5 ウェネルト電極部
6、6a ヒータキャップ支持体
7 ヒータ
8 電子ビーム
9 アノード電極
Claims (10)
- 電子ビームを集束するためのウェネルト電極を備えた電子銃であって、
電子を放出する陰極と、
電子を放出させるための熱エネルギーを前記陰極に与えるヒータが内蔵されたヒータキャップと、
前記陰極の周縁を前記ヒータキャップに係止することで該陰極を前記ヒータキャップ上に設置固定するリテーナと、
前記電子ビームの最外殻に対する表面の平均角度がピアス角に一致する形状に成形されたウェネルト電極部、及び前記陰極の電子放出面と前記ウェネルト電極部に設けられた開口とが所定のパービアンスを満たす位置になるように前記ヒータキャップを支持固定するための3つ以上のヒータキャップ支持体部が一体に形成された円筒状のウェネルト支持体と、
を有する電子銃。 - 前記ヒータキャップ支持体部は、
前記ウェネルト支持体の円筒側面に一方の短辺を残してリボン状に切断することで形成された請求項1記載の電子銃。 - 前記一方の短辺は、
前記ウェネルト支持体の円周方向と平行な辺のうち、前記ウェネルト電極側に位置する辺である請求項2項記載の電子銃。 - 前記リテーナは、
前記陰極の周縁を前記ヒータキャップに押圧するように、前記陰極と当接する端部が折り返し形状に成形された請求項1乃至3のいずれか1項記載の電子銃。 - 前記リテーナは、
前記陰極の周縁を前記ヒータキャップに押圧するように、前記陰極と当接する端部が円弧形状に成形された請求項1乃至3のいずれか1項記載の電子銃。 - 前記ウェネルト電極部は、
前記ウェネルト支持体の円筒側面から前記開口に向かって順に、第1の円弧部位、直線部位、及び第2の円弧部位の断面形状に成形された請求項1乃至5のいずれか1項記載の電子銃。 - 前記ウェネルト電極部は、
前記ウェネルト支持体の側面から前記開口に向かって順に、第1の円弧部位、
第2の円弧部位、第1の直線部位、及び第2の直線部位の断面形状に成形された請求項1乃至5のいずれか1項記載の電子銃。 - 前記ウェネルト電極部は、
前記ウェネルト支持体の側面から前記開口に向かって順に、第1の円弧部位、
第1の直線部位、第2の円弧部位、第2の直線部位、及び第3の直線部位の断面形状に成形された請求項1乃至5のいずれか1項記載の電子銃。 - 前記ウェネルト電極部は、
前記ウェネルト支持体の側面から前記開口に向かって断面が直線状に成形された請求項1乃至5のいずれか1項記載の電子銃。 - 前記ウェネルト電極部は、
前記ウェネルト支持体の側面から前記開口に向かって断面が円弧状に成形された請求項1乃至5のいずれか1項記載の電子銃。
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