JPWO2003060132A1 - 新規ホスホリパーゼa▲下2▼及びその遺伝子 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、乾癬に関連する新規なホスホリパーゼA2、それをコードする核酸及びそれらの使用方法;該ホスホリパーゼA2の製造方法及びそれに用いる組換えベクター又は宿主細胞;該ホスホリパーゼA2を認識する抗体;該ホスホリパーゼA2の阻害剤や医薬の特徴付け、同定又は選択方法;該ホスホリパーゼA2の阻害方法;炎症性皮膚疾患の治療のための医薬組成物及びその製造方法;炎症皮膚疾患の治療方法;並びに乾癬の検査方法に関する。
背景技術
乾癬(psoriasis)は、炎症性角化症候群の一つであり、鱗屑を特徴とする慢性難治性皮膚疾患である。前記乾癬は、多くの場合、軽快憎悪を繰り返す疾患であり、現在まで、該乾癬に対する決定的な治療方法はない。
乾癬は、その病態の特徴から、(1)尋常性乾癬、(2)乾癬性紅皮症、(3)関節症性乾癬、(4)滴状乾癬、(5)膿疱性乾癬の5型に大別される。このうち、尋常性乾癬は、患者数が最も多く、乾癬患者全体の約8割を占める疾患であり、膿疱性乾癬は、全身症状を伴い、時として死に到る疾患である。いずれの型においても、乾癬の病態には、表皮及び真皮内の免疫学的異常と、表皮角化細胞の増殖・分化異常の両者が伴う。
乾癬の発症原因には、遺伝的背景と外的因子の両方が関与しており、かかる乾癬は、ある種の遺伝学的背景を有する人に、何らかの外的又は内的因子が加わって発症する。
乾癬の発症に遺伝的因子が関係していることはよく知られている。欧米における家族内発症の割合は、約3分の1であり、一卵性双生児における乾癬の発症率は、72%と高い一致率を示すが、二卵性双生児では22%と低い。このように、乾癬においては、遺伝的因子が重要な発症要因であることは確かであるが、遺伝形式ははっきりしていない。また、単一の遺伝子によって発症する症例は少なく、多くの症例では、多遺伝子によって発症すると考えられている。
第6染色体のHLA抗原遺伝子領域に存在するPSOR1(Psoriasissusceptibility)遺伝子は、腎移植時のHLAのタイピングから偶然に発見された乾癬感受性遺伝子である。乾癬の発症に関与する遺伝子としては、このPSOR1遺伝子のほか、第1染色体、第3染色体、第4染色体、第16染色体、第17染色体、第19染色体、第20染色体に位置する数種類の遺伝子が現在までに報告されている。
しかし、乾癬の発症メカニズムは未だ不明な点が多く、治療方法の開発等は難しい状況にある。新たな診断方法及び治療方法の開発に繋げるため、乾癬の発症に関与する遺伝子(乾癬関連遺伝子)の探索と解析の進展が望まれている。
乾癬の病態等については、いくつかの総説にまとめられている(Bosら、Immunol.Today、第20巻、第40−46頁、1999年;Bakerら、Clin.Exp.Dermatol.、第26巻、第321−325頁、2001年)。
一方、炎症性疾患に関与する酵素として、ホスホリパーゼA2が知られている。ホスホリパーゼA2は、グリセロリン脂質の2位のエステル結合を加水分解して、等モル量の遊離脂肪酸とリゾリン脂質とを産する反応を触媒する酵素である。ホスホリパーゼA2の作用により、生体膜を構成するグリセロリン脂質から遊離したアラキドン酸は、リポキシゲナーゼ等によってロイコトリエン類に変換されるか、あるいはシクロオキシゲナーゼ等によってプロスタグランジン類に変換、若しくは、さらに該プロスタグランジン類に更にトロンボキサンシンターゼが作用してトロンボキサンA2等に変換される。これらのエイコサノイド(ロイコトリエン類、プロスタグランジン類、トロンボキサン類)は、種々の炎症、アレルギー反応、虚血性疾患等に密接に関与していることが明らかとなっており、ホスホリパーゼA2は、アラキドン酸以降の炎症性メディエーター産生につながる最初の反応を惹起する酵素として重要な役割を果たしている。
ホスホリパーゼA2には、少なくとも17種類の分子種があることが知られており、それらは、構造及び性質の類似性から4つのサブクラス(分泌性ホスホリパーゼA2、細胞質ホスホリパーゼA2、Ca2+非依存的ホスホリパーゼA2、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ)に分類されている。
このうち、細胞質ホスホリパーゼA2(cPLA2)は、細胞質局在性の高分子量ホスホリパーゼA2であり、これまでに、3種の分子種〔cPLA2α(GenBank Ac.No.M72393;Clarkら、Cell、第65巻、第1043−1051頁、1991年)、cPLA2β(GenBank Ac.No.AF065215;Pickardら、The Journal of Biological Chemistry、第274巻、第8823−8831頁、1999年)、cPLA2γ(GenBank Ac.No.AF058921;Underwoodら、The Journal of Biological Chemistry、第273巻、第21926−21932頁、1998年)〕が同定されている。cPLA2γは、Ca2+濃度に非依存的に活性を発揮する。これに対し、cPLA2α及びcPLA2βは、蛋白分子のN末端側にリン脂質結合領域を有し、Ca2+濃度依存的にリン脂質膜に結合して活性を発揮するが、活性の発現のためのCa2+必要量は、μMオーダーであるため、細胞質内でも活性を発揮すると考えられている。
ホスホリパーゼA2は、炎症性疾患治療薬等の開発研究において重要な標的分子であり、その阻害剤の研究が精力的に進められている。既知医薬の中にホスホリパーゼA2阻害作用が見出されたものがあり、また、特異的なホスホリパーゼA2阻害剤が有用な治療薬となりうることが見出されている。
治療効果が高く、副作用の少ない優れた医薬を開発するためには、標的とする特定の型のホスホリパーゼA2に対して選択性の高い阻害剤を選択することが望まれている。
さらに、従来のものとは異なる分子種である新しい型のホスホリパーゼA2を見出すことが、炎症性疾患の発症メカニズムの研究のためにも、また、新たな治療薬の標的分子となる可能性からも、望まれている。
発明の開示
本発明の目的は、乾癬に関連する、新規な型のホスホリパーゼA2及びそれをコードする核酸を提供することにある。また、ホスホリパーゼA2阻害剤や医薬の特徴付け、同定又は選択を行うための新しい方法、及び乾癬の診断や検査の新しい方法を提供することにある。また、上記以外の目的については以下の記載により明らかである。
乾癬に関しては、従来、網羅的な遺伝子解析自体が行われていなかったが、本発明者らは、大久保らの開発したボディー・マップ法(Methods in Molecular Genetics、第5巻、第17−33頁、1994年)を用いて、乾癬患者と正常人の表皮で発現している遺伝子を鋭意比較研究することにより、乾癬患者の表皮で特異的に発現が増大している乾癬関連遺伝子(GS21015遺伝子)を見出した。さらに、当該遺伝子にコードされるポリペプチドが新規なホスホリパーゼA2であることを見出し、当該ホスホリパーゼA2を遺伝子組換え技術によって細胞中で発現させることに成功して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕 下記(a)又は(b):
(a)配列番号:9で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)下記(i)〜(iv):
(i)配列番号:9で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの保存的置換変異体又は自然発生対立変異体であるポリペプチド、
(ii)配列番号:9で示されるアミノ酸配列の全長と比較して75%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(iii)配列番号:9で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び
(iv)配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸若しくはその相補物にコードされるポリペプチド、
からなる群より選択され、かつホスホリパーゼA2活性を有するポリペプチドから選択されてなるポリペプチド、
〔2〕 ヒトのポリペプチドである、前記〔1〕記載のポリペプチド、
〔3〕 組換えポリペプチドである、前記〔1〕記載のポリペプチド、
〔4〕 前記〔1〕記載のポリペプチドをコードする核酸、
〔5〕 コードされたポリペプチドが、ヒトのポリペプチドである、前記〔4〕記載の核酸、
〔6〕 下記(a)又は(b):
(a)配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸
(b)下記(I)又は(II):
(I)配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸若しくはその相補物、又は
(II)配列番号:8で示される塩基配列における翻訳領域全長の配列と比較して70%以上の配列相同性を有する塩基配列を有する核酸、
から選択され、かつホスホリパーゼA2活性を有するポリペプチドをコードする核酸
から選択されてなる核酸、
〔7〕 ヒトの核酸である、前記〔6〕記載の核酸、
〔8〕 下記(I)又は(II):
(I)配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸若しくはその相補物、又は
(II)配列番号:8で示される塩基配列における翻訳領域全長の配列と比較して70%以上の配列相同性を有する塩基配列を有する核酸、
から選択され、かつ下記(A)又は(B):
(A)前記〔4〕〜〔7〕のいずれか1項記載の核酸からなる遺伝子の発現若しくは存在の検出、又は
(B)前記〔4〕〜〔7〕のいずれか1項記載の核酸からなる遺伝子の発現の変調
のために使用される核酸、
〔9〕 単離された核酸である、前記〔4〕〜〔8〕のいずれか1項記載の核酸、
〔10〕 前記〔4〕〜〔8〕のいずれか1項記載の核酸を含有してなる組換えベクター、
〔11〕 発現ベクターである、前記〔10〕記載の組換えベクター、
〔12〕 前記〔11〕記載の組換えベクターが導入された宿主細胞、
〔13〕 1)前記〔11〕記載の組換えベクターが導入された宿主細胞を培養して、培養物を得る工程;及び
2)前記工程1)で得られた培養物から、該組換えベクター上にコードされたホスホリパーゼA2のポリペプチドを回収する工程
を含む、組換えポリペプチドの製造方法、
〔14〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチドを認識する抗体、
〔15〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2を被験物質と接触させ、該ホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定し、該ホスホリパーゼA2を阻害することを決定することを含む、炎症性皮膚疾患の治療薬を特徴付け、同定又は選択するための方法、
〔16〕 該ホスホリパーゼA2と、該ホスホリパーゼA2の基質と被験物質とを含む反応系内で酵素反応を行い、該ホスホリパーゼA2の酵素活性に対する阻害作用を検定することにより、被験物質の作用を検定するものである、前記〔15〕記載の方法。
〔17〕 基質がグリセロリン脂質であり、酵素活性がグリセロリン脂質の2位のエステル結合を加水分解する活性である、前記〔16〕記載の方法、
〔18〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定し、当該ホスホリパーゼA2を阻害することを決定した被験物質を、炎症性皮膚疾患の患者であるヒト個体に投与することを含む、
ヒトにおける該ホスホリパーゼA2の阻害方法、
〔19〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定し、当該ホスホリパーゼA2を阻害することを決定した被験物質もしくはこれを含む組成物を炎症性皮膚疾患治療薬として販売する方法、
〔20〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定し、当該ホスホリパーゼA2を阻害することを決定した被験物質を担体とともに混合することを含む、炎症性皮膚疾患の治療のための医薬組成物の製造方法、
〔21〕 炎症性皮膚疾患治療薬の製造のための、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2の使用方法、
〔22〕 炎症性皮膚疾患が、慢性難治性皮膚疾患である、前記〔15〕〜〔21〕のいずれか1項記載の方法、
〔23〕 炎症性皮膚疾患が、乾癬である、前記〔15〕〜〔21〕のいずれか1項記載の方法、
〔24〕 被験物質が、ホスホリパーゼA2に対する阻害剤であることが知られていなかった化合物である、前記〔15〕〜〔21〕のいずれか1項記載の方法、
〔25〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2を阻害する化合物を有効成分として含有してなる、炎症性皮膚疾患の治療のための医薬組成物、
〔26〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2を阻害する化合物の有効量を患者に投与することを含む、炎症性皮膚疾患の治療方法、
〔27〕 ヒト又は非ヒト動物個体から採取した生体試料について、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする遺伝子の発現レベルを検定することを特徴とする、乾癬の検査方法、
〔28〕 該発現レベルを、配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸又はその相補物をプローブ又はプライマーとして用いて検定する、前記〔27〕記載の検査方法、
〔29〕 該プローブ又はプライマーが、配列番号:4で示される塩基配列を有する核酸又はその相補物である、前記〔28〕記載の検査方法、並びに
〔30〕 該発現レベルを、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチドを認識する抗体を用いて検定する、前記〔27〕記載の検査方法、
に関する。
発明を実施するための最良の形態
本明細書において、後記配列表の配列番号:8は、発明者らが見出した乾癬関連遺伝子(GS21015遺伝子)の翻訳領域全長を含むヒトcDNAの塩基配列を表し、配列番号:9は、前記cDNAにコードされるヒトのポリペプチド(GS21015)のアミノ酸配列を表す。
本発明のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2及びそれをコードする核酸は、疾患治療薬(特に炎症性疾患治療薬)の研究開発における新たな標的分子として有用である。とりわけ、前記ホスホリパーゼA2及び核酸は、皮膚組織等に特異的に発現しており、かつ、正常組織と比較して乾癬組織において発現が増大しているため、乾癬等の炎症性皮膚疾患の治療薬の研究開発において有用である。また、炎症性疾患の発症メカニズムの研究のためにも有用である。
本発明において、ポリペプチドとしては、組換え型又は単離されたポリペプチドが挙げられる。また、本発明において、核酸としては、DNA分子及びRNA分子が挙げられ、組換え型又は単離された核酸が挙げられる。また、これら核酸としては、一本鎖核酸及び二本鎖核酸が含まれる。例えば、配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸としては、該塩基配列を有する一本鎖DNA、該塩基配列を有する一本鎖DNAとその相補物(complement)とからなる二本鎖DNA、それらに対応するRNA分子等が含まれる。ここで、本明細書において、前記二本鎖DNAの構成要素としての「相補物(complement)」は、前記一本鎖DNAに対する完全な相補物をいう。
本発明のポリペプチドとしては、例えば、配列番号:9で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。本発明には、配列番号:9で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの、自然発生的な変異体、人為的に改変した変異体、異種生物に由来するホモログ及びオルソログ等が含まれる。
すなわち、本発明のポリペプチドとしては、配列番号:9で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの他、これの保存的置換変異体(conservative substitution variants)及び自然発生対立変異体(naturally occuring allelic variants)等のバリアントが挙げられる。
このようなポリペプチド(前記バリアント)は、配列番号:9で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドと同様の生物学的活性〔すなわち、ホスホリパーゼA2活性(より詳細にはグリセロリン脂質の2位のエステル結合を加水分解する活性)〕を有するものであればよい。このようなポリペプチド(前記バリアント)のアミノ酸配列は、例えば、配列番号:9で示されるアミノ酸配列の全長と比較して、通常約75%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約85%以上、さらに好ましくは約90%以上、さらに一層好ましくは約95%以上の配列相同性を有する。あるいはまた、このようなポリペプチド(前記バリアント)としては、配列番号:8で示される核酸配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸又はその相補物にコードされるポリペプチドが挙げられる。
なお、本明細書において、アミノ酸配列に関する「配列同一性」は、FASTAアルゴリズム又はBLASTアルゴリズムを用いて算出された値を適用する。BLASTアルゴリズムは、オープンギャップペナルティー(open gap penalty)5、エクステンドギャップペナルティー(extend gap penalty)2及びワードレングス(word length)11の条件である。
また、本発明のポリペプチドとしては、配列番号:9で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して1若しくはそれ以上の保存的アミノ酸置換(conservative amino acid substitutions)を有するポリペプチドが挙げられる。
このようなポリペプチドは、配列番号:9で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する。アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、生物学的活性〔すなわち、ホスホリパーゼA2活性(より詳細にはグリセロリン脂質の2位のエステル結合を加水分解する活性)〕が失われない程度であればよく、通常1〜約200個、好ましくは1〜約160個、より好ましくは1〜約120個、さらに好ましくは1〜約80個、さらに一層好ましくは1〜約40個である。
なお、前記「保存的置換変異体」とは、ポリペプチドの有する生理活性を維持し、かつ生体において、立体構造における形状の特徴、疎水性、電荷、pK等に関して同等の物理化学的性質を示しうるアミノ酸残基同士の置換を有する変異体をいう。「保存的置換」としては、例えば、配列番号:9に示されるアミノ酸配列中のアミノ酸残基と、下記1群〜6群:
1群 グリシン、アラニン、
2群 バリン、イソロイシン、ロイシン、
3群 アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、
4群 セリン、スレオニン、
5群 リジン、アルギニン、
6群 フェニルアラニン、チロシン、
のいずれかのグループにおいて、同じグループに属する他のアミノ酸との置換が挙げられる。
ホスホリパーゼA2活性が失われないためには、当該活性を司る領域、すなわち触媒領域において、他の領域よりも、アミノ酸配列がより高度に保存されていることが望ましい。
触媒領域としては、例えば、配列番号:9で示されるアミノ酸配列における第275〜525番目(触媒領域A)及び第613〜798番目(触媒領域B)のアミノ酸残基に相当する領域が挙げられる。各触媒領域におけるアミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、それぞれ、通常1〜約20個、好ましくは1〜約10個、より好ましくは1〜約5個である。このようなポリペプチドの各触媒領域のアミノ酸配列は、配列番号:9で示されるアミノ酸配列中に存在する各触媒領域と比較して、それぞれ、通常約90%以上、好ましくは約95%以上、より好ましくは約97%以上の配列相同性を有する。一方、非触媒領域におけるアミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、通常1〜約160個、好ましくは1〜約140個、より好ましくは1〜約110個、さらに好ましくは1〜約80個、さらに一層好ましくは1〜約40個である。
本発明の核酸(DNA又はRNA)としては、例えば、配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸が挙げられるが、これに限定されない。本発明には、配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸の、自然発生的な変異体、人為的に改変した変異体、異種生物に由来するホモログ及びオルソログ等が含まれる。
すなわち、本発明の核酸としては、配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸の他、配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下(より好ましくはハイストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸又はその相補物(相補的配列を有する核酸)が挙げられる。
このような核酸の塩基配列は、配列番号:8で示される塩基配列における翻訳領域全長の配列と比較して、通常約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに一層好ましくは95%以上の配列相同性を有する。
また、このような核酸は、ホスホリパーゼA2活性(より詳細にはグリセロリン脂質の2位のエステル結合を加水分解する活性)を有するポリペプチドをコードするものであることが好ましい。
本発明において、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、通常、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)又はこれと同等の塩濃度のハイブリダイゼーション溶液中、50〜65℃の温度条件下、約16時間ハイブリダイゼーションを行い、6×SSC又はこれと同等の塩濃度の溶液等で必要に応じて予備洗浄を行った後、1×SSC又はこれと同等の塩濃度の溶液中で洗浄を行うことにより実施できる。また、より高いストリンジェンシーを有する条件(ハイストリンジェントな条件)では、前記において、洗浄を0.1×SSC又はこれと同等の塩濃度の溶液中で行うことにより実施できる。具体的には、例えば、ハイブリダイゼーション溶液(6×SSC、0.5%SDS、5×デンハルト(Denhardt‘s)溶液、100μg/mlサケ精子DNA)中65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行い、洗浄液(2×SSC、0.5%SDS)中、65℃で5分間の洗浄を行った後、洗浄液(0.1×SSC、0.5%SDS)中65℃で30分間の洗浄を2回行うことにより実施できる。
なお、本明細書において、塩基配列に関する配列同一性は、FASTAアルゴリズム又はBLASTアルゴリズムを用いて算出された値である。BLASTアルゴリズムは、オープンギャップペナルティー(open gap penalty)5、エクステンドギャップペナルティー(extend gap penalty)2及びワードレングス(word length)11の条件である。
本発明のポリペプチド及び核酸は、哺乳動物の組織や細胞を源(source)として用いて単離取得できる。かかる哺乳動物としては、イヌ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、サル、ブタ、ウサギ、ラット及びマウス等の非ヒト動物のほか、ヒトが挙げられる。これらのうち、ヒトの治療薬の研究開発に利用する上では、ヒト由来のものを用いることが望ましい。
本発明の核酸は、本明細書中に開示された配列情報(後記配列表の配列番号:8)を利用して取得することができる。例えば、開示された塩基配列の情報をもとにプライマーやプローブを設計し、これらを用いるPCR(polymerase chain reaction)法、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法を適宜組み合わせて、DNAライブラリーから選択・取得できる。
例えば、哺乳動物の細胞や組織から調製したmRNAからcDNAを合成し、これを鋳型として、PCR法により、本発明の核酸又はその一部に対応するcDNA断片を得る。得られたcDNAをプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーション法又はプラークハイブリダイゼーション法によりcDNAライブラリーをスクリーニングして、全長cDNAを取得できる。また、ゲノミックDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、ゲノム遺伝子を単離することができる。また、他の哺乳動物のDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、異種生物由来のホモログ又はオルソログを単離することができる。ここで、スクリーニングの際のPCR法及びハイブリダイゼーション法は、本明細書に記載の温度条件等を参照して行うことができる。
cDNAライブラリー及びゲノミックDNAライブラリー等のDNAライブラリーは、例えば、「Molecular Cloning 2nd Edition」(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.及びManiatis,T.著、Cold Spring Harbor Laboratory Pressより1989年に発刊)に記載の方法により調製することができる。あるいは、市販のライブラリーがある場合はこれを用いてもよい。
得られたcDNAの塩基配列を決定することにより、遺伝子産物のポリペプチドをコードする翻訳領域を決定でき、このポリペプチドのアミノ酸配列を得ることができる。
本発明のポリペプチドは、哺乳動物の組織や細胞の抽出液から単離精製して得ることができる。あるいはまた、本発明のポリペプチドは、通常の遺伝子組換え技術により組換えポリペプチドとして過剰発現(overexpression)させ生産することができる。また、他のポリペプチド(融合パートナー)との融合ポリペプチド(fusion polypeptide)の形で発現させ生産することもできる。前記融合パートナーとしては、例えば、ヒスチジンタグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
組換えポリペプチドは、例えば、本発明の核酸を含有した組換え発現ベクターが導入された宿主細胞を培養し、その細胞の培養物(培養液の上清、培養細胞の細胞抽出液等)から、目的の組換えポリペプチドを回収することにより製造できる。本発明には、本発明の核酸を含有した組換え発現ベクターが導入された宿主細胞(以下、形質転換細胞ともいう)及び該宿主細胞を用いる組換えポリペプチドの製造方法も含まれる。
本発明の組換えポリペプチドの製造方法は、1)本発明の核酸を含有した組換えベクターが導入された宿主細胞を培養して、培養物を得る工程;及び
2)前記工程1)で得られた培養物から、該組換えベクター上にコードされたホスホリパーゼA2のポリペプチドを回収する工程
を含む方法である。
組換えポリペプチドを過剰発現(overexpression)させるための組換え発現ベクター及び形質転換細胞は、例えば、以下のようにして得ることができる。まず、本発明のポリペプチドをコードする核酸を、適当なプロモーターの下流に連結される形でベクターに挿入し、発現ベクターを構築する。ついで、得られた発現ベクターを宿主細胞に導入する。
発現系(宿主−ベクター系)としては、例えば、細菌、酵母、昆虫細胞及び哺乳動物細胞の発現系等が挙げられる。このうち、機能がよく保存されたポリペプチドを得るためには、哺乳動物細胞(サルCOS−7細胞、チャイニーズハムスターCHO細胞、ヒトHeLa細胞等)及び昆虫細胞(Spodoptera frugiperda SF9、SF21等)を宿主として用いることが好ましい。
ベクターとしては、用いる発現系に応じて適宜選択することができ、哺乳動物細胞の発現系の場合、レトロウイルス系ベクター、パピローマウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、SV40系ベクター等、昆虫細胞の発現系の場合、バキュロウイルスベクター等を用いることができる。
本発明のポリペプチドを発現させるためのプロモーターとしては、用いる発現系に応じて適宜選択することができ、哺乳動物細胞の発現系の場合、SV40プロモーター、LTRプロモーター、エロンゲーション1αプロモーター等、昆虫細胞の発現系の場合、ポリヘドリンプロモーター等を用いることができる。
本発明のポリペプチドをコードする核酸としては、自然界に存在するmRNAに対応するcDNA(例えば、配列番号:8で示される塩基配列を有するcDNA)を用いることができるが、これに限定されない。目的とするポリペプチドのアミノ酸配列に対応するDNAを設計して、得られたDNAを用いることもできる。この場合、ひとつのアミノ酸をコードするコドンは各々1〜6種類知られており、用いるコドンの選択は任意でよいが、例えば発現に利用する宿主のコドン使用頻度を考慮して、より発現効率の高い配列を設計することができる。設計した塩基配列を有するDNAは、DNAの化学合成、塩基配列の一部改変等によって取得できる。人為的な塩基配列の一部改変、変異導入は、所望の改変をコードする合成オリゴヌクレオチドからなるプライマーを利用したPCR法や部位特異的変異導入法(site specific mutagenesis)(Markら、Proceedings of National Academy of Sciences、第81巻、第5662−5666頁、1984年)等によって実施できる。
本発明のポリペプチドの単離精製は、発現ベクターを導入した細胞の培養物等から、公知の精製方法(無機塩類による塩析、有機溶媒による分画沈殿、イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィー、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、ゲルろ過法等)を適宜組合せることによって、実施できる。
また、本発明のポリペプチド、又はこれと免疫学的同等性を有するペプチド(ポリペプチドの断片又は部分配列を有する合成ペプチド等)を抗原として用いて、本発明のポリペプチドを認識する抗体を取得することができる。ここで、免疫学的同等性を有するとは、例えば本発明のポリペプチドに対する抗体と交差反応を生じるということを意味する。
ポリクローナル抗体は、宿主動物(例えば、ラット、ウサギ等)に抗原を接種し、免疫血清を回収する通常の方法により製造することができる。モノクローナル抗体は、通常のハイブリドーマ法等の技術により製造できる。また、モノクローナル抗体の遺伝子を改変してヒト化モノクローナル抗体等を作製できる。
上記抗体を用いて、通常の免疫化学的方法(immunochemical assay法等)により、細胞中又は組織中等における本発明のポリペプチドの発現を検出することができる。あるいは、抗体を用いるアフィニティークロマトグラフィーにより本発明のポリペプチドの精製を実施することができる。また、中和抗体を用いて、本発明のポリペプチドの機能又は活性を変調させる(例えば、抑制する)ことができる。
本発明の核酸と比較して高い配列相同性を有する核酸、及び、本発明の核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸(オリゴヌクレオチド若しくはポリヌクレオチド)又はその相補物は、(A)本発明の核酸からなる遺伝子の発現又は存在を検出するために、本技術分野における通常の技術を適用して、プローブ又はプライマーとして使用できる。あるいは、(B)本発明の核酸からなる遺伝子の発現を変調(例えば抑制)させるために、本技術分野における通常の技術を適用して、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドや、リボザイム、デコイとして使用することもできる。このような核酸又はその相補物としては、例えば、配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸(センス鎖又はアンチセンス鎖)の、連続する14ヌクレオチド以上の部分配列又はその相補的な配列を有するヌクレオチド等が挙げられる。
また、本発明のポリペプチドを過剰発現(overexpression)させることにより、細胞における該ポリペプチドの機能又は活性を高める(増強させる)ことができる。
本発明のポリペプチドが、ホスホリパーゼA2活性を有することは、例えば、既知のホスホリパーゼA2活性の測定方法(Underwoodら、The Journal of Biological Chemistry、第273巻、第21926−21932頁、1998年等)によって確認することができる。
酵素反応の基質としては、1−パルミトイル−2−アラキドニル−ホスファチジルコリン等のグリセロリン脂質を用いることができる。
また、本発明のポリペプチドは、これを用いることにより、本発明のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を調べることができ、阻害剤の特徴付け、同定又は選択のために使用することができる。
例えば、本発明のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2を被験物質と接触させ、該ホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定することができる。
被験物質の作用の検定は、例えば、
− 本発明のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2と、該ホスホリパーゼA2の基質(グリセロリン脂質)と被験物質とを含む反応系内で酵素反応を行い、該ホスホリパーゼA2の酵素活性(グリセロリン脂質の2位のエステル結合を加水分解する活性)に対する被験物質の阻害作用を検定すること(態様Iという)、又は
− 該ホスホリパーゼA2と被験物質とを含む反応系内で結合反応を行い、該ホスホリパーゼA2と被験物質との結合能を検定すること(態様IIという)、
によって、実施することができる。
本発明のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2に対して結合能力を有する被験物質(リガンド)は、阻害剤となる可能性が高い。
前記態様Iにおいては、阻害作用は、被験物質非存在下の反応での酵素活性A0と、被験物質存在下の反応での酵素活性A1とを比較することにより検定することができ、A0>A1である場合が、該被験物質が阻害作用を有することの指標となる。
また、前記態様IIにおいては、結合能は、表面プラズモン解析等により検定することができる。例えば、表面プラズモン解析で解析する場合、本発明のホスホリパーゼA2を固定化したセンサーチップに、被験物質を含有した溶液を一定の流速で送液し、適切な検出手段〔例えば、光学的検出(蛍光度、蛍光偏向度等)、質量分析計との組み合わせ(マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析計:MALDI−TOF MS、エレクトロスプレー・イオン化質量分析計:ESI−MS等)〕により、光学的変動又は質量の変動として結合の有無、結合速度等を検出することにより、該結合を検定することができる。ここで、ホスホリパーゼA2と被験物質との複合体の形成を示すセンサーグラム、例えば、光学的センサーグラム又は質量センサーグラムが、送液による被験物質の導入により変動した場合が、ホスホリパーゼA2と被験物質とが結合したことの指標となる。また、複合体の形成が、早いほど、被験物質が、ホスホリパーゼA2に対し、高い結合親和性を有することの指標となる。
さらに、被験物質(好ましくは低分子化合物等)について、本発明のポリペプチド(ホスホリパーゼA2)に対する阻害作用(又は結合能)を調べ、他の型のホスホリパーゼA2に対する阻害作用(又は結合能)と比較することによって、阻害作用(又は結合能)の選択性を判定することができる。これにより、特定の型のホスホリパーゼA2に対して相対的に高い作用を有する阻害剤(選択的な阻害剤)を選択することができる。また、阻害剤を同定し、特徴付けることができる。
前記「他の型のホスホリパーゼA2」としては、例えば、cPLA2α(GenBank Ac.No.M72393;Clarkら、Cell、第65巻、第1043−1051頁、1991年)、cPLA2β(GenBank Ac.No.AF065215;Pickardら、The Journal of Biological Chemistry、第274巻、第8823−8831頁、1999年)、cPLA2γ(GenBank Ac.No.AF058921;Underwoodら、The Journal of Biological Chemistry、第273巻、第21926−21932頁、1998年)等が挙げられる。前記cPLA2α、cPLA2β、cPLA2γ等は、それぞれの酵素に応じ、前述のClarkらの文献、Pickardらの文献、Underwoodらの文献の記載の反応条件に従い用いればよい。
本発明のポリペプチドは、乾癬患者の表皮で発現が増大しているホスホリパーゼA2であり、上述したようにホスホリパーゼA2は、炎症性メディエータの産生において重要な役割を担う酵素である。従って、本発明のホスホリパーゼA2に対する阻害剤(該ホスホリパーゼを阻害する化合物)は、炎症性皮膚疾患(特に、乾癬等の慢性難治性皮膚疾患)等の治療において、医薬(治療薬等)の有効成分としての効果が期待される。
従って、本発明のポリペプチドは、炎症性皮膚疾患の治療薬の特徴付け、同定又は選択のために使用することができる。すなわち、本発明のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定し、当該ホスホリパーゼA2を阻害(望ましくは、選択的に阻害)することを決定することにより、炎症性皮膚疾患(例えば、乾癬等の慢性難治性皮膚疾患)の治療薬の特徴付け、同定又は選択を行うことができる。
また、当該ホスホリパーゼA2を阻害(望ましくは、選択的に阻害)することを決定した被験物質は、担体とともに混合することにより、炎症性皮膚疾患(例えば、乾癬等の慢性難治性皮膚疾患)の治療のための医薬組成物を製造することができる。
また、当該ホスホリパーゼA2を阻害(望ましくは、選択的に阻害)することを決定した被験物質もしくはこれを含む組成物は、有用な医薬、特に、炎症性皮膚疾患(例えば、乾癬等の慢性難治性皮膚疾患)の治療薬として販売することができる。
また、本発明のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定し、当該ホスホリパーゼA2を阻害(望ましくは、選択的に阻害)することを決定した被験物質を、炎症性皮膚疾患(例えば、乾癬等の慢性難治性皮膚疾患)の患者であるヒト個体に投与することにより、ヒトにおける該ホスホリパーゼA2を阻害することができる。
ここで、被験物質として、ホスホリパーゼA2を阻害することが知られていなかった化合物を用いることにより、新規な医薬、具体的には、炎症性皮膚疾患治療薬等や治療方法の創製につながる。
当該ホスホリパーゼA2を阻害(望ましくは、選択的に阻害)する化合物の有効量を患者に投与することにより、炎症性皮膚疾患(例えば、乾癬等の慢性難治性皮膚疾患)を治療することができ、当該ホスホリパーゼA2を阻害(望ましくは、選択的に阻害)する化合物を有効成分として含有してなる、医薬組成物は、炎症性皮膚疾患(例えば、乾癬等の慢性難治性皮膚疾患)の治療のため有用である。
本発明のホスホリパーゼA2に対する阻害剤(本発明のホスホリパーゼA2を阻害する化合物)としては、後記実施例と同様にして測定した場合のIC50値が、通常30μM以下、好ましくは10μM以下、より好ましくは1μM以下である化合物が挙げられる。
また、医薬として用いる場合に副作用を低減させるという観点から、有効成分とする化合物は、本発明のホスホリパーゼA2に対する選択的な阻害剤(本発明のホスホリパーゼA2を選択的に阻害する化合物)を用いることが望ましい。すなわち、本発明のホスホリパーゼA2を阻害する化合物のうち、他の型のホスホリパーゼA2(cPLA2α、cPLA2β、cPLA2γ等)に対する阻害作用と比較して、本発明のホスホリパーゼA2に対する阻害作用が、3倍以上、好ましくは10倍以上強い化合物を用いることが望ましい。
本発明のホスホリパーゼA2に対する阻害剤が有する抗炎症作用は、既知の抗炎症作用のアッセイ方法もしくはそれらと同等の方法により評価確認できる。
例えば、哺乳動物の炎症モデルに被験物質を投与して、被験物質が有する抗炎症作用をアッセイし評価することができる。炎症モデルとしては、既知のモデルを用いることができ、例えば、乾癬モデルとしては、免疫不全マウス(ヌードマウス、SCIDマウス)に乾癬患者の皮膚を移植して作製したモデル〔Fraki J.E.ら、J.Invest.Dermatol.、第80巻、第31s−35s頁、1983年;Nickoloff B.J.ら、Am.J.Pathol.、第146巻、第580−588頁、1995年〕、同マウスにT細胞を注射して作製したモデル〔Schon M.P.ら、Nature Med.、第3巻、第183−188頁、1997年〕等を用いることができる。ここで、被験物質の投与により、炎症モデルにおける移植皮膚が、例えば、鱗屑や紅斑の消失・萎縮を呈した場合が、被験物質が、抗炎症作用を有することの指標となる。また、抗炎症作用の度合いは、例えば、移植皮膚におけるケラチノサイトの分化マーカー(K5、K10)の発現が、乾癬病態型から正常型へ変動する度合いを指標として判断されうる。
本発明のホスホリパーゼA2に対する阻害剤の投与方法は特に限定されず、一般的な経口もしくは非経口的な方法(経口、静脈内、筋肉内、皮下等)を適用すればよい。また、必要に応じて、投与方法に応じた不活性な担体と共に、慣用の医薬製剤(錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、注射剤、吸入剤等)として製剤化して用いればよい。例えば、一般的な医薬において許容される結合剤、崩壊剤、増量剤、充填剤、滑沢剤等の賦活剤あるいは希釈剤と共に用いて、通常の方法により、製剤化して用いることができる。
投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態によっても異なるが、一般的な1日当たりの投与量は、例えば、0.01〜300mg/kgの範囲で設定される。
本発明のホスホリパーゼA2に対する阻害剤を有効成分として含有する、本発明の炎症性皮膚疾患の治療のための医薬組成物は、本発明のホスホリパーゼA2に対する阻害作用に基づいて薬効(抗炎症作用)を発現するものである。従って、かかるホスホリパーゼA2阻害以外の他の主作用に基づいて薬効を発現する医薬は、本発明には含まれない。
また、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子、すなわち本発明の核酸からなる遺伝子は、正常組織と比較して乾癬組織において発現が増大している遺伝子である。従って、生体試料中における当該遺伝子の発現レベルを検定することにより、乾癬の病態等を診断又は検査することができる。
従って、本発明により、乾癬の検査方法も提供される。
本発明の検査方法は、ヒト又は非ヒト動物個体から採取した生体試料について、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の発現レベルを検定することを特徴とする方法である。
本発明の検査方法によれば、例えば、乾癬に罹患しているかどうかの判定、乾癬の病態の特徴の判定、乾癬の重症度の判定、乾癬の治療薬や治療方法の効果の判定等に利用でき、とりわけ、尋常性乾癬のために好適に適用される。また、ヒトの乾癬に対して適用される他、サル、イヌ、ラット、マウス等の哺乳動物の乾癬モデルに対しても適用される。さらに、本発明の乾癬の検査方法によれば、簡便、迅速に、良好な感度での乾癬の検査、乾癬組織の検出が可能になる。
従来、乾癬に関しては、主に医師が病理組織像から経験に基づいて診断を行っていた。しかしながら、本発明の検査方法によれば、本発明に係る遺伝子の発現レベルを指標として、客観的に診断を行うことが可能になる。
本発明の検査方法は、ヒト又は非ヒト動物の個体(乾癬に罹患している個体や乾癬への罹患が疑われる個体等)から、生体試料を採取・調製した後、この生体試料を用いて、当該遺伝子の発現レベルを検定することにより実施される。
具体的には、本発明の検査方法は、
− 前記発現レベルを、配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸又はその相補物をプローブ又はプライマーとして用いて検定すること、又は
− 前記発現レベルを、本発明のポリペプチドを認識する抗体を用いて、検定することにより実施される。
生体試料としては、動物(ヒト又は非ヒト)個体由来の細胞、組織等が挙げられる。組織としては、皮膚組織が挙げられ、特に、落屑等乾癬病変部位の皮膚組織等が好ましい。細胞としては、皮膚組織中等に存在する上皮細胞等が挙げられる。
生体試料中での当該遺伝子の発現レベルの検定は、例えば、生体試料からmRNAを抽出し、このmRNA(又は対応するcDNA)中に存在する当該遺伝子由来のmRNAを検出・検定することにより実施できる。あるいは、当該遺伝子の遺伝子産物である本発明のポリペプチドを検出・検定してもよい。
当該遺伝子由来のmRNA(又は対応するcDNA)の検出・検定には、RT−PCR(reverse transcriptase−polymerase chain reaction)法(「PCR Protocols」Innis MA,Gelfad DH,Sninsky JJ and White TJ eds.,Academic Press,Sandiego,1990年)、RT−PCR法を応用したiAFLP法(Kawamotoら、Genome Research、第9巻、第1305−1312頁、1999年)、DNAマイクロアレイ法もしくはDNAマイクロチップ法(Schenaら、Science、第270巻、第467−470頁、1995年;Fodorら、Science、第251巻、第767−773頁、1991年)、及び、通常のノーザンブロッティング法等を利用することができる。
これらのうち、RT−PCR法は、感度や操作性の点で好適である。またRT−PCR法を応用したiAFLP法は、RT−PCR法よりもさらに効率的でハイスループット化された方法であり、多数のサンプルの検定に好適である。
例えば、RT−PCR法を利用する場合は、当該遺伝子由来のmRNA(又は対応するcDNA)中の特異的な塩基配列を有する領域を含む断片を増幅するための適当なプライマーを設計、合成する。これらプライマーを用い、生体試料のmRNAより合成したcDNAを鋳型としてPCRを実施する。得られたPCR産物を、必要に応じて電気泳動等により分離し、その断片を検出して存在量を検定すればよい。
mRNA(又は対応するcDNA)の検出・検定においては、通常、当該遺伝子由来のmRNA(又は対応するcDNA)中の特異的な塩基配列を有する領域にハイブリダイズする核酸(オリゴヌクレオチド等)又はその相補物を設計・合成して、これをプローブ又はプライマーとして用いる。
特異的な塩基配列を有する領域は、特に限定されないが、mRNA(又は対応するcDNA)の3’末端側の領域は、個々の遺伝子における配列特異性が高いので、この領域に対応するプローブ又はプライマーを採用することが、検出・検定において遺伝子発現量が適切に反映されるという点で好ましい。本発明の核酸からなる遺伝子におけるこのような3’末端側領域としては、例えば、GS21015遺伝子のmRNAのポリAから上流の最初に出現するMboI認識部位までの領域、すなわち、配列番号:4で示される塩基配列を有する領域が挙げられる。
遺伝子産物である本発明のポリペプチドを検出することによって、本発明の核酸からなる遺伝子の発現を検出・検定する場合には、例えば、本発明のポリペプチドを特異的に認識する抗体を上記方法によって作製し、これを利用して通常の免疫化学的方法で検出する方法を用いることができる。
また、前記と同様の手法により、生体試料中の本発明の核酸又はポリペプチドの発現を調べることにより、乾癬組織を検出することもできる。
以下、実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
なお、下記実施例において、各操作は特に明示がない限り、「モレキュラークローニング(Molecular Cloning)」(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.及びManiatis,T.著、Cold Spring Harbor Laboratory Pressより1989年に発刊)に記載の方法により行うか、又は、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指示書に従って使用した。
実施例1 ボディー・マップ法による乾癬関連遺伝子の探索
大久保らの文献(Methods in Molecular Genetics、第5巻、第17−33頁、1994年)記載の方法に従って、ボディー・マップ(Body Map)法により、以下のように、乾癬関連遺伝子のランダムスクリーニングを行った。
(1)ベクタープライマーの調製
ベクタープラスミドpUC119(タカラバイオ社製)を制限酵素PstIで消化した後、〔3H〕dTTP及びターミナルトランスフェラーゼとともに反応させて末端にオリゴdT(約30〜35個)を付加した。ベクタープラスミドpUC119は、dam+細菌(菌株名 Escherichia coli DH5α;東洋紡績社製)を宿主として用いて複製し調製することにより、制限酵素MboIによる消化を受けないようにしたものを用いた。オリゴdTの付加状況は、取り込まれた〔3H〕dTTPに由来する放射活性(radioactivity)によってモニターした。ついで、得られたベクターをHincIIで消化した後、フェノール−クロロホルムによる抽出と数回のエタノール沈殿を行い、さらにオリゴ(dA)セルロースカラムを用いて、長い方のベクター断片を精製・取得した。このベクター断片をプライマー(ベクタープライマー)として用いた。
(2)3’−指向性cDNAライブラリーの作製と各クローンの塩基配列の決定
乾癬患者から採取した皮膚組織(病変部の落屑性皮膚組織)1例及び正常人から採取した皮膚組織1例の各々を、クールミル(東洋紡績社製)中で物理的に破砕した後、これらサンプルから、RNA調製用キット(QIAGEN社製、RNeasy kit)を用いてトータルRNAを調製した。
かくして得られたトータルRNA(各約1μg)(乾癬患者又は正常人由来)を鋳型とし、前記(1)で調製したベクタープライマー(50ng)をプライマーとして、MMLV(Moloney murine leukemia virus)のリバース・トランスクリプターゼ(商品名:Superscript II;BRL社製)を用いて、鋳型の3’側から一本鎖cDNAを合成した後、ポリメラーゼ及びリガーゼ等を用いて二本鎖cDNAを合成した。さらにガラスミルク(BIO 101社製)(あるいはフェノール−クロロホルムによる抽出とエタノール沈殿)を用いてcDNAを精製・取得した。
得られた二本鎖cDNA(ベクターに付加されたもの)を制限酵素MboI(GATC配列を認識する)及びBamHIで消化し、さらにMboIアダプターを連結した後、ベクターを含む断片を環状化した。これを大腸菌(菌株名 Escherichia coli DH5α;東洋紡績社製)に導入し形質転換株を得た。
得られた形質転換株のコロニー(正常人及び乾癬患者組織由来クローンについて各々約1万個ずつ)を自動釣菌装置を用いて96穴プレートに拾った。96穴プレート上で菌体を培養した後、オートクレーブにて加熱(90℃、20分)して溶菌させた。菌溶解液をミリポアフィルターで濾過して上清を得、これを鋳型としてPCRを行うことにより、ベクタープラスミドの挿入断片を増幅した。PCRは、93℃で30秒と、50℃で60秒と、72℃で2分とを1サイクルとする条件で27サイクル行い、最終サイクルとして72℃で5分間の条件で1サイクルを行って反応を終了した。また、PCR用のプライマーは、挿入断片を囲むベクター部分の塩基配列をもとに設計し、センスプライマーとしては、後記配列表の配列番号:1記載の塩基配列のオリゴヌクレオチド(FW(−40))を、アンチセンスプライマーとしては、配列番号:2記載の塩基配列のオリゴヌクレオチド(RV(−14))を各々用いた。
次に、前記で得られたPCR産物について、ダイデオキシ法によりシークエンス反応を行った後、自動DNAシークエンサー(Applied Biosystems社製、373A)を用いて塩基配列を決定した。シークエンス反応用のプライマーとしては、ベクターに由来する配列番号:3記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(ベクタープライマー)を用いた。
かくして、正常及び乾癬皮膚組織由来のcDNAクローン各1万個を塩基配列決定に供し、塩基配列が解読できなかったものやミトコンドリア由来のクローンを除いた結果、正常組織由来の約4300クローン及び乾癬組織由来の約3700クローンの塩基配列情報が得られた。ヒト皮膚組織(乾癬と正常)で発現する遺伝子の種類としては、計約3000種類の遺伝子情報が得られた。
前記で得られた遺伝子情報のうち、クローンGS21015について得られたcDNA配列情報(すなわち、cDNA3’末端のポリAから最初に出現するMboIサイトまでの塩基配列)は、後記配列表の配列番号:4に示した通りであった。
実施例2 iAFLP法による発現プロファイル解析
前記実施例1で得られたクローンについて、川本らの文献(Genome Research、第9巻、1305−1312頁、1999年)記載の方法に従って、RT−PCR(reverse transcriptase−polymerase chain reaction)を利用したiAFLP(introduced amplified fragment length polymorphism)法により、乾癬組織及び正常組織の間での発現プロファイルの相違を解析した。
まず、乾癬患者から採取した皮膚組織(病変部の落屑性皮膚組織)10例(P01、P02、P03・・・、P10と称する)及び正常人から採取した皮膚組織7例(N01、N02、N03・・・、N07と称する)の各々からトータルRNAを調製した。
得られたRNAを鋳型とし、前記実施例1の(1)で調製したベクタープライマーをPCRに用いて、前記実施例1の(2)と同様に処理することにより、3’側二本鎖cDNA(ベクターに付加されたもの)を取得した。かくして、得られた3’側二本鎖cDNA(ベクターに付加されたもの)を各組織に由来するcDNAプールとして以下に用いた。
前記で得た各cDNAプール全量を制限酵素MboI(GATC配列を認識する)で消化した後、各々に増幅用アダプターを連結した。増幅用アダプターとしては、同時処理してもPCR産物を区別することができるように長さが3塩基長ずつ異なる5種類のアダプター(LP40、LP43、LP46、LP49、及びLP52)を以下のような組合せで用いた。
P01、P06、N01、N06 → LP40(40塩基長)と連結
P02、P07、N02、N07 → LP43(43塩基長)と連結
P03、P08、N03 → LP46(46塩基長)と連結
P04、P09、N04 → LP49(49塩基長)と連結
P05、P10、N05 → LP52(52塩基長)と連結
また、スタンダード(reference)として、各cDNAプールに代えて、市販のヒト臓器由来cDNAライブラリー30種を混合したものを用い、これには6種類目の増幅アダプター(LP55;55塩基長)を連結した。
前記のようにして増幅用アダプターを連結したcDNAを鋳型とし、PCRを行った。PCRのセンスプライマーとしては、6種類の増幅用アダプターに共通の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを蛍光標識したもの(F−T7(25)プライマー、PE Biosystems社製)(2pmole)を用いた。アンチセンスプライマーとしては、発現量を検出したい遺伝子(クローン)に特有の配列(すなわちcDNAの3’末端ポリAから最初に出現するMboIサイトまでの塩基配列中での特異的配列)をもとに設計し合成したオリゴヌクレオチド(2pmole)を用いた。クローンGS21015の遺伝子発現を検出するためのアンチセンスプライマーとしては、具体的には、配列番号:5に示した塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた。
PCRは、異なる種類の増幅用アダプターを連結した3〜5種類の鋳型及びスタンダード用鋳型を、一反応液(10μl)中に、以下のように、等量ずつ混合して行った。
反応液1=N01、N02、P03、P04、P05、及びスタンダード
反応液2=N03、N04、P01、P02、P06、及びスタンダード
反応液3=N05、N06、P07、P08、及びスタンダード
反応液4=N07、P09、P10、及びスタンダード
PCRの反応は、94℃で30秒と、55℃で30秒と、72℃で30秒とを1サイクルとする条件で35サイクル行い、最終サイクルとして72℃で30秒の条件で1サイクルを行って反応終了した。
得られたPCR産物については、ABIの自動シークエンサー(ABI社製)を用いて、電気泳動し蛍光を検出・定量した。
各組織サンプルのcDNAプールに由来する検出値について、スタンダードcDNAに由来する検出値に対する相対値を算出し、この値をもって、各組織サンプル中の遺伝子(転写産物)発現量の相対値とした。
前記のようにして、クローンGS21015の遺伝子発現プロファイルを解析した結果は、第1図に示した通りであった。
クローンGS21015に対応する遺伝子(GS21015遺伝子)は、乾癬患者由来の皮膚組織中では正常人由来の皮膚組織中と比較して高い発現レベルを示していた。GS21015遺伝子は、乾癬患者組織に特異的な発現プロファイルを示すことから、乾癬の病態の診断や検査のために使用できることがわかった。
実施例3 GS21015遺伝子(全長cDNA)のクローニング
前記実施例2にて遺伝子発現プロファイルを確認したクローンGS21015について、以下のようにして、翻訳領域全長を含むcDNAを取得した。
実施例1で得られた配列情報(3’末端のポリAから最初に出現するMboIサイトまでのcDNA塩基配列:配列番号:4)をもとに、BLASTプログラムを用い、既知DNAデータベース(GenBank及びEMBL)を検索した。検索の際の条件は、オープンギャップペナルティー(open gap penalty)5、エクステンドギャップペナルティー(extend gap penalty)2、ワードレングス(word length)11とした。
その結果、ゲノムドラフト配列にヒットした。このドラフト配列から、エクソン抽出ソフト(GeneScan)を用いてエクソンを抽出し、アミノ酸配列に置き換えてプロテインデータベース(NBRF及びSWISS−PROT)を検索した結果、細胞質ホスホリパーゼA2(cPLA2)の特定領域と高い相同性を示した。
この仮想エクソン情報を基に、PCR用プライマー(配列番号:6記載の塩基配列を有するもの及び配列番号:7記載の塩基配列を有するもの)を設計し、これらを用いたPCRを行って、乾癬組織由来のcDNAから、GS21015遺伝子のcDNAの3’末端断片(1246bp)を取得した。
さらに、このcDNA断片をプローブとして用いて、乾癬組織由来cDNAライブラリーをスクリーニングした。cDNAライブラリーは、乾癬患者の皮膚組織(病変部の落屑性皮膚組織)から調製したmRNAを鋳型として合成したcDNAをλZapベクターに挿入して調製したものを用いた。スクリーニングの結果、GS21015遺伝子の翻訳領域全長を含む全長cDNAを取得した。
得られた全長cDNAの塩基配列を決定し解析した。全長cDNAの塩基配列(3587bp)を配列番号:8に示し、それにコードされるタンパク質のアミノ酸配列(818アミノ酸残基)を配列番号:9に示した。アミノ酸配列から推定されるタンパク質の分子量は約92kDaであった。
また、配列番号:8に示した塩基配列について、FASTA及びBLASTプログラムを用い、既知DNAデータベース(GenBank及びEMBL)に含まれる全ての配列に対してホモロジー検索を行った。さらに、配列番号:9に示したアミノ酸配列について、FASTA及びBLASTプログラムを用い、プロテインデータベース(NBRF及びSWISS−PROT)に含まれる全ての配列に対してホモロジー検索を行った。なお、塩基配列についての検索の条件は、オープンギャップペナルティー(open gap penalty)5、エクステンドギャップペナルティー(extend gap penalty)2、ワードレングス(word length)11とした。また、アミノ酸配列についての検索の条件は、オープンギャップペナルティー(open gap penalty)11、エクステンドギャップペナルティー(extend gap penalty)1、ワードレングス(word length)3とした。
ホモロジー検索及び解析の結果、配列番号:9に示したアミノ酸配列は、細胞質ホスホリパーゼA2(cPLA2)のアミノ酸配列と部分的に相同性を有していることが見出された。
配列番号:9に示したGS21015のアミノ酸配列と、cPLA2の分子種として従来から知られているcPLA2α、cPLA2β及びcPLA2γのアミノ酸配列とを比較した結果を第2図に示した。
アミノ酸配列の類似性から、GS21015の触媒領域は、第275〜525番目(触媒領域A)及び第613〜798番目(触媒領域B)のアミノ酸残基に相当する領域であると推定された。また、GS21015は、cPLA2α及びcPLA2βと同様に、N末端側(第24〜145番目のアミノ酸残基に相当する領域)にリン脂質結合領域を有し、Ca2+濃度依存的にリン脂質膜に結合すると推定された。
GS21015のアミノ酸配列を、cPLA2α、cPLA2β及びcPLA2γのアミノ酸配列と比較すると、触媒領域Aにおいては、cPLA2αと31.3%、cPLA2βと66.0%、cPLA2γと31.7%の相同性を示し、触媒領域Bにおいては、cPLA2αと28.9%、cPLA2βと51.4%、cPLA2γと36.4%の相同性を示した。リン脂質結合領域においては、cPLA2αと31.3%、cPLA2βと45.9%の相同性を示した。アミノ酸配列の全長においては、cPLA2αと29.3%、cPLA2βと50.3%、cPLA2γと27.8%の相同性を示した。
これらアミノ酸配列の比較解析結果から、GS21015は、cPLA2のファミリーであり、中でも、cPLA2βに最も近い分子種であると推定された。
また、ゲノムドラフト配列の情報から、GS21015遺伝子は、cPLA2βと同じ第15染色体上に位置することが判明した。
実施例4 GS21015の過剰発現(overexpression)
前記実施例3で取得したGS21015遺伝子(全長cDNA)をPCRにより増幅した。この際、PCRプライマーとしては、cDNA断片の5’側及び3’側末端に、各々、EcoRI認識部位が付加されるように設計したものを用いた。
次いで、得られたPCR産物(GS21015の翻訳領域全長を含むcDNA断片)を、ベクタープラスミドpcDNA4 HisMax(Invitrogen社製)のEcoRI認識部位に挿入することにより、GS21015の発現用ベクタープラスミドを構築した。この発現用ベクタープラスミドは、GS21015のN末端に、ヒスチジン(His)タグを付加したタンパク質を発現させるよう構成されている。
COS−7細胞(理研RCB0539)を、2×106細胞/10cmディッシュの濃度で播き、一晩培養した。前記で構築した発現用ベクタープラスミド(又は対照としてベクタープラスミドpcDNA4 HisMax)の10μgを、リポフェクション試薬(Qiagen社製、商品名:SuperFect)とともに用いてCOS−7細胞にトランスフェクションした後、さらに48時間培養した。
培養後の細胞を用い、以下のように、ウエスタンブロッテイング法により、過剰発現させたGS21015(N末端、Hisタグを付加したもの)を検出した。すなわち、培養後の細胞を回収し、緩衝液(10mM HEPES pH7.5、1mM EDTA、0.34Mショ糖、1mM PMSF、0.1M DTT)500μlを加えて細胞溶解した。この細胞溶解液を遠心(15,000rpm、15分間)し、上清を分取した後、その10μlをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。
次いで、セミドライ法により、泳動タンパク質をPVDF膜(Millipore社製、商品名:Immobilon−P membrane)に転写した後、膜をブロッキング試薬(ブロックエース、大日本製薬社製)を含む溶液中に4℃で一夜浸漬してブロッキングした。さらに、抗Hisタグ抗体(QIAGEN社製)(1000倍希釈)と室温で2時間反応させた後、PBS−Tween(商品名)〔0.1%Tween(商品名)を含むリン酸緩衝化生理食塩水〕で洗浄した。次いで、ペルオキシダーゼ標識した抗マウスIgG抗体(Sigma社製)と室温で2時間反応させた後洗浄し、さらに発色試薬(商品名:ECLシステム、Amersham社製)を用いて、抗Hisタグ抗体と結合した膜中のタンパク質バンドを検出した。
その結果、タグ付加されたGS21015に相当する分子量約97kD付近に、主たる陽性バンドが認められた。
実施例5 GS21015の酵素的性質の解析及び酵素アッセイ
(1)GS21015のホスホリパーゼA2活性の測定
以下のようにして、GS21015のホスホリパーゼA2活性を測定した。
前記実施例4と同様にして、GS21015を過剰発現させた細胞(GS21015発現用ベクタープラスミドをトランスフェクトしたCOS−7細胞)から細胞溶解液の上清を得て、これを酵素溶液として用いた。また、1−パルミトイル−2−アラキドニル−ホスファチジルコリンを基質として用いて、これを加水分解する活性(2位のエステル結合を加水分解してアラキドン酸を遊離する活性)を測定した。また、活性の測定は、文献(Underwoodら、The Journal of Biological Chemistry、第273巻、第21926−21932頁、1998年)記載の方法と同様に、以下のように実施した。
まず、窒素ガス下で乾燥させた1−パルミトイル−2−[14C]アラキドニル−ホスファチジルコリン(Life Science Products社製)を、2μMになるように反応用緩衝液〔10mM HEPES pH7.5、2mM塩化カルシウム、150mM塩化ナトリウム、30%グリセロール、1mg/mlウシ血清アルブミン(脂肪酸非含有)〕に加えて攪拌し、浴槽型超音波洗浄機に30分浸した後、再び攪拌した。この基質溶液250μlに、酵素溶液(GS21015発現用ベクタープラスミドをトランスフェクトしたCOS−7細胞の細胞溶解液の上清。但し、対照としては、ベクターのみをトランスフェクトした同細胞の細胞溶解液の上清。)を10μl添加して、反応を開始した。37℃で、0、30、又は60分間保温して反応を行った後に、ドール試薬(2−プロパノール:ヘプタン:1N硫酸=20:5:1)1.25mlを加えて反応を停止させた。さらに、カラムクロマトグラフィー用シリカゲル(富士シリシア化学社製)0.1gを加えて攪拌し、ヘプタン0.75ml及びイオン置換水0.75mlを加えて10秒以上攪拌した。その上層(ヘプタン層)を0.5ml取り、シンチレーション液5mlと混合後、シンチレーションカウンターでラジオ活性を測定した。
また、上記反応用緩衝液において、カルシウムイオンのマスキング剤として、5mMエチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)四酢酸〔EGTA〕を添加し、それ以外は上記と同様にして、GS21015及び対照についてホスホリパーゼA2活性を測定した。
その結果(反応時間と活性との相関)は第3図の通りであり、GS21015がCa2+濃度依存的なPLA2活性を有することが明らかとなった。
(2)GS21015のホスホリパーゼA2活性に対する各種化合物の阻害作用のアッセイ
各種被験物質の存在下(又は非存在下)でGS21015のホスホリパーゼA2活性を測定し、各種被験物質の阻害作用を調べた。
GS21015のホスホリパーゼA2活性の測定は、上記(1)と同様にして行った。但し、反応液中に、EGTAは添加せず、また、各種被験物質(0〜45μM)を添加した。
また、他の型のホスホリパーゼA2(cPLA2α)に対する阻害作用も、上記と同様にして調べた。cPLA2α(GenBank Ac.No.M72393;Clarkら、Cell、第65巻、第1043−1051頁、1991年)の酵素溶液としては、前記実施例4と同様にして、cPLA2α発現用ベクタープラスミドを作製し、これをトランスフェクトしたCOS−7細胞の細胞溶解液の上清を得て、これを用いた。
被験物質として、arachdinyl trifluoromethyl ketone(Cayman chemical社製)及びmethyl arachidonyl fluorophosphonate(Cayman chemical社製)を用いた時の、GS21015及びcPLA2αのホスホリパーゼA2活性に対する阻害作用アッセイ係数を、表1に示した。
cPLA2αの阻害剤であるarachdinyl trifluoromethyl ketone及びmethyl arachidonyl fluorophosphonateのうち、後者は、GS21015のホスホリパーゼA2活性に対しても阻害作用を有することが明らかとなった。
実施例6 in situハイブリダイゼーション法によるGS21015の発現解析
ヒトの乾癬皮膚組織及び正常皮膚組織を用いて、in situハイブリダイゼーションを行うことにより、ヒトの皮膚組織におけるGS21015mRNAの発現を解析した。
in situハイブリダイゼーションにおけるプローブとしては、前記実施例3で取得したGS21015遺伝子(全長cDNA)の断片(当該断片の塩基配列は、配列番号:8に示した塩基配列の第2522〜3236番目の塩基配列に相当する。)をpBluescriptベクター(Stratagene社製)に組み込み、制限酵素XbaI及びAccIで処理した後に、これを鋳型としてT7 RNAポリメラーゼ及びT3 RNAポリメラーゼによる転写を行って得たcRNAプローブを用いた。また、皮膚組織切片の作製及びin situハイブリダイゼーションは、文献(野村慎太郎ら、細胞工学 別冊(9) 脱アイソトープ実験プロトコール (1)DIGハイブリダイゼーション、第72−82頁、1994年)記載の方法に準じて行った。
なお、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション溶液〔組成:10mM Tris−HCl(pH7.6)、0.6M塩化ナトリウム、50%ホルムアミド、200μg/ml tRNA、1×デンハルト溶液、0.25%SDS、1mM EDTA、10%デキストラン硫酸〕中50℃で16時間のインキュベーションであり、洗浄条件は、洗浄用緩衝液〔組成:5×SSC〕により、50℃で5分間の洗浄を1回、ついで、洗浄用緩衝液〔組成:0.2×SSC、50%ホルムアミド〕により、50℃で30分間の洗浄を1回の洗浄である。
その結果、GS21015mRNAは、乾癬皮膚組織の表皮上層で発現していることが認められた。また、正常皮膚組織においては発現がほとんど検出されなかった。従って、乾癬皮膚組織においては正常皮膚組織と比較してGS21015mRNAの発現が増大していることが確認された。
実施例7 ノーザンブロッティング法によるGS21015の発現解析
各種のヒト組織由来mRNAをブロットした市販膜〔東洋紡績社製、商品名:GeneHunter(コード番号:MRB−111、MRB−112、MRB−113、MRB−114、MRB−311、及びMRB−312)〕を用いてノーザンブロッティングを行うことにより、ヒトの各種組織におけるGS21015mRNAの発現を解析した。
なお、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション溶液〔組成:6×SSC、0.5%SDS、5×デンハルト溶液、100μg/mlサケ精子DNA〕中65℃で16時間のインキュベーションであり、洗浄条件は、洗浄用緩衝液〔組成:2×SSC、0.5%SDS〕により、65℃で5分間の洗浄を1回、ついで、洗浄用緩衝液〔組成:0.1×SSC、0.5%SDS〕により、65℃で30分間の洗浄を2回である。
ノーザンブロッティングにおけるプローブとしては、前記実施例3で取得したGS21015遺伝子(全長cDNA)の断片(当該cDNA断片の塩基配列は、配列番号:8に示した塩基配列の第99〜770番目の塩基配列に相当する。)を、32Pで標識して用いた。
ノーザンブロッティングの結果、GS21015mRNAの強い発現が胎児皮膚組織及び成人子宮頚部組織において認められ、弱い発現が成人子宮組織及び成人前立腺組織において認められたが、その他の組織(胎児の脳、心臓、肺、肝臓、小腸、腎臓、及び筋肉、並びに、成人の脳、心臓、肺、肝臓、膵臓、脾臓、胃、空腸、回腸、結腸、直腸、腎臓、膀胱、前立腺、精巣、卵巣、胎盤、及び筋肉の各組織)では発現は認められなかった。cPLA2α、cPLA2β及びcPLA2γは、ほぼすべての組織で発現することが知られている(Pickardら、The Journal of Biological Chemistry、第274巻、第8823−8831頁、1999年)。この点でGS21015は既知のcPLA2と大きく異なり、発現が非常に特異的であることが判明した。
実施例8 免疫染色法によるGS21015の発現解析
GS21015を認識するポリクローナル抗体を作製し、これを用いてヒトの乾癬皮膚組織及び正常皮膚組織の免疫染色を行うことにより、ヒトの皮膚組織におけるGS21015ポリペプチドの発現を解析した。
(1)GS21015を認識する抗体の作製
ポリクローナル抗体作製用の抗原ペプチドを取得するため、前記実施例3で取得したGS21015遺伝子(全長cDNA)の断片(当該断片の塩基配列は、配列番号:8に示した塩基配列の第101〜672番目の塩基配列に相当する。)を、制限酵素認識配列を付加したプライマー(配列番号:10記載の塩基配列を有するもの及び配列番号:11記載の塩基配列を有するもの)を用いてPCRを実施することにより取得した。このcDNA断片をpGEM−T easyベクター(Promega社製)に組み込み、制限酵素EcoRI及びNotIで処理した後に、同じ制限酵素で処理したpGEX−5X−3ベクター(Invitrogen社製)に組み込んだ。このベクターを大腸菌JM109株にトランスフェクションして、目的のペプチド(当該ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号:9に示したアミノ酸配列の第1〜224番目のアミノ酸配列に相当する。)を、N末端側にグルタチオン−S−トランスフェラーゼのアミノ酸配列を付加した融合タンパク質として発現させた。この大腸菌溶解液の上清から、目的のペプチドを、グルタチオンセファロース4Bカラム(Amersham社製)を用いて分離精製した。
この抗原ペプチド1mgと完全フロイントアジュバント(Difco社製)を等量混合したものを、背中への皮内注射及び太ももへの筋肉注射を行って、ウサギに接種した。初回接種後、2週間おきに、初回と同様にして、抗原ペプチド1mgと完全フロイントアジュバントを等量混合したものをウサギに接種した。計5回の接種を終了したその1週間後に、ウサギの血液を回収して、免疫血清を調製した。
(2)抗体を用いた発現検出
前記(1)で作製した免疫血清を用いて、ヒトの乾癬皮膚組織及び正常皮膚組織の切片の免疫染色を行った。乾癬皮膚組織及び正常皮膚組織の切片は、前記実施例6と同様にして作製した。免疫染色は、ABC−PO(ウサギIGG)キット(Vectastein社製)のプロトコールに従って行った。
その結果、GS21015ポリペプチドの発現は、前記実施例6で実施したin situハイブリダイゼーション法によるGS21015mRNAの発現解析の結果と同様に、乾癬皮膚組織の表皮上層で認められ、正常皮膚組織においてはほとんど検出されなかった。従って、乾癬皮膚組織においては正常皮膚組織と比較してGS21015ポリペプチドの発現が増大していることが確認された。
すなわち、GS21015遺伝子又はポリペプチドの発現を指標として、乾癬患者の検査を行うことができ、また、乾癬組織を検出することができることがわかった。
配列表フリーテキスト
配列番号:1は、人工的に合成されたプライマーの配列(Artificially Synthesized Primer Sequence)を示す。
配列番号:2は、人工的に合成されたプライマーの配列を示す。
配列番号:3は、人工的に合成されたプライマーの配列を示す。
配列番号:5は、人工的に合成されたプライマーの配列を示す。
配列番号:6は、人工的に合成されたプライマーの配列を示す。
配列番号:7は、人工的に合成されたプライマーの配列を示す。
配列番号:10は、人工的に合成されたプライマーの配列を示す。
配列番号:11は、人工的に合成されたプライマーの配列を示す。
産業上の利用の可能性
本発明のポリペプチド及び核酸によれば、疾患治療薬、特に、炎症性疾患治療薬、より具体的には、乾癬等の炎症性皮膚疾患の治療薬の研究開発、炎症性疾患の発症メカニズムの研究が可能になる。また、本発明の核酸によれば、生体試料等における本発明のポリペプチド及び核酸自体の発現又は存在を検出することができ、該発現の変調を行うことができる。さらに、本発明のホスホリパーゼA2阻害剤を特徴付け、同定又は選択する方法によれば、本発明のホスホリパーゼA2に対して選択性の高い医薬、具体的には、炎症性疾患治療薬、特に、炎症性皮膚疾患治療薬、とりわけ、乾癬治療薬を、特徴付け、同定又は選択することができる。本発明のホスホリパーゼA2を選択的に阻害する化合物は、炎症性皮膚疾患(特に乾癬等の慢性難治性皮膚疾患)に対する優れた治療効果が期待される。さらに、本発明の乾癬の検査方法によれば、簡便、迅速に、良好な感度での乾癬の検査、乾癬組織の検出を可能にする。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、正常人及び乾癬患者に由来する皮膚組織サンプルにおけるGS21015遺伝子の発現レベルをiAFLP法により解析した結果を示した図である。図中、「N01」、「N02」、「N03」、・・・及び「N07」は、正常人の組織サンプルを表し、「P01」、「P02」、「P03」、・・・及び「P10」は乾癬患者の組織サンプルを表す。
第2図は、GS21015のアミノ酸配列と、cPLA2の分子種として従来から知られているcPLA2α、cPLA2β及びcPLA2γのアミノ酸配列とを比較し、その相同性を示した図である。
第3図は、GS21015のホスホリパーゼA2活性(1−パルミトイル−2−アラキドニル−ホスファチジルコリンの2位のエステル結合を加水分解してアラキドン酸を遊離する活性)に関し、反応系にEGTA(Ca2+のマスキング剤)を加えなかった場合と加えた場合の各々について、ホスホリパーゼA2活性と反応時間との相関を示した図である。
Claims (30)
- 下記(a)又は(b):
(a)配列番号:9で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)下記(i)〜(iv):
(i)配列番号:9で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの保存的置換変異体又は自然発生対立変異体であるポリペプチド、
(ii)配列番号:9で示されるアミノ酸配列の全長と比較して75%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(iii)配列番号:9で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び
(iv)配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸若しくはその相補物にコードされるポリペプチド、
からなる群より選択され、かつホスホリパーゼA2活性を有するポリペプチドから選択されてなるポリペプチド。 - ヒトのポリペプチドである、請求項1記載のポリペプチド。
- 組換えポリペプチドである、請求項1記載のポリペプチド。
- 請求項1記載のポリペプチドをコードする核酸。
- コードされたポリペプチドが、ヒトのポリペプチドである、請求項4記載の核酸。
- 下記(a)又は(b):
(a)配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸
(b)下記(I)又は(II):
(I)配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸若しくはその相補物、又は
(II)配列番号:8で示される塩基配列における翻訳領域全長の配列と比較して70%以上の配列相同性を有する塩基配列を有する核酸、
から選択され、かつホスホリパーゼA2活性を有するポリペプチドをコードする核酸
から選択されてなる核酸。 - ヒトの核酸である、請求項6記載の核酸。
- 下記(I)又は(II):
(I)配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸若しくはその相補物、又は
(II)配列番号:8で示される塩基配列における翻訳領域全長の配列と比較して70%以上の配列相同性を有する塩基配列を有する核酸、
から選択され、かつ下記(A)又は(B):
(A)請求項4〜7のいずれか1項記載の核酸からなる遺伝子の発現若しくは存在の検出、又は
(B)請求項4〜7のいずれか1項記載の核酸からなる遺伝子の発現の変調のために使用される核酸。 - 単離された核酸である、請求項4〜8のいずれか1項記載の核酸。
- 請求項4〜8のいずれか1項記載の核酸を含有してなる組換えベクター。
- 発現ベクターである、請求項10記載の組換えベクター。
- 請求項11記載の組換えベクターが導入された宿主細胞。
- 1)請求項11記載の組換えベクターが導入された宿主細胞を培養して、培養物を得る工程;及び
2)前記工程1)で得られた培養物から、該組換えベクター上にコードされたホスホリパーゼA2のポリペプチドを回収する工程
を含む、組換えポリペプチドの製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチドを認識する抗体。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2を被験物質と接触させ、該ホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定し、該ホスホリパーゼA2を阻害することを決定することを含む、炎症性皮膚疾患の治療薬を特徴付け、同定又は選択するための方法。
- 該ホスホリパーゼA2と、該ホスホリパーゼA2の基質と被験物質とを含む反応系内で酵素反応を行い、該ホスホリパーゼA2の酵素活性に対する阻害作用を検定することにより、被験物質の作用を検定するものである、請求項15記載の方法。
- 基質がグリセロリン脂質であり、酵素活性がグリセロリン脂質の2位のエステル結合を加水分解する活性である、請求項16記載の方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定し、当該ホスホリパーゼA2を阻害することを決定した被験物質を、炎症性皮膚疾患の患者であるヒト個体に投与することを含む、ヒトにおける該ホスホリパーゼA2の阻害方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定し、当該ホスホリパーゼA2を阻害することを決定した被験物質もしくはこれを含む組成物を炎症性皮膚疾患治療薬として販売する方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2に対する被験物質の作用を検定し、当該ホスホリパーゼA2を阻害することを決定した被験物質を担体とともに混合することを含む、炎症性皮膚疾患の治療のための医薬組成物の製造方法。
- 炎症性皮膚疾患治療薬の製造のための、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2の使用方法。
- 炎症性皮膚疾患が、慢性難治性皮膚疾患である、請求項15〜21のいずれか1項記載の方法。
- 炎症性皮膚疾患が、乾癬である、請求項15〜21のいずれか1項記載の方法。
- 被験物質が、ホスホリパーゼA2に対する阻害剤であることが知られていなかった化合物である、請求項15〜21のいずれか1項記載の方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2を阻害する化合物を有効成分として含有してなる、炎症性皮膚疾患の治療のための医薬組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチドからなるホスホリパーゼA2を阻害する化合物の有効量を患者に投与することを含む、炎症性皮膚疾患の治療方法。
- ヒト又は非ヒト動物個体から採取した生体試料について、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする遺伝子の発現レベルを検定することを特徴とする、乾癬の検査方法。
- 該発現レベルを、配列番号:8で示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸又はその相補物をプローブ又はプライマーとして用いて検定する、請求項27記載の検査方法。
- 該プローブ又はプライマーが、配列番号:4で示される塩基配列を有する核酸又はその相補物である、請求項28記載の検査方法。
- 該発現レベルを、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチドを認識する抗体を用いて検定する、請求項27記載の検査方法。
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