JP3995307B2 - カメラの測距装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体までの距離を測定するカメラの測距装置に関し、特に、同じ被写体から2つの異なる視野によって得た2つの像信号に従って被写体距離を算出するタイプの測距装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
同じ被写体から2つの異なる視野によって得た2つの像信号に従って被写体距離を算出するタイプの測距装置が種々知られている。
この種の測距装置の弱点は、像信号にコントラストがない場合、上記2像の一致度が測定できず、測距ができなくなることである。
【0003】
そこで、実開昭59−101231号公報に開示されているように、測距不能時には、カメラのレンズを固定焦点位置に制御したり、特開昭54−126023号公報に開示されているように、カメラから被写体に補助的な光を照射してコントラストを補う提案などがなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の実開昭59−101231号公報に開示されているような固定焦点のものは、そのピント位置より近いものや遠いものに対してはピントを合わせることができないという問題がある。
【0005】
また、後者の特開昭54−126023号公報に開示されているような補助光のものは、遠距離に対しては光が届かず効果がない。本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、コントラストの低い被写体に対してもピント合わせを可能とし、コントラストが低くて、ピントが合せられず、シャッタが切れなくなってしまうような状況を防止できるカメラの測距装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明によるカメラの測距装置は、視差を有する2つの光路を介して入射する被写体像をそれぞれ異なる光電変換素子センサアレイ上に結像させ、これら光電変換素子センサアレイより出力される2像信号に基づいて被写体までの距離を求めるカメラの測距装置において、上記センサアレイによる2像信号を順次シフトさせながら相関演算して相対的位置差を算出する相関演算手段と、上記センサアレイによる2像信号のそれぞれにおいて隣接する信号との差が最大となる信号を検出し、上記信号の相対位置差を算出するエッジ差演算手段と、上記センサアレイ上の所定領域部分による2像信号の明暗変化が単調か否かを判定するデータ状態判定手段と、上記データ状態判定手段により上記2像信号の明暗変化が単調であると判定された場合は、上記エッジ差演算手段に基づいて相対位置差を算出する演算制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
即ち、本発明のカメラの測距装置によれば、エッジ差演算手段によって、センサアレイによる2像信号のそれぞれにおいて隣接する信号との差が最大となる信号を検出し且つ上記信号の相対位置差を算出し、上記センサアレイ上の所定領域部分による2像信号の明暗変化が単調か否かを、データ状態判定手段によって判定し、このデータ状態判定手段により上記2像信号の明暗変化が単調であると判定された場合は、演算制御手段によって、上記エッジ差演算手段に基づいて相対位置差を算出するようにしている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるカメラの測距装置の構成を示す図である。
【0009】
同図において、参照番号10A,10Bは受光レンズであり、この2つのレンズの視差に基づいて、三角測距の原理に従って画面12内の被写体の距離を測定する。そのために、センサアレイ14A,14Bが両受光レンズ10A,10Bの後方に配置されており、これらセンサアレイ14A,14Bは、両受光レンズ10A,10Bを通った被写体像に応じた光電変換信号を出力する。これらセンサアレイ14A,14Bの出力は、A/D変換器16A,16Bによってディジタルデータに変換され、この一対のディジタルの像信号を演算制御部18が比較して被写体距離が求められる。
【0010】
この場合、演算制御部18はワンチップマイクロコンピュータ(CPU)により構成されるが、最近のワンチップマイクロコンピュータには、A/D変換機能を内蔵したものが多いので、演算制御部18の内部に、上記A/D変換器16A,16Bが設けられているように図示している。もちろん、A/D変換器16A,16Bは演算制御部18と別体のものでも良い。
【0011】
このようにディジタル値に変換されたセンサデータは、演算制御部18内の記憶用メモリ(RAM)20に記憶され、制御部22は、このRAM20内のデータを必要に応じて、相関演算部24に与えて、後述するような相関演算を行わせる。この場合、相関演算部24での相関演算の範囲を切り換えるために、エリア切換部26が設けられている。
【0012】
補間演算部28は、上記相関演算部24によって求められた相関関数より、最も相関の高い位置(補間結果)を、近似にて求める。この処理により、センサアレイ14A,14Bのセンサピッチ以下の精度で、後述するような相対位置差Xを求めることができる。また、これらの相関結果及び補間結果に信頼性が欠ける場合や、エリア内のデータにコントラストのないローコントラスト状態を検出するために、データ状態判定手段であるデフォルト判定部30が内蔵されている。
【0013】
なお、参照番号32は、測距開始のタイミングで操作されるスイッチであり、カメラに応用される時は、レリーズボタンの操作に連動するようにする。
ここで、オートフォーカス(AF)が苦手なシーンについて説明する。
【0014】
図2の(A)は、人物34Aの写真を撮影するシーンを示している。この場合、画面12内には、人物34Aの前方や背景に雑被写体34Bがあることが多いが、画面内全域を一度に測距すると、人物34Aと雑被写体34Bの情報がまざってしまうので、正しいピント合せができない。
【0015】
そこで、一般に、AFカメラでは、画面12内の一部分の情報のみを用いて距離測定を行っている。
センサアレイ14A,14Bは、図1に示すようにWの幅で画面12内を見つめているが、この時、一方のセンサアレイ14A又は14Bから得られたセンサデータは、図2の(B)のようになる。同図において、横軸はセンサアレイ14A又は14Bの並びを示しており、縦軸は像の明暗に依存して変化する各センサの出力を示している。
【0016】
この例では、像の明るい部分からは大きなデータが出て、暗い部分からは小さなデータが出るようにしている。
従って、図2の(A)の人物34Aのデータは、顔の目や鼻の陰影から、参照番号36で示したような凸凹のセンサデータが得られる。これに対して、背景は、濃淡がないので、参照番号38で示すようなデータが、また雑被写体34Bからは、参照番号40で示すようなデータが得られる。
【0017】
前述のように、これら全てのデータを用いて距離を求めようとすると、背景の距離情報がまざってしまって、人物34Aに対し、正しいピント合わせができない。
【0018】
そこで、一般には、図2の(B)に示すような狭いエリア42の像信号のみを用いて距離を求めるようにしている。
しかし、この考え方は、図2の(C)に示すような、風景のシーンに対しては通用しない。それは、一般に人物なら画面12内中央部に存在する確率が高く、従って、画面12内中央部に、センサデータの変化する部分36が存在する確率が高いが、図2の(C)のような風景の場合は、例えば中央部だけとか、画面12内の所定部分だけにコントラストがある部分が来るとは限らないからである。
【0019】
図2の(C)のような風景のシーンでは、センサデータは、図2の(D)に示すようになる。この場合、画面全体に大きなコントラストがなく、センサデータは、大きな変化なく、ゆるやかに変化する。こうしたシーンでは、各センサアレイ14A,14Bの像出力の差異を比べるのが容易ではなく、特に、図中の狭いエリア42内には全くコントラストがなく、正しい測距は困難をきわめる。
【0020】
次に、図3の(A)乃至(C)を用いて、2つのセンサアレイ14A,14Bの像出力より、距離を求める方法を説明する。
これらの図において、実線と点線で示したのが、左右2つのセンサアレイ14A,14Bの出力を示したものである。これらはほぼ同じ被写体を見ているので、略相似の出力パターンを示す。
【0021】
測距装置の演算制御部18は、得られた2つの像信号の差をとったり、一方の像信号のデータをずらして、もう一方の像信号のデータと比較する機能を有しており、図3の(A)乃至(C)のように、点線の方のデータをシフトさせながら実線の方のデータと差をとることを考えると、図中各センサNo.における両データの差を所定のセンサ数にわたって加算する場合、図3の(A)及び(C)に比べ、図3の(B)の場合がこの差の和が小さくなる。それは、各センサNo.の部分ごとに点線と実線のデータがほぼ一致しているからで、このようなシフト状態の時、2つのデータの相関が最もよくとれていると表現する。
【0022】
以上説明したような相対的なシフト量と、シフト時の各センサデータの差を、所定範囲にわたって加算した値(相関関数)の関係を図3の(D)のグラフに示す。
【0023】
先に説明したように、シフト量X2 の近傍では、相関がよいので相関関数が極小値を示すが、上記演算制御部18(相関演算部24)は先に説明したディジタルの像信号データを逐次、シフトさせながら相関関数を求め、その極小値を検出することによって、2つの像の相対位置差を求めることができる。
【0024】
図3の(E)に示すように、得られた像データ44A,44Bの相対位置差Xが求められると、両受光レンズ10A,10Bの主点間距離(基線長)をB、受光レンズ10A,10Bの焦点距離をfとすると、三角測距の原理に従って、被写体距離Lは、
L=B・f/X
として求められる。
【0025】
これは、レンズ10Aの光軸上前方にある被写体の距離Lの求め方であるが、このようなレンズ10Aの光軸上にない被写体の距離Lも、図3の(F)に示すように、
L=B・f/(X1 +X2 )
として求めることが可能である。
【0026】
以上が、いわゆる外光パッシブ方式と呼ばれる測距装置の作用であるが、このような方式で弱点とする像信号として、2つの像の相関がとれないローコントラストのシーンと、もう1つ、像信号として、図2の(C)のようなシーンにおける図2の(D)のような像信号がある。このようなパターンを単純化すると、図4の(A)に示すような像パターンとなる。
【0027】
仮に2つのセンサアレイ14A,14Bから出力されるパターンが各々図4の(A)及び(B)のようだとする。ただし、図4の(B)は、点線の方が正しいパターンであり、電気的なノイズ又は光のノイズが混入して、実線のようなパターンが出力されているものとする。
【0028】
この場合、上述のごとき相関演算の結果より、相関の高いシフト状態を求めると、図4の(C)に示すような状態にて、最も相関が高いと判断される。しかし、実際のパターンは点線の方なので、同図に示したようなシフト誤差が生じてしまう。
【0029】
このように単調に変化する像パターンは、ノイズの影響で測距の誤差を受けやすいことがわかる。
従って本発明では、このようなパターンの場合には、精度が劣化すると考えて、まず、単調変化パターンの検出を行う。そして、このようなパターンが検出された場合には、次のようにして被写体距離を求める。
【0030】
即ち、図2の(B)のように、明瞭なコントラストのあるセンサデータなら、先に述べた相関をとる方法で像の相対位置差を求めるのは有効であるが、図2の(D)のように、コントラストの不明瞭なセンサデータでは、図4の(A)乃至(C)で説明したように、上記相関をとる方法では誤差がのりやすい。そこで、本発明では、わずかなデータ変化のポイント(エッジ部)を見つけ、2つのセンサアレイ14A,14Bによる2つの像データのエッジ部の相対位置差によって、測距を行う。この様子はちょうど図3の(F)に図示したとおりのもので、エッジ部の位置X1 ,X2 を求め、これによって、三角測距の原理で被写体距離Lを求める。以下、このような方式を、エッジ差AFと称する。このエッジ差AF方式では、単純にエッジの位置のみを検出し、図3の(D)のように相関関数を求めたりはしない。
【0031】
図5は、制御部22の動作フローチャートであり、これを参照して、本実施の形態のカメラの測距装置の動作を説明する。
即ち、まず、エリア切換部26により狭いエリア、例えば画面12中央部のエリア42を指定して(ステップS10)、デフォルト判定部30にてローコントラストの判定を行う(ステップS12)。
【0032】
図2の(A)の人物34Aの写真などでは、このエリア42の部分に人物34Aが位置し、明瞭なコントラストが得られるので、ローコントラスト状態となることはない。しかし、この部分に人物34Aがいない場合や、図2の(C)のような風景のシーンではコントラストがなく、このような時には、デフォルト判定部30は、ローコントラストと判定する。このようなローコントラストの時は、相関演算や補間演算を行っても正確な測距ができないので、ステップS18に分岐し、別の測距エリアを選択する。つまり、図3の(E)のような測距ポイント46から図3の(F)の測距ポイント48に切り換えるような制御を行う。具体的には、再度センサデータの取り込み部分を変えて、データ取り込み(A/D変換)を行ってもよいし、エリア切換部26によって、既にRAM20に取り込まれているデータから、任意のデータを抜き出すようにしてもよい。
【0033】
また、ローコントラストでない場合には、単調変化かどうか判定する(ステップS14)。この判定処理の詳細については、後述する。そして、このステップS14で単調変化状態が検出された場合にも、上記ステップS18に分岐して、前述したようなエリア変更を行う。
【0034】
単調変化状態でない場合には、相関演算部24及び補間演算部28により前述したような相関演算並びに補間演算を行う(ステップS16)。その後、上記ステップS18に進んで、エリア変更を行う。
【0035】
そして、すべてのエリアについて、ローコントラスト又は単調変化が判定されたかどうか判定し(ステップS20)、まだであれば、上記ステップS12に戻って、上記の処理を繰り返す。
【0036】
しかして、全てのエリアについての判定処理が終了した場合には、次に、1ケ所以上のエリアでローコントラストでも単調変化でもない状態があったかどうか判定する(ステップS22)。そして、ローコントラストでも単調変化でもない状態のエリアがあったならば、ローコントラスト又は単調変化と判定されたNG部のエリアを除外したそれらのエリアのうち、最も近い距離を示すものを、主要被写体距離として選択し、この距離にピント合せを行うようにする(ステップS24)。
【0037】
これに対して、すべてのエリアが測距に不適当(NG)と判定された時には、参照するエリアを広くして(ステップS26)、図2の(D)及び図3の(F)のようにエッジ差AFを行う(ステップS28)。
【0038】
このエッジ差AF処理は、図4の(D)に示すようにして行われる。即ち、まず、左右各々のセンサアレイ14A,14Bの変化を判定し、最も隣接するセンサのデータの変化の大きいセンサnR ,nL を検出する(ステップS28A)。このような変化量最大センサnR ,nL が検出できれば、図3の(F)に示すように、それらのセンサが両受光レンズ10A,10Bの光軸基準でどの位置にあるかは設計によって決まっているので、X1 ,X2 がわかり、前述の方法で、距離が算出できる(ステップS28B)。つまり、この処理によって、画面12中央部にコントラストがない図2の(C)に示す風景のシーンのような場合であっても、2つのセンサアレイ14A,14Bの各々の出力から特徴的な部分(ここではエッジ部)を検出し、その位置差から距離を判定するので、相関がとれずピンボケになったり、シャッタが切れなくなってしまうことがない。
【0039】
即ち、このエッジ差AF方式は、図3の(D)の相関関数からの補間演算のように、細かい精度での測距は困難だが、被写体が近いか遠いかの判定は行えるので、実開昭59−101231号公報に開示されているような固定焦点タイプよりも、ピント合せ対応可能範囲は広がるし、また、特開昭54−126023号公報に開示されているような補助光照射タイプ以上に遠距離に対して対応可能である。従って、本第1の実施の形態にかかるカメラの測距装置により、苦手な被写体はかなりの確率で減少する。
【0040】
なお、上記ステップS14での単調変化の判定は、図6に示すようにして行われる。
即ち、まず、演算制御部18のRAM20内に設定した増加フラグ及び減少フラグを「1」にセットしておき(ステップS14A,S14B)、また、センサ番号を示す変数nを「1」に初期化しておく(ステップS14C)。そして、n+1及びnで示される番号のセンサのデータSn+1 ,Sn の差ΔS(n)を求め(ステップS14D)、このΔS(n)が負の値であれば(ステップS14E)、減少したとして、増加フラグを「0」にリセットする(ステップS14F)。逆に、ΔS(n)が0以上の値であれば(ステップS14G)、増加したとして、減少フラグを「0」にリセットする(ステップS14H)。その後、変数nをインクリメントし(ステップS14I)、その結果としてnが所定の値n0 となるまで(ステップS14J)、上記ステップS14D以降の処理を繰り返す。
【0041】
このステップを繰り返すと、センサデータが単調にずっと減少している場合は、増加フラグは「0」となっても減少フラグは「1」のままである。逆に、センサデータが単調にずっと増加している場合は、減少フラグは「0」となるが増加フラグは「1」のままである。また、単調に変化せずセンサデータが増加したり減少したりする場合は、ステップS14FとステップS14Hを共に通るので、2つのフラグは共に「0」となる。
【0042】
しかして、変数nが所定の値n0 となったならば、増加フラグ又は減少フラグが「1」であるかどうか判断する(ステップS14K)。増加フラグ又は減少フラグが「1」のままだと、単調変化であったとして、上記ステップS18へ進む。また、いずれのフラグも「0」の場合には、単調変化ではなく、相関演算による誤差は小さいとして、上記ステップS16へ進んで、相関演算を実施することとなる。
【0043】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
前述の第1の実施の形態では、狭いエリアでの測距結果が不適当な場合、その他のエリアを参照したりしたが、本実施の形態は、より単純に1つのポイントに関して本発明を適用した場合を示している。
【0044】
即ち、図7は、本実施の形態にかかるカメラの測距装置の動作を示すフローチャートで、まず、所定のエリア、例えば画面中央部の測距エリアの指定を行い(ステップS30)、このエリア内のコントラストの判定を行う(ステップS32)。
【0045】
そして、このエリアがローコントラストであれば(ステップS12)、前述したようなエッジ差AF処理により被写体距離を求める(ステップS28)。
また、ローコントラストではない場合には、前述したようにして単調変化かどうか判断し(ステップS14)、単調変化の場合には、上記ステップS28に進んで、エッジ差AF処理を行う。
【0046】
そして、単調変化でもない場合には、相関演算及び補間演算により、被写体距離を求める(ステップS16)。
以上説明したように、本第2の実施の形態では、図6に示した第1の実施の形態のようなエリア切り換えを行わず、画面中央重視の測距となる。つまり、中央に人物34Aがいる場合は、図2の(B)に示すように単調変化とならないはずなので、本実施の形態では、人物34Aを優先しつつ、それがみあたらない場合にのみ風景に対応して、前述のエッジ差AF方式の測距を行う。エッジ差AF方式では、センサアレイ14A,14Bのピッチ以下の精度の測距は困難だが、風景であるか否か相当の判別は可能である。また、人物写真の場合は、相関演算及び補間演算を行い、センサアレイ14A,14Bのピッチ以下の精度での測距を可能とし、より正確なピント合せが可能となる。
【0047】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、基本的には、前述の第1及び第2の実施の形態と同様であり、ステップS28のエッジ差AF処理をより正確に行い得るようにするものである。
【0048】
即ち、前述の第1及び第2の実施の形態では、ステップS28Aにおいて、像パターンの特徴点として、最もデータ変化の大きいセンサ(最大センサ)を用いたが、この考え方では、たまたまセンサアレイを構成するセンサの1ケ所にノイズがのったりすると、このノイズの作用に影響されて、あやまった結果を出力するおそれがある。
【0049】
そこで、本実施の形態では、像パターンの特徴点を、より多くの情報によって特定しようとしている。
図2の(D)のセンタデータが先に述べた最大変化センサの検出方法の概念図であるが、図2の(E)に示すように、最大変化センサにおける隣接センサとの変化量ΔS1 及び1つおいたセンサとの変化量ΔS2 、さらに1つおいたセンサとの変化量ΔS3 を検出し、このように得られたΔS1 ,ΔS2 ,ΔS3 を加味して、変化パターンの特定をより正確に行うようにしている。
【0050】
図8は、本実施の形態におけるエッジ差AF処理の動作フローチャートである。まず、図3の(E)のようにして得られた右側センサアレイ14Bで得られた像パターン44Bより、最大変化センサnR を求める(ステップS28C)。これは、具体的には、図6のステップS14C乃至S14Jのようなステップにて、順次隣接データ差を求め(ステップS14D参照)、それらの隣接データ差のうちの最大値を求めて、その時のnから簡単に検出できる。そして、以上のプロセスで得られた最大変化センサnR のデータとそれに隣接するセンサデータの変化量ΔS1 ,ΔS2 ,ΔS3 を順次求める(ステップS28D,28E,28F)。
【0051】
ステップS28G以降は、左側のセンサアレイ14Bの像パターン(図3の(E)の像パターン44A)より、n番めのセンサと隣接センサとのデータ量ΔSL1及び1つとばしたセンサとのデータ差ΔSL2、さらに隣のセンサとのデータ差ΔSL3を順次計算するステップ(ステップS28H,S28I,S28J)である。
【0052】
そして、ステップS28Kでは、先にステップS28D〜S28Fで求めたΔS1 ,ΔS2 ,ΔS3 と、このステップS28H〜S28Jで求めたΔSL1,ΔSL2,ΔSL3を比較し、この3つの数値がほぼ一致した場合は、右側の像パターン44Bの特徴点が対応する左側のポイントnL が検出され(ステップS8L)、nR ,nL より図4の(D)のステップS28Bと同様に距離を算出することができる。
【0053】
また、上記ステップS28Kで、特徴点の一致が認められない場合は、nをインクリメントして(ステップS28M)、左側の像の比較ポイントをずらしてゆく。ただし、リミッタn0 となっても、左右パターンの特徴点が一致しない場合には、演算エラーとする。カメラに応用する場合、この時、カメラのレリーズ動作を禁止したり、ユーザに警告したり、または固定焦点としたりして、次の撮影シーケンスに移行する。
【0054】
以上、説明したように本実施の形態では、像パターンの特徴点を抽出する際に、合計4つのセンサデータを参照したので、第1及び第2の実施の形態よりも電気的又は光学的なノイズの影響を受けにくく、より正確なピント合せが可能となる。
【0055】
このように、本発明によれば、一般的な所定のエリアでの相関演算によるピント合せ(図5及び図7のステップS16)の他に、左右の像の明暗変化のパターンの特徴点どうし(変化量最大センサnR ,nL )の一致によるピント合せの2方式を併用したので、苦手な被写体のより少ないAFカメラが提供できる。
【0056】
また、相関演算では、像の明暗が単調に変化する像パターンで誤差を生じやすいが、このような場合を検出して、誤測距を防止した(図5のステップS14)ので、より正確なAFカメラが提供できる。
【0057】
以上実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能である。ここで、本発明の要旨をまとめると以下のようになる。
【0058】
(1) 被写体からの光を異なる光路で受光し、その像信号を形成する一対のセンサアレイと、
上記一対のセンサアレイの出力信号をA/D変換するA/D変換手段と、
上記A/D変換手段から出力される像信号のうち一対の上記センサアレイの所定領域部分に相当する像信号の一致度に従って相対的なずれ量を算出する演算制御手段と、
からなるカメラの測距装置において、
上記演算制御手段は、上記センサアレイ上の像の明暗の変化の特徴を判定する明暗判定手段を具備することを特徴とするカメラの測距装置。
【0059】
(2) 上記明暗判定手段は、上記センサアレイ上の上記所定領域部分の明暗変化が明から暗へ、または暗から明へと単調に変化しているか否かを判定することを特徴とする(1)に記載のカメラの測距装置。
【0060】
(3) 上記判定手段により単調に変化していると判定した時には、上記演算制御手段は、上記センサアレイ上の上記所定領域部分とは異なる領域部分に相当する像信号に従って、一対の上記像信号の相対的なずれ量を算出することを特徴とする(2)に記載のカメラの測距装置。
【0061】
(4) 上記明暗判定手段は、一対の上記センサアレイ上での像信号の明暗変化の特徴点を抽出し、
上記演算制御手段は、一対の上記センサアレイ上での像信号の明暗変化の相対的な位置差に基づいて被写体距離を算出することを特徴とする(1)に記載のカメラの測距装置。
【0062】
(5) 視差を有する2つの光路を介して入射する被写体像をそれぞれ異なる光電変換素子センサアレイ上に結像させ、これら光電変換素子センサアレイより出力される2像信号に基づいて被写体までの距離を求めるカメラの測距装置において、
上記センサアレイによる2像信号を順次シフトさせながら相関演算して相対的位置差を算出する相関演算手段と、
上記センサアレイによる2像信号の特徴的データ部分の相対位置差を算出するエッジ差演算手段と、
上記相関演算手段では演算結果に信頼性が欠ける被写体状態であるか否かを判定するデータ状態判定手段と、
上記データ状態判定手段の判定結果、信頼性が欠ける被写体状態でない場合は上記相関演算手段に基づいて、また信頼性が欠ける被写体状態である場合は上記エッジ差演算手段に基づいて、相対位置差を算出する演算制御手段と、
を具備することを特徴とするカメラの測距装置。
【0063】
(6) 上記データ状態判定手段は上記センサアレイ上の2像信号の明暗変化の特徴点を検出し、上記エッジ差演算手段は上記センサアレイ上の2像信号の明暗変化の相対位置差に基づいて被写体距離を算出することを特徴とする(5)に記載のカメラの測距装置。
【0064】
(7) 上記相対位置差を算出する際、上記相関演算手段は上記センサアレイの第1の所定領域部分に相当する2像信号に基づき、上記エッジ差演算手段は上記センサアレイの上記第1の所定領域部分より広い第2の所定領域部分に相当する2像信号に基づいて行うことを特徴とする(5)に記載のカメラの測距装置。
【0065】
(8) 上記エッジ差演算手段は、上記センサアレイの隣接するセンサのデータ変化量の最も大きいところを検出して、この検出した一対のセンサ相対位置差により距離を算出することを特徴とする(5)に記載のカメラの測距装置。
【0066】
(9) 視差を有する2つの光路を介して入射する被写体像をそれぞれ異なる光電変換素子センサアレイ上に結像させ、これら光電変換素子センサアレイより出力される2像信号に基づいて被写体までの距離を求めるカメラの測距装置において、
上記センサアレイの複数領域から所定領域を選択可能なエリア選択手段と、
上記エリア選択手段により選択された上記センサアレイの所定領域が出力する2像信号を順次シフトさせながら相関演算して相対的位置差を算出する相関演算手段と、
上記センサアレイの上記所定領域の像信号変化状態に基づいて、上記相関演算手段では合焦不能か否かを判定するデフォルト判定手段と、
上記センサアレイによる2像信号それぞれの特徴的データ部分を検出し、2像信号の該特徴的データ部分の相対位置差を算出するエッジ差演算手段と、
上記エリア選択手段により選択された各所定領域の全てに対して、上記データ状態判定手段が上記相関演算手段では合焦不能と判定した場合には、上記エッジ差演算手段に基づいて相対位置差を算出する演算制御手段と、
を具備することを特徴とするカメラの測距装置。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、コントラストの低い被写体に対してもピント合わせを可能とし、コントラストが低くて、ピントが合せられず、シャッタが切れなくなってしまうような状況を防止できるカメラの測距装置を提供することができる。
【0068】
即ち、2つの光軸を通った測距用の像信号の明暗の変化の特徴(像パターン)を検出し、それに従ってピント合せの苦手なシーンを判定したり、各々の像信号の特徴点を参照して測距ができるようにしたので、苦手シーンに強いカメラの測距装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるカメラの測距装置の構成を示す図である。
【図2】(A)は人物の写真を撮影するシーンを示す図、(B)は(A)のシーンから得られるセンサデータを示す図、(C)は風景のシーンを示す図、(D)は(C)のシーンから得られるセンサデータを示す図であり、(E)は最大変化センサにおける隣接センサとの変化量ΔS1 及び1つおいたセンサとの変化量ΔS2 、さらに1つおいたセンサとの変化量ΔS3 を説明するためのセンサデータを示す図である。
【図3】(A)乃至(C)は2つのセンサアレイの像出力より距離を求める方法を説明するのに供されるセンサデータを示す図、(D)は相関関数からの補間演算を説明するための図、(E)及び(F)はそれぞれ得られた像データの相対位置差から被写体距離を求める原理を説明するための図である。
【図4】(A)及び(B)はそれぞれ単調変化時の2つのセンサアレイそれぞれから得られる像パターンを示す図、(C)はシフト誤差を説明するための図であり、(D)は図5中のエッジ差AF処理のフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態の動作フローチャートである。
【図6】図5中の単調変化判定処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかるカメラの測距装置の動作フローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかるカメラの測距装置におけるエッジ差AF処理のフローチャートである。
【符号の説明】
10A,10B 受光レンズ
12 画面
14A,14B センサアレイ
16A,16B A/D変換器
18 演算制御部
20 RAM
22 制御部
24 相関演算部
26 エリア切換部
28 補間演算部
30 デフォルト判定部
32 スイッチ
Claims (2)
- 視差を有する2つの光路を介して入射する被写体像をそれぞれ異なる光電変換素子センサアレイ上に結像させ、これら光電変換素子センサアレイより出力される2像信号に基づいて被写体までの距離を求めるカメラの測距装置において、
上記センサアレイによる2像信号を順次シフトさせながら相関演算して相対的位置差を算出する相関演算手段と、
上記センサアレイによる2像信号のそれぞれにおいて隣接する信号との差が最大となる信号を検出し、上記信号の相対位置差を算出するエッジ差演算手段と、
上記センサアレイ上の所定領域部分による2像信号の明暗変化が単調か否かを判定するデータ状態判定手段と、
上記データ状態判定手段により上記2像信号の明暗変化が単調であると判定された場合は、上記エッジ差演算手段に基づいて相対位置差を算出する演算制御手段と、
を具備することを特徴とするカメラの測距装置。 - 上記エッジ差演算手段は、上記センサアレイによる2像信号のそれぞれにおいて隣接する信号との差が最大となる信号と、上記差が最大となる信号の近傍に位置する複数の信号との差をそれぞれ算出して、上記2像信号の間で対応する複数の差がそれぞれ略一致するか判定し、略一致すると判定される場合は上記隣接する信号との差が最大となる信号の相対位置差を算出することを特徴とする請求項1に記載のカメラの測距装置。
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