JP3995420B2 - セラミダーゼ遺伝子 - Google Patents
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Description
本発明は、セラミドの構造や機能等を解析するための脂質工学用試薬として有用な、セラミダーゼ活性を有するポリペプチド、それに特異的に結合する抗体、該ポリペプチドをコードする遺伝子、それに特異的にハイブリダイズするプローブおよびプライマーに関する。また、本発明は、前記ポリペプチドの遺伝子工学的な製造方法、並びに該ポリペプチド又は遺伝子の検出方法及びそのキットに関する。さらに、本発明は、セラミド量の異常に起因する疾患への応用が可能な、細胞内及び/又は組織内におけるセラミド量の調節方法に関する。
背景技術
セラミダーゼは、スフィンゴ脂質の一種であるセラミドをスフィンゴイドと脂肪酸に加水分解する酵素である。セラミドがセラミダーゼにより加水分解されて生成するスフィンゴイドは、プロテインキナーゼCの阻害、ホスフォリパーゼDの活性化、カルモジュリン依存性の酵素の阻害等の種々の生理活性を有する。このように、前記スフィンゴイドは、細胞の増殖や細胞内情報伝達に関与することにより、細胞機能の調節に働いていると考えられている重要な物質である。セラミダーゼは、前記スフィンゴイドの量の調節という重要な役割を担う酵素である。
セラミダーゼは、その至適pHにより酸性セラミダーゼ、中性・アルカリ性セラミダーゼに分類される。これまで酸性域に至適pHを有するセラミダーゼの存在は、ラット脳[バイオケミストリー(Biochemistry)、第8巻、第1692〜1698頁(1969)]、モルモット上皮細胞[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、第270巻、第12677〜12684頁(1995)]、ヒト腎臓[バイオキミカ・エ・バイオフィジカ・アクタ(Biochim.Biophys.Acta)、第398巻、第125〜131頁(1975)]、脾臓[バイオキミカ・エ・バイオフィジカ・アクタ、第1004巻、第245〜251頁(1989)]、繊維芽細胞[バイオケミカル・ジャーナル(Biochem.J.)、第205巻、第419〜425頁(1982)]、上皮[フェブス・レターズ(FEBS Lett.)、第268巻、第110〜112頁(1990)]等の哺乳動物組織、ヒト尿[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第270巻、第11098〜11102頁(1995)]等に報告されている。
また、シュードモナス属細菌がセラミダーゼを生産することが明らかにされており、該セラミダーゼは、アルカリ性域に至適pHを有するセラミダーゼである[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第273巻、第14368〜14373頁(1998)]。
これらのセラミダーゼのうち、ヒト尿より精製された酸性セラミダーゼのアミノ酸配列及び該セラミダーゼをコードする遺伝子の塩基配列が決定されている[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第271巻、第33110〜33115頁(1996)]。また、前記ヒト尿由来の酸性セラミダーゼ遺伝子との相同性を利用してマウスの酸性セラミダーゼ遺伝子が得られている[ジェノミックス(Genomics)、第50巻、第267〜274頁(1998)]。
しかしながら、報告されている哺乳類由来セラミダーゼ遺伝子は、いずれも酸性セラミダーゼをコードするものであり、哺乳類における中性・アルカリ性セラミダーゼのアミノ酸配列や遺伝子構造は全く知られておらず、高等生物における中性・アルカリ性セラミダーゼの生物学的機能も明らかにされていないのが現状である。
生体内におけるセラミドの機能の解明、その代謝の制御、セラミドに関連した疾病の診断、治療等の研究には、セラミドに関連する種々の酵素、並びに該酵素の遺伝子に関する詳細な情報を得る必要がある。しかしながら、上記のように哺乳類における中性・アルカリ性セラミダーゼのアミノ酸配列、その遺伝子に関する知見は得られていないのが現状である。したがって、セラミドに関連する上記のような技術を開発するためには中性・アルカリ性セラミダーゼ、特にその遺伝子に関する知見を得る必要がある。
上記のように、哺乳類のセラミダーゼ遺伝子のクローニングについて、いくつかの報告があるが、これらはいずれも酸性領域で活性を示すセラミダーゼであり、中性・アルカリ性で活性を示すセラミダーゼとの間には高いホモロジーを期待できない。このため、酸性セラミダーゼ遺伝子の塩基配列のホモローグとして中性・アルカリ性セラミダーゼ遺伝子を取得することは困難である。
発明の開示
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、哺乳類の中性・アルカリ性セラミダーゼ遺伝子を提供することにある。本発明の第2の目的は、前記遺伝子を含む発現ベクターを導入した形質転換体を用いる遺伝子工学的に高純度の中性・アルカリ性セラミダーゼを製造する方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、前記遺伝子がコードするポリペプチドを提供することにある。本発明の第4の目的は、本発明の遺伝子又はその一部に相補的なアンチセンスDNA及びアンチセンスRNAを提供することにある。本発明の第5の目的は、本発明の遺伝子に特異的にハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーを提供することにある。本発明の第6の目的は、該ポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片を提供することにある。本発明の第7の目的は、前記セラミダーゼ又はその遺伝子の検出方法及びそれに用いるキットを提供することにある。本発明の第8の目的は、細胞内または組織内におけるセラミド量の調節方法を提供することにある。
本発明者らは、哺乳類であるマウス肝臓から、中性・アルカリ性セラミダーゼを単離し、その遺伝子を単離することに成功した。また、ハイブリダイゼーションやポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)などの手法を用いることにより、ヒトを含む哺乳類の中性・アルカリ性セラミダーゼの構造を解明することに成功した。更に該遺伝子を用いて、遺伝子工学的手法により高純度な中性・アルカリ性セラミダーゼを簡便に製造することにも成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 (A)配列表の配列番号:14に記載のアミノ酸配列又はその一部を有してなるポリペプチドであって、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしてなる核酸;
(B) 配列表の配列番号:15に記載の塩基配列又はその一部を有する核酸であって、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしてなる核酸;
(C) 配列表の配列番号:14に記載のアミノ酸配列において、少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換を有するアミノ酸配列からなり、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしてなる核酸;
(D) 配列表の配列番号:15に記載の塩基配列において、少なくとも1つの塩基の欠失、付加、挿入又は置換を有する塩基配列からなり、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしてなる核酸;並びに
(E) 前記(A)〜(D)いずれか記載の核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズしうる核酸であって、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしてなる核酸、
(F) 縮重を介して、前記(A)〜(E)いずれか記載の核酸とは異なる塩基配列を有する核酸であって、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしてなる核酸、
からなる群より選択された核酸の塩基配列を有する遺伝子;
〔2〕 前記〔1〕記載の遺伝子を含有してなる組換えDNA;
〔3〕 前記〔1〕記載の遺伝子または前記〔2〕記載の組換えDNAを含有してなる、微生物、動物細胞又は植物細胞用発現ベクター;
〔4〕 前記〔3〕記載の発現ベクターを保持してなる形質転換体;
〔5〕 セラミダーゼ遺伝子が発現され、かつ該遺伝子にコードされたポリペプチドの生産に適する条件下に、前記〔4〕記載の形質転換体を培養し、得られた培養物からセラミダーゼ活性を有するポリペプチドを採取することを特徴とする、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドの製造方法;
〔6〕 配列表の配列番号:14に記載のアミノ酸配列又はその一部を有してなるポリペプチドであって、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチド;
〔7〕 前記〔1〕記載の遺伝子によりコードされてなる、セラミダーゼ活性を有するポリペプチド;
〔8〕 前記〔1〕記載の遺伝子又はその一部に相補的なアンチセンスDNA;
〔9〕 前記〔1〕記載の遺伝子又はその一部に相補的なアンチセンスRNA;
〔10〕 前記〔8〕記載のアンチセンスDNAを含有してなる発現ベクター;
〔11〕 前記〔1〕記載の遺伝子又はその相補鎖に特異的にハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマー;
〔12〕 前記〔6〕又は〔7〕記載のポリペプチドに特異的に結合しうる抗体又はその断片;
〔13〕 前記〔11〕記載のオリゴヌクレオチドプローブ及び/又はプライマーを使用する、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の検出方法;
〔14〕 前記〔11〕記載のオリゴヌクレオチドプローブ及び/又はプライマーを含有してなる、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の検出に用いるためのキット;
〔15〕 前記〔12〕記載の抗体又はその断片を使用する、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドの検出方法;
〔16〕 前記〔12〕記載の抗体又はその断片を含有してなるセラミダーゼ活性を有するポリペプチドの検出に用いるためのキット;並びに
〔17〕 前記〔1〕記載の遺伝子又はそのアンチセンス核酸を細胞及び/又は組織に導入し、それにより細胞内及び/又は組織内におけるセラミド量を調節することを特徴とする、細胞内及び/又は組織内におけるセラミド量の調節方法に関する。
発明を実施するための最良の形態
中性・アルカリ性セラミダーゼのコンセンサス配列などの情報が明らかではなかったため、本発明者らは、前記中性・アルカリ性セラミダーゼを単離してアミノ酸情報を得、それにより初めて前記セラミダーゼをコードする遺伝子を単離することができた。
これにより、本発明のマウス肝臓由来中性・アルカリ性セラミダーゼのアミノ酸配列は、シュードモナス属細菌〔シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)〕由来の既知のアルカリ性セラミダーゼ[前出ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第273巻、第14368〜14373頁(1998)]のアミノ酸配列との相同性が低いという驚くべき知見をも得ることができた。
本発明のセラミダーゼは、哺乳類由来の中性・アルカリ性セラミダーゼとして初めて明らかにされたものである。従って、本発明は、公知のシュードモナス属細菌由来の既知のアルカリ性セラミダーゼに比べて、生体内におけるセラミドの機能の解明、その代謝の制御、セラミドに関連した疾病の診断、治療等の開発により一層有用である。
以下、本発明を説明する。
(1)セラミダーゼ活性を有するポリペプチド
本明細書において、「セラミダーゼ活性を有するポリペプチド」(本明細書においては、単にセラミダーゼと記載する場合がある)とは、前記のようにセラミドをスフィンゴイドと脂肪酸とに加水分解する活性を有する酵素をいう。また、「中性・アルカリ性セラミダーゼ」とは、酸性領域よりも高いpHに至適pHを有するセラミダーゼをいう。
その一例として、本発明において単離精製されたマウス肝臓由来の中性・アルカリ性セラミダーゼの酵素化学的、理化学的性質を記載する。
1.作用
本発明のセラミダーゼは、セラミドを加水分解しスフィンゴイドと脂肪酸とを生成する。
なお、当該セラミダーゼの活性は、例えば、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第275巻、第3462〜3468頁(2000)に記載の方法に従って測定することができる。すなわち、20μlの25mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)中に550pmolの、C12−NBD−セラミド[アナリティカル・バイオケミストリー(Anal.Biochem.)、第263巻、第183〜188頁(1998)]、1.0%(W/V) コール酸ナトリウム及び適当量の酵素(セラミダーゼ)を溶解した反応混合液を37℃にて30分間インキュベートする。反応液を沸騰水浴で5分インキュベートすることにより反応を停止する。得られた反応液を更に減圧乾固する。乾固物をクロロホルム/メタノール=2/1(V/V)に溶解し、シリカゲル薄層クロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム/メタノール/25%アンモニア水=90/20/0.5(V/V/V))で展開する。その後、CS−9300クロマトスキャナー(島津製作所製)を用い励起波長475nm、蛍光波長525nmで、上記の反応により生成したC12−NBD−脂肪酸の定量を行なう。本酵素(セラミダーゼ)の1ユニット(U)は、上記の条件下で1分間あたり1μモルのC12−NBD−脂肪酸がC12−NBD−セラミドから加水分解されて放出されるのに要する酵素量と定義する。
2.基質特異性
脂肪酸部分を14C放射性同位体で標識した各種スフィンゴ脂質100pmolに対し、本発明のセラミダーゼ5mUを1%コール酸ナトリウムを含む25mMトリス−塩酸、pH7.5緩衝液20ml中で37℃、24時間作用させる。反応液はシリカゲル薄層クロマトグラフィにより展開後、イメージングアナライザーBAS1000(富士フィルム社製)により14C−標識スフィンゴ脂質と、酵素反応によって生じた14C−標識脂肪酸とを検出定量し、得られた値から分解率を算出する。本発明のセラミダーゼの基質特異性を表1に示す。
本発明のセラミダーゼは、表1に示すように、▲1▼種々のN−アシルスフィンゴシンを加水分解する;▲2▼ガラクトシルセラミド、スルファチド、GM1a、スフィンゴミエリンには作用しない;▲3▼スフィンゲニン(d18:1)を含むセラミドに対して、スフィンガニン(d18:0)を含むセラミドより、よく作用する;▲4▼フィトスフィンゴシン(t18:0)を含むセラミドには作用しにくい等の基質特異性を示す。
3.至適pH
3,3−ジメチルグルタル酸、50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、50mM 2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール)20ml中、100pmolのC12−NBD−セラミドに対し本発明のセラミダーゼ16mUを37℃、24時間作用させる。反応液は、シリカゲル薄層クロマトグラフィにより展開する。ついで、CS−9300クロマトスキャナーを用い、検出波長525nmでNBD−標識セラミドと、酵素反応で生じたNBD−標識脂肪酸とを検出定量し、得られた値から分解率を算出する。第1図は、C12−NBD−標識セラミド分解活性とpHの関係を示す図であり、縦軸は分解率(%)、横軸は反応pHを示す。第1図の結果に示すように、本セラミダーゼの至適pHは、7.0〜8.0である。
4.温度安定性
本発明のセラミダーゼは、0.1% ポリドカノール(polidocanol)〔商品名:ルブロール(Lubrol)PX〕を含む20mMトリス−塩酸(pH7.5)緩衝液中、37℃、24時間処理した場合には活性の低下は見られないが、60℃、1時間の処理により処理前の活性の約30%に活性が低下する。
5.分子量
本発明のセラミダーゼの分子量は、SDS−PAGE(還元条件下)により約94kDaである。またグリコペプチダーゼFにより消化された本酵素は、SDS−PAGE(還元条件下)により約73kDaである。
なお、本明細書において、「セラミダーゼ活性を有するポリペプチド」の一例としては、配列表の配列番号:14に示されたアミノ酸配列を有する、マウス由来の天然型セラミダーゼのポリペプチドが挙げられる。さらに、該アミノ酸配列を有するポリペプチドのみならず、上記のような方法での活性測定により同様のセラミダーゼ活性が認められるものであれば、配列表の配列番号:14に示されるアミノ酸配列中に1個以上のアミノ酸の置換、欠失、付加、挿入等の変異が導入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドも「セラミダーゼ活性を有するポリペプチド」に包含される。また前記変異は、得られたポリペプチドがセラミダーゼ活性を呈しうる変異であれば、2種以上の変異が導入されていてもよい。なお、本明細書において、「変異が導入されたアミノ酸配列」は、人為的に変異を導入したアミノ酸配列及び天然由来の変異を有するアミノ酸配列のいずれをも包含する。
かかる変異を有するセラミダーゼは、具体的には、例えば、後述のセラミダーゼ遺伝子の塩基配列(配列番号:15)において、変異を有する変異遺伝子について、下記ステップ:
(a)前記遺伝子の発現産物を、反応混合液〔組成:20μlの25mMトリス塩酸緩衝液(pH6〜9、好ましくは6.5〜8.5、より好ましくは7〜8、特に好ましくは7.5)中、550pmolのC12−NBD−セラミド、及び1.0%(W/V) コール酸ナトリウム〕中、37℃で30分間インキュベートして反応させるステップ、並びに
(b)得られた反応物について、C12−NBD−脂肪酸の生成を検出するステップ、
により、セラミダーゼ活性を示すポリペプチドを選択することにより得ることができる。
(2)セラミダーゼ遺伝子
本発明においてセラミダーゼ遺伝子とは、上記の「セラミダーゼ活性を有するポリペプチド」をコードする核酸の塩基配列を有する遺伝子、又は該遺伝子の塩基配列を含む核酸である。その一例としては、配列表の配列番号:14に記載のアミノ酸配列又はその一部からなるポリペプチドをコードする核酸の塩基配列を有する遺伝子、配列表の配列番号:15に記載の塩基配列又はその一部からなる核酸の塩基配列を有する遺伝子が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。このように、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の一部からなるポリペプチドをコードする核酸の塩基配列を有する遺伝子又は配列番号:15に記載の塩基配列の一部からなる核酸の塩基配列を有する遺伝子であっても、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするものであれば、本発明の範囲に包含される。これらの遺伝子は、マウス肝臓由来中性・アルカリ性セラミダーゼの遺伝子であるが、本発明のセラミダーゼ遺伝子の起源は、前記(1)に記載のステップ(a)及び(b)と同様にして遺伝子産物のセラミダーゼ活性を検出されうるものであれば特に限定されない。かかる起源としては、例えば、マウス、ラット、ヒト、ハムスター、モルモット等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(アミノ酸配列の)一部からなるポリペプチド」とは、前記(1)に記載のステップ(a)及び(b)によりセラミダーゼ活性を検出できるものを意味する。
さらに、同様のセラミダーゼ活性を呈しうる、変異を有するセラミダーゼをコードする遺伝子も本発明に包含される。例えば、配列表の配列番号:15に記載のアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換等の変異が導入されたアミノ酸配列をコードする核酸の塩基配列を有する遺伝子であっても、該遺伝子にコードされるポリペプチドがセラミダーゼ活性を有するものであれば、本発明の遺伝子に含まれる。このように変異を有する天然由来の遺伝子のみならず人為的に作製された遺伝子であっても、中性・アルカリ性セラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸の塩基配列を有する遺伝子であれば本発明の範囲に包含される。
上記のような、人為的に変異の導入された遺伝子の作製方法としては、例えば以下のような方法が使用される。
ランダムな変異を導入する方法としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウムを用いた化学的な処理によりシトシン塩基をウラシル塩基に置換するトランジション変異を起こさせる方法[プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・USA、第79巻、第1408〜1412頁(1982)]、マンガンを含む反応液中でPCRを行い、DNA合成時のヌクレオチドの取り込みの正確さを低くする方法[アナリティカル・バイオケミストリー(Anal.Biochem.)、第224、第347〜353頁(1995)]等を用いることができる。
部位特異的変異を導入する方法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法[ギャップド・デュプレックス(gapped duplex)法、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)、第12巻、第9441〜9456頁(1984)]、dut(dUTPase)とung(ウラシル−DNAグリコシラーゼ)遺伝子を欠損した宿主を利用する方法[クンケル(Kunkel)法、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・USA、第82巻、第488〜492頁(1985)]、アンバー変異を利用したPCRによる方法(国際公開第98/02535号パンフレット)等を用いることができる。これらの方法で目的の遺伝子に部位特異的な変異を導入するための各種のキットが市販されており、該キットを利用することにより、所望の変異を導入された遺伝子を容易に取得することが可能である。
また、前記核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸であって、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸の塩基配列を有する遺伝子も本発明の遺伝子に含まれる。セラミダーゼ活性は、例えば、前記(1)に記載のステップ(a)及び(b)により検出することができる。
ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば以下の条件をいう。すなわち、0.5%SDS、5×デンハルツ[Denhardt’s、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400]及び100μg/mlサケ精子DNAを含む6×SSC(1×SSCは0.15M NaCl.0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)中で、50℃で4時間〜一晩保温を行う条件をいう。
また、ハイブリダイゼーション操作の詳細は、例えば、1989年、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、T.マニアティス(T.Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル 第2版(Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd ed.)に記載されている。
なお、縮重遺伝子コードを介して、前記核酸とは異なる塩基配列を有する遺伝子も本発明のセラミダーゼ遺伝子に含まれる。
なお、本発明の遺伝子によりコードされたポリペプチドは、前記(1)に記載のステップ(a)及び(b)により、セラミダーゼ活性が検出されるものであれば、本発明に含まれる。
本発明の遺伝子によれば、さらに種々の使用目的に適した組換えDNAが提供される。ここで、「組換えDNA」とは、遺伝子工学的手法により得られた、本発明の遺伝子を含有したDNAである。
本発明のセラミダーゼ遺伝子を含有した組換えDNAを公知のベクター等に連結し、セラミダーゼ遺伝子が発現可能な状態で挿入された発現ベクターを作製することができる。かかる発現ベクターも本発明に含まれる。
本発明において、発現ベクターとは、前記遺伝子または組換えDNAが挿入され、かつ所望の宿主細胞で発現するように構築されたベクターである。また、後述のアンチセンスDNAを挿入したベクターも本発明の発現ベクターに含まれる。挿入されるベクターとしては、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター等が挙げられる。プラスミドベクターとしてはpUC18、pUC19、pBluescript、pETなどの市販品が好適に使用でき、ファージベクターとしては、λgt10、λgt11等のラムダファージベクターなどの市販品が好適に使用できるが、これらに限定されるものではない。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター等が使用できるが、これらに限定されるものではない。これらのベクターは、用いる宿主細胞に応じて、適宜選ばれる。かかるベクターには、誘導可能なプロモーター、選択用マーカー遺伝子、ターミネーターなどの因子を適宜有していてもよい。
また、使用目的によっては、単離精製が容易になるように、Hisタグ、GST融合タンパク質として発現しうる配列を有するベクターを用いてもよい。この場合、宿主細胞内で機能する適切なプロモーター(例えば、lac、tac、trc、trp、CMV、SV40初期プロモーターなど)を有するGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)融合タンパク質ベクター(例えば、pGEX4T)やタグ(例えば、Myc、HisAなど)配列を有するベクターなどを用いることができる。
(3)セラミダーゼ遺伝子を含有した形質転換体
本発明のセラミダーゼ遺伝子が挿入された発現ベクターで宿主の形質転換を行うことにより、本発明の形質転換体、すなわち本発明のセラミダーゼ遺伝子を発現する細胞を得ることができる。使用する宿主は、所望のセラミダーゼの使用目的により適宜選択することができ、大腸菌をはじめとする微生物、酵母の他、動物細胞、植物細胞、動物個体、植物個体等を用いることができる。具体的には、大腸菌としては、Escherichia coli K−12系統のHB101株、C600株、JM109株、DH5 α株、DH10B株、XL−1BlueMRF’株、TOP10F株などが挙げられる。また、酵母細胞としては、サッカロミセス・セルビジエなどが挙げられる。動物細胞としては、L、3T3、FM3A、CHO、COS、Vero、Helaなどが挙げられる。植物細胞としては、タバコBY2などが挙げられる。
発現ベクターを宿主に導入する方法としては、例えば、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル 第2版、第249−254頁に記載の方法を用いることができる。次に、目的の遺伝子を発現する形質転換体を選択するためには、発現ベクターの特性を利用する。例えばプラスミドベクターがpBluescriptで、大腸菌を宿主細胞とする場合、アンピシリンを含むプレート上でアンピシリン耐性を有するコロニーを、あるいはアンピシリン、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−Gal)及びイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を含むプレート上で、アンピシリン耐性を示し、かつ、白色を呈するコロニーを選択することにより外来遺伝子を導入されたコロニーを選別する。
本発明の形質転換体の培養を通常用いられる条件下で行なうことによって、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドを生産させることができる。なお、本発明の遺伝子を発現させる宿主により、コドン使用頻度が異なり、発現が抑制される場合があるが、この場合、本発明の遺伝子に使用されるコドンを、それぞれの宿主に合わせたコドンにかえて用いてもよい。また、前記発現ベクターは、プラスミド由来のベクターのみに限定されるものではなく、本発明の目的を妨げないものであれば、ファージ、コスミド等由来のベクターを用いてもよい。本発明のポリペプチドを容易にかつ大量に製造する観点から、外来遺伝子を誘導発現させることが可能なベクター、レポーター遺伝子産物との融合蛋白質として発現させることが可能なベクター等が望ましい。
セラミダーゼの発現の確認は、セラミダーゼ活性を測定することにより行なうことができる。活性測定は、例えば、形質転換体の細胞抽出液を試料としてジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第275巻、第3462〜3468頁(2000)に記載の方法、例えば、前記(1)に記載のステップ(a)及び(b)と同様の操作により行なうことができる。また、細胞内のセラミド量の測定によっても、セラミダーゼの発現の確認を行なうことができる。上記セラミド量の測定は、例えば、アナリティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemistry)、第244巻、第291〜300頁(1997)に記載の方法で行うことができる。また、セラミダーゼに対する抗体を使用することもできるが、セラミダーゼを他のポリペプチド(本発明のセラミダーゼを除くポリペプチド)との融合体として発現させる場合には、そのポリペプチド(本発明のセラミダーゼを除くポリペプチド)部分に対する抗体を用いてもよい。抗体を使用する場合には、例えば形質転換体の細胞抽出液をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動した後、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)膜上に転写し、この膜上で抗体を用いて検出することができる。
(4)セラミダーゼ活性を有するポリペプチドの製造方法
本発明は、本発明の遺伝子が発現され、かつ該遺伝子にコードされたポリペプチドの生産に適する条件下に、上記の形質転換体を培養し、得られた培養物からセラミダーゼ活性を有するポリペプチドを採取する、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドを製造方法をも提供する。形質転換体の培養方法には、特に限定はなく、使用された宿主に適した公知の培養方法から適当なものを選択すればよい。
本発明の製造方法において、上記の形質転換体が微生物あるいは培養細胞である場合には、培地組成、培地のpH、培養温度、培養時間の他、インデューサーの使用量、使用時間等についてセラミダーゼの発現に最適な条件を決定することによって、効率よくセラミダーゼを生産させることができる。
形質転換体の培養物からセラミダーゼを精製するには通常の方法が用いられる。形質転換体が大腸菌のように細胞内にセラミダーゼが蓄積する場合には、培養終了後、遠心分離によって形質転換体細胞を集め、得られた細胞を超音波処理などによって破砕した後、遠心分離等によって無細胞抽出液を得る。これを出発材料とし、塩析法の他、イオン交換、ゲル濾過、疎水、アフィニティーなどの各種クロマトグラフィー等の一般的なタンパク質精製法により精製することができる。用いる宿主−ベクター系によっては発現産物が細胞外に分泌される場合があるが、このような場合は培養上清から同様に精製を行なえばよい。
本発明の製造方法によれば、該セラミダーゼが細胞内に生産される場合、目的のセラミダーゼと細胞内の諸酵素、タンパク質などの夾雑物とが共存するが、これらの夾雑物は、発現されるセラミダーゼの量に比べて微量にすぎないため、その精製は極めて容易であるという優れた利点がある。また、ベクターとして細胞外分泌型のベクターを用いた場合、セラミダーゼが細胞外に分泌され、セラミダーゼを含む画分には、培地成分などが共存する。しかしながら、これらは通常セラミダーゼの精製の妨げとなるようなタンパク質成分をほとんど含まないため、例えば、マウス肝臓からのセラミダーゼの精製に必要であった煩雑な分離精製操作を必要としないという優れた利点がある。
また、真核生物由来のセラミダーゼの場合、酵素自身に糖鎖を有している可能性があり、宿主細胞として糖鎖生合成能力を持たない細胞、例えば、大腸菌、枯草菌、放線菌のような原核生物、あるいは酵母、真菌、動物細胞、昆虫細胞及び植物細胞の糖鎖生合成能力を失った変異細胞を用いることによって、糖鎖を持たないセラミダーゼ活性を有するポリペプチドを製造することができる。更に、糖鎖を有する酵素を生産することも可能であり、この場合は、宿主細胞として、糖鎖生合成能力を有する細胞、例えば、酵母、真菌、動物細胞、昆虫細胞及び植物細胞を用いることによって、糖鎖を持つセラミダーゼ活性を有するポリペプチドを製造することができる。
また、用いる宿主−ベクター系によっては、発現産物が不溶性の封入体(inclusion body)として形成されることがある。この場合、培養終了後に遠心分離によって細胞を集め、これを超音波処理などによって破砕した後、遠心分離等を行なうことにより封入体を含む不溶性画分を集める。封入体を洗浄した後、通常用いられるタンパク質可溶化剤、例えば尿素やグアニジン塩酸塩等で可溶化し、必要に応じてこれをイオン交換、ゲル濾過、疎水、アフィニティーなどの各種クロマトグラフィーを行なうことにより精製した後、透析法あるいは希釈法などを用いたりフォールディング操作を行なうことによってセラミダーゼ活性を保持したポリペプチドを含む標品を得ることができる。必要に応じてこの標品を更に各種クロマトグラフィーによって精製すれば、高純度のセラミダーゼ活性を有するポリペプチドを得ることができる。
(5)ハイブリダイゼーション用プローブ及びPCR用プライマー
本発明のオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーは、本発明の遺伝子、又はその相補鎖に特異的にハイブリダイズしうる。かかるオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーは、本発明のセラミダーゼ遺伝子の塩基配列をもとに設計し、例えば、常法により化学的に合成することにより作製されうる。該オリゴヌクレオチドプローブの塩基配列には特に限定はないが、前記セラミダーゼ遺伝子、又は該遺伝子に相補的な塩基配列を有する核酸にストリンジェントな条件下にハイブリダイズするものであればよい。上記「ストリンジェントな条件」とは、特に限定されないが、例えば、6×SSC、0.5%SDS、5×デンハルト、100mg/mlニシン精子DNAを含む溶液中、〔前記プローブのTm−25℃〕の温度で一晩保温する条件等をいう。また、上記のプライマーの塩基配列にも特に限定はなく、通常のPCRの反応条件において前記セラミダーゼ遺伝子、又は該遺伝子に相補的な塩基配列を有する遺伝子にアニーリングし、DNAポリメラーゼによる伸長反応を開始できるものであればよい。
オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーのTmは、例えば、下記式:
Tm=81.5−16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)−(600/N)
(式中、Nはオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーの鎖長であり、%G+Cはオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマー中のグアニン及びシトシン残基の含有量である)
により求められる。
また、オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーの鎖長が18塩基より短い場合、Tmは、例えば、A+T(アデニン+チミン)残基の含有量と2℃との積と、G+C残基の含有量と4℃との積との和〔(A+T)×2+(G+C)×4〕により推定することができる。
上記のオリゴヌクレオチドプローブの鎖長としては、特に限定はないが、非特異的なハイブリダイゼーションを防止する観点から、15塩基以上であることが好ましく、18塩基以上であることがさらに好ましい。
また、本発明のプライマーにおいても、前記オリゴヌクレオチドプローブと同様の塩基配列を有する核酸が挙げられる。例えば、本発明の遺伝子の塩基配列をもとに設計し、化学的に合成すること等により作製することができる。プライマーの鎖長には、特に限定はないが、例えば、15〜40塩基の鎖長のものを使用することができ、特に17〜30塩基の鎖長のものを好適に使用することができる。前記プライマーはPCR法をはじめとする種々の遺伝子増幅法に使用することが可能であり、これによって、本発明のセラミダーゼ遺伝子の検出を行うことができる。
また、前記オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーとして、天然由来のセラミダーゼをコードする核酸を、制限酵素処理、エキソ型ヌクレアーゼ処理等の酵素的処理、超音波等の物理的処理等により断片化し、得られた断片を、アガロースゲル等に代表される各種核酸分離法により分離精製することにより得られた核酸を用いてもよい。前記のようにして得られた核酸は、セラミダーゼに特徴的な配列を有する領域由来であることが望ましい。
さらに、前記オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーは、検出対象の核酸をより容易に検出をおこなうために、公知の方法にしたがって適当な標識を施し、本発明のセラミダーゼ遺伝子の検出に使用することができる。標識には、特に限定するものではないが、放射性同位元素の他、蛍光物質、ビオチンやジゴキシゲニンのようなリガンドなどに代表される各種の標識をおこなってもよい。
本発明のハイブリダイゼーション用のプローブを用いて、マウス肝臓以外の臓器あるいはマウス以外の生物体由来のゲノムDNAもしくはcDNA、又はゲノムDNAライブラリーもしくはcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、本発明のセラミダーゼ遺伝子と相同性の高いDNAをクローニングすることができる。
また、本発明のプライマーを用いて、マウス肝臓以外の臓器あるいはマウス以外の生物体由来のゲノムDNAもしくはcDNA、又はゲノムDNAライブラリーもしくはcDNAライブラリーから、PCR法により本発明のセラミダーゼ遺伝子と相同性の高いDNA断片を検出したり、さらにはその全長の遺伝子を得ることもできる。
(6)遺伝子の検出方法
本発明の遺伝子の検出方法は、前記オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はプライマーを使用し検出用試料中の遺伝子を検出することを1つの大きな特徴とする。
本発明の検出方法においては、前記オリゴヌクレオチドプローブを用いてハイブリダイゼーション法などにより遺伝子の検出を行なってもよく、また、前記プライマーを用いて、PCR法などのDNA増幅方法により遺伝子の検出を行なってもよい。
オリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションの場合、検出用試料としては、例えば、微生物のコロニーや培養細胞、組織切片のような試料、これらの試料中のDNAやRNAを膜上に固定したもの、これらの試料から抽出されたDNAやRNAなどが挙げられる。
ハイブリダイゼーションは、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル 第2版等に記載の公知の方法にしたがって行なうことができる。当該ハイブリダイゼーションの条件は、用いるプローブのTm値、標的DNAのGC含量などにより適宜決定することができる。例えば、前記モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル 第2版に記載の条件などを適用できる。
プライマーを用いて遺伝子の検出を行う場合、検出用試料としては、例えば、微生物培養液、微生物コロニー、微生物菌体のような微生物試料、培養細胞、組織、組織切片のような生体由来試料などが挙げられる。これらの試料は、例えば、単離した微生物や培養細胞をそのままの状態で用いてもよく、適切な処置を施した状態で用いてもよい。また組織のような固体試料は浸出液や懸濁液を調製して使用することができる。また、これらの試料の上清又はこれらの試料について界面活性剤処理のような細胞溶解処理が施された試料やその上清も使用することができる。さらに、検出対象である核酸を損なわない範囲で試料中の他の成分を除去する操作が施されていてもよい。
前記プライマーを用いてPCR法により検出を行なう場合、PCR条件は、用いるプライマーのTm値、増幅し検出する対象の領域の長さなどにより、適宜選択することができる。PCR法では、増幅産物の有無を確認することにより目的の遺伝子を検出することができる。増幅の有無の確認法には特に限定はないが、例えば核酸増幅反応液をアガロースゲル電気泳動に供した後、ゲルを適当な核酸染色試薬、例えばエチジウムブロマイド、サイバー・グリーンI(SYBER Green I)等で染色し、紫外線を照射して生じるバンドの有無を検出することにより確認できる。バンドの検出は肉眼で観察してもよいが、例えば蛍光イメージアナライザー等を用いて検出することもできる。
本発明の遺伝子の検出方法においては、検出感度を上昇させるために、前記プローブ及びプライマーを併用してもよい。例えば、前記プライマーを用いて、PCR法により、試料中に微量に存在するセラミダーゼ遺伝子を増幅し、ついで、プローブを用いて該遺伝子とハイブリダイズさせることによって、高感度かつ正確に検出することができる。
本発明の検出方法によりセラミダーゼ遺伝子の検出を行ない、さらに該遺伝子の量を決定する場合には、ハイブリダイズしたプローブに由来するシグナルの強度、プライマーを用いて増幅された産物に由来するバンドの蛍光強度などを定量することにより行なうことができる。mRNAを測定対象としてその定量を行うことにより、目的遺伝子の発現量を調べることができる。
また、本発明の検出方法には、本発明の遺伝子の検出に用いるためのキットを使用することにより、より簡便に検出を行なうことができる。かかるキットも本発明に含まれる。前記キットは、上記のオリゴヌクレオチドプローブ及び/又は上記のプライマーを含有してなることを1つの特徴とする。前記キットは、検出操作に使用される種々のコンポーネントを含んでもよく、例えば、オリゴヌクレオチドプローブを含むキットの場合には核酸を固定するための膜やハイブリダイゼーション緩衝液などに代表されるハイブリダイゼーション用の各種試薬、また、プライマーを含むキットの場合には耐熱性DNAポリメラーゼ、dNTP混合液、PCR用緩衝液などに代表されるPCR用試薬を含んでいてもよい。さらに、プローブや増幅されたDNAを検出するための試薬や微生物増殖用の培地、細胞培養用の培地、試料より核酸を抽出するための試薬などを含有してもよい。
(7)セラミダーゼ活性を有するポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片
本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片は、該ポリペプチドに特異的に結合する能力を有するものであれば、特に限定はなく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のどちらでもよい。さらに、公知技術により修飾された抗体や抗体の誘導体、例えばヒト化抗体、Fabフラグメント、単鎖抗体等を使用することもできる。本発明の抗体は、例えば、1992年、ジョン・ワイリー&サンズ社(John Wiely & Sons,Inc)発行、ジョン・E・コリガン(John E.Coligan)編集、カレント・プロトコルズ・イン・イムノロジー(Current Protocols in Immunology)に記載の方法により、本発明のポリペプチドの全部又は一部を用いてウサギやラット、マウス等を免疫することにより、容易に作製され得る。こうして得られた抗体を精製後、ペプチダーゼ等により処理することにより、抗体の断片が得られる。また、遺伝子工学的に抗体を作製することもできる。さらに、本発明の抗体又はその断片は、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、発光免疫測定法などによる検出を容易にするために、各種修飾をしてもよい。
上記の抗体又はその断片には、ポリペプチドのある部分断片に特異的に結合しうるものも含まれる。
得られた抗体又はその断片の用途としては、セラミダーゼ生産菌の検出、セラミダーゼ発現細胞株の検出、培養細胞や組織中のセラミダーゼタンパク質の検出、アフィニティークロマトグラフィー、各種ライブラリー(ゲノムDNA又はcDNA)の発現産物のスクリーニング、医薬、診断薬、研究用試薬等への応用が考えられる。
(8)ポリペプチドの検出方法
本発明のポリペプチドの検出方法は、前記抗体又はその断片を使用し、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドを検出することを特徴とする。
本発明においては、検出用試料として、例えば、微生物や動物細胞の培養物、組織切片、微生物や動物細胞の細胞破砕物、皮膚等の組織の抽出液あるいは洗浄液、微生物や動物細胞、組織由来のタンパク質が固定された膜などのタンパク質試料を用いることができる。
抗体又はその断片の前記ポリペプチドへの特異的な結合の検出は、公知の方法が利用できるが、例えば、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、発光免疫測定法などが挙げられる。
本発明のポリペプチドの検出方法には、本発明のポリペプチドの検出に用いるためのキットを使用することにより、より簡便に検出を行なうことができる。かかるキットも本発明に含まれる。前記キットは、上記の抗体又はその断片を含有してなることを特徴とする。また、該キットは反応用緩衝液、標識二次抗体、発色試薬などを含有してもよい。
(9)アンチセンスDNA及びアンチセンスRNA
本発明において、「アンチセンスDNA」及び「アンチセンスRNA」とは、本発明のセラミダーゼ遺伝子又はその一部と相補的な塩基配列を有し、内因性のセラミダーゼ遺伝子(ゲノムDNA及びmRNA)と2本鎖を形成することによって、該遺伝子からの遺伝子情報の発現(転写、翻訳)を抑制又は制御するものをいう。アンチセンスDNA又はアンチセンスRNAの長さは、塩基配列の特異性や細胞内に導入する方法に応じて変えることが可能である。アンチセンスDNA又はアンチセンスRNAは、合成機を用いて人工的に合成したり、本発明の遺伝子を鋳型とした酵素反応によって通常と逆の向き(アンチセンスの向き)に遺伝子を発現させること等により、作製することが可能である。生体内においてアンチセンスRNAの発現が望まれる場合には、本発明の遺伝子を通常とは逆の向きに接続した発現ベクターを構築し、これを生体内に導入すればよい。
例えば、tat遺伝子[ヌクレイック アシドズ リサーチ(Nucleic Acids Research)、第19巻、第3359〜3368頁(1991)]、あるいはrev遺伝子[プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA(Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA)、第86巻、第4244〜4248頁(1989)]を利用したHIVの増殖抑制等、アンチセンス技術は数多く知られており、従って、これらの方法により、本発明のアンチセンスDNA又はアンチセンスRNAを用いて、内因性のセラミダーゼ遺伝子の発現を抑制又は制御することが可能である。また、本発明のアンチセンスDNA又はアンチセンスRNAは、in situハイブリダイゼーション等の研究試薬として利用可能である。
(10)セラミダーゼ遺伝子又はそのアンチセンス核酸を用いた細胞内又は組織内におけるセラミド量の調節
本発明の遺伝子により、さらに細胞内及び/又は組織内におけるセラミド量の調節方法を提供することができる。かかる調節方法も本発明に包含される。本発明の細胞内及び/又は組織内におけるセラミド量の調節方法は、本発明のセラミダーゼ遺伝子を細胞及び/又は組織に導入し、それにより細胞内及び/又は組織内におけるセラミド量を調節することに1つの特徴がある。
即ち、本発明の調節方法においては、本発明のセラミダーゼ遺伝子を細胞又は組織中に導入し、該遺伝子により発現されたセラミダーゼにより、細胞又は組織中のセラミドが分解され、一方、本発明のセラミダーゼ遺伝子を、該遺伝子のアンチセンス核酸、例えば、アンチセンスRNAが生成するような形で細胞、組織に導入することにより、当該細胞、組織中でのセラミダーゼ活性を低減し、セラミドの分解を抑制することができる。また、セラミド量を抑制する場合には、本発明のセラミダーゼ遺伝子のアンチセンス核酸、即ち、本発明のアンチセンスDNA又はアンチセンスRNAをそのままの形態で細胞又は組織に導入してもよい。
前記セラミダーゼ遺伝子又はそのアンチセンス核酸を細胞又は組織に導入する方法としては、公知の方法が使用でき、ニレクトロポレーション法、パーティクルガン法等の物理的遺伝子導入方法や、ウイルスベクターを用いた遺伝子導入方法を利用することができる。本発明の方法に使用できるウイルスベクターに特に限定はないが、例えばレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター等を用いて導入することができる。
本発明の調節方法によれば、本発明のセラミダーゼ遺伝子又はそのアンチセンス核酸を細胞及び/又は組織に導入して、細胞内及び/又は組織内におけるセラミド量を調節することにより、セラミド量の異常に起因する疾患の治療を行なうことができ、またセラミド代謝異常の疾病モデル動物を作製することができるという優れた効果を奏する。「セラミド量の異常に起因する疾患」としては、特に限定されないが、例えば、ファーバー病等が挙げられる。
以下に、マウス肝臓由来セラミダーゼの遺伝子を取得する方法について説明する。
1) まず、マウス肝臓のホモジネートより膜画分を調製し、これをショ糖−EDTA液に懸濁して凍結融解した後、遠心分離を行って上清(粗酵素抽出液)を得る。この粗酵素抽出液より公知のタンパク質精製方法、例えば各種のクロマトグラフィーを組み合わせて単一な状態に精製されたセラミダーゼ標品を得ることができる。上記の精製に使用できるクロマトグラフィーとしては、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、キレーティングクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等を使用することができる。
2) 次にセラミダーゼ遺伝子をクローニングするためのプローブを作製するための情報として、セラミダーゼの部分アミノ酸配列を調べる。上記の精製セラミダーゼ標品をそのままエドマン分解法[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第256巻、第7990〜7997頁(1981)]によるアミノ酸配列分析に供することにより、セラミダーゼのN末端アミノ酸配列を知ることができる。また、精製酵素標品を基質特異性の高いプロテアーゼ、例えばリジルエンドペプチダーゼやN−トシル−L−フェニルアラニルクロロメチルケトン(TPCK)−トリプシン等で消化して得られるペプチド混合物より適当なペプチド断片を精製し、該断片についてアミノ酸配列分析を行うことにより、セラミダーゼ内部の部分アミノ酸配列を得ることができる。
3) こうして明らかとなったアミノ酸配列の情報をもとに、ハイブリダイゼーション用のプローブ、又はPCR用のプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチドを設計し、本発明のセラミダーゼ遺伝子をクローニングする。そのためには、一般的に用いられるPCR又はハイブリダイーゼーション法を利用する。PCR法は、1989年、ストックトン・プレス(Stockton Press)社発行、エルリッヒ H.A.(Erlich,H.A.)編集、PCRテクノロジー(PCR Technology)に記載の方法に準じて行うことができる。ハイブリダイゼーション法は、例えばモレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル 第2版に記載の方法に準じて行うことができる。
4) 上記のハイブリダイゼーション又はPCRによって得られたDNA断片は、その塩基配列を解読することにより、そこにコードされうるアミノ酸配列を知ることができる。該配列を、上記2)で得られたセラミダーゼの部分アミノ酸配列と比較し、上記のDNA断片がセラミダーゼ遺伝子の断片であるかどうかを確認することができる。
5) 3)のハイブリダイゼーション又はPCRによって得られたDNA断片がセラミダーゼ遺伝子の一部であった場合、3)の操作を繰り返すか、あるいは3)で得られたDNA断片の塩基配列をもとに新たなプローブ、プライマーを作製し、これを使用してハイブリダイゼーション又はPCRを実施することにより、セラミダーゼ全長をコードする遺伝子を含むDNA断片を得ることができる。
6) こうして得られたセラミダーゼ全長をコードする遺伝子を適当なベクターに接続して発現ベクターを構築し、該発現ベクターが導入された形質転換体を作製する。この形質転換体を培養して、培養物中のセラミダーゼ活性を調べることにより、得られた遺伝子がセラミダーゼをコードするものであることを確認することができる。
しかしながら、本発明のセラミダーゼ遺伝子のクローニングにおいて、本発明において得られた部分アミノ酸配列情報ではハイブリダイゼーション法によるライブラリーのスクリーニングに適したプローブDNAを設計することはできなかった。また、部分アミノ酸配列及びライブラリー作製に使用したベクターの塩基配列それぞれから様々なPCRプライマーを設計し、各種組み合わせでPCRを行なったが特異的な増幅は見られず、唯一、部分アミノ酸配列C−53(配列表の配列番号:3にC−53のアミノ酸配列を示す)をもとに設計した2種のプライマー同士の組み合わせのみに増幅が見られた。ただし増幅されたDNA断片P−1(配列表の配列番号:6にP−1の塩基配列を示す)は68bpと短いものであり、そのままハイブリダイゼーション法によるライブラリーのスクリーニング用プローブとして用いることはできなかった。そこでP−1の配列からさらにPCRプライマーを設計するとともに、これをライブラリー作製に使用されたベクターの塩基配列から設計されたプライマーと組み合わせてPCRを行うことにより、初めてハイブリダイゼーション法によるライブラリーのスクリーニング用のプローブに適していると考えられる335bpの遺伝子断片を得ることに初めて成功した。
さらに、前記335bpのDNA断片をプローブにして、マウス肝臓由来のcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、セラミダーゼ全長をコードする遺伝子をクローニングすることができる。また、マウス肝臓由来のゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、本発明のセラミダーゼのゲノムDNAを得ることも可能である。
以上のようにして得られる、マウス肝臓の産生するセラミダーゼ遺伝子の全塩基配列は、配列表の配列番号:12に記載されており、ここにコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、配列表の配列番号:13に記載されている。なお、このアミノ酸配列と当該酵素のN末端アミノ酸配列より、生体内において当該酵素はN末端部分のペプチドが除去された成熟型酵素にプロセッシングされることが判明した。この成熟型セラミダーゼのアミノ酸配列、並びに該配列をコードする塩基配列を、それぞれ配列表の配列番号:14及び15に示す。上記のアミノ酸配列、塩基配列は、それぞれ公知の哺乳類由来セラミダーゼのアミノ酸配列、塩基配列のそれぞれとの間にはホモロジーはない。すなわち、本発明により提供されるセラミダーゼ遺伝子は公知のセラミダーゼ遺伝子とは関係のない、全く新しい配列からなるものである。
このように、本発明により、マウス肝臓由来のセラミダーゼの一次構造及び遺伝子構造が提供される。更に、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドの安価で高純度な遺伝子工学的な製造方法が可能となる。
また、本発明のセラミダーゼ遺伝子に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーは、本発明のセラミダーゼ遺伝子の検索、検出や増幅等に有用である。本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片は、セラミダーゼの検出、同定や精製等において有用である。
また、本発明の細胞内及び/又は組織内におけるセラミド量の調節方法によれば、本発明のセラミダーゼ遺伝子又はそのアンチセンス核酸を細胞及び/又は組織に導入して、細胞及び/又は組織内のセラミド量を調節することができるため、かかる調節方法は、セラミド量の異常に起因する疾患、特に限定されないが、例えば、ファーバー病等の疾患の治療に有用である。
以下に実施例をもってさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1 セラミダーゼの精製
105匹のSea/ddYマウス(成和実験動物研究所製)から摘出した肝臓181gを1mM EDTAを含む0.25M ショ糖液(ショ糖−EDTA液)300ml中でホモジナイズした。このホモジネートを600×gで10分間遠心分離した後、上清を回収した。得られた上清を、さらに2700×gで30分間遠心分離し、沈殿を回収した。
沈殿画分を480mlのショ糖−EDTA液に懸濁して懸濁液を得た。得られた懸濁液を−80℃で凍結した後、流水下で融解した。この凍結、融解処理を2回繰り返した。ついで、処理懸濁液を105000×gで90分間遠心分離し、上清及び沈殿それぞれを回収した。沈殿は、上記同様の凍結、融解〜遠心分離の処理に供した。上清を回収して先の上清と合わせ、520mlの粗酵素抽出液を得た。
粗抽出液260mlを20mM リン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化した100mlのDEAE−セファロースFF(アマシャム・ファルマシア社製)カラムにアプライし、非吸着物質を洗浄除去した。ついで、1M NaClを含む同緩衝液による溶出を行い、セラミダーゼ活性画分160mlを回収した。該画分は、続いて1M NaClを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化した100mlのフェニル−セファロースFF(アマシャム・ファルマシア社製)カラムにアプライした後、2Mから0MへのNaClの濃度グラジエントで溶出し、更に0%から1%へのポリドカノール(Polidocanol)(商品名:ルブロールPX、ナカライテスク社製)の濃度グラジエントで溶出した。このクロマトグラフィーにより、310mlのセラミダーゼ活性画分を回収した。
得られた活性画分を、0.5M NaCl及び0.1%のルブロールPXを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化した25mlのキレーティング−セファロースFF(アマシャム・ファルマシア社製、Cu2+結合型)カラムにアプライした。カラムを同緩衝液及び0.1%のルブロールPXを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で洗浄した後、2M NH4Cl、0.1%のルブロールPXを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で酵素の溶出を行なった。溶出された活性画分を限外ろ過により濃縮して濃縮物を得た。ついで、濃縮物中の緩衝液を0.1%のルブロールPXを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に置換し、酵素液を得た。得られた酵素液30mlは、更に0.1%のルブロールPXを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したポロスHQカラム(φ4.6×100mm、パーセプティブ・バイオシステムズ社製)にアプライした。ついで、0Mから0.5MへのNaClの濃度グラジエントで溶出し、活性画分を得た。この活性画分を0.2M NaCl、0.1%のルブロールPXを含む1mM リン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したハイドロキシアパタイトカラム(φ7.5×100mm、ペンタックス社製)にアプライした。セラミダーゼは、本カラムに吸着せず通過画分に回収された。ついで、該画分を、0.2M NaCl.0.3%のルブロールPXを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したスーパーロース200HRカラム(φ10×300mm、アマシャム・ファルマシア社製)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーに供し、精製セラミダーゼを得た。以上の精製操作の結果、58mgの精製セラミダーゼ標品を得た。
なお、得られた精製セラミダーゼ標品の種々の性質について、本明細書に記載のように検討したところ、下記の通りであった。
作用:セラミドを加水分解しスフィンゴイドと脂肪酸とを生成した。
基質特異性:前記表1に示すとおりの基質特異性を有した。
至適pH:第1図の結果に示すように、本セラミダーゼの至適pHは、7.0〜8.0であった。
温度安定性:0.1% ポリドカノール(Polidocanol)〔商品名:ルブロール(Lubrol)PX〕を含む20mMトリス−塩酸(pH7.5)緩衝液中、37℃、24時間処理した場合には活性の低下は見られないが、60℃、1時間の処理により処理前の活性の約30%に活性が低下した。
分子量:SDS−PAGE(還元条件下)により約94kDaであった。またグリコペプチダーゼFにより消化された本酵素は、SDS−PAGE(還元条件下)により約73kDaであった。
実施例2 セラミダーゼの部分アミノ酸配列分析
50pmolのセラミダーゼを含有する試料液11mlに、0.3%のルブロールPXを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を加えた。得られた試料液を、MonoQ PC1 6/5カラム(100μl、アマシャム・ファルマシア社製)にアプライした。続いて0.4M NaClを含む同緩衝液でカラムに吸着したセラミダーゼ画分を溶出した。この操作により、セラミダーゼを含む画分は、50μlに濃縮された。得られた濃縮液をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、泳動後のゲルをゲルコード・ブルー・ステイン・リェージェント(GelCode Blue Stain reagent、ピアス社製)で染色した。ついで、セラミダーゼのバンドを切り出した。切り出されたゲル断片の1/4を0.1% SDSを含む300μlの0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH9.0)で37℃、16時間抽出した。得られた抽出液を試料として、G1005Aプロテインシークエンシングシステム(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、セラミダーゼのN末端アミノ酸配列解析を行い、アミノ酸配列N−termを決定した。配列表の配列番号:1にN−termのアミノ酸配列を示す。
また、切り出されたゲル断片の残り3/4を、1mlの0.5M トリス−塩酸緩衝液(pH9.2)/50%アセトニトリル中で30℃、45分洗浄した。窒素ガス及び遠心濃縮機を使用してゲルを完全に乾燥させた後、0.5μgのプロテアーゼLys−C(和光純薬社製)を含む10μlの0.5M トリス−塩酸緩衝液(pH9.2)を加え、更にゲルが完全に膨潤するまで0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH9.2)を加えて37℃で16時間保温し、セラミダーゼのプロテアーゼ消化を行なった。反応終了後、150μlの0.1% トリフルオロ酢酸/60%アセトニトリルを用いて、室温で1時間抽出する操作を2回行なって、抽出液を回収した。この抽出液を逆相クロマトグラフィーに供し、ペプチド断片の精製を行なった。得られたペプチド断片をG1005Aプロテインシークエンシングシステムを用いたエドマン分解法により分析し、部分アミノ酸配列C−46、C−53を決定した。配列表の配列番号:2、3にそれぞれC−46、C−53のアミノ酸配列を示す。
実施例3 セラミダーゼ遺伝子を含むDNA断片のPCR法による増幅
実施例2で決定したセラミダーゼの部分アミノ酸配列C−53をもとに、センスミックスプライマー53−S1、アンチセンスミックスプライマー53−A3をデザインし、DNA合成機で合成した。配列表の配列番号:4、5にそれぞれプライマー53−S1、53−A3の塩基配列を示す。これらのプライマーを用いてPCRを行なった。PCRは、マウス肝臓cDNAプラスミドライブラリー(宝酒造社製)を鋳型として行なった。PCRは、94℃、9分の後、94℃、0.5分〜51℃、0.5分〜72℃、1分を1サイクルとする40サイクルを行い、さらに72℃、7分保温することにより行なった。このPCRにより、約70bpの特異的な増幅DNA断片がアガロース電気泳動で検出された。
この増幅DNAをゲルより回収し、これをpGEM−T easyベクター(プロメガ社製)に組み込み、組換えプラスミドを構築した。該プラスミドの挿入DNA断片の塩基配列解析を行なった結果、この断片の部分塩基配列P−1が決定された。配列表の配列番号:6にP−1の塩基配列を示す。該配列は実施例2で決定されたセラミダーゼの部分アミノ酸配列C−53に対応する配列であり、目的とするセラミダーゼの遺伝子の一部が取得できたことが確認された。
このP−1の塩基配列をもとに、アンチセンスプライマーMA1及びMA2をデザインして合成した。配列表の配列番号:7、8にそれぞれプライマーMA1、MA2の塩基配列を示す。また、マウス肝臓cDNAプラスミドライブラリーの構築に用いられたベクターpAP3neoの塩基配列をもとにセンスプライマーT7in及びT7outをデザインし合成した。配列表の配列番号:9、10にそれぞれプライマーT7in、T7outの塩基配列を示す。これらのプライマーを用いて、マウス肝臓cDNAライブラリーを鋳型としたネスティッドPCRを行なった。1st PCRとして、まずセンスプライマーT7out及びアンチセンスプライマーMA2を使用して94℃、9分の後、94℃、0.5分〜51℃、0.5分〜72℃、2分を1サイクルとする40サイクルの反応を行ない、さらに72℃、7分間保温した。さらに2nd PCRは、1st PCRの反応液を鋳型とし、センスプライマーT7in及びアンチセンスプライマーMA1を使用する以外は1st PCRと同じ条件で行なった。この結果、335bpの増幅DNA断片が得られた。これを以下に示すコロニーハイブリダイゼーションのプローブとした。
実施例4 セラミダーゼ遺伝子のクローニング
マウス肝臓cDNAプラスミドライブラリーを導入された形質転換体を、100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地プレート上のナイロンフィルター(商品名:ハイボンド−N+、アマジャムファルマシア社製)に播種し、9.5×13.5cmのプレート1枚当たり約3万個のコロニーを形成させてマスターフィルターを作製した。このフィルターのレプリカを作製し、得られたレプリカフィルターを10%SDS溶液に浸したろ紙上で5分間;0.5M NaOH、1.5M NaCl溶液に浸したろ紙上で5分間(変性);3M NaClを含む0.5M トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に浸したろ紙上で5分間(中和);2×SSC溶液に浸したろ紙上で5分間、それぞれ処理した。ついで、2×SSC溶液でフィルターをリンスした。このフィルターを風乾したのち、紫外線照射によりDNAをフィルターに固定し、コロニーハイブリダイゼーション用のフィルターとした。
ハイブリダイゼーションのプローブとしては、実施例3で得た増幅DNA断片0.1μg相当をDNAラベリングキット、レディー・トゥー・ゴー(Ready To Go、ファルマシア社製)を用いて、同キットのプロトコールに従って32Pで標識したものを用いた。上記のフィルターをハイブリバッグに入れ、ハイブリダイゼーション溶液(組成:7% PEG6000、10% SDS溶液)中、60℃で1時間プレハイブリダイゼーションを行なった後、上記の標識プローブを0.006pmol/mlとなるように加え、60℃で一晩ハイブリダイゼーションを行なった。次に、60℃に加温しておいた洗浄液(2×SSC、0.1% SDS)中、60℃で15分間ずつ3回、フィルターを洗浄した。フィルターから余分な水分を除いた後、富士フィルム社製イメージングプレートに20分間感光した後、BAS1000イメージングアナライザー(富士フィルム社製)にてシグナルを検出した。次いで本操作により得られた陽性シグナルに対応するマスターフィルター上のコロニーを採取した(1次スクリーニング)。
採集したコロニーを、100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地に懸濁した後100μg/mlのアンピシリンを含む9.5×13.5cm LB寒天培地プレート上のナイロンフィルターに播種し、1枚当たり200〜1000個のコロニーを形成させてマスターフィルターを作製した。このフィルターについて、1次スクリーニングと同様の方法により陽性クローンのスクリーニングを行い、さらに同様の操作で3次スクリーニングを実施した。3次スクリーニングの結果、セラミダーゼ遺伝子を含むと考えられる陽性クローンを単離することができた。
この陽性クローンからプラスミドを調製し、これをプラスミドpLCDaseと命名した。該プラスミドを種々の制限酵素、もしくは複数の制限酵素の組み合わせで消化したうえ、生成した各DNA断片をサブクローニングしてその塩基配列を解析した。これにより、プラスミドpLCDaseに挿入されたDNA断片の全塩基配列を決定した。該配列を配列表の配列番号:11に示す。また、該配列中に見出されたオープン・リーディング・フレーム(ORF)の塩基配列、並びにそこにコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を、それぞれ配列表の配列番号:12及び13に示す。さらに、上記のDNA断片の制限酵素地図と、該DNA断片に含有されるオープン・リーディング・フレームの位置を第2図に示す。
上記のORFの塩基配列を解析したところ、ここには実施例2で明らかにされたセラミダーゼの部分アミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれており、このORFがセラミダーゼをコードするものであることが確認された。また、該ORFにコードされるセラミダーゼのアミノ酸配列と、配列表の配列番号:1に示されるセラミダーゼのアミノ酸配列とを比較すると、マウス肝臓より精製されたセラミダーゼは、上記のORFにコードされるポリペプチドのうちのN末端部分のペプチドを欠くことが示された。すなわち、セラミダーゼは、翻訳後にそのN末端部分を除去するプロセッシングを受けて成熟型酵素に変換されることが示された。配列表の配列番号:14に成熟型セラミダーゼのアミノ酸配列を、また、配列表の配列番号:15に成熟型セラミダーゼをコードする塩基配列をそれぞれ示す。
実施例5 セラミダーゼ遺伝子の発現
直径35mmのディッシュに10%FCS含有α−MEM培地で培養されたCHO細胞(3×105細胞/ディッシュ)に、実施例4で得られたプラスミドpLCDase 1μgと、リポフェクトアミン(ライフ・テクノロジーズ社製)5μlとを加えることにより、セラミダーゼ遺伝子をCHO細胞に導入した。この細胞を37℃で24時間培養後、0.1% TritonX−100を含む100μlの10mM Tris塩酸(pH7.5)に懸濁し、細胞を破砕した。得られた細胞破砕液について、上記のC12−NBD−セラミドを基質とするセラミダーゼ活性測定を行なったところ、この細胞においてセラミダーゼがpLCDaseを導入していないコントロール細胞に比べて、約1000倍強く発現されていることが確認された。
更に、アナリティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemistry)第244巻、第291〜300頁(1997)に記載の方法に従って、細胞内のセラミド量を測定したところ、pLCDaseを導入した細胞では、導入していないコントロール細胞に比べて、セラミド量が有意に減少していることが確認された。
実施例6 マウス脳からのセラミダーゼ遺伝子のクローニング
アンピシリン100μg/mlを含むLB寒天培地プレートにニトロセルロース膜(Schleicher&Schuell社、PROTRAN BA85 0.45mmを直径82mmで使用)をのせ、そのプレート1枚当たり約20万コロニーになるように10枚のプレートにマウス脳cDNAライブラリー(LIFE TECHNOLOGIES社・SUPERSCRIPT Mouse Brain cDNA Library)を播種し、37℃で10時間培養した。ニトロセルロースメンブレン上に生えた大腸菌をナイロン膜〔PALL Gelman Laboratory社・バイオダインA直径82mm(1.2mm)〕に写し取り、それぞれアンピシリンプレートにのせた後、37℃で3時間培養した。ニトロセルロースメンブレンは、マスターフィルターとして4℃で保存し、ナイロン膜はクロラムフェニコール・プレートにのせ37℃で16時間培養した。ナイロン膜から新しいナイロン膜にコロニーを写し取り、各組のナイロンを重ねたまま1mlの変性液(0.5M NaOH/1.5M NaCl)で、表と裏それぞれ5分間処理した。同様に1mlの中和液〔0.5M Tris−HCl(pH7.4)/1.5M NaCl〕で5分間処理した。ナイロン膜を離し、風乾後80℃で2時間ベーキングした。その後、200mlの予洗液〔5×SSC/0.5% SDS/1ml EDTA(pH8.0)〕で10分間振とうし、大腸菌被砕片をふき取り、2×SSCで洗浄した。40mlのハイブリダーゼーション液〔0.5M チャーチリン酸/7% SDS/1mM EDTA〕で、65℃で2時間プレハイブリダイゼーションを行なった後、変性後のプローブを含む40mlのハイブリダイゼーション液中で、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行なった。プローブとして、マウスセラミダーゼ遺伝子を含むプラスミドpAPLCDのEcoRI−EcoRI断片2.7kbpを使用した。ハイブリダイゼーション終了後100mlの洗浄液(40mM チャーチリン酸/1% SDS)で65℃、15分間の洗浄を2回行なった。さらに100mlのHigh stringent洗浄液(0.2×SSC/0.1% SDS)で65℃、15分間洗浄した。膜を風乾後、1時間IP−plateに暴露し、BAS 1500で解析を行なった。ポジティブ部分のニトロセルロースメンブレンを直径約6mmに切りだし、1mlのLB培地に懸濁後、4000倍に希釈したサンプル200mlをアンピシリン入りLBプレートにまき、2ndスクリーニングを行なった。
同様にポジティブ部分を10000倍に希釈したサンプル200mlをアンピシリン入りLBプレートにまき、ライブラリーを作製し、このライブラリーを用いて3rdスクリーニングを行なった。単離されたクローン(pSBCD)はサブクローニングした後、定法に従って塩基配列を決定した。その配列を配列番号:16に示す。
前記配列中には、実施例4に記載のマウス肝臓由来のセラミダーゼ遺伝子と同一の配列を有するORFが見出された。なお、5’非翻訳領域及び3’非翻訳領域の配列は、マウス肝臓由来のものとは異なっていた。また、単離されたプラスミドpSBCDを実施例5と同様にCHO細胞に導入したところ、該細胞においてセラミダーゼが発現されていることが確認された。
実施例7 ヒトのセラミダーゼ遺伝子のゲノムクローニング
実施例4で決定したマウス肝臓由来セラミダーゼ遺伝子の配列に基づき、配列表の配列番号:17に示す配列を有するセンスプライマーU1107及び配列表の配列番号:18に示す配列を有するアンチセンスプライマーL1311を合成した。U1107プライマーの配列は、配列表の配列番号:12の塩基番号:1107〜1130の配列に相当し、L1311プライマーの配列は、配列番号:12の塩基番号:1311〜1334の配列に相補的な塩基配列に相当する。
ヒト肝臓癌細胞Huh7からゲノムDNAを常法により精製した。得られたゲノムDNA625ngを鋳型にU1107プライマー及びL1311プライマーを用いてPCRを行なった。PCRは、94℃、9分の後、94℃、0.5分〜55℃、0.5分〜72℃、3分を1サイクルとする40サイクルを行ない、さらに72℃で7分保温する反応を行なった。ついで、得られた反応物をアガロースゲル電気泳動に供した結果、このPCRにより、約2kbpのDNA断片が増幅されたことが確認された。
このDNA断片をSephaglas(ファルマシア社製)を用いて、ゲルから回収し、得られた断片をpGEM−T easyベクター(プロメガ社製)に組込み、組換えプラスミドを構築した。ついで、得られたプラスミドの挿入DNA断片の塩基配列を決定した。前記配列は、GenBankのデータベースの登録されているAccession NO.AC012131 Complementの96289〜98478に相当する配列であった。また、前記配列にコードされるアミノ酸配列の解析を行なったところ、配列表の配列番号:4で示されるマウス肝臓由来セラミダーゼアミノ酸配列のアミノ酸番号:370〜444の領域との相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域が見出された。
なお、AC012131は、実施例4で決定されたマウス肝臓由来セラミダーゼ遺伝子とも相同性を有する。
配列表フリーテキスト
配列番号:1に示す配列において、アミノ酸番号:7、9及び13のXaaは不明のアミノ酸を示す。
配列番号:4は、プライマー用の合成オリゴヌクレオチドの配列である。前記配列中、塩基番号:6、9及び15のnは、G、A、T又はCを示す。
配列番号:5は、プライマー用の合成オリゴヌクレオチドの配列である。前記配列中、塩基番号:3、6及び15のnは、G、A、T又はCを示す。
配列番号:7は、プライマー用の合成オリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:8は、プライマー用の合成オリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:9は、プライマー用の合成オリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:10は、プライマー用の合成オリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:11は、プライマー用の合成オリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:17は、プライマー用の合成オリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:18は、プライマー用の合成オリゴヌクレオチドの配列である。
産業上の利用可能性
本発明により、哺乳類由来の中性・アルカリ性セラミダーゼをコードする遺伝子が提供され、また、該遺伝子を用いるセラミダーゼの遺伝子工学的な製造方法が提供される。また、本発明のオリゴヌクレオチドプローブ及びプライマーは、前記遺伝子の検出に有用であり、生体内におけるセラミド代謝研究などに応用されうる。さらに、本発明により、本発明の遺伝子のアンチセンス核酸(DNA、RNA)が提供される。かかる遺伝子およびそのアンチセンス核酸は、生体内におけるセラミダーゼ活性の制御、セラミド代謝系の調節に有用であり、セラミド量の異常に起因する疾患の治療などへの応用が可能なセラミド量の調節方法が提供される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、セラミダーゼの至適pHを示す図である。
第2図は、セラミダーゼ遺伝子を含むDNA断片の制限酵素地図である。
Claims (19)
- (A)配列表の配列番号:14に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードしてなる核酸;
(B) 配列表の配列番号:15に記載の塩基配列からなる核酸;
(C) 配列表の配列番号:14に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換を有するアミノ酸配列からなり、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしてなる核酸;
(D) 配列表の配列番号:15に記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基の欠失、付加、挿入又は置換を有する塩基配列からなり、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしてなる核酸;並びに
(E) 前記(A)〜(D)いずれか記載の核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズしうる核酸であって、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしてなる核酸、
(F) 縮重を介して、前記(A)〜(E)いずれか記載の核酸とは異なる塩基配列を有する核酸であって、かつセラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしてなる核酸、からなる群より選択された核酸の塩基配列を有する遺伝子。 - ポリペプチドのセラミダーゼ活性が、下記ステップ:
(a)遺伝子の発現産物を、反応混合液〔組成:20μlの25mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)中、550pmolのC12−NBD−セラミド、及び1.0%(W/V) コール酸ナトリウム〕中、37℃で30分間インキュベートして反応させるステップ、並びに
(b)得られた反応物について、C12−NBD−脂肪酸の生成を検出するステップ、により検出されうる、請求項1記載の遺伝子。 - ポリペプチドが、少なくとも下記性質:
(i)作用:セラミドを加水分解しスフィンゴイドと脂肪酸とを生成する;
(ii)基質特異性:N−アシルスフィンゴシンを加水分解する;ガラクトシルセラミド、スルファチド、GM1a、スフィンゴミエリンには作用しない;
(iii)至適pH:7.0〜8.0である;
(iv)0.1% ポリドカノール(polidocanol)を含む20mMトリス−塩酸(pH7.5)緩衝液中、37℃、24時間処理した場合には活性の低下は見られないが、60℃、1時間の処理により処理前の活性の約30%に活性が低下する;
を呈する、請求項1又は2記載の遺伝子。 - 請求項1〜3いずれか記載の遺伝子を含有してなる組換えDNA。
- 請求項1〜3いずれか記載の遺伝子又は請求項4記載の組換えDNAを含有してなる、微生物、動物細胞又は植物細胞用発現ベクター。
- 請求項5記載の発現ベクターを保持してなる形質転換体。
- セラミダーゼ遺伝子が発現され、かつ該遺伝子にコードされたポリペプチドの生産に適する条件下に、請求項6記載の形質転換体を培養し、得られた培養物からセラミダーゼ活性を有するポリペプチドを採取することを特徴とする、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドの製造方法。
- 配列表の配列番号:14に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド。
- 請求項1〜3いずれか記載の遺伝子によりコードされてなる、セラミダーゼ活性を有するポリペプチド。
- セラミダーゼ活性が、下記ステップ:(a)遺伝子の発現産物を、反応混合液〔組成:20μlの25mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)中、550pmolのC12−NBD−セラミド、及び1.0%(W/V) コール酸ナトリウム〕中、37℃で30分間インキュベートして反応させるステップ、並びに
(b)得られた反応物について、C12−NBD−脂肪酸の生成を検出するステップ、により、検出されうる、請求項8又は9記載のポリペプチド。 - 請求項1〜3いずれか記載の遺伝子又はその一部に相補的なアンチセンスDNA。
- 請求項1〜3いずれか記載の遺伝子又はその一部に相補的なアンチセンスRNA。
- 請求項11記載のアンチセンスDNAを含有してなる発現ベクター。
- 請求項1〜3いずれか記載の遺伝子又はその相補鎖由来の配列からなる15〜40塩基長のオリゴヌクレオチドプライマー。
- 請求項8〜10いずれか記載のポリペプチドに特異的に結合しうる抗体又はその断片。
- 請求項14記載のオリゴヌクレオチドプライマーを使用する、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の検出方法。
- 請求項14記載のオリゴヌクレオチドプライマーを含有してなる、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の検出に用いるためのキット。
- 請求項15記載の抗体又はその断片を使用する、セラミダーゼ活性を有するポリペプチドの検出方法。
- 請求項15記載の抗体又はその断片を含有してなるセラミダーゼ活性を有するポリペプチドの検出に用いるためのキット。
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